説明

テクスチャ加工した支持表面を有する、熱現像の方法および装置

【課題】部分的に液化可能な組成物層を含有する感光要素を熱現像することによって、レリーフ構造を形成するための方法および装置を提供すること。
【解決手段】熱現像中、感光要素は、テクスチャ加工された外面を有するベース部材に支持される。外面のテクスチャは、特定の表面粗さおよび/またはパターンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光要素からレリーフ構造を形成するための方法および装置に関し、詳細には、部分的に液化することが可能な組成物層を有する感光要素を熱現像するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷版は、例えば厚紙やプラスチックフィルム、アルミ箔といった包装材料など、軟質で変形し易いものから比較的硬質なものまで、多岐にわたる表面に印刷することにおいて使用されることがよく知られている。フレキソ印刷版は、文献に記述されているような光重合組成物を有する感光要素から作製することができる(例えば、特許文献1および2参照)。光重合組成物は、一般に、エラストマー結合剤と、少なくとも1種のモノマーと、光開始剤とを含む。感光要素は、一般に、支持体と、カバーシートまたは多層カバー要素との間に介在させた光重合組成物の層を有する。化学線に対する画像様露光の際に、露光領域において光重合層の光重合が生じ、それによって、層の露光領域が硬化し、その領域が不溶性になる。慣用的には、感光要素を、適切な溶液で処理(例えば溶媒または水性ベースの洗浄)して非露光領域の光重合層を除去し、フレキソ印刷に使用することのできる印刷レリーフが残される。しかし、要素を溶液で処理する現像システムは、吸収された現像溶液を除去するために長時間(0.5から24時間)に及ぶ乾燥が必要になるので、時間がかかる。
【0003】
溶液現像の代替として、引き続いて行われる時間のかかる乾燥工程なしに非露光領域を除去する「乾式」熱現像法を使用することができる。熱現像法では、化学線に対して画像様露光された感光層を、感光層の非露光部分の組成物を軟化または融解させて吸収材料内に流入させるのに十分な温度において、吸収材料と接触させる。特許文献3、4、5、6、7、および8を参照されたい。感光層の露光部分は、硬質のままであり、非露光部分の軟化温度で軟化も融解もしない。吸収材料は、軟化した非照射材料を収集し、次いで感光層から除去される。非照射領域から流動性組成物を十分に除去して、印刷に適切なレリーフ構造を形成するために、感光層の加熱および接触のサイクルを数回繰り返すことが必要になる可能性がある。そのような処理の後、照射された画像を表す、照射され硬化した組成物の隆起したレリーフ構造が残る。
【0004】
フレキソ印刷要素を熱現像するための処理機が知られている。照射された印刷要素を取り扱い、加熱およびプレスを反復して非照射組成物を要素から除去するための、自動化法および装置が記載されている(特許文献8参照)。該装置は、約30から60の間と評価されるショアA硬度を有するシリコーンゴム組成物層で被覆された予熱ドラムを含む。ゴム被覆にアルミニウム粒子を含浸させてもよい。また、感光要素を熱処理するための方法および装置も記載されている(特許文献9参照)。この装置はドラムを含み、該ドラムの平滑な金属表面は、ゴム組成物および/または薄い粘着付与被覆層で被覆される。ゴム被覆は、現像熱ローラによって加えられる圧力下で変形することができる弾性表面を提供する。粘着付与層は、処理中にドラムが回転するときに、感光層をドラムに一時的に接着し、またゴム層が存在しない場合には、ドラムと感光要素との間の熱伝導率を改善することができる。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,323,637号明細書
【特許文献2】米国特許第4,427,759号明細書
【特許文献3】米国特許第3,060,023号明細書
【特許文献4】米国特許第3,264,103号明細書
【特許文献5】米国特許第5,015,556号明細書
【特許文献6】米国特許第5,175,072号明細書
【特許文献7】米国特許第5,215,859号明細書
【特許文献8】米国特許第5,279,697号明細書
【特許文献9】米国特許第6,797,454B1号明細書
【特許文献10】国際公開第98/13730号パンフレット
【特許文献11】米国特許仮出願第60/627222号
【特許文献12】米国特許出願公開第2005/0211119号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2005/0211120号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2005/0211121号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2005/0241509号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2005/0142494号明細書
【特許文献17】米国特許仮出願第60/533711号
【特許文献18】米国特許第4,323,636号明細書
【特許文献19】米国特許第4,753,865号明細書
【特許文献20】米国特許第4,726,877号明細書
【特許文献21】米国特許第4,460,675号明細書
【特許文献22】米国特許第5,262,275号明細書
【特許文献23】米国特許第5,719,009号明細書
【特許文献24】米国特許第5,607,814号明細書
【特許文献25】米国特許第5,506,086号明細書
【特許文献26】米国特許第5,766,819号明細書
【特許文献27】米国特許第5,840,463号明細書
【特許文献28】欧州特許出願公開第0741330号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
商業上CYREL(登録商標)FAST 1000TD処理機として特定される、熱処理機の1つの実施形態では、ドラムの外面が、ショアA硬度50のシリコーンゴム層と、該ゴム層上の粘着付与層とを含む。粘着付与層は、Dow Corningから入手可能なDOW 236、すなわち溶媒中のシリコーン分散物である。ドラムの最外面は、粘着付与層のコーティングが乾燥するときに形成される、いくらかの最小限のレベルの粗さを有する可能性がある。しかし、多くの場合、表面粗さは一貫して存在するものではなく、また存在する場合であってさえも、その表面は、熱処理中の感光要素に対して所望の状態をもたらすのに不十分である。
【0007】
これらの熱現像処理機において、ドラムは、ドラムが回転するときにドラムに対して感光要素を保持するのに十分な粘着力を持たなければならず、さらに、感光要素の直下に捕捉された空気を逃がさなければないという問題が生ずる。感光要素の商業上の実施形態で、支持体は、典型的には比較的平滑な面を有するポリマーフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムのようなもの)である。要素の支持体は、ドラム表面に接して存在する。要素の取付け中に支持体がドラムの粘着面と接触するときに、要素およびドラムの比較的平滑な面の間に、捕捉された空気のポケットが形成される可能性がある。要素とドラムとの間に捕捉された空気は、熱処理中に、要素の過熱、特に支持体の過熱を引き起こす可能性があり、それは得られるレリーフ要素中の欠陥を誘起する可能性がある。ドラム表面と接触している支持体区域は、要素からドラムへと熱を逃がすことができるが、それに対して、空気ポケットを下に有する支持体区域は、すなわちドラム表面に接触しておらず、過熱される。熱処理中、過熱された支持体領域に起因して、支持体がガラス転移温度よりも高い温度になる場合、支持体の寸法安定性は損なわれる可能性があり、および制御不能に歪む可能性がある。
【0008】
ドラム表面に隣接するマット層またはマット面を備えた支持体を有する慣用の感光要素を使用して、捕捉された空気の除去を補助することができる。しかしながら、一般に、マットな支持体は、特に弾性外層を備えたドラムに関して、ドラムへの取付け中の空気の捕捉を克服するのに十分なほどには粗くない。例えばマット層内のマット粒子のサイズまたは密度を増大させることによって、支持体のマット面の粗さを増大させて空気の捕捉を減少させたとしても、フロアを形成するための支持体を通した露光、および印刷機への版材の接着のような感光要素の最終用途の操作(procedure)が、著しく影響を受ける可能性がある。
【0009】
さらに、ドラム表面は、熱現像中にドラムに対して感光要素を保持するのに十分な粘着力を有するべきである。粘着層の不充分な粘着性は、要素を加熱して吸収材料と接触させる現像サイクルの間にドラムが要素を回転させるときに、感光要素を所定位置に保持しないであろう。ドラムに接触した状態で感光要素が適切に保持されない場合、要素が、処理機のその他の部品とが擦れ合い、比較的軟らかい印刷面を損傷する可能性がある。加熱要素の配置(orientation)に依存するが、感光要素が加熱要素の高温表面に接触して、感光要素または加熱要素、あるいはその両方の損傷をもたらす可能性がある。
【0010】
熱処理中、感光要素は、ドラム表面の不十分な粘着力に起因して、あるいは捕捉された空気のポケットにより、ドラム表面から浮上または沈下する可能性があり、それは要素とドラムとの間に制御されない分離をもたらす可能性がある。感光要素が依然として高温である間の制御されない浮上または沈下は、局所加熱およびドラムからの支持の喪失に起因して要素を脆弱化し、要素の構造内に歪みを引き起こして、得られる印刷レリーフ要素に欠陥(うねりと呼ばれる)を生じさせる可能性がある。支持体がガラス転移温度よりも高い温度である間に要素に与えられた不均一な歪みは、要素が冷却された後または室温に戻った後にも残存する変形をもたらす。変形は、局在化した歪みのうねりであり、感光要素の非平面状のトポグラフィをもたらす。従来技術の熱現像における捕捉された空気ポケット、およびウェブの分離の制御されない性質の理由により、歪みのうねりは、処理された要素のそれぞれの異なる位置で形成される可能性がある。さらに、ドラムから浮上または沈下した感光要素の領域は、それらがニップを通過するときにさらに歪み、支持層に永久的な皺をもたらす可能性がある。
【0011】
うねりおよび/または皺を有するレリーフ印刷フォームは、劣悪な印刷性能をもたらす。多色印刷では、レリーフ印刷フォームの1つまたは複数にうねりがある場合、印刷された画像の劣悪な位置合わせを有する。単色印刷であっても、レリーフ印刷フォームにうねりがあると、例えば直線を曲線として印刷することによって、その原本を正確な再現ではない画像を印刷する可能性(いわゆる画像の非忠実性)がある。さらに、うねりを有するレリーフ印刷フォームは、印刷フォームのインク付けされた表面と、被印刷基板との断続的な接触に起因して、画像を不完全に印刷する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、外面および内面を有し、かつ部分的に液化可能な組成物の層を含む感光要素から、レリーフ構造を形成するための方法を提供する。この方法は、第1の部材によって外面に現像媒体を供給する工程と、外面を有するベース部材上に感光要素を支持する工程であって、該要素の内面はベース部材の外面に隣接する工程とを含む。ベース部材の外面は、250から1000μmの長さスケールで測定されるときに、少なくとも1μmの粗さRqを有する面;500から3000μmの長さスケールで測定されるときに、少なくとも3μmの粗さRqを有する面;溝、チャネル、ピーク、連結セル、または溝、チャネル、ピーク、連結セルの組合せのパターンを有する面;および、前記粗さと、溝、チャネル、ピーク、および連結セルのパターンとの前記組合せを有する面からなる群から選択されたテクスチャを有する。
【0013】
本発明の別の態様によれば、外面および内面を有し、かつ部分的に液化可能な組成物層を含有する感光要素から、レリーフ構造を形成するための装置が提供される。この装置は、第1の部材によって外面に現像媒体を供給する手段と、外面を有するベース部材上に感光要素を支持する手段であって、該要素の内面はベース部材の外面に隣接する手段とを含む。ベース部材の外面は、250から1000μmの長さスケールで測定されるときに、少なくとも1μmの粗さRqを有する面;500から3000μmの長さスケールで測定されるときに、少なくとも3μmの粗さRqを有する面;溝、チャネル、ピーク、連結セル、または溝、チャネル、ピーク、連結セルの組合せのパターンを有する面;前記粗さと、溝、チャネル、ピーク、および連結セルのパターンとの前記組合せを有する面からなる群から選択されたテクスチャを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下の詳細な記述全体を通して、図面の全ての図において、類似の参照符号は類似の要素を指す。
【0015】
本発明は、感光要素からレリーフ構造を形成するための方法および装置である。詳細には、本発明は、好ましくはフレキソ印刷フォームを形成するための、感光要素を熱現像する方法および装置である。本発明は、部分的に液化可能な組成物層を有する感光要素を、任意の目的で該層の少なくとも一部を融解または軟化または液化させるのに十分な温度まで加熱することのできる方法および装置について検討する。
【0016】
熱現像では、組成物層の未硬化部分を液化(すなわち融解または軟化または流動)させ、そして吸収材料との接触によって取り除く現像温度まで、感光要素を加熱する。感光層の硬化部分は、未硬化部分よりも高い融解温度または軟化温度または液化温度を有し、したがって、熱現像温度では、融解も軟化も流動もしない。フレキソ印刷版を形成するための感光要素の熱現像は、文献に記載されている(特許文献5、6、7、および10参照。)。感光要素は、基板と、少なくとも該基板に取り付けられた組成物の層とを含む。組成物層は、部分的に液化可能である。
【0017】
「融解」という用語は、軟化および粘度を低下させて吸収材料による吸収を可能にする、高温にさらされた組成物層の非照射部分の挙動を記述するのに使用される。組成物層の融解可能な部分の材料は、通常、固体と液体との間で鮮明な転移が生じない粘弾性材料であり、したがってこのプロセスは、吸収材料中の吸収のためのある閾値よりも高い任意の温度で、加熱された組成物層を吸収するように機能する。そのため、組成物層の非照射部分は、高温にさらされたときに軟化または液化する。しかし本明細書全体を通し、「融解」「軟化」および「液化」という用語は、組成物が固相と液相との間の鮮明な転移温度を有するのか否かに関わらず、組成物層の加熱された非照射部分の挙動を記述するのに使用することができる。本発明の目的において、組成物層を「融解」するために広い温度範囲を利用してもよい。プロセスの正常な動作中においては、吸収は、より低い温度ではより遅く、およびより高い温度ではより速い。
【0018】
感光要素を熱現像するのに適当な装置は、文献に開示されている(特許文献8および特許文献9参照)。特許文献8は、熱処理のために感光要素が平面状表面に配置される2つの実施形態を示す。両方の文献ともに、熱処理のための感光要素を支持するドラムを示している。全ての実施形態の感光要素は、プレート(plate)の形態である。円筒形状の感光要素を熱現像するのに適切な別の装置が、文献に開示されている(2004年11月12日出願の特許文献11(代理人整理番号GP−1212)参照)。さらなる適切な熱現像装置が、文献に開示されている(特許文献12、13、14、および15参照)。当業者が上記装置のそれぞれを改造して、テクスチャ加工した外面を有するべース部材に適合させることができることを理解すべきである。
【0019】
本発明は、テクスチャを有する外面を有するベース部材上に、感光要素を支持する工程を含む。外面のテクスチャは、熱処理中に感光要素に欠陥を誘起する傾向を減少させる。本発明にしたがって熱処理された感光要素は、変形および/または歪み(例えばうねり)が全くないか、または減少している。うねりは、シェブロンと呼んでもよい。ベース部材のテクスチャ付き表面が、感光要素とベース部材との間に空気を捕捉することを減少または排除する。該要素の下で、空気はより容易に流出および/または再分配されるので、感光要素がより均一に加熱され、および過熱して要素内に制御不可能な歪みをもたらすことがない。また、テクスチャ付き表面は、熱処理中の感光要素のいくらかの移動または滑りを許容して、起こり得る感光要素の熱膨張を補償することもできる。また、1つの実施形態では、外面のテクスチャは、ベース部材に対する感光要素の有効粘着力を低下させることができ、それは、依然としてベース部材上に感光要素を保持するのに十分な粘着性であると同時に、版材が沈下せずに滑ることを可能とする。別の実施形態では、外面が、要素とベース部材との間の空気の捕捉を十分に排除するテクスチャを有し、および熱現像中に版材がスライドまたは滑らないような程度の粘着性を有する。
【0020】
ベース部材の外面のテクスチャは、250から1000μmのスケールで測定される少なくとも1μmの粗さRqを有する面;溝、チャネル、ピーク、連結セル、または溝、チャネル、ピーク、および連結セルの組合せのパターンを有する面;前記粗さRqと、溝、チャネル、ピーク、および連結セルの前記パターンとの組合せを有する面からなる群から選択される。
【0021】
表面粗さについて記述する複数の方法があるが、最も一般的な測定は、走査方向(x)の関数としてのプロフィル高さ(y)で表される、表面の2次元表示を生成する。この情報から、多数の表面プロフィルパラメータの1つまたは複数を、計算することができる。多くの場合、Ra、RqおよびRz(DIN)のような特定のパラメータが記述子として使用され、これらは表面プロフィルの分析に基づく計算値である。Raは、表面プロフィル平均値からの、表面プロフィルの平均偏差を表す。Rqは、平均線からのプロフィルの偏差の2乗の平均(すなわち、プロフィル偏差の標準偏差)を表す統計分析である。Rz(DIN)は、プロフィル走査を5つの均等な長さに分け、走査長の5つのサブセットそれぞれにおけるピークから谷までの最大距離を決定し、プロフィルの5つのピークから谷までの最大偏位の平均をとる。本発明では、表面粗さをRqとして表す。
【0022】
表面粗さは、窪みおよび突起で構成される、固体表面の接近して離間された凹凸である。支持部材の外面の表面粗さは、光学干渉法によって得られるデータの分析、特にISO4287またはDIN4762によって規定される表面粗さ測定値Rqを適用することによって、測定することができる。本発明において、表面粗さRqは、表面プロフィルにおける偏差、すなわち平均表面または平面からの突起およびピットにおける偏差の2乗の平均(すなわち、プロフィル偏差の標準偏差)を表す統計分析である。表面粗さは、Rq、または2乗平均(RMS)粗さとも呼ばれる。長さスケールは、粗さを計算するための計器によって使用される測定領域であり、一般に、長さの単位(例えばμm(マイクロメートル))で表される。長さスケールは重要である。なぜなら、測定の長さスケールよりも大きい造作は完全には横断されず、したがって、得られる粗さ測定値の中に完全に取り込まれないからである。同様に、長さスケールを増大させることは、問題となっている表面テクスチャに関連しないサンプルの曲率に対して、測定の感受性をより高くする可能性がある。これらの方法によって決定される属性Rqにより定義される外面の表面粗さは、250から1000μmの長さスケールで測定されるときに少なくとも1μmであり、特に250から750μmのスケールで測定されるときに少なくとも1μmであり、最も特別には、700から750μmのスケールで測定したときに少なくとも5μmである(すなわち、例えば、250から1000μmの長さスケールで測定された少なくとも1μmのRqは、計器によって測定される250から1000μmの領域における、平均表面または平面からの表面プロフィルの偏差の2乗の1μm平均を表す)。1つの実施形態において、表面粗さRqは、250から1000μmのスケールで測定される1から11μmである。特に、支持部材の外面の表面粗さRqは、500から3000μmの長さスケールで測定したときに、少なくとも3μmであることが望ましく、特に、700から3000μmの長さスケールで測定したときに、少なくとも5μmであることが望ましい。別の実施形態で、外面は、700から3000μmの長さスケールにおいて、少なくとも3μm、好ましくは3から25μm、より好ましくは5から15μmの表面粗さRqを有する。外面は上述のように粗くてもよいが、外面の過度の粗さは感光要素に有害であり、および得られる印刷要素の印刷性能に影響を及ぼす。特に、熱現像中に感光要素に対する吸収材料の押圧接触の典型的な条件下において、感光要素の支持体面は、過度に粗いベース部材の外面によってエンボス加工ないし粗面化される恐れがある。さらに、表面粗さを増大させることは、有効接触面積を減少させる可能性があり、そのため、ベース部材に対する接着性および熱伝達を損なう恐れがある。感光要素を用いるシステムの最適な性能のためには、表面粗さは、硬度および粘着性のような、表面を形成する材料の他の特性に依存する可能性がある。したがって、前述のような表面粗さRqを有するテクスチャ付き外面の使用は、要素そのものに及ぶいかなる影響に対しても、均衡を保つべきである。外面は、平面からの複数の突起および複数の窪みを包含する平面を画定する。突起は、平面からの高さ(典型的な場合は正の数で表される)を有する。窪みは、平面からの高さ(典型的な場合は負の数で表される)を有する。ベース部材の外面は、平面からの突起を表す平均高さによって特徴付けられ、ここで、平均して複数の突起は複数の窪みと同一またはそれ以上の高さを有することができ、および/または、突起は、ピットの数と同一それ以上の数でよい。特に、平均高さからの偏差の分布プロットは、より多くの偏差は、平均表面高さよりも高い突起であることを示す。このデータ分布の特徴を示す統計値は、分布の歪度である。正の歪度統計値は、正方向に歪んだ分布(正の側により長いテールを有する分布)を示し、歪度統計値の大きさは、対称からの偏差の程度を示している。負方向に歪んだ分布は、その反対の内容を示し、突起よりも窪みが豊富であることを示す。好ましいものは、対称的分布、または正方向に歪んだ分布である。最も好ましいものは、正方向に歪んだ分布である。1つの実施形態において、外面は、それぞれが平面に対して高さを有する複数の突起および複数の窪みを包含する表面粗さを有し、平均高さからの偏差の全範囲の少なくとも60%が、平均表面より高い突起である。
【0023】
また、例えば単位面積当たりの表面突起の数(すなわち密度)、パーセントで表される突起領域範囲、および平均突起サイズ(高さ)のような3次元表面構造測定基準によって、ベース部材の外面の表面トポグラフィを特徴付けることも望ましいと考えられる。このような状況において、平均表面の高さまたは面に関して基準バンドが定義される。この基準バンドを超えて延びる表面突起を、突起と定義する。同様に、基準バンドよりも深い窪みを、窪みと呼ぶ。突起および窪みの数(または密度)、高さ、およびサイズ(面積)は、光学プロフィロメトリの結果から、または当業者に知られているその他の方法によって、決定することができる。本出願人は、特定の理論に拘泥することを望んでいないが、表面から少なくとも10μm延びる(20μmの基準バンドより高い)突起が、版材の下に捕捉される空気の除去に十分なチャネルを提供するのに有益であると考えられる。さらに、十分な平均突起表面積は、処理中に所定の位置に版材を保持するのに十分な粘着力、および任意の必要とされる熱伝達を促進するのに十分な熱接触をもたらすのに有益である。この組合せは、熱処理中に、うねりまたはその他の分布を形成する傾向を低下させるようである。
【0024】
溝、チャネル、ピーク、および/または連結セルのパターンは、規則的で反復可能なパターンであることができ、または不規則なパターンであることができる。溝またはチャネルそのものは、規則的または不規則な断面および深さを有することができる。同様に、連結チャネルを備えた一連のグラビアセルのような連結セルのパターンは、規則的または不規則であることができる。溝、チャネル、ピーク、および/または連結セルのパターンは、それぞれが、外面に複数のマクロ要素を形成し、その場合、1つのマクロ要素から隣接するマクロ要素にわたって、すなわち1つの溝から隣接する溝にわたって、および/または1つのチャネルから隣接するチャネルにわたって、および/または1つのセルから隣接するセルにわたって、および/または1つのピークから隣接するピークにわたって、(外面の平面から)少なくとも20μmから最大200μmの深さの凹部が生成される。外面が、主にメジアン表面より下の窪みであるパターンを有する場合、これらの窪みを連結し、または要素の縁部で終わらせて、空気を要素の下から流出させ、閉じたセル内に捕捉された状態にしないことが望ましい。
【0025】
また、外面は、溝、チャネル、ピーク、または連結セルのパターンであるテクスチャを、250から1000μmの長さスケールで測定される少なくとも1μmの表面粗さRq、または500から3000μmの長さスケールで測定されるときの少なくとも3μmの表面粗さRqと併せて有することも可能である。この場合、パターンのマクロ要素は、表面粗さRqである接触面(すなわち外面)を有する。
【0026】
テクスチャは、ベース部材の外面、例えば、ドラムの金属支持面または可撓性支持部材に組み込むことができる。あるいはまた、テクスチャを、ベース部材上にある修飾材料の最外層(単数または複数)に組み込んで、最外層(単数または複数)がベース部材の外面を形成するようにすることができる。テクスチャは、典型的には加圧下でのエンボス加工;典型的には硬化または凝固を行う前の成型;化学エッチングまたは写真製版エッチング;およびレーザ放射線による彫り込みを含む任意の手段によって、外面(すなわち金属面、あるいは修飾材料の最外層(単数または複数))に組み込むことができる。エンボス加工の方法は限定されず、ローラやプラテンなどのエンボス加工ツールを、ベース部材の外面に適用することを含むことができる。エンボス加工ツールは、外面にパターンをエンボス加工するパターン形成された面を有することができ、または、外面に隆起したパターンをエンボス加工することのできる、平滑な面を有することができる。また、表面コーティングの当業者に知られる任意の手段によって、ベース部材にテクスチャを適用することもでき、そのような手段には、粗面化材料または非相溶性材料をコーティング材料に組み込むこと、付着、硬化、または後処理プロセス中に、材料の選択的な堆積または除去を行うこと、あるいは表面エネルギーで推進される流れを使用して、コーティングの局所的なディウェッティングを引き起こし、それによって不均一な仕上げをもたらすことを含むが、これらに限定されるものではない。例えばシリカ、PMMAビーズ、TiO2のような充填剤および微粒子は、粗面化成分としての使用に適している。粗面化成分を樹脂や塗料などのキャリアに組み込み、ベース部材に付着させて、テクスチャ加工された表面を生成することができる。また、連続気泡発泡体、および連続気泡になることのできる独立気泡発泡体も、本発明での使用に適している。修飾材料でテクスチャ付き外面を形成する1つの実施形態は、テクスチャ加工用スプレイガンでシリコーン分散物を付着させることによる。表面コーティングの当業者なら、多くの場合に不均一な表面が生じること(および、しばしば「オレンジピール」のような欠陥であると見なされるであろうこと)、および不均一な表面は付着および硬化プロセスのパラメータに関係することを理解するであろう。したがって、上記特徴を備えた表面を生成することもできる、コーティング処理条件の組があると考えられる。テクスチャ付き外面は、フォトイメージングプロセス(すなわち、画像様露光および処理して、パターンテクスチャを形成する)を受けることのできる感光材料で形成することもできる。適切なテクスチャパターンを形成することができ、また修飾層として使用するのに適したその他の性質を有するという条件において、任意の感光材料を使用することができる。1つの実施形態では、フレキソ印刷要素が感光材料として使用される。なぜなら、フレキソ印刷要素は、適切な凹部のパターンを容易に形成することのできる比較的厚い光重合層を有するからである。この実施形態で、印刷要素はエラストマー性であり、該要素は、同様に適切な弾性表面を備えたベース部材を提供する。加えて、特にその要素がライト仕上げおよび/または後露光されていない場合、またはごくわずかになされている場合に、感光性エラストマー要素は、本来的に、外面に対して適切な粘着性を与えることができる。ライト仕上げまたは後露光されていない感光性エラストマー要素の外面の粘着力は、600g程度であり、低レベルのライト仕上げがなされたに過ぎない感光性エラストマー要素では、約530g程度である。
【0027】
ベース部材の外面用に選択される表面テクスチャは、外面の粘着力の程度に影響を受ける可能性があり、同様に、外面の粘着力の程度は、ベース部材および熱ローラの幾何形状および/または配置、特に材料の硬さおよび熱伝導率が考慮される構成材料、感光要素を取り付ける方法、熱現像の動作条件、および/または現像される感光要素の特性のようなシステムのその他のパラメータに依存する可能性がある。
【0028】
外面の粘着力は、ASTM D2979−01に概説される手順に従って、タックテスター装置により測定することができる。この装置は、ある時間にわたって試験表面に押圧される、特定の接触面積を有するプランジャを含む。この「ドウェル負荷」を、ある負荷時間にわたって適用し、次いでドウェル時間にわたってそのままにしておく。次いで、この装置のプランジャを、指定速度で上昇させ、接着結合を破断して試験表面からプランジャを持ち上げるのに必要な最大の力(g単位)を記録する。本発明の外面を試験するためのタックテスター装置に適切な条件の組合せは、ドウェル負荷500g、負荷時間4秒、ドウェル時間1秒、直径0.95cm(面積0.71cm2)である接触区域を有するプランジャ、および引張り(分離)速度600mm/分を含む。これらの条件のいくつかは、ASTM標準試験で推奨されるものから逸脱していることに注意されたい。
【0029】
ベース部材の形状は限定されず、ドラム、ローラ、プラットフォーム部材、およびテーブルトップまたはプラテンのような平面状支持体を含むことができる。ベース部材は、熱処理中に感光要素を支持する。感光要素は、ベース部材の外面に隣接する内面を有する。ベース部材の外面は、このベース部材と一体化していてもよい。あるいはまた、可撓性支持部材をベース部材上に設置し、それによってベース部材の外面を形成してもよい。可撓性支持部材は、ベース部材の外面を必要に応じて容易に交換することができるように、ベース部材に取外し可能に取付けることができる。可撓性支持部材、およびそのベース部材に対する取外し可能な取付けは、特許文献16(この優先権は、2003年12月31日出願の特許文献17からのものである)に記述されている(特許文献16、17参照)。
【0030】
図1は、熱処理器10の1つの実施形態を示す。ベース部材19として働くドラム18は、固定支持枠12上に回転できるように取り付けられ、矢印18aで示されるように、反時計回りの方向に回転する。ベース部材19は、ベース部材19の形状が熱現像プロセス中に著しく変化しないように、非可撓性または実質的に非可撓性である。感光要素16は、供給トレイ14の表面13に置かれ、矢印14aで示される方向に推進される。ドラム18は、感光要素16の前縁を捕えて、要素16をドラム表面に取り付けるクランプ20を含む。
【0031】
クランプ20およびクランプアセンブリは、文献に記述されている(特許文献9(特に図1から5までに関係する)参照)。クランプ20は、ドラム18の外面22に、横向きに、同一平面になるよう取り付けられる。凹部領域20aを横断するクランプ20の歯の断面を、図1に示す。1つの実施形態では、クランプ20が細長く、ドラム18の回転方向18aとは反対の方向の接線方向に延びる複数の歯を有する。クランプ20は、要素16の全幅を拡張してもよい。操作時には、アクチュエータ手段によって、クランプ20を、半径方向外向きに、ドラム18の外面22から引き離して上昇させる。アクチュエータ手段は、クランプ20と、ドラム18上のクランプ20のための凹部領域20aとの間に要素16の前縁を挿入するのに十分なクリアランスを提供するのに十分な高さまで、クランプ20を持ち上げる。クランプアセンブリは、クランプ20を引き戻して、要素16の前縁をしっかりと把持し、ドラム18の外面22上の所定位置に要素16を保持する。
【0032】
1つの実施形態において、ドラム18の外面22は、感光要素16の内面に隣接する、テクスチャを有するベース部材の外面である。この実施形態において、ドラムの外面22は、以下に述べるような、修飾材料の少なくとも1つの層を含むことができる。
【0033】
図1に示す実施形態では、熱現像中に感光要素16を支持するために、可撓性支持部材118をドラム18の外面22上に取り付ける。可撓性支持部材は、ドラム18の外面22に隣接する内面を有し、その内面の反対側は、テクスチャを有る外面120である。ベース部材19は、支持部材118のための円筒形状の支持体である。可撓性支持部材118は、ドラム18の外面22に直接接触してもよく、あるいは、支持部材118とドラム18との中間に、1つまたは複数の材料層があってもよい。支持部材118は、部材118が下にあるベース部材19(この実施形態ではドラム18である)の形状に順応するように、可撓性である。したがって、可撓性支持部材の外面120は、要素16を加熱する間中、および該要素を吸収材料35へと送り出すために、感光要素16を支持する。処理中は、要素16の内面は、支持部材118の外面120に実質的に接触したままである。
【0034】
図2Aおよび2Bを参照すると、可撓性支持体118は、キャリア122を含み、該キャリアの片面または両面に付着される、材料の少なくとも1つの層124を有してもよい。キャリア122がその片面に該層を含む1つの実施形態では、キャリア122の1つまたは複数の層124とは反対側の面がドラム18の外面22に隣接するように、支持部材118をドラム18に取り付ける。支持部材118はドラム18の外面22に巻き付けるのに適した長さを有し、ドラム18に対する安定した取付のために、支持部材118の両端126が接合または重なり合うようにする。支持部材118の両端126のそれぞれの端部には、両端126が重なったときに一致する複数の開口部(図示せず)がある。端部126の開口に一致する複数の開口部を有する棒部材128は、ドラム18に対して支持部材118を固定し、張力をかける。ボルト130のような留め具を、棒部材128の開口部を貫き、次いで支持部材118の一致した開口部を貫いて配置し、ドラム18上のクランプ20の凹部領域20aに固定する。棒部材128は、ドラム18の軸方向長さと同一または実質的に同一の長さであることができる。1つの実施形態で、棒部材128は、ドラム18および支持部材118の軸方向長さよりも約2インチ短く、クランプ20用の凹部領域20aに適合するよう成形される。図2Bに示すように、留め具すなわちボルト130をドラム18中に固定する際に、棒部材128は、ドラムの円周に沿って支持部材118を引張し、それによって、支持部材118にドラム18の外面22に接触させて張力をかける。支持部材118、棒部材128、およびボルト130は、感光要素16の前縁を保持するクランプ20およびクランプアセンブリに干渉しないように、凹部領域20a内に配置される。この位置は、熱ロール38またはニップ60に対するそれらの干渉も排除する。例えば、留め具すなわちボルト130(および開口部)を、クランプ20の歯の間に配置する。そのようにして、支持部材118がドラム18に固定されている際に、クランプ20は依然として機能することができる。
【0035】
支持部材118を、ドラム18に対して引張する際に、ドラムと、キャリア122上に存在する任意の層124を含む支持部材との間の熱伝達が促進される。図2Aおよび2Bに示される記載された実施形態に加えて、支持部材118をドラム18の外面22に緊張状態で固定するための代替方法があることを理解することは、当業者の範囲内である。
【0036】
支持部材118は、ドラム18の全幅を被覆または実質的に被覆する幅(横方向)を有する。1つの実施形態において、支持部材118をドラム18に対して張力をかけることは、支持部材のそれぞれの側辺をドラムの外面22に固定する必要なしに、ドラムに対して支持部材を保持するのにも十分である。当該技術分野において慣用の任意の手段によって支持部材118の側辺をドラム18に接着して、支持部材を所定の位置に固定するとともに、必要に応じて支持部材を除去する能力を依然として維持することが望ましい可能性がある。
【0037】
キャリア122は、本発明の熱現像プロセスで機能するのに適当な熱伝導率および機械的強度を有する任意の材料で作製することのできるシートである。また、キャリア122用の材料は、修飾材料の層124を接着することができるものであるべきである。1つの実施形態において、キャリア122は金属であり、好ましくはアルミニウムであるが、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、またはその他の金属で作製することもできる。キャリア122としての使用に適切なその他の材料は、ポリエステルおよびポリイミドのようなポリマーフィルム;繊維強化ポリマーフィルム;および複合材料を含む。上述の特徴に加え、キャリア122には、寸法安定性であるべきであり、かつ本発明の熱現像プロセスに付随する熱に耐性があるべきである。1つの実施形態において、キャリア122は、その外面120に、少なくとも1つの修飾材料の層124を含む。
【0038】
少なくとも1つの修飾材料の層124は、弾性層、または粘着層、または弾性層および該弾性層上の粘着層、または弾性および粘着性の両方をもたらす単一の層であることができる。粘着層は、下に存在する弾性層の保護層としても機能することができる。あるいはまた、弾性層と粘着層との間に、保護層を介在させることができる。弾性層は、天然ゴム、エラストマー材料、合成ゴムおよびエラストマー材料のような、約30から約75の間のショアA硬さをもたらす任意の材料(ゴム、シリコーンゴム、および圧縮性発泡体を含む)から構成することができる。シリコーンゴムおよびゴムが、特に好ましい。本発明において決定的ではないが、層124の硬さは重要である。弾性層によって提供される弾性表面は、熱ロール38によって印加される圧力下での表面変形の結果として、より長いニップゾーンをもたらすことができる。ゴムの弾性は、ドラム18と熱ロール38との間の軽度の位置合わせ不良にも順応する。弾力層は、支持部材の熱伝達特性を10〜20パーセントの間で改善するために、アルミニウム粒子のような金属粒子を含むことができる。
【0039】
粘着層は、ドラム18が回転するときに支持部材118上に感光要素を維持する一方で、現像が完了した後にドラムから感光要素を取り外すことを可能にするのに必要な接着性をもたらすために、任意の適切な材料を有することができる。表面が本発明での使用に適した粘着性を有するかどうかを決定するために、試験を行うことができる。提案される試験は、感光要素の比較的小さい部分(約3インチ×3インチ、約7.6cm×7.6cm)を、ドラム18上に配置される支持部材118の粘着表面上に配置すること、重力が該部分を支持部材118から引き離す方向に向くようにドラムの配置すること、および該部分が粘着表面上に保持される時間を決定することを伴う。重力をかけながら、該部分が支持部材118上に少なくとも3秒間にわたって保持される場合、その表面は本発明で使用するのに適切な粘着性である。粘着層の粘着性は比較的低く、すなわち、要素16は、印刷シリンダ表面に接着によって取り付けられる印刷版の取外しとは異なり、現像後にドラム18から容易に取外し可能であるべきである。感光要素に対して取外し可能な接着性を有する粘着層に加えて、粘着層用の材料の選択は、下に存在する層の材料の選択によっても左右される。粘着層は、下に在る弾性層、または下に在る弾性層上の保護層、またはキャリア層にも接着しなければならない。下に在る弾性層がシリコーンゴムである場合、粘着層に好ましい材料は、Dow Corning 236分散物のようなシリコーンベースの材料である。最後に、外層にテクスチャを施す必要性が、選択される材料に影響を及ぼす可能性がある。同様に、選択されるテクスチャは、表面の有効粘着力に影響を及ぼす可能性がある。
【0040】
キャリア122が、シートの反対面に1つまたは複数の追加の層を有してもよいことが考えられる。反対面にある1つまたは複数の層は、シートの一方の面にある層124(1つまたは複数)と同じ目的を持つことができる。そのようにして、それぞれの面に同じ層(単数または複数)124を有する支持部材118は両面使用可能であり、この面の最外層にもテクスチャを有することを条件として、廃棄される前に、裏返して使用することができる。反対面の層(単数または複数)は、キャリアとドラム表面との熱伝達を改善すること、例えば接着層を用いる取り付け時に、または操作中に、キャリアの位置を維持すること、キャリアのシフトまたは浮きを防止すること、要素16を緩衝することのような、その他の目的に使用してもよい。しかしながら、キャリア層122上により多くの層が存在するほど、感光要素16に対してベース部材19と支持部材118との間の熱伝達条件を維持することがより難しくなる。ベース部材19に対して2つ以上の可撓性支持部材118を取り付けてもよいことも考えられる。2つ以上の可撓性支持部材118のそれぞれは、層124およびキャリア122に関して、同じであっても異なっていてもよい。
【0041】
支持部材118上の修飾材料(単数または複数)の必要とされるテクスチャを提供するのに適切な任意の手法で、1層または複数の層124を、キャリア122または外面22に付着させることができる。弾性層としてシリコーンゴムを付着させる慣用の方法は、ゴムを押し出してキャリア表面に層を形成すること、オートクレーブ内で加熱して該ゴムを硬化させること、次いでそのゴムの外面を所望の層の厚さまで研磨することを含む。あるいはまた、カレンダー加工したゴムシートの層を、キャリア上に積層することができる。粘着層は、弾性層上に、またはベース部材上に直接に、吹付またはロールコーティングすることができる。キャリア122の厚さは、0.005から0.250インチ(0.0127から0.635cm)の間であり、好ましくは0.015から0.025インチ(0.038から0.064cm)の間である。キャリア上の弾性層の厚さは、0から0.750インチ(0から1.91cm)であり、好ましくは0.10から0.30インチ(0.25から0.76cm)である。粘着コーティングの厚さは0から0.050インチ(0から0.127cm)であり、好ましくは0.003から0.013インチ(0.008から0.33cm)である。
【0042】
動作中、ベース部材19をともなう可撓性支持部材118は、熱現像中に感光要素16を支持する一体構造として機能する。しかしながら、主に処理器10の維持管理のために、特に支持部材118あるいは支持部材118上の1つまたは複数の層124を交換するために、可撓性支持部材118を必要に応じてベース部材19から取り外すことが可能である。支持部材118は、そのベース部材19からの取り外し可能性によって、1つまたは複数の層124の機能を、感光要素16を吸収材料へと送出するベース部材19の機能から分離する。取外し可能な支持部材118は、キャリア122上の修飾層124(単数または複数)が使用によって摩耗したときに、この層124(単数または複数)の交換を準備する。
【0043】
熱現像は、組成物層の一部を液化させるのに十分な温度まで、感光要素16の外面17を加熱することを含む。組成物層を光重合層として認識してもよい。組成物層(および存在する場合には、任意の追加の層(単数または複数))を含む感光要素16は、熱伝導、対流、輻射、またはその他の加熱方法によって、層の未硬化部分を融解、軟化または液化するのに十分であるが層の硬化部分に歪みを生じさせるほど高くははない温度まで加熱することができる。組成物層上に配置された1つまたは複数の追加の層は、軟化または融解または流動して、同様に吸収材料に吸収されてもよい。感光要素は、組成物層の未硬化部分を融解または流動させるため、約40℃を超える表面温度、好ましくは約40℃から約230℃(104〜446°F)の表面温度まで加熱する。感光要素16を加熱すること、および該要素の最外面を吸収材料に接触させることを有する熱処理工程は、同時に行うことができ、または、吸収材料と接触するときに組成物層の未硬化部分が依然として軟らかいか、または融解状態にあることを条件として、順次的に行うことができる。
【0044】
また、ドラム18は、加熱器24を備えてもよい。該加熱器は、周囲の環境とは無関係に感光要素16を安定した出発温度に維持するために設けられる。加熱器の出力容量が、外面120の適切に一定である選択されたスキン温度を維持するのに十分である限り、ドラム18を加熱する任意の手段が許容可能である。ドラムを加熱する手段は、組成物層の外面17を加熱することが可能な温度まで、ドラム18を加熱することが可能である。加熱器24は、巻線ブランケットのような電気加熱ブランケットであってもよい。通常の動作環境が一定の温度であるように慎重に制御される場合、加熱器の電源を切ること、または装置から省略することができる。また、特許文献9に開示されるように、感光要素およびドラムの表面に空気流を当てる送風器のような冷却手段によって、および/または要素16を冷却するためにドラム18の表面下で冷却液を循環させることによって、ドラムを冷却することも可能である。そのような冷却手段は、支持部材118を冷却できることも理解すべきである。また、水のような加熱流体をドラム18の表面下で循環させて、要素16を加熱することも考えられる。ドラムに取り付けられた支持部材118の外面22の温度は、華氏約50度から華氏150度(10から65.6℃)であり、好ましくは華氏75度から華氏95度(23.9から35℃)である。
【0045】
ドラム18に隣接して、加熱器30を含む第1の加熱手段が配置されており、例示される実施形態では、それは感光要素16の外面17に向けられた集束放射加熱器である。加熱器30は、組成物層の外面17の温度を上昇させる。1つの実施形態で、加熱器30は、組成物層の非照射部分を融解または軟化させるのに十分な温度まで、組成物層の表面17の温度を上昇させ、この層の一部を液化させる。加熱器30は、組成物層の外面17に熱を加える。例示される実施形態においては、加熱器30は、支持体32のような端面支持体に取り付けられるバルブ(bulb)31のような、複数の管状赤外線加熱バルブを含み、該支持体は、バルブ31との電気接続ももたらす。バルブ31のドラム18とは反対の側に隣接して、反射器33が設けられ、該反射器は赤外線を集束し、かつ感光要素16の外面17へと向けるように働く。加熱器30の代替の実施形態は、反射器33を有する端面支持体32に取り付けられる1個の管状赤外線加熱バルブ31を使用する。
【0046】
熱処理器10は、吸収材料の連続ウェブ35を 供給するための送出手段を含み、これは好ましい実施形態では、熱ローラ38に接触する。第2の加熱手段は、熱ローラ38を含む。熱ローラ38は、感光要素16を運搬するドラム18に隣接して配置される。また、熱ローラ38は加熱器30に隣接し、該熱ローラ38は、組成物層の外面17の温度を維持するか、またはさらに上昇させる。熱ローラ38は、感光要素16の外面17に熱を加える。吸収ウェブ35は、供給ロール40から巻き解かれて、ロール41と42の間を蛇行しながら通過する。次いでウェブ35は、熱ローラ38上、およびロール43および44上を誘導される。巻取ロール45に加えて、1つまたは複数のロール41、42、43、44もウェブ35を駆動することができる。1つまたは複数のロール41、42、43、44、および供給ロール40も、ウェブの輸送経路内でウェブの張力を維持するために、制動機構を含んでもよい。次いで、ウェブ35は、巻取ロール45に巻き取られる。
【0047】
処理器10は、ドラム18と熱ローラ38との間の相対運動をもたらす手段を備え、したがって、感光要素16と吸収材料のウェブ35とを、互いに接触させることができる。相対運動をもたらす手段は、例えば、ビーム48に取り付けられるアーム47上に熱ローラ38(および/またはドラム18)を据え付けることによって実現することができ、該アームは、1個または複数のアクチュエータ49の推進により熱ローラ38を動かすことができる。1個または複数のアクチュエータ49としての使用に適切なものは、空気シリンダ、またはステッピングモータ、またはサーボモータであることができる。処理器の全体にわたって温度センサを取り付けて、ドラム18、熱ローラ38、および放射加熱器30の加熱要素を制御する目的で温度をモニタすることができる。
【0048】
ニップ60、すなわち熱ローラ38の表面とドラム18の表面との間の距離は、熱ローラ38がこの実施形態における係合位置にあるときは0cm以下である。処理中にシート16の外面のニップ領域に対して実質的に均一な圧力が加えられるように、この距離を設定することが望ましい。圧力を印加して、感光要素16に対して吸収ウェブを密着させる。約0.70キログラム毎平方センチメートルから約24キログラム毎平方センチメートルの間の圧力、好ましくは約2キログラム毎平方センチメートルから約12キログラム毎平方センチメートルの間のニップ領域における圧力が、複合感光要素に歪みを生じさせることなしにシート表面から吸収ウェブへの吸収を促進するのに適切である。
【0049】
第1の加熱手段として働く放射加熱器30、第2の加熱手段として働く熱ローラ38、および第3の加熱手段として働くドラム加熱器24は、独立にまたは任意の組合せで、組成物層の一部すなわち非照射部分を液化させるのに十分な温度まで、感光要素16の外面17を加熱することが可能である。第1の加熱手段、第2の加熱手段、および第3の加熱手段は、独立にまたは任意の組合せで、加熱ステーション50を構成する。好ましい加熱ステーション50は、第1の加熱手段および第2の加熱手段を含む。
【0050】
感光要素16を熱現像するプロセスのための装置の動作について、図1を参照しながら記載する。版材処理器10は、クランプ20が供給トレイ14に隣接するこのドラムの最上部付近に配置された状態でドラム18が静止しているホームポジションにある。テクスチャ付き外面を有する支持部材118は、ドラム18の外面22に予め取り付けられた。操作者は、供給トレイ14上に感光要素16を配置する。次いで、操作者は、クランプ20を開き、要素16の前縁24をクランプ20に係合させる。ドラム加熱器24またはIR加熱器30を用いて、ドラム18を予熱してもよい。熱ロール38用のカートリッジ加熱器(図示せず)を使用して、熱ロールを予熱する。ドラム18が回転を開始し、それと共に要素16を運び、その結果、感光要素16は支持部材118に隣接し、要素の内面が、ベース部材19のテクスチャ付き外面120上に存在するようにする。加熱器30は、要素16が加熱器30に到達する前にバルブ31を予熱し、次いで動作設定に切り替えて、要素16上の組成物層を融解、軟化、または液化するための所望される温度を実現してもよい。要素16の前縁が、熱ロール38がドラム18に接触する位置に到達する際に、アクチュエータ49が吸収ウェブ35を担持する熱ロール38を動かして、要素16に接触させる。感光要素組成物層は、吸収材料に接触している間、40から230℃(華氏104度から華氏392度)の間に加熱される。吸収材料は、加熱された感光要素16の組成物層の外面に接触し、そして組成物層の非照射部分からポリマーの液化部分を吸収して、フレキソ印刷フォームとして使用するのに適切なレリーフパターンまたは表面を形成する。程度の差こそあれ、吸収材料と未硬化領域が融解している組成物層との密着を維持することによって、組成物層から吸収材料への未硬化感光材料の移動が生ずる。依然として加熱状態にある間に、吸収材料を硬化した感光要素16から分離して、レリーフ構造を顕出させる。
【0051】
要素16の後縁が、熱ロール/ドラム接触点すなわちニップを通過する際に、加熱器30を冷却しまたは電源を切ってもよく、アクチュエータ49は熱ロール38を後退させ、ウェブ35は停止する。ドラム18が、要素16の前縁をホームポジションに戻して、加熱および接触のさらなるサイクルを開始してもよい。要素16を加熱して組成物層を液化する工程と、その融解した(部分の)層を吸収材料に接触させる工程とのサイクルは、未硬化材料を適切に除去して十分なレリーフ深さを生成するのに必要とされる回数だけ、繰り返すことができる。しかしながら、適切なシステム性能のためにサイクル数を最小限に抑えることが望ましく、典型的には、光重合要素は、5から15サイクルで熱処理される。(未硬化部分が融解しまたは液化する間の)吸収材料と組成物層との密着は、この層と吸収材料とを一緒に押圧することによって維持してもよい。
【0052】
[感光要素]
本発明は、熱処理される要素の種類に制限されるものではない。1つの実施形態で、感光要素16は、可撓性基板と、該基板に取り付けられる組成物層とを含む。組成物層は、部分的に液化可能な、基板上の少なくとも1つの層である。感光要素16は、フレキソ印刷フォームとして使用するのに適切なエラストマー性印刷要素であることが好ましい。基板上の少なくとも1層は、好ましくは感光層であり、最も好ましくは化学線によって選択的に硬化できるエラストマー組成物の光重合層である。本明細書にて使用される際に、「光重合」という用語は、光重合可能な系、光架橋可能な系、あるいはその両方の系を包含する。組成物層が、可撓性基板上の2つ以上の感光層を含む場合、それら感光層のそれぞれの組成は、同一であってもよく、または他の感光層の任意のものと異なってもよい。
【0053】
感光性組成物の層は、熱現像時に部分的に液化することが可能である。すなわち、熱現像中に、妥当な処理すなわち現像温度において、未硬化組成物は軟化または融解しなければならない。少なくとも組成物層の外面は、該層の一部を液化、軟化、または融解させるのに十分な温度まで加熱される。
【0054】
感光層は、少なくとも1種のモノマーおよび光開始剤と、任意選択的に結合剤とを含む。少なくとも1種のモノマーは、少なくとも1個の末端エチレン基を有する付加重合可能なエチレン性不飽和化合物である。感光層中に使用することのできるモノマーは、当技術分野でよく知られており、および単官能アクリレートおよびメタクリレート、多官能アクリレートおよびメタクリレート、ならびにポリアクリロイルオリゴマーを含む。モノマーのさらなる例は、文献中に見出すことができる(特許文献18、19、および20参照)。モノマーの混合物を使用してもよい。
【0055】
光開始剤は、化学線に対する露光時に遊離基を生成する化合物である。既知の種類の光開始剤の任意のもの、特に遊離基光開始剤を使用してもよい。あるいはまた、光開始剤は、複数の化合物の混合物であってもよく、それら化合物の1種が、放射線により活性化される増感剤によって、遊離基を生成させるときに遊離基を提供する。
【0056】
任意選択の結合剤は、予め形成されたポリマーであり、露光前にモノマーおよび光開始剤のマトリックスとして役立ち、および露光前および露光後の両方におけるフォトポリマーの物理的性質に寄与するものである。1つの実施形態において、任意選択の結合剤は、エラストマー性である。エラストマー結合剤の非限定的な例は、A−B−A型のブロックコポリマーであり、ここで、Aは非エラストマーブロック、好ましくはビニルポリマー、最も好ましくはポリスチレンを表し、Bはエラストマーブロック、好ましくはポリブタジエンまたはポリイソプレンを表す。使用してもよいその他の適切な感光性エラストマーは、文献に記述されるようなポリウレタンエラストマーを含む(特許文献5および6参照)。モノマー、またはモノマーの混合物は、透明で曇りのない感光層が生成される程度まで、結合剤に相溶性でなければならない。
【0057】
感光層に対するさらなる添加剤は、着色剤、加工助剤、酸化防止剤、およびオゾン分解防止剤を含む。加工助剤は、エラストマーブロックコポリマーに対して相溶性である低分子量ポリマーのようなものであってもよい。オゾン分解防止剤は、炭化水素ワックス、ノルボルネン類、および植物油を含む。適切な酸化防止剤は、アルキル化フェノール、アルキル化ビスフェノール、重合トリメチルジヒドロキノン、およびジラウリルチオプロピオネートを含む。
【0058】
感光要素は、基板とは反対の側の感光層の面上に、1つまたは複数の追加の層を含むことができる。追加の層の例は、剥離層、キャップ層、エラストマー層、レーザ放射線感受性層、障壁層、およびこれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。1つまたは複数の追加の層は、使用される感光要素に許容可能な現像温度範囲における吸収材料との接触により、その全体または一部が除去可能であることが好ましい。1つまたは複数の追加のその他の層は、感光性組成物層を被覆してもよく、または感光性組成物層を部分的に被覆してもよい。感光性組成物層を部分的に被覆する追加の層の例は、化学線ブロック材料またはインクの画像様の付着、例えばインクジェット付着によって形成されるマスキング層である。
【0059】
剥離層は、組成物層の表面を保護し、および感光要素の画像様露光に使用されるマスクの容易な除去を可能にする。剥離層として適切な材料は、当技術分野でよく知られている。キャップ層に適当な組成物、および該層を感光要素上に形成する方法は、文献に記載されている多層カバー要素内のエラストマー組成物として開示されている(特許文献2および21参照)。画像様露光後の、使用される感光要素に許容可能な温度範囲内での吸収材料との接触により、エラストマーキャップ層が少なくとも部分的に除去可能であるという点において、エラストマーキャップ層は感光層に類似する。
【0060】
1つの実施形態で、レーザ放射線感受性層は、赤外レーザ放射線に対して感受性があり、したがって、赤外線感受性層であると認定される。レーザ放射線感受性層は、感光層上にあることができ、または感光層上にある障壁層上にあることができ、または感光要素と共に組立体を形成する一時的支持体上にあることができる。剥離層およびエラストマーキャップ層のそれぞれは、剥離層および/またはキャップ層を赤外線感受性層と感光層との間に配置したときに、障壁層として機能することができる。赤外線感受性層は、赤外レーザ放射線に対する露光により、可撓性基板とは反対側の面において感光層からアブレーション(すなわち、蒸発または除去)されることができる。あるいはまた、感光要素が、赤外線感受性層を担持する支持体と組立体を形成する場合、赤外レーザ放射線に対する露光によって、その赤外線感受性層を、一時的支持体から感光層の外面(可撓性基板とは反対側の面)へと移すことができる。赤外線感受性層は、単独で、またはその他の層と共に、例えば射出層や加熱層などと共に使用することができる。
【0061】
赤外線感受性層は、一般に、赤外線吸収材料、放射線不透明材料、および任意選択の結合剤を含む。カーボンブラックおよび黒鉛のような暗色の無機顔料は、一般に、赤外線感受性材料および放射線不透過材料の両方として機能する。赤外線感受性層の厚さは、化学線に対する感受性および不透過性の両方を最適にする範囲内(例えば、2.5以上の光学密度を有する)であるべきである。そのような赤外線感受性の光アブレーション可能層または光転写可能層は、レーザ放射線による露光が赤外線感受性層を除去または転写して、感光要素上にin−situマスクを形成するデジタルダイレクト製版(digital direct-to-plate)の画像形成技術において、用いることができる。適切な赤外線感受性組成物、要素、およびそれらの調製は、文献に開示されている(特許文献22、23、24、25、26、27、および28参照)。赤外線感受性層は、使用される感光要素に許容可能な現像温度の範囲内での吸収材料との接触により除去可能であることが好ましい。
【0062】
本発明の感光要素は、感光要素の最上層の上面に、一時的なカバーシートをさらに含んでもよい。カバーシートの1つの目的は、貯蔵中および取扱い中に感光要素の最上層を保護することである。最終用途に依存して、画像形成前にカバーシートを除去しても除去しなくてもよいが、現像前には除去する。カバーシートに適切な材料は、当技術分野でよく知られている。
【0063】
基板は、引裂き抵抗があるものが選択され、および適切な高い融点(たとえば、基板上に形成される組成物層の液化温度よりも高い)を持たなければならない。基板用の材料は限定されず、ポリマーフィルム、発泡体、布地、およびアルミニウムおよび鋼のような金属から選択することができる。基板は、非反応性であり、かつ処理条件全体を通して安定であり続けるフィルムを形成する、ほぼ任意のポリマー材料であることができる。適切なフィルム支持体の例は、セルロースフィルム、ならびにポリオレフィン、ポリカーボネート、およびポリエステルのような熱可塑性材料を含む。
【0064】
感光要素の基板は、約0.01mmと約0.38mmとの間の厚さを有する。放射線で硬化可能な組成物層は、約0.35mmと約7.6mmとの間の厚さであり、好ましい厚さは約0.5mmから3.9mm(20から155ミル)である。
【0065】
感光要素16は、化学線に対する要素16の画像様露光による熱現像のために調製する。画像様露光の後、感光要素16は、化学線で硬化可能な組成物層の露光領域内の硬化した部分と、化学線で硬化可能な組成物層の非露光領域内の未硬化の部分とを含む。画像様露光は、画像を担持したマスクを通して感光要素を露光することにより実施される。画像を担持したマスクは、印刷される内容を含む黒白ポジまたはネガであってもよく、あるいは、組成物層上のレーザ放射線感受性層で形成されたin−situマスクであってもよく、あるいは、当技術分野で知られるその他の手段であってもよい。画像様露光は、真空フレーム内で実施することができ、または大気中の酸素の存在下で実施してもよい。露光の際に、マスクの透明領域は付加重合または架橋を起こさせ、一方、化学線不透過領域は、架橋しないままになる。露光は、支持体または背面露光層(フロア)まで露光領域を架橋するのに十分な持続時間を有する。画像様露光の時間は、典型的には、バックフラッシュ時間よりも非常に長く、数分から数十分に及ぶ。
【0066】
文献に開示されているダイレクト製版の画像形成では、画像を担持するマスクは赤外レーザ露光エンジンを使用して、レーザ放射線感受性層でその場で形成される(特許文献22、23、24、25、26、27、および28参照)。画像様のレーザ露光は、750から20000nmの範囲、好ましくは780から2000nmの範囲を放射する種々のタイプの赤外レーザを使用して行うことができる。ダイオードレーザを使用することができるが、1060nmを放射するNd:YAGレーザが好ましい。
【0067】
化学線源は、紫外線波長領域、可視光波長領域、および赤外線波長領域を包含する。特定の化学線源の適合性は、感光要素からフレキソ印刷版を作製するのに使用される、開始剤および少なくとも1種のモノマーの感光性に支配される。最も一般的なフレキソ印刷版の好ましい感光性は、スペクトルのUVおよび深可視光領域にある。なぜなら、それらがより良好な室内光安定性を与えるからである。組成物層の化学線に対して露光される部分は、化学的に架橋して硬化する。組成物層の照射されない(非露光)部分は硬化せず、および硬化した照射部分よりも低い融点または液化温度を有する。そして、画像様露光した感光要素16は、レリーフパターンを形成するための吸収材料を用いる熱現像する用意ができている。
【0068】
全体的な背面露光、いわゆるバックフラッシュ露光を、画像様露光の前または後に行って、支持体に隣接する所定の厚さのフォトポリマー層を重合させてもよい。フォトポリマー層のこの重合部分を、フロアと呼ぶ。フロアの厚さは、露光時間、露光源などによって変化する。この露光は、拡散状態または指向状態で行うことができる。画像様露光に適切な全ての放射線源を使用することができる。露光は、一般に10秒から30分間にわたって行われる。
【0069】
マスクを通した紫外線に対する全面露光に続いて、感光性印刷要素を上述のように熱現像して、光重合層の非重合領域を除去し、それによってレリーフ画像を形成する。熱現像工程は、少なくとも化学線で露光されなかった領域の光重合層、すなわち非露光領域または未硬化領域の光重合層を除去する。エラストマーキャップ層を除いて、典型的には、光重合層上に存在してもよい追加の層を、光重合層の重合領域から除去または実質的に除去する。
【0070】
吸収材料は、放射線で硬化可能な組成物の非照射部分すなわち未硬化部分の融解温度または軟化温度または液化温度を超える融解温度を有し、および同動作温度で良好な引裂き抵抗を有するものが選択される。吸収材料を、本明細書では現像媒体、ウェブ、または吸収ウェブと呼んでもよい。選択される材料は、加熱中に感光要素を処理するのに必要とされる温度に耐えることが好ましい。吸収材料は、不織材料、ペーパーストック(paper stock)、繊維織布、連続気泡フォーム材料、多孔質材料(程度の差こそあれ、そこに含まれる容量のかなりの部分を空隙容量として含有する)から選択される。吸収材料は、ウェブまたはシートの形態であることができる。また、吸収材料は、融解したエラストマー組成物に対して高い吸収率(吸収材料1平方ミリメートル当たりで吸収することのできるエラストマーのグラム数により測定される)を有するべきである。また、現像中に版材内に繊維が堆積しないよう、吸収材料に繊維を結合させることも望ましい。不織ウェブが好ましい。
【0071】
熱現像後、このフレキソ印刷フォームを任意の順序で後露光、および/または化学的後処理ないしは物理的後処理して、フレキソ印刷フォームの表面から粘着性を除去してもよい。
【実施例】
【0072】
以下の実施例では、CYREL(登録商標)FAST熱処理器を、記述される条件で使用した。CYREL(登録商標)FAST熱処理器、およびCYREL(登録商標)フレキソ印刷版は、全て、DuPont Company(Wilmington、DE)から入手可能である。CYREL(登録商標)フレキソ印刷版、タイプFD1、FDX、およびDFHは、光重合層のためのポリエチレンテレフタレート(PET)ベース支持体を使用する。
【0073】
[実施例1]
以下の実施例は、熱現像中に感光要素を支持することに関する、チャネル、溝、ピーク、または連結セルのパターンを有するテクスチャ付き表面の効果を例証する。
【0074】
この実施例で試験をした全ての版材は、CYREL(登録商標)フレキソ印刷版、タイプFD1、67ミル(0.170cm)であった。これらの版材を、以下に述べるように、露光および熱処理した。版材を、熱源像前に、CYREL(登録商標)露光ユニット上で紫外線に対して、支持体を通したブランケット露光(背面露光)、およびマスク画像を有するフォトツールを通した画像様露光を実施した。
【0075】
感光要素を支持するFAST処理器のドラムの外面を、テクスチャ加工した。加硫され、次いで約0.189インチ(0.48cm)の公称厚さに研磨される、45ショアA硬度のゴムを被覆することによって、該外面をテクスチャ加工した。ドラムを回転させながらスプレイガンを用いて手動で吹き付けることにより、Dow 236シリコーン分散物でゴム層を被覆し、層を形成した。シリコーン分散物は、乾燥した層の厚さが少なくとも約5ミル(0.0127cm)であるように付着させた。Dow 236シリコーン分散物は、ゴム層上に白色層を形成し、これがドラムの外面であった。しかし白色層を乾燥させる間、微細なダイヤモンドカットのパターンを表面に有する金属ローラに、ドラムの外面を接触させた。ローラおよびドラムが回転させながら、金属ローラおよびドラムを押圧して接触させ、それによって、ドラムの白色層に、金属ローラのダイヤモンドパターンを刻印すなわちエンボス加工した。金属ローラはドラムの幅よりも狭い幅を有したので、この金属ローラの位置をドラムの軸方向の長さに沿って平行移動させ、押圧を繰り返して、ドラムの外面全体にダイヤモンドパターンをエンボス加工した。白色層を乾燥させ(分散物中の溶媒を除去し)、ドラム表面上に、刻み付きすなわちテクスチャ付きの面として、エンボス加工されたパターンを保持した。ドラム上のテクスチャ付きの面は、少なくとも溝およびチャネルのパターンであった。エンボス加工法は高度に制御されたものではないので、形成された溝およびチャネルは、外面からの深さが様々であった。ある領域では、溝およびチャネルの深さが下に在るゴム層にまで至り、その他の領域では、溝およびチャネルの深さが白色層内に留まった。白色層を湿潤状態または実質的な湿潤状態でエンボス加工したので、表面上のピークも形成される可能性がある。溝またはチャネルの深さは、おそらく約3ミル(0.00762cm)から9〜10ミル(0.023〜0.025cm)の大きさまで変化した。熱処理中、白色層は、回転するドラムの表面に版材を保持するのに十分な粘着性を有した。
【0076】
市販のCYREL(登録商標)FAST TD 1000処理器中の既存のドラムを、テクスチャ付きの面を備えた上記ドラムと交換した。CYREL(登録商標)67FD1版材を、ドラムのテクスチャ付きの面に取り付けて、その版材の支持体側が外面に隣接するようにし、かつドラムに対して版材の前縁をクランプで固定した。この版材を、商用ユニットに関して確立された動作条件に従い、FAST処理器で処理した。処理器動作条件は、熱ロール温度が華氏325度(162.8℃)であり、ドラムの温度を華氏88度(31.1℃)に設定し、(熱ロールにより支持された現像媒体と接触させる前に)最大80%の出力の赤外線加熱要素によって版材を予熱し、熱ロールによって版材に加えられる最大圧力は78psi(5.48kg/cm2)であった。版材を、11サイクルにわたり処理した。すなわち、所望のレリーフを形成するために、版材を加熱し、該版材を現像媒体に接触させ、生じた現像媒体を除去するというサイクルを11回行った。各サイクルの条件は、熱処理器に関して確立された操作方法によって定められるように変化した。この版材を取り外し、さらに11個のFD1版材を、上述のように処理した。これらの版材のシェブロン(うねり)について評価し、およびその結果を第1表に報告する。
【0077】
比較例として、FD1版材を、同じ商用FAST処理器で熱処理したが、このとき既存のドラム(処理器が備えているドラム)を使用した。既存のドラムにも、テクスチャ付きドラムに関して既に述べたものと同様に、ゴム層および白色層を設けた。しかし、既存のドラムには、エンボス加工を施さなかった。白色層は、これを空中で硬化して乾燥するまで溶媒を飛ばす間、変化もせず、窪みも付かなかった。既存のドラムの外面は、その表面に、視覚的に明確なパターンが形成されなかった。6個の67FD1版材を、順次取り付けて、上述と同じ動作条件を使用して、FAST処理器で処理した。比較用版材のシェブロン(うねり)について評価したが、その結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
熱処理後、各版材を、シェブロンの出現率およびシェブロンのシビアリティについて評価した。シェブロンすなわちうねりは、感光要素に非平面トポグラフィをもたらす局所的な歪みである。シェブロンすなわちうねりは、版材表面内、または版材のフォトポリマー層のバルクの中に、または版材の支持体内にさえも、V字形、斜線、または直線の隆起または歪みとして現れる可能性がある。シェブロンすなわちうねりは、一般に、支持体がガラス転移温度よりも高い温度にある間に版材(感光要素)に付与される不均一な歪みの結果として生成され、それは、感光要素が冷却された後または室温に戻った後にも残る変形をもたらす。
【0080】
シェブロンすなわちうねりの出現率およびシビアリティを、同一人物による全ての版材の視覚的観察によって評価した。シェブロンを有する版材の中で、シビアリティが1である版材は、商業的に許容可能と見なし、一方、シビアリティの格付けが2または3であるものは、過度に酷い状態であるとみなされ、一般に印刷可能な欠陥をもたらす。シビアリティのカウント数は、特定のシビアリティのシェブロンを有する版材の数である。テクスチャ付きドラム表面で熱処理された版材のうち、9個の版材にはシェブロンすなわちうねりが全く無く、残りの3個の版材のシビアリティのレベルは、印刷用として商業的に許容可能と見なすのに十分に低かった。既存のドラム表面で熱処理された6個の比較用版材の全ては、いくらかのレベルのシェブロンすなわちうねりを有し、その半分超は、印刷用として酷すぎる状態であった。
【0081】
これらの結果は、溝および/またはチャネルを有するテクスチャ付きドラム表面での感光印刷要素の熱処理が、得られる版材におけるシェブロンすなわちうねりの出現を減少させたことを例証した。
【0082】
[実施例2]
以下の実施例は、熱現像中に感光要素を支持するための、表面粗さRqを有するテクスチャ付き表面の効果を例証する。
【0083】
この実施例で試験をした全ての版材は、CYREL(登録商標)フレキソ印刷版、タイプFDX、67ミル(0.17cm)であった。全ての版材を、熱現像の前にCYREL(登録商標)露光ユニット上で紫外線に対して、支持体を通してブランケット露光(背面露光)し、そしてマスク画像を有する試験ターゲットを通して画像様露光した。これらの版材は、画像様露光に用いられる2つの試験ターゲットのうちの一方によって、画像形成された。ターゲットの一方(T1)を使用して、多数の版材に画像形成し、そして3つの可撓性支持体表面のそれぞれの上で熱処理し、これら印刷の評価を平均したものを、第2B表に報告した。可撓性支持表面のそれぞれに関して、1つの版材に、第2のターゲット(T2)を用いて画像形成し、熱処理した。これらのターゲットは、印刷版要素のうねりおよび皺の欠陥が目立つように設計された。
【0084】
3つの可撓性支持部材のそれぞれを、実施例1で述べたように、その片面にゴム層を被覆し、加硫し、研磨した。ゴム層を、Dow Corning(登録商標)1200 Prime Coatを用いて被覆し、次いで、(スプレイガンを用いて)手動で吹き付けることにより、Dow 236シリコーン分散液を被覆して、平滑な白色層を形成した。ゴム層、プライムコート、および滑らかな白色層のみ有する可撓性支持部材の1つを、版材の試験の対照として使用した。他の2つの可撓性支持部材の外面には、スプレイコーティング装置の大抵の主要な供給業者から入手可能なテクスチャ加工ガンを使用して、(平滑な白色層の上面に)同じDow 236分散液の別の層を付着させることにより、テクスチャ加工をした。テクスチャ加工用ガンは、このテクスチャ加工用ガンが少なくとも霧化圧力の調整を含む点において、慣用のスプレイガンとは異なる。霧化圧力を低下させることによって、分散液のより大きな液滴が吹き付けられる。第2の白色シリコーン分散液を付着させるのに使用されるプロセス条件(霧化圧力)を調節することによって、2つの可撓性支持部材の表面テクスチャを変化させた。テクスチャ加工用ガンのプロセスパラメータを、所望のテクスチャが得られるまで変化させた。2つのテクスチャ付き可撓性支持部材の外面を、その表面特性について分析し、テクスチャ2およびテクスチャ3として第2A表に報告した。
【0085】
表面の特徴付けのための対照として、熱処理器からの従来技術のドラム外面の代表的なサンプルを、表面特性について試験した。従来技術ドラムの外面は、(テクスチャ付き層なしに)プライムコートおよび平滑なコーティングを備えたゴム層を有し、対照の可撓性支持部材に関して述べたように形成された。
【0086】
2つのテクスチャ付き可撓性支持部材および対照サンプルの外面を、光学干渉計(以下に報告されるような様々に異なるサイズスケールを備えたZygo NewView 5000である)で測定した。データ分析は、Zygo MetroPro分析ソフトウェア、バージョン7.9.0を使用して行った。装置およびソフトウェアは、Zygo Corporation(Middlefield, CT)により製造された。サンプルを、70μmから1cmまでの様々に異なるサイズスケールで測定した。このサイズスケール、すなわち長さスケールは、特定の粗さの計算のため、Zygo機器によって使用される測定領域である。これらの結果より、いくつかの長さスケールに関する画像統計値から、2乗平均(RMS)表面粗さを得た。これらのデータを、第2A表に示す。特により長い長さスケールにおいて、サンプルの曲率が測定される表面粗さに影響を及ぼす可能性があり、これを避けるために注意を払ったことに留意されたい。
【0087】
図3A、3B、3C、および3Dは、特性を測定した表面の光学顕微鏡写真である。図3Aは代表的な対照の表面を示し、図3Bは、従来技術のプロセスによって生成された最も粗い表面を表す(いずれも意図的なテクスチャ加工はされていない)。図3Cは、テクスチャ2と定義された表面を示す。図3Dは、テクスチャ3と定義された表面を示す。これらの光学顕微鏡写真は、上述のZygo機器によって提供された。
【0088】
Zygo機器からの別の結果は、図4A、4B、および4Cに示される、平均表面高さからの偏差のヒストグラムであった。これらの分布の歪度(skew)は、ヒストグラムプロットの対称性の欠如から明らかであった。対照サンプル(非テクスチャ付きサンプルのより粗いもの)に関し、図4Aのヒストグラムは、分布が負方向に歪んでいることを示し、これは、表面高さにおけるより大きな偏差が、平均表面レベルよりも低い凹部(すなわち窪み)であることを示している。逆に、テクスチャ3に関する図4Bのヒストグラムは、正方向に歪んだ分布を示しており、正方向のテールは、より大きな偏差が、平均表面高さよりも高いピークであることを示した。テクスチャ2の分布は、図4Cのヒストグラムに示すようにどちらかと言えば対称的な分布であった。これらのヒストグラムの全ては、1cmの長さスケールで実施された測定値であった。これらの分布に関する歪度の統計データを、第2A表に示す。第2A表は、75mm2の面積にわたって、20μmの基準バンド(平均±10μm)と5000μm2の最小ピークサイズとを使用した、表面トポグラフィ分析によるピークの数、高さ、およびサイズも示す。%カバレッジは、全ピーク面積と全測定面積との比である。
【0089】
また、外面の表面粘着力について、Testing Machines Incorporated (Islandia, NY)製のLab Master粘着力試験装置で測定した。サンプルは、ドウェル負荷500g、負荷時間4秒、ドウェル時間1秒を用い、直径0.9cmの接触面積(面積0.64cm2)および引張り速度600mm/分を有するプランジャを用いて試験をした。最大の力を、g単位で報告する。
【0090】
【表2】

【0091】
全ての版材を、特許文献16(その優先権は、2003年12月31日出願の特許文献17に由来する)にしたがって、熱ローラ、赤外線加熱器、および取外し可能な可撓性支持部材を備えたドラムを有する熱処理器で熱処理した。テクスチャ2、テクスチャ3、および対照の、可撓性支持部材の外面に対する一連の試験それぞれについて、既に引用した特許部件17に記載されるように、支持部材をドラムの外周面に巻き付けて、支持部材の両端を重ね合わせ、この支持部材を留め具でクランプ凹部内に固定することによって、可撓性支持部材の1つをドラムに取り付けた。現像媒体は、CEREX(登録商標)ナイロン不織布であった(Cerex Advanced Fabrics (Pensacola, Florida))。上述のように、対照の可撓性支持部材は、プライムコートおよび平滑コートを有するが、テクスチャ付きコートは付着されなかった。熱ロールの温度が華氏335度であり、かつ圧力を全てのサイクルで10%低下させたことを除いて実施例1に記載した条件で、処理器を操作した。各サイクルごとの条件を、熱処理器に関して確立された操作方法により決定されるように、変化させた。版材を処理し、そして、うねりのシビアリティ、うねりの程度、および皺に関して同一人物が評価した。版材の評価を、第2B表に報告する。
【0092】
【表3】

【0093】
うねりのシビアリティのスケールは0から5であり、シビアリティの格付け0は、うねりの無い版材であり、シビアリティの格付け5は、許容できない極端な量および/またはサイズのうねりを持つ版材であった。シビアリティの格付け0.5は、版材が、この版材の背面から見ることが難しく、かつ機能し得る歪みではないうねりを有したことを示す。シビアリティ2のうねりは、版材の背面から全く明らかであり、印刷面側から見ることができる。シビアリティの格付け4は、版材が、印刷可能な欠陥をもたらすような、特に酷いうねりを有することを示す。実施例1で述べたように、シビアリティの格付けが2より低いものは、商業的に許容可能と見なされる。うねりの程度は、うねりによって影響を受ける版材の割合であり、%カバレッジで表される。うねりの程度は、版材の下面に格子を描き、少なくとも1つのうねりを含む格子方眼を数え、うねりを含む方眼の数を、全格子方眼数で割って100を乗ずることにより決定した。皺は、感光要素の支持ベース内の襞である。皺の存在は、印刷では許容されない。
【0094】
表面の特性の測定および版材の評価の結果は、熱処理中に感光要素を支持するテクスチャ付き表面が、得られる印刷版内のうねりおよび/または皺などの欠陥を減少させることまたは排除することに有益であることを示す。
【0095】
より具体的には、(RMS粗さおよび718ミクロンの長さスケールに基づいて)表面粗さが1μmよりも大きいテクスチャを有し、かつ100g未満の粘着力を有する支持表面が、版材内の皺の形成を低減または排除する。(RMS粗さおよび718ミクロンの長さスケールに基づいて)表面粗さが3μmよりも大きいテクスチャを有し、かつ30g未満の粘着力を有する支持体表面は、版材上でのうねりのシビアリティおよびうねりのカバレッジの程度を低減または排除する。
【0096】
1cmの長さスケールに関し、頻度対高さのヒストグラムにおいて正方向の歪度を持つ表面は、負方向に歪む分布の場合よりも粗さが増大するというさらに大きな利点を示す。最も粗い対照サンプルは、1cm(10000μmスケール)上でテクスチャ2よりも大きい粗さを有していたが、大きく負方向にずれる分布であった。対照表面の性能は、テクスチャ2に比べて有利ではなく、テクスチャ3よりも明らかに悪い。
【0097】
平均突起面積が0.05〜1mm2から3mm2まで、おそらくは5mm2程の大きさまでを有し、平均表面よりも少なくとも10μm高い、少なくとも0.1突起/mm2の密度を有する表面は、熱処理器に対して改善された性能を提供する。最も粗い対照サンプルに見られるような、少数の大きな突起は、得られる印刷版のうねりまたは皺を無くすのに効果的ではなかった。
【0098】
[実施例3]
以下の実施例は、平面状の支持体であるベース部材を使用した、本発明の方法を例証する。平面状の支持体はエラストマー層を含み、該エラストマー層は、微細な直線状の等間隔に設けられた溝の格子に、微細なピットの規則的なパターンを重ねることによるパターンを有する。
【0099】
特許文献16(その優先権は、2003年12月31日出願の特許文献17に由来する)にしたがって、熱ローラ、赤外線加熱器、および除去可能な可撓性支持部材を備えた平面状の支持体を有する熱現像処理器を使用して、感光要素を熱処理した。熱現像処理器は、図3に示され、第2の実施形態として記述された。この実施例全体を通し、熱処理器のこの実施形態を、テーブルトップ熱処理器と呼ぶ。
【0100】
熱現像される感光要素は、CYREL(登録商標)タイプDFH(45ミル)フレキソ印刷要素であった。この要素を実施例1で述べたように露光し、以下のように熱現像した。
【0101】
テーブルトップ熱処理器内のベース部材は、水平テーブルトップのような平面状の支持体であった。この平面状の支持体の上に、本発明によるテクスチャ付きの外面を有する修飾材料層を含む可撓性支持部材を取り付けた。可撓性支持部材は、光重合可能なエラストマー組成物層、すなわち修飾材料層を有する感光性エラストマー要素から形成した。支持部材は、エラストマー結合剤、モノマー、光開始剤、および添加剤からなる感光性エラストマー組成物層を有する感光性印刷版から調製した。カバーシートを取り外したCYREL(登録商標)フレキソ印刷版、タイプDPS(45ミル)を、85%ドットスクリーンを被せた5mmおきの(線間距離)ネガティブライン(線幅200ミクロン)の格子を有するレーザマスクからなるオーバーレイを通して、365nmの放射線に対して8分間(11J/cm2のエネルギーに対応する)にわたって、画像様露光した。この版材を、版材のベース側から、365nmの放射線に対して35秒間(800mJ/cm2のエネルギーに対応する)にわたって背面露光した。次いで露光した要素を、CYREL(登録商標)SmartXL処理器内のFlexoSol溶媒中で7分間にわたって処理し、炉内で乾燥した。乾燥した版材要素は、露光したフォトポリマーの自然の粘着性を維持するために、ポスト露光も仕上げもしなかった。乾燥した要素の外面、すなわち画像形成面について、その表面粘着力を実施例2で述べた機器で測定した。外面の粘着力は、約600gであった。この版材は、例えば85%スクリーンドットである上記パターンのテクスチャ付き外面を有する弾性材料層を備えた支持部材になった。
【0102】
そのように調製された支持部材を、テーブルトップベースに固定された2.1mmのCyCompフォームの上面に取り付け、それによって、支持部材をベース部材に対して引っ張った。露光されたDFH印刷要素のベース側が、支持部材のパターン化テクスチャ外面に隣接しかつ接触するように、この印刷要素を支持部材上に配置した。テーブルトップ上に設置され、かつ該要素の1つの縁部に配置される1つまたは複数のクランプを用いて、印刷要素を支持部材上の所定位置に保持した。
【0103】
テーブルトップ熱処理器は、熱現像中に版材の外面の端から端までテーブルトップを横断しかつ吸収材料を担持するスレッジアセンブリを含んだ。スレッジアセンブリには、回転可能に取り付けられた熱ローラ、放射赤外線加熱器、および1つまたは複数のウェブガイドロールが取り付けられた。熱ローラとプラテンとの間の相対運動は、空気シリンダにより作動し、熱ローラを印刷要素に向けて動かす、スウィングアームを動かすことによった。実施例2に記載される吸収材料の連続ウェブを、スレッジアセンブリに取り付けた。別のゴムローラをスレッジの前部に取り付ける。該ゴムローラは、版材を支持表面に押圧して密着させ、かつ支持面のパターン(溝)によって補助されるこれら2つの面の間の空気を除去するために、最初のサイクルでのみ使用される。
【0104】
処理器を作働させ、スレッジアセンブリをテーブルトップの一端において始動した。印刷要素を放射加熱器で予熱した。同様に熱ローラも予熱した。空気シリンダを作動させることによって熱ローラを要素に向けて移動させて、吸収材料のウェブを該要素の外面に接触させるように運搬した。吸収ウェブと要素との密着は、この要素と吸収ウェブとを一緒に押圧することによって維持した。スレッジアセンブリは、熱ローラを回転させながら、要素の開始縁部から後縁まで平面状の支持体を横断した。熱処理器は、以下の現像条件で操作した:熱ロール表面温度163℃、荷重に対応する圧力約11N/mm、およびスレッジ輸送速度800mm/分。吸収材料に接触する間、版材組成物層を105℃に加熱した。吸収材料を加熱した版材の組成物層の外面に接触させ、そして組成物層の非照射部分からポリマーの液化部分を吸収させて、レリーフパターンまたは表面を形成した。スレッジアセンブリが熱ローラを横断させる際、印刷要素が依然として加熱された状態にある間に、印刷要素は吸収ウェブから分離された。スレッジアセンブリが、印刷要素の後縁に至る該要素を横断する経路を完了した後、熱ローラを引き戻し、スレッジを開始位置に戻して、次のサイクルに備えた。要素を加熱する工程、および軟化したフォトポリマーを吸収材料に接触させる工程のサイクルを、8回繰り返して、未硬化材料を十分に除去し、かつ十分なレリーフ深さを生成した。
【0105】
熱現像サイクル中、DFH版材は、浮きおよびいかなるうねりの形成もない状態で、粘着性支持体の表面に密着したままであった。現像後、DFH版材を、妥当な力で支持体から取り外すことができ、平らで歪みの無いベースを示した。
【0106】
構造化された粘着性エラストマー支持層に代えて、CyCompフォームの表面上にDFH版材を直接配置したことを除いて上記と同じ条件下で、対照実験を実施した。CyCompフォーム層は、平滑で非粘着性の表面を有していた。上述の熱処理により、DFH版材は、激しい変形を示した。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】ドラムとして成形されたベース部材に取外し可能に取り付けられた可撓性支持部材によって感光要素に対する支持面が提供される1つの実施形態を示す熱現像装置の概略側断面図である。
【図2A】ドラムに巻き付けられた可撓性支持部材の実施形態の概略側断面図である。
【図2B】ドラム表面で緊張状態にある可撓性支持部材の概略側断面図である。
【図3A】熱現像中の感光要素を支持する外面であって、テクスチャ加工されていない支持体の外面の、2.9mmの長さスケールで測定される光学顕微鏡写真である。
【図3B】熱現像中の感光要素を支持する外面であって、テクスチャ加工されていない支持体の外面の、2.9mmの長さスケールで測定される光学顕微鏡写真である。
【図3C】熱現像中の感光要素を支持する外面であって、本発明にしたがってテクスチャ加工された支持体の外面の、2.9mmの長さスケールで測定された光学顕微鏡写真である。
【図3D】熱現像中の感光要素を支持する外面であって、本発明にしたがってテクスチャ加工された支持体の外面の、2.9mmの長さスケールで測定した光学顕微鏡写真である。
【図4A】テクスチャ加工されなかった支持ベース部材の外面について、「値」とラベルを付けられたx(横)軸上の平均表面高さからの偏差の大きさ(ナノメートル単位で示される)に対する、y(縦)軸上の出現数のヒストグラム図である。
【図4B】本発明にしたがってテクスチャ加工された支持ベース部材の外面について、「値」とラベルを付けられたx(横)軸上の平均表面高さからの偏差の大きさ(ナノメートル単位で示される)に対する、y(縦)軸上の出現数のヒストグラム図である。
【図4C】本発明にしたがってテクスチャ加工された支持ベース部材の外面について、「値」とラベルを付けられたx(横)軸上の平均表面高さからの偏差の大きさ(ナノメートル単位で示される)に対する、y(縦)軸上の出現数のヒストグラム図である。
【符号の説明】
【0108】
10 熱処理器
12 固定支持枠
13 表面
14 供給トレイ
16 感光要素
17 組成物層外面
18 ドラム
19 ベース部材
20 クランプ
20a 凹部領域
22 ドラム外面
24 加熱器
30 加熱器
31 バルブ
32 支持体
33 反射器
35 吸収材料(ウェブ)
38 熱ロール
40 供給ロール
41,42,43,44 ロール
45 巻取ロール
47 アーム
48 ビーム
49 アクチュエータ
50 加熱ステーション
60 ニップ
118 可撓性支持部材
120 テクスチャ外面
122 キャリア
124 修飾材料層
128 棒部材
130 留め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面および内面を有し、かつ部分的に液化可能な組成物層を含む感光要素から、レリーフ構造を形成するための方法であって、
現像媒体を、第1の部材によって該外面に供給する工程と、
該感光要素を、外面を有するベース部材上に支持する工程であって、該要素の該内面は、該ベース部材の該外面に隣接する工程と
を含み、該ベース部材の該外面は、
a)250から1000μmの長さスケールで測定したときに、少なくとも1ミクロンの粗さRqを有する面、
b)溝、チャネル、ピーク、連結セル、または溝、チャネル、ピーク、連結セルの組合せのパターンを有する面、および
c)該粗さと、溝、チャネル、ピーク、および連結セルの該パターンとの組合せを有する面
からなる群から選択されたテクスチャを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記チャネル、溝、ピーク、連結セルと、溝、チャネル、ピーク、および連結セルの組合せは、それぞれ前記外面に複数のマクロ要素を形成し、少なくとも20μmから200μmの凹部深さが、1つのマクロ要素から隣接するマクロ要素まで生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エンボス加工、エッチング、彫込み、成型、またはそれらの組合せによって前記パターンを形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ベース部材に修飾材料の層を付着する工程をさらに含み、該材料の層は、テクスチャを有する外面を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記層は、弾性または粘着性を有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記修飾材料は、天然ゴム、合成ゴム、およびエラストマーからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記層は粗面化成分をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ベース部材は、ドラム、ローラ、プラットフォーム部材、可撓性支持部材、および平面状支持体からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記外面は、複数の突起および複数の窪みを含有する平面を画定し、該突起および窪みのそれぞれは、該平面に対する高さ、および平均表面高さからの偏差を有し、該平均高さからの該偏差の範囲の少なくとも60%は、該平均表面高さを超える突起であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記外面は、前記表面の少なくとも60%が突起で覆われるように、複数の突起を含有する平面を画定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記要素の前記外面を、前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで加熱する工程をさらに含み、該加熱する工程は、
現像媒体が前記層に接触する場所に隣接した前記組成物層の外面に熱を加える第1の加熱であって、前記層の前記外面を加熱するのに適応した第1の加熱と、
該現像媒体を前記層の前記外面に接触させながら、前記組成物層の前記外面を加熱することが可能な温度まで前記第1の部材を加熱する第2の加熱と、
前記組成物層の前記外面を加熱することが可能な温度まで前記ベース部材を加熱するための第3の加熱と、
該第1の加熱と該第2の加熱との組合せと、
該第1の加熱と該第3の加熱との組合せと、
該第2の加熱と該第3の加熱との組合せと、
該第1の加熱、該第2の加熱、および該第3の加熱の組合せと
からなる群から選択され、
該第1の加熱、該第2の加熱、および該第3の加熱は、個々に、または上記組合せにおいて、前記層の一部を液化させるのに十分に前記組成物層の前記外面を加熱することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
外面および内面を有し、かつ部分的に液化可能な組成物層を含む感光要素から、レリーフ構造を形成するための装置であって、
現像媒体を、第1の部材によって該外面に供給する手段と、
該感光要素を、外面を有するベース部材上に支持する手段と
を含み、該要素の該内面は、該ベース部材の該外面に隣接しており、
該ベース部材の該外面は、
a)250から1000μmの長さスケールで測定したときに、少なくとも1ミクロンの粗さRqを有する面、
b)溝、チャネル、ピーク、連結セル、または溝、チャネル、ピーク、連結セルの組合せのパターンを有する面、および
c)該粗さと、溝、チャネル、ピーク、および連結セルの該パターンとの組合せを有する面
からなる群から選択されたテクスチャを有することを特徴とする装置。
【請求項13】
前記チャネル、溝、ピーク、連結セル、ならびに、溝、チャネル、ピーク、および連結セルの組合せは、それぞれ、前記外面に複数のマクロ要素を形成し、少なくとも20μmから200μmの凹部深さが、1つのマクロ要素から隣接するマクロ要素まで生成されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ベース部材は、テクスチャを有する前記外面を形成する修飾材料の層をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記層は、弾性または粘着性であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記修飾材料は、天然ゴム、合成ゴム、およびエラストマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記ベース部材は、ドラム、ローラ、プラットフォーム部材、可撓性支持部材、および平面状支持体からなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記外面は、複数の突起および複数の窪みを含有する平面を画定し、該突起および窪みのそれぞれは、該平面に対する高さ、および平均表面高さからの偏差を有し、該平均高さからの該偏差の範囲の少なくとも60%は、該平均表面高さを超える突起であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記層の一部を液化させるのに十分な温度まで、前記要素の前記外面を加熱する手段をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記外面は、平面からの複数の表面突起によって特徴付けられた該平面を画定し、前記外面は、高さが該平面よりも少なくとも10μm高い、少なくとも0.1突起/mm2の突起密度を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2006−163400(P2006−163400A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−349674(P2005−349674)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】