説明

チョッパ装置とその制御方法

【課題】 ステップ状電圧指令でもコンデンサ電圧がオーバシュートしないチョッパ装置とその制御方法を提供する。
【解決手段】コンデンサ4の電圧を検出し電圧信号を生成する電圧検出器5と、インダクタ1の電流を検出し電流信号を生成する電流検出器6と、電圧指令と電圧信号からスイッチング素子をオンオフするゲート信号を生成する電圧制御器7と、電流指令と電流信号からスイッチング素子のオンオフするゲート信号を生成する電流制御器8と、ゲート信号から駆動信号を生成し、駆動信号に基づきスイッチング素子をオンオフするゲートドライブ回路とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源電圧を異なる直流電源電圧に変換するチョッパ装置とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチョッパ装置には、例えば特許文献1がある。図2において、電力変換装置は三相全波整流回路102、昇圧チョッパ回路107、平滑コンデンサ103を備え、三相全波整流回路102の入力側が三相交流電源101に接続され、コンデンサ103が電圧型インバータ109を介して誘導電動機110に接続されている。昇圧チョッパ回路107は直流リアクトル104とスイッチングパワー素子105とブロックダイオード106を備えており、整流回路2の出力電荷を直流リアクトル104で蓄積し、リアクトル104に蓄積された電荷の充放電をスイッチングパワー素子105のスイッチングによって制御し、昇圧された直流電力をブロックダイオード106を介してコンデンサ103へ出力するようになっている。スイッチングパワー素子105のスイッチングを制御するために、電圧検出器111、減算器113、直流電圧制御回路1144、直流電流検出器115、減算器116、電流制御回路1177が設けられており、電流制御回路117の出力がスイッチングパワー素子105に接続されている。またインバータ109の入力電圧を可変周波数の交流電圧に変換して誘導電動機110を可変速制御するためのインバータ制御装置108が設けられている。減算器113は昇圧チョッパ回路107の出力電圧に対する電圧指令と電圧検出器111の検出出力との偏差に応じた信号を直流電圧制御回路114へ出力する。そして直流電圧制御回路114は比例積分要素及びリミッタ回路を備え、減算器113からの信号を零に抑制するための直流電流指令を生成するようになっている。減算器113と直流電圧制御回路114は直流電流指令生成回路として構成されている。この直流電流指令は減算器116に入力されており、減算器116は直流電流指令と電流検出器115の検出出力との偏差に応じた信号を出力するようになっている。そして電流制御回路117は減算器116からの信号を零に抑制するためのパルス信号を生成するようになっている。すなわち減算器116と電流制御回路117はパルス信号生成回路として構成されている。そして、このパルス信号がスイッチングパワー素子105のベースに入力されている。
【0003】
動作は、まず電動機110の出力電力が一定の場合、インバータ109の入力電力も一定となる。そこで、コンデンサ103の直流電圧を一定に制御した場合、インバータ109の入力電流の平均値もほぼ一定の直流電流となる。ここで、昇圧チョッパ回路107の損失は比較的小さいので無視すると、電力P L 相当の負荷電力を電源101から供給する必要がる。整流回路102の出力電流を一定の振幅の直流量の電流で流した場合、電源101の最大、最小の二相間で整流回路102の出力電流が流れるため、三相の電源電流は電気角120度の方形波電流が流れることになる。電源電流として120度の方形波電流が流れると、電源力率は比較的大きくなる。それは、3次の高調波電流が生じないからである。また、電動機110の負荷が急激に増加した場合には、インバータ109の入力電流が増加するので、コンデンサ電流が放電することから、コンデンサ電流が負となり、直流電圧が減少する。この結果直流電流指令が増加し、スイッチングパワー素子105のゲートオン期間が長くなる。これにより、電流検出器の検出値が増加することから直流リアクトル104に蓄積されるエネルギーが増加する。このエネルギーはスイッチングパワー素子105のゲートオフ期間、ブロックダイオード106を介して平滑コンデンサ103へ転送される。この結果直流電圧は上昇し、電圧が電圧指令にほぼ一致するようにフィードバック系が動作し、ダイオード電流の平均値とインバータ109の入力電流の平均値が一致する。また負荷が減少した場合には、前述した動作と逆の動作が行われ、直流電流指令が減少し、スイッチングパワー素子105のゲートオン期間が短くなり、ダイオード電流の平均値が減少する。このため、電動機の負荷が急激に変化してもチョッパ回路107の出力電圧及び出力電流を一定の状態に維持することができるというものである。
【0004】
【特許文献1】特開平4−121059号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来のチョッパ装置は、電流制御をマイナーループにもつ電圧制御の構成であり、電圧指令がステップ状に変化させた場合は、制御すべき電圧がオーバシュートしてしまうという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、電圧指令がステップ状に変化してもコンデンサ電圧はオーバシュートしないチョッパ装置とその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、直流電源の正極をインダクタの一端へ接続し、前記インダクタの他端をスイッチング素子のコレクタとダイオードのアノードへ接続し、前記ダイオードのカソードをコンデンサの一端へ接続し、前記直流電源の負極を前記スイッチング素子のエミッタと前記コンデンサの他端へ接続したチョッパ装置において、前記コンデンサの電圧を検出し電圧信号を生成する電圧検出器と、前記インダクタの電流を検出し電流信号を生成する電流検出器と、前記電圧指令と前記電圧信号から前記スイッチング素子をオンオフする第1ゲート信号を生成する電圧制御器と、前記電流指令と前記電流信号から前記スイッチング素子をオンオフする第2ゲート信号を生成する電流制御器と、前記第1ゲート信号と第2ゲート信号との論理積の第3ゲート信号を生成する論理回路と、前記第3ゲート信号から前記スイッチング素子の駆動信号を生成するゲートドライブ回路と、を備えることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のチョッパ装置において、前記電圧制御器は、前記電圧信号が前記電圧指令よりも小さい場合は、第1ゲート信号をHレベルとし、前記電圧信号が前記電圧指令を超えた場合は、前記第1ゲート信号を所定時間Lレベルとし、所定時間経過後は再びHレベルとすることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のチョッパ装置において、前記電流制御器は、電流信号が所定の第1電流指令よりも小さい場合は第2ゲート信号をHレベルとし、所定の第2電流指令を超えた場合は、前記第2ゲート信号をLレベルとし、前記電流信号が、前記第1電流指令よりも再び小さくなった場合は前記第2ゲート信号をHレベルとすることを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1記載のチョッパ装置において、前記電流制御器は、電流信号が前記第1電流指令よりも小さい場合は前記第2ゲート信号をHレベルとし、前記電流信号が前記第1電流指令を超えた場合は前記第2ゲート信号を所定時間Lレベルとし、所定時間経過後は再びHレベルとすることを特徴とするものである。
【0007】
請求項5に記載の発明は、直流電源の正極をインダクタの一端へ接続し、前記インダクタの他端をスイッチング素子のコレクタとダイオードのアノードへ接続し、前記ダイオードのカソードをコンデンサの一端へ接続し、前記直流電源の負極を前記スイッチング素子のエミッタと前記コンデンサの他端へ接続したチョッパ装置の制御方法において、前記コンデンサの電圧を検出し電圧信号を生成するステップと、前記インダクタの電流を検出し電流信号を生成するステップと、前記電圧信号が電圧指令よりも小さい場合は、第1ゲート信号をHレベルにするステップと、前記電圧信号が前記電圧指令を超えた場合は第1ゲート信号を所定時間、Lレベルにするステップと、所定時間経過後は再びHレベルにするステップと、前記電流信号が所定の第1電流指令よりも小さい場合は第2ゲート信号をHレベルにするステップと、前記電流信号が所定の第2電流指令を超えた場合は第2ゲート信号をLレベルにするステップと、前記電流信号が再び前記所定の第2電流指令よりも小さくなった場合は前記第2ゲート信号をHレベルにするステップと、前記第1ゲート信号と前記第2ゲート信号の論理積である第3ゲート信号生成するステップと、前記第3信号がHの場合はスイッチング素子の駆動信号をHにし、Lの場合は駆動信号をLにするステップと、前記駆動信号がHレベルであれば前記スイッチング素子をオンにし、前記駆動信号がLレベルの場合は前記スイッチング素子をオフするステップと、を備えることを特徴とするチョッパものである。
請求項6に記載の発明は、直流電源の正極をインダクタの一端へ接続し、前記インダクタの他端をスイッチング素子のコレクタとダイオードのアノードへ接続し、前記ダイオードのカソードをコンデンサの一端へ接続し、前記直流電源の負極を前記スイッチング素子のエミッタと前記コンデンサの他端へ接続したチョッパ装置の制御方法において、前記コンデンサの電圧を検出し電圧信号を生成するステップと、前記インダクタの電流を検出し電流信号を生成するステップと、前記電圧信号が電圧指令よりも小さい場合は、第1ゲート信号をHレベルにするステップと、前記電圧信号が前記電圧指令を超えた場合は第1ゲート信号を第1所定時間Lレベルにするステップと、第1所定時間経過後は前記第1ゲート信号を再びHレベルにするステップと、前記電流信号が所定の第1電流指令よりも小さい場合は第2ゲート信号をHレベルにするステップと、前記電流信号が前記第1電流指令を超えた場合は第2ゲート信号を第2所定時間Lレベルにするステップと、第2所定時間経過後は前記第2ゲート信号を再びHレベルにするステップと、前記第1ゲート信号と前記第2ゲート信号の論理積である第3ゲート信号を生成するステップと、前記第3ゲート信号がHレベルの場合は、前記スイッチング素子の駆動信号をHレベルにし、Lレベルの場合は駆動信号をLレベルにするステップと、前記駆動信号がHレベルの場合は前記スイッチング素子をオンにし、前記駆動信号がLレベルの場合は前記スイッチング素子をオフするステップと、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、電圧指令がステップ状に変化してもコンデンサ電圧はオーバシュートしないチョッパ装置とその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の第1の実施例を示すブロック図である。図1において、1はインダクタ、2はスイッチング素子、3はダイオード、4はコンデンサ、5は電圧検出器、6は電流検出器、7は電圧制御器、8は電流制御器、9はAND回路(論理積)、10はゲートドライブ回路である。
次に動作について説明する。電圧制御器7は電圧信号Vfbと電圧指令Vrefを比較し、電圧信号Vfbが電圧指令Vrefより小さければ第1ゲート信号G1をHレベルにする。また、電圧信号Vfbが電圧指令Vrefを超えると第1ゲート信号を所定時間ToffだけLレベルにし、所定時間Toff経過すると再びHレベルにする。電流制御器8は、スイッチング素子2の定格値によってあらかじめ決定した最大電流指令Imaxrefから所定の微小電流指令ΔIrefを減算し、第1電流指令Iref1を生成する。さらに、最大電流指令Imaxrefと微小電流指令ΔIrefを加算して第2電流指令Iref2を生成する。次に、電流信号Ifbと第1電流指令Iref1を比較し、電流信号Ifbが第1電流指令Iref1よりも小さい場合は、第2ゲート信号G2をHレベルにする。次に、電流信号Ifbと第2電流指令Iref2を比較し、電流信号Ifbが第2電流信号を超えている場合は、第2ゲート信号G2をLレベルにする。次に電流信号Ifbを第1電流指令Iref1と比較し、第1電流指令Iref1よりも小さい場合は第2ゲート信号G2をHレベルにし、第1電流指令Iref1を超えている場合は、ゲート信号G2がHレベルであればHレベルを、LレベルであればLレベルを維持する。次にAND論理回路9は第1ゲート信号G1と第2ゲート信号G2のANDをとり第3ゲート信号G3を生成する。次に、ゲートドライブ回路10は第3ゲート信号G3がHレベルであればスイッチング素子2をオンし、Lレベルであればスイッチング素子2をオフする。
スイッチング素子2がオンされると、直流電源11とインダクタ1がスイッチング素子2によって接続され、インダクタの電流ILは、直流電源電圧をVd、インダクタのインダクタンスをLとすると、ほぼVd/Lの電流傾斜率で上昇する。スイッチング素子2がオフするとインダクタ1の電流ILはダイオーと直流電源11とコンデンサ4の経路でコンデンサ4を充電する。負荷抵抗12はコンデンサ4の電圧Vcを、電圧Vcを抵抗値Rで除した値の電流Vc/Rで放電しつづける。インダクタ電流は(Vd−Vc)/Lの傾斜率で減少する。
【0011】
図4は電圧指令Vrefをスルーアップ・ダウンさせて時間傾斜をもたせたときのシミュレーション結果である。電圧指令の条件は、スルーアップ時間Tac=50ms、スルーダウン時間Ydc=50ms、一定電圧時間Tcn=40ms、であり、一定に達したときのVref=300Vである。また、制御条件は、最大電流指令Imaxref=50A、微小電流指令ΔIref=2.5A、所定のオフ時間Toff=10μsである。回路条件は直流電源電圧Vd=24V、インダクタのインダクタンスL=2mH、コンデンサC=1000μF、負荷抵抗R=20Ωである。インダクタの電流は最大電流指令Imaxrefまでは達していない。また、コンデンサ電圧のオーバシュートもない。
【0012】
図5は電圧指令Vrefをステップ状に加えたとこのシミュレーション結果である。条件は図4と同じであるが、コンデンサ電圧を最大電圧300Vに上昇させるまでの間はインダクタ電流が最大電流指令Imaxrefに制限されている。コンデンサ電圧のオーバシュートはない。
【実施例2】
【0013】
図6は実施例2の構成を示すブロック図である。図1と異なるのは電流制御器8が所定時間オフする機能に代わっているところであるので構成の説明は省略する。
次に動作について説明する。電圧制御器7は電圧信号Vfbと電圧指令Vrefを比較し、電圧信号Vfbが電圧指令Vrefより小さければ第1ゲート信号G1をHレベルにする。また、電圧信号Vfbが電圧指令Vrefを超えると第1ゲート信号を第1所定時間Toff1だけLレベルにし、所定時間Toff1を経過すると再びゲート信号G1をHレベルにする。電流制御器8は、スイッチング素子2の定格値によってあらかじめ決定した最大電流指令Imaxrefと電流信号Ifbを比較し、電流信号Ifbが最大電流指令Imaxrefよりも小さい場合は、第2ゲート信号G2をHレベルにする。次に、電流信号Ifbが最大電流指令Imaxrefを超えている場合は、第2ゲート信号G2を第2所定時間Toff2だけLレベルにし、第2所定時間Toff2を経過すると再びゲート信号G2をHレベルにする。次にAND論理回路9は第1ゲート信号G1と第2ゲート信号G2のANDをとり第3ゲート信号G3を生成する。次に、ゲートドライブ回路10は第3ゲート信号G3がHレベルであればスイッチング素子2をオンし、Lレベルであればスイッチング素子2をオフする。
スイッチング素子2がオンされると、直流電源11とインダクタ1がスイッチング素子2によって接続され、インダクタの電流ILは、直流電源電圧をVd、インダクタのインダクタンスをLとすると、ほぼVd/Lの電流傾斜率で上昇する。スイッチング素子2がオフするとインダクタ1の電流ILはダイオーと直流電源11とコンデンサ4の経路でコンデンサ4を充電する。負荷抵抗12はコンデンサ4の電圧Vcを、電圧Vcを抵抗値Rで除した値の電流Vc/Rで放電しつづける。インダクタ電流は(Vd−Vc)/Lの傾斜率で減少する。
【0014】
図7は電圧指令Vrefをステップ状に変化させたときのシミュレーション結果である。電圧指令の条件は、Vref=300Vである。また、制御条件は、最大電流指令Imaxref=50A、第1の所定時間Toff1=10μs、第2の所定時間Toff2=50μsである。回路条件は直流電源電圧Vd=24V、インダクタのインダクタンスL=2mH、コンデンサC=1000μF、負荷抵抗R=20Ωである。電流制限50Aにかかってコンデンサを充電し、充電さらたコンデンサ電圧Vcはオーバシュートしていない。
【0015】
図3は、本発明のチョッパ装置の制御方法を示すフローチャートである。ステップSA1でコンデンサ電圧Vcを検出して電圧信号Vfbを生成し、ステップSA2で電圧信号Vfbと電圧指令Vrefとを比較する。電圧信号Vfbが電圧指令Vrefよりも小さいときはステップSA3に移行し、電圧信号Vfbが電圧指令Vrefを超えたときはステップSA4に移行する。ステップSA4ではタイムカウンタをクリアする。ステップ4ではタイムカウンタのカウント値と所定時間Toffを比較する。タイムカウント値が所定時間Toffよりも大きい場合はステップSA5へ移行し、タイムカウント値が所定時間Toffよりも小さい場合はステップSA6へ移行する。ステップSA5では第1ゲート信号G1をHレベルにし、ステップSA6では第1ゲート信号G1をLレベルにする。次に、ステップSA7では、インダクタ1の電流ILを検出し、電流信号Ifbを生成する。ステップSA8で、電流信号Ifbと第1電流指令とIref1を比較する。電流信号Ifbが第1電流指令よりも小さい場合はステップSA2に移行し、電流信号Ifbが第1電流指令Iref1を超えた場合はステップSA10に移行する。ステップSA10では、電流信号Ifbを第2電流指令Iref2と比較し、電流信号Ifbが第2電流指令Iref2よりも大きい場合はステップSA11に移行し、電流信号Ifbが第2電流指令Iref2よりも小さい場合はステップSA12に移行する。ステップSA11では、現在の第2ゲート信号G2がHレベルかLレベルか判断し、HレベルであればステップSA9へ移行し、LレベルであればステップSA12へ移行する。ステップSA9では第2ゲート信号をHレベルにし、ステップSA12では、第2ゲート信号G2をLレベルにする。次にステップSA13では、第ゲ1ゲート信号G1とG2のANDをとり第3ゲート信号G3を生成する。さらに、ステップSA14で第3ゲート信号がHレベルであればスイッチング素子をオンし、ステップSA15では第3ゲート信号がLレベルであればスイッチング素子をオフする。次にステップSA16でタイムカウンタを制御時間Tspl分カウントアップする。
【0016】
図8は電圧制御同様、電流制御にも最大電流を超えたときはスイッチング素子を所定時間オフさせる制御方法のフローチャートを示す。図8において、ステップSB1ではコンデンサ電圧Vcを検出して電圧信号Vfbを生成する。ステップSB2で電圧信号Vfbと電圧指令Vrefを比較し、電圧信号Vfbが電圧指令Vrefよりも小さければステップSB3へ移行し、電圧信号Vfbが電圧指令Vrefを超えていればステップSB4へ移行する。ステップSB4では、タイムカウンタ1をクリアする。ステップSB3ではタイムカウンタ1のカウント値を第1の所定時間Toff1を比較し、タイムカウント値が第1の所定時間Toff1よりも大きければステップSB5へ移行し、タイムカウント値が第1の所定時間Toff1よりも小さければステップSB6へ移行する。ステップSB5では第1ゲート信号C1をHレベルとし、ステップSB6では第1ゲート信号G1をLレベルとする。次にステップSB7ではインダクタ1の電流ILを検出してIfbを生成し、ステップSB8で電流信号Ifbと最大電流指令Imaxrefを比較する。電流信号Ifbが最大電流指令Imaxrefよりも小さければステップSB9へ移行し、電流信号Ifbが最大電流指令Imaxrefよりも大きければステップSB10へ移行する。ステップSB10ではタイムカウンタ2をクリアする。次にステップSB9では、タイムカウンタ2のカウント値と第2所定時間Toffを比較する。カウント値が第2所定時間よりも大きければステップSB11へ移行し、カウント値が第2所定時間Toff2よりも小さければステップSB12へ移行する。ステップSB11では第2ゲート信号G2をHレベルにし、ステップSB12で第2ゲート信号G2をLレベルにする。ステップSB13では、第1ゲート信号G1と第2ゲート信号G2のANDをとって第3ゲート信号G3を生成する。ステップSB14ではスイッチング素子2をオンさせ、ステップSB15ではスイッチング素子2をオフさせる。ステップSB16でタイムカウンタのカウント値を制御時間Tsplだけ増加させる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明によると、電圧指令がステップ状に変化してもコンデンサ電圧はオーバシュートしないチョッパ装置とその制御方法を提供できるので、負荷にインバータを使用する用途である一般産業機械への適用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施例を示すチョッパ装置のブロック図
【図2】従来のチョッパ装置のブロック図
【図3】本発明の第1実施例のチョッパ装置の制御方法を示すフローチャート
【図4】第1実施例のランプ応答に対するシミュレーション結果を示すタイムチャート
【図5】第1実施例のステップ応答に対するシミュレーション結果を示すタイムチャート
【図6】本発明の第2実施例を示すチョッパ装置のブロック図
【図7】第2実施例のステップ応答に対するシミュレーション結果を示すタイムチャート
【図8】第2実施例のチョッパ装置の制御方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【0019】
1 インダクタ
2 スイッチング素子
3 ダイオード
4 コンデンサ
5 電圧検出器
6 電流検出器
7 電圧制御器
8 電流制御器
9 AND回路
10 ゲートドライブ回路
11 直流電源
12 負荷抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の正極をインダクタの一端へ接続し、前記インダクタの他端をスイッチング素子のコレクタとダイオードのアノードへ接続し、前記ダイオードのカソードをコンデンサの一端へ接続し、前記直流電源の負極を前記スイッチング素子のエミッタと前記コンデンサの他端へ接続したチョッパ装置において、
前記コンデンサの電圧を検出し電圧信号を生成する電圧検出器と、
前記インダクタの電流を検出し電流信号を生成する電流検出器と、
前記電圧指令と前記電圧信号から前記スイッチング素子をオンオフする第1ゲート信号を生成する電圧制御器と、
前記電流指令と前記電流信号から前記スイッチング素子をオンオフする第2ゲート信号を生成する電流制御器と、
前記第1ゲート信号と第2ゲート信号との論理積の第3ゲート信号を生成する論理回路と、
前記第3ゲート信号から前記スイッチング素子の駆動信号を生成するゲートドライブ回路と、
を備えることを特徴としたチョッパ装置。
【請求項2】
前記電圧制御器は、前記電圧信号が前記電圧指令よりも小さい場合は、第1ゲート信号をHレベルとし、前記電圧信号が前記電圧指令を超えた場合は、前記第1ゲート信号を所定時間Lレベルとし、所定時間経過後は再びHレベルとすることを特徴とする請求項1記載のチョッパ装置。
【請求項3】
前記電流制御器は、電流信号が所定の第1電流指令よりも小さい場合は第2ゲート信号をHレベルとし、所定の第2電流指令を超えた場合は、前記第2ゲート信号をLレベルとし、前記電流信号が、前記第1電流指令よりも再び小さくなった場合は前記第2ゲート信号をHレベルとすることを特徴とする請求項1記載のチョッパ装置。
【請求項4】
前記電流制御器は、電流信号が前記第1電流指令よりも小さい場合は前記第2ゲート信号をHレベルとし、前記電流信号が前記第1電流指令を超えた場合は前記第2ゲート信号を所定時間Lレベルとし、所定時間経過後は再びHレベルとすることを特徴とする請求項1記載のチョッパ装置。
【請求項5】
直流電源の正極をインダクタの一端へ接続し、前記インダクタの他端をスイッチング素子のコレクタとダイオードのアノードへ接続し、前記ダイオードのカソードをコンデンサの一端へ接続し、前記直流電源の負極を前記スイッチング素子のエミッタと前記コンデンサの他端へ接続したチョッパ装置の制御方法において、
前記コンデンサの電圧を検出し電圧信号を生成するステップと、
前記インダクタの電流を検出し電流信号を生成するステップと、
前記電圧信号が電圧指令よりも小さい場合は、第1ゲート信号をHレベルにするステップと、
前記電圧信号が前記電圧指令を超えた場合は第1ゲート信号を所定時間、Lレベルにするステップと、
所定時間経過後は再びHレベルにするステップと、
前記電流信号が所定の第1電流指令よりも小さい場合は第2ゲート信号をHレベルにするステップと、
前記電流信号が所定の第2電流指令を超えた場合は第2ゲート信号をLレベルにするステップと、
前記電流信号が再び前記所定の第2電流指令よりも小さくなった場合は前記第2ゲート信号をHレベルにするステップと、
前記第1ゲート信号と前記第2ゲート信号の論理積である第3ゲート信号生成するステップと、
前記第3信号がHの場合はスイッチング素子の駆動信号をHにし、Lの場合は駆動信号をLにするステップと、
前記駆動信号がHレベルであれば前記スイッチング素子をオンにし、前記駆動信号がLレベルの場合は前記スイッチング素子をオフするステップと、
を備えることを特徴とするチョッパ装置の制御方法。
【請求項6】
直流電源の正極をインダクタの一端へ接続し、前記インダクタの他端をスイッチング素子のコレクタとダイオードのアノードへ接続し、前記ダイオードのカソードをコンデンサの一端へ接続し、前記直流電源の負極を前記スイッチング素子のエミッタと前記コンデンサの他端へ接続したチョッパ装置の制御方法において、
前記コンデンサの電圧を検出し電圧信号を生成するステップと、
前記インダクタの電流を検出し電流信号を生成するステップと、
前記電圧信号が電圧指令よりも小さい場合は、第1ゲート信号をHレベルにするステップと、
前記電圧信号が前記電圧指令を超えた場合は第1ゲート信号を第1所定時間Lレベルにするステップと、
第1所定時間経過後は前記第1ゲート信号を再びHレベルにするステップと、
前記電流信号が所定の第1電流指令よりも小さい場合は第2ゲート信号をHレベルにするステップと、
前記電流信号が前記第1電流指令を超えた場合は第2ゲート信号を第2所定時間Lレベルにするステップと、
第2所定時間経過後は前記第2ゲート信号を再びHレベルにするステップと、
前記第1ゲート信号と前記第2ゲート信号の論理積である第3ゲート信号を生成するステップと、
前記第3ゲート信号がHレベルの場合は、前記スイッチング素子の駆動信号をHレベルにし、Lレベルの場合は駆動信号をLレベルにするステップと、
前記駆動信号がHレベルの場合は前記スイッチング素子をオンにし、前記駆動信号がLレベルの場合は前記スイッチング素子をオフするステップと、
を備えることを特徴とするチョッパ装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−262670(P2006−262670A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79427(P2005−79427)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】