説明

テキスト表示装置、アプリケーションプログラム及びテキスト表示制御方法

【課題】表示テキスト中の漢字の読み仮名を付加表示することのできるテキスト表示装置、アプリケーションプログラム及びテキスト表示方法の提供。
【解決手段】テキスト表示装置は、テキスト表示処理を含むデータ処理を行うアプリケーション部12と、前記アプリケーション部12より入力されたテキストを解析して、該テキストに含まれる漢字部分に読み仮名(ルビ)を付加する読み仮名付加部11と、を備える。前記アプリケーション部12は、読み仮名(ルビ)を出力すると設定されている場合に、前記読み仮名付加部11に対して表示対象のテキストを送信して読み仮名(ルビ)の付加を要求し、読み仮名(ルビ)付きのテキスト表示処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスト表示装置、アプリケーションプログラム及びテキスト表示制御方法に関し、特に、これらのテキスト表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、行方向の表示幅の狭い文字表示領域を持つ携帯端末において、第2の文字列群(ルビ)を、第1の文字列群(テキスト本文)に並列して表示させる並列表示形態とは別に、第2の文字列群(ルビ)の方が長くなるような場合に、第2の文字列群(ルビ)を第1の文字列群(テキスト本文)の前後に括弧付きで挿入する方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、仮名漢字変換辞書を用いて、外部から取得したテキストデータに含まれる漢字の読み仮名を検索し、表示する機能を備えた携帯電話機が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−66264号公報
【特許文献2】特開2005−165959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の日本語入力環境はより少ない操作回数で正しい漢字変換結果が得られるように、最適化されているため、電子メールの受信者が低年齢である場合等、漢字が多くて読めないことがある。また、携帯電話端末等では自動的に漢字変換候補が提示されるため、漢字を使わないようにすると、入力操作がより煩雑になることもある。
【0006】
そこで、上記特許文献1に記載の技術は、第1の文字列群(テキスト本文)に第2の文字列群(ルビ)が付されていることが前提の技術であり、例えば、両親や祖父母(送信者)が子供や孫(受信者)宛に電子メールを送りたいケースに適用するには、テキスト作成者側が第2の文字列群(ルビ)及び第1の文字列群(テキスト本文)との対応関係を入力しなければならないという問題点がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術は、上記第2の文字列群(ルビ)の入力が不要となるため、テキスト作成者側の負担が軽減されるが、テキストを読む側において、読み仮名を知りたい漢字を選択する操作が必要となってしまう。例えば、上述の両親や祖父母(送信者)が子供や孫(受信者)宛に電子メールを送ったケースに適用した場合、子供や孫が読めない漢字を選択しなければならないという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、上記したテキストを作成する側及び読む側双方にとって負担が少なく、テキスト中の漢字の読み仮名を付加表示することのできるテキスト表示装置、アプリケーションプログラム及びテキスト表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の視点によれば、テキスト表示処理を含むデータ処理を行うアプリケーション部と、前記アプリケーション部より入力されたテキストを解析して、該テキストに含まれる漢字部分に読み仮名(ルビ)を付加する読み仮名付加部と、を有し、前記アプリケーション部は、読み仮名(ルビ)を出力すると設定されている場合に、前記読み仮名付加部に対して表示対象のテキストを送信して読み仮名(ルビ)の付加を要求し、読み仮名(ルビ)付きのテキスト表示処理を行うテキスト表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第2の視点によれば、テキスト表示装置を構成するコンピュータに実行させるアプリケーションプログラムであって、テキスト表示するデータについて、読み仮名(ルビ)を出力すると設定されている場合に、表示対象テキストを解析して、該テキストに含まれる漢字に付する読み仮名(ルビ)を決定する処理と、前記決定した読み仮名(ルビ)を用いて、読み仮名(ルビ)付きのテキストを表示する処理と、を前記コンピュータに実行させるアプリケーションプログラムが提供される。
【0011】
本発明の第3の視点によれば、テキスト表示装置を構成するコンピュータに実行させるテキスト表示制御方法であって、テキスト表示するデータについて、読み仮名(ルビ)を出力すると設定されている場合に、前記コンピュータが、表示対象テキストを解析して、該テキストに含まれる漢字に付する読み仮名(ルビ)を決定する処理と、前記コンピュータが、前記決定した読み仮名(ルビ)を用いて、読み仮名(ルビ)付きのテキストを表示するテキスト表示制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、テキスト作成者にとっては、読み手の漢字読解力を気にせずにテキストを作成することが可能となり、また、読み手にとっては、知らない漢字が含まれる場合であっても、その内容を理解することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
続いて、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、本発明の概要を説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るテキスト表示装置の概略構成を表した図である。図1を参照すると、本発明に係るテキスト表示装置1は、読み仮名付加部11と、アプリケーション部12と、表示部13と、を含んで構成される。
【0015】
アプリケーション部12は、メモリ14や外部から取得した表示対象テキストを表示部13に表示する処理を含むデータ処理を行う手段である。例えば、メーラーや、ブラウザや、電子文書リーダー等がアプリケーション部12に該当する。アプリケーション部12は、表示設定項目として、読み仮名(ルビ)を出力するか否かを設定可能であり、読み仮名(ルビ)を出力すると設定されている場合に、読み仮名付加部11にテキストデータを送信し、読み仮名(ルビ)の付加を要求する。
【0016】
読み仮名付加部11は、アプリケーション部12から送られたテキストデータに含まれる漢字部分を検出し、検出した漢字部分に対応する読み仮名(ルビ)を決定し、テキストデータに付加して、アプリケーション部12に返す。上記漢字部分の検出には、例えば、形態素解析技術を用いることができる。また、上記漢字部分に対応する読み仮名(ルビ)を決定する方法としては、特許文献2に記載の辞書を参照して読み仮名を検索する方法を用いることができる。
【0017】
上記した読み仮名付加部11は、テキスト表示装置を構成するコンピュータに上記動作を実行させ、該コンピュータを読み仮名付加部11として機能させるプログラムによって実現することができる。アプリケーション部12も同様に、既存の各種アプリケーションプログラムに上記した機能を追加することによって実現することができる。
【0018】
上記のとおり構成されたテキスト表示装置1は、読み仮名(ルビ)を出力すると設定されている場合に、読み仮名付加部11に対して表示対象のテキストを送信して読み仮名(ルビ)の付加を要求し、表示部13に読み仮名(ルビ)付きのテキスト表示処理を行うため、表示対象のテキスト作成者にとっては、読み手の漢字読解力を気にせずにテキストを作成することが可能となり、また、読み手にとっては、知らない漢字が含まれる場合であっても、その内容を理解することが可能となる。
【0019】
[第1の実施形態]
続いて、本発明を携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム端末等の携帯端末に適用した第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るテキスト表示装置(携帯端末)の構成を表したブロック図である。図2を参照すると、読み仮名付加部21、メールアプリケーション部22、表示制御部23、CPU(Central Processing Unit)24、ROM(Read-Only Memory)25、RAM(Random Access Memory)26、電源処理部27、表示装置28、入力部29、無線部30を備えた携帯端末2が示されている。
【0021】
読み仮名付加部21は、上記した読み仮名付加部11に相当し、入力されたテキストデータに含まれる漢字部分を検出し、検出した漢字部分に対応する読み仮名(ルビ)を決定し、テキストデータに付加して、メールアプリケーション部22に返す動作を行う。
【0022】
メールアプリケーション部22は、電子メールの閲覧・作成・送受信を行うためのアプリケーションプログラム(メーラー)によって構成され、前記各処理を行うためのユーザインタフェースを提供する。メールアプリケーション部22は、表示設定項目として、読み仮名(ルビ)を出力しないと設定されている場合であっても、所定の操作が行われた場合には、読み仮名付加部21にテキストデータを送信し、読み仮名(ルビ)の付加を要求する。
【0023】
また、その他の構成要素については、当業者にとってよく知られているので、説明を省略する。
【0024】
続いて、本実施形態に係るテキスト表示装置の動作について図面を参照して説明する。図3は、本実施形態に係るテキスト表示装置の動作を表したフローチャートである。
【0025】
図3を参照すると、まず、メールアプリケーション部22は、ユーザの操作や自動受信設定等により、電子メールを受信すると(ステップS001)、表示設定項目として読み仮名(ルビ)を自動表示する設定となっているか否かを確認する(ステップS002)。
【0026】
読み仮名(ルビ)の自動表示設定がオンとなっている場合(ステップS002のYes)、メールアプリケーション部22は、表示対象のテキストデータにHTMLヘッダを付加して読み仮名付加部21に送信する(ステップS003)。また、読み仮名(ルビ)の自動表示設定がオフとなっている場合であっても(ステップS002のNo)、ユーザより、読み仮名表示をオンにする所定の操作が行われた場合には(ステップS006のYes)、メールアプリケーション部22は、表示対象のテキストデータにHTMLヘッダを付加して読み仮名付加部21に送信する(ステップS003)。
【0027】
一方、読み仮名(ルビ)の自動表示設定がオフとなっており(ステップS002のNo)、かつ、読み仮名表示をオンにする所定の操作が行われない場合には(ステップS006のNo)、ステップS003、S004は省略され、読み仮名の付加は行われない。もちろん、このときに、表示対象のテキストデータにHTMLヘッダを付加するようにしてもよい。これにより、受信したテキストデータに<ruby>タグが付加されている場合のルビ表示が可能となる。
【0028】
表示対象のテキストデータを受け取った読み仮名付加部21は、表示対象のテキストデータのすべての漢字部分に対応する読み仮名を<ruby>タグ等のタグにより挿入し、メールアプリケーション部22に返す処理を行う(ステップS004)。前記タグにより挿入する文字列(読み仮名)は、例えば、表示対象のテキストデータを形態素解析し、テキスト中のすべての漢字部分を抽出し、図示省略する仮名漢字辞書を参照して、漢字部分に対応する読み仮名を求めることにより決定することができる。
【0029】
メールアプリケーション部22は、HTMLヘッダが付加されているか否かにより、HTMLメール又はテキストのみのプレーンメールとして、表示制御部23に対し表示装置28への表示を要求する(ステップS005)。
【0030】
以上のとおり、本実施形態によれば、メーラーにて読み仮名(ルビ)を出力すると設定しておくことで、受信したメールに読み仮名を付すことが可能となる。これにより、電子メールの作成者にとっては、読み手の漢字読解力を気にせずに文面を作成することが可能となり、また、読み手にとっては、知らない漢字が含まれる場合であっても、受信メールの内容を理解することが可能となる。また、本実施形態によれば、読み仮名(ルビ)の自動表示設定をオフにすることで読み仮名(ルビ)を非表示とすることができるため、読み仮名が不要なユーザに不快感を与えるようなこともない。
【0031】
[第2の実施形態]
続いて、上記第1の実施形態と同様の構成で、HTMLタグを用いずに読み仮名を表示するよう変形を加えた本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図4は、本実施形態に係るテキスト表示装置の動作を表したフローチャートである。図4のステップS101〜S102及びS106は、それぞれ、上記した第1の実施形態のステップS001〜S002及びS006に対応し、同様の処理であるため説明を省略する。
【0033】
ステップS102で、読み仮名(ルビ)の自動表示設定がオンとなっている場合(ステップS102のYes)、及び、ユーザより読み仮名表示をオンにする所定の操作が行われた場合に(ステップS106のYes)、読み仮名付加部21に表示対象のテキストデータを送信する点は上記した第1の実施形態と同様である(ステップS103)。
【0034】
表示対象のテキストデータを受け取った読み仮名付加部21は、表示対象のテキストデータと、そのすべての漢字部分に対応する読み仮名と、を用いて組版して画像データ(又は電子文書データ)を生成し、メールアプリケーション部22に返す処理を行う(ステップS104)。前記画像データ(又は電子文書データ)は、例えば、表示対象のテキストデータに、上記したHTMLタグのほか、組版処理プログラムのタグを適宜挿入し、これらのタグにより組版処理を行うことで、作成することができる。
【0035】
最後に、メールアプリケーション部22は、上記のように作成された画像データが含まれたHTML形式の電子メール、上記のように作成された画像データ(又は電子文書データ)が添付された電子メール、あるいは、テキストのみのプレーンメールとして、表示制御部23に対し表示装置28への表示を要求する(ステップS105)。
【0036】
以上のとおり、本実施形態によっても、メーラーにて読み仮名(ルビ)を出力すると設定しておくことで、受信したメールに読み仮名を付すことが可能となる。
【0037】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。
【0038】
例えば、上記した実施形態では、電子メールに読み仮名(ルビ)を付する例を挙げて説明したが、その他ブラウザや、電子文書リーダーにおいても同様に、読み仮名(ルビ)の表示設定を選択できるようにし、読み仮名付加部にて読み仮名の付加をさせることが可能である。
【0039】
同様に、上記した実施形態では、携帯端末にてテキスト表示装置を実現した例を挙げて説明したが、これら携帯端末を含む各種端末にテキストを表示させる、メールサーバ、ウェブサーバ、その他各種アプリケーションサーバにおいても同様に、読み仮名(ルビ)の表示設定を選択できるようにし、読み仮名付加部にて読み仮名の付加をさせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るテキスト表示装置の概略構成を表した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るテキスト表示装置(携帯端末)の構成を表したブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るテキスト表示装置(携帯端末)の動作を表したフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るテキスト表示装置(携帯端末)の動作を表したフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
1 テキスト表示装置
2 携帯端末(テキスト表示装置)
11、21 読み仮名付加部
12 アプリケーション部
13 表示部
14 メモリ
22 メールアプリケーション部
23 表示制御部
24 CPU(Central Processing Unit)
25 ROM(Read-Only Memory)
26 RAM(Random Access Memory)
27 電源処理部
28 表示装置
29 入力部
30 無線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスト表示処理を含むデータ処理を行うアプリケーション部と、
前記アプリケーション部より入力されたテキストを解析して、該テキストに含まれる漢字部分に読み仮名(ルビ)を付加する読み仮名付加部と、を有し、
前記アプリケーション部は、読み仮名(ルビ)を出力すると設定されている場合に、前記読み仮名付加部に対して表示対象のテキストを送信して読み仮名(ルビ)の付加を要求し、読み仮名(ルビ)付きのテキスト表示処理を行うこと、
を特徴とするテキスト表示装置。
【請求項2】
前記読み仮名付加部は、読み仮名(ルビ)をHTMLタグとして挿入したデータを前記アプリケーション部に返すことを特徴とする請求項1に記載のテキスト表示装置。
【請求項3】
前記読み仮名付加部は、入力テキストと、読み仮名(ルビ)とを用いて組版した電子文書データ又は画像データを前記アプリケーション部に返すことを特徴とする請求項1に記載のテキスト表示装置。
【請求項4】
前記読み仮名付加部は、形態素解析により漢字部分を抽出し、辞書を参照して漢字部分に対応する読み仮名を決定する請求項1乃至3いずれか一に記載のテキスト表示装置。
【請求項5】
前記アプリケーション部は、電子メールの閲覧用のアプリケーションプログラムにより構成されていること、
を特徴とする請求項1乃至4いずれか一に記載のテキスト表示装置。
【請求項6】
前記アプリケーション部は、Webページの閲覧用のアプリケーションプログラムにより構成されていること、
を特徴とする請求項1乃至4いずれか一に記載のテキスト表示装置。
【請求項7】
テキスト表示装置を構成するコンピュータに実行させるアプリケーションプログラムであって、
テキスト表示するデータについて、読み仮名(ルビ)を出力すると設定されている場合に、表示対象テキストを解析して、該テキストに含まれる漢字に付する読み仮名(ルビ)を決定する処理と、
前記決定した読み仮名(ルビ)を用いて、読み仮名(ルビ)付きのテキストを表示する処理と、を前記コンピュータに実行させるアプリケーションプログラム。
【請求項8】
テキスト表示装置を構成するコンピュータに実行させるテキスト表示制御方法であって、
テキスト表示するデータについて、読み仮名(ルビ)を出力すると設定されている場合に、前記コンピュータが、表示対象テキストを解析して、該テキストに含まれる漢字に付する読み仮名(ルビ)を決定する処理と、
前記コンピュータが、前記決定した読み仮名(ルビ)を用いて、読み仮名(ルビ)付きのテキストを表示すること、
を特徴とするテキスト表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−163479(P2009−163479A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135(P2008−135)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】