説明

ツインタイプの包装容器

【課題】2つの容器を組み合わせて構成される包装容器であって、両方の容器を共に調理に供すべく、各容器の連結構造を工夫するとともに、その断熱性を高めた包装容器を提供する。
【解決手段】第1容器10と第2容器20とが着脱可能に連結されてなる包装容器。第1容器10は、開口周縁にカール部11aを備えた紙製の第1容器本体11と、当該第1容器本体の周壁を覆う第1帯体15とを備えた2重壁構造を有する。第2容器20は、プラスチック成型品で構成された第2容器本体21と、当該第2容器本体の周壁を覆う第2帯体25とを備えた2重壁構造を有する。第2容器本体21の開口周縁に形成したフランジ部21aを、第1容器本体11のカール部11aに弾性的に外嵌させることで、第1容器10と第2容器20とが着脱可能に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスタント食品を収容する包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカップ入り即席ラーメンに代表されるインスタント食品は、多種多様なものが知られている。それらの多くは、カップ状の容器にお湯を注いで調理するものである。
【0003】
熱湯を注いで調理する場合に、消費者がカップ状容器を手に持っても、熱さをあまり感じないようにするため、あるいは保温性を高めるために、断熱性に優れた容器が提案されている。特許文献1および特許文献2では、容器を2重壁構造とすることで断熱性を高めている。
【0004】
一方、多様な形態が種々提案されるインスタント食品の分野において、他の商品との差別化を図るべく、これまでにない新規な包装形態を模索する中で、カップ状容器を2つ組み合わせて構成される包装容器であって、両方の容器を共に調理に利用する形態に思い至った。
【0005】
【特許文献1】特開平11−321936号公報
【特許文献2】特開2004−315032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、2つの容器を組み合わせて構成される包装容器であって、両方の容器を共に調理に供すべく、各容器の連結構造を工夫するとともに、その断熱性を高めた包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を有効に解決するために創案されたものであって、以下の特徴を備えた包装容器を提供する。
本発明の包装容器は、第1容器と第2容器を着脱可能に連結してなる。
第1容器は、「開口周縁にカール部を備えた紙製の第1容器本体」と「当該第1容器本体の周壁を覆う第1帯体」とを備えた2重壁構造を有する。一方、第2容器は、「プラスチック成型品で構成された第2容器本体」と「当該第2容器本体の周壁を覆う第2帯体」とを備えた2重壁構造を有する。
第2容器本体の開口周縁にはフランジ部が形成されていて、このフランジ部を、第1容器本体のカール部に弾性的に外嵌させることで、第1容器と第2容器とが着脱可能に連結されている。
【発明の効果】
【0008】
上記構成を備えた本発明の包装容器は、第1および第2の2つの容器を、各開口部を付き合わせた状態で、着脱可能に連結して構成される。
したがって、第1容器および第2容器内に即席食品の具を適宜収容して連結し、その状態で販売できる。また、消費者は、第1容器および第2容器を簡単に分離して、2つの容器を使用してインスタント食品を調理できる。
しかも、「紙製の第1本体側のカール部」に対して「プラスチック製の第2容器側のフランジ部」を弾性的に外嵌させることで、第1容器と第2容器との連結を実現しているので、両容器を従来から知られている方法で簡単に作成することができる。
【0009】
また、第1容器および第2容器が共に2重壁構造を有していて、断熱性および保温性に優れるため、両方の容器を共に調理に供し、そこに熱湯を注ぐ必要のある即席食品に特に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して、詳細に説明する。図1は、本発明の包装容器の使用態様の一例として、即席スパゲッティに適用した場合を示している。
第1容器10は、麺を調理するのに使用され、第2容器20は、ソースを調理するのに使用される。図1では各容器10、20の形態を概略的に示しているが、第1容器10と第2容器20は、図2および図3を参照して以下に説明するように、互いの上部開口を付き合わせるようにして着脱可能に連結される。
【0011】
≪第1容器10≫
第1容器10は、紙製の第1容器本体11と、その周壁を覆う第1帯体12とで構成される。
【0012】
第1容器本体11は、開口周縁にカール部11aを備える。このカール部11aは、使い捨ての紙コップ等において一般的に知られたものであって、開口端部を断面円形に巻き込んで構成されるものである。
カール部11aは、後述するように、第1容器10と第2容器20との連結のために利用される。
【0013】
第1容器本体11の周囲には第1帯体15が巻き付けられていて、2重壁構造を為している。この帯体は、容器の断熱性および保温性を高めるために設けられるものであって、当該帯体と容器本体との間には空間が存在することが好ましい(必ずしも、必要ではない)。
図示の例では、第1容器本体11の周壁をテーパ状とし、第1帯体15の下端内側にカール部16を設けることで、両者の間に空間19を設けている。
【0014】
第1容器本体11と第1帯体15との間に空間を設けるための構成としては、上記の他にも適宜の構成を採用できる。例えば、第1容器本体11の周壁上に一定間隔で複数の突出部(リブ等)を設け、その上に帯体を直接巻き付けることで、空間を確保できる。
【0015】
なお、帯体は、紙、プラスチック、その他適宜の材料から構成することができる。
【0016】
≪第2容器20≫
第2容器20は、プラスチック成型品で構成された第2容器本体21と、その周壁を覆う第2帯体22とで構成される。
【0017】
プラスチック製の第2容器本体21の開口周縁には、フランジ部21aが設けられている。フランジ部21aは、第2容器本体21をプラスチック成形する際に一体的に形成する。
フランジ部21aの具体的形状は、図示のものには限られず、第1容器本体上端のカール部11aに対して、その外側から弾性的に嵌合できるものであればよい。これにより、第1容器10と第2容器20は、その上部開口を付き合わせるようにして、着脱可能に連結されることとなる。
図2は、第1容器10および第2容器20を分離した状態で示しており、図3は、両者を連結した状態を示している。図3では、連結部を部分的に拡大して示している。
【0018】
第2容器本体21の周囲には第2帯体25が巻き付けられていて、2重壁構造を為している。この2重壁構造も、第1容器10の場合と同様、容器の断熱性および保温性を高めるために設けられるものである。すなわち、本発明の包装容器を構成する第1および第2の2つの容器は、その両方ともが調理に供される。
【0019】
図示の例では、第2容器本体21と第2帯体25との間には空間は存在せず、第2帯体25が単に第2容器本体21の周囲に巻き付けられた構成であるが、第1容器10の場合と同様に、第2容器本体21と第2帯体25との間に空間を設ける構成としてもよい。
【0020】
すなわち、第2容器本体21の周壁上に一定間隔で複数の突出部(リブ等)を設け、その上に帯体を直接巻き付けることで、空間を確保できる。また、第2帯体25の上下端の内側にカール部を設けることで、第2容器本体21と第2帯体25の間に空間を設けることができる。
【0021】
≪即席スパゲッティに適用する場合≫
第1容器10の上部開口は、通常のカップ入り即席ラーメンに見られるような、シート状の蓋材(図示せず)で封止されている。すなわち、第1容器10に乾燥麺を入れて、これに熱湯を注いで当該蓋材で封止する。所定時間経過後、蓋材を除去して、麺(パスタ)が出来上がる。
一方、第2容器20は、そのような蓋材を備えておらず、常時開口した状態にある。ソースを封入したレトルトパックを第2容器20に入れて熱湯を注ぐ。所定時間経過後、熱湯を捨てて、レトルトパックを開封して、ソースを第2容器20内に取り出す。
このようにして、麺(パスタ)とソースを別々に調理して喫食可能とした状態を図1に概略的に示している。
乾燥麺や、ソースを封入したレトルトパック、その他の具材は、適宜個別に袋に入れる等して、第1容器10あるいは第2容器20内に収容する。そして、両容器10、20を連結した状態で、即席食品として販売する。
【0022】
この例では、第1容器10には、お湯を注いで蒸らすためのシート状蓋が設けられ、第2容器20は、そのような蓋材を有しない常時開口タイプものものであった。
しかし、第1容器および第2容器のいずれにシート状蓋を設けるかについては、当該包装容器をどのような即席食品に適用するのか、あるいは調理方法をどのように設定するのかに応じて、適宜選択することができる。
【0023】
本発明の包装容器は、即席スパゲッティに限られず、適宜の食品に対して適用することができる。第1容器10および第2容器20の両方が2重壁構造を有しているので、両方の容器が共に調理に供され、両者に熱湯を注ぐことが必要となる場合に特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の包装容器を即席スパゲッティに適用した場合を示す概略斜視図。
【図2】一実施形態に係る包装容器を分離した状態で示す一部破断図。
【図3】図2の包装容器を連結状態で示す一部破断図。
【符号の説明】
【0025】
10 第1容器
11 第1容器本体
11a カール部
15 第1帯体
16 カール部
19 空間
20 第2容器
21 第2容器本体
21a フランジ部
25 第2帯体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口周縁にカール部(11a)を備えた紙製の第1容器本体(11)と、当該第1容器本体の周壁を覆う第1帯体(15)とを備えた2重壁構造の第1容器(10)と、
プラスチック成型品で構成された第2容器本体(21)と、当該第2容器本体の周壁を覆う第2帯体(25)とを備えた2重壁構造の第2容器(20)と、で構成される包装容器であって、
第2容器本体(21)の開口周縁に形成したフランジ部(21a)を、第1容器本体(11)のカール部(11a)に弾性的に外嵌させることで、第1容器(10)と第2容器(20)とが着脱可能に連結されてなることを特徴とする、包装容器。
【請求項2】
上記第1容器本体(11)には、当該容器本体の開口を封止する蓋材が設けられ、第2容器本体(21)には蓋材が設けられておらず常時開口していることを特徴とする、請求項1記載の包装容器。
【請求項3】
上記第1容器本体(11)の周壁には複数の突起が形成されていて、当該突起により、第1容器本体(11)と第1帯体(15)との間に空間が形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の包装容器。
【請求項4】
上記第2容器本体(21)の周壁には複数の突起が形成されていて、当該突起により、第2容器本体(21)と第2帯体(25)との間に空間が形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−189329(P2008−189329A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23059(P2007−23059)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】