説明

チューブ容器

【課題】 キャップ付きチューブ容器全体のバリア性を向上させ、酸素ガスや光による内容物の変色、変質を防止する機能を付加したチューブ容器を提供する。
【解決手段】 本発明に係るチューブ容器10は、チューブ本体の一端にキャップ2が着脱自在に取付けられた口部8を有し、当該チューブ本体の他端が熱接着により閉塞されてなるチューブ容器において、袋状体20が、チューブ本体の胴部4に熱接着され、キャップを口部8に装着したチューブ本体の口部側を被覆されてなり、袋状体20を構成するフィルムが、少なくとも内層にヒートシール性を有する樹脂からなり、かつバリアー層34を有するフィルムから構成され、かつ、袋状体20が、当該フィルムの内層の面を対向させて重ね合わせて、その周縁部をヒートシールして構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器本体の口部側にバリアー性を付与するチューブ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、チューブ容器は、通常、少なくとも、表面樹脂層、中間層、および、内面樹脂層を順次に積層して積層材を製造し、次いで、当該積層材を使用し、その両端部の表面樹脂層と内面樹脂層との面を重ね合わせてその対向面をヒートシールして筒状胴部を製造し、しかる後、当該筒状胴部の一方の開口部に口部、肩部等からなる頭部を形成し、更に、これにキャップを螺合させ、他方、上記の筒状胴部の他方の開口部から内容物を充填し、しかる後、その開口部を密閉シールして底部シール部を形成して、ラミネートチューブ容器からなる包装製品を製造している。
前記のチューブ容器には、内容物として食品、化粧品、医薬品等の内容物を充填して市販されているものである。
上記のチューブ容器に充填して市販される食品、化粧品、医薬品等の内容物の中でも、特に酸素ガスにより酸化や褐変し易い物質、たとえば、不飽和脂肪酸を多く含んだ粘液状バター等があり、このような粘液状バター等を充填するチューブ容器には、通常チューブ容器自体にガスバリアー性を付与するチューブ容器が使用されることによって、酸素ガスにより酸化や褐変し易い物質を保護することにより長期保存可能としている。
【0003】
従来のガスバリアー性を付与したチューブ容器としては、チューブ容器の胴部に利用される積層シートを構成する中間層に、例えば、厚さ7μm〜60μm程度のアルミ箔、塩化ビニリデンコート層を有する2軸延伸ポリアミドフイルム、塩化ビニリデンコート層を有するポリエステルフィルム、アルミ蒸着されているポリエステルフィルム、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂フィルム等がガスバリアー性層として利用されるチューブ容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−147848号公報(10頁左上欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、チューブ容器のキャップ、口部、肩部自体には、バリア性が付与されていないため、酸素が、チューブ容器の頭部からチューブ容器本体内に容易に侵入してしまい、特に酸素ガスにより酸化や褐変し易い物質を含んでいる場合、内容物が変質してしまうという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、キャップ付きチューブ容器全体のバリア性を向上させ、酸素ガスによる内容物の変色、変質を防止する機能を付加したチューブ容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究を重ねた結果、本発明に係るチューブ容器は、チューブ本体の一端にキャップが着脱自在に取付けられた口部を有し、当該チューブ本体の他端が熱接着により閉塞されてなるチューブ容器において、袋状体が、当該チューブ本体の胴部に熱接着され、キャップを口部に装着したチューブ本体の口部側を被覆されてなり、当該袋状体を構成するフィルムが、少なくとも内層にヒートシール性を有する樹脂からなり、かつバリアー層を有するフィルムから構成され、かつ、当該袋状体が、当該フィルムの内層の面を対向させて重ね合わせて、その周縁部をヒートシールして構成されることを特徴とするチューブ容器である。
【0006】
また、上記において、前記のチューブ容器が、ヒートシール層からなる表面樹脂層と、バリア性の中間層と、ヒートシール層からなる内面樹脂層を順次積層した積層体からなることを特徴とするチューブ容器である。
【0007】
また、本発明に係るチューブ容器において、前記の袋状体に開封用切れ目を刻設してなることを特徴とするチューブ容器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のチューブ容器は、上記のような構成とすることにより、酸素が、チューブ容器本体の口部の付近からチューブ容器本体に侵入することを防止可能であり、内容物が、酸素ガスによる酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れるという利点を有する。
更に、袋状体内に脱酸素剤を封入した状態で注出口部を被覆する構成とすることにより、袋状体内の酸素を吸収することが可能であるため、内容物の酸化防止効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明に係る袋状体20に被覆されたチューブ容器10の実施例を示す平面図であり、図2は本発明に係る袋状体20の層構成の実施例を示す断面図であり、図3は本発明に係るチューブ容器本体10の層構成の実施例を示す断面図である。
本発明に係る袋状体に被覆されたチューブ容器10は、図1に示すように、キャップ2を口部に装着したチューブ容器10と、チューブ容器10の口部8側を被覆する袋状体20とから構成され、更に、袋状体20が、チューブ容器本体10の胴部4においてヒートシール28されて一体となった構成からなる。
【0010】
本発明に係る袋状体20の層構成は、図2に示すように、外層32と内層36との層間に、中間層34であるガスバリアー層を積層した3層の積層体から基本的に構成される。
特に、袋状体20の内層36は、チューブ容器本体10の表面樹脂層42の樹脂を構成する樹脂の材質と同質にすることが、袋状体20とチューブ容器本体10との接着強度が高くなるため好ましい。
【0011】
本発明に係るチューブ容器本体10の層構成は、図3に示すように、外側から、少なくとも、表面樹脂層42と、中間層44と、内面樹脂層46とを順次に積層する構成からなることを基本構造とするものである。
中間層44としては、基材フィルム層やガスバリアー層を使用することができる。
更に、中間層44を構成する基材フィルム層には、その片面若しくは両面に文字、図形、記号、絵柄等の印刷層を形成することができる。
更に、ガスバリアー層として、金属蒸着膜、または、金属酸化物の蒸着膜のいずれかを基材フィルム層に形成することができる。
そして、上記に例示した積層体は、その二三を例示したものであり、本発明は、上記に例示した構成からなる積層フィルムに限定されるものではなく、種々の形態の積層材を使用することができる。例えば、図示しないが、各層間には、用途、充填する内容物等によって、更に別の材料からなる層を設けることができ、また、その積層順序としては、任意に積層することができるものである。
【0012】
本発明においては、上記の図3に示すチューブ容器を形成する積層材30を丸めて、積層材30の両端部の最外層である表面樹脂層42面と最内層である内面樹脂層46面とを重ね合わせ、その重合端部を溶着してヒートシール部14を形成して筒状胴部4とするものである。
次いで、本発明においては、筒状胴部4の一方の開口部の上部に、チューブ容器を構成する肩部6、口部8等からなる頭部18を常法に従って形成する。
そして、本発明においては、上記の図1に示すように、上記で形成した頭部18の口部8に密閉するキャップ2を取り付けて、本発明にかかるチューブ容器10を製造するものである。
なお、上記で製造したチューブ容器10は、筒状胴部4の他方の開口部より、内容物16を適量分だけ充填包装し、しかる後、開口部を溶着して底シール部12を形成して、内容物16を充填包装した包装製品Aを製造することができる。
なお、上記に挙げた例は、本発明のチューブ容器の一例を例示したに過ぎないものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
【0013】
次に、本発明において、上記のような積層材30を構成する材料について説明する。
まず、本発明において、表面樹脂層42および内面樹脂層46を構成する材料としては、前述のように、積層材30を丸めてその重合端部を溶着して筒状胴部4を製造することから、加熱により溶融して相互に融着することができるヒートシール性を有する樹脂を使用して構成することが好ましいものである。そして、表面樹脂層42と内面樹脂層46を構成する材料が、同じ材料からなることによって、ヒートシール性を向上することができるので好ましい。
また、表面樹脂層42は、中間層に形成する印刷層を見ることができるように透明であることが必要である。
具体的には、上記のヒートシール性を有する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸を使用して酸変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。
そして、上記のヒートシール性を有する樹脂は、例えば、フィルムないしシート、あるいは、その樹脂を含む組成物によるコーティング膜の状態で使用することができる。
その膜もしくはフィルムないしシートの厚さとしては、10μm〜200μm位、好ましくは、15μm〜100μm位が望ましい。
【0014】
次にまた、本発明の表面樹脂層42および内面樹脂層46において、ヒートシール層を多層積層して機能性樹脂層を形成する場合、その材料としては、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性、および/または、充填包装する内容物中に含まれる香料成分等の吸着が少なく保香性等に富み、更に、変味、異臭等を生じない性質を有し、かつ、押し出し成形が可能である樹脂を使用することができる。具体的には、例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリメタクリロニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂若しくはそのエチレン成分および/またはテレフタレート成分の一部を他のジまたはそれ以上の多価アルコール成分またはジカルボン酸成分で共重合ないし変性した樹脂あるいはポリエチレンナフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。而して、本発明においては、上記の樹脂の中でも、保香性を有すると共に酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性を有する樹脂を使用することが望ましく、具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、または、ポリエステル系樹脂等からなる保香性、バリア性等に富む樹脂を使用することが望ましいものである。
【0015】
次に、本発明において、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、表面樹脂層42および内面樹脂層46を中間層に形成する製造法について説明すると、その製造法としては、押し出しラミネート成形成膜法、Tダイキャスト成形成膜法等を採用することができる。
具体的には、フィードブロック法、マルチマニホールド法等のTダイキャスト成形法、あるいは、押し出しラミネート成形成膜法等の成形方法を使用して、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、本発明にかかる表面樹脂層42および内面樹脂層46を製造することができる。
【0016】
本発明のチューブ容器10において、中間層44は、基材フィルム層、及び、バリア層から構成されることが必要である。
まず、中間層44を構成する基材フィルム層の材料として、例えば、チューブ容器を構成する基本素材としての、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシート、その他等を使用することができる。
そして、上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
そのフィルムの厚さとしては、5μm〜100μm位、好ましくは、10μm〜50μm位が望ましい。
【0017】
次にまた、本発明において、上記の中間層44を構成する基材フィルム層の材料としては、例えば、紙層を構成する各種の紙基材を使用することができ、具体的には、本発明において、紙基材としては、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものであり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
なお、本発明においては、紙層を構成する紙基材と、上記に挙げた基材フィルムとしての各種の樹脂のフィルムないしシート等を併用して使用することができる。
【0018】
次に、本発明においては、上記のような中間層44を構成する基材フィルム層の片面若しくは両面に、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等の印刷方法で、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の絵柄印刷層を形成することができる。
【0019】
更にまた、本発明において、上記の中間層44を構成するバリア層の材料としては、例えば、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性素材、太陽光等に対する遮光性を有するバリア性素材、あるいは、内容物に対する保香性等を有するバリア性素材等を使用することができる。
具体的には、上記のバリア性素材としては、例えば、金属箔、または、金属蒸着層、無機酸化物の蒸着層、金属酸化物の蒸着層を有する樹脂フィルムを使用することができる。また、バリア性素材としては、バリア性樹脂からなるコーティング膜を使用することができる。特に、金属蒸着膜、または、金属酸化物の蒸着膜のいずれかであることが、酸素ガス、水蒸気、遮光性、保香性等のバリア性に優れ、容器の廃棄面において環境にやさしいという利点を有するため好ましい。
具体的には、このバリア性素材としては、アルミニウム箔、または、アルミニウム等の金属、シリカ、アルミナ等のセラミックをPETフィルム等のプラスチックフィルムに蒸着膜を形成して使用することができる。
セラミックとしては、この他に、酸化インジウム錫(ITO)、又は、亜鉛、錫、チタン、ジルコニウム、バナジウム、バリウム、クロム等の金属酸化物、窒化珪素、炭化珪素等が使用できる。これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
上記において、アルミニウム箔としては、5μm〜30μm位の厚さのもの、また、金属、金属酸化物、または無機酸化物の蒸着膜としては、厚さ50Å〜3000Å位のものを使用することが好ましく、100Å〜1000Å位のものが望ましい。
使用する金属、金属酸化物または、無機酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を形成することもできる。
【0020】
上記の蒸着膜を支持する樹脂のフィルムとしては、これに蒸着層を設けることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に強度を有して強靭であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
具体的には、本発明において、上記の蒸着膜を支持する樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレイト等のポリエステル系樹脂フィルム、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブデン樹脂フィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレイト樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデンフィルム、アセタール系樹脂フィルム、フッ素系樹脂、その他等を使用することができる。なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましい。
【0021】
次に、本発明において、バリア層を構成する蒸着膜を形成する方法について説明すると、かかる方法としては、上記のような金属または金属の酸化物を原料とし、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法クラスターイオンビーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical VaporDeposition法、CVD法)等を利用して、樹脂のフィルムの上に蒸着薄膜を形成することができる。
更に、具体的に説明すると、上記のPVD法では、例えば、巻き取り式蒸着機を使用し、真空チャンバーの中で、巻き出しロールから出た樹脂フィルムを蒸着チャンバーの中に入れ、ここで、るつぼで熱せられた蒸着源を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素吹き出し口より酸素等を噴出させながら、冷却したコーティングドラム上の樹脂のフィルムの上に、マスクを介して蒸着膜を成膜化し、次いで蒸着薄膜を形成した樹脂のフィルムを巻き取りロールに巻き取ることによって、本発明にかかる蒸着薄膜を有する樹脂のフィルムを製造することができる。
一方、上記のCVD法では、蒸着チャンバー内に配置された巻き出しロールから繰り出した樹脂のフィルム面に、蒸着チャンバー内の冷却、電極ドラム周面上において、蒸着原料揮発供給装置から供給される例えばモノマーガスとしての有機珪素化合物、酸素ガス、不活性ガスからなる混合ガスを導入し、プラズマによって酸化珪素の蒸着薄膜を形成した樹脂のフィルムを製造することができる。そして、本発明においては、上記のような無機酸化物の蒸着薄膜を有する樹脂のフィルムにおいて、酸素ガス、あるいは、水蒸気等が透過することを阻止し、これらに対するバリア層としての機能を奏するものである。
【0022】
上記において、金属酸化物、無機酸化物の蒸着薄膜の厚さとしては、十分なバリアー性を得るために、通常、50Å〜3000Å位であることが好ましく、特に、本発明においては、100Å〜2000Å位が望ましい。更に詳しくは、上記のPVD法においては、酸化アルミニウムの蒸着薄膜の膜厚としては、200Å〜1000Å位、好ましくは、300Å〜500Å位が望ましく、また、上記のCVD法においては、酸化珪素の蒸着薄膜の膜厚としては、50Å〜500Å位、好ましくは、100Å〜300Å位が望ましい。なお、上記において、総じて、無機酸化物の蒸着薄膜の厚さが、2000Åを超えると、金属酸化物、無機酸化物の蒸着薄膜にクラック等が入りやすくなり、そりによりバリアー性が低下するという危険性があると共に、材料コストが高くなるという問題点であるので好ましくはなく、また、100Å未満であると、その機能を奏することが困難になることから好ましくないものである。
【0023】
また、本発明において、バリア性素材、あるいは、保香性等を有する素材等としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニルがおよそ79wt%〜92wt%)を完全ケン化したエチレン含有率25モル%〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、その他等のガスバリアー性に富む樹脂のフィルムないしシート、あるいは、コーティング膜を使用することができる。
【0024】
次にまた、本発明においては、中間層44を構成する材料としては、例えば、太陽光等の光を遮光する性質を有する遮光性素材使用することができ、これは、単体の基材でもよく、あるいは二種以上の基材を組み合わせてなる複合基材等であってもよい。
遮光性素材としては、例えば、アルミニウム箔としては、5μm〜30μm位の厚さのもの、また、アルミニウム等の金属の蒸着膜としては、厚さ50Å〜3000Å位のものを使用することが好ましく、100Å〜1000Å位のものが望ましい。
また、遮光性素材としては、樹脂に顔料等の着色剤、更に、その他等の所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシートの厚さとしては、任意であるが、通常、5μm〜300μm位、更には、10μm〜100μm位が望ましい。
【0025】
ところで、通常、チューブ容器10は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、かかる容器を構成する積層材には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような材料の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシートから任意に選択して使用することができる。その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。本発明において、上記のフィルムないしシートは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、任意であるが、数μm〜300μm位の範囲から選択して使用することができる。更に、本発明においては、フィルムないしシートとしては、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0026】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して、本発明にかかるチューブ容器を形成する積層材30を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料を製造するときに使用するラミネートする方法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、その他等の任意の方法で行うことができる。
そして、本発明においては、上記のラミネートを行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等のアンカーコート剤、接着剤等を任意に使用することができる。
【0027】
ところで、上記のような積層材30の製造法において、押し出しラミネートする際の接着性樹脂層を構成する押し出し樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポエイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−メタクリル酸共重合体、あるいはエチレン−アクリル酸共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体、あるいはそれらを変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、その他等を使用することができる。また、本発明において、ドライラミネートする際の接着剤層を構成する接着剤としては、具体的には、ドライラミネート等において使用される2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エボキシ系接着剤、ゴム系接着剤、その他等を使用することができる。
【0028】
次に、本発明においては、本発明にかかるチューブ容器10を製造するに際し、例えば、筒状胴部を製造する際のヒートシールする方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、火炎シール等の方法で行うことができる。
【0029】
次に本発明においては、上記で製造したチューブ容器を形成する積層材30を使用し、まず、それを丸めてその重合端部を溶着してチューブ容器を構成する筒状胴部4を製造し、次にその筒状胴部4の上方に、例えば、高密度ポリエチレン等を射出成形法、圧縮成形法、その他の成形法で成形溶着して肩部6および口部8等からなる頭部を形成し、次いで、頭部を構成する口部8にキャップ2を取り付けて、本発明にかかるチューブ容器10を製造することができる。
そして、本発明においては、上記で製造したチューブ容器の下端部の開口部から充填包装する内容物を充填し、次いでその開口部をヒートシールして底シール部12を形成して、チューブ包装体を製造することができる。
上記において、チューブ容器の肩部6、口部8からなる頭部18を構成する材料として、上記のような高密度ポリエチレンの他に、更に、前述のメタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体等を使用することもできる。
【0030】
本発明に係る袋状体20を構成する内層36として使用するヒートシール性を有する樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらをフィルム化したシートを使用することができ、その厚さとしては、30〜200μmが適当である。
【0031】
また、本発明に係る袋状体20を構成する外層32として使用する合成樹脂製のフィルムとしては、袋状体20を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂を用いることができ、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系等の樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂を用いたフィルムとしては、未延伸フィルムあるいは1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができ、フィルムの厚さとしては基本基材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚過ぎるとレーザー加工不良等を発生して引き裂き性が低下し、また、コストが上昇するという欠点もあり、薄過ぎると、強度、剛性等が低下するので好ましくない。本発明においては、上記のような理由から12〜25μm程度が適当である。
また、前記合成樹脂製のフィルムは、必要に応じてポリ塩化ビニリデンが塗工されたフィルムやアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着層が形成されたフィルムとしてバリアー性を有する構成としてもよい。
また、外層として使用する合成樹脂製のフィルムは、前記合成樹脂製フィルムの内層側に一般的には印刷が施されることが多い。そのために、前記外層として使用する合成樹脂製フィルムは印刷適性が求められ、1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルムが好適である。
【0032】
さらに、本発明において、袋状体20の内層36と外層32の間に中間層34を設けてもよく、中間層34は、通常内層36と外層32だけでは袋状体としての機能を十分に果たすことができない場合等に設けられる。
前記の機能としては、気体遮断性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等であり、包装袋として要求されるこれらの最終的な機能を中間層34を設けることで達成するものである。
前記の中間層34として用いられる基材としては、たとえば、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルムあるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしはアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムあるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルムなどを用いることができる。
また、これら基材の一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。尚、上記基材の厚さとしては、包装袋として要求される機能を満たすことができればよいのであって、必要に応じて適宜選ぶことができる。
【0033】
上記の樹脂には、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0034】
袋状体の外層32、中間層34、内層36を積層する方法としては、各層を押し出して共押し出しラミネートしても良いし、層間密着性を向上させるため層間に熱接着性樹脂を用いてTダイ押し出しラミネーション法によってラミネートしても良いし、また、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法によってラミネートしてもよい。
Tダイ押し出しラミネーション法の場合は必要に応じてアンカーコート剤を用いることができる。
また、Tダイ押し出しラミネーション法の変形手段として、熱ラミネーション法を用いることもできるし、ヒートシール性を有するフィルム同士の積層には、ヒートシールを用いても良い。
ヒートシールの方法としては、たとえば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の周知の方法で行うことができる。なお、ヒートシール部には易開封性手段として開封用Vノッチ、Iノッチを設けてもよい。
【0035】
本発明に係る袋状体20を、チューブ容器本体10の頭部18にかけて被覆することによって、製造過程や流通過程において、チューブ容器10の頭部18に異物が付着することなく、手に直接触れることなく、取り扱うことが可能であり、流通・保管時において、チューブ容器の口部8先端の汚染を確実に防止でき、衛生面に優れるという利点を有する。
また、袋状体20の包装材料に、バリアー性層を有する積層フィルムを使用することによって、チューブ容器10に被覆される内容物が、酸素ガスによる酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れるという利点を有する。
なお、袋状体には、更にガスバリアー性を向上させる目的で、脱酸素剤26と共に収納して流通させても良い。
【実施例1】
【0036】
次に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(チューブ容器10の製造)
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、ポリウレタン系グラビアインキによる印刷層を形成し、絵柄印刷層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
次いで、前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、厚み9μmのアルミニウム箔とを接着剤(2液硬化型のウレタン系接着剤層)を介して積層して、層構成、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/絵柄印刷層/接着剤層/アルミニウム箔(9μm)からなる中間層を作製した。
次いで、前記の中間層に、ロールコート法にてポリウレタン系接着剤(塗布量:4g/m2)を介して、表面樹脂層、および内面樹脂層として、厚さ170μmのコロナ処理された線状低密度ポリエチレンフィルムを両面に積層した。その結果、表面側から裏面側に向かって、層構成、線状低密度ポリエチレン層/接着剤層/二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/絵柄印刷層/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/線状低密度ポリエチレン層の積層構成からなる積層フィルムを、マンドレルを利用して一方の側辺部と他方の側辺部とを重ね合わせて筒状に成形し、重ね合わせ部における積層フィルムの裏面層と表面層とを熱溶着法により溶着することによって筒状成形体を得た。
引き続いて、この筒状成形体の一方に、密度0.918g/cm3、メルトインデックス2g/10minの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(品名「カーネル KF280」、メーカー「日本ポリケム株式会社」)を用いて圧縮成形法により肩部から口頚部までを成形して接合することにより、図1に示すような実施例1に係るラミネートチューブ容器を得た。
一方、ポリプロピレン樹脂を使用して成型したスクリューキャップを用意した。そして、成型されたチューブ容器本体の口頚部に、スクリューキャップを螺旋した。
(袋状体20の製造)
一方、本発明にかかる袋状体20を構成する包装材は、外側から順に、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる外層と、厚み9μmのアルミニウム箔からなる中間層と、厚み80μmの線状低密度ポリエチレンフィルムからなる内層とを接着剤(2液硬化型のウレタン系接着剤層)を介して積層して、層構成、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤層/アルミニウム箔(9μm)/接着剤層/線状低密度ポリエチレンフィルム(60μm)からなる積層フィルムを作製した。
上記で得られた積層フィルム(縦85mm×横150mm)を2枚カットした。しかる後、線状低密度ポリエチレンフィルム層を対向させて、積層フィルムを2枚重ね合わせ、上端部を残してシール幅5mmで三方をヒートシールして、上端部に開口部を有する袋状体20を作製した。
(袋状体20を装着したチューブ容器10の製造)
上記で得られた袋状体20を用いて、袋状体20内に脱酸素剤26を収納すると共に、キャップ2を頭部18に装着したチューブ本体10に頭部成型に用いたマンドレルを外して挿入し、脱酸素剤26を収納した袋状体20でチューブ本体10の頭部18側を被覆し、袋状体20内の空気を極力抜いた状態で、袋状体20の開口部を手動式トレーシーラーに装着した、下向き円弧型、内角100度、シール幅5mmのシールヘッドを用い、1回ヒートシールする毎にチューブ本体10を少しずつ回転させてヒートシール位置を変えつつ、チューブ本体10の胴部4の、肩部6直下にヒートシールしてヒートシール部28を形成して密封した結果、図1に示す本発明に係る袋状体20を装着したチューブ容器10が得られた。
(内容物の充填)
次いで、袋状体20を装着したチューブ容器10をマンドレルからはずし、内部を窒素ガス置換したグローブボックス内に入れた。
しかる後、窒素ガス置換したグローブボックス内でチューブ容器10の他方の開口部から、市販の粘液状バター100gを充填し、次いで、チューブ容器10の開口部を前記の窒素ガス置換したグローブボックス内でシール幅2mmの小型インパルスシーラーを用いてヒートシールした後、グローブボックスから取り出し、両面ヒーターのインパルスシーラーを用いて前記2mm幅のヒートシール部に重ねてシール幅5mmで再ヒートシールすることにより密封した。
上記で得られた本発明に係る袋状体20を装着したチューブ容器10は、内容物16を取り出す時まで袋状体20によってチューブ容器10の頭部18側を被覆することによって、チューブ容器10の口部8に異物が付着することなく、流通・保管時において、チューブ容器の口部先端の汚染を確実に防止できるという優れたチューブ容器である。
また、袋状体を構成する包装材に酸素バリア性を付与することによって、頭部18に酸素がチューブ容器10に侵入することを抑制することができ、チューブ容器10に充填する内容物16が、酸素ガスによる酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れるものであった。
【実施例2】
【0037】
(チューブ容器10の製造)
実施例1と同様の層構成からなる、層構成、線状低密度ポリエチレン層/接着剤層/二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/絵柄印刷層/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/線状低密度ポリエチレン層の積層構成からなる積層フィルムを、マンドレルを利用して一方の側辺部と他方の側辺部とを重ね合わせて筒状に成形し、重ね合わせ部における積層フィルムの裏面層と表面層とを熱溶着法により溶着することによって筒状成形体を得た。
引き続いて、この筒状成形体の一方に、実施例1と同じ直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いて圧縮成形法により肩部から頭部までを成形して接合することにより、図1に示すような実施例2に係るラミネートチューブ容器を得た。
一方、実施例1と同様のポリプロピレン樹脂を使用して成型したスクリューキャップを用意して、成型されたチューブ容器本体の口頚部に、スクリューキャップを螺旋した。
(袋状体20の製造)
一方、本発明にかかる袋状体20を構成する包装材は、外側から順に、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる外層と、厚さ12μmのシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化成ポリテック(株) :テックバリアH)からなる中間層の非シリカ蒸着面とを、2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により積層した後、中間層のシリカ蒸着面と厚さ80μmの線状低密度ポリエチレンフィルムからなる内層とを、2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により積層し、層構成、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤層/ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/シリカ蒸着層/接着剤層/線状低密度ポリエチレンフィルム(80μm)からなる積層フィルムを作製した。
上記で得られた積層フィルム(縦85mm×横150mm)を2枚カットした。しかる後、線状低密度ポリエチレンフィルム層を対向させて、積層フィルムを2枚重ね合わせ、上端部を残してシール幅5mmで三方をヒートシールして、上端部に開口部を有する実施例2の袋状体20を作製した。
(袋状体20を装着したチューブ容器10の製造)
上記で得られた袋状体20を用いて、袋状体20内に脱酸素剤26を収納すると共に、キャップ2を口部8に装着したチューブ本体10に頭部成型に用いたマンドレルを外して挿入し、脱酸素剤26を収納した袋状体20でチューブ本体10の口部8側を被覆し、袋状体20内の空気を極力抜いた状態で、袋状体20の開口部を手動式トレーシーラーに装着した、下向き円弧型、内角100度、シール幅5mmのシールヘッドを用い、1回ヒートシールする毎にチューブ本体10を少しずつ回転させてヒートシール位置を変えつつ、前記チューブ本体10の胴部4の、肩部6直下にヒートシールしてヒートシール部28を形成して密封した結果、図1に示す本発明に係る袋状体20を装着したチューブ容器10が得られた。
(内容物の充填)
次いで前記袋状体20を装着したチューブ容器10本体をマンドレルからはずし、内部を窒素ガス置換したグローブボックス内に入れた。しかる後、窒素ガス置換したグローブボックス内でチューブ容器10の他方の開口部から、市販の粘液状バター100gを充填し、次いで、チューブ容器10の開口部を前記窒素ガス置換したグローブボックス内でシール幅2mmの小型インパルスシーラーを用いてヒートシールした後、グローブボックスから取り出し、両面ヒーターのインパルスシーラーを用いて前記2mm幅のヒートシール部に重ねてシール幅5mmで再ヒートシールすることにより密封した。
上記で得られた本発明に係る袋状体20を装着したチューブ容器10は、内容物16を取り出す時まで袋状体20によってチューブ容器10の頭部18側の部分を被覆することによって、チューブ容器10の口部8に異物が付着することなく、流通・保管時において、チューブ容器10の口部8先端の汚染を確実に防止でき、更に、透明な袋状体20であるため、内部を視認することができるという優れたチューブ容器10である。
また、袋状体20を構成する積層材30に酸素バリア性を付与することによって、頭部18に酸素がチューブ容器10に侵入することを抑制することができ、チューブ容器10に充填する内容物16が、酸素ガスによる酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れるものであった。
【0038】
〔比較例1〕
実施例2において、袋状体20を使用しない以外は、実施例2と同様の材料、製造方法にて、比較例1に係るチューブ容器10を得た。
なお、チューブ容器10には、実施例2と同様の材料、成形方法を用いて成型したスクリューキャップ2を用意して、成型されたチューブ容器本体10の口部8に、スクリューキャップ2を螺旋した。しかる後、チューブ容器10本体の他方の開口部から、実施例2と同様に市販の粘液状バター100gを窒素ガス置換したグローブボックス内で充填し、次いで、実施例2と同様に当該筒状成形体の開口部を前記グローブボックス内外でヒートシールして、底シール部12を形成した。
【0039】
〔酸素侵入位置測定〕
実施例1、2および比較例1で得られたチューブ容器10について、当該筒状成形体の他方の開口部から、内容物として、メチレンブルーとハイドロサルファイトナトリウムを添加した2重量%の寒天溶液(100g)を窒素ガス置換したグローブボックス内で充填し、実施例2と同様に当該筒状成形体の開口部を前記グローブボックス内外でヒートシールして、底シール部12を形成した。しかる後、40℃にて3週間保存し、チューブ容器10内に酸素が侵入して青色に変色する箇所を、チューブ容器10本体を切り開いて検査した。
【0040】
実施例1、2のチューブ容器10では、内容物である寒天に発色が認められなかった。
上記の結果より、実施例1、2のチューブ容器10は、酸素バリア性を向上させ、酸素ガスによる内容物の変色、変質を防止することが確認できた。
これに対して、比較例1のチューブ容器10では、頭部18において寒天が酸素透過によるメチレンブルーの青色に変色していた。このことより、比較例1のチューブ容器では、頭部18にかけて酸素ガスが浸透し、内容物16が変色してしまい問題があった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る袋状体20に被覆されたチューブ容器10の用途は、例えば、練り歯磨き、化粧品、糊、練りがらし、練りわさび、クリーム、絵の具、軟膏、医薬品、その他等の種々の粘稠体からなる物品の充填包装用容器として使用可能であり、特に制限は無い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る袋状体20に被覆されたチューブ容器の実施例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る袋状体の層構成の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明に係るチューブ容器本体の層構成の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
2 キャップ
4 筒状胴部
6 肩部
8 口部
10 チューブ容器
12 底シール部
14、24、28 ヒートシール部
16 内容物
18 頭部
20 袋状体
22 開封用ノッチ
26 脱酸素剤
30 積層材
32 外層
34 中間層
36 内層
42 表面樹脂層
44 中間層
46 内面樹脂層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ本体の一端にキャップが着脱自在に取付けられた口部を有し、当該チューブ本体の他端が熱接着により閉塞されてなるチューブ容器において、
袋状体が、当該チューブ本体の胴部に熱接着され、キャップを口部に装着したチューブ本体の口部側を被覆されてなり、
当該袋状体を構成するフィルムが、少なくとも内層にヒートシール性を有する樹脂からなり、かつバリア層を有するフィルムから構成され、
かつ、当該袋状体が、当該フィルムの内層の面を対向させて重ね合わせて、その周縁部をヒートシールして構成されることを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
前記のチューブ容器が、ヒートシール層からなる表面樹脂層と、バリア性の中間層と、ヒートシール層からなる内面樹脂層を順次積層した積層体からなることを特徴とする請求項1記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記の袋状体に開封用切れ目を刻設してなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のチューブ容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−76698(P2007−76698A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267804(P2005−267804)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】