説明

テフ粉末の加工法

本発明は、テフ(Eragrostis tef)の粉末、および、本粉末を含む製品に関する。本発明は、製粉の際の穀粒の落下数が少なくとも250、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも340、最も好ましくは少なくとも380であるという点を特徴とする、スズメガヤ属(好ましくはテフ)に属する穀粒の粉末を提供する。本発明は更に、本発明による粉末を含む食品または高級食品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テフ(Eragrostis tef)の粉末、および、本粉末を含む製品に関する。本発明は特に、とりわけグルテン非含有食品へと良好に加工されうるスズメガヤ属(Eragrostis)の粉末および、これらの食品を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品中のグルテン(または、大麦中のホルデインおよびライ麦中のセカリン(secalin)などの類似化合物)は、小麦、大麦、ライ麦、オート麦、およびドイツ小麦(spelt)の粉末からしばしば生じるが、これが多数の人々、とりわけ生後数ヶ月間の乳児に適していないことは、何十年間もすでに公知である。多くの人々が過敏症を発病し、これにより、グルテン不耐症またはセリアック病の患者が生じる。
【0003】
セリアック病、および、疱疹状皮膚炎(皮膚のセリアック病)は、グルテンに対する過敏症によって生じる。セリアック病患者が、一種もしくは複数種のグルテン含有型の穀粒からもしくはそれと共に調製されている何か、またはそれと接触している何かを食べたまたは飲んだ場合、小腸の粘膜が影響を受ける。健康な小腸は、内側に、摂食のための巨大な表面を共に形成する多数の腸絨毛を有する。セリアック病患者の腸絨毛は、グルテン、というよりむしろ、グルテンの構成要素であるグリアジンおよびグルテニンへの耐性が無い。グルテンにより開始される免疫応答の結果、腸絨毛が影響を受ける。従って、全ての必須の栄養素を体に取り入れられるとは限らない。このことは、とりわけビタミン、カルシウム、および、鉄の欠乏の原因となりうる。
【0004】
オランダには、推定75,000人のセリアック病患者がいる。セリアック病はあらゆる年齢の人々において発見されうるが、2つのピークが識別できる。第一のピークは6歳から10歳の間、第二のピークは20歳から40歳の間である。第二群はおそらく、幼児期からすでにセリアック病を有しているが、より後期になるまで、症状がより明確に(認識可能に)現れない。
【0005】
グルテン不耐症のための薬剤は存在しない。セリアック病患者が症状を予防または治療するための唯一の方法とは、グルテン含有穀粒またはその他作物(の製品)を含まない、厳格な治療食に従うことである。これが、グルテン非含有治療食である。治療食には時々、一定の期間、鉄の錠剤ならびに追加のビタミンおよびミネラルが補充される。
【0006】
グルテン非含有にした小麦デンプンまたは小麦粉が存在する。これを、公式にグルテン非含有と言うことができるが、100%グルテン非含有ではない。グルテンの含量は、国際食品規格(Codex Alimentarius)の標準を満たすことが必要である。グルテン非含有にした(小麦)粉末については、この基準は200ppmである。しかし、一部のセリアック病患者にとっては、これはまだ多すぎ、彼らには、このグルテン非含有にした粉末を食べた後に症状が見られる。従って、これらの人々は、元々(naturally)グルテン非含有である製品の使用を選んだ方がよい。元々グルテン非含有である製品については、設定された基準は最大で20ppmである。しかし、元々グルテン非含有である製品には、加工の間に、他の供給源由来のグルテンが混入する可能性がある。
【0007】
イネ、トウモロコシ、タピオカ、大豆、ソバ、クズウコン、ジャガイモ、およびクリは、グルテン非含有粉末をもたらす周知の作物であり、これを用いて種々のグルテン非含有食品を調製することができる。グルテン非含有粉末のもう一つの供給源とは、テフ(Teffとも呼ばれる)である。この作物は、主にエチオピアのおよびエリトリアにおいて、5000年を上回る期間にわたってヒトの食用に栽培されている。さらに、テフは、南アフリカおよび米国等の国々において、干し草用に、ますます頻繁に使われている。テフ粉末は、インジェラ(injera)(少し酸味を有する、灰色のスポンジ様パンケーキ)を調製するために、伝統的に使われている。インジェラは通常、水および酵母で希釈した、等量のテフ粉末および小麦粉からなる粉末混合物から作製される。通常は、希釈した粉末混合物を、焼く前に3〜4日間発酵させる。
【0008】
テフ穀粒は、世界の大部分において大規模に栽培するのに、原則として適している。この作物は、栄養培地および気候に対する要求が高くない。テフ穀粒は特に、乾燥に対する十分な耐性を有する。
【0009】
小麦、大麦、およびモロコシ属などの他の穀粒と比べて、テフは高い栄養価を有する。テフの高い栄養価は主に、胚およびふすまの比率が、残りの種子(内胚乳)と比較して大きいという事実に起因する。もう一つの理由とは、種子が小型であるため、損失部分が無いように、粉末が主に粒子全体から作製されるということである(National Research Council, Lost crops in Africa, vol. 1, Grains, 1996)。テフ粉末100グラムの栄養価は、おおよそタンパク質10グラム、脂肪2.5グラム、炭水化物70グラム、および、食物繊維5グラムである。テフ粉末100グラムのカロリー価は、約1400kJ〜1500kJである。
【0010】
要約すると、スズメガヤ属は、(グルテン非含有の)粉末の魅力的な供給源を提供する。しかし、従来のテフ粉末(例えば、インジェラを調製するために小麦粉と混合されたテフ粉末)を有する食品の調製が、しばしば問題を生じることが分かっている。既知の問題の一つは、製品、特に焼いた製品の不安定性である。他の場合には、製品は、魅力のない味および/または構造を有している。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、特定の落下数を有するテフ粉末を使用する場合に、驚くべきことに上述の問題が起こらないという洞察を提供する。本発明は、粉末の製粉の際の落下数が少なくとも250、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも340、最も好ましくは少なくとも380である穀粒を含むという点を特徴とする、スズメガヤ属に属する穀粒を用いた粉末を提供する。このような落下数を有する粉末の大きな利点は、それが、実質的にいかなる問題もなく、魅力的な味および構造を有する安定なグルテン非含有製品に加工可能であるという事実にある。図1は、テフ粉末の落下数と、テフ粉末から調製される生地の製パン性(baking quality)との間の相互関係を示す。異なる後熟段階において、ならびに、試験および栽培場での異なる培養条件(例えば気候、土壌型、受精)の下で、様々なテフの品種を試験した。この試料を収集して、とりわけ落下数および(実施例1の配合および方法に従って調製された被験パンを用いて)製パン性について分析した。これにより、許容可能な品質を有する焼いた製品、すなわち、試験委員会によって(1〜10段階で)少なくとも等級5が与えられる製品を得るためには、少なくとも落下数250を必要とすることが示される。落下数300は、著しく改善された製品をもたらす(評価: 6)が、一方で、落下数380〜390のテフ粉末の製品は、平均で等級7が与えられた。7.5の「市場標準」を満たす製品のためには、少なくとも落下数400を有するテフ粉末の使用が必要であることが、図1から推論できる。
【0012】
良好かつ味のよい製品を得るために、このような落下数を有するテフ粉末の使用が必要であるという知見は、予想外である。これは、焼いた小麦粉のパンに関しては、小麦の最適落下数が200から250の間であるからである。逆に、落下数が120未満または300を上回る小麦粉は、(酵母で発酵する)焼いた製品への加工に適していない。例えば、このような高い落下数を有する小麦と共に、酵素調製物(たとえば麦芽粉末)を粉末に加えて、許容可能な製品を得る。これと対照的に、本発明によるテフ粉末は、好ましくは、小麦の落下数の最適範囲よりも通常高い落下数を有する。
【0013】
穀粒または製粉された(ground)穀粒の落下数(「Hagberg落下数」(HENと略記)とも呼ばれる)は通常、Hagbergの方法に従って決定される。この方法は、酵素αアミラーゼの活性に関する尺度を与える。αアミラーゼは、デンプンを分解して糖(マルトースおよびグルコース)にする。得られる落下数は、デンプン中の未消化糖の量に関する。落下数が大きくなればなるほど、αアミラーゼ活性は小さくなり、かつ、穀粒中に存在する消化済みの糖は少なくなる。Hagberg分析法においては、通常、正確に7グラムのデンプン(水分含量14%)を、水25mlの入った試験管に導入する。勢いよく振とうした後、撹拌器を試験管に入れ、全体を、沸騰水浴中に配置する。その後、撹拌器を上下に55回動かし、次に最も高い位置で開放する。撹拌器はそれ自身の重量によって、堅い混合物を貫いて落下する。そしてその継続時間を、秒カウンタ(例えばストップウォッチ)を用いて測定し、これにより落下数を決定する。落下数は、61秒〜600秒まで変動しうる。
【0014】
収穫直後に穀粒を製粉することによって得られる伝統的なテフ粉末は、未だ、序文において詳しく説明したような、焼いた製品におけるその加工に伴う問題を生じる。この理由が、収穫の直後、周知のテフ品種のテフ穀粒が、魅力的な製品に加工するには低すぎる落下数(すなわち250未満)を有するからであることを、本発明は、目下実証するものである。
【0015】
穀粒が、収穫後に後熟プロセスを経ることは、一般に公知であり、ここで、穀粒の落下数が増加する。好ましくは、収穫した穀粒の粒子を貯蔵するおよび/または一定期間後熟させること、ならびに、落下数が少なくとも250に達した後でのみ穀粒を製粉することにより、本発明による粉末が得られる。本発明は、製粉時の穀粒の落下数が穀粒収穫時よりも少なくとも1.01倍大きく(通常250を上回る)、 好ましくは少なくとも1.05倍大きく(通常300を上回る)、より 好ましくは少なくとも1.20倍大きく(通常320を上回る)、最も好ましくは少なくとも1.30倍大きい(通常380を上回る)ことに特徴付けられる、穀粒の粉末を提供するが、ここで穀粒はスズメガヤ属に属し、好ましくはテフの穀粒である。上記で示された通り、本発明による粉末の落下数の理論的最大値は600である。図1は、落下数が500〜600の間の粉末が非常に良好な製パン性を有することを示す。本発明は、スズメガヤ属種の穀粒の粉末を提供するが、ここで穀粒は、収穫から少なくとも4週間後、好ましくは少なくとも5週間後、およびより好ましくは少なくとも8週間後に製粉される。このような期間は通常、十分に後熟されかつ上述の条件を満たす落下数を有する穀粒を得るためには十分である。特に大量の場合、実際には、穀粒は、加工される(製粉)までの一定期間、実質的に常に貯蔵されていると考えられる。テフは、穀粒の貯蔵に使用される標準的な様式で、例えば(温度管理された)サイロもしくは塔内で、または物置もしくは納屋などの別の適切な貯蔵室内で、貯蔵されうる。しかし、本発明による落下数を有する粉末は、必ずしも後熟により得なければならない訳ではない。例えば、収穫の際にその穀粒が既に少なくとも250の落下数を有するテフ品種(またはその混合物)を、選択または産生できる。
【0016】
グルテン非含有製品を製造するためには、当然ながら、収穫、乾燥、輸送、貯蔵、製粉、混合、および包装のプロセスの間に適切な対策をとって、グルテン非含有ではない作物/種子および/または粉末とテフ穀粒とのいかなる混合も予防する必要がある。したがって、好ましくは、グルテン含有作物と接触しない機器及び材料(収穫機、輸送手段、貯蔵室、石臼)が使用される。崩壊を免れるように穀粒を格納可能とするためには、穀粒の水分含量は、好ましくは、最大で12%である。したがって、好ましくは数日間、貯蔵前にテフ穀粒を後乾燥(after-dry)することが賢明である。テフ穀粒は、害虫のいない、密閉された貯蔵室内に貯蔵されることが好ましい。寒い地域におけるテフ穀粒の後熟の間、落下数は、収穫直後の平均230から、収穫から4週間後〜5週間後には260に、かつ、2ヵ月または3ヵ月後には330になる。より暖かい領域においては、後熟効果は異なり、収穫直後に平均落下数230から始まって、最終的には420を上回る落下数となりうる。
【0017】
従来のテフ粉末は、良好な焼いた製品に加工するには低すぎるか高すぎる落下数を有するだけではなく、加えて、通常は、十分微細に製粉されないという洞察を、本発明は更に提供する。粉末が微細になればなるほど、その粉末を良好に焼くことができる。好ましくは、本発明による粉末は、粉末の本質的(下記参照)部分が、大きくても150ミクロン、好ましくは大きくても120ミクロン、より好ましくは大きくても100ミクロンの孔径を有する篩を通過できるように、微細に製粉される。粉末調製用の標準的手段によって、テフ穀粒を本発明による粉末へと製粉することができる。製粉の間に粉末が燃焼しないように、冷却(cooling)内蔵型のいわゆるピンミル(pin mill)が使用されることが好ましい。例えば、本発明による粉末のうち、孔径が250ミクロンの篩により阻止されるのは0%である。孔径150ミクロンの篩では最大15%が残存し、かつ、孔径がわずか100ミクロンである場合、最大20%が残存する(累積的に約30%)。よって、本発明によるテフ粉末のうち最小で70%が、孔径100ミクロンの篩を通過する。このような微細な粉末は、焼いた製品への加工に特に適していることが見出されている。特定の理論に縛られる訳ではないが、このような微細に製粉されたテフ粉末の良好な製パン性は、微製粉のために、比較的大きな表面が、水、または生地の調製に使用される別の液体の吸収に利用できるという事実に関連することが考えられる。
【0018】
本発明による粉末のさらなる利点は、他のデンプン供給源と比較して、テフが、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、リン、および、カリウムなどのミネラルに富むという事実にある。好ましくは、本発明による粉末は、少なくとも0.14%、好ましくは少なくとも0.15%のカルシウムを含む。ヒトの体内において、カルシウムは最も一般的なミネラルである。これは骨格にとって不可欠であり、骨は、骨格の強さおよび歯の硬度を保証するリン酸カルシウムおよび結晶の形で、体内のカルシウムの99%を含む。カルシウムはまた、体内での数多くの代謝機能における役割を果たす。
【0019】
本発明による粉末は、少なくとも0.003%の鉄、好ましくは少なくとも0.004%の鉄、より好ましくは少なくとも0.005%の鉄を含む。鉄は、特にヘモグロビンおよびミオグロビンの構成要素であるため、ヒトの体内において最も重要な元素の一つである。ヘモグロビンは血液の赤色色素であり、ミオグロビンは主に筋肉で見られる。ヘモグロビンは、酸素と結合してそれを肺から細胞へと輸送する、血中の物質である。更に、鉄は、ヒトの体内における様々な代謝プロセスに必要な様々な酵素の成分である。
【0020】
鉄分の多い食物の摂取が、自動的に体内の鉄の増加をもたらす訳ではない。これは、食物からの鉄の取り込みが複雑なプロセスであって、鉄が食物内で存在する形状に強く依存するからである。植物性の鉄(Fe2+)は通常、動物性の鉄(Fe3+)よりも、取り込まれる量がずっと少ない。さらに、鉄の取り込みは、ヒトの食物中の様々な他の物質により負の影響を受ける。これらは主に、食品からの鉄の取り込みを減らすミネラル/金属結合性物質(例えば(とりわけ茶およびクルミ中の)タンニン、(穀粒中の)フィチン酸塩、(とりわけルバーブ(rhubarb)中の)シュウ酸塩、リン酸塩、(コーヒー中の)カフェイン、(果物中の)ポリフェノール、大豆タンパク質、卵アルブミン、および、(牛乳中の)カゼイン)である。本発明による粉末は、驚くべきことに、このようなミネラル結合性物質を、あっても比較的僅かしか含まない。それ故、本発明は、多くても0.8%、好ましくは多くても0.3%、より好ましくは多くても0.2%のミネラル結合性物質を含む、食品の調製に適した粉末を提供する。したがって、頻繁に使われる他の穀粒の粉末と比較して、本発明による粉末は、ごく僅かな(0.1%〜0.75%)フィチン酸(ミオイノシトール六リン酸エステル)しか含まない。Giesらの研究(S. Gies et al, Comparison of screening methods for anaemia in pregnant women in Awassa, Ethiopia, Tropical Medicine & International Health, 8 (4), 2003)により、テフが治療食の重要な一部である個体群においては、貧血症がほとんど起こらないことが示された(S. Ketema, Tef (Eragrostis tef): Breeding, genetic resources, agronomy, utilization and role in Ethiopian agriculture, IAR, Addis Abeba, Ethiopia, 1993)。この研究により、テフを食べるエチオピアの人々の血液のヘモグロビン含量が、テフを食べない人のそれよりも高いことが見出された。これはおそらく、テフ内に利用可能な鉄分が多いことによる。
【0021】
本発明の好ましい態様において、落下数の異なる、少なくとも2群のロット違いのテフを混合して製粉して、最適範囲の落下数を有する粉末、例えば「市場基準」に一致する焼いた製品を調製するための少なくとも380〜390の落下数を有する粉末を得る。異なる後熟段階を含むように穀粒を混合することが好ましいが、長期間後熟した材料と共に、短期間後熟した材料をある程度添加することはより良好な製パン性をもたらす。本発明による粉末は、異なるスズメガヤ属の品種に由来するテフ穀粒を含む混合物などの穀粒混合物を製粉することによって得ることができる。混合物は、好ましくは、落下数の異なる穀粒を含む。好ましくは、本発明による穀粒混合物は、5%〜99%が、400を上回る、より好ましくは420を上回る、最も好ましくは450を上回る落下数を有する穀粒からなる。残りの部分については、このような粉末混合物は、落下数が400未満、好ましくは350未満の穀粒からなってよい。高い落下数(約450〜500)および比較的低い落下数(約300〜350)を有する粉末を含む粉末混合物は、非常に良好な製パン性を有することが分かっている。したがって、落下数450の粉末約20%、および、落下数320の粉末約80%からなる本発明のテフ混合物からは、ふくれており、よく火が通っており、かつ、柔軟で弾力的な構造を有するパンを焼くことができる。粉末を混合することは、粉末の安定性に、および、粉末混合物が加工された製品(たとえばパン)の味に、有利な効果を及ぼす。本発明はまた、最低3週間、少なくとも250、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも340、最も好ましくは少なくとも380の安定な落下数を有する粉末を提供する。
【0022】
更に、本発明による粉末は、本発明によるテフ粉末と、別のグルテン非含有作物または穀粒(例えばジャガイモ、イネ、トウモロコシ、クズウコン、ソバ、またはキノア)の粉末との混合物からなってもよい。穀粒混合物を製粉することによって、または、既に製粉された異なる穀粒または作物の粉末を混合することによって、混合物を得ることができる。この粉末混合物は、好ましくは(グルテン非含有)製品を調製するために使用できる。更に、本発明による粉末は、本発明によるテフ粉末と、グルテン含有穀粒(例えば小麦、大麦、ライ麦、またはオート麦)の混合物との混合物からなりうる。本発明による混合物は、2種類、3種類、4種類、5種類、または5種類をも上回る、異なる(グルテン非含有またはグルテン含有)穀粒または作物の粉末からなることができる。本発明は更に、例えば生地または種(batter)を調製するための、本発明による粉末または粉末混合物(ベーキングミックス)の使用を提供する。本発明は、製粉の際のテフ穀粒の落下数が少なくとも250、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも340、最も好ましくは少なくとも380であるという点を特徴とする、本発明によるテフ粉末または粉末(混合物)を含む、生地または種、および生地または種の使用を提供する。好ましくは、製粉の際のテフ穀粒の落下数は、穀粒の収穫の際よりも、少なくとも1.01倍、好ましくは少なくとも1.05倍、より好ましくは少なくとも1.20倍、または更に1.30倍大きい。本発明による非常に適切な粉末(混合物)は400から550の間の落下数を有するが、なぜなら、これが、非常に良好な製パン性を有する生地または種をもたらすからである。このような粉末(混合物)は、非常に微細に製粉された穀粒の粒子(例えば、50%が最大100ミクロンの粒径を有する)からなることが好ましいが、なぜなら、これも製パン性に正の効果を及ぼすからである。種は、粉末と液体の混合物である。生地は、粉末と液体(例えば水、牛乳、ビール、または(オリーブ)油)との、ならびに、任意で他の成分(卵、膨張剤(例えば酵母またはベーキングパウダー)、および、塩などの調味料)との、混練された(kneaded)混合物である。混合物を、手で、および、機械的に混練することができる。本発明による生地は、パン、ペストリー、クッキー、ピザ、パスタ、麺などの広範囲にわたる(焼いた)食品の調製のための生地を含む。本発明はまた、本発明による粉末を含むふくれた生地も提供する。この目的のために、本発明による粉末を含む混合物、液体、および膨張剤が、本発明による生地へと混練される。次に、生地は、ふくらむのに有利な条件下、例えば換気されない(draft-free)暖かい場所で、一定期間貯蔵される。良好な焼いた製品を最終的に得るためにテフ粉末に加えることが必要な液体の量が、別の穀粒または粉末と共に通常使われるよりも大きいことが、実際には見出されている(以下の実施例も参照されたい)。したがって、テフの加工には生地よりむしろ種が必要とされると考えられる。
【0023】
本発明によるグルテン非含有生地は、上述のテフ粉末から調製することができる。一つまたは複数の他のグルテン非含有作物とこのテフ粉末との混合物、例えば、ソバ粉末、イネ粉末、ジャガイモ粉末、クズウコン粉末、および/またはトウモロコシ粉末とテフ粉末との混合物もまた、適切である。従って、本発明は、グルテン非含有であって、かつ粉末製品に対する現代の欧米消費者の要求を満たす、粉末を提供する。これらの製品は、全消費者、特にグルテン不耐症の人々に適している。このような製品は、20ppm未満、好ましくは5ppm未満、より好ましくは、多くても1ppmのグルテンを含む。
【0024】
さらに本発明は、以下の段階を含む、製品を焼くための方法を提供する:
a) 液体(たとえば水、牛乳、ビール、または油)および任意で膨張剤と共に、本発明による粉末を混合することによって、生地または種を調製する段階;
b) この生地を所望の形状に混練する段階;ならびに
c) 一定期間生地を加温する段階。
【0025】
本発明によるグルテン非含有粉末を用いて、および、調製の間グルテン含有製品の混入が防止される場合、本発明はさらに、グルテン非含有製品を焼く方法を提供する。
【0026】
本発明は、本発明による粉末を含む食品または高級食品を提供する。本発明による食品または高級食品は、グルテン非含有でもグルテン含有でもよい。このような粉末におけるテフ粉末成分は、好ましくは少なくとも0.005%の鉄、少なくとも0.14%のカルシウム、および、多くても0.8%のミネラル(鉄)結合物質を含む。これらの物質の最終濃度は、他の成分の使用量に対するテフ粉末の使用量に依存する。食品または高級食品は、固体または液体の形状を有してよい。
【0027】
例えば、本発明による食品とは、例えばパン、ペストリー、クッキー、クラッカー、ビスケット、棒状食品(food bar)、コーンフレーク、パン粉などの、本発明の方法に従って調製される焼いた製品、または、本発明による粉末から調製される飲物である。また、本発明による食品または高級食品は、穀粒の落下数が少なくとも250、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも340、最も好ましくは少なくとも380であるという点を特徴とする、スズメガヤ属(好ましくはテフ)に属する未製粉の穀粒からも調製されうる。穀粒を後熟することにより、このような穀粒を得ることができる。このような製品の例は、少なくとも250の落下数を有するテフ穀粒から調製される(アルコール性の)飲物(例えばビール)である。穀粒の食品用途に応じて、特定の落下数を有する穀粒を選択することができる。
【0028】
その他の例としては、本発明による生地を含む押し出し成形製品または乾燥生地製品、例えばパスタ(例えばマカロニ、スパゲッティ、タリアテッレ、ラザーニャ等)および麺(バーミチェリ、細い中華麺、チャーメン等)が挙げられる。(ゆっくりと消化可能なデンプンを大部分含む)テフデンプンの独特な性質のために、本発明による粉末または食品は、特に大腸内で、天然のおよびしたがって望ましい細菌叢(flora)を刺激するのに非常に適している。
【0029】
本発明は更に、本発明による粉末を含む、焼く前の(pre-baked)製品(例えば、消費者が家庭で焼く(bake off)ことのできる、焼く前のパン)を提供する。この焼く前の製品は、通常、(急速)冷凍製品として販売される。
【0030】
本発明による粉末を含む食品の利点とは、テフが、他の穀粒(例えば小麦、大麦、および、キビ)と比較して、健康促進栄養素を比較的高含量で含むことである。これはとりわけ、テフ穀粒における胚およびふすまの割合が比較的高いという事実による。穀粒に関しては、炭水化物が、食品中で最も顕著な成分を形成する。スポーツ栄養物(sports nutrition)は、少なくとも60%が、グルコースの形状の炭水化物からなることが好ましい(これは、これらが最も容易にエネルギーに変換されるからである)。炭水化物供給源を、それらの血糖インデックス(Glycemic Index;GI)に基づいて分類することができる。GIは、特定の食品の予め定められた量による血糖値の上昇において表される。食品は、0から100の間のGI反応値に達するが、ここで、GIが70の白パンが参照として使われる。吸収時間の長い(取り込み速度の低い)食品は、「低GI」食品と呼ばれる(低GIとは、GI 55未満を意味する)。GIが70を上回る食品は、本方法による「高GI」食品と呼ばれる。利用可能なグルコースをすぐにもたらすので、スポーツマン(sportspeople)にとっては、ある一方では、高GIの食品が魅力的である。また一方では、この初期の上昇はインスリンの分泌を刺激し、その結果、血糖値はまた再び急速に低下する。この問題は特に、パスタ製品(スポーツマンに非常に一般的である炭水化物供給源)の食後において公知である。
【0031】
本発明によるテフ粉末から調製される食品の予想外の利点とは、この食品が高いGIを有するにもかかわらず、血糖値が高いままであることである。本発明による後熟されたテフ粉末のこれらの有利な特性は、おそらく、テフにおける遊離糖および未消化糖(デンプン)の相対的な比率の結果である。テフにおける炭水化物の約20%(10%〜30%)が、初期に高血糖値が得られるような、急速分解可能な型に属することが分かっている。しかし、約半分(35%〜66%)の炭水化物は、ゆっくりと分解可能な型に属しており、これが、デンプンからグルコースへの持続的かつ一定の変換の原因となっている。このように、本発明はそのため、(持久力の必要な)スポーツマンなどの、炭水化物を急速かつ持続的に必要とする人々に非常に適した食品(例えばパスタまたはスポーツバー(sports bar))を提供する。このような製品をまた、「遅いエネルギー放出」製品と称する。このような食品はまた、食欲を後回しする(postponing)ことによって体量を管理することを望む、太りすぎの問題をもつ人々に、非常に適している。本発明はまた、本発明によるテフ粉末を含む食品または高級食品を提供するが、これは、とりわけ、テフにおける低含量のミネラル結合性物質および「遅い炭水化物」のために、健康に対して正の効果を有する。例えば、本発明による食品は、貧血、糖尿病、および肥満(の症状)予防および治療に対して正の効果を有する。特にII型糖尿病の患者には、炭水化物/グルコースをゆっくりと徐々に放出することが必要である。
【0032】
テフ粉末における残りの量の炭水化物(約20%〜40%)は、消化系によってグルコースに変換されないので、「耐性」炭水化物と称する。しかしながら、テフ粉末から調製される製品を消費することが腸内細菌叢の組成および活力に有利な影響(例えばプロバイオティクスを消費することによっても得られる程度であるが)を及ぼすように、これらの耐性炭水化物は腸内に存在する微生物(腸内細菌叢)によって養分として用いられることが分かっている。
【0033】
テフ粉末中の異なる型の炭水化物の上述のパーセンテージは、単なる指標であって、テフ粉末によって調製される製品の最終的な含量は、粉末の型(穀粒がどのテフ品種に由来するか、それがどの位の期間後熟されたか)、(異なるテフ粉末との、異なるグルテン非含有またはグルテン含有粉末との)粉末混合物が使用されたかどうか、および製品の調製がどのように行われたか(焼く時間、温度、添加物)に依存する。
【0034】
本発明による粉末、またはそこから得られるデンプンを、別の用途に使用してもよい。これは、本発明が更に、本発明による粉末を含むコーティング、および、例えばチーズ、フライドポテト、またはピーナッツなどの、このような(食用の)コーティングと共に少なくとも部分的に提供される食品を提供するからである。
【0035】
本発明のさらなる態様においては、少なくとも2つの成分の組成物を結合させるための方法が提供され、本方法は、これらの成分と本発明によるデンプンを混合する段階を含む。食品に関しては、例えば、このような増粘剤をスープおよびソース中で使用することができる。しかし、このような組成物を、錠剤、カプセル剤、またはコーティング錠(coated tablet)などの薬学的組成物中で結合剤として使用することもできる。グルテン含有デンプンに基づく結合剤を有する一部の薬剤が、一部のセリアック病患者に関して問題を引き起こすことが知られている。本発明によるグルテン非含有粉末のデンプン(異なるグルテン非含有粉末と任意に混合されたテフ粉末)を用いることにより、本明細書において、グルテン不耐症の人々にも適している組成物を得るための方法が提供される。また、顔用パウダーなどの化粧料用組成物を結合するために、このようなデンプンが有利に使用される。
【0036】
要約すると、本発明の製品および方法により、機能性食品として使用できる、欧米世界において許容可能な摂食価値(味、匂い、きめ(texture)、構造)を有する食品を提供することが可能になると述べることができる。特に重要なことは以下の通りである:
a) セリアック病患者が全く新しい部類の食品を自由に摂取できるようにするための、グルテン非含有局面;
b) 食品が、II型糖尿病患者および持久力の必要なスポーツマン用の食物として、ならびに(食欲を後回しする)ダイエット食品として非常に適切であるようにするための、炭水化物の独特な組成物;
c) 食品が腸内細菌叢を刺激するようにするための、比較的大量の「耐性炭水化物」;
d) 貧血を予防するための、ミネラル結合物質の実質的な欠失および大量の鉄;ならびに
e) 重大な肉体的達成(great physical achievement)後の身体の迅速な回復に役立つCa、Mg、Mn、およびKなどの大量の遊離ミネラル。
【0037】
実施例1
150〜580の範囲の異なる落下数を有するテフ粉末の一連のパンを調製して、その後、パンの特性を評価することによって、テフ粉末の落下数と製パン性の関係を調査した。
【0038】
テフパン(Teff bread)の標準的製パン試験(baking test)を以下の通りに行ったが、ここで、最小70%のテフ粉末が100ミクロンの孔径を有する篩を通過するまで、テフ粉末を、ピンミル中で微細に製粉した。
【0039】
製法:

【0040】
方法:
・乾燥成分を混合する。
・ボール中で水と酵母を混合する。
・乾燥成分を水/酵母混合物に添加する。
・かき混ぜ機(beating machine)中で種を作製する。
・加速度最小で、2分間かき混ぜる。
・高加速度で、約3分間かき混ぜる。
・種をかき集めて、450グラムのケーキ焼き型(cake tin)に入れる。
・種を、ケーキ焼き型の縁までふくらませる。
・約235℃のオーブンで約20分間焼く。
・取り出して冷却する。
【0041】
焼いた製品の評価:
各々の生地/パンを、色、種の固さ、ふくらみ速度(rising speed)、ふくらみ高さ(rising height)、オーブンでのふくらみ(oven rise)、製パン特性(baking nature)、パンの高さ、パンの構造、匂い、および味について評価した。評価は、1段階〜10段階の加重平均である。
【0042】
実施例2
本発明を例示するために、本実施例では、テフ粉末とその他の粉末との粉末混合物からパンを調製するための、2種類の配合を示す。
【0043】
白パン
Teff Bread Mix Whiteを5000 g;水(約30℃)を3500 g;酵母を275 g;マーガリンを275 g;オリーブオイルを275 g。Teff Bread Mix Whiteの成分:テフ粉末(41重量%;落下数380以上)、コーンスターチ、全卵粉、タピオカ粉末、マルトデキストリン、大豆粉、ブドウ糖、塩、膨張剤(E500a、E450または他の安定剤)、クエン酸(E330)、乳化剤、および、増粘剤(E412、E440、E466、E482)。
【0044】
褐色パン
Teff Bread Mix Brown + seedsを5000 g;水(約30℃)を3250 g;酵母を300 g;マーガリンを300 g;オリーブオイルを250 g。Teff Bread Mix Brown + seedsの成分:テフ粉末(36%)、コーンスターチ、ヒマワリ種子、全卵粉、亜麻仁、ゴマ種子、タピオカ粉末、マルトデキストリン、大豆粉、ブドウ糖、塩、膨張剤(E500a、E450)、クエン酸(E330)、乳化剤、および、増粘剤(E412、E440、E466、E482)。
【0045】
方法:
種を、バタフライ(butterfly)を有する遊星歯車型(planetary)ミキサ中で調製した。酵母を水に溶かした。全成分を約2分間ゆっくりと混合し、約7分間激しく混合した(最高加速度)。種を型に分けて、後ふくらみ(after-rising)から約35分後に、約230℃で約30分間焼いた。ふくらみ時間、オーブン温度、および焼き時間は指標である。
【0046】
実施例3
テフのグルテン非含有「SPRIT」(オランダのショートブレッドクッキー)片
製法:

【0047】
方法:
・製粉されたパイピング(piping)生地を作製する。
・クリーム状になるまでバターを撹拌する。
・三温糖、すりおろしたレモン、および卵を加え、なめらかになるまでかき混ぜる。
・テフ粉末とキサンタンガムを混合し、少しずつ加える。
・薄く油を塗った皿に、約4cm幅で、直接絞り出す。
・約180℃で焼く。
・焼き時間は約25分間〜30分間。
・約9cmで切断する。
・取り出す。
・1片あたりの焼き重量が約30グラムの、約60片が得られる。
所与のオーブン温度および焼き時間は指標である。
【0048】
実施例4
テフパンの原型
製法:

【0049】
方法:
・種を作製する。
・乾燥成分を混合する。
・ボール中で水、卵、および酵母を混合する。
・そこに乾燥成分を加える。
・マーガリンを加える。
・加速度最小で、2分間かき混ぜる。
・高加速度で、約7分間かき混ぜる。
・種をかき集めて型に入れるか、型に流し入れる。
・ふくらませ時間は約30分間(縁の真下に到達するまで)。
・約235℃のオーブンで焼く。
・焼き時間は約25分間。
・取り出して冷却する。
所与のふくらみ時間、オーブン温度、および焼き時間は指標である。
【0050】
実施例5
テフのグルテン非含有ケーキ(充填型(filled))
製法:

【0051】
方法:
・冷たい種の方法
・軽くてふわふわするまで、マーガリン、砂糖、およびすりおろしたレモンをかき混ぜる。
・篩にかけたベーキングパウダーとテフ粉末を混合する。
・卵を少しずつ混ぜる。
・レーズンを混和する(spatulate)。
・ケーキ型に約380グラムを入れる。
・約160℃で焼く。
・焼き時間は約1時間。
・取り出して冷却する。
所与の焼き温度および焼き時間は指標である。
【0052】
実施例6
テフのグルテン非含有ケーキ
製法:

【0053】
方法:
・冷たい種の方法
・軽くてふわふわするまで、マーガリン、砂糖、およびすりおろしたレモンをかき混ぜる。
・篩にかけたベーキングパウダーとテフ粉末を混合する。
・卵を少しずつ混ぜる。
・テフ混合物を混和する。
・ケーキ型に約380グラムを入れる。
・約160℃で焼く。
・焼き時間は約1時間。
・取り出して冷却する。
所与の焼き温度および焼き時間は指標である。
【0054】
実施例7
テフのグルテン非含有スポンジケーキ
製法:

【0055】
方法:
・温かい種の方法
・砂糖、卵、および人肌のすりおろしたレモンを撹拌した後、軽くてふわふわするまで泡立てる。
・篩にかけたベーキングパウダー、テフ粉末、およびコーンスターチをよく混合する。
・テフ混合物を混和する。
・油を塗って粉を振りかけた皿に、絞り出す(ノズル2)。
・スポンジケーキに粉砂糖を振りかける。
・下方の天板(bottom plate)で,約240℃で焼く!
・焼き時間は約5分間。
・取り出して冷却する。
所与のオーブン温度および焼き時間は指標である。
【0056】
実施例8
テフのグルテン非含有の「KANO」(オランダのアーモンドフィンガー)および「RONDO」(オランダのアーモンドタルト)
製法:

【0057】
方法:
・ペストリー生地(pastry)を作製する。
・バター、三温糖、すりおろしたレモンをよく混合する。
・卵を加える。
・ベーキングパウダーおよびキサンタンガムをテフ粉末と混合し、加える。
・全体を混合して、まとまりのある(cohesive)生地にする。
・よく冷やして加工する。
・生地は、機械的な加工にはあまり適していない。
・アーモンドタルトまたはアーモンドフィンガーに加工する。
・一枚の厚さは約5mm。
・オーブン温度は約210℃。
・焼き時間は約25分間〜30分間。
所与のオーブン温度および焼き時間は指標である。
【0058】
実施例9
テフのパンケーキ
基本的な製法:

【0059】
方法:
・種を作製する。
・乾燥成分を混合する。
・牛乳および卵をボールに入れる。
・乾燥成分を加える。
・ダマのない種を作製する。
・所望の形状で焼く。
・多様な変更が可能である!
【0060】
実施例10
テフのグルテン非含有「PORTUGEESJE」(オランダのフランジパーヌケーキ)
製法:

【0061】
方法:
・温かい種を作製する。
・軽くてふわふわするまで、卵、卵黄、三温糖、およびすりおろしたレモンを泡立てる。
・溶かしたマーガリンをゆっくりと卵塊と混合する。
・キサンタンガムをテフ粉末と混合して、塊とよく混和する。
・かき落として、再度混和する。
・絞り袋(piping bag)を用いて、軽く油を塗った型へと、縁の真下まで絞り出す。
・約220℃のオーブンで焼く。
・焼き時間は約10分間〜12分間。
・取り出して冷却する。
所与のオーブン温度および焼き時間は指標である!
【0062】
実施例11
テフパン(充填型)
製法:

【0063】
方法:
・種を作製する。
・乾燥成分を混合する。
・ボール中で水、卵、および酵母を混合する。
・乾燥成分を加える。
・マーガリンを加える。
・加速度最小で、2分間かき混ぜる。
・高加速度で、約7分間かき混ぜる。
・レーズン、干しブドウ、およびきつね色に焼いたヘーゼルナッツ片をゆっくりと加える。
・種をかき集めて型に入れるか、型に流し入れる。
・ふくらませ時間は約30分間(縁の真下に到達するまで)。
・約235℃のオーブンで焼く。
・焼き時間は約25分間〜30分間。
・取り出して冷却する。
所与のふくらみ時間、オーブン温度、および焼き時間は指標である。
【0064】
実施例12
粉末混合物の、組成、後熟、および製パン挙動(baking behavior)

【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】テフ粉末の落下数と、実施例1記載の粉末を用いて調製されたパンの品質との間の関係を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製粉の際の穀粒の落下数が少なくとも250、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも340、最も好ましくは少なくとも380であるという点を特徴とする、スズメガヤ属(Eragrostis)、好ましくはテフ(Eragrostis tef)に属する穀粒の粉末。
【請求項2】
穀粒が後熟されていることを特徴とする、請求項1記載の粉末。
【請求項3】
製粉の際の穀粒の落下数が、穀粒の収穫の際よりも少なくとも1.01倍高く、好ましくは少なくとも1.05倍高く、より好ましくは少なくとも1.20倍高く、さらにより好ましくは少なくとも1.30倍高いことを特徴とする、請求項2記載の粉末。
【請求項4】
穀粒がグルテン非含有であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の粉末。
【請求項5】
穀粒が、収穫から少なくとも4週間後、好ましくは少なくとも6週間後、より好ましくは少なくとも8週間後に製粉される、請求項1〜4のいずれか一項記載の粉末。
【請求項6】
製粉の際の穀粒の落下数が、少なくとも2週間〜3週間実質的に安定である、請求項1〜5のいずれか一項記載の粉末。
【請求項7】
粉末の本質的部分が大きくても150ミクロン、好ましくは大きくても120ミクロン、より好ましくは大きくても100ミクロンの孔径を有する篩を通過できるように、穀粒が微細に製粉される、請求項1〜6のいずれか一項記載の粉末。
【請求項8】
穀粒が、少なくとも0.005%の鉄、および/または少なくとも0.14 %のカルシウム、および/または多くても0.8%のミネラル結合物質を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の粉末。
【請求項9】
粉末が、10%〜30%の急速分解可能な炭水化物、35%〜65%のゆっくりと分解可能な炭水化物、および20%〜40%の耐性炭水化物を含み、該パーセンテージが炭水化物の全含量に相対的に計算された、請求項1〜8のいずれか一項記載の粉末。
【請求項10】
穀粒が穀粒混合物を含む、請求項1〜9のいずれか一項記載の粉末。
【請求項11】
混合物の5%〜99%が、400を上回る、好ましくは420を上回る、より好ましくは450を上回る落下数を有する穀粒の粉末からなる、請求項10記載の粉末。
【請求項12】
混合物の残りの部分が、落下数が400未満、好ましくは350未満の穀粒の粉末からなる、請求項11記載の粉末。
【請求項13】
混合物の5%〜99%が、長期間、好ましくは4週間を上回って、より好ましくは8週間を上回って、後熟された穀粒からなり、残りの部分が、短期間、好ましくは4週間未満、より好ましくは2週間未満、後熟された穀粒からなる、請求項10記載の粉末。
【請求項14】
好ましくはジャガイモ、トウモロコシ、イネ、クズウコン、ソバ、およびキノアを含む群より選択される、グルテン非含有作物の粉末と混合された、請求項1〜13のいずれか一項記載の粉末を含む粉末。
【請求項15】
好ましくは小麦、大麦、ライ麦、およびオート麦を含む群より選択される、グルテン含有作物の粉末と混合された、請求項1〜14のいずれか一項記載の粉末を含む粉末。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項記載の粉末を含む、生地または種(batter)。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか一項記載の粉末を含む、グルテン非含有の生地または種。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか一項記載の粉末を含む、食品。
【請求項19】
以下の段階を含む、製品を焼く方法:
a) 液体および任意で膨張剤と共に、請求項1〜15のいずれか一項記載の粉末を混合することによって、生地または種を調製する段階;
b) 該生地を所望の形状に混練する段階;ならびに
c) 一定期間生地を加温する段階。
【請求項20】
以下の段階を含む、グルテン非含有製品を焼く方法:
a) 液体および任意で膨張剤と共に、請求項1〜14のいずれか一項記載の粉末を混合することによって、生地または種を調製する段階;
b) 該生地を所望の形状に混練する段階;ならびに
c) 一定期間生地を加温する段階。
【請求項21】
請求項19または20記載の方法により調製される、焼いた製品。
【請求項22】
請求項20記載の方法による、グルテン非含有の焼いた製品。
【請求項23】
少なくとも0.005%の鉄、少なくとも0.14%のカルシウム、および多くても0.8%のミネラル結合物質を含む、請求項21または22記載の焼いた製品。
【請求項24】
請求項16または17記載の生地を含む、押し出し成形(extruded)製品。
【請求項25】
請求項1〜15のいずれか一項記載の粉末を含む、コーティング。
【請求項26】
少なくとも部分的に請求項25記載のコーティングと共に提供される、食品。
【請求項27】
調製の際の穀粒の落下数が少なくとも250、好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも340、最も好ましくは少なくとも380であるという点を特徴とする、スズメガヤ属、好ましくはテフに属する未製粉の穀粒から調製された食品または高級食品。
【請求項28】
少なくとも2成分からなる組成物、好ましくは薬学的組成物または化粧料用組成物を結合させるための方法であって、請求項1〜15のいずれか一項記載の粉末のデンプンと該組成物との混合を含む、方法。
【請求項29】
請求項1〜15のいずれか一項記載の粉末の、または請求項16もしくは17記載の生地もしくは種の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2006−527996(P2006−527996A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521025(P2006−521025)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000524
【国際公開番号】WO2005/025319
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(506024711)ヘルス アンド パフォーマンス フード インターナショナル ビー.ヴィー. (1)
【Fターム(参考)】