説明

テトラフルオロエチレン骨格を有する化合物の製造方法

【課題】液晶材料等機能性材料として有用なCF2CF2連結基を有する化合物を製造するための汎用性が高く簡便かつ効率的な製造方法の提供。
【解決手段】特定構造の化合物(1)および化合物(2)を金属存在下、カップリング反応により反応させることによる、特定構造のテトラフルオロエチレン骨格を有する化合物(3)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラフルオロエチレン骨格を有する化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶素子は携帯電話やPDAのような携帯機器、複写機やパソコンモニタのようなOA機器用表示装置、液晶テレビなどの家電製品用表示装置をはじめ、時計、電卓、測定器、自動車用計器、カメラなどの用途に使用されており、広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等の種々の性能が要求されている。
このような液晶素子には液晶相を示す材料が使用されているが、従来、上記のような特性の全てを単独で満たす化合物は存在せず、優れた特性を備える液晶化合物や非液晶性化合物を複数混合することで、要求性能を満たす液晶組成物を得ていた。
【0003】
また、上記のような液晶組成物に使用される化合物に要求される種々の特性において、他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定であり、液晶素子に用いた場合に広い温度範囲で高速応答性に優れ、低電圧駆動できる性質が重要である。
【0004】
このような性質を備えるものとして、テトラフルオロエチレン骨格(以下、CF2CF2連結基とも記す。)の両側にフェニル基またはシクロヘキシル基を有する化合物の使用が検討されている。この化合物は、液晶素子に用いた場合に広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等の種々の要求性能を満たすのに必要な化合物である。中でも、CF2CF2連結基の両側にシクロヘキシル基を有する化合物は、特に優れた化学的安定性と、高い透明点を有し液晶素子に適した化合物である。
【0005】
また、最近になって、以下に示すようなCF2CF2連結基の両側にシクロヘキシル基またはフェニル基を有する化合物の合成方法も報告されるようになった。
【0006】
例えば特許文献1には、次の式(50)に示す合成方法が記載されている。
【0007】
【化1】

式(50)中、MG1およびMG2は、1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基などの骨格を有するメソゲン基である。
【0008】
また、例えば特許文献2には、次の式(51)に示す合成方法が記載されている。
【0009】
【化2】

式(51)中、A1〜A4は、トランス−1,4−ジ置換シクロへキシレン基または1,4−ジ置換フェニレン基であり、Y1、Y2は、−COO−,−OCO−,−CH2CH2−などの連結基である。
【0010】
また、例えば特許文献3には、次の式(52)に示す合成方法が記載されている。
【0011】
【化3】

【0012】
また、例えば非特許文献1には、次の式(53)に示す合成方法が記載されている。
【0013】
【化4】

【0014】
また、例えば非特許文献2には、CF=CF基の両側にフェニル基を有する化合物を、CFCl3などの溶媒中でフッ素ガスを用いてフッ素化して、CF2CF2連結基の両側にフェニル基を有する化合物を合成する反応が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許発明第4015681号公報
【特許文献2】特開平05−331084号公報
【特許文献3】国際公開第02/51774号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】J.Am.Chem.,Soc.,Vol.123,No.23,p.5414−5417(2001).
【非特許文献2】Journal of Fluorine Chemistry,25(1984)p.169−193.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、特許文献1に記載されるDASTによるフッ素化方法は、カルボニル基に結合するMG1基がシクロヘキシル基である場合、フッ素化は進行しない。
特許文献2に記載された方法は、フッ素化試薬(フッ素化ヨウ素)の入手、取り扱いが容易ではなく、反応副生物が多く、収率は満足できるものではない。
特許文献3に記載された合成方法では、両端がシクロヘキサン環のフッ素化前駆体の合成は困難であり、CF2CF2連結基に結合する環構造はベンゼン環に限られ、さらに、合成できる化合物は左右対称構造のものに限られる。
非特許文献1における両端がシクロヘキシル基のジケトンのフッ素化は、通常のフッ素化試薬では進行せず、反応性は高いが毒性が強いSF4を用いる必要があり、危険性が高く、スケ−ルアップが容易でなく、かつ収率が低いといった問題がある。
非特許文献2の方法は、合成される化合物がCF2CF2連結基の両側にフェニル基を有する化合物に限られている。
【0018】
本発明は、上記に記載のような特許文献1〜3ならびに非特許文献1および2の問題点を克服した、液晶材料等機能性材料として有用なCF2CF2連結基を有する化合物を製造するための汎用性が高く、簡便かつ効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、前述した課題を解決すべく鋭意検討した結果、金属存在下、特定構造を備える2種類の化合物のカップリング反応を利用することで、特定構造を備えるテトラフルオロエチレン骨格を有する化合物を、高収率かつ少ない工程数で得られることを見出した。
【0020】
本発明は、下式(1)で表される化合物と、下式(2)で表される化合物とを金属存在下、カップリング反応により反応させることによる、下記式(3)で表される化合物の製造方法を提供する。
【0021】
【化5】

【0022】
式(1)、式(2)および式(3)中の記号は、以下の意味を有する。
1:水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、または下記式(C12)で表される基。前記アルキル基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
【0023】
【化6】

式(C12)中、Qは−CH2−または−CH2CH2−であり、基中の水素原子はアルキル基で置換されていてもよい。
【0024】
2:水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、または下記式(C42)で表される基。前記アルキル基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
【0025】
【化7】

式(C42)においてQは、式(C12)におけるQと同じ意味を示す。
【0026】
1、A2、A3およびA4:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基。A1〜A4の基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、当該基中に存在する1個または2個の=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1個または2個の−CH2−基はエーテル性酸素原子またはエーテル性硫黄原子で置換されていてもよい。
【0027】
1、Z2、Z3およびZ4:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基であり、基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
【0028】
1、X2:相互に独立して、ヨウ素原子または臭素原子。
a、b、c、d:相互に独立して0または1である。ただし、0≦a+b+c+d≦2を満たす。ただし、式(1)および式(3)において、a=b=0の場合に下記式(C1)で表される基:
【0029】
【化8】

は、前記式(C12)で表される基と同一であってもよい。
また、式(2)および式(3)において、c=d=0の場合に下記式(C2)で表される基:
【0030】
【化9】

は、下記式(C22)で表される基:
【0031】
【化10】

であってもよい。
【0032】
前述のカップリング反応は、テトラフルオロエチレン骨格を有する化合物を得るために非常に有用である。すなわち、例えば、本発明の式(1)で表される化合物を、下式(S1)で表される化合物に代えた場合、カップリング反応は進行しない。また、本発明の式(2)で表される化合物を、下式(S2)で表される化合物に代えた場合も、カップリング反応は進行しない。
このように、本発明の反応は、連結基となる部分やそれに隣接する環基が類似の構造である場合は進行せず、式(1)や式(2)で特定する構造である場合にのみ進行するという特徴を有する反応である。
【0033】
【化11】

【0034】
【化12】

【0035】
また、本発明は、下記第1工程および第2工程からなる、下式(4)で表される1,2−ジシクロヘキシルテトラフルオロエチレン骨格を有する化合物の製造方法も提供する。
第1工程:下記式(1)で表される化合物を金属存在下、下記式(2)で表される化合物とカップリング反応により反応させて下記式(3)で表される化合物を製造する工程。
第2工程:下記式(3)で表される化合物を水素還元し、下記式(4)で表される化合物へと変換する工程。
【0036】
【化13】

式(1)、式(2)、式(3)および式(4)中の記号は、前記と同じ意味を示す。ただし、式(4)において、c=d=0の場合に下記式(C1)で表される基:
【0037】
【化14】

は、前記式(C42)で表される基と同一であってもよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明の製造方法によれば、テトラフルオロエチレン骨格を有する化合物を汎用性が高く工業的にも容易に簡便かつ効率的に製造することができる。
また、本発明の製造方法によって得られる式(3)で表される化合物は液晶として用いることができるとともに、式(4)で表される化合物の原料としても有用である。また、式(4)で表される化合物は、他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定であり、かつ液晶電気光学素子に用いた場合に広い温度範囲で高速応答性に優れ、低電圧駆動できる。
また、本発明の製造方法によって得られる化合物は、当該化合物を構成する環基、置換基および連結基を適宜選択することにより、液晶素子に要求される様々な性能、具体的には、例えば広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等を満たした液晶組成物を調製できる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す場合がある。また、他の式で表される化合物も同様に記す場合がある。
【0040】
本発明の製造方法は、金属存在下、下記式(1)で表わされる化合物(化合物(1))と、下記式(2)で表わされる化合物(化合物(2))とをカップリング反応により反応させて、下記式(3)で表わされる化合物(化合物(3))を製造する工程を特徴とする。
【0041】
【化15】

式(1)、式(2)および式(3)中の記号は、前記と同じ意味を示す。
【0042】
化合物(1)および化合物(3)において、R1は、水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、または前記式(C12)で表される基である。前記アルキル基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。なお、フッ素原子の置換と、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子の置換とは、アルキル基に対して同時に行われていてもよい。
【0043】
化合物(2)および化合物(3)において、R2は水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基または前記式(C42)で表される基である。前記アルキル基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。なお、フッ素原子の置換と、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子の置換とは、アルキル基に対して同時に行われていてもよい。
【0044】
以下、エーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子およびフッ素原子の少なくとも1つに置換されたアルキル基を「置換アルキル基」とも記す。
置換アルキル基としては、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基等が挙げられる。
1としては、反応性や副反応が生じにくいことから、水素原子、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18の置換アルキル基、または前記式(C12)で表される基が好ましい。
2としては、反応性や副反応が生じにくいことから、水素原子、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18の置換アルキル基、または前記式(C42)で表される基が好ましい。
【0045】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基が挙げられる。
アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基が挙げられる。
アルキルチオアルキル基としては、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基が挙げられる。
フルオロアルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が挙げられる。
フルオロアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基が挙げられる。
【0046】
1としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10の置換アルキル基または前記式(C12)で表される基が特に好ましい。
2としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10の置換アルキル基または前記式(C42)で表される基が特に好ましい。
【0047】
化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)において、A1、A2、A3およびA4は、相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基である。
【0048】
1〜A4の基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、当該基中に存在する1個または2個の=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1個または2個の−CH2−基はエーテル性酸素原子またはエーテル性硫黄原子で置換されていてもよい。なお、ハロゲン原子の置換と、窒素原子または酸素原子の置換とは、同一の基に対して同時に行われていてもよい。
【0049】
1、A2、A3およびA4が1,4−フェニレン基である場合、置換するハロゲン原子の数は1〜4個であり、1個または2個が好ましい。環基がトランス−1,4−シクロヘキシレン基である場合、置換するハロゲン原子の数は1〜4個である。また、ハロゲン原子はシクロヘキシレン基の1位または4位の炭素原子に結合していてもよい。
1,4−フェニレン基の基中に存在する1個または2個の=CH−基が窒素原子に置換された基としては、2,5−ピリミジニレン基または2,5−ピリジニレン基が挙げられる。
トランス−1,4−シクロへキシレン基の基中に存在する1個または2個の−CH2−基はエーテル性酸素原子またはエーテル性硫黄原子に置換された基としては、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,3−ジチアン−2,5−ジイル基が挙げられる。
【0050】
以下、ハロゲン原子および窒素原子の少なくとも1つに置換された1,4−フェニレン基を「置換1,4−フェニレン基」とも記し、ハロゲン原子、エーテル性酸素原子およびチオエーテル性硫黄原子の少なくとも1つに置換された1,4−シクロヘキシレン基を「置換トランス−1、4−シクロヘキシレン基」とも記す。
【0051】
1、A2、A3およびA4としては、反応性や原料入手の関係から、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、置換トランス−1,4−シクロへキシレン基、および置換1,4−フェニレン基が好ましい。
中でも、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、および1個または2個のフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基が好ましい。
【0052】
これらの環基は、1位および4位に結合手を有する。なお、本明細書においては、環基の右側を1位とし、左側を4位とする。例えば、化合物(1)中のA1は、Z1と結合する側が1位であり、R1と結合する側が4位である。
【0053】
化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)において、Z1、Z2、Z3およびZ4は、相互に独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基であり、基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されてもよい。なお、フッ素原子の置換と、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子の置換とは、同一の基に対して同時に行われてもよい。
【0054】
基中の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキレン基としては、−CF2CF2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CHFCH2−、−CH2CHF−、−CF2CHF−、−CHFCF2−が挙げられる。
基中の1個以上の−CH2−がエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子に置換されたアルキレン基としては、−CH2O−、−OCH2−、−CH2S−、−SCH2−が挙げられる。
また、これらのフッ素原子の置換とエーテル性酸素原子の置換が同時に行われた基としては、−CF2O−、−OCF2−が挙げられる。
【0055】
1、Z2、Z3およびZ4としては、合成の容易さ等から、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数1〜4の基中の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキレン基、および炭素数1〜4の基中の1個以上の−CH2−がエーテル性酸素原子で置換されたアルキレン基が好ましい。中でも、単結合および炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。
【0056】
化合物(1)および化合物(2)において、X1およびX2はヨウ素原子または臭素原子である。X1およびX2としては反応性からヨウ素原子が好ましい。
【0057】
化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)において、a、b、cおよびdは相互に独立して0または1である。ただし、0≦a+b+c+d≦2である。
a、b、cおよびdは化合物に要求特性に応じて適宜選択することができる。
例えば後述の化合物(4)が低粘性であること、あるいは該化合物が他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れている点を重視する場合、0≦a+b+c+d≦1であることが好ましい。一方、化合物の高い液晶温度範囲を重視する場合、1≦a+b+c+d≦2であることが好ましい。なお、化合物(3)を液晶として用いる場合も同様である。
【0058】
化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)において、Qは−CH2−または−CH2CH2−であり、基中の水素原子はアルキル基で置換されていてもよい。
基中の炭素原子がアルキル基で置換された基としては、−CH2C(CH32−などが挙げられる。
Qとしては、原料の入手の容易さから、−CH2−または−CH2CH2−が好ましい。
【0059】
また、式(1)において、a=b=0の場合、前記R1の好適構造に加えて、前記式(C1)で表される基が前記式(C12)で表される基であるのが好ましい。
また、式(2)および式(3)において、c=d=0の場合、前記R2の好適構造に加えて、前記(C2)で表される基が前記式(C22)で表される基であるのが好ましい。
【0060】
本発明の製造方法は、前記化合物(1)と化合物(2)とから化合物(3)を得る工程(下記第1工程)と、それに続く下記第2工程により化合物(4)を得ることも特徴とする。
第1工程:金属存在下、化合物(1)と化合物(2)をカップリング反応により反応させ化合物(3)を得る工程。
第2工程:化合物(3)を水素還元し、化合物(4)へと変換する工程。
【0061】
【化16】

式(1)〜式(4)中の記号は、前記と同じ意味を示す。化合物(4)において、各基の好ましい態様は前記化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)と同じである。
ただし、c=d=0の場合に下記式(C4)で表される基:
【0062】
【化17】

は、前記式(C42)で表される基であってもよい。
【0063】
第1工程は金属存在下、化合物(1)と化合物(2)とのカップリング反応により化合物(3)を得る工程である。
【0064】
本発明の出発物質である化合物(1)のX1はヨウ素または臭素であるが、ヨウ素がより好ましい。化合物(1)は、例えば、特開2002−128776号公報記載の方法で得ることができる。
また、シクロヘキセニルハライド誘導体化合物(2)は、市販品あるいは新実験科学講座(丸善株式会社出版)等、有機合成の成書に記載されている方法にて容易に得られる。
化合物(2)の使用量は化合物(1)1モルに対し、1〜3モルが好ましく、1〜2モルがより好ましい。
【0065】
第1工程は溶媒中で実施するのが好ましい。溶媒としてはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン等の非プロトン性極性溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、または前記溶媒の適当な混合溶媒等を用いることができる。これらの中でも、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0066】
前記溶媒の量は、化合物(1)の質量([g])に対して、0.1〜100倍の体積(ml)使用するのが好ましく、0.5〜20倍量使用するのがより好ましい。例えば、化合物(1)が1gであれば、溶媒は0.1〜100ml使用するのが好ましく、0.5〜20ml使用するのがより好ましいということになる。
【0067】
反応温度は20〜200℃が好ましく、70〜180℃がより好ましい。
【0068】
反応時間は1〜24時間が好ましく、1.5〜5時間がより好ましい。
【0069】
金属としては、パラジウムまたは銅が好ましい。これらの中でも、銅がより好ましい。
金属の使用量としては、化合物(1)に対して2〜10当量が好ましく、2〜4当量がより好ましい。
【0070】
第2工程は化合物(3)を水素還元し、化合物(4)を合成する工程である。
【0071】
水素還元の具体的方法は特に限定されないが、水素雰囲気における常圧から加圧状態において金属触媒を使用して行うことが好ましい。触媒としては、ロジウム系、白金系、ルテニウム系、パラジウム系、ニッケル系などが好ましい。触媒の使用量は化合物(3)の質量に対して1〜50質量%の範囲が好ましい。
【0072】
溶媒は被還元部位がなく、還元反応の妨げにならない溶媒であれば使用できるが、アルコール系、エーテル系、炭化水素系、エステル系が好ましく、メタノール、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチルなどが挙げられ、溶媒は単一種で用いてもよく、複数種類を混合して用いてもよい。
【0073】
溶媒の使用量は化合物(3)が溶解し、安全かつ定常的に反応を進行させることができれば構わず、化合物(3)の質量(g)に対して0.5〜100倍の体積(ml)の範囲が好ましい。
【0074】
水素圧は化合物の構造や用いる金属触媒の種類により大きく異なるが、水素圧は0.01MPa〜20MPaの範囲が好ましい。
【0075】
反応温度は化合物の構造や溶媒の種類や用いる金属触媒の種類により大きく異なるが、低温側は反応液が固化せず、高温側は溶媒の蒸気圧が水素圧を上回らなければ構わなく−40〜200℃の範囲が好ましく、0〜80℃の範囲がより好ましい。
【0076】
第2工程により得られる化合物(4)は、R1が式(C12)で表される基である場合、R2が式(C42)で表される基である場合、a=b=0であり式(C1)で表される基が前記式(C12)で表される基である場合、およびc=d=0であり式(C2)で表される基が式(C42)で表される基である場合には、液晶化合物の合成中間体として有用である。
【0077】
第1工程としては、化合物(1)が化合物(1−1)であり、化合物(2)が化合物(2−1)であり、化合物(3)が化合物(3−1)である場合が好ましい。
【0078】
【化18】

【0079】
ただし、式(1−1)、式(2−1)および式(3−1)中の記号は以下の意味を示す。
【0080】
11:水素原子、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、または前記式(C12)で表される基。当該基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
【0081】
21:水素原子、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、または前記式(C42)で表される基。当該基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
【0082】
11、A21、A31およびA41:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基。当該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1個または2個の=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1個または2個の−CH2−基はエーテル性酸素原子またはエーテル性硫黄原子で置換されていてもよい。
【0083】
11、Z21、Z31およびZ41:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基であり、基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
【0084】
a、b、c、d、X1およびX2は前記と同じ意味である。
【0085】
ただし、a=b=0の場合、下記式(C1−1)で表される基は、前記式(C12)で表される基であってもよい。
【0086】
【化19】

【0087】
また、c=d=0の場合、下記式(C2−1)で表される基は、前記式(C22)で表される化合物であってもよい。
【化20】

【0088】
また、第1工程としては、化合物(1)が化合物(1−2)であり、化合物(2)が化合物(2−2)であり、化合物(3)が化合物(3−2)である場合が好ましい。
【0089】
【化21】

【0090】
ただし、式(1−2)、式(2−2)および式(3−2)中の記号は、以下の意味を示す。
12:炭素数1〜10のアルキル基、または前記式(C12)で表される基。当該アルキル基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
【0091】
22:炭素数1〜10のアルキル基、または前記式(C22)で表される基。当該アルキル基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
【0092】
12、A22、A32およびA42:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基。当該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0093】
12、Z22、Z32、Z42:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基。
a、b、c、d、X1およびX2は前記と同じ意味である。
【0094】
ただし、a=b=0の場合、下記式(C1−2)で表される基は、前記式(C12)で表される基であってもよい。
【0095】
【化22】

【0096】
また、c=d=0の場合、下記式(C2−2)で表される基は、前記式(C22)で表される化合物であってもよい。
【0097】
【化23】

【0098】
第2工程としては、化合物(3)が化合物(3−1)であり、化合物(4)が化合物(4−1)である場合が好ましい。
【化24】

ただし、式(3−1)および式(4−1)中の記号は前記と同じ意味を示す。
また、a=b=0の場合、前記式(C1−1)で表される基は、前記式(C12)で表される基であってもよい。
また、化合物(3−1)において、c=d=0の場合、前記式(C2−1)で表される基は、前記式(C22)で表される基であってもよい。
また、化合物(4−1)において、c=d=0の場合、下記式(C4−1)で表される基は、前記式(C42)で表される基であってもよい。
【0099】
【化25】

【0100】
また、第2工程としては、化合物(3)が化合物(3−2)であり、化合物(4)が化合物(4−2)である場合が特に好ましい。
【0101】
【化26】

ただし、式(3−2)および式(4−2)中の記号は前記と同じ意味を示す。
また、a=b=0の場合、前記式(C1−1)で表される基は、前記式(C12)で表される基であってもよい。
また、化合物(3−2)において、c=d=0の場合、前記式(C2−1)で表される基は、前記式(C22)で表される基であってもよい。
また、化合物(4−2)において、c=d=0の場合、下記式(C4−2)で表される基は、前記式(C42)で表される基であってもよい。
【0102】
【化27】

【0103】
化合物(4)の具体例としては以下の化合物が挙げられる。以下の式中、各記号は、以下の意味を示す。
Cy:トランス−1,4−シクロヘキシレン基
Ph:1,4−フェニレン基
Ph2-F:2−フルオロ−1,4−フェニレン基
Ph3-F:3−フルオロ−1,4−フェニレン基
Ph2,3-FF:2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
Ph2,6-FF:2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
Ph3,5-FF:3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
【0104】
CH3−Cy−CF2CF2−Cy−C37
37−Cy−CF2CF2−Cy−C37
37−Cy−CF2CF2−Cy−C511
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−C37
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−C511
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Cy−C37
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Cy−C511
37−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C37
37−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C511
37−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2-F−C37
37−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3-F−C511
37−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,6-FF−C37
37−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3,5-FF−C511
37−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,3-FF−C37
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C37
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C511
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2-F−C37
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3-F−C511
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,6-FF−C37
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3,5-FF−C511
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,3-FF−C37
【0105】
化合物(4)の他の具体例は以下のとおりである。化合物(4)を液晶化合物の合成中間体として用いる場合、次のような態様であると好ましい。
CH3−Cy−CF2CF2−Cy−Cyk
37−Cy−CF2CF2−Cy−Cyk
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cyk
37−Cy−Cy−CF2CF2−Cy−Cyk
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph−C37
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph−C511
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph2-F−C37
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph3-F−C511
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph2,6-FF−C37
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph3,5-FF−C511
Cyk−CF2CF2−Cy−Ph2,3-FF−C37
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C37
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph−C511
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2-F−C37
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3-F−C511
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,6-FF−C37
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph3,5-FF−C511
Cyk−Cy−CF2CF2−Cy−Ph2,3-FF−C37
式中の記号Cyは以下の意味を示す。
【0106】
【化28】

【実施例】
【0107】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお以下の例は、本発明を制限することなく、本発明を例示しようとするものである。
【0108】
(実施例1)化合物(3A)の合成
【0109】
【化29】


窒素雰囲気下、化合物(1A)(10g)と4−プロピルシクロヘキセニルアイオダイド(7.1g)と銅粉末(4.2g)とジメチルスルホキシド(120mL)とを混合し、攪拌しながら、反応液を130℃に加熱した。4時間後、反応液を冷却し1M塩酸(125mL)を加えた後、ろ過を行い、固形分をろ別した。得られたろ液にヘキサン(120mL)を加え、有機相を分離した。得られた有機相を水で洗浄したのち、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(3A)を、収率54%にて得た。
【0110】
19F−NMR(CHCl3,CFCl3):δ−115.11and−115.14(mc,2F,CF2),δ−122.67and−122.74(mc,2F,CF2
【0111】
(実施例2)化合物(4A)の合成
【0112】
【化30】

【0113】
化合物(3A)(5g)のエタノール(50mL)溶液に5%パラジウム炭素(0.5g)を加えて、水素圧0.75MPaで75℃にて2時間撹拌した。触媒をろ別した後、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび再結晶にて精製し、化合物(4A)を収率31%にて得た。
【0114】
19F−NMR(CHCl3,CFCl3):δ−116.73(mc,4F,CF2CF2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物と、下記式(2)で表される化合物とを金属存在下、カップリング反応により反応させることによる、下記式(3)で表される化合物の製造方法。
【化1】

式(1)、式(2)および式(3)中の記号は、以下の意味を有する。
1:水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、または下記式(C12)で表される基。前記アルキル基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
【化2】

式(C12)中、Qは−CH2−または−CH2CH2−であり、基中の水素原子はアルキル基で置換されていてもよい。
2:水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基または下記式(C42)で表される基。前記アルキル基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素で置換されていてもよい。
【化3】

式(C42)においてQは、式(C12)におけるQと同じ意味を示す。
1、A2、A3およびA4:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基。A1〜A4の基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、当該基中に存在する1個または2個の=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1個または2個の−CH2−基はエーテル性酸素原子またはエーテル性硫黄原子で置換されていてもよい。
1、Z2、Z3およびZ4:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基であり、基中の1個以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
1、X2:相互に独立して、ヨウ素原子または臭素原子。
a、b、c、d:相互に独立して0または1である。ただし、0≦a+b+c+d≦2を満たす。ただし、式(1)および式(3)においてa=b=0の場合に、下記式(C1)で表される基:
【化4】

は、前記式(C12)で表される基と同一であってもよい。
また、式(2)および式(3)においてc=d=0の場合に、下記式(C2)で表される基:
【化5】

は、下記式(C22)で表される基:
【化6】

であってもよい。
【請求項2】
下記第1工程および第2工程からなる、下式(4)で表される化合物の製造方法。
第1工程:下記式(1)で表される化合物と下記式(2)で表される化合物とを反応させて下記式(3)で表される化合物を製造する工程。
第2工程:下記式(3)で表される化合物を水素還元し、下記式(4)で表される化合物へと変換する工程。
【化7】

式(1)、式(2)、式(3)、および式(4)中の記号は、請求項1における記号と同じ意味を示す。
ただし、式(4)において、c=d=0の場合に下記式(C4)で表される基
【化8】

は、前記式(C42)で表される基と同一であってもよい。

【公開番号】特開2010−285384(P2010−285384A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141295(P2009−141295)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000108030)AGCセイミケミカル株式会社 (130)
【Fターム(参考)】