説明

チーズ類品質改良剤、チーズ類およびその製造方法

【課題】べとつきが抑えられ、剥離性が良く、オイルオフを生じることなく組織の保形性に優れたチーズ類品質改良剤、チーズ類およびその製造方法を提供する。
【解決手段】原料チーズに食用界面活性剤と澱粉とを加えて調製される。食用界面活性剤は、HLB7以上の高HLB食用界面活性剤と、HLB7未満の低HLB食用界面活性剤とを含むことが好ましい。特に、高HLB食用界面活性剤はHLB11乃至16であり、低HLB食用界面活性剤はHLB1乃至5であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チーズ類品質改良剤、チーズ類およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセスチーズやチーズフードなどのチーズ加工品においては、風味の他にも物性面での特徴づけが求められている。特に、ナチュラルチーズを加熱溶解したときのような、滑らかで伸びがよく、もっちりとした食感が求められている。このようなチーズ類を製造する方法として、従来、アセチル化またはエーテル化加工澱粉を添加することにより、冷めても糸曳き性を示すチーズ類を製造する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、HLB5以下の乳化剤を添加することにより、曳糸性の良好なチーズ類を製造する方法もある(例えば、特許文献2参照)。さらに、HLB10以下の乳化剤を添加することにより、従来のナチュラルチーズと同等以上の風味やテクスチャーを有するチーズ類を製造する方法もある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−254742号公報
【特許文献2】特開平5−91834号公報
【特許文献3】特開平7−194298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、伸びの良いもっちりとした食感のチーズ類を得ることができるが、澱粉由来のべとつきが感じられ、また包装フィルムに付着して剥離性が悪いという課題があった。また、特許文献2および3に記載の方法では、そもそもチーズからのオイルオフを生じさせて物性を向上させるものであるため、組織の保形性が低下するという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、べとつきが抑えられ、剥離性が良く、オイルオフを生じることなく組織の保形性に優れたチーズ類を作るチーズ類品質改良剤、それにより改良されたチーズ類およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るチーズ類品質改良剤は、食用界面活性剤と澱粉とを含むことを特徴とする。本発明に係るチーズ類は、本発明に係るチーズ類品質改良剤を含むことを特徴とする。本発明に係るチーズ類の製造方法は、原料チーズに本発明に係るチーズ類品質改良剤を加えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るチーズ類は、食用界面活性剤を含むため、べとつきが抑えられ、剥離性が良い。また、澱粉を含むため、糸曳き性や弾力性に優れ、脂肪が溶け出すオイルオフを生じることなく組織の保形性に優れている。本発明に係るチーズ類は、風味だけでなく、物性面でのバランスに優れており、澱粉と食用界面活性剤とを併用することにより、それぞれ単独では得られない顕著な品質改良効果を有している。
【0008】
本発明において、「チーズ類」には、プロセスチーズ、ナチュラルチーズ、アナログチーズ、クリームチーズ、チーズケーキなどを含むが、プロセスチーズが好ましく、特に、ゴーダチーズおよびチェダーチーズを原料としたプロセスチーズが好ましい。プロセスチーズは、スモークチーズであっても、ナッツまたは穀類などの具材入りチーズであってもよい。
【0009】
本発明に係るチーズ類品質改良剤、チーズ類およびその製造方法で、前記食用界面活性剤は、HLB7以上の高HLB食用界面活性剤を含むことが好ましく、特に、HLB11乃至16の高HLB食用界面活性剤を含むことが好ましい。澱粉とともにHLB7以上、特に、HLB11乃至16の高HLB食用界面活性剤を含む場合、べとつきが改善され、ケーシングからの剥離性が顕著に向上する。
【0010】
本発明において、前記食用界面活性剤は、さらにHLB7未満の低HLB食用界面活性剤を含むことが好ましく、特に、HLB1乃至5の低HLB食用界面活性剤を含むことが好ましい。低HLB食用界面活性剤を含む場合、食感が極めて滑らかになる。本発明に係るチーズ類品質改良剤、チーズ類およびその製造方法は、HLB11乃至16の高HLB食用界面活性剤と、HLB1乃至5の低HLB食用界面活性剤とを含むことが特に好ましい。この場合、本発明に係るチーズ類は、特に、べとつき抑制効果、剥離性、および組織の保形性に優れている。
【0011】
さらに、本発明に係るチーズ類品質改良剤、チーズ類およびその製造方法は、前記高HLB食用界面活性剤と前記低HLB食用界面活性剤とを、10:0乃至0:10、好ましくは2:1〜1:2の重量比で含むことが好ましい。この場合、特に、べとつき抑制効果、剥離性、および組織の保形性に優れたチーズ類となる。
【0012】
本発明に係るチーズ類品質改良剤は、チーズ類に対し、食用界面活性剤を0.01乃至5質量%、澱粉を0.01乃至25質量%添加されることが好ましい。本発明に係るチーズ類は、食用溶融塩を0.01乃至5質量%含むことが好ましい。これらの場合、本発明に係るチーズ類は、特に、べとつき抑制効果、剥離性、および組織の保形性に優れている。本発明に係るチーズ類は、デキストリンを含んでいてもよい。
【0013】
本発明に係るチーズ類の製造方法は、本発明に係るチーズ類を好適に製造することができる。本発明に係るチーズ類の製造方法は、原料チーズに食用界面活性剤を加えるため、べとつきが抑えられた、剥離性の良いチーズ類を製造することができる。また、原料チーズに澱粉を加えるため、糸曳き性や弾力性に優れ、オイルオフを生じることなく組織の保形性に優れたチーズ類を製造することができる。本発明に係るチーズ類の製造方法は、風味だけでなく、物性面でのバランスに優れたチーズ類を製造することができ、澱粉と食用界面活性剤とを併用することにより、それぞれ単独では得られない顕著な品質改良効果が得られる。
【0014】
本発明に係るチーズ類の製造方法では、原料チーズに食用界面活性剤と澱粉とを加え、撹拌しながら加熱溶融した後、成型して冷却してもよい。この場合、加熱溶融温度は、70乃至100℃が好ましく、80乃至90℃前後が特に好ましい。また、本発明に係るチーズ類の製造方法は、食用界面活性剤および澱粉とともに、水、食用溶融塩、デキストリンなどを原料チーズに添加してもよい。
【0015】
本発明に係るチーズ類品質改良剤、チーズ類およびその製造方法で、食用界面活性剤は一般に食品の生産に用いられるものであれば特に制限されないが、エステルガム、グアヤク樹脂、ダンマル樹脂、ロジン、マスチック、シェラック、ワックス、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステル、グリセリド類、脂肪酸グリセロール類、脂肪酸グリコール類、グリセロールエステル類、レシチン、大豆多糖類、アラビアガム、ガティガム、キラヤ抽出物、脂肪酸金属塩類およびアルギン酸プロピレングリコールエステルのうちの1種または複数種を組み合わせたものから成ることが好ましく、特にグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはショ糖脂肪酸エステルを用いることがより好ましい。また、澱粉も一般に食品に用いられるものであれば特に制限されないが、ヒドロキシプロピル化澱粉またはアセチル化澱粉から成ることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、べとつきが抑えられ、剥離性が良く、オイルオフを生じることなく組織の保形性に優れたチーズ類品質改良剤、チーズ類およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態のチーズ類は、食用界面活性剤と澱粉とを含んでいる。本発明の実施の形態のチーズ類は、以下に示す本発明の実施の形態のチーズ類の製造方法により製造される。すなわち、本発明の実施の形態のチーズ類の製造方法は、まず、チョッパーにて裁断した原料チーズを乳化釜に投入し、さらに食用界面活性剤、澱粉、およびその他の原料を乳化釜に投入する。次に、これを撹拌しながら90℃まで加熱昇温して溶融する。その後、プラスチックフィルムチューブに充填して成型し、密閉した状態で5℃まで冷却する。
【0018】
[澱粉と食用界面活性剤との併用効果]
澱粉と食用界面活性剤との併用効果を調べるために、原料の配合を様々に変えたチーズ試料を製造し、各チーズ試料について評価試験を行った。チーズ試料の原料の配合を、表1〜4に示す。表1〜4に示すように、チーズ試料には、澱粉として、ヒドロキシプロピル化澱粉(実施例1〜7)またはアセチル化澱粉(実施例8〜14)を用いた。また、食用界面活性剤として、HLB=1,3,5,7,9,11,16のいずれかのもの(それぞれ実施例1〜7および実施例8〜14に対応)を用いた。比較例として、澱粉を含むが、食用界面活性剤を含まないもの(比較例1,2)、澱粉を含まず、食用界面活性剤を含むもの(比較例3〜9)、澱粉も食用界面活性剤も含まないもの(比較例10)についてもチーズ試料を製造し、同様の評価試験を行った。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
【表3】

【0022】
【表4】

【0023】
製造した各チーズ試料に対して、以下の5つの項目について、それぞれの評価基準に従って評価を行った。評価結果を、表5〜7に示す。
(1)組織の滑らかさ:チーズ試料の組織の滑らかさについて評価
◎滑らかでざらつきがない食感、 ○僅かにざらつくが滑らかな食感、
△ざらつきがみられるが均一な食感、 ×ざらつきがみられ、不均一な食感
(2)組織の弾力感:チーズ試料の組織の弾力感について評価
◎弾力があり伸びのある食感、 ○伸びは弱いが弾力のある食感、
△弾力が弱く、固い食感、 ×組織に弾力がない
【0024】
(3)べとつき:チーズ試料の組織のべたつき(糊感)について評価
◎糊感がない、 ○糊感が弱い、 △糊感がやや弱い、 ×糊感が強い
(4)剥離性:ケーシング充填、冷却後、5℃にて2時間保持したのちにケーシングを剥がし取り、その剥離性の良否により判定。
◎付着せずきれいに剥離する、
○あまり付着せずチーズを変形させずに剥離できる、
△付着しチーズは若干変形するが剥離できる、
×剥離できない
(5)オイルオフ:ケーシング充填後のチーズから遊離しているオイル分の多寡により判定
【0025】
【表5】

【0026】
【表6】

【0027】
【表7】

【0028】
表5〜7に示すように、澱粉を添加しない場合(比較例3〜10)には、組織に弾力感がなく、またHLBの低い食用界面活性剤(HLB1〜7,比較例3〜6)を添加したときに、オイルオフを生じることが確認された。食用界面活性剤は添加せず、澱粉を使用した場合(比較例1、2)には、ヒドロキシプロピル化澱粉であってもアセチル化澱粉であっても、弾力感のある良好な食感を示したが、澱粉に由来するべとつきを生じ、ケーシングからの剥離性の低下が確認された。
【0029】
一方、澱粉とともにHLBの低い食用界面活性剤(HLB1〜7)を添加した場合(実施例1〜4、8〜11)には、食感が極めて滑らかになり、比較例3〜6で見られたオイルオフが抑制されることが確認された。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、HLBの低い食用界面活性剤は乳タンパクの疎水部分に作用し、タンパクから油を分離させる方向に作用していると考えられ、澱粉がその遊離した油を抱え込むようにネットワークを形成するものと考えられる。このため、HLBの低い食用界面活性剤と澱粉とを併用した場合には、油浮きを生じることなく、滑らかな食感を示すと考えられる。
【0030】
澱粉とともにHLBが中〜高の食用界面活性剤(HLB7〜16)を使用した場合(実施例4〜7、11〜14)には、食感そのものには影響しないものの、べとつきが改善され、ケーシングからの剥離性が顕著に向上することが確認された。これは、HLBの高い食用界面活性剤が澱粉に対して作用し、ケーシングへの付着性を低減するためであると考えられる。このように、澱粉と食用界面活性剤とを併用することにより、それぞれ単独では得られない顕著な品質改良効果が得られることが確認された。
【0031】
[澱粉とHLBの異なる2種類の食用界面活性剤との併用効果]
澱粉とHLBの異なる2種類の食用界面活性剤との併用効果を調べるために、原料の配合を様々に変えたチーズ試料を製造し、各チーズ試料について評価試験を行った。チーズ試料の原料の配合を、表8〜10に示す。表8〜10に示すように、チーズ試料には、澱粉として、ヒドロキシプロピル化澱粉を用いた。また、食用界面活性剤として、HLB=1,3,5,7の低〜中HLBの食用界面活性剤、および、HLB=7,9,11,16の中〜高HLBの食用界面活性剤の2種類を組み合わせて用いた。
【0032】
【表8】

【0033】
【表9】

【0034】
【表10】

【0035】
製造した各チーズ試料に対して、上述の(1)〜(5)の5つの項目について、それぞれの評価基準に従って評価を行った。評価結果を、表11および12に示す。
【0036】
【表11】

【0037】
【表12】

【0038】
表11および12に示すように、澱粉とともに、HLBが7以上の食用界面活性剤、および、HLBが7以下の食用界面活性剤の、2種類の食用界面活性剤を併用することで、チーズ類の組織を滑らかにするとともに、べとつきやケーシングからの剥離性を改善することができることが確認された。特に、HLB7以上の高HLB食用界面活性剤と、HLB7未満の低HLB食用界面活性剤とを併用した場合(実施例11〜13、15〜17、19〜21、23〜25)に効果が高く、その中でも、HLB11乃至16の高HLB食用界面活性剤と、HLB1乃至5の低HLB食用界面活性剤とを併用した場合(実施例19〜21、23〜25)には、さらに効果が高いことが確認された。
【0039】
[澱粉と食用界面活性剤との併用効果(低水分活性時)]
低水分活性時の、澱粉と食用界面活性剤との併用効果を調べるために、原料の配合を様々に変えたチーズ試料を製造し、各チーズ試料について評価試験を行った。チーズ試料の原料の配合を、表13〜16に示す。これらの配合は、表1〜4の配合に対して、食塩、デキストリン、ソルビトール、乳酸をそれぞれ一定量加え、その分だけ水の量を減らした低水分の配合となっている。
【0040】
表13〜16に示すように、チーズ試料には、澱粉として、ヒドロキシプロピル化澱粉(実施例27〜31)またはアセチル化澱粉(実施例32〜36)を用いた。また、食用界面活性剤として、HLB=1,5,7,11,16のいずれかのもの(それぞれ実施例27〜31および実施例32〜36に対応)を用いた。比較例として、澱粉を含むが、食用界面活性剤を含まないもの(比較例11,12)、澱粉を含まず、食用界面活性剤を含むもの(比較例13〜17)、澱粉も食用界面活性剤も含まないもの(比較例18)についてもチーズ試料を製造し、同様の評価試験を行った。
【0041】
【表13】

【0042】
【表14】

【0043】
【表15】

【0044】
【表16】

【0045】
製造した各チーズ試料に対して、上述の(1)〜(5)の5つの項目について、それぞれの評価基準に従って評価を行った。また、6番目の評価項目として、以下に示す水分活性の測定も行った。評価結果を、表17〜19に示す。
(6)水分活性:試作したチーズ類の水分活性を、水分活性測定器「EZ−100ST(フロイント産業株式会社製)」にて測定
【0046】
【表17】

【0047】
【表18】

【0048】
【表19】

【0049】
表17〜19に示すように、低水分活性時であっても、表5〜7と同様な結果が得られた。すなわち、澱粉を添加しない場合(比較例13〜18)には、組織に弾力感がなく、また、澱粉を添加せずにHLBの低い食用界面活性剤(HLB1〜7、比較例13〜15)を添加したときに、オイルオフを生じることが確認された。食用界面活性剤は添加せず、澱粉を使用した場合(比較例11、12)、ヒドロキシプロピル化澱粉であってもアセチル化澱粉であっても、弾力感のある良好な食感を示したが、澱粉に由来するべとつきを生じ、ケーシングからの剥離性の低下が確認された。
【0050】
また、澱粉とともにHLBの低い食用界面活性剤(HLB1〜7)を添加した場合(実施例27〜29、32〜34)には、食感が極めて滑らかになり、比較例13〜15で見られたオイルオフが抑制されることが確認された。澱粉とともにHLBが中〜高の食用界面活性剤(HLB7〜16)を使用した場合(実施例29〜31、34〜36)には、食感そのものには影響しないものの、べとつきが改善され、ケーシングからの剥離性が顕著に向上することが確認された。このように、澱粉と食用界面活性剤とを併用することにより、それぞれ単独では得られない顕著な品質改良効果が得られることが確認された。
【0051】
[澱粉とHLBの異なる2種類の食用界面活性剤との併用効果(低水分活性時)]
澱粉とHLBの異なる2種類の食用界面活性剤との併用効果を調べるために、原料の配合を様々に変えたチーズ試料を製造し、各チーズ試料について評価試験を行った。チーズ試料の原料の配合を、表20〜22に示す。これらの配合は、表8〜10の配合に対して、食塩、デキストリン、ソルビトール、乳酸をそれぞれ一定量加え、その分だけ水の量を減らした低水分の配合となっている。
【0052】
表20〜22に示すように、チーズ試料には、澱粉として、ヒドロキシプロピル化澱粉を用いた。また、食用界面活性剤として、HLB=1,3,5,7の低〜中HLBの食用界面活性剤、および、HLB=7,9,11,16の中〜高HLBの食用界面活性剤の2種類を組み合わせて用いた。
【0053】
【表20】

【0054】
【表21】

【0055】
【表22】

【0056】
製造した各チーズ試料に対して、上述の(1)〜(6)の6つの項目について、それぞれの評価基準に従って評価を行った。評価結果を、表23および24に示す。
【0057】
【表23】

【0058】
【表24】

【0059】
表23および24に示すように、低水分活性時であっても、表11および12と同様な結果が得られた。すなわち、澱粉とともに、HLBが7以上の食用界面活性剤、および、HLBが7以下の食用界面活性剤の2種類を併用することで、チーズ類の組織を滑らかにするとともに、べとつきやケーシングからの剥離性を改善することができることが確認された。特に、HLB7以上の高HLB食用界面活性剤と、HLB7未満の低HLB食用界面活性剤とを併用した場合(実施例37〜39、41〜43、45〜47、49〜51)に効果が高く、その中でも、HLB11乃至16の高HLB食用界面活性剤と、HLB1乃至5の低HLB食用界面活性剤とを併用した場合(実施例45〜47、49〜51)には、さらに効果が高いことが確認された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用界面活性剤と澱粉とを含むことを特徴とするチーズ類品質改良剤。
【請求項2】
前記食用界面活性剤は、HLB7以上の高HLB食用界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1記載のチーズ類品質改良剤。
【請求項3】
前記食用界面活性剤は、さらにHLB7未満の低HLB食用界面活性剤を含むことを特徴とする請求項2記載のチーズ類品質改良剤。
【請求項4】
前記高HLB食用界面活性剤はHLB11乃至16であり、前記低HLB食用界面活性剤はHLB1乃至5であることを特徴とする請求項3記載のチーズ類品質改良剤。
【請求項5】
請求項1,2,3または4記載のチーズ類品質改良剤を含むことを特徴とするチーズ類。
【請求項6】
原料チーズに請求項1,2,3または4記載のチーズ類品質改良剤を加えることを特徴とするチーズ類の製造方法。