説明

チョークコイル

【課題】 部品実装において位置出しが正確に行えて、はんだ接続を大電流に対応させて安定に得ることができ、自動化実装に好ましく適用できるチョークコイルを提供すること
【解決手段】 棒状のフェライトコア1の外周に線材2を所定に巻き回してコイル3とし、線材2は線径を太くする等により電流容量を増して大電流の用途に対応させる。支持体5の上面に、2つの電極片4を離反した並列状態で支持させる。フェライトコアは2つの電極片に対してその端面を固着させて縦向き配置とする。電極片は、帯板状の金属板材をクランク状に多段に曲げ加工して支持体の対向する側辺の外側にそれぞれ平面部位を有し、一方の平面部位の先端は上方に折り曲げて立ち上げ縁部44となると共にその立ち上げ縁部に孔部43を備える。平面部位は、プリント基板のパターン部へ接面させる端子部42とし、孔部にコイルのリード端31を嵌め合わせて電気的に接続させる。
【選択図】 図5

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルの線材を太径とする等により電流容量を増して大電流の用途に対応させるチョークコイルに関するもので、より具体的には、コイルのリード端について部品実装に係る取り付け性および電気的な接続性の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
チョークコイルの一つの形態として、棒状のフェライトコアの外周に線材を所定に巻き回してコイルとするものある。よく知られているように、チョークコイルは、高周波成分を含む電流を平滑化するための平滑回路等へ利用される。
また、DC−DCコンバータ等では小型化はもちろんであるが高出力化が進められているため、係る用途に適用するには、大電流に対応させる必要性が生じている。そこで例えば特許文献1などに見られるように、コイルの線材は平角線を多数重ねて使用する等の提案がある。しかし何れにしても、電流容量を大きく得るには、線材は、ある程度の断面積が必要であり、コイルの線材を太径とする等により電流容量を増して大電流の用途に対応させることに変わりない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−88340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のチョークコイルでは以下に示す問題がある。電気接続のための端子部は、上述した特許文献1のように、コイルのリード端を単に突き出した先端部としたり、あるいはコイルのリード端を単に折り曲げ成形した先端部としたりする構成を採るため、部品における位置が定位置とは言えず、ばらつきが大きい。このため、プリント基板へ実装する際に、パターン部に対して位置ずれ・がたつき(離反)を起こす問題があり、接続部位としての位置精度が出しにくく、はんだ付けが安定しない問題を引き起こす。また、上記の従来のチョークコイルは、自動化実装における吸着装置では、吸着保持することができずハンドリング性が悪い。
【0005】
この発明は上述した課題を解決するもので、その目的は、電気接続のための端子部を所定に構成でき、部品実装において位置出しが正確に行えて、はんだ接続を大電流に対応させて安定に得ることができ、自動化実装に好ましく適用できるチョークコイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明に係るチョークコイルは、(1)絶縁材料からなる支持体の上面に、2つの電極片を離反した並列状態で支持させ、前記フェライトコアは前記2つの電極片に対してその端面を固着させて縦向き配置とし、前記電極片は、帯板状の金属板材をクランク状に多段に曲げ加工して前記支持体の対向する側辺の外側にそれぞれ平面部位を有し、一方の平面部位の先端は上方に折り曲げて立ち上げ縁部となると共にその立ち上げ縁部に孔部を備え、前記平面部位は、プリント基板のパターン部へ接面させる端子部とし、その孔部に前記コイルのリード端を嵌め合わせて電気的に接続させるようにした。大電流の用途に対応させるには、例えば太径とする等により電流容量を増すことで実現できる。
【0007】
(2)前記2つの電極片に設けた前記孔部を形成した前記立ち上げ縁部は、前記支持体の同一辺側に形成する構成にするとよい
【0008】
(3)前記電極片の他方の平面部位の先端も上方に折り曲げて立ち上げ縁部とする構成にするとよい。
【0009】
(4)前記孔部は上下方向に延びる長孔とする構成にするとよい。
【0010】
(5)前記平面部位と前記支持体の下面が同一平面上に位置する構成にするとよい。
【0011】
係る構成にすることにより本発明では、コイルのリード端は電極片に接続し、電極片には平面部位からなる端子部を設けるので、電極片つまり電気接続のための端子部が所定に構成できる。この電極片は、端子部となる平面部位を適宜サイズに設定でき、板厚も適宜に設定できる。したがって、電極編の部分の抵抗を適宜に設定することができ、所望する電流容量を得ることができ、電流容量を大きく得て大電流に対応できる。
【0012】
端子部は、1つの電極片について複数設けるので、電気抵抗を小さくできることはもちろん、はんだ接続について信頼性を向上できる。また、端子部には当該平坦部位を囲む縁部について立ち上げ縁部を複数設けるので、はんだ付けの際は立ち上げ縁部にそれぞれフィレットが成膜し、はんだフィレットも複数になるので、電気的な接続が確実になる。
【0013】
支持体は、2つ並ぶ電極片が組み付くことになる部材なので、それら両者間に渡る平面部位を有し、この支持体が上部に位置する配置を採ることで当該部品の上部に比較的に広い平面を設定できる。したがって、これは自動化実装に際して吸着面とすることができ、高い精度で位置出しが行えることになる。
【0014】
また、支持体をフェライト等の磁性材料から形成することでは、支持体の配置がフェライトコアの長手に沿う構成において漏れ磁束を低減させることができる。もちろん、支持体とする磁性材料には電気抵抗が絶縁体並に十分に高いものを使用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、コイルのリード端は電極片に接続し、電極片には平面部位からなる端子部を設けるので、電極片つまり電気接続のための端子部が所望に構成できる。端子部は当該部品において位置が定まり、部品実装において位置出しが正確に行える。
この電極片は、端子部となる平面部位を適宜サイズに設定でき、板厚も適宜に設定できることから、所望する電流容量を得ることができ、電流容量を大きく得て大電流に対応できる。そして、端子部は1つの電極片について複数設けるので、電気抵抗を小さくできることはもちろん、はんだ接続について信頼性を向上できる(全ての端子が部接続不良となる可能性はきわめて低く、少なくとも1つは確実に接続することができる)。その結果、はんだ接続を大電流に対応させて安定に得ることができ、自動化実装に好ましく適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明に係るチョークコイルの第1の参考例を示す斜視図であり、(b)は接面側から見た斜視図である。
【図2】(a)は図1に示すチョークコイルの正面図であり、(b)はその側面図である。
【図3】(a)は本発明に係るチョークコイルの第2の参考例を示す斜視図であり、(b)はそれを接面側から見た斜視図である。
【図4】(a)は図3に示すチョークコイルの正面図であり、(b)はその側面である。
【図5】(a)は本発明に係るチョークコイルの好適な実施形態を示す斜視図であり、(b)はそれを接面側から見た斜視図である。
【図6】(a)は図5に示すチョークコイルの正面図であり、(b)はその側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1,図2は、本発明の第1の参考例を示している。本形態においてチョークコイルは、棒状のフェライトコア1を有し、当該フェライトコア1の外周に線材2を所定に巻き回してコイル3とする。そして、線材2は、線径を太くする等により電流容量を増して大電流(数[A]〜10数[A]:100[A]以下)の用途に対応させる構成になっている。
【0018】
コイル3は、図2(b)に示すように、リード端31の引き出しをフェライトコア1の長手に沿う両端とし、フェライトコア1の両端に電極片4,4をそれぞれ位置させる。そして、それら電極片4,4は、フェライトコア1の長手に沿う配置の支持体5に組み付けて支持している。
【0019】
電極片4は、金属板材を所定に曲げ加工して形成する。図2(a)に示すように、電極片4は、所定の部位に切り欠き部41を設けると共に、平面部位からなる端子部42を少なくとも2つ形成している。切り欠き部41には、コイル3のリード端31を嵌め合わせ、はんだ等により電気的に接続させる。本形態では、電極片4は長方形の板材から形成し、対向する2辺を同一側へ折り曲げてあり、一方の折り曲げ縁が支持体5に埋め込む状態に組み付き、他方の折り曲げ縁は中央が切り欠いてあって左右が2つの平面部位(端子部42)になっている。また、電極片4をなす金属板材は、板厚を所定に大きく設定してあり、電流容量を増して大電流の用途に対応させている。
【0020】
支持体5は樹脂材料等の絶縁材料から形成している。また、支持体5はフェライト等の磁性材料から形成する構成にしてもよく、その場合、2つの電極片4,4について絶縁を良好に得るため磁性材料には電気抵抗が絶縁体並に十分に高い素材を使用することになる。支持体5を磁性材料から形成することでは、コイル3に沿う配置であるため漏れ磁束を低減でき、その結果、インダクタンスを大きく得ることができる。
【0021】
したがって本形態では、支持体5がフェライトコア1の長手に沿う配置をとり、フェライトコア1を間に向こう側に端子部42が位置し、プリント基板に対してフェライトコア1の長手が沿う横向きの取り付け姿勢となる。
【0022】
このように、コイル3のリード端31は電極片4に接続し、電極片4には平面部位からなる端子部42を設けるので、電極片4つまり電気接続のための端子部42が所定に構成できる。したがって、端子部42は当該部品において位置が定まり、このため部品実装において位置出しが正確に行える。
【0023】
そして、この電極片4は、端子部42となる平面部位を適宜サイズに設定でき、板厚も適宜に設定できる。したがって、所望する電流容量を得ることができ、電流容量を大きく得て大電流に対応できる。端子部42は1つの電極片4つについて複数設けるので、電気抵抗を小さくできることはもちろん、はんだ接続について信頼性を向上できる。
【0024】
この場合、支持体5は当該部品の天板になっており平面であることから自動実装の際に吸着面とすることができる。このため、高い精度で位置出しが行えてプリント基板の所定位置へ正確に搭載でき、自動化実装を高い信頼性で高品位に行うことができる。したがって本発明によれば、はんだ接続を大電流に対応させて安定に得ることができ、自動化実装に好ましく適用できる。
【0025】
図3,図4は、本発明の第2の参考例を示している。本形態においてチョークコイルは、基本的には第1の参考例と同様であり、棒状のフェライトコア1の外周に線材2を所定に巻き回してコイル3とし、線材2は線径を太くする等により電流容量を増して大電流の用途に対応させる構成になっている。第1の参考例と同様な構成には同一符号を付してあり、その説明を省略する。
【0026】
本形態では、電極片4は帯板材から形成している。つまり、電極片4は帯板材の両端をそれぞれ略L字形状に曲げ加工して一辺を解放側とした枠形状に形成し、当該電極片4を2つ解放側を下に並列させて支持体5が両者間に渡り支持する配置とし、電極片4による2つ並びの枠体内にフェライトコア1を位置させている。そして、電極片4の解放側の端部が平面部位になっており、それらが2つの端子部42,42になる。フェライトコア1は、2つの電極片4,4の並びに長手が沿う横向きの配置とし、電極片4の一カ所に設けた孔部43へリード端31を嵌め合わせ、はんだ等により電気的に接続させる。
【0027】
フェライトコア1の姿勢は、本形態のようにプリント基板に対して長手が沿う横向きの取り付け姿勢とする構成が部品高さを低くできるメリットから好ましい。逆に、フェライトコア1の端面を支持体5側へ固着させて縦向きの取り付け姿勢とする構成にすることもできる。そのように、プリント基板に対して縦向きの取り付け姿勢では部品の領有面積を小さくできるメリットがある。
【0028】
この場合も、コイル3のリード端31は電極片4に接続し、電極片4には平面部位からなる端子部42を設けるので、電極片4つまり電気接続のための端子部42が所定に構成できる。端子部42は、当該部品において位置が定まり、部品実装において位置出しが正確に行える。そして、端子部42は、1つの電極片4つについて複数設けるので、電気抵抗を小さくできることはもちろん、はんだ接続について信頼性を向上できる。したがって本形態にあっても、はんだ接続を大電流に対応させて安定に得ることができ、自動化実装に好ましく適用できる。
【0029】
図5,図6は、本発明の好適な実施形態を示している。本形態においてチョークコイルは、基本的には第1,第2の参考例と同様であり、棒状のフェライトコア1の外周に線材2を所定に巻き回してコイル3としている。そして、線材2は線径を太くする等により電流容量を増して大電流の用途に対応させる構成になっている。第1,第2の参考例と同様な構成には同一符号を付してあり、その説明を省略する。
【0030】
本形態にあっては、電極片4は帯板材から形成しているが、図6(b)に示すように、帯板材をクランク状に多段に曲げ加工して離れた2ヶ所に平面部位ができるようにしており、それらが2つの端子部42,42になる。そして、電極片4を2つ並列させて支持体5が両者間に渡り支持する配置とし、電極片4による2つ並びの部材上にフェライトコア1を位置させている。フェライトコア1は電極片4,4の並びに対して端面を固着させて縦向き配置とし、電極片4の一カ所に設けた孔部43へリード端31を嵌め合わせ、はんだ等により電気的に接続させる。
【0031】
上述したように、電極片4は帯板材をクランク状に多段に曲げ加工し、離れた2ヶ所の平面部位が端子部42,42になっている。ここで、端子部42はクランク状の多段の曲げ加工により両縁が立ち上がる形態としており、立ち上げ縁部44を複数有する設定にしている。このチョークコイルの実装では、端子部42をプリント基板のパターン部へ載せてはんだ付けを行うので、立ち上げ縁部44には、はんだフィレットが成膜する。この場合、端子部42には当該平坦部位を囲む縁部について、立ち上げ縁部44を2つ有することからはんだフィレットも2つ成膜し、その結果、電気的な接続を確実に行うことができ、信頼性を高くできる。
【0032】
この場合も、コイル3のリード端31は電極片4に接続し、電極片4には平面部位からなる端子部42を設けるので、電極片4つまり電気接続のための端子部42が所定に構成でき、端子部42は当該部品において位置が定まり、部品実装において位置出しが正確に行える。そして、端子部42は1つの電極片4つについて複数設けるので、電気抵抗を小さくできることはもちろん、はんだ接続について信頼性を向上できる。
【0033】
また、フェライトコア1はプリント基板に対して長手が直立する縦向きの取り付け姿勢になるので、部品の領有面積を小さくできるメリットがある。そして、フェライトコア1は直立する縦向き姿勢の上端が平面であることから、自動実装の際に吸着面とすることができる。したがって、高い精度で位置出しが行えてプリント基板の所定位置へ正確に搭載でき、自動化実装を高い信頼性で高品位に行うことができる。
【0034】
したがって本形態にあっても、はんだ接続を大電流に対応させて安定に得ることができ、自動化実装に好ましく適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 フェライトコア
2 線材
3 コイル
31 リード端
4 電極片
41 切り欠き部
42 端子部
43 孔部
44 立ち上げ縁部
5 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のフェライトコアを有し、当該フェライトコアの外周に線材を巻き回してコイルとし、前記線材は大電流の用途に対応させるチョークコイルであって、
絶縁材料からなる支持体の上面に、2つの電極片を離反した並列状態で支持させ、
前記フェライトコアは前記2つの電極片に対してその端面を固着させて縦向き配置とし、
前記電極片は、帯板状の金属板材をクランク状に多段に曲げ加工して前記支持体の対向する側辺の外側にそれぞれ平面部位を有し、一方の平面部位の先端は上方に折り曲げて立ち上げ縁部となると共にその立ち上げ縁部に孔部を備え、
前記平面部位は、プリント基板のパターン部へ接面させる端子部とし、
その孔部に前記コイルのリード端を嵌め合わせて電気的に接続させることを特徴とするチョークコイル。
【請求項2】
前記2つの電極片に設けた前記孔部を形成した前記立ち上げ縁部は、前記支持体の同一辺側に形成することを特徴とする請求項1に記載のチョークコイル。
【請求項3】
前記電極片の他方の平面部位の先端も上方に折り曲げて立ち上げ縁部とすることを特徴とする請求項1または2に記載のチョークコイル。
【請求項4】
前記孔部は上下方向に延びる長孔とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のチョークコイル。
【請求項5】
前記平面部位と前記支持体の下面が同一平面上に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のチョークコイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−138640(P2012−138640A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97649(P2012−97649)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2008−49770(P2008−49770)の分割
【原出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000237721)FDK株式会社 (449)
【Fターム(参考)】