説明

テルフェニリル−1,3,5−トリアジン誘導体、その製造方法、およびそれを構成成分とする有機電界発光素子

【課題】テルフェニリル−1,3,5−トリアジン誘導体、その製造方法、およびそれを構成成分とする有機電界発光素子を得る。
【解決手段】一般式(1)
【化1】


[式中、ArおよびArは、同一または相異なるフェニル基、ナフチル基またはビフェニリル基を示し、これらは炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い。]で表されることを特徴とする1,3,5−トリアジン誘導体を金属触媒の存在下でのカップリング反応により製造し、これを構成成分とする有機電界発光素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,3,5−トリアジン誘導体、その製造方法、およびそれを構成成分とする有機電界発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、発光する化合物を含有する発光層を、正孔輸送層と電子輸送層で挟んだ構造を有する。さらにその外側に陽極と陰極を取付け、発光層に正孔および電子を注入して再結合するときに生成する励起子が失活する際の光の放出(蛍光またはりん光)を利用する素子である。
【0003】
1,3,5−トリアジン類縁体は、有機電界発光素子用の材料として注目されており、例えば特許文献1から3にこれらを用いたディスプレイ装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,225,467号明細書
【特許文献2】特開2004−63465号公報
【特許文献3】国際公開第2004/07785号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来、1,3,5−トリアジン類縁体は電子輸送材および発光材に用途が限られており、その他の部位への用途展開についてはこれまでに検討されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、これまでの文献に明記されていないテルフェニリル基を一つもつ1,3,5−トリアジン誘導体の類縁体を種々合成し、それらの電荷移動度を測定したところ、汎用のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(以下、Alqとする)を超える電子移動度が得られた。また、それらが高い正孔移動度を示すことも同時に見出した。さらに、それらを構成成分とする有機電界発光素子を作製して発光特性を測定したところ、高い輝度、発光効率を示し、また寿命も長く、発光色もCIE(Commision International de l‘Eclairage:国際照明委員会)が定めた純青の色度座標(x、y)=(0.14、0.08)に極めて近いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0008】
【化1】

[式中、ArおよびArは、同一または相異なるフェニル基、ナフチル基またはビフェニリル基を示し、これらは炭素数1から4のアルキル基で1個以上置換されていても良い。]で表されることを特徴とする1,3,5−トリアジン誘導体である。
【0009】
また本発明は、一般式(2)
【0010】
【化2】

[式中、Mは−ZnR基、−MgR基、−Sn(R基、−B(OH)基、−BR基、−BF(Z基または−Si(R基を示す。但し、Rは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示し、Rは同一または相異なって炭素数1から4のアルキル基を示し、Rは2,3−ジメチルブタン−2,3−ジオキシ基、エチレンジオキシ基または1,3−プロパンジオキシ基を示し、(Zはアルカリ金属イオンまたは四級アンモニウムイオンを示し、Rは同一または相異なってメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基または塩素原子を示す。]で表される置換ビフェニル化合物と、一般式(3)
【0011】
【化3】

[式中、ArおよびArは前記と同じ内容を示し、Yは脱離基を示す。]で表される1,3,5−トリアジン化合物とを、金属触媒の存在下でカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法である。
【0012】
また本発明は、一般式(4)
【0013】
【化4】

[式中、ArおよびArは前記と同じ内容を示し、Mは−ZnR基、−MgR基、−Sn(R基、−B(OH)基、−BR基、−BF(Z基または−Si(R基を示す。但し、Rは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示し、Rは同一または相異なって炭素数1から4のアルキル基を示し、Rは2,3−ジメチルブタン−2,3−ジオキシ基、エチレンジオキシ基または1,3−プロパンジオキシ基を示し、(Zはアルカリ金属イオンまたは四級アンモニウムイオンを示し、Rは同一または相異なってメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基または塩素原子を示す。]で表される置換1,3,5−トリアジン化合物と、一般式(5)
【0014】
【化5】

[式中、Yは脱離基を示す。]で表されるビフェニル化合物とを、金属触媒の存在下でカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法である。
【0015】
また本発明は、一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体を構成成分とすることを特徴とする有機電界発光素子である。以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0016】
ArおよびArで表される炭素数1から4のアルキル基で1個以上置換されていても良いフェニル基としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、メシチル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4−ジプロピルフェニル基、3,5−ジプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,4−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2,4−ジブチルフェニル基、3,5−ジブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基または3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基等が挙げられる。
【0017】
有機電界発光素子用材料としての性能が良い点でフェニル基、p−トリル基、m−トリル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基または4−tert−ブチルフェニル基が望ましく、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、4−ブチルフェニル基または4−tert−ブチルフェニル基がさらに望ましい。
【0018】
ArおよびArで表される炭素数1から4のアルキル基で1個以上置換されていても良いビフェニリル基としては、4−ビフェニリル基、4’−メチルビフェニル−4−イル基、4’−エチルビフェニル−4−イル基、4’−プロピルビフェニル−4−イル基、4’−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、3−ビフェニリル基、3’−メチルビフェニル−3−イル基、3’−エチルビフェニル−3−イル基、3’−プロピルビフェニル−3−イル基、3’−ブチルビフェニル−3−イル基または3’−tert−ブチルビフェニル−3−イル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能が良い点で4−ビフェニリル基、4’−メチルビフェニル−4−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、3−ビフェニリル基、3’−メチルビフェニル−3−イル基または3’−tert−ブチルビフェニル−3−イル基が望ましく、4−ビフェニリル基または3−ビフェニリル基がさらに望ましい。
【0019】
ArおよびArで表される炭素数1から4のアルキル基で1個以上置換されていても良いナフチル基としては、1−ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−エチルナフタレン−1−イル基、4−プロピルナフタレン−1−イル基、4−ブチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−エチルナフタレン−1−イル基、5−プロピルナフタレン−1−イル基、5−ブチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、2−ナフチル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−エチルナフタレン−2−イル基、6−プロピルナフタレン−2−イル基、6−ブチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基、7−エチルナフタレン−2−イル基、7−プロピルナフタレン−2−イル基、7−ブチルナフタレン−2−イル基または7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基等が挙げられる。
【0020】
有機電界発光素子用材料としての性能が良い点で1−ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、2−ナフチル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基または7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基が望ましく、1−ナフチル基または2−ナフチル基がさらに望ましい。
【0021】
本発明の一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体は、下記の[製造方法−A]または[製造方法−B]の方法によって製造することができる。
【0022】
[製造方法−A]は「工程A−1」と「工程A−2」から成る。
[製造方法−A]
「工程A−1」
【0023】
【化6】

[式中、YおよびMは前記と同じ内容を示す。]
「工程A−2」
【0024】
【化7】

[式中、Ar、Ar、MおよびYは前記と同じ内容を示す。]
まず、「工程A−1」では、一般式(5)で表されるビフェニル化合物をブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウム等でリチオ化後、カップリング用試薬を反応させることにより、カップリング反応に通常用いられる反応種である一般式(2)で表される置換ビフェニル化合物が得られる。
【0025】
カップリング用試薬としては、ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化トリメチルスズ、塩化トリブチルスズ、トリブチルスズヒドリド、ヘキサメチルジスタナン、ヘキサブチルジスタナン、ホウ酸、ピナコレートボラン、エチレングリコレートボラン、1,3−プロパンジオレートボラン、ビス(ピナコレート)ジボラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランまたは二塩化ジエチルシラン等が例示でき、これらとの反応によりMが−ZnCl基、−ZnBr基、−ZnI基、−SnMe基、−SnBu基、−B(OH)基、−B(ピナコレート)基、−B(エチレングリコレート)基、−B(1,3−プロパンジオレート)基、−Si(OMe)基、−Si(OEt)基または−SiEtCl基である一般式(2)で表される置換ビフェニル化合物を得ることができる。ホウ酸と反応させた場合は、反応後にフッ化水素水と反応させ、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたはフッ化テトラブチルアンモニウム等で処理することによって、Mを−BF基、−BFCs基または−BFNBu基等のような塩としても良い。
【0026】
また、一般式(5)で表されるビフェニル化合物をリチオ化せずに、直接臭化マグネシウムまたは臭化イソプロピルマグネシウム等と反応させてMが−MgBr基等である一般式(2)で表される置換ビフェニル化合物を得ることもできる。
【0027】
得られた一般式(2)で表される置換ビフェニル化合物は、反応後単離しても良いが、単離せずに次の「工程A−2」に供しても良い。
【0028】
収率が良い点で、リチオ化後にジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化トリメチルスズまたは塩化トリブチルスズと反応させて、Mが−ZnCl基、−ZnBr基、−ZnI基、−SnMe基または−SnBu基である一般式(2)で表される置換ビフェニル化合物を得、単離せずに「工程A−2」に供することが望ましい。リチオ化後にジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)または塩化トリメチルスズと反応させて、Mが−ZnCl基または−SnMe基である一般式(2)で表される置換ビフェニル化合物を得、単離せずに「工程A−2」に供することがさらに望ましい。
【0029】
で表される脱離基は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基等を例示することができるが、収率が良い点で臭素原子またはヨウ素原子が望ましい。
【0030】
「工程A−2」では、「工程A−1」で得られた一般式(2)で表される置換ビフェニル化合物を、金属触媒の存在下に一般式(3)で表される1,3,5−トリアジン化合物と反応させることにより、本発明の一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体を得ることができる。
【0031】
「工程A−2」で用いることのできる金属触媒は例えば、パラジウム触媒、ニッケル触媒、鉄触媒、ルテニウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、イリジウム触媒、オスミウム触媒およびコバルト触媒等を列挙することができる。これらの金属触媒は、金属、担持金属、金属の塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩もしくは酸化物塩等の金属塩、またはオレフィン錯体、ホスフィン錯体、アミン錯体、アンミン錯体もしくはアセチルアセトナト錯体等の錯化合物を用いることができる。さらにこれらの金属、金属塩または錯化合物と三級ホスフィン配位子を組合わせて用いることもできる。収率が良い点でパラジウム触媒、鉄触媒またはニッケル触媒が望ましく、パラジウム触媒がさらに望ましい。
【0032】
パラジウム触媒としては、さらに具体的には、パラジウム黒、パラジウムスポンジ等のパラジウム金属が例示でき、また、パラジウム/アルミナ、パラジウム/炭素、パラジウム/シリカ、パラジウム/Y型ゼオライト、パラジウム/A型ゼオライト、パラジウム/X型ゼオライト、パラジウム/モルデナイト、パラジウム/ZSM−5等の担持パラジウム金属も例示できる。また、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、酸化パラジウム、硫酸パラジウム、シアン化パラジウム、ナトリウムヘキサクロロパラデート、カリウムヘキサクロロパラデート、ナトリウムテトラクロロパラデート、カリウムテトラクロロパラデート、カリウムテトラブロモパラデート、アンモニウムテトラクロロパラデート、アンモニウムヘキサクロロパラデート等の金属塩を例示できる。
【0033】
さらに、π―アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、ホウフッ化テトラ(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロジアンミンパラジウム、硝酸テトラアンミンパラジウム、テトラアンミンパラジウムテトラクロロパラデート、ジクロロジピリジンパラジウム、ジクロロ(2,2'−ビピリジル)パラジウム、ジクロロ(フェナントロリン)パラジウム、硝酸(テトラメチルフェナントロリン)パラジウム、硝酸ジフェナントロリンパラジウム、硝酸ビス(テトラメチルフェナントロリン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウムおよびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等の錯化合物を例示できる。
【0034】
用いられるパラジウム触媒は、上記の金属、担持金属、金属塩および錯化合物のいずれでも良いが、収率が良い点で、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、パラジウム/アルミナおよびパラジウム/炭素が望ましく、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムがさらに望ましい。
【0035】
これらのパラジウム触媒は単独で用いても良いが、さらに三級ホスフィンと組合わせて用いても良い。用いることのできる三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリネオペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン、トリス(2−ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリス(2−シアノエチル)ホスフィン、(+)−1,2−ビス[(2R,5R)−2,5−ジエチルホスホラノ]エタン、トリアリルホスフィン、トリアミルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、プロピルジフェニルホスフィン、イソプロピルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン等が例示される。
【0036】
また、イソブチルジフェニルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、(R)−(+)−2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−メトキシ−1,1’−ビナフチル、(−)−1,2−ビス[(2R,5R)−2,5−ジメチルホスホラノ]ベンゼン、(+)−1,2−ビス[(2S,5S)−2,5−ジメチルホスホラノ]ベンゼン、(−)−1,2−ビス((2R,5R)−2,5−ジエチルホスホラノ)ベンゼン、(+)−1,2−ビス[(2S,5S)−2,5−ジエチルホスホラノ]ベンゼン、1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン、(−)−1,1’−ビス[(2S,4S)−2,4−ジエチルホスホラノ]フェロセン、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン等が例示される。
【0037】
また、(+)−1,2−ビス[(2R,5R)−2,5−ジ−イソプロピルホスホラノ]ベンゼン、(−)−1,2−ビス[(2S,5S)−2,5−ジ−イソプロピルホスホラノ]ベンゼン、(±)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−メチルビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジペンタフルオロフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(2R,3R)−(−)−2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン等が例示される。
【0038】
また、(2S,3S)−(+)−2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、(2S,3S)−(−)−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、cis−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン、ビス(2−ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、(2S,4S)−(−)−2,4−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、(2R,4R)−(−)−2,4−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、R−(+)−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、(2S,3S)−(+)−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2,3−O−イソプロピリデン−2,3−ブタンジオール、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(1−ナフチル)ホスフィン、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン、トリス(3−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン等が例示される。
【0039】
また、トリス(3−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、トリス[4−(ペルフルオロへキシル)フェニル]ホスフィン、トリス(2−チエニル)ホスフィン、トリス(m−トリル)ホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(p−トリル)ホスフィン、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリ(2,5−キシリル)ホスフィン、トリ(3,5−キシリル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等が例示される。
【0040】
また、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、(S)−(+)−4,12−ビス(ジフェニルホスフィノ)−[2.2]−パラシクロファン、(R)−(−)−4,12−ビス(ジフェニルホスフィノ)−[2.2]−パラシクロファン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、ビス(2−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、(1R,2R)−(+)−N,N’−ビス(2’−ジフェニルホスフィノベンゾイル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン、(1S,2S)−(+)−N,N’−ビス(2’−ジフェニルホスフィノベンゾイル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン、(±)−N,N’−ビス(2’−ジフェニルホスフィノベンゾイル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン等が例示される。
【0041】
また、(1S,2S)−(−)−N,N’−ビス(2−ジフェニルホスフィノ−1−ナフトイル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン、(1R,2R)−(+)−N,N’−ビス(2−ジフェニルホスフィノ−1−ナフトイル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン、(±)−N,N’−ビス(2−ジフェニルホスフィノ−1−ナフトイル)ジアミノシクロヘキサン、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン、ビス(p−スルホナトフェニル)フェニルホスフィン二カリウム塩、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、(S)−(−)−1−(2−ジフェニルホスフィノ−1−ナフチル)イソキノリン等が例示される。
【0042】
また、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニルおよび2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル等が例示できる。
【0043】
用いられる三級ホスフィンは、上記の三級ホスフィンのいずれでも良いが、収率が良い点で、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルおよび(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルが望ましい。
【0044】
トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルおよび(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルがさらに望ましい。
【0045】
また、「工程A−2」では、収率向上のため塩基を添加しても良い。添加する塩基としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジイソプロピルアミンまたはエチルジイソプロピルアミン等の無機塩基または有機塩基が例示できる。塩基の添加なしでも反応は十分に進行する。
【0046】
で表される脱離基は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基等を例示することができるが、収率が良い点で臭素原子またはヨウ素原子が望ましい。
【0047】
「工程A−1」でリチオ化に用いるブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウム等と一般式(5)で表されるビフェニル化合物とのモル比は、1:1から5:1が望ましく、収率が良い点で1:1から3:1がさらに望ましい。
【0048】
「工程A−1」でリチオ化およびカップリング用試薬との反応の際に用いる溶媒として、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテルまたはキシレン等が例示でき、これらを適宜組合わせて用いても良い。収率が良い点でテトラヒドロフランを単独で用いることが望ましい。
【0049】
「工程A−1」で一般式(5)で表されるビフェニル化合物の濃度は、10mmol/Lから10000mmol/Lが望ましく、収率が良い点で50mmol/Lから200mmol/Lがさらに望ましい。
【0050】
「工程A−1」でのリチオ化の際の反応温度は、−150℃から−20℃が望ましく、収率が良い点で−100℃から−60℃から適宜選ばれた温度がさらに望ましい。
【0051】
「工程A−1」でのリチオ化の際の反応時間は、1分から3時間が望ましく、収率が良い点で15分から1時間がさらに望ましい。
【0052】
「工程A−1」でカップリング用試薬と一般式(5)で表されるビフェニル化合物とのモル比は、1:1から1:10が望ましく、収率が良い点で1:1.5から1:3がさらに望ましい。
【0053】
「工程A−1」でのカップリング用試薬を加えた後の反応温度は、−150℃から−20℃の低温領域から−20℃から50℃の高温領域に昇温することが望ましく、収率が良い点で−100℃から−60℃の低温領域から0℃から30℃の高温領域に昇温することがさらに望ましい。
【0054】
「工程A−1」でのカップリング用試薬との反応時間は、基質や反応スケール等によって異なり、特に制限はないが、低温領域での反応は1分から1時間が望ましく、収率が良い点で5分から30分がさらに望ましい。高温領域での反応は、10分から10時間が望ましく、収率が良い点で30分から5時間がさらに望ましい。
【0055】
「工程A−2」での一般式(2)で表される置換ビフェニル化合物と一般式(3)で表される1,3,5−トリアジン化合物とのモル比は、1:0.5から1:5が望ましく、収率が良い点で1:0.75から1:2がさらに望ましい。
【0056】
「工程A−2」での金属触媒と一般式(3)で表される1,3,5−トリアジン化合物(3)とのモル比は、0.001:1から0.5:1が望ましく、収率が良い点で0.01:1から0.1:1がさらに望ましい。
【0057】
「工程A−2」で用いることのできる溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、キシレン、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンまたはヘキサメチルリン酸トリアミド等が例示でき、これらを適宜組合わせて用いても良い。収率が良い点で1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、トルエンまたはテトラヒドロフランが望ましい。「工程A−1」で生成した一般式(2)で表される置換ビフェニル化合物を単離せずに「工程A−2」に供する場合は、「工程A−1」で用いる溶媒をそのまま用いることもできる。
【0058】
「工程A−2」での一般式(3)で表される1,3,5−トリアジン化合物の濃度は、5mmol/Lから1000mmol/Lが望ましく、収率が良い点で10mmol/Lから200mmol/Lがさらに望ましい。
【0059】
「工程A−2」での反応温度は、0℃から用いる溶媒の還流温度から適宜選ばれた温度望ましく、収率が良い点で溶媒の還流温度がさらに望ましい。
【0060】
「工程A−2」での反応時間は、10分から48時間が望ましく、収率が良い点で30分から24時間がさらに望ましい。
【0061】
次に、[製造方法−B]について説明する。[製造方法−B]は「工程B−1」と「工程B−2」から成る。
[製造方法−B]
「工程B−1」
【0062】
【化8】

[式中、Ar、Ar、YおよびMは前記と同じ内容を示す。]
「工程B−2」
【0063】
【化9】

[式中、Ar、Ar、MおよびYは前記と同じ意味を示す。]
まず、「工程B−1」では、一般式(3)で表される1,3,5−トリアジン化合物をブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウム等でリチオ化後、カップリング用試薬を反応させることにより、カップリング反応に通常用いられる反応種である一般式(4)で表される置換1,3,5−トリアジン化合物が得られる。
【0064】
カップリング用試薬としては、「工程A−1」で例示した、ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化トリメチルスズ、塩化トリブチルスズ、トリブチルスズヒドリド、ヘキサメチルジスタナン、ヘキサブチルジスタナン、ホウ酸、ピナコレートボラン、エチレングリコレートボラン、1,3−プロパンジオレートボラン、ビス(ピナコレート)ジボラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランまたは二塩化ジエチルシラン等が例示でき、これらとの反応によりMが−ZnCl基、−ZnBr基、−ZnI基、−SnMe基、−SnBu基、−B(OH)基、−B(ピナコレート)基、−B(エチレングリコレート)基、−B(1,3−プロパンジオレート)基、−Si(OMe)基、−Si(OEt)基または−SiEtCl基である一般式(4)で表される置換1,3,5−トリアジン化合物を得ることができる。ホウ酸と反応させた場合は、反応後にフッ化水素水と反応させ、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたはフッ化テトラブチルアンモニウム等で処理することによって、Mを−BF基、−BFCs基または−BFNBu基等のような塩としても良い。
【0065】
また、一般式(3)で表される1,3,5−トリアジン化合物をリチオ化せずに、直接臭化マグネシウムまたは臭化イソプロピルマグネシウム等と反応させてMが−MgBr基等である一般式(4)で表される置換1,3,5−トリアジン化合物を得ることもできる。
【0066】
得られた一般式(4)で表される置換1,3,5−トリアジン化合物は、反応後単離しても良いが、単離せずに「工程B−2」に供しても良い。
【0067】
収率が良い点で、リチオ化後にジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化トリメチルスズまたは塩化トリブチルスズと反応させて、Mが−ZnCl基、−ZnBr基、−ZnI基、−SnMe基または−SnBu基である一般式(4)で表される置換1,3,5−トリアジン化合物を得、単離せずに「工程B−2」に供することが望ましい。リチオ化後にジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)または塩化トリメチルスズと反応させて、Mが−ZnCl基または−SnMe基である一般式(4)で表される置換1,3,5−トリアジン化合物を得、単離せずに「工程B−2」に供することがさらに望ましい。
【0068】
で表される脱離基は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基等を例示することができるが、収率が良い点で臭素原子またはヨウ素原子が望ましい。
【0069】
「工程B−2」では、「工程B−1」で得られた一般式(4)で表される置換1,3,5−トリアジン化合物を、金属触媒の存在下に一般式(5)で表されるビフェニル化合物と反応させることにより、本発明の一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体が得られる。
【0070】
「工程B−2」で用いることのできる金属触媒は「工程A−2」で例示した、パラジウム触媒、ニッケル触媒、鉄触媒、ルテニウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、イリジウム触媒、オスミウム触媒およびコバルト触媒等を列挙することができる。これらの金属触媒は、金属、担持金属、金属の塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩もしくは酸化物塩等の金属塩、またはオレフィン錯体、ホスフィン錯体、アミン錯体、アンミン錯体もしくはアセチルアセトナト錯体等の錯化合物を用いることができる。さらにこれらの金属、金属塩または錯化合物と三級ホスフィン配位子を組合わせて用いることもできる。収率が良い点でパラジウム触媒、鉄触媒またはニッケル触媒が望ましく、パラジウム触媒がさらに望ましい。
【0071】
パラジウム触媒としては、さらに具体的には、「工程A−2」で例示した、パラジウム黒等の金属、パラジウム/アルミナ、パラジウム/炭素等の担持金属、塩化パラジウム、酢酸パラジウム等の金属塩、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等の錯化合物が例示できる。収率が良い点で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが望ましい。
【0072】
これらの金属、担持金属、金属塩および錯化合物は単独で用いても良いが、さらに三級ホスフィンと組合わせて用いても良い。用いることのできる三級ホスフィンとしては、「工程A−2」で例示したトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルおよび(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等が例示できる。
【0073】
また、「工程B−2」では、収率向上のため塩基を添加しても良い。添加する塩基としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジイソプロピルアミンまたはエチルジイソプロピルアミン等の無機塩基または有機塩基が例示できる。塩基の添加なしでも反応は十分に進行する。
【0074】
で表される脱離基は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基等を例示することができるが、収率が良い点で臭素原子またはヨウ素原子が望ましい。
【0075】
「工程B−1」でリチオ化に用いるブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウム等と一般式(3)で表される1,3,5−トリアジン化合物とのモル比は、1:1から5:1が望ましく、収率が良い点で1:1から3:1がさらに望ましい。
【0076】
「工程B−1」でリチオ化およびカップリング用試薬との反応の際に用いる溶媒として、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテルまたはキシレン等が例示でき、これらを適宜組合わせて用いても良い。収率が良い点でテトラヒドロフランを単独で用いることが望ましい。
【0077】
「工程B−1」での一般式(3)で表される1,3,5−トリアジン化合物の濃度は、5mmol/Lから1000mmol/Lが望ましく、収率が良い点で10mmol/Lから200mmol/Lがさらに望ましい。
【0078】
「工程B−1」でのリチオ化の際の反応温度は、−150℃から−20℃が望ましく、収率が良い点で−100℃から−60℃から適宜選ばれた温度がさらに望ましい。
【0079】
「工程B−1」でのリチオ化の際の反応時間は、1分から3時間が望ましく、収率が良い点で5分から1時間がさらに望ましい。
【0080】
「工程B−1」でカップリング用試薬と一般式(3)で表される1,3,5−トリアジン化合物とのモル比は、1:1から1:10が望ましく、収率が良い点で1:1から1:3がさらに望ましい。
【0081】
「工程B−1」でのカップリング用試薬を加えた後の反応温度は、−150℃から−20℃の低温領域から−20℃から50℃の高温領域に昇温することが望ましく、収率が良い点で−100℃から−60℃の低温領域から0℃から30℃の高温領域に昇温することがさらに望ましい。
【0082】
「工程B−1」でのカップリング用試薬との反応時間は、基質や反応スケール等によって異なり、特に制限はないが、低温領域での反応は1分から3時間が望ましく、収率が良い点で5分から1時間がさらに望ましい。高温領域での反応は、10分から10時間が望ましく、収率が良い点で30分から5時間がさらに望ましい。
【0083】
「工程B−2」での一般式(4)で表される置換1,3,5−トリアジン化合物と一般式(5)で表されるビフェニル化合物とのモル比は、1:0.25から1:5が望ましく、収率が良い点で1:0.5から1:1.5がさらに望ましい。
【0084】
「工程B−2」での金属触媒と一般式(5)で表されるビフェニル化合物とのモル比は、0.001:1から0.5:1が望ましく、収率が良い点で0.01:1から0.1:1がさらに望ましい。
【0085】
「工程B−2」で用いることのできる溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、キシレン、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンまたはヘキサメチルリン酸トリアミド等が例示でき、これらを適宜組合わせて用いても良い。収率が良い点で1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、トルエンまたはテトラヒドロフランが望ましい。「工程B−1」で生成した一般式(4)で表される置換1,3,5−トリアジン化合物を単離せずに「工程B−2」に供することが収率が良い点でさらに望ましく、その際は「工程B−1」で用いるテトラヒドロフランをそのまま用いることもできる。
【0086】
「工程B−2」での一般式(5)で表されるビフェニリル化合物の濃度は、5mmol/Lから1000mmol/Lが望ましく、収率が良い点で10mmol/Lから200mmol/Lがさらに望ましい。
【0087】
「工程B−2」での反応温度は、0℃から用いる溶媒の還流温度から適宜選ばれた温度が望ましく、収率が良い点で溶媒の還流温度がさらに望ましい。
【0088】
「工程B−2」での反応時間は、1時間から120時間が望ましく、収率が良い点で6時間から72時間がさらに望ましい。
【0089】
一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体の粗成生物は、「工程A−2」または「工程B−2」の終了後に溶媒を留去することにより得られる。粗生成物の精製方法としては、再結晶、カラム精製、分取薄層クロマトグラフィー、または昇華等が例示できる。例えば、再結晶では、良溶媒または良溶媒と貧溶媒の組合せに溶解し冷却する方法、また良溶媒に溶解し貧溶媒を加える方法、のいずれでも容易に精製することができる。粗生成物の溶解度にもよるが、ジクロロメタンに溶解後メタノールを加える方法が望ましい。カラム精製を行う場合は、シリカゲルを用いることが望ましい。溶離液はヘキサン−ジクロロメタンまたはヘキサン−クロロホルムの組合せが、収率が良い点で望ましい。ヘキサンとジクロロメタンまたはヘキサンとクロロホルムの容積比1:0から0:1の範囲から、分離・溶出の度合いに応じて適宜選ぶことができる。また、これらの比は精製中に適宜変化させても良い。有機電界発光素子用として用いる際には、昇華による精製が特に望ましい。
【0090】
一般式(3)で表される1,3,5−トリアジン化合物の合成法に制限はないが、例えば次の方法を用いることができる。
【0091】
すなわち、一般式(6)
【0092】
【化10】

[式中、Yは前記と同じ内容を示す。]で表される置換ベンゾイルクロリド誘導体と一般式(7)
【0093】
【化11】

[式中、Arは前記と同じ内容を示す。]で表される置換ベンゾニトリル誘導体、および一般式(8)
【0094】
【化12】

[式中、Arは前記と同じ内容を示す。]で表される置換ベンゾニトリル誘導体とを、ルイス酸の存在下で反応させて一般式(9)
【0095】
【化13】

[式中、Ar、ArおよびYは前記と同じ内容を示し、(Zは陰イオンを示す。]で表される1,3,5−オキサジアニル−1−イウム塩誘導体を得、これをアンモニア水で処理することにより製造することができる。
【0096】
一般式(7)および(8)で表される置換ベンゾニトリル誘導体のモル比は、1:1であることが必須である。
【0097】
一般式(6)で表される置換ベンゾイルクロリド誘導体と一般式(7)または(8)で表される置換ベンゾニトリル誘導体のモル比は、各々1:10〜10:1の広い範囲で高い収率が得られるが、量論比でも充分に反応は進行する。
【0098】
反応に用いる溶媒は、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼンまたは1,2−ジクロロベンゼン等が例示できる。収率が良い点で、ジクロロメタンまたはクロロホルムが望ましい。
【0099】
ルイス酸としては、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、三塩化鉄、四塩化スズおよび五塩化アンチモン等が例示できる。収率が良い点で五塩化アンチモンが望ましい。
【0100】
一般式(9)で表される1,3,5−オキサジアニル−1−イウム塩誘導体は単離することもできるが、溶液のまま次の反応操作に供してもよい。塩として単離する場合、一般式(9)で表される1,3,5−オキサジアニル−1−イウム塩誘導体の(Zは、陰イオンであれば特に限定はないが、上に挙げたルイス酸にフッ化物イオンまたは塩化物イオンが結合したテトラフルオロホウ酸イオン、クロロトリフルオロホウ酸イオン、テトラクロロアルミニウム酸イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、ペンタクロロスズ(IV)酸イオンまたはヘキサクロロアンチモン(V)酸イオンを対陰イオンとして得ると収率が良い。
【0101】
用いるアンモニア水の濃度に特に制限はないが、5〜50%が好ましく、市販の28%でも反応は充分に進行する。
【0102】
反応温度には特に制限はないが、−50℃〜溶媒還流温度から適宜選ばれた温度で反応を行うことが好ましい。また反応時間は、反応温度との兼合いによるが、30分〜24時間である。
【0103】
一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体から成る薄膜の製造方法に特に限定はないが、有機電界発光素子用薄膜として製造する場合には真空蒸着法による成膜が可能である。真空蒸着法による成膜は、汎用の真空蒸着装置を用いることにより行うことができる。真空蒸着法で膜を形成する際の真空槽の真空度は、有機電界発光素子作製の製造タクトタイムや製造コストを考慮すると、一般的に用いられる拡散ポンプ、タ−ボ分子ポンプ、クライオポンプ等により到達し得る1×10−2〜1×10−5Pa程度が望ましい。蒸着速度は、形成する膜の厚さによるが0.005〜1.0nm/秒が望ましい。また、一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体は、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、酢酸エチルまたはテトラヒドロフラン等に対する溶解度が高いため、汎用の装置を用いたスピンコ−ト法、インクジェット法、キャスト法またはディップ法等による成膜も可能である。
【0104】
本発明の一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体から成る薄膜は、高い表面平滑性、アモルファス性、電子輸送能、正孔ブロック能、正孔輸送能、青色蛍光発光等をもつため、有機電界発光素子の材料として用いることが可能で、とりわけ電子輸送材、正孔ブロック材、発光材、発光ホスト材などとして用いることができる。従って、一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体から成る薄膜は、有機電界発光素子、有機トランジスタ、有機感光体、電子ペーパー等の構成成分としての利用することができる。
【発明の効果】
【0105】
本発明により、テルフェニリル基を一つ有する1,3,5−トリアジン誘導体を収率よく得ることができる。この1,3,5−トリアジン誘導体を構成成分とする有機電界発光素子は、高い輝度および高い発光効率を示し、また寿命も長く、発光色もCIE(Commision International de l‘Eclairage:国際照明委員会)が定めた純青の色度座標を有するものである。
【実施例】
【0106】
以下、本発明の参考例、実施例を説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0107】
(参考例1) 2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジンの合成
4−ブロモベンゾイルクロリド6.58gと4−tert−ブチルベンゾニトリル9.55gを200mLのクロロホルムに溶解し、5塩化アンチモン8.97gを0℃で滴下した。混合物を室温で1時間攪拌後、8時間還流した。室温まで冷却後、クロロホルムを減圧下留去した。得られた2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−オキサジアジニル−1−イウム ヘキサクロロアンチモナトを28%アンモニア水溶液300mLに0℃で徐々に加えると白色沈殿が生成した。これを室温で1時間攪拌し、ろ過後、得られた白色沈殿を水、メタノールで洗浄した。白色沈殿を乾燥後、これにクロロホルム150mlを加え、この懸濁液を加熱還流し、ろ過した。さらにろ別した不溶成分にクロロホルム50mlを加え、これを加熱還流し、その後ろ過する操作を2回行った。全てのろ液を集めて冷却し、再び生成した白色沈殿をろ過・乾燥することにより、2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量10.41g、収率69%)を得た。
【0108】
H−NMR(CDCl):δ1.44(s,18H),7.63(d,J=8.6Hz,4H),7.73(d,J=8.6Hz,2H),8.67(d,J=8.6Hz,2H),8.69(d,J=8.6Hz,4H).
13C−NMR(CDCl):δ31.2,35.1,125.6,127.2,128.8,130.4,131.8,133.4,135.4,156.2,170.6,171.6。
【0109】
(参考例2) 2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ジ(ナフタレン−1−イル)−1,3,5−トリアジンの合成
4−ブロモベンゾイルクロリド1.10gとナフタレン−1−カルボニトリル1.53gを100mLのクロロホルムに溶解し、5塩化アンチモン1.50gを0℃で滴下した。混合物を室温で1時間攪拌後、8時間還流した。室温まで冷却後、クロロホルムを減圧下留去した。得られた2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ジ(ナフタレン−1−イル)−1,3,5−オキサジアジニル−1−イウム ヘキサクロロアンチモナトを28%アンモニア水溶液100mLに0℃で徐々に加えると白色沈殿が生成した。これを室温で1時間攪拌し、ろ過後、得られた白色沈殿を水、メタノールで洗浄した。白色沈殿を乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=1:1)で精製し、更にジクロロメタン−メタノールで再結晶し、2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ジ(ナフタレン−1−イル)−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量0.91g、収率37%)を得た。
【0110】
H−NMR(CDCl):δ7.59(ddd,J=8.0,6.8,1.2Hz,2H),7.64(ddd,J=8.5,6.8,1.5Hz,2H),7.68(dd,J=8.0,7.4Hz,2H),7,73(d,J=8.6Hz,2H),7.98(brd,J=8.0Hz,2H),8.10(brd,J=8.0Hz,2H),8.56(dd,J=7.4,1.2Hz,2H),8.66(d,J=8.6Hz,2H),9.17(brd,J=8.5Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ125.2,126.0,126.2,127.4,127.8,128.8,130.6,130.9,131.3,132.1,132.5,133.6,134.2,135.1,170.4,174.4。
【0111】
(参考例3)2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−(4−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジンの合成
4−ブロモベンゾイルクロリド4.39gと4−ビフェニルカルボニトリル7.17gを40mLのクロロホルムに溶解し、5塩化アンチモン5.98gを0℃で滴下した。混合物を室温で10分間攪拌後、13時間還流した。室温まで冷却後、クロロホルムを減圧下留去した。得られた2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−(4−ブロモフェニル)−1,3,5−オキサジアジニル−1−イウム ヘキサクロロアンチモナトを28%アンモニア水溶液300mLに0℃で徐々に加えると白色沈殿が生成した。これを室温で1時間攪拌し、ろ過後、得られた白色沈殿を水、メタノールで洗浄した。白色沈殿を乾燥後、これにクロロホルム150mlを加え、この懸濁液を加熱還流し、ろ過した。さらにろ別した不溶成分にクロロホルム50mlを加え、これを加熱還流し、その後ろ過する操作を2回行った。全てのろ液を集め、クロロホルムを減圧下留去し、得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶し、2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−(4−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量9.48g、収率88%)を得た。
【0112】
H−NMR(CDCl):δ7.30−7.39(m,2H),7.39−7.49(m,4H),7.59−7.68(m,4H),7.65(d,J=8.6Hz,2H),7.74(d,J=8.5Hz,4H),8.59(d,J=8.6Hz,2H),8.76(d,J=8.5Hz,4H).
13C−NMR(CDCl):δ127.2,127.3,127.4,128.0,128.9,129.4,130.4,131.8,134.9,135.2,140.3,145.2,170.7,171.4。
【0113】
(実施例1) 2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、ブチルリチウムを2.9mmol含むヘキサン溶液1.9mLを、4−ブロモビフェニル0.61gを溶解し−78℃に冷却したテトラヒドロフラン20mLにゆっくり加えた。−78℃で30分間攪拌後ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)0.79gを加え、−78℃で10分間次いで室温で2時間攪拌した。この溶液に参考例1で得た2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジン1.00gとテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.12gを溶解したテトラヒドロフラン40mLを加え、2時間加熱還流下で攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=5:1〜3:1)で精製後、再度ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、目的の2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量1.05g、収率91%)を得た。
【0114】
H−NMR(CDCl):δ1.45(s,18H),7.38−7.46(m,1H),7.46−7.56(m,2H),7.64(d,J=8.5Hz,4H),7.67−7.74(m,2H),7.78(d,J=8.5Hz,2H),7.84(d,J=8.5Hz,2H),7.89(d,J=8.5Hz,2H),8.74(d,J=8.5Hz,4H),8.89(d,J=8.5Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ31.2,35.1,125.6,127.1,127.1,127.5,127.6,127.6,128.8,128.9,129.5,133.7,135.5,139.3,140.6,140.8,144.4,156.0,171.1,171.5。
【0115】
(実施例2) 2,4−ジ(ナフタレン−1−イル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、ブチルリチウムを4.3mmol含むヘキサン溶液2.8mLを、4−ブロモビフェニル0.91gを溶解し−78℃に冷却したテトラヒドロフラン15mLにゆっくり加えた。−78℃で15分間攪拌後ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)1.19gを加え、−78℃で10分間次いで室温で2時間攪拌した。この溶液に参考例2で得た2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ジ(ナフタレン−1−イル)−1,3,5−トリアジン1.47gとテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.14gを溶解したテトラヒドロフラン80mLを加え、13時間加熱還流下で攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をクロロホルムで洗浄し、目的の2,4−ジ(ナフタレン−1−イル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量1.19g、収率71%)を得た。
【0116】
H−NMR(CDCl):δ7.36−7.41(m,1H),7.46−7.52(m,2H),7.57−7.62(m,2H),7.63−7.72(m,4H),7.68(dd,J=8.0,7.3Hz,2H),7.75(d,J=8.4Hz,2H),7.81(d,J=8.4Hz,2H),7.88(d,J=8.5Hz,2H),7.99(brd,J=8.0Hz,2H),8.10(brd,J=8.0Hz,2H),8.60(dd,J=7.3Hz,1.2Hz,2H),8.88(d,J=8.5Hz,2H),9.23(brd,J=8.6Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ125.2,126.1,127.1,127.3,127.4,127.5,127.6,127.7,128.7,128.9,129.7,130.8,131.4,132.4,133.9,134.3,135.1,139.1,140.1,141.0,144.9,170.9,174.3。
【0117】
(実施例3) 2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、ブチルリチウムを3.3mmol含むヘキサン溶液2.1mLを、4−ブロモビフェニル0.69gを溶解し−78℃に冷却したテトラヒドロフラン30mLにゆっくり加えた。−78℃で15分間攪拌後ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)0.91gを加え、−78℃で10分間次いで室温で2.5時間攪拌した。この溶液に参考例3で得た2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−(4−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン1.35gとテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.12gを溶解したテトラヒドロフラン60mLを加え、2時間加熱還流下で攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=2:1〜クロロホルム)で精製後、ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、目的の2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量1.09g、収率71%)を得た。
【0118】
H−NMR(CDCl):δ7.37−7.45(m,3H),7.46−7.54(m,6H),7.68(brd,J=8.4Hz,2H),7.73(brd,J=8.3Hz,4H),7.74(d,J=8.4Hz,2H),7.81(d,J=8.4Hz,2H),7.83(d,J=8.4Hz,4H),7.87(d,J=8.4Hz,2H),8.88(d,J=8.4Hz,4H),8.89(d,J=8.4Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ127.1,127.2,127.3,127.4,127.5,127.6,127.7,128.0,128.9,128.9,129.5,129.6,135.2,135.3,139.3,140.4,140.6,140.9,144.6,145.2,171.4,171.4。
【0119】
(参考例4) 電荷移動度測定用素子の作成および電荷移動度の測定
2mm幅のITO(酸化インジウム錫)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。真空蒸着槽内を4.0×10−4Paまで減圧し、移動度測定する材料を抵抗加熱方式により加熱し、0.3〜0.5nm/秒の蒸着速度で基板上に真空蒸着した。蒸着膜の膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。次にこの基板上にITOストライプと直行するように、メタルマスクを配して、2mm幅のAl膜を100nmの厚みで真空蒸着し、2mm角の動作エリアを得た。この基板を酸素・水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
【0120】
電荷移動度は、タイムオブフライト移動度測定法を用いて行った。測定は室温で行い、窒素レーザをITO透明電極側から照射した時に発生した電荷のAl電極への移動速度から移動度を求めた。
【0121】
(実施例4) 2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンの移動度測定
実施例1で合成した2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンの電荷移動度を参考例4に従って測定した。なお、蒸着膜の膜厚は、1.5μmであった。
【0122】
得られた電子移動度は1.0×10−4cm/V・secであった。この値は、電子輸送材料として汎用的なAlq(特開2002−158091号公報)の1.0×10−5cm/V・secの10倍であった。さらにこの素子は、正孔移動も確認され、1.0×10−4cm/V・secと電子移動度と同程度の正孔移動度を示した。以上の結果から、2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンを用いて作製された薄膜は、速い電子輸送特性と正孔輸送特性を示す優れたバイポーラ性化合物であることが明らかとなった。
【0123】
(実施例5) 2,4−ジ(ナフタレン−1−イル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンの移動度測定
実施例2で合成した2,4−ジ(ナフタレン−1−イル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンを用い、実施例4と同様の方法で素子作製及び電荷移動度測定を行った。得られた電子移動度は4×10−4cm/V・secで、正孔移動度は1×10−5cm/V・secあった。2,4−ジ(ナフタレン−1−イル)−6−[1,1’:4’,1”]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンも同様にバイポーラ性を示す化合物であることが明らかとなった。
【0124】
(実施例6) 2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンの移動度測定
実施例3で合成した2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンを用い、実施例4と同様の方法で素子作製及び電荷移動度測定を行った。得られた電子移動度は7×10−4cm/V・secで、正孔移動度は1×10−6cm/V・secあった。2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンも同様にバイポーラ性を示す化合物であることが明らかとなった。
【0125】
(参考例5) 有機電界発光素子の作製と発光特性評価
用いた有機電界発光素子の構成を図1に示す。基板1には2mm幅のITO(酸化インジウム錫)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。真空蒸着槽内に基板1を導入して1.0×10−4Paまで減圧し、この基板上に正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6を順次真空蒸着により成膜し、さらに陰極層7を成膜した。
【0126】
正孔注入層2としては、昇華精製した銅フタロシアニンを25nm真空蒸着した。正孔輸送層3として、NPD(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル)ベンジジンを45nm真空蒸着した。発光層4としては、Alqを30nm真空蒸着した。続いて、電子輸送層5および電子注入層6を真空蒸着した。なお、各層とも抵抗加熱方式により、0.3〜0.5nm/秒の成膜速度で真空蒸着した。次にこのように積層した基板上にITOストライプと直行するように、メタルマスクを配して陰極層7を成膜した。陰極層7は、LiFとAlの2層構造を用いそれぞれ0.5nmと100nmの膜厚で真空蒸着した。それぞれの膜厚は触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。以上の操作により、発光面積4mmの有機電界発光素子を作製した。
【0127】
さらにこの素子を酸素・水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
【0128】
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性は、電圧6Vでの輝度(cd/m)、発光効率(cd/A)、発光波長(nm)を評価した。また素子寿命は、1mAの電流を流した値を初期輝度として、定電流駆動により初期輝度の輝度半減時間(h)とした。
【0129】
(参考例6) 4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−[4−(2,2’−ビピリジン−6−イル)フェニル]−1,3,5−トリアジンの合成
アルゴン気流下、ブチルリチウムを2.2mmol含むヘキサン溶液1.4mLを、参考例1で得た2−(4−ブロモフェニル)−4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジン1.00gを溶解し−78℃に冷却したテトラヒドロフラン40mLにゆっくり加えた。−78℃で15分間攪拌後ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)0.61gを加え、−78℃で10分間次いで室温で2時間攪拌した。この溶液に6−ブロモ−2,2’−ビピリジン0.56gとテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.12gを溶解したテトラヒドロフラン20mLを加え、20時間加熱還流下で攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をジクロロメタン−メタノールで再結晶した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:クロロホルム=1:1〜0:1)で精製後、再度ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、目的の4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−[4−(2,2’−ビピリジン−6−イル)フェニル]−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量0.82g、収率71%)を得た。
【0130】
H−NMR(CDCl):δ1.45(s,18H),7.39(ddd,J=7.5Hz,4.7Hz,1.2Hz,1H),7.65(d,J=8.6Hz,4H),7.88−8.03(m,3H),8.40(d,J=8.6Hz,2H),8.48(dd,J=7.2Hz,1.6Hz,1H),8.69−8.78(m,2H),8.75(d,J=8.6Hz,4H),8.94(d,J=8.6Hz,2H).
13C−NMR(CDCl):δ31.2,35.1,119.9,120.7,121.4,123.8,125.6,127.0,128.8,129.3,133.7,136.9,136.9,137.8,142.8,149.0,155.6,155.8,156.0,156.2,171.0,171.5。
【0131】
(実施例7) 2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンを電子輸送材とする有機電界発光素子の評価
参考例5の素子において、電子輸送層5として実施例1で合成した2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンを20nm、電子注入層6として参考例6で合成した4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−[4−(2,2’−ビピリジン−6−イル)フェニル]−1,3,5−トリアジンを10nm、それぞれ真空蒸着した。作製した素子の発光面にはダークスポットがなく、均一に発光した。これは2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンのアモルファス性が高く、薄膜状態で結晶化していない事を示している。発光特性の測定結果を表1に示す。
【0132】
(比較例1) Alqを電子輸送材とする有機電界発光素子の評価
実施例7の電子輸送層5および電子注入層6に替えて汎用の電子輸送材料であるAlqを30nm真空蒸着した。発光特性の測定結果を表1に示す。
【0133】
表1の結果から、実施例7では、Alqを用いる従来素子と比較して、高い輝度および高い発光効率が得られることが明らかとなった。また発光波長が比較例1と変わらないことから、発光色に与える悪影響はみられなかった。さらに素子寿命は比較例1よりも長く、耐久性が向上した。
【0134】
【表1】

(参考例7) 色純度測定用素子作成および色純度測定
用いた有機電界発光素子の構成を図2に示す。基板1には2mm幅のITO(酸化インジウム錫)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。真空蒸着槽内に基板1を導入して1.0×10−4Paまで減圧し、この基板上に正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5を順次真空蒸着により成膜し、さらに、陰極層6を成膜した。
【0135】
正孔注入層2としては、昇華精製した銅フタロシアニンを25nm真空蒸着した。正孔輸送層3として、NPD(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル)ベンジジンを45nm真空蒸着した。続いて、発光層4を40nm真空蒸着した。さらに電子輸送層5としてAlqを20nm真空蒸着した。なお、各層とも抵抗加熱方式により、0.3〜0.5nm/秒の成膜速度で真空蒸着した。次にこのように積層した基板上にITOストライプと直行するように、メタルマスクを配して陰極層6を成膜した。陰極層6は、LiFとAlの2層構造を用いそれぞれ0.5nmと100nmの膜厚で真空蒸着した。それぞれの膜厚は触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。以上の操作により、発光面積4mmの有機電界発光素子を作製した。
【0136】
さらにこの素子を酸素・水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップとエポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
【0137】
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、オーシャンフォトニクス株式会社製分光器USB−2000で発光の色純度を測定した。
【0138】
(実施例8) 2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンを発光材とする有機電界発光素子の色純度測定
実施例1で合成した2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンを発光層とする素子を参考例7に従って作製し、直流電圧を印加したところ、青色に発光することを確認した。発光色の色度座標は(0.16,0.13)と純青に近いことが明らかとなった。また、得られた素子の色純度は、2,4−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6−[1,1’:4’,1’’]テルフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジンを真空蒸着した薄膜の蛍光スペクトルの発光色の色度座標(0.15,0.07)と良く対応しており、トリアジン誘導体由来のものであることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】参考例5に記載の有機電界発光素子の構成を示す図である。
【図2】参考例7に記載の有機電界発光素子の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0140】
1.ITO透明電極付きガラス基板
2.正孔注入層
3.正孔輸送層
4.発光層
5.電子輸送層
6.電子注入層
7.陰極層
8.ITO透明電極付きガラス基板
9.正孔注入層
10.正孔輸送層
11.発光層
12.電子輸送層
13.陰極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[式中、ArおよびArは、同一または相異なるフェニル基、ナフチル基またはビフェニリル基を示し、これらは炭素数1から4のアルキル基で1個以上置換されていても良い。]で表されることを特徴とする1,3,5−トリアジン誘導体。
【請求項2】
ArおよびArがフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、1−ナフチル基または4−ビフェニリル基である請求項1に記載の1,3,5−トリアジン誘導体。
【請求項3】
一般式(2)
【化2】

[式中、Mは−ZnR基、−MgR基、−Sn(R基、−B(OH)基、−BR基、−BF(Z基または−Si(R基を示す。但し、Rは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示し、Rは同一または相異なって炭素数1から4のアルキル基を示し、Rは2,3−ジメチルブタン−2,3−ジオキシ基、エチレンジオキシ基または1,3−プロパンジオキシ基を示し、(Zはアルカリ金属イオンまたは四級アンモニウムイオンを示し、Rは同一または相異なってメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基または塩素原子を示す。]で表される置換ビフェニル化合物と、一般式(3)
【化3】

[式中、ArおよびArは前記と同じ内容を示し、Yは脱離基を示す。]で表される1,3,5−トリアジン化合物とを、金属触媒の存在下でカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化4】

[式中、ArおよびArは前記と同じ内容を示す。]で表される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法。
【請求項4】
一般式(4)
【化5】

[式中、ArおよびArは前記と同じ内容を示し、Mは−ZnR基、−MgR基、−Sn(R基、−B(OH)基、−BR基、−BF(Z基または−Si(R基を示す。但し、Rは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示し、Rは同一または相異なって炭素数1から4のアルキル基を示し、Rは2,3−ジメチルブタン−2,3−ジオキシ基、エチレンジオキシ基または1,3−プロパンジオキシ基を示し、(Zはアルカリ金属イオンまたは四級アンモニウムイオンを示し、Rは同一または相異なってメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基または塩素原子を示す。]で表される置換1,3,5−トリアジン化合物と、一般式(5)
【化6】

[式中、Yは脱離基を示す。]で表されるビフェニル化合物とを、金属触媒の存在下でカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化7】

[式中、ArおよびArは前記と同じ内容を示す。]で表される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法。
【請求項5】
金属触媒がパラジウム触媒、ニッケル触媒または鉄触媒である請求項3または請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
金属触媒がパラジウム触媒である請求項3から請求項5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
一般式(1)
【化8】

[式中、ArおよびArは前記と同じ内容を示す。]で表される1,3,5−トリアジン誘導体を構成成分とすることを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項8】
ArおよびArがフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、1−ナフチル基または4−ビフェニリル基である請求項7に記載の有機電界発光素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−223929(P2007−223929A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45366(P2006−45366)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】