説明

テスト作成システム、テスト作成装置、テスト作成方法、及びプログラム

【課題】個々の学習者向けに、学習者の視聴状況に応じた個別の内容のテストを作成する。
【解決手段】テスト作成装置(2)は、教材IDと、学習内容IDと、学習内容の所要時間の情報とを含む学習内容情報の記憶部(21)と、学習内容IDと、特徴量と、問題データとを含む問題情報の記憶部(22)と、端末から学習者ID及び教材IDを含むテスト提示要求を受け取る端末要求受付部(24)と、視聴履歴情報の取得段(231)と、学習内容情報の取得段(232)と、前記視聴履歴情報と前記学習内容情報とから特徴量を算出する特徴量算出段(233)と、前記問題情報の記憶部から、前記学習内容ID及び前記特徴量に対応付けられた問題データを取得する問題データ取得段(234)と、テストを作成するテスト作成段(235)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VOD(Video On Demand)教材の視聴状況を考慮したテスト作成システム、テスト作成装置、テスト作成方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、VOD教材を利用した学習を実現する技法が知られており(例えば、特許文献1参照)、昨今では、学習塾や予備校等において、VOD教材を利用した学習システムが普及しつつある。また、個々の学習者の学習履歴や試験結果に応じて適切なテストを作成する技法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−212075号公報
【特許文献2】特開2006−79113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技法を利用すれば、学習者の学習履歴や、過去の試験結果を基に、個々の学習者ごとに異なる内容のテストを作成することができる。しかし、上記の技法を利用しても、複数の学習者が同一のVOD教材の学習を終了した後の状態において、個々の学習者の学習内容が同一であること、及び試験をまだ実施していない状態であることから、個々の学習者の特徴に応じた個別の内容のテストを作成することは不可能であり、同一内容のテストを複数の学習者に提示せざるを得ないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、上記問題を解決するため、VOD教材の視聴状況を考慮し、個々の学習者の視聴状況に応じて、個別の内容のテストを作成するテスト作成システム、テスト作成装置、テスト作成方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、VOD教材の視聴行動の記録を視聴履歴情報として保持し、学習内容ごとに視聴履歴情報から特徴量を算出し、特徴量に基づいて個々の学習者向けの個別の内容のテストを作成する。
【0007】
すなわち、本発明に係るテスト作成装置は、VOD(Video On Demand)教材のコンテンツ情報が配信された端末からの要求に応じて、前記コンテンツ情報に関連するテストを作成し、作成したテストを前記端末に配信するテスト作成装置であって、教材IDと、教材IDに対応付けられた学習内容IDと、教材IDに対応付けられた学習内容の所要時間の情報とを含む学習内容情報を記憶する学習内容情報記憶手段と、学習内容IDと、特徴量と、学習内容ID及び特徴量に対応付けられた問題データとを含む問題情報を記憶する問題情報記憶手段と、端末から学習者ID及び教材IDを含むテスト提示要求を受け取る端末要求受付手段と、学習者IDと、教材IDと、学習者ID及び教材IDに対応付けられたアクション情報と、学習者ID及び教材IDに対応付けられた映像位置の情報とを含む視聴履歴情報を記憶した記憶部から、前記テスト提示要求に含まれる学習者ID及び教材IDを含む視聴履歴情報を取得する視聴履歴情報取得手段と、前記学習内容情報記憶手段から、前記テスト提示要求に含まれる教材IDを含む前記学習内容情報を取得する学習内容情報取得手段と、前記取得した視聴履歴情報と前記取得した学習内容情報とから、学習内容IDごとに特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記問題情報記憶手段から、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容ID及び前記算出した特徴量に対応付けられた1つ以上の問題データを取得する問題データ取得手段と、前記問題から構成されるテストを作成するテスト作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るテスト作成装置において、前記特徴量算出手段は、前記取得した視聴履歴情報に含まれるアクション情報及び映像位置の情報と、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容の所要時間の情報とから、反復して視聴した時間の前記学習内容の所要時間に対する第1の比率と、高速再生で視聴した時間の前記学習内容の所要時間に対する第2の比率とを求め、前記第1の比率と前記第2の比率とから定まる関数を用いて前記特徴量を算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るテスト作成装置において、前記特徴量算出手段は、前記取得した視聴履歴情報に含まれるアクション情報及び映像位置の情報と、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容の所要時間の情報とから、該学習内容の視聴中における一時停止の回数の情報を取得し、前記第1の比率と前記第2の比率と前記一時停止の回数の情報とから定まる関数を用いて前記特徴量を算出することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係るテスト作成システムは、VOD教材のコンテンツ情報を端末に配信する映像配信装置と、前記端末からの要求に応じて前記コンテンツ情報に関連するテストを作成し、作成したテストを前記端末に配信するテスト作成装置とを備えるテスト作成システムであって、前記映像配信装置は、予め記憶されたコンテンツ情報を端末に配信するコンテンツ情報配信手段と、学習者IDと、教材IDと、学習者ID及び教材IDに対応付けられたアクション情報と、前記端末から取得した、学習者ID及び教材IDに対応付けられた映像位置の情報とを含む視聴履歴情報報を記録する視聴履歴情記録手段とを備え、前記テスト作成装置は、端末から学習者ID及び教材IDを含むテスト提示要求を受け取る端末要求受付手段と、前記視聴履歴情報記憶手段から、前記テスト提示要求に含まれる学習者ID及び教材IDを含む視聴履歴情報を取得する視聴履歴情報取得手段と、教材IDと、教材IDに対応付けられた学習内容IDと、教材IDに対応付けられた学習内容の所要時間の情報とを含む学習内容情報を記憶する学習内容情報記憶手段と、学習内容IDと、視聴の特徴量と、学習内容ID及び特徴量に対応付けられた問題データとを含む問題情報を記憶する問題情報記憶手段と、前記学習内容情報記憶手段から、前記テスト提示要求に含まれる教材IDを含む前記学習内容情報を取得する学習内容情報取得手段と、前記取得した視聴履歴情報と前記取得した学習内容情報とから、学習内容IDごとに特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記問題情報記憶手段から、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容ID及び前記算出した特徴量に対応付けられた1つ以上の問題データを取得する問題データ取得手段と、前記問題から構成されるテストを作成するテスト作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係るテスト作成方法は、VOD教材のコンテンツ情報が配信された端末からの要求に応じて、前記コンテンツ情報に関連するテストを作成し、作成したテストを前記端末に配信するテスト配信方法であって、(a)端末から学習者ID及び教材IDを含むテスト提示要求を受け取るステップと、(b)学習者IDと、教材IDと、学習者ID及び教材IDに対応付けられたアクション情報と、学習者ID及び教材IDに対応付けられた映像位置の情報とを含む視聴履歴情報を記憶した記憶部から、前記テスト提示要求に含まれる学習者ID及び教材IDを含む視聴履歴情報を取得するステップと、(c)教材IDと、教材IDに対応付けられた学習内容IDと、教材IDに対応付けられた学習内容の所要時間の情報とを含む学習内容情報を記憶した記憶部から、前記テスト提示要求に含まれる教材IDを含む学習内容情報を取得するステップと、(d)前記取得した視聴履歴情報と前記取得した学習内容情報とから、学習内容IDごとに特徴量を算出するステップと、(e)学習内容IDと、特徴量と、学習内容ID及び特徴量に対応付けられた問題データとを含む問題情報を記憶した記憶部から、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容ID及び前記算出した特徴量に対応付けられた1つ以上の問題データを取得するステップと、(f)前記問題から構成されるテストを作成するステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
さらに、上述の課題を解決するために、本発明は、(a)端末から学習者ID及び教材IDを含むテスト提示要求を受け取るステップと、(b)学習者IDと、教材IDと、学習者ID及び教材IDに対応付けられたアクション情報と、学習者ID及び教材IDに対応付けられた映像位置の情報とを含む視聴履歴情報を記憶した記憶部から、前記テスト提示要求に含まれる学習者ID及び教材IDを含む視聴履歴情報を取得するステップと、(c)教材IDと、教材IDに対応付けられた学習内容IDと、教材IDに対応付けられた学習内容の所要時間の情報とを含む学習内容情報を記憶した記憶部から、前記テスト提示要求に含まれる教材IDを含む学習内容情報を取得するステップと、(d)前記取得した視聴履歴情報と前記取得した学習内容情報とから、学習内容IDごとに特徴量を算出するステップと、(e)学習内容IDと、特徴量と、学習内容ID及び特徴量に対応付けられた問題データとを含む問題情報を記憶した記憶部から、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容ID及び前記算出した特徴量に対応付けられた1つ以上の問題データを取得するステップと、(f)前記問題から構成されるテストを作成するステップと、を実行させるためのプログラムとしても特徴付けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、VOD教材の学習直後の状態であっても、個々の学習者向けに、学習者の視聴状況に応じた個別の内容のテストを作成することが可能となる。また、本発明により、例えば、VODの視聴行動によって、学習者の学習内容に対する理解や習熟の度合いが推測される場合には、学習者の理解や習熟の度合いに応じた適切なテストを作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による一実施例のテスト作成システムのブロック図である。
【図2】本発明による一実施例のテスト作成部のブロック図である。
【図3】本発明による一実施例の視聴履歴情報DBが管理する視聴履歴情報の例を示す図である。
【図4】本発明による一実施例の学習内容情報DBが管理する学習内容情報の例を示す図である。
【図5】本発明による一実施例の問題情報DBが管理する問題情報の例を示す図である。
【図6】本発明による一実施例のテスト作成方法を示すフローチャートである。
【図7】VOD教材の視聴行動の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
最初に、本発明の説明に用いる用語について定義する。
【0016】
[用語の定義]
・学習者IDとは、VOD教材のコンテンツ情報を視聴する学習者(視聴者)を一意に特定するための識別子のことをいう。
・教材IDとは、VOD教材のコンテンツ情報を一意に特定するための識別子のことをいう。
・区間IDとは、VOD教材のコンテンツ情報の時間軸におけるある区間を一意に特定するための識別子のことをいう。
・問題IDとは、テストを構成する問題を一意に特定するための識別子のことをいう。
・学習内容IDとは、VOD教材(コンテンツ情報)を複数の区分に分割(例えば、章ごとに分割)した学習内容を一意に特定するための識別子のことをいう。よって、1つのVOD教材に対して付される教材IDは1つであるが、学習内容IDは複数存在する。
・特徴量とは、学習者の学習内容ごとの注力度を示す指標のことをいう。
【0017】
以下、本発明による実施形態におけるテスト作成システム、方法、及びプログラムについて図面を参照して説明する。
【0018】
まず、本発明によるテスト作成システムの構成について、図1を参照して説明する。図1は、本発明による一実施例のテスト作成システムのブロック図である。
【0019】
[テスト作成システムの構成]
テスト作成システムは、映像配信装置1と、テスト作成装置2と、ネットワーク3と、複数の端末4とを備える。映像配信装置1は、コンテンツ情報DB11と、視聴履歴情報DB12とを備える。テスト作成装置2は、学習内容情報DB21と、問題情報DB22と、テスト作成部23と、端末要求受付部24とを備える。テスト作成部23は、視聴履歴情報取得段231と、学習内容情報取得段232と、特徴量算出段233と、問題データ取得段234と、テスト作成段235とを備える。
【0020】
映像配信装置1と、テスト作成装置2と、端末4とは、互いにネットワーク3を介して接続される。映像配信装置1は、VOD教材のコンテンツ情報を端末4に配信するとともに、端末4から学習者ごとの視聴履歴情報を取得する。テスト作成装置2は、学習者ごとの視聴履歴情報に基づき、学習者ごとに個別のテストを作成し、端末4に配信する。ネットワーク3は、インターネットや、構内LAN等のデータを送受信可能な既存のネットワークである。
【0021】
端末4は、複数のPCや携帯電話等であり、便宜上、図中には4−1及び4−2のみ示している。端末4は、ディスプレイ5やプリンタ6と接続される。
【0022】
コンテンツ情報DB11は、VOD教材のコンテンツ情報が予め記録されたデータベースであり、端末4からの要求に応じてVOD教材のコンテンツ情報を配信する。
【0023】
視聴履歴情報DB12は、端末4から取得された、VOD教材のコンテンツ情報の視聴履歴情報を記憶するデータベースである。また、テスト作成部23からの要求に応じ、視聴履歴情報をテスト作成部23に提供する。
【0024】
図7は、VOD教材の視聴行動の例を示す図である。後述するように、教材には教材IDが割り当てられており、教材を複数の区分に分割した学習内容には、学習内容IDが割り当てられている。図7は、学習内容Aから学習内容Dを視聴した際に行われたアクションを示している。図7(a)の例では、学習内容Aは連続して再生され、学習内容Bは途中で一時停止が3回行われ、学習内容Cは1.5倍速で再生され、学習内容Dは途中で巻き戻しされ、2回反復して再生されている。図7(b)の例では、学習内容Aは連続して再生され、学習内容Bは1回の一時停止の後に1回の反復再生が行われ、さらにその後1.5倍速の再生が行われ、学習内容Cは連続して再生され、学習内容Dは一時停止が2回行われている。本実施例では、このように学習内容ごと様々であるアクションに関する情報を視聴履歴情報として視聴履歴情報DB12に記憶し、この視聴履歴情報を考慮して、学習者の特徴に応じた個別の内容のテストを作成する。
【0025】
図3は、視聴履歴情報DB12が管理する視聴履歴情報の例を示す図である。学習者ID31ごとに、操作開始時刻32と、操作終了時刻33と、教材ID34と、映像の開始位置35と、映像の終了位置36と、アクション37とを記録する。映像の開始位置35及び映像の終了位置36は、映像の視聴位置を表すデータである。ここでは、視聴時間に対応する値としている。アクション37は、再生、一時停止、高速再生(1.5倍速)のほかに、停止、早送り、巻き戻し等があり、高速再生のスピードは1.5倍速に限られない。図3の例では、ID番号がU1022045である学習者が、ID番号がT5である教材を2009年9月31日の10時25分48秒から10時28分49秒まで再生し、2009年9月31日の10時28分49秒から10時30分49秒まで一時停止し、2009年9月31日の10時30分49秒から10時35分16秒まで高速再生(1.5倍速)した場合について示している。最初に3分1秒の間再生しているので、映像の開始位置が0:00:00とすると、映像の終了位置は0:03:01となる。一時停止している間は、映像の位置は変わらない。その後、1.5倍速で4分27秒の間再生しているので、映像の終了位置は、映像の開始位置の0:03:01に対し、4分27秒の1.5倍の6分40秒を追加して、0:09:41となる。
【0026】
学習内容情報DB21は、VOD教材のコンテンツ情報の学習内容情報が予め記憶されたデータベースである。また、テスト作成部23からの要求に応じ、学習内容情報をテスト作成部23に提供する。
【0027】
図4は、学習内容情報DB21の管理する学習内容情報の例を示す図である。教材のコンテンツを時間軸上に複数の区間で分割し(例えば、章ごと又は一定時間ごと)、それぞれに異なる区間ID41及び学習内容ID42を付して管理する。また、区間ID41(学習内容ID42)ごとに、開始時刻43と終了時刻44の情報が付与される。
【0028】
問題情報DB22は、複数の問題情報が予め記録されたデータベースである。また、テスト作成部23からの要求に応じ、問題情報をテスト作成部23に提供する。
【0029】
図5は、問題情報DB22の管理する問題情報の例を示す図である。問題データ53にはそれぞれ問題IDが付与される。また、問題データ53は、学習内容ID42及び特徴量52と対応付けられている。したがって、学習内容ID42及び特徴量52を検索キーとして、対応する問題データ53を取得することができる。
【0030】
テスト作成部23は、視聴履歴情報DB12から取得した視聴履歴情報、学習内容情報DB21から取得した学習内容情報、及び問題情報DB22から取得した問題情報に基づいてテストを作成し、端末要求受付部24に出力する。
【0031】
端末要求受付部24は、端末4からのテスト提示要求を受け付け、テスト作成部23にテスト作成要求信号を出力する。そして、テスト作成部23で作成したテストデータを受け取り、端末4に出力する。テスト提示要求には、後述する学習者ID及び教材IDが含まれる。
【0032】
次に、テスト作成部23の構成について、図2を参照して説明する。図2は、テスト作成部23のブロック図である。
【0033】
視聴履歴情報取得段231は、端末要求受付部24からテスト作成要求信号が入力されると、視聴履歴情報DB12にアクセスし、視聴履歴情報を取得し、特徴量算出段233に出力する。
【0034】
学習内容情報取得段232は、端末要求受付部24からテスト作成要求信号が入力されると、学習内容情報DB21にアクセスし、学習内容情報を取得し、特徴量算出段233に出力する。また、取得した学習内容情報に含まれる学習内容ID42を問題データ取得段234に出力する。
【0035】
特徴量算出段233は、視聴履歴情報取得段231から取得した視聴履歴情報、及び学習内容情報取得段232からから取得した学習内容情報から、学習内容ごとに特徴量52を算出し、問題データ取得段234に出力する。
【0036】
特徴量52は、例えば、一時停止した回数をa、反復して視聴した時間の学習内容所要時間に対する比率をb、高速再生で視聴した時間の学習内容所要時間に対する比率をcとすると、F=f(a,b,c)というa,b及びcの関数で表される。ここで、学習内容所要時間とは、学習内容を再生(高速再生ではなく通常のスピードで再生)したときに要する時間のことをいい、学習内容情報に含まれる開始時刻43及び終了時刻44から得ることができる。また、履歴情報には、アクション37の情報と、アクション37ごとの映像の開始位置35及び終了位置36の情報とが含まれる。よって、a,b及びcの値は、履歴情報と学習内容情報とから求めることができる。なお、本実施例では、視聴する際に学習内容の順番を入れ替えないで視聴することを前提としているが、視聴履歴情報に学習内容IDも含めれば、視聴者が任意の順番で学習内容を視聴した場合でも、特徴量を算出することができるようになる。
【0037】
例えば、重みW a,W,Wを用いて、F=a・W a+b・W+c・Wとすると、Fの値は学習者の注力度を示す指標となる。以下にその理由を説明する。一時停止は、休憩をする場合、電話などの外部要因により強制的に中断する必要が生じた場合などの他、学習内容の説明スピードが速いと感じた学習者が、参考書を調べる時間、考える時間、メモをとる時間等を必要とする場合に行われると考えられる。反復視聴は、学習者が視聴箇所を特に重要と考えている場合や、学習者にとって学習内容の難易度が高く、理解をするのに時間を要する場合に行われると考えられる。一方、高速再生は、学習者が視聴箇所をあまり重要でないと考えている場合や、学習者にとって学習内容の難易度が低く、理解をするのに時間を要しない場合に行われると考えられる。よって、一時停止回数a、反復視聴時間の学習内容所要時間に対する比率b、及び高速再生視聴時間の学習内容所要時間に対する比率cから、学習者の学習内容ごとに、特徴量52を定めることができる。また、特徴量52をa,b及びcで表される特徴ベクトルとすることもできる。
【0038】
また、一時停止には、上述したように学習とは無関係の要因によって行われる場合も含まれるため、特徴量52を、F=f(b,c)という、反復視聴時間の学習内容所要時間に対する比率b、及び高速再生視聴時間の学習内容所要時間に対する比率cから定まる関数とすることもできる。また、学習内容ごとに重要度に応じた重みWを予め用意しておき、特徴量52を、F=W・f(a,b,c)、又はF=W・f(b,c)で表される関数とすることもできる。
【0039】
問題データ取得段234は、問題情報DB22にアクセスし、特徴量算出段233から取得した特徴量52、及び学習内容情報取得段232から取得した学習内容ID42を検索キーとして、特徴量52及び学習内容ID42に対応付けられた問題データ53を取得し、テスト作成段235に出力する。
【0040】
テスト作成段235は、問題データ取得段234から取得した1つ以上の問題データ53から構成されるテストを、テキストデータやHTMLデータなどの可読データとして作成し、端末要求受付部24に出力する。
【0041】
次に、本発明による一実施例のテスト作成システムの動作について、図6を参照して説明する。
【0042】
[テスト作成方法]
図6は、本発明による一実施例のテスト作成方法のフローチャートである。まず、ステップS101にて、学習者が端末にアクセスする。この際、端末は学習者IDを取得する。
【0043】
ステップS102にて、端末4は、コンテンツ情報DB11からVOD教材のコンテンツ情報を取得し、端末4に接続されたディスプレイ5に映像を表示させる。
【0044】
ステップS103にて、端末4は、テスト提示要求を、学習者ID31及び教材ID34と共に、端末要求受付部24に送信する。
【0045】
ステップS104にて、端末要求受付部24は、テスト提示要求を受信すると、テスト作成要求を、学習者ID31及び教材ID34と共に、テスト作成部23に送信する。
【0046】
ステップS105にて、視聴履歴情報取得段231は、学習者ID31及び教材ID34を検索キーとして、視聴履歴情報DB12にアクセスし、ステップS106にて、学習者ID31及び教材ID34に対応付けられた視聴履歴情報を取得する。
【0047】
ステップS107にて、学習内容情報取得段232は、教材ID34を検索キーとして、学習内容情報DB21にアクセスし、ステップS108にて、教材ID34に対応付けられた学習内容情報を取得する。
【0048】
ステップS109にて、特徴量算出段233は、視聴履歴情報DB12から取得した視聴履歴情報と学習内容情報DB21から取得した学習内容情報とに基づいて、学習内容ごとに特徴量52を計算する。
【0049】
ステップS110にて、問題データ取得段234は、学習内容ID42及び特徴量52を検索キーとして、問題情報DB22にアクセスし、ステップS111にて、学習内容ID42及び特徴量52に対応付けられた問題のデータを取得する。
【0050】
ステップS112にて、テスト作成段235は、取得した問題から構成されるテストを作成する。
【0051】
ステップS113にて、テスト作成段235は、作成したテストを端末要求受付部24に送信する。
【0052】
ステップS114にて、端末要求受付部24が、テストを端末4に提示する。端末4は、テストを端末4に接続されたディスプレイ5に表示するか、又は、端末4に接続されたプリンタ6にプリントアウトするように指示し、最後に、ステップS115にて、学習者はテストを受け取る。
【0053】
なお、多くの学習者からの視聴履歴情報を収集して統計を取ることにより、教材作成に役立てることも可能である。例えば、ある学習内容について、一時停止や反復視聴の回数が多い場合には、その学習内容についてはより丁寧に説明するようにし、高速再生を選択した学習者が多い場合には、その学習内容についてはより簡潔に説明するようにすることで、学習者のニーズに合致した教材を提供することができる。
【0054】
ここで、テスト作成部23として機能させるために、コンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、聴履歴情報取得段231と、学習内容情報取得段232と、特徴量算出段233と、問題データ取得段234と、テスト作成段235とを機能させるための制御部を、CPU(中央演算処理装置)と、少なくとも1つのメモリで構成される記憶部とで実現できる。
【0055】
また、そのようなコンピュータに、CPUによって所定のプログラムを実行させることにより、聴履歴情報取得段231と、学習内容情報取得段232と、特徴量算出段233と、問題データ取得段234と、テスト作成段235の有する機能を実現させることができる。更に、聴履歴情報取得段231と、学習内容情報取得段232と、特徴量算出段233と、問題データ取得段234と、テスト作成段235の有する機能を実現させるためのプログラムを、前述の記憶部の所定の領域に格納することができる。そのような記憶部は、コンピュータ内部のRAMなどで構成させることができ、或いは又、外部記憶装置(例えば、ハードディスク)で構成させることもできる。また、そのようなプログラムは、テスト作成部23としてのコンピュータで利用されるOS上のソフトウェア(ROM又は外部記憶装置に格納される)の一部で構成させることができる。
【0056】
さらに、テスト作成部23として機能させるコンピュータを、本発明の各構成要素としての手段として機能させるためのプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録することができる。
【0057】
上述の実施例は、代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
このように、本発明によれば、学習者の視聴状況に応じた個別の内容のテストを作成することができるので、VOD教材のコンテンツ情報のテストを配信する任意の用途に有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 映像配信装置
11 コンテンツ情報DB
12 視聴履歴情報DB
2 テスト作成装置
21 学習内容情報DB
22 問題情報DB
23 テスト作成部
231 視聴履歴情報取得段
232 学習内容情報取得段
233 特徴量算出段
234 問題データ取得段
235 テスト作成段
24 端末要求受付部
3 ネットワーク
4 端末
5 ディスプレイ
6 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
VOD(Video On Demand)教材のコンテンツ情報が配信された端末からの要求に応じて、前記コンテンツ情報に関連するテストを作成し、作成したテストを前記端末に配信するテスト作成装置であって、
教材IDと、教材IDに対応付けられた学習内容IDと、教材IDに対応付けられた学習内容の所要時間の情報とを含む学習内容情報を記憶する学習内容情報記憶手段と、
学習内容IDと、特徴量と、学習内容ID及び特徴量に対応付けられた問題データとを含む問題情報を記憶する問題情報記憶手段と、
端末から学習者ID及び教材IDを含むテスト提示要求を受け取る端末要求受付手段と、
学習者IDと、教材IDと、学習者ID及び教材IDに対応付けられたアクション情報と、学習者ID及び教材IDに対応付けられた映像位置の情報とを含む視聴履歴情報を記憶した記憶部から、前記テスト提示要求に含まれる学習者ID及び教材IDを含む視聴履歴情報を取得する視聴履歴情報取得手段と、
前記学習内容情報記憶手段から、前記テスト提示要求に含まれる教材IDを含む前記学習内容情報を取得する学習内容情報取得手段と、
前記取得した視聴履歴情報と前記取得した学習内容情報とから、学習内容IDごとに特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記問題情報記憶手段から、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容ID及び前記算出した特徴量に対応付けられた1つ以上の問題データを取得する問題データ取得手段と、
前記問題から構成されるテストを作成するテスト作成手段と、
を備えることを特徴とするテスト作成装置。
【請求項2】
前記特徴量算出手段は、前記取得した視聴履歴情報に含まれるアクション情報及び映像位置の情報と、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容の所要時間の情報とから、反復して視聴した時間の前記学習内容の所要時間に対する第1の比率と、高速再生で視聴した時間の前記学習内容の所要時間に対する第2の比率とを求め、前記第1の比率と前記第2の比率とから定まる関数を用いて前記特徴量を算出することを特徴とする、請求項1に記載のテスト作成装置。
【請求項3】
前記特徴量算出手段は、前記取得した視聴履歴情報に含まれるアクション情報及び映像位置の情報と、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容の所要時間の情報とから、該学習内容の視聴中における一時停止の回数の情報を取得し、前記第1の比率と前記第2の比率と前記一時停止の回数の情報とから定まる関数を用いて前記特徴量を算出することを特徴とする、請求項2に記載のテスト作成装置。
【請求項4】
VOD教材のコンテンツ情報を端末に配信する映像配信装置と、前記端末からの要求に応じて前記コンテンツ情報に関連するテストを作成し、作成したテストを前記端末に配信するテスト作成装置とを備えるテスト作成システムであって、
前記映像配信装置は、
予め記憶されたコンテンツ情報を端末に配信するコンテンツ情報配信手段と、
学習者IDと、教材IDと、学習者ID及び教材IDに対応付けられたアクション情報と、前記端末から取得した、学習者ID及び教材IDに対応付けられた映像位置の情報とを含む視聴履歴情報報を記録する視聴履歴情記録手段とを備え、
前記テスト作成装置は、
端末から学習者ID及び教材IDを含むテスト提示要求を受け取る端末要求受付手段と、
前記視聴履歴情報記憶手段から、前記テスト提示要求に含まれる学習者ID及び教材IDを含む視聴履歴情報を取得する視聴履歴情報取得手段と、
教材IDと、教材IDに対応付けられた学習内容IDと、教材IDに対応付けられた学習内容の所要時間の情報とを含む学習内容情報を記憶する学習内容情報記憶手段と、
学習内容IDと、視聴の特徴量と、学習内容ID及び特徴量に対応付けられた問題データとを含む問題情報を記憶する問題情報記憶手段と、
前記学習内容情報記憶手段から、前記テスト提示要求に含まれる教材IDを含む前記学習内容情報を取得する学習内容情報取得手段と、
前記取得した視聴履歴情報と前記取得した学習内容情報とから、学習内容IDごとに特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記問題情報記憶手段から、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容ID及び前記算出した特徴量に対応付けられた1つ以上の問題データを取得する問題データ取得手段と、
前記問題から構成されるテストを作成するテスト作成手段と、
を備えることを特徴とするテスト作成システム。
【請求項5】
VOD教材のコンテンツ情報が配信された端末からの要求に応じて、前記コンテンツ情報に関連するテストを作成し、作成したテストを前記端末に配信するテスト配信方法であって、
(a)端末から学習者ID及び教材IDを含むテスト提示要求を受け取るステップと、
(b)学習者IDと、教材IDと、学習者ID及び教材IDに対応付けられたアクション情報と、学習者ID及び教材IDに対応付けられた映像位置の情報とを含む視聴履歴情報を記憶した記憶部から、前記テスト提示要求に含まれる学習者ID及び教材IDを含む視聴履歴情報を取得するステップと、
(c)教材IDと、教材IDに対応付けられた学習内容IDと、教材IDに対応付けられた学習内容の所要時間の情報とを含む学習内容情報を記憶した記憶部から、前記テスト提示要求に含まれる教材IDを含む学習内容情報を取得するステップと、
(d)前記取得した視聴履歴情報と前記取得した学習内容情報とから、学習内容IDごとに特徴量を算出するステップと、
(e)学習内容IDと、特徴量と、学習内容ID及び特徴量に対応付けられた問題データとを含む問題情報を記憶した記憶部から、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容ID及び前記算出した特徴量に対応付けられた1つ以上の問題データを取得するステップと、
(f)前記問題から構成されるテストを作成するステップと、
を含むことを特徴とするテスト作成方法。
【請求項6】
VOD教材のコンテンツ情報が配信された端末からの要求に応じて、前記コンテンツ情報に関連するテストを作成し、作成したテストを前記端末に配信するテスト作成装置として機能するコンピュータに、
(a)端末から学習者ID及び教材IDを含むテスト提示要求を受け取るステップと、
(b)学習者IDと、教材IDと、学習者ID及び教材IDに対応付けられたアクション情報と、学習者ID及び教材IDに対応付けられた映像位置の情報とを含む視聴履歴情報を記憶した記憶部から、前記テスト提示要求に含まれる学習者ID及び教材IDを含む視聴履歴情報を取得するステップと、
(c)教材IDと、教材IDに対応付けられた学習内容IDと、教材IDに対応付けられた学習内容の所要時間の情報とを含む学習内容情報を記憶した記憶部から、前記テスト提示要求に含まれる教材IDを含む学習内容情報を取得するステップと、
(d)前記取得した視聴履歴情報と前記取得した学習内容情報とから、学習内容IDごとに特徴量を算出するステップと、
(e)学習内容IDと、特徴量と、学習内容ID及び特徴量に対応付けられた問題データとを含む問題情報を記憶した記憶部から、前記取得した学習内容情報に含まれる学習内容ID及び前記算出した特徴量に対応付けられた1つ以上の問題データを取得するステップと、
(f)前記問題から構成されるテストを作成するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−113045(P2011−113045A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271891(P2009−271891)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】