説明

チーズ、及びその製造方法

【課題】加熱時の調理適性(熱溶融性、焦げ色、風味、食感)が優れるナチュラルチーズを得ること。
【解決手段】ナチュラルチーズ中のカルシウム含量を500mg/100g以下、固形分中脂肪率(F/TS)を35%以下として良好な加熱調理適性を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低脂肪ナチュラルチーズ及びその製造方法、低脂肪ナチュラルチーズを原料とすることを特徴とする低脂肪プロセスチーズ及び低脂肪チーズフードに関連する。また、これらのチーズの使用用途は加熱調理適性(熱溶融性、焦げ色、食感)及び風味に関連する。
【0002】
本発明によって得られた低脂肪ナチュラルチーズは、従来の低脂肪ナチュラルチーズと比較して、ナチュラルチーズの好ましい食感と良好な風味を有している。また、オーブン等の加熱調理時において、熱溶融性に優れており、焼成時の色沢が良好であり、香ばしい焼成風味を有する。また、加熱調理後、冷めた際にも硬くなり難く適度な食感を有している。更に、本発明によって得られた低脂肪ナチュラルチーズを原料とする低脂肪プロセスチーズ及び低脂肪チーズフードは、従来の低脂肪プロセスチーズ及び低脂肪チーズフードと比較して、良好な食感と風味を有している。なお、「%」は特に表記しない限りは質量基準とする。
【背景技術】
【0003】
近年、ナチュラルチーズの市場が拡大し、その認知度も年々高まってきている。ナチュラルチーズは、原料乳、製造条件、製造方法により品質が多種多様に変化し、市場において品種は数千種類以上あると言われている。ナチュラルチーズの分類法としては、製造方法、特徴により大きく分類した7つの分類((1)フレッシュ、(2)白カビ、(3)青カビ、(4)ウォッシュ、(5)シェーブル、(6)セミハード、(7)ハードチーズ)が代表的である。
【0004】
この中で比較的長期間の熟成が必要なナチュラルチーズとしては、セミハード系及びハード系チーズがあげられるが、特に限定されるわけではない。セミハード系及びハード系チーズタイプのナチュラルチーズは比較的長期間の熟成を実施するため、一般的にナチュラルチーズ中の水分値を45%以下、及び固形分中脂肪率(F/TS)を35%より高く50%未満に設定している。水分値を低くする理由は、以下に示す事柄があげられる。(A)ナチュラルチーズ中の水分値の増加に伴いナチュラルチーズ中に残存する酵素作用が促進され、ナチュラルチーズの熟成が速まり熟成中の品質(風味、物性)が安定しない。また、(B)ナチュラルチーズ製造直後に特有の物性(糸曳き性、ガム性等)の消失が速まるため、この物性を必要とする場合には使用期間(使用期限)が短縮される。更に、(C)ナチュラルチーズの水分活性が高まるため、熟成中における所望としない微生物の増殖という面でのリスクも増大する。以上の理由から、ナチュラルチーズを比較的長期間熟成させるためには、ナチュラルチーズ中の水分値を低くすることが必要であり、実際に多くのナチュラルチーズは水分値を低く設定している。
【0005】
一方、ナチュラルチーズ中の固形分中脂肪率(F/TS)を35%より高く50%未満に設定する理由としては、以下に示す事柄があげられる。(I)ナチュラルチーズ中の固形分中脂肪率(F/TS)を制御するためには原料乳の脂肪率を調整する必要があり、セパレーターによる脱脂やクリームの添加等による原料乳の脂肪調整が行われる。原料乳を低脂肪化した場合は原料乳中の乳糖含量が低くなり、通常の脂肪調整乳よりも乳酸菌による酸生成が抑制され、pHが高くアルカリ臭の強いナチュラルチーズとなる傾向があり、熟成中に所望としない微生物の増殖という面でのリスク増大や風味劣化が懸念される。一方、原料乳を高脂肪化した場合は原料乳中の乳糖含量が高くなり、通常の脂肪調整乳よりも乳酸菌による酸生成が促進され、pHが低く酸味の高いナチュラルチーズ(サワー風味が強い)となる傾向がある。(II)ナチュラルチーズのpHが高くなると弾力のあるゴム様食感となり、一方pHが低くなるとナチュラルチーズ(カード)は脆い組織となる。また、固形分中脂肪率(F/TS)が低いと硬い組織となり、一方、高いと軟らかい組織となり、いずれにおいてもナチュラルチーズの成型性が低下する。更に、(III)低脂肪ではナチュラルチーズの熟成中における乳脂肪由来の風味形成及び軟化に極めて長い期間を要する傾向がある。一方、高脂肪ではナチュラルチーズの熟成中に変形、及び離水が生じ易く、苦味の強い風味となる傾向がある。以上のような理由から、ナチュラルチーズを比較的長期間熟成させるためにはナチュラルチーズの固形分中脂肪率(F/TS)を調整する必要があり、実際に固形分中脂肪率(F/TS)が35%以下、または50%以上の長期熟成タイプのナチュラルチーズは見当たらない。
【0006】
一般的にナチュラルチーズの熱溶融性は熟成初期段階が最も悪く、乳酸菌及び酵素の作用による熟成過程で次第に良くなる。このため、ナチュラルチーズの熟成初期には熱溶融性は低く、風味は淡白であり、ガム質が強過ぎるため冷めた際の食感が悪い(硬い)。一方、長期間熟成させたナチュラルチーズは乳酸菌及び酵素の働きにより風味(コク)が強くなり、熱溶融性が良好であるものの、適度なガム質食感はほとんど消失してしまう。更に、ナチュラルチーズの固形分中脂肪率(F/TS)が低くなるとナチュラルチーズ中のカゼイン(タンパク質)比率が増加するため、ナチュラルチーズの熟成後期においても硬く、弾力のあるガム質食感となる。一方、脂肪率が高まるとナチュラルチーズ中のカゼイン(タンパク質)比率が減少するため、ナチュラルチーズの熟成初期からガム質食感は低下する。
【0007】
特開平9−262053号公報には高水分で軟らかく、かつ離水が生じない低脂肪ナチュラルチーズの製造方法が報告されている。具体的には、脂肪率を0〜2.0%に調整した原料乳に一価の陽イオンの塩類を0.1〜3.0重量%添加し低脂肪ナチュラルチーズを製造する方法である。この方法では、添加する塩類の風味への影響が大きいため、本発明品で求める品質とはならない。また、塩類がレンネット凝固を阻害するため、粒子の小さいファインカードが発生し歩留まりが低下する。また、軟らかいカードとなるためホエー排除が困難となる。更に、ホエーへ塩類やファインカードが移行するため、ホエー処理が煩雑となる。
【0008】
R.SCOTT 著:CHEESE MAKINGS PRACTICE(APPLIED SCIENCE PUBLISHERS LTD. LONDON, 1981)には、乳に食塩を直接添加してチーズを製造する方法として、エジプト地方に伝えられているドミアティ(Domiati)チーズが記載されている。このドミアティチーズの製法は、二つの方法がある。その一つの方法は、微生物の菌数を抑えるため、乳に5〜15%の食塩を加える(平均10%の食塩)。もう一つの方法は、生乳の2/3に食塩を加え、残りの1/3の乳を76.7℃で加熱処理し、両者を合わせ、レンネットを添加する方法もある。このレンネット添加温度は35〜46℃で、乳100L当たりレンネット抽出液を20〜30ml添加し2〜3時間でセッティングする。ホエーを排除して造られたこのチーズは、独特のフレーバーを有し、ややソルティーな味を呈するものである。原料の乳に食塩を直接添加してチーズを製造するものであるが、この食塩の添加は、微生物の菌数を抑えるための目的で乳に高濃度の塩を添加するものであり、本発明品で目的とする原料乳のカルシウム含量低減とは異なり、また独特のフレーバーを有し、ややソルティーな味を呈することから、本発明品で求める品質のチーズとはならない。
【0009】
特開平1−196256号公報と特開平8−289728号公報には低脂肪チーズの製造方法が示されている。特開平1−196256号公報には、ナチュラルチーズより脂肪分を除去することにより、風味の良い低脂肪チーズを提供できることが示されている。詳しくは、チーズを裁断し、アルカリ金属塩化物の10〜36重量%水溶液で処理した後、加熱溶解し、次いで脂肪分を分離除去することからなる低脂肪チーズの製造方法について報告がなされている。これは、通常のナチュラルチーズを加熱溶融し、脂肪分を除去したものを原料にしてチーズを製造している。従って、この方法では、加熱溶解の工程でナチュラルチーズ特有の風味が消失してしまいフラットな風味となる。また、低脂肪チーズの課題である物性の改良は充分になされず、通常の低脂肪チーズと同様に硬すぎてゴム様な食感を有するものであり、本発明品で求める品質とはならない。特開平8−289728号公報には、脱脂乳にチーズから抽出した脂肪を0.5〜2.0重量%配合して乳化後、カードメーキングして熟成させることで、従来の低脂肪チーズに比べ水分が高く、柔らかい組織と良好な風味を有する低脂肪チーズの製造方法について報告がなされている。この方法では、少なくとも(A)チーズからチーズオイルを抽出する工程、(B)脱脂乳とチーズオイルを乳化させる工程が新たに必要となり工程がやや煩雑となる。また、新たな工程に伴い設備投資が必要となる。更に、チーズオイルを抽出するためのナチュラルチーズが必要となり製造コストへの影響が非常に大きい。
【0010】
特許第3157642号公報には低脂肪チーズ類及びその製造方法が報告されている。具体的には、溶融塩と乳化剤とを併用して製造される脂肪含有量が4.0〜23.0%である低脂肪チーズ類において、加熱調理時に適度なオイルオフが生じて均一に溶け、糸曳き性を付与させることを特徴とするものの、特定の乳化剤としてHLBが5以下であるW/O型用乳化剤を選択的に用いる必要があり、配合成分(原材料)に制約を受けるという課題を有する。また、プロセスチーズタイプの低脂肪チーズ類及びその製造方法に関する報告であり、乳化剤による風味劣化、及び加熱溶解工程でナチュラルチーズ特有の風味が消失してしまいフラットな風味となる。そのため、本発明品で求める低脂肪ナチュラルチーズの品質とは異なる。
【0011】
プロセスチーズに関しては、熱溶融性はプロセス加工(加熱乳化)工程により消失する。これは加熱乳化工程での溶融塩によるイオン交換作用、及び攪拌シェア等により、熱溶融性を発現するモノカルシウムカゼイネートの構造が破壊されるためである。そこで、プロセスチーズに熱溶融性を保持させるため、加熱乳化工程での熱溶融性低下を抑制する方法について報告がなされている。具体的には、特開2006−115702号公報、特開2004−329206号公報、特開2001−29012号公報のように糸曳き性の優れたナチュラルチーズを原料としプロセスチーズを調製した場合には、通常のプロセスチーズよりも加熱乳化工程によるダメージは少ないものの、加熱乳化工程により糸曳き性、及び熱溶融性の低下は避けられず、ナチュラルチーズ本来の物性値を確保できなくなる。通常、プロセス化によりチーズは付着性が高く、かつ弾力性の低下したものへと変化し、本発明品で求める品質とはならない。
【0012】
また、プロセスチーズ調製時にナチュラルチーズ以外の乳たんぱく質を添加することにより、熱溶融性を付与させる報告がある。具体的には、特開2001−211826号公報、特開平01−80251号公報、特開昭59−205940号公報のようにナチュラルチーズに乳タンパク質(レンネットカゼイン等)を添加し、熱溶融性を付与させる報告があるものの、添加したカゼイン特有の風味をマスキングすることは難しい。また、加熱直後の熱溶融性は良好であるものの、チーズが冷えると急激にガム様の食感の強いチーズとなり、熱溶融性が低下するため、本発明品で求める品質のチーズとはならない。
【0013】
更に、乳等省令によるチーズの規格からは外れるが(チーズフード、乳主原等)、プロセス化の工程で加工澱粉を添加することにより、澱粉由来の熱溶融性を付与させる報告がある。具体的には、特開2006−254742号公報、特開平01−218548号公報のように加工澱粉等を添加することにより、プロセスチーズに澱粉特有の熱溶融性(糊のような物性)を付与させる報告があるものの、澱粉と乳タンパク質の熱溶融性は大きく異なる(澱粉由来の熱溶融性は粘性(粘り、付着性)が非常に強いが弾力性は弱い。一方、乳タンパク質の熱溶融性は粘性、弾力性ともに強い)。また、澱粉の添加によりチーズ特有の風味(ミルク感、コク)がマスキングされて低下してしまい本発明品で求める品質とはならない。また、このチーズでは、プロセス加工後、保存中にプロセスチーズ特有の組織が脆くなる点に課題がある(特に澱粉を添加した場合は顕著である)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平9−262053号公報
【特許文献2】特開平1−196256号公報
【特許文献3】特開平8−289728号公報
【特許文献4】特許第3157642号公報
【特許文献5】特開2006−115702号公報
【特許文献6】特開2004−329206号公報
【特許文献7】特開2001−29012号公報
【特許文献8】特開2001−211826号公報
【特許文献9】特開平01−80251号公報
【特許文献10】特開昭59−205940号公報
【特許文献11】特開2006−254742号公報
【特許文献12】特開平01−218548号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】R.SCOTT 著:CHEESE MAKINGS PRACTICE(APPLIED SCIENCE PUBLISHERS LTD. LONDON, 1981)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このような現状を鑑み、本発明では、加熱時の調理適性(熱溶融性、焦げ色、食感)及び風味が優れる低脂肪ナチュラルチーズを得ることを目的として鋭意研究を行った結果、固形分中脂肪率(F/TS)が35%以下であり、ナチュラルチーズ中のカルシウム含量が500mg/100g以下とすることにより、本発明で目的とする品質(加熱時の調理適性、風味)の低脂肪ナチュラルチーズとなることを見出した。また、伝統的なナチュラルチーズの製造方法、製造条件を変更することにより、本発明で目的とする品質(加熱時の調理適性、風味)を有する低脂肪ナチュラルチーズ(固形分中脂肪率(F/TS)が35%以下であり、ナチュラルチーズ中のカルシウム含量が500mg/100g以下)を調製できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の低脂肪ナチュラルチーズは、カルシウム含量が500mg/100g以下であり、固形分中脂肪率(F/TS)が35%以下であることを特徴とする低脂肪ナチュラルチーズである。
【0018】
本発明にかかるカルシウム含量が500mg/100g以下であり、固形分中脂肪率(F/TS)が35%以下である低脂肪ナチュラルチーズの製造方法における第一の態様は、
脂肪率が2.0%以下である原料乳に、酸性化剤を用いて酸性化して凝固乳を得る工程と、
前記凝固乳からホエーを排除しカードを得る工程と、
前記カードを成型して熟成させる工程と、
を有することを特徴とする。
【0019】
本発明にかかるカルシウム含量が500mg/100g以下であり、固形分中脂肪率(F/TS)が35%以下であるナチュラルチーズにおける製造方法の第二の態様は、
脂肪率が2.0%以下である原料乳にスタータ乳酸菌を添加し、レンネットを添加して凝固乳を得る工程と、
前記凝固乳からホエーを排除しカードを得る工程と、
前記カードを成型して熟成させる工程と、
前記レンネット添加前の原料乳または前記凝固乳を加熱して乳酸菌を失活させる工程と、
を有することを特徴とする。
【0020】
本発明にかかるカルシウム含量が500mg/100g以下であり、固形分中脂肪率(F/TS)が35%以下であるナチュラルチーズにおける製造方法の第三の態様は、
前記原料乳のカルシウム含量が110mg/100g未満であり、脂肪率が2.0%以下である上記第一または第ニの態様に記載の工程を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の低脂肪プロセスチーズ及び低脂肪チーズフードは、カルシウム含量が500mg/100g以下であり、固形分中脂肪率(F/TS)が35%以下であることを特徴とする低脂肪ナチュラルチーズを原料とすることを特徴とする低脂肪プロセスチーズ及び低脂肪チーズフードである。
【発明の効果】
【0022】
本発明により固形分中脂肪率(F/TS)が35%以下であり、ナチュラルチーズ中のカルシウム含量が500mg/100g以下であり、加熱時の調理適性に優れ、かつ風味が良好なナチュラルチーズを調製することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明にかかるナチュラルチーズは、熟成期間をとることにより硬質性を持たせたナチュラルチーズである。本発明が好適に適用可能なナチュラルチーズとしては、ゴーダチーズ、チェダーチーズ、グラナチーズ、ステッペンチーズ、モザレラチーズ等のセミハード系またはハード系チーズに分類されるナチュラルチーズをあげることができるが、これらに限定されるものではない。また、本発明により調製された低脂肪ナチュラルチーズは、低脂肪プロセスチーズ及び低脂肪チーズフードの原料として使用できる。
【0024】
本発明によれば、伝統的なナチュラルチーズの製造条件を変更することにより、固形分中脂肪率(F/TS)が35%以下であり、ナチュラルチーズ中のカルシウム含量が500mg/100g以下である低脂肪ナチュラルチーズを調製できる。
【0025】
固形分中脂肪率(F/TS)は35%以下であれば良く、特に下限はないが、加熱調理適性と風味のバランスを考えると、好ましくは10〜35%、更に好ましくは25〜35%が良く、10%を下回ると脂肪由来の風味や食感が低下するため、カルシウム含量が低い低脂肪ナチュラルチーズであっても本発明が求める良好な風味を得ることができなくなる場合がある。
【0026】
また、ナチュラルチーズ中のカルシウム含量は500mg/100g以下であれば良く、特に下限はないが、製造適性、加熱調理適性及び風味のバランスを考えると、好ましくは350〜500mg/100gが良く、350mg/100g未満ではカゼインと結合するカルシウム含量が足りず凝固が阻害される場合がある。また、かかる凝固不足が発生した場合は、熟成後においても良好な成形性を得ることができない。
【0027】
この低脂肪ナチュラルチーズはオーブン等の加熱調理時において、熱溶融性に優れており、焼成時の色沢が良好であり、香ばしい焼成風味を有する。また、適度な熱溶融性とナチュラルチーズ特有の好ましい食感を有し、優れた加熱調理適性、及び良好な風味の低脂肪ナチュラルチーズとなる。更に、この低脂肪ナチュラルチーズは、加熱調理後、冷めた際にも硬くなり難く適度な食感を有している。
【0028】
通常、ナチュラルチーズを製造する場合には、先に述べた理由から、原料乳の脂肪率を調整する。通常の製造方法においては、原料乳の脂肪率が2.0%を下回るとカードが硬くなり、カードの結着性低下、成型性低下等の問題が生じる。更に、原料乳の乳糖含量が低くなり乳酸菌による酸生成が過度に遅延した場合には、風味欠陥、組織不良(弾力、ゴム様食感)が起こる。そこで、通常の製造方法においては、原料乳の脂肪率を2.0より高く3.6%以下の範囲に調整し、ナチュラルチーズ中の固形分中脂肪率(F/TS)は35%より高く50%未満の範囲としている。
【0029】
通常の製造方法における原料乳に対して、本発明においては、目的とする固形分中脂肪率(F/TS)を35%以下とする上で必要な脂肪率を有している原料乳を用いる。この原料乳は、ナチュラルチーズ用であれば良く、目的とするナチュラルチーズの種類に応じて選択され、通常は、2.0%以下の脂肪率を有していることが好ましい。
【0030】
更に、本発明では、35%以下の固形分中脂肪率(F/TS)において、最終ナチュラルチーズ製品100g当たりのカルシウム含量を500mg以下にするため、ナチュラルチーズの製造条件の変更を行う。すなわち、ナチュラルチーズ製造時において、
(i)酸性化剤による酸性化で凝固乳を得る手法。
(ii)乳酸菌による乳酸生成を促進させる手法。
を取り入れる。
【0031】
具体的には、(i)の手法では、乳酸菌によるpH調整の代替として、酢酸、乳酸、クエン酸、リン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸を酸性化剤として使用し、殺菌乳のpHを4.8〜6.3の範囲に調整する。pHを調整する酸性化剤としては、上記有機酸の他、ナチュラルチーズ製造に認められている有機酸は使用可能であり、また、pH調整可能であるものであれば特に限定されない。乳酸菌も併用することができるが、その場合の添加率(バルク量として)は、原料乳に対して通常約1.0%使用されるが、特に限定されるものではなく、0.5%以上使用した場合は乳酸菌を失活させる工程が必要となる。乳酸菌の失活を目的とした加熱処理の段階で、乳は凝固していても、凝固していなくても良い。加熱の温度及び時間は、用いた乳酸菌の種類に応じて選択すれば良いが、通常は、50〜100℃の範囲で行うことが好ましい。また、乳酸菌を失活させる方法としては、紫外線照射、ソルビン酸カリウム等の保存料、殺菌剤、抗菌剤を添加する方法を用いることもできる。酸性化剤でpHを調整する他は、ホエー排除、カードメーキング、加塩、熟成条件は通常のナチュラルチーズ製造条件と同様に実施する。
【0032】
(ii)の手法では、乳酸菌による乳酸生成を促進させるべく、原料乳に対して通常約1.0%使用される乳酸菌添加率(バルク量として)を、好ましくは2倍以上(2.0%以上)とし、更に好ましくは添加する乳酸菌の至適温度で発酵工程を実施する。pHが4.8〜6.3の範囲となった時点で乳、または凝固カードを加熱し乳酸菌を失活させる。この乳酸菌を失活させるための加熱処理は、乳酸菌添加後にチーズの形成に必要な発酵の進行が得られた段階で行い、pHが4.8〜6.3の範囲となった時点で行うことが好ましい。加熱処理及びその他乳酸菌を失活させる手法は(i)と同様とする。乳酸菌添加率を増加させ、更に好ましくは添加する乳酸菌の至適温度で発酵さ
せる他は、ホエー排除、カードメーキング、加塩、熟成条件は通常のナチュラルチーズ製造条件と同様に実施する。
【0033】
上記の(i)及び(ii)の少なくとも1つの手法を用いて、最終ナチュラルチーズ製品100g当たりのカルシウム含量を500mg以下とすることにより、低脂肪乳を使用したナチュラルチーズ製造において上記課題であった風味欠陥、組織不良(弾力、ゴム様食感)が解決できる。
【0034】
上記の(i)及び(ii)の少なくとも1つの手法を用いることにより、ナチュラルチーズ中に残存する原料乳由来のカルシウム含量を低くすることができる。また、必要に応じてカルシウム含量が低いナチュラルチーズ製造用の原料乳を用いても良く、その調製方法は特に限定されるものではない。例えば、(iii)乳牛へ給仕する餌のカルシウム含量を調整する手法、(iv)電気透析やイオン交換樹脂等のイオン交換作用を利用して原料乳中のカルシウム含量を低減する手法、(v)食塩等の食品衛生上許容されるアルカリイオンの塩類を添加して、原料乳中のカゼイン結合性カルシウム含量を低減する手法、(vi)UF膜等で原料乳を濃縮するとともに一部のカルシウムイオンを透過させ、その後濃縮乳を希釈することにより固形あたりのカルシウム含量を低減する手法、(vii)クエン酸ナトリウム等の食品衛生上許容されるカルシウムキレート作用を有するキレート剤を添加して、原料乳中のカルシウムイオンを低減する手法、等を用いることで原料乳中のカルシウム含量を低くすることができる。よって、上記方法等により、カルシウム含量を110mg/100g未満に、好ましくは60〜90mg/100gに調整した原料乳を用いることが好ましい。なお、原料乳中のカルシウム含量は低いほうが好ましいが、40mg/100g以下ではカードの凝固阻害が生じる場合がある。 目的とする固形分中脂肪率(F/TS)及びカルシウム含量を達成することにより、低脂肪乳を使用したナチュラルチーズ製造において上記課題であったカードの結着性低下、成型性低下、熱溶融性の低下、硬化、弾力の向上、ゴム様の食感、風味低下が解決できる。
【0035】
なお、ナチュラルチーズ中のカルシウム含量は、例えば、ナチュラルチーズを乾式灰化法で灰化した後、ICP発光分光分析法にて測定することができる。また、ナチュラルチーズの固形分中脂肪率(F/TS)は、脂肪及び固形分より算出する。例えば、脂肪分はレーゼ・ゴットリーブ法(塩酸分解)にて測定することができるし、固形分については水分を測定した後、重量から水分を差し引いて算出することができる。
【0036】
本発明にかかる低脂肪ナチュラルチーズは、従来の低脂肪ナチュラルチーズの欠点である硬く、ゴム様食感、熱溶融性が悪い、風味が好ましくない、加熱調理後冷めた際に硬さが増すという性質を改善し、オーブン等の加熱調理時において、熱溶融性が良好であり、こげ茶色に焦げ、香ばしい焼成風味を有する。また、ナチュラルチーズの好ましい食感を有し、優れた加熱調理適性、及び良好な風味の低脂肪ナチュラルチーズとなる。また、加熱調理後、冷めた際にも硬くなり難く適度な食感を有しており、これまでの低脂肪ナチュラルチーズには見られない物性、風味を有する低脂肪ナチュラルチーズとなる。
【0037】
本発明にかかる調理適性を有するナチュラルチーズは、その特性を利用したプロセスチーズ及びチーズフードの原料として好適に利用できる。本発明にかかるナチュラルチーズの1種以上を、必要に応じて各種の添加剤とともにブレンドしてプロセスチーズとしても良いし、本発明にかかるナチュラルチーズの1種以上と、他のナチュラルチーズあるいはその他のプロセスチーズまたはチーズフード製造用のチーズとを、必要に応じて各種の添加剤とともにブレンドしてプロセスチーズまたはチーズフードとしても良い。
【実施例】
【0038】
以下実施例及び比較例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
【0039】
実施例1
[低脂肪ゴーダチーズ]
脂肪率2.0%に調整した原料乳100kgを75℃、15秒殺菌後、30℃に冷却し、チーズバットに搬送した。チーズバット内で乳酸菌LDスタータ(CHR.HANSEN社製)バルクを乳に対して2.0%添加し、乳pHを6.3に調整した。pH調整後、微生物レンネットTL(ロビン社製)を1.0g添加し、乳を凝固させた。その後、カードナイフを使用し、10mm角のサイズに切断後、60℃まで加熱攪拌して乳酸菌を失活させた後、ホエー排除を実施した。ホエー排除後カードを容量10kgのチーズモールドに充填し、圧搾成型した。成型後、10℃の飽和食塩水中で48時間浸漬した後、ガスバリア性の高いフィルムに入れて真空包装した。得られたナチュラルチーズを10℃にて6ヶ月間熟成させた(本発明にかかる実施品1)。対照品としては乳酸菌LDスタータ(CHR.HANSEN社製)バルクを乳に対して1.0%添加し、乳pHを6.6で微生物レンネットTL(ロビン社製)を1.0g添加し、その他は同条件でナチュラルチーズを調製し、10℃にて6ヶ月熟成させた(対照品)。
【0040】
熟成終了後、固形分中脂肪率(F/TS)、熟度指標(STN/TN値)、ナチュラルチーズ中のカルシウム含量の測定、及び加熱しない状態でのナチュラルチーズの官能評価、シュレッドしてトースター加熱した場合の官能評価を実施した(表1)。評価は10点満点で行い、点数が高いほど良好な結果とした。なお、熟度指標STN/TN値とは、標準試験法(日本工業学会誌、36(12)、981(1989)参照)に従い、ケルダール法で可溶性窒素(STN)及び全窒素(TN)を測定し、STN/TN値=(可溶性窒素/全窒素)×100、を算出した。その結果、実施品1はカルシウム含量が500mg/100gであったのに対して、対照品はカルシウム含量が650mg/100gであった。加熱しないで食した場合、実施品1は適度に軟らかく、旨みが強く感じられた。一方、対照品はややビッターで、硬く、ゴム様食感であり風味食感ともに好ましくなかった。トースター加熱した場合、実施品1は良好に焦げ、香ばしい風味を有し、適度な食感であったのに対し、対照品は焼成に伴い表面が皮膜化し、硬く、ゴム様食感であり好ましくなかった。
【0041】
実施例により得られた低脂肪ナチュラルチーズはオーブン等の加熱調理時において、熱溶融性が良好であり、こげ茶色に焦げ、香ばしい焼成風味を有する。また、実施例により得られた低脂肪ナチュラルチーズはナチュラルチーズの好ましい食感を有し、優れた加熱調理適性、及び風味の良好な低脂肪ナチュラルチーズとなる。また、実施例により得られた低脂肪ナチュラルチーズは、加熱調理後、冷めた際にも硬くなり難く適度な食感を有しており、これまでの低脂肪ナチュラルチーズには見られない物性、風味を有する低脂肪ナチュラルチーズとなる。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例2
[低脂肪チェダーチーズ]
脂肪率1.8%に調整した原料乳100kgを75℃、15秒殺菌後、冷却し、チーズバットに搬送した。チーズバット内で乳酸菌サーモフィラススタータ(CHR.HANSEN社製)バルクを乳に対して0.01%添加し、更に乳酸を添加し乳pHを5.3に調整した。pH調整後、微生物レンネットTL(ロビン社製)を1.0g添加し乳を凝固させた。乳の凝固後、カードナイフを使用し10mm角のサイズに切断後、38℃まで加熱攪拌した後、ホエーを排除し、カードの堆積によるホエー排除を実施した(マッティング)。カード水分が所定の水分値まで低下した後、カードブロックを約1cm×1cm×3cmのサイズに細断し、カードに対し2.5%の食塩を添加し混合した。食塩添加後、チーズモールドにカードを充填し、圧搾成型した。成型後、モールドからチーズを取り出しチーズ表面をコーティング処理した後、10℃にて一年間熟成させた(本発明にかかる実施品2)。対照品としては、乳酸菌サーモフィラススタータ(CHR.HANSEN社製)バルクを乳に対して2.0%添加し、乳pHを6.6に調整した。酸性化剤である乳酸を添加しない条件、更にカードの堆積はpH5.4となった時点を終了として、その他は同条件でナチュラルチーズを調製し、10℃にて1年間熟成させた(対照品)。
【0044】
熟成終了後、固形分中脂肪率(F/TS)、STN/TN値、ナチュラルチーズ中のカルシウム含量の測定、及び加熱しない状態でのナチュラルチーズの官能評価、シュレッドしてトースター加熱した場合の官能評価を実施した(表2)。評価は10点満点で行い、点数が高いほど良好な結果とした。その結果、実施品2はカルシウム含量が400mg/100gであったのに対して、対照品はカルシウム含量が600mg/100gであった。加熱しないで食した場合、実施品2は適度に軟らかく、旨みが強く感じられた。一方、対照品はややビッターで、硬く、ゴム様食感であり、風味食感ともに好ましくなかった。トースター加熱した場合、実施品2は良好に焦げ、香ばしい風味を有し、適度な食感であったのに対し、対照品は焼成に伴い表面が皮膜化し、硬く、ゴム様食感であり好ましくなかった。
【0045】
実施例により得られた低脂肪ナチュラルチーズはオーブン等の加熱調理時において、熱溶融性が良好であり、こげ茶色に焦げ、香ばしい焼成風味を有する。また、実施例により得られた低脂肪ナチュラルチーズはナチュラルチーズの好ましい食感を有し、優れた加熱調理適性、及び風味の良好な低脂肪ナチュラルチーズとなる。また、実施例により得られた低脂肪ナチュラルチーズは、加熱調理後、冷めた際にも硬くなり難く適度な食感を有しており、これまでの低脂肪ナチュラルチーズには見られない物性、風味を有する低脂肪ナチュラルチーズとなる。
【0046】
【表2】

【0047】
実施例3
[低脂肪モザレラチーズフレッシュタイプ]
脂肪率1.4%に調整した原料乳100kgを75℃、15秒殺菌後、冷却し、チーズバットに搬送した。チーズバット内で乳酸菌サーモフィラススタータ(CHR.HANSEN社製)バルクを乳に対して0.1%添加し、更にリン酸を添加し、乳pHを5.0に調整した。pH調整後、微生物レンネットTL(ロビン社製)を0.5g添加し乳を凝固させた。乳の凝固後、カードナイフを使用し10mm角のサイズに切断後、38℃まで加熱攪拌した後、ホエーを排除し、カードの堆積によるホエー排除を実施した(マッティング)。カード水分が所定の水分値まで低下した後、カードブロックを約1cm×1cm×1cmのサイズに細断した。細断したカードを80℃湯中にて混練成型した後、飽和食塩水中に浸漬させた。浸漬後、チーズをガスバリア性の高いフィルムに入れて真空包装した。この低脂肪ナチュラルチーズを10℃にて1ヶ月間保存した(本発明にかかる実施品3)。対照品としては乳酸菌サーモフィラススタータ(CHR.HANSEN社製)バルクを乳に対して2.0%添加し、乳pHを6.5に調整した。酸性化剤であるリン酸を添加しない条件、更にカードの堆積はpH5.2となった時点を終了として、その他は同条件でチーズを作り、10℃にて1ヶ月保存した(対照品)。
【0048】
熟成終了後、固形分中脂肪率(F/TS)、STN/TN値、ナチュラルチーズ中のカルシウム含量の測定、及び加熱しない状態でのナチュラルチーズの官能評価、シュレッドしてトースター加熱した場合の官能評価を実施した(表3)。評価は10点満点で行い、点数が高いほど良好な結果とした。その結果、実施品3はカルシウム含量が300mg/100gであったのに対して、対照品はカルシウム含量が550mg/100gであった。加熱しないで食した場合、実施品3は適度に軟らかく、適度な食感を有しており好ましかった。一方、対照品は硬く、ゴム様食感であり好ましくなかった。トースター加熱した場合、実施品3は良好に焦げ、香ばしい風味を有し、糸曳き性が良好であり、適度な食感であったのに対し、対照品は焼成風味が乏しく、焼成に伴い表面が皮膜化し、糸曳き性がなく、冷めた際に著しく硬くなるため好ましくなかった。
【0049】
実施例により得られた低脂肪ナチュラルチーズはオーブン等の加熱調理時において、熱溶融性が良好であり、こげ茶色に焦げ、香ばしい焼成風味を有する。また、実施例により得られた低脂肪ナチュラルチーズはナチュラルチーズの好ましい食感を有し、優れた加熱調理適性、及び風味の良好な低脂肪ナチュラルチーズとなる。また、実施例により得られた低脂肪ナチュラルチーズは、加熱調理後、冷めた場合にも硬くなり難く適度な食感を有しており、これまでの低脂肪ナチュラルチーズには見られない物性、風味を有する低脂肪ナチュラルチーズとなる。
【0050】
【表3】

【0051】
実施例4
[低脂肪プロセスチーズ]
実施例1及び実施例2記載の実施品の低脂肪ゴーダチーズと低脂肪チェダーチーズを原料チーズとして用い、1:1の割合で粉砕混合した。混合チーズ10kgを高速剪断乳化釜(ステファン社製)に投入し、これに、溶融塩としてクエン酸ナトリウム(田辺製薬社製)を25g、ポリリン酸ナトリウム(ビーケー・ギューリニ社製)25g、最終製品でのpHが5.8となるようpH調整剤として重炭酸ナトリウム(旭硝子社製)をそれぞれ添加した。その後、1,500rpmで82℃まで加熱した。水分含量は45%になるように調整した。加熱したチーズは300gカートンに充填し、5℃冷蔵庫で24時間以上冷却し、低脂肪プロセスチーズを得た(本発明にかかる実施品4)。対照品としては、実施例1及び実施例2記載の対照品の低脂肪ゴーダチーズと低脂肪チェダーチーズを原料チーズとして用い、その他は同条件で低脂肪プロセスチーズを得た。
【0052】
得られた低脂肪プロセスチーズについて、加熱しない状態でのプロセスチーズの官能評価を実施した(表4)。評価は10点満点で行い、点数が高いほど良好な結果とした。その結果、加熱しないで食した場合、実施品4は適度に軟らかく、旨みが強く感じられた。一方、対照品はややビッターで、硬く、ゴム様食感であり風味食感ともに好ましくなかった。
【0053】
実施例により得られた低脂肪プロセスチーズは、従来の低脂肪プロセスチーズに比べ良好な食感と風味を有する低脂肪プロセスチーズとなる。
【0054】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム含量が500mg/100g以下であり、固形分中脂肪率(F/TS)が35質量%以下であることを特徴とする低脂肪ナチュラルチーズ。
【請求項2】
脂肪率が2.0質量%以下である原料乳に、酸性化剤を用いて酸性化して凝固乳を得る工程と、
前記凝固乳からホエーを排除しカードを得る工程と、
前記カードを成型して熟成させる工程と、
を有するカルシウム含量が500mg/100g以下であり、固形分中脂肪率(F/TS)が35質量%以下である低脂肪ナチュラルチーズの製造方法。
【請求項3】
脂肪率が2.0質量%以下である原料乳にスタータ乳酸菌を添加し、レンネットを添加して凝固乳を得る工程と、
前記凝固乳からホエーを排除しカードを得る工程と、
前記カードを成型して熟成させる工程と、
前記レンネット添加前の原料乳または前記凝固乳を加熱して乳酸菌を失活させる工程と、
を有するカルシウム含量が500mg/100g以下であり、固形分中脂肪率(F/TS)が35質量%以下である低脂肪ナチュラルチーズの製造方法。
【請求項4】
前記原料乳のカルシウム含量が110mg/100g未満であり、脂肪率が2.0質量%以下の原料乳を用いた請求項2または請求項3に記載の低脂肪ナチュラルチーズの製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の低脂肪ナチュラルチーズを原料とする低脂肪プロセスチーズ及び低脂肪チーズフード。