説明

ティートカップの洗浄装置および洗浄方法

【課題】柔軟に、速く作業を行えることができるティートカップの洗浄及び/消毒作用を有する装置を提供する。
【解決手段】バルブ(4)で開閉可能な排出口(3)を有する1つ以上のティートカップに接続することができる加熱室(2)と、前記加熱室(2)に洗浄液(11)を供給する充填装置(20)と、前記加熱室(2)内の内容物を加熱する加熱手段とを備え、前記排出口(3)と貯蔵コンテナとの間に連結ライン(17)とを設ける。前記バルブ(4)で前記加熱室(2)が閉じられた際は、前記加熱室(2)が前記充填装置(20)から供給された前記洗浄液(11)で満たされ、前記洗浄液(11)が、大気圧における前記洗浄液(11)の沸点Tkよりも高い温度Tまで加熱された際には、前記バルブ(4)が開放され、前記加熱室(2)の内部に液体状態の前記洗浄液(11)が残存するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にティートカップの洗浄装置および1つ以上のティートカップの洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、バルブを用いて開閉可能な排出口を備え、そして、ティートカップに接続するために設けられた加熱室と、所定量の洗浄液で前記加熱室を満たす充填装置と、前記加熱室の内部の内容物を加熱するために設けられた加熱手段と、で構成されているティートカップの洗浄装置に関する。
【0003】
特許文献WO03/077645では、圧力バルブを用いて開閉可能な箇所を備え、加熱手段を設けたティートカップの蒸気洗浄装置が開示されている。その圧力バルブは選択された過圧で開き、それにより、蒸気ジェットが噴射される。
【0004】
前記公知の装置における問題点は、使用中に多くの場合柔軟に対応することができない。具体的には、作業が遅くて、連続してすぐに複数の洗浄作業を行うことができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明によるこの装置の目的は、もっと柔軟に、より速く作業を行える洗浄、及び/または消毒作用を有する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1記載の装置を用いることによって達成される。請求項1記載の発明によれば、この装置は、貯蔵コンテナと排出口との間に、直接接続部、または連結ラインを有している。これは、装置の排出口に直接冷却液を流すことが可能であるという利点を提供する。それにより、ティートカップが熱い洗浄液で洗浄された後、加熱室を冷やすための冷却液を用いることなく、ティートカップを冷やすことが可能である。つまり、加熱室を冷やす必要がなく、エネルギーを必要とするだけで、ティートカップを冷やすことが可能である。さらなる利点としては、この装置は、洗浄処理の間、加熱室で他の液体を温めることができる。よって、この装置は、連続的にもっと速く洗浄作業と消毒作業を行うことができる。例えば、1つの装置で搾乳用具の4つのティートカップを円滑に取り扱うことが可能である。そして、本発明の装置に設けられている連結ラインは、加熱室の周りに液体を導くことが可能である。すなわち、加熱室を迂回して、前記排出口への前記貯蔵コンテナを制御することができる。したがって、物理的に連結ラインを加熱室の周りに延長する必要がない。共通の排出口が1つの流出口にあるため、連結ラインが、加熱室から独立していて、排出口に接続されている液体供給路を備えていることは重要である。ゆえに、前記連結ラインは、前記加熱室の連結ラインとしても良い。それにより、一方を加熱室への供給、他方を加熱室からの排出口に接続することも可能である。さらに、この連結ラインは、送水ライン、貯蔵タンクなどといった異なる供給場所と加熱室の排出口との間を接続しても良い。直接的な接続は、例えば有利に開閉可能な異なるラインのようなものであってもよい。したがって、この液体は、個別の冷却液、または、非加熱洗浄液などから構成されていてもよい。実際、異なるラインで作ることも可能である。
【0007】
その他に、それ自体が加熱室に対する分岐、例えば、バルブなどにより有利に開閉可能な開口を有する直接的な接続を提供することもできる。これは、ティートカップなどを冷却する間に、または、前記冷却を行う前に、前記開口や、任意のバルブを介して加熱室を新しい洗浄液で満たすことができることを意味する。そのようなバルブは、好ましくは、排出口を閉じることができる制御可能なバルブのようなものである。
【0008】
必要に応じて、そのバルブは、高さで調整可能なフローティング動作を有するものであってもよい。加熱室が十分に満たされると、フローティングバルブは加熱室を閉じる。その結果、残りの液体を冷却の目的で使用することが可能となる。この場合、この液体は実質的に洗浄液を含む。
【0009】
本発明による装置では、加熱室が、増加した液体を加熱することができる拡張手段を備えている。これは、形成された蒸気用のスペースが残るだけでなく、特に、加熱された液体の増加用のスペースが残るということを確実にする。例えば、水が室温から100℃まで加熱されると、大気圧で水はおよそ4%拡大する。これは、加熱室に設けられた拡張手段がなくても可能であることは確かである。しかしながら、その場合の液体は、たまに不必要となるバルブから漏れる。
【0010】
好都合にも、この拡張手段は、加熱室に洗浄液を充填している間、洗浄液がない加熱室のサブ体積を保つためのガス保持手段を備えている。そのようなガス保持手段は、とてもシンプルな方法で増加を制御することができる「気泡」を備えている。この場合、その気泡が実際に存在することを注意しなければならない。例えば、装置を傾けないようにしたり、あるいは、髪やガーゼなどを用いてその気泡を安定させたりすることにより、気泡を確保してもよい。
【0011】
また、柔軟な仕切壁や置き換え可能なピストンのような、弾力性のある部分または置換可能な部分を設けることが可能である。加熱室が100%で満たされることができるので、これは大きな利点を提供する。
【0012】
特に、加熱されていない洗浄液の場合、サブ体積は、加熱室の体積の2%以上、好ましくは5%以上の状態になる。加熱室で達せられる水と圧力との増加を考慮すると、そのような液体自由体積を確保するのに十分であるということがわかる。また、そのサブ体積は、最大でも、加熱室の体積の50%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下の状態となる。したがって、最大値をサブ体積に設定することによって、非常に少ない液体が加熱室に入り込むことを防ぐことができる。
【0013】
この拡張手段は、加熱室に凹部を有する。この場合、この凹部は、ダイビングベルの方法で、望ましい大きさの気泡を保持することができる。この場合において、この装置が、特に凹部の開口が、下方向へ方向づけるような手段で、特定の位置として見なされる可能性があるが、非常に多くの場合において、この装置は使用中の間、固定された方向になる。特に、加熱室を開閉するためのバルブが、そのような凹部を備えている。具体的には、そのバルブが排出口に直接接続される場合、各バルブの使用(開放)後、凹部は適切なガス体積で満たされる、もしくは、満たされるまで継続する。したがって、バルブを使用するだけの簡単な手段で確実にガス体積を満たすことが可能となる。
【0014】
好ましい実施形態では、この拡張手段は、圧縮性の要素を備えている。具体的には、移動可能なピストンや、密閉のガス体積を備えている。ゆえに、この拡張手段は、非常に信頼性が高い手段で確実に行われる。この場合、可動性、圧縮性は、それぞれ液体の増加の可能性を確実にする。
【0015】
密閉のガス体積は、加熱室で、仕切壁またはピストンで密閉された体積である。そのような体積は、例えば、バルーンなどのような形で設けても良い。この場合、加熱室で凹部に配置されても良い。都合よく、その体積を密閉している移動可能なピストンは、凹部に設けることもできる。体積を密閉している側で、このピストンが、ガス及び/またはスプリング手段で囲まれることにより生じる逆圧に、接触しても良い。好ましい実施例では、ガスの量及び/またはスプリング手段は、調整可能である。したがって、加熱室内で、他の液体、異なる充填温度、異なる圧力の場合でも、拡大の十分な可能性を提供することは可能である。例えば、密閉の体積が、バルブや、調節ねじなどを有するスプリング手段を備えることも可能である。
【0016】
前述した加熱室の体積は、液体が加熱されたときに圧力が上がることができる体積として定義しても良い。そして、この体積は、サブ体積と同様に、液体によって達することが可能な部分を有する。
【0017】
本発明のさらなる特徴は、従属項に示されている。
【0018】
本発明によれば、前記充填装置は、排出口のバルブを開放する時点で所定量の洗浄液(液体状態)を有するように設けられている。その加熱手段は、その内容物、すなわち前記洗浄液をその洗浄液の正常な沸点Tk以上の温度まで加熱するが、この際に蒸気が形成される。バルブを開放することにより、加熱室の内圧が大気圧に下がり、そのときには当然存在していた所定量の蒸気が抜ける。しかしながら、洗浄液がより低圧で過熱された液であることがより重要である。それは急に、大きな力で沸き始める。その後形成された蒸気気泡は、少なくとも一部の液体を外部に運ぶ。実際、蒸気だけでなく、蒸気‐液体の混合物が排出口を通じて外部に運ばれる。液体のほうが密度が高いという観点からみると、蒸気‐液体の混合物の総熱容量は蒸気のみの熱容量よりはるかに多いため、洗浄及び/または消毒作用は著しく増加する。この原理については、未公開の特許番号NL−1033100で、すでに述べている。
【0019】
加熱室が排出口を介して満たされてもよい。好ましくは、前記加熱室に個別の供給物を供給した後、前記加熱室をバルブのような手段で開閉する。
【0020】
そのほかに、排出口はティートカップに接続するように設けられても良いが、加熱室がその全体としてティートカップに接続するように設けられても良い。その場合には、排出口は当然加熱された内容物がティートカップに注入できるように設けられている。排出口または加熱室は、例えば、1つ以上のクランプのようなティートカップグリップ手段を備えても良い。前記接続は、より広い概念で把握しなければならない。よって、前記装置を用いて効率よくティートカップを洗浄することができるように、前記ティートカップを適切な場所(位置)に配置することも前記接続の概念に含まれる。例えば、ティートカップとティートカップの洗浄装置の間に空間を設けることもできる。これは、特にティートカップの外部を洗浄しなければならない場合であるが、ティートカップの内部を洗浄すると同時に生じることも可能である。ティートカップの内部を洗浄する場合には、ティートカップとティートカップの洗浄装置を密接に接続することが有利である。この場合、例えばミルク真空接続を用いて、ティートカップの内容物の排出口を提供することも有利である。
【0021】
また、複数のティートカップの接続および洗浄のために設けられた加熱室の全部または排出口を、例えばそれらのティートカップの数に相当する数のティートカップグリップ手段を提供することにより、及び/または、排出口をそれらのティートカップの数に相当する数の個別のサブ排出口に分けることにより、配置することも可能である。そのように配置する実施例によれば、洗浄する時間は節約できるが、より高いレベルのパワーが必要とされる。
【0022】
加熱手段は、原則的に公知の加熱手段を備えている。例として、バーナー、投入電熱器や、他の電気加熱手段、マイクロ波放射器などがある。実際、それらの使いやすさと高性能のため、電気加熱手段がしばしば好まれる。
【0023】
特に、充填装置は、上述した状況で、加熱室に最初に供給された洗浄液の量の好ましくは50%以上、より好ましくは90%以上で、加熱室内に液体状態に存在するに十分な量の洗浄液を加熱室に供給する。つまり、ガス保持手段を有するこの実施形態では、液体のない関連するサブ体積を維持する間、充填装置が加熱室に上述の洗浄液の量を送るということを意味する。弾力的、あるいは置換可能な拡張手段を有する実施形態において、ガス保持手段は必ずしも必要ではなく、最大の100%の洗浄液で充填供給しても良い。
【0024】
液体状態で存在する洗浄液の割合が高くなるにつれ、より高い総熱容量が保証されるのは明らかである。加熱室の充填程度が調整できるということは、供給された蒸気‐液体の混合物の量を決めることができ、それにより、その総熱容量を決めることができることを意味する。したがって、この装置は、様々な異なる洗浄条件に適合させることができる。
【0025】
具体的な実施例において、温度Tは、130℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上である。より高い温度では、熱容量がより大きくなるだけでなく、(均衡)蒸気圧もより高くなる。その結果、大気圧との差もより大きくなる。加熱室を開放すると、そのような大きな圧力の違いによって激しい沸騰を始める。それにより、加熱室の内容物がさらに勢いよく放出される。設定温度は、いろいろなものによって決まる。この加熱の目的は、例えば、放出された蒸気‐液体の混合物が、望ましい洗浄及び/または消毒を行うことにしてもよい。この目的のために、洗浄/消毒されるティートカップによって決まる特定の熱容量と、洗浄液の量と、洗浄液の温度などが、必要とされる。しかしながら、添加物がティートカップにある、なしにかかわらず、平均的なティートカップに基づくと、適切な消毒は、50ml以上の水量によって可能である。例えば、およそ185℃まで加熱された80mlの水量と、結果的に関連する圧力8バールを用いて、ティートカップは十分に消毒することができる。この場合、液体自由体積の2ml〜4mlが適切な動作をするのに十分である。およそ50mlの水量は、関連する圧力16〜22バールと共に、およそ200℃〜220℃まで加熱される。ここで、蒸気のそのような小さな体積において、蒸気容器の規定に基づく制限、あるいは限られた範囲以上は、適用しないことに留意する必要がある。
【0026】
特に、前記バルブは、圧力緩和バルブを含んでいる。例えば、洗浄液の種類に関係なく、所定の圧力で開くことが可能なタイプのバルブである。大気圧との差にも関連があるが、実際それは2〜3%の変化しか影響を及ぼさない。
【0027】
圧力緩和バルブの開放圧力ODは、2バール(bar)以上の絶対圧に達する。このバルブにおいて、すでに十分な洗浄作用が得られている。その開放圧力ODが、8バール以上の絶対圧に、例えば8〜12バール以上の絶対圧に達することが好ましい。そのようなバルブを用いるとほとんどの場合において、洗浄及び消毒に優れた結果が得られた。前記圧力、すなわち過圧は、加熱室内で加熱される洗浄液の使用量にもある程度関係している。少量の洗浄液を用いる場合、十分な熱容量を得るためにはより高い圧力にまで加熱しなければならない。実際、圧力および使用量をお互いに適合させることもできる。例えば、8バールで、(加熱されていない)水量60〜80mlでは、およそ184℃が、平均的なティートカップを消毒するのに優れている。また、16バールの絶対圧で、50mlの水を使用する場合には、およそ200℃の温度が最適である。
【0028】
本発明に係る1つの実施形態によれば、バルブは、制御装置を用いて制御可能なバルブを含む。このような制御装置は、極めて単純な方式で、バルブを開放する条件に適応させる可能性を提供する。例えば、ティートカップが相当汚れている場合、または、消毒されるべきである場合、ほとんど汚れていないティートカップを洗浄する場合に比べて、かなりの熱容量が必要とされる。この場合、洗浄液の量だけでなく、加熱条件を適合させることが可能である。特に、洗浄液の流路が調節可能である。その結果、蒸気−液体圧力が抜け出る一定の期間を制御することが可能であり、延長することも可能である。これは、洗浄と消毒の制御をさらによくすることができる。
【0029】
制御装置は、加熱室内で圧力ODまたは温度OT、好ましくは調整可能な温度OTまたは調整可能な圧力ODで、バルブを開放するために設けられている。ゆえに、放出される洗浄液の熱容量は、容易に制御することができる。
【0030】
具体的な実施例として、搾乳装置は加熱室に接続可能な、好ましくは第2バルブにより接続可能な洗浄液貯蔵コンテナを有する。その搾乳装置は、単独で使用することも可能だが、例えば、独立型搾乳装置または自己推進型搾乳装置を用いる場合でもメリットをもたらす。前記洗浄液貯蔵コンテナは、例えば、公知のボイラー形態のタンクを備えたものでもよい。複数の貯蔵コンテナを備えている場合、各貯蔵コンテナには所定の洗浄液が含まれている。ここで、本発明における「洗浄液」なる用語は、液体状態の消毒剤が含まれている。貯蔵コンテナにおいて、洗浄液に対し予備加熱のような予備処理が行われ得る。しかしながら、必要に応じて、貯蔵コンテナではなく、水供給パイプなどの外部貯蔵コンテナに接続可能なホースなどを設けることも可能である。
【0031】
以上説明した実施例において、充填装置は、所定量の洗浄液を加熱室に供給するのに適しているものであれば良い。この目的のためには、貯蔵コンテナは、例えば加熱室の上部に配置されていても良いが、その場合には、重力が駆動力として作用する。それとは別に、ポンプ手段などのようなものを貯蔵コンテナ、または外部貯蔵コンテナに設けても良い。また、充填装置が制御可能なバルブを備えていても良く、または、加熱室のバルブを制御するように設けられていてもよい。その供給量を決めるために、充填装置に、例えば流量計、好ましくは調整可能な体積(容積)を有した充填室、または、そのほかに前記目的に適した公知の補助手段などを設けてもよい。
【0032】
本発明に係る一実施形態によれば、前記洗浄液は水を含む。洗浄液がほとんど水で構成されていてもよい。水は、かなり有用な洗浄・消毒液であるが、それは水の大きい熱容量、蒸気としての十分な高い温度、そして、安価で入手可能なその純粋な形態などに起因する。だからといって、その他の洗浄液または添加剤が除外されるわけではない。
【0033】
特に、洗浄液は、酸のような消毒剤が含まれている。消毒剤を加えるとその消毒作用はより強くなる。特にこの場合、洗浄液が実質的に消毒剤を含んでいるが、その消毒剤が液体状態であれば、その消毒剤を蒸気として供給することもできる。
【0034】
加熱手段は、調整可能な火力を有するのが有利である。この調整性は、簡単にスイッチオンまたはスイッチオフにすることが可能であるが、0以上の火力を利用して、効果的な火力を2つ以上の異なる位置に調整することができれば有利で、連続的に調整可能であればさらに有利となる。これは、例えば、加熱される洗浄液の量が変わる場合、利点をもたらす。なぜならば、少量の洗浄液を加熱する場合に、小さい火力を用いてより上手く制御することができるからである。
【0035】
特に、加熱手段には、上述の条件(すなわち、バルブが開放される温度、圧力などの条件)を満たさないように排出口を閉じるバルブなどを閉じた状態で保持する機能を果たす制御装置が設けられている。これは、加熱手段が排出口のバルブが開放されないように、加熱室内の内容物の加熱条件(加熱状態)を制御することを意味する。言い換えれば、例えば、加熱室の内圧を開放圧力OD未満に保持するか、加熱室の温度を前記温度T未満に保持するか、または、平衡蒸気圧をODと同等に保持する。これは、ティートカップが接続された(ほぼ)直後にはいつもティートカップの洗浄装置がティートカップの洗浄のために用意され、いつでも洗浄することができるといった、メリットを提供する。これらの制御装置は、もしあるとすれば、(排出口内の)バルブの制御手段のようなその他の制御手段と一体化されてもよい。
【0036】
実施例において、制御装置は所定の時間の間、加熱手段をスイッチオンにする。好ましくは、例えば、加熱すべき洗浄液の量または種類によって、あるいは所定の温度などによって、前記所定の時間は調整可能である。必要に応じて、制御手段は引き続き制御可能なバルブを開放するように設けられていてもよい。加熱手段の有効動力(または有効電力)は、電力加熱手段が使用された場合、例えば(主)電圧における変動の影響を受けるため、前記加熱手段に接続可能な動力修正装置(または電力修正装置)を設けたほうが有利である。この動力修正装置は、例えば電圧修正機またはエネルギー計器のような動力安定器を含む。
【0037】
好ましくは、排出口は、壁を越えて距離Lだけ突き出しているダクト(流管)を含む。前記Lの最大値は、洗浄すべきティートカップの内部の深さに相当する。この排出ダクトにより、ティートカップの内部を特に有効に洗浄することが可能になる。この場合、排出ダクトは、例えばその端末に1つ以上の開口を含むが、その側壁に1つ以上の開口を有するのが好ましい。そのような実施例は、当然ティートカップの外部の洗浄にも適している。
【0038】
ちなみに、排出口にかかるその他の実施例も可能である。例えば、本発明は、排出口が加熱室の壁に開閉可能な開口を有する装置を含む。この場合、ティートカップは、前記排出口の開口が設けられた壁に近接して、または当接して配置されてもよい。さらなるメリットとしては、ティートカップの上側は前記(熱い)壁と接しているため、少なくともある程度は消毒されることである。
【0039】
本発明に係る好ましいティートカップの洗浄装置において、バルブは洗浄すべきティートカップにより制御可能である。この目的のために、前記装置は、例えば、ばね、ボタン、センサなどの開放構造を有する。手動制御装置のような個別の制御装置を提供することも可能である。
【0040】
また、本発明は、ティートカップの洗浄装置によるティートカップの洗浄方法を提供する。そのティートカップの洗浄方法としては、バルブで開閉可能な排出口を有していて、そして、1つ以上のティートカップに接続可能な加熱室の内部に、洗浄液を供給する工程と、前記バルブで加熱室を閉じる工程と、前記加熱室内の前記洗浄液を、大気圧における前記洗浄液の沸点(Tk)より高い温度(T)まで加熱して、前記バルブを開放する工程と、前記加熱室内の加熱された内容物を、排出口を介して排出して、前記内容物をティートカップに注ぐ工程と、を含む。そのティートカップの洗浄方法において、前記洗浄液を前記温度(T)まで加熱した後に、前記加熱室の内部に液体状態の洗浄液が残存することを特徴とする。この方法は、実質的に本発明の装置の使用方法に該当し、そしてこの方法によってもたらされるメリットの詳細については、上述の装置に関する説明の欄を参考にされたい。また、この方法を使用するのに充填装置が必要不可欠なものではない。なぜなら、所定の洗浄液を手動で満たすこともできる。特に、加熱する工程で、連結ラインと排出口を介して、液体がティートカップに注がれているならば、有利である。この場合、前記加熱する工程は、加熱室が閉じられ、そして少なくとも加熱室に残存する液体の一部の加熱が行われる期間として見なされるべきである。なぜなら、この場合、液体が加熱室を介して導かれるシステムや方法に関して、特にエネルギー性や時間に有利である。本発明によれば、加熱中に、加熱されてない液体を外部から導くことが、あるいは、加熱された状態で加熱室に液体を保持することが、実際に可能である。
【0041】
本発明のこの見方の特別な実施例については、対応する請求項19に従って請求項に記載されている。それらの好ましい実施例によりもたらされるメリットについては、前述の通りであるので、上記洗浄装置の欄を参考されたい。
【0042】
特に、洗浄液の使用量は、バルブが開放される際に、加熱室に最初に満たされた洗浄液の量の50%以上、より好ましくは90%以上が加熱室内に液体状態で残存するように選択される。
【0043】
好ましくは、洗浄液は、水及び/または酸のような消毒剤を含む。
【0044】
特に、バルブはパラメータで示される調整可能な閾値で開放される。したがって、開放特性を有効に選ぶことができ、それにより、洗浄特性も同様に選ぶことができる。パラメータは、数多くの適切なパラメータから選ぶことができるが、そのうち好ましい実施例については以下に説明する。
【0045】
前記洗浄方法に係る実施例において、ティートカップを冷却するのが有利であるが、ここでティートカップは熱い洗浄液により洗浄されるか、または、排出口、あるいは、必要に応じて、個別の排出口を介して供給される液体により洗浄される。具体的には、液体を供給する側路を備えた装置を利用する場合に、特に熱い加熱室において、できるだけ熱の損失を抑えることができる。
【0046】
前記方法に係る実施形態において、加熱室は洗浄液で満たされ、必要に応じて、洗浄を徹底するように予め定められた時間の間に加熱室の内部に前記洗浄液を保持し、その後、排出口を介して洗浄液を放出することにより洗浄される。このような洗浄作業は、前記洗浄液を大気圧における沸点以上まで加熱して行うことが好ましい。その後、排出口を再び開放する際に、前記洗浄液は蒸気ジェットにより除去される。
【0047】
特に、前記閾値は、閾値ODとして、加熱室内の圧力(すなわち、過圧)ODである。つまり、加熱室内の圧力ODを閾値ODとして設定する。したがって、その閾値ODは、大気圧より2バール以上高く(すなわち、絶対圧2バール以上)、好ましくは、大気圧より8バール以上高く(すなわち、絶対圧8バール以上)で設定される。
【0048】
その他の実施例として、前記閾値は、閾値OTとして、加熱室の温度OTである。つまり、加熱室の温度OTを閾値OTとして設定する。したがって、その閾値OTは、130℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは160℃以上で設定される。
【0049】
以下に、本発明の実施形態に関する詳細を添付の図面を用いて説明する。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係る洗浄装置及び洗浄方法を用いることにより、搾乳装置などのティートカップをより効率的に、かつ迅速に洗浄・消毒することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
図1に示すように、ティートカップ洗浄装置1は、バルブ4を用いて開閉可能な排出口3を備えた加熱室2を有する。バルブ制御装置5は、制御ユニット6に接続されていて、その制御ユニット6には、加熱コイル7と、温度計8と、密封端部9内に存在する近接センサ10と、が接続されている。
【0052】
加熱室2には、洗浄液11と蒸気12が含まれている。排出ノズル13は、開口14を備えている。ティートカップ15は、ミルク排出口16を備えている。連結ライン17には、コントロールバルブ18が設けられている。充填装置20は、供給ライン21とバルブ/ポンプ22とを有している。また、貯蔵コンテナ23には、洗浄液在庫24と投入ヒーター25とが備えられている。
【0053】
加熱室2は、断熱材で構成されていてもよく、または、断熱材で取り囲まれていてもよい。さらに、前記加熱室2は、特定の内部圧力と温度に耐えることができなければならないため、多くの場合、金属容器で構成される。
【0054】
排出口3は、バルブ4を用いて開閉可能となっている。前記バルブ4が、例えば、任意のバルブ制御装置5により制御可能であることが望ましい。前記任意のバルブ制御装置5は、手動で、あるいは制御ユニット6を使って操作することが可能である。つまり、これはバルブ4が開く圧力で調節可能であるということを意味する。さらに、この流路、すなわち蒸気及び/または液体の流出速度を調節することも可能である。前記バルブ制御装置5は、調節可能なスプリングを設けることもでき、そして、電子的に制御されることもできる。
【0055】
圧力は、加熱コイル7を用いて所定の洗浄液11(主に、水)を加熱することにより、増加する。加熱コイル7は、加熱室2の周りを囲んで、または加熱室2の壁に配置されている。加熱コイル7の代わりに、マイクロ波加熱など別の加熱装置を使用することも可能である。加熱コイルなどの火力は、加熱室2の内部の内容物を、所定の圧力及び/または温度までに上げるのに十分なものでなければならない。実際には、およそ80〜100cm3で、160℃〜180℃の値が望ましい。原則として、望ましい温度で、熱損失よりも大きい任意の動力が、さらに適しているかもしれないが、有効電力は数百ワット(Watt)である。
【0056】
温度計8は、温度に関するフィードバック(自動制御)を制御ユニット6に提供する。しかしながら、前記温度計8と前記制御ユニット6両方とも任意の構成要素である。制御ユニット6は、温度の測定値に基づき加熱コイル7を用いて熱を制御することができる。また、温度計8を圧力センサにすることも可能である。とはいえ、蒸気12の部分に配置することが好ましい。
【0057】
ティートカップ15の接続を密封するために、密封端部9が設けられている。密封端部9には、例えば、ティートカップ15が接続されるとき、制御ユニット6に信号を送る近接センサ10が設けられている。そのような信号を受信して、制御ユニット6は、加熱室2を充てんしたり、加熱したり、バルブ4を開いたりするように、命令することができる。ちなみに、ティートカップ15が配置された際、排出ノズル13はティートカップ15に導かれる。バルブ4が開くと、過熱された加熱室の内容物が、排出ノズル13および開口14を通って、ティートカップ15の中に注入されるが、それにより優れた局部洗浄または消毒効果が得られる。ティートカップ15の内部の過圧は、ティートカップ15に設けられたミルク排出口16を通って、簡単な方法で、排出することができるが、そのようなミルク排出口16は予めティーとカップに設けられている。ちなみに、近接センサ10は任意の構成要素であり、この機能はバルブ4で行うことも可能である。例えば、十分な力でティートカップ15に対して加圧される場合、バルブが開くように設けてもよい。これにより、不必要なバルブ4の開放などを防ぐことができる。
【0058】
図1で示すように、加熱室2には90%以上の洗浄液11と、その洗浄液の上方に蒸気12と、が充填されている。実際、このような構成は、加熱室2の総容量に対して好ましい熱量を提供する。望ましい温度/圧力条件に達した時点で、液体状態の洗浄液が残存することについては前述のとおりである。最初に供給されなければならない液体に対応する量は、予め算出しておいてもよく、もしくは、実験により決定してもよい。
【0059】
所定量の洗浄液11の供給は、手動で、あるいは充填装置20を用いて行うことができる。その充填装置20は、少なくとも加熱室2を充填するための供給ライン21を備えている。その供給ライン21は、バルブ/ポンプ22だけでなく、貯蔵コンテナ23にも接続可能である。そのバルブ/ポンプ22は、洗浄液貯蔵コンテナ23からの圧力作業が不十分な場合に、ポンプ作業を行うことができる。十分な圧力がある場合、バルブで足りるが、このバルブは、例えば、制御ユニット6を用いて制御可能である。制御ユニット6を用いることによって、加熱室内に供給される洗浄液の量を簡単な方法で測定することが可能である。さらに、例えば、複数の洗浄液貯蔵コンテナ(図示せず)が設けられている場合に、異なる洗浄液、または、例えば、消毒剤のような添加剤から選ぶことも可能である。加熱室2の充填を促進するために、空気緩和バルブ(図示せず)を設けることも可能である。また、加熱室2で適切な量の洗浄液がすぐに所定の温度になるように、投入ヒーター25などによって、洗浄液在庫24を予熱することもできる。
【0060】
貯蔵コンテナ23と排出口3との間には、通常液体供給するための直接接続を構成する連結ライン17が設けられている。連結ライン17は、コントロールバルブ18によって制御可能である。したがって、ティートカップをすすいだり、冷やしたりするために、熱い加熱室2を通らずに、液体を排出口3に導くことができる。ゆえに、加熱室2自体が冷却されないだけではなく、(新しい)液体の加熱と同時に、洗浄/冷却することが可能である。このため、エネルギー的利点を提供するだけでなく、すぐに次の洗浄や消毒の準備ができる。
【0061】
図2は、本発明の別の実施例の一部を略図化した断面図である。前記構成要素と類似した構成要素は、同じ符号にて表した。加熱手段や連結ラインのようないくつかの構成要素は、簡略に示すために、図2では省略している。
【0062】
図2で示すように、加熱室2には、ダクト27を備えた溢れ管26と、バルブ制御28を通して制御されるバルブ4と、リセットスプリング29と、流量計30と、液位計31と、が設けられている。
【0063】
溢れ管26は、蒸気‐洗浄液の混合物を、ダクト27を介して放出する機能を有する。その一方で、その後、加熱室は再び満たされる。ゆえに、加熱室2が空になると、それにより、例えば高い液位に配置されている貯蔵容器などが重力の影響を受けて、洗浄液が連結ライン21を通って再び供給される。このような充填は、洗浄液11が溢れ管26の最上部に達するまで続く場合もある。さらに、供給する場合、洗浄液11はダクト27を通って、放出する。ダクト27から放出された洗浄液11は、洗浄されたティートカップ15をすすいだり、及び/または冷やしたりするために、使用することが可能である。
【0064】
液位計31は、溢れ管26の(相対的な)高さを選択することによって、調節可能である。さらに、前記溢れ管26を細くし、充填されない部分を極めて小さくするだけでなく、液体の増加に伴う溢れ管の長さの拡大も可能である。この場合、必要に応じて上述のバルブ4の上に存在する隙間と共に、溢れ管26は、ガス保持手段として使用することもできる。
【0065】
供給の停止は、供給ライン21に設けられた流量計30の動作により行うことができる。例えば、導電率計や温度計などとして液位計31を設けることも可能である。
【0066】
好ましい実施形態によれば、液位計31は、例えば温度計として加熱室2の外部に配置されていてもよい。その場合、液位計31がカルシウム沈着や蒸気腐食などにさらされることが防げる。さらに、加熱室に電(子)気的に制御されるバルブなどを設けなくてもよいが、これの詳細については後述する。
【0067】
バルブ4は、どんな理由であっても加熱室2の内部圧力があまりにも高くなったときに開放される安全バルブであるが、その他に、このバルブは、所定の方式で、所定のポイントで開くように、バルブ制御28によって制御されていてもよい。好ましくは、このバルブ制御28が、ティートカップ15によって押しつけられることにより、制御可能であることが望ましい。その場合には、バルブ4が矢印の方向に移動して、開放することが可能である。リセットスプリング29は、非操作位置でバルブ4の閉じた状態を保持する。そのようなバルブ4として、例えば、ばね、スライド手段、レバーなどを備えたものも利用可能である。
【0068】
ティートカップを洗浄及び/または、消毒するために必要とされる時間は、加熱室2を補充するために用いることができる。もちろん、所定の時間の間に、本発明の装置からティートカップ15を引き離すことも可能である。バルブ4が閉じているので、加熱室2は洗浄液で満たされ、あふれ出ることはない。
【0069】
図3は、本発明のさらなる実施形態の略図化した断面図である。ここで、この実施形態においては、供給ライン21は、逆止めバルブ22’を用いて開閉可能である。この供給ライン21は、連結ライン17を通って排出ノズル13に接続されている。
【0070】
ここで、バルブ4は、リセットスプリング29により制御されているが、そのほかに、ポンプ32、ガス流路33、および、圧力室34を有する空気圧装置、あるいはその代わりに水圧装置により作動されるものであってもよい。この空気圧装置、または水圧装置を用いることにより、迅速に簡単な方法でバルブを操作することが可能となる。
【0071】
バルブ4を加熱室2に設けることもできるが、その場合には、フローティング動作を有する。装置を洗浄または、冷却することで、加熱室2は液体で充填されるが、このときに浮遊バルブが浮上し、加熱室を閉じる。
【0072】
すでに図1で示したように、冷却液を流してティートカップを冷やす場合、連結ライン17の機能として、この冷却液が加熱室2に流れるのを防止することである。すなわち、連結ライン17を設けることにより、この冷却液で加熱室2を不必要に冷やされることを防ぐことができる。この目的のため、加熱室2をバルブ4で閉じることが可能である。その一方で、加熱室を(洗浄)液体で再び充填しなければならないが、その代わりにすすぎ/冷却の際に、加熱室2をすすぎ液で充填することも可能である。加熱室2が充填されると、すぐに前記液体は単独で加熱室2を渡って流れるか、または、前記加熱室3はバルブ4のような手段によって閉じられる。
【0073】
図4は、ガス保持手段を備えた一実施形態の略図化した断面図である。この場合の加熱室2には、空気室35を備えた進入バルブ19が設けられている。空気室35は、加熱室2で、総容積50mlに基づく2mlといったような特定の空気体積を保持するために役立つ。ここで、空気室35は、前記進入バルブ19に凹部を備えている。この凹部は、加熱室2の壁に設けることも可能である。また、この進入バルブ19は、傾くことを防ぐために制御することもできる。そして、さらにフローティング動作により加熱室2を閉じるために、加熱室2で液体に浮かばせてもよい。
【0074】
バルブ4は、概略的に示されているだけである。図4の連結ライン17は、供給ライン21と排出口3とを接続する。ここで示されていない制御装置は、供給ライン21に設けることができる。
【0075】
図5は、他の拡張手段を備えた他の実施形態の断面図である。拡張装置(拡張手段)36は、ピストン37と、シリンダ38と、スプリング39と、調整ねじ40と、ガス体積41と、空気接続42と、コントロールバルブ43と、を備えている。
【0076】
拡張装置36は、ここでは図示されていない排出口(バルブ)から液体が漏れることなく、液体の増加した分を加熱室2で加熱することを可能にする働きをする。液体が増加するとき、あるいは単に蒸気圧が増加するとき、ピストン37は、逆圧に対して、シリンダ38に押しつけられる。この逆圧は、スプリング(手段)39によってだけではなく、密閉されたガスによって生じる。密閉されたガスによって生じた場合、実際、ピストン37とシリンダ38とで囲まれたスペースは、周囲つまり加熱室の外部に属しているようにみなされ、そして、100%の充填程度が許可可能とされる。シリンダ38内にガスまたは空気がある場合、加熱室2およびシリンダ38両方の圧力は、加熱により増加する。したがって、上述のように、シリンダ38内のスペースは、加熱室2に存在する。ゆえに、シリンダ38がガスで充電された際には、例えば加熱室の2%〜5%の最小スペースを考慮する必要がある。
【0077】
逆圧は、調整ねじ40を操作することにより、または、空気接続42とコントロールバルブ43を用いて、ピストン37とシリンダ38とで囲まれたスペースの空気(ガス)を多少残すことにより、調整可能である。
【0078】
ピストン・シリンダの組合せは、加熱室2の壁で、曲げやすい仕切壁などと取り替えられることが可能である。
【0079】
他の拡張手段は、ガス体積45を取り囲むバルーン44の形で提供される。液体が加熱され増加した際に、バルーン44を圧縮することが可能である。このバルーン44は、再び取り囲まれることができ、または別な方法で、供給、あるいは放出の妨げにならないような適切な位置で、固定することができる。前記拡張装置は、加熱室2から取り外すことができない、そして、非常に厳密な方法で漏れないように作られているため、上述した実施例は、きわめて信頼できる。さらに、安全性を高めることができる曲げやすい仕切壁と比較すると、損害または破損のリスクがとても低い。
【0080】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る装置の略図化した断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態の一部の略図化した断面図である
【図3】本発明のさらなる実施形態の略図化した断面図である。
【図4】ガス保持手段を備えた一実施形態の略図化した断面図である。
【図5】他の拡張手段を備えた他の実施形態の略図化した断面図である
【符号の説明】
【0082】
1 ティートカップ洗浄装置
2 加熱室
3 排出口
4 バルブ
11 洗浄液
14 開口
15 ティートカップ
17 連結ライン
20 充填装置
21 供給ライン
23 貯蔵コンテナ(貯蔵庫)
36 拡張手段(拡張装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ(4)によって開閉可能な排出口(3)を有する加熱室(2)と、前記加熱室(2)に洗浄液(11)を充填する充填装置(20)と、前記加熱室(2)内の内容物を加熱する加熱手段と、を備えたティートカップ洗浄装置において、
前記排出口(3)と貯蔵コンテナとの間に、連結ライン(17)が設けられ、
前記バルブ(4)によって前記加熱室(2)が密閉されている状態では、前記加熱室(2)が前記充填装置(20)から供給された前記洗浄液(11)で満たされ、そして、
前記洗浄液(11)が、大気圧における前記洗浄液(11)の沸点Tkよりも高い温度Tまで加熱された状態では、前記バルブ(4)が開放され、それにより、前記加熱室(2)の内部に液体状態の前記洗浄液(11)が残存するようにされている
ことを特徴とするティートカップ洗浄装置。
【請求項2】
前記連結ライン(17)が、有利に開閉可能な別のラインを有していることを特徴とする請求項1記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項3】
前記連結ライン(17)が、好ましくは、開閉可能な開口(14)を通って、加熱室(2)に分岐していることを特徴とする請求項1又は2に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項4】
前記開口(14)が、前記排出口(3)を開閉するために、前記バルブ(4)で開閉可能に設けられていることを特徴とする請求項3記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項5】
前記加熱室(2)が、前記洗浄液(11)の増加分を加熱することを可能にする拡張手段(36)をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項6】
前記拡張手段(36)が、前記洗浄液(11)を前記加熱室(2)に充填している間、前記洗浄液(11)が入っていない前記加熱室(2)のサブ体積を保つためのガス保持手段を備え、そして、
前記洗浄液が加熱されていない場合には、前記サブ体積が、好ましくは2〜5%、さらに好ましくは5〜20%、もっと好ましくは10%以下となるようにされている
ことを特徴とする請求項5記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項7】
前記拡張手段(36)が、前記加熱室(2)を閉じる前記バルブ(4)において凹部を備えていることを特徴とする請求項6記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項8】
前記拡張手段(36)が、可動ピストンまたは密閉ガス体積(41)の圧縮性の構成要素を備えていることを特徴とする請求項6又は7に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項9】
前記密閉ガス体積(41)が、仕切壁またはピストン(37)で密閉された体積であることを特徴とする請求項8記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項10】
前記加熱室(2)の内部に残存する液体状態の前記洗浄液(11)の量が、前記加熱室(2)内に最初に供給された前記洗浄液(11)の量の好ましくは50%以上、さらに好ましくは90%以上、となるようにされていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項11】
前記温度Tが、好ましくは160℃以上、さらに好ましくは180℃以上、とされていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項12】
前記バルブ(4)が、圧力緩和バルブで構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項13】
前記圧力緩和バルブの開放圧力ODが、好ましくは絶対圧8バール以上、さらに好ましくは16バール以上、とされていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項14】
前記バルブ(4)が、制御装置で制御可能とするバルブであり、特に、調整可能な流路を有するバルブであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項15】
前記制御装置が、好ましくは前記加熱室(2)内の圧力ODまたは温度OT、さらに好ましくは前記加熱室(2)内の調整可能な圧力ODまたは調整可能な温度OT、で前記バルブ(4)を開放するために設けられていることを特徴とする請求項14に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項16】
前記加熱室(2)に第2バルブ(22)を用いて接続可能とする洗浄液の貯蔵コンテナ(23)がさらに備えてられていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項17】
前記加熱手段が、前記バルブを閉じたままの状態にするために、上述した状況が到達されないような手段で、前記加熱手段を制御するための制御装置を備えていることをすることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項18】
前記排出口(3)が、前記加熱室(2)の壁を越える距離Lまで突出している排出ダクトを備えており、そして、前記距離Lの最大値が洗浄されるティートカップの内部の深さに等しいことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項19】
前記バルブ(4)が、洗浄されるティートカップ(15)で制御可能とされ、そして、前記排出口(3)または前記加熱室(2)が、複数のティートカップ(15)に接続して前記複数のティートカップ(15)を洗浄するように設けられていることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載のティートカップ洗浄装置。
【請求項20】
上述のティートカップ洗浄装置を用いてティートカップ(15)を洗浄する方法において、
バルブ(4)で開閉可能な排出口(3)を有すると共に、1つ以上のティートカップに接続可能とする加熱室(2)の内部に、洗浄液(11)を供給する工程と、
前記バルブ(4)で前記加熱室(2)を閉じる工程と、
前記加熱室内の前記洗浄液を、大気圧における前記洗浄液(11)の沸点Tkより高い温度Tまで加熱して、前記バルブを開放する工程と、
前記加熱室(2)内の加熱された内容物を、排出口を介して排出して、前記内容物をティートカップに注ぐ工程と、を順次有することによって、
前記洗浄液(11)を前記温度Tまで加熱した後に、前記加熱室(2)の内部に液体状態の洗浄液が、残存するようにしたことを特徴とすることを特徴とする洗浄方法。
【請求項21】
前記洗浄液(13)が、加熱されている間に前記連結ラインと前記排出口(3)を通って、ティートカップ(15)に注がれることを特徴とする請求項20記載の洗浄方法。
【請求項22】
前記加熱室(2)の内部に残存する液体状態の前記洗浄液(11)の量が、前記加熱室(2)内に最初に供給された前記洗浄液(11)の量の好ましくは50%以上、さらに好ましくは90%以上、となるようにされていることを特徴とする請求項20又は21に記載の洗浄方法。
【請求項23】
前記洗浄液(11)が、酸のような消毒剤を含有していることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の洗浄方法。
【請求項24】
前記バルブ(4)が、パラメータで規定される調整可能な閾値で開放されることを特徴とする請求項20〜23のいずれか1項に記載の洗浄方法。
【請求項25】
前記閾値が、前記加熱室(2)内の圧力(OD)と定められ、そして、その閾値(OD)が、好ましくは絶対圧2バール以上、さらに好ましくは絶対圧8バール以上に設定されていることを特徴とする請求項24記載の洗浄方法。
【請求項26】
前記閾値が、前記加熱室(2)内の温度(OT)と規定され、そして、その閾値(OT)が、好ましくは130℃以上、さらに好ましくは160℃以上、さらにもっと好ましくは180℃以上の温度に設定されていることを特徴とする請求項24又は25に記載の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−290073(P2008−290073A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124272(P2008−124272)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(595054512)マースランド エヌ・ヴィ (12)
【氏名又は名称原語表記】MAASLAND N.V.
【Fターム(参考)】