説明

テレコミュニケーションネットワークにおいて電気支払トランザクションを行うシステム、方法および装置

【課題】できるだけ多くのユーザの特定の要請に応えるような電子支払機構を移動ステーションに設ける。
【解決手段】本発明は、テレコミュニケーションネットワークにおける端末装置(100)と他方の取引き当事者(1、2、・・・N)との間の電子支払トランザクションを行うための方法および装置に関する。本発明は、特殊な支払サービスゲートウエイ(10)を使用し、この支払サービスゲートウエイ(10)を通して、テレコミュニケーションネットワークにおける端末装置の支払トランザクションがルーティングされる。この支払サービスゲートウエイにより、支払トランザクションの当事者が異なる支払プロトコル(A、B、・・・、X)をサポートすることができ、エンドツウエンドトランザクションを与えるように必要なプロトコル変換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレコミュニケーションネトワーク、特に、移動通信ネットワークにおける電子支払機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子支払機構は、近い将来において、例えば、種々なサービス、商品または情報のためにテレコミュニケーションネットワークを介して支払の授受を行うのに広く使用されるようになるであろう。トランザクション中において、電子トークンという一般名でよく呼ばれる、貨幣に代わる電子代替物が、当事者間で取り交わされる。電子マネーまたは電子キャッシュと称されることもあるデジタルキャッシュは、主として通常のキャッシュに似ている電子トークンの一つの形である。しかしながら、電子トークンは、銀行またはその他の金融機関からのチェックまたはクレジットを含む支払の他の形の電子等価物としても考えられうるものである。これらの電子等価物は、現金の代わりにクレジットで、または、その他の機構を通して、支払いを行う方を好むような者のために考えられるものである。
【0003】
電子トークンシステムにおいては、トークンは、ユーザのカードまたはコンピュータに記憶されうるものであり、また、遠隔の取引きを行う当事者間で直接的に交換されうるものである。このような交換は、固定ネットワークインフラストラクチャーを必要とせず、一時的なネットワーク接続、例えば、ワイヤレスネットワークを使用する移動ステーションを介して行われうる。また、トランザクションを処理するのにオンライン第3者支払サーバを必要とするようなその他の電子支払機構も提案されている。それらの電子支払機構は、ネットワークインフラストラクチャーに依存しており且つ少なくとも1つの付加的パーティーをオンラインに関わらせる必要があるという点で、電子トークンシステムとは異なるものである。電子支払機構に関する標準は、未だ整っておらず、したがって、市場にはいくつかの競合する方法が出回っている。
【0004】
デジタルキャッシュの如き電子支払機構を使用する最も興味深い方法の一つは、携帯電話の如き移動ステーションに、その種の機能を与えることである。多くの方法が競合しているために、電子支払機構を移動ステーションに含めることは実際には問題がある。移動ステーションにおいて電子支払機構を実施するには、時間を要し、相当の設計および投資コストを要する。その支払機構を変更したり、新しい支払機構を加えたりするのにも、新しい設計および投資が必要とされる。その上、移動ステーションの種々な世代が漸次出現し使用されるようになるであろうし、それらのためには、種々なサービスを与えるための移動ネットワークが必要となるであろう。したがって、できるだけ多くのユーザの特定の要請に応えるような電子支払機構を移動ステーションに設けることが非常に重要となるであろう。一方、もし、汎用性のある新しい電子支払機構が出現するならば、競合の観点からは、できるだけ早くこの種の機構を移動ステーションに使用するのが非常に有用であろう。したがって、移動システムにおいて電子支払サービスを実施するに際しては、種々な問題および相反する要請がある。
【0005】
同様の問題が、他のテレコミュニケーションネットワークの端末装置にもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述したような問題点を解消しまたは少なくとも軽減するように、テレコミュニケーションシステム、特に、移動システムにおいて電子支払サービスを実施することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のこのような目的およびその他の目的並びに効果は、テレコミュニケーションシステムにおける端末装置と他方の取引き当事者との間でデータネットワークを介して電子トランザクションを行うための本発明のシステムによって達成される。このシステムは、端末装置での支払トランザクションのための第1の電子支払プロトコルをサポートする第1の支払プロトコルインターフェイスおよびデータネットワークに接続され、他の取引き当事者との支払トランザクションのための前記第1の電子支払プロトコルと同じまたはそれとは異なる電子支払プロトコルをサポートする少なくとも1つの他の支払プロトコルインターフェイスを含む支払サービスゲートウエイを備えていることを特徴とし、前記支払サービスゲートウエイは、前記第1の支払プロトコルインターフェイスと前記少なくとも1つの他の支払プロトコルインターフェイスとの間の支払トランザクションのプロトコル適合を行うように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明は、また、データネットワークを介して移動システムにおける移動ステーションと他方の取引き当事者との間の電子トランザクションを行うための方法にも関する。この方法は、支払サービスゲートウエイを通して支払トランザクションをルーティングし、前記他方の当事者の電子支払プロトコルとは関係なしに、端末装置とゲートウエイとの間のすべての支払トランザクションにおいて同じ一般電子支払プロトコルを使用し、前記ゲートウエイと前記他方の当事者との間の各支払トランザクションにおいて前記他方の当事者の電子支払プロトコルを使用することを特徴とする。
【0009】
本発明の好ましい実施例によれば、実際的に事実上存在する標準であるとしても、どの電子支払サービス標準とも関連して移動ステーションの如きテレコミュニケーションシステムの端末装置を使用できるようにするために、1つの共通な支払機構がすべての端末装置に使用され、どの特定の支払機構にも関連したすべてのコンピュータプログラムおよび機構は、端末装置自身でそれらを実施する代わりに、ネットワークの側のサービスユニットに含まれる。そのサービスユニットは、ここでは、サービスゲートウエイと称される。端末装置は、サービスゲートウエイに向かう一般支払インターフェイスを備え、この一般支払インターフェイスは、他方の当事者によってサポートされる電子支払方法を使用することによって、他方の取引き当事者に向かう移動ステーションに代わって動作する。換言するならば、他方の取引き当事者の観点からは、端末装置に代わって動作するサービスゲートウエイは、特定の支払機構を使用するどの顧客に対しても同様である。サービスゲートウエイは、端末装置に対して利用しうるいくつかの支払機構(他方の当事者に向かう)をサポートする。それから、サービスゲートウエイは、端末装置の一般支払インターフェイスと各場合に使用される支払機構との間に必要とされることのある変換を行う。
【0010】
本発明により、端末装置に必要とされるのは、1つの共通の支払機構のみであり、これは、新しい支払機構が市場に出現したときでも、変更する必要はなく、少なくとも、大きく変更する必要はない。移動ステーションの如きテレコミュニケーションシステムへ新しい支払機構を加える場合には、サービスゲートウエイのみの変更ですむ。したがって、新しい支払機構は、テレコミュニケーションシステムに一旦加えられると、すべての世代の端末装置に対して即座に使用しうるものである。さらに、本発明によれば、ほとんどすべてのユーザの種々な要請に応えることが可能である。何故ならば、サービスゲートウエイによってサポートされる電子支払機構のすべてがユーザに利用しうるものであるからである。
【0011】
本発明は、また、テレコミュニケーションシステムにおける端末装置と他方の取引き当事者との間の電子トランザクションを行うためのシステムにも関するものである。このシステムは、前記他方の当事者との支払トランザクションのための第1の支払プロトコルをサポートする第1の支払プロトコルインターフェイスおよびデータネットワークに接続され端末装置での支払トランザクションのため前記第1の支払プロトコルインターフェイスと同じまたはそれとは異なる電子支払プロトコルをサポートする少なくとも1つの他の支払プロトコルインターフェイスを含む支払サービスゲートウエイを備えることを特徴とし、また、前記支払サービスゲートウエイは、前記第1の支払プロトコルインターフェイスと前記少なくとも1つの他の支払プロトコルインターフェイスとの間の支払トランザクションのプロトコル適合を行うように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明は、さらに、テレコミュニケーションシステムにおける端末装置と他方の取引き当事者との間の電子トランザクションを行うための方法に関するものである。この方法は、支払サービスゲートウエイを通して支払トランザクションをルーティングし、端末装置の電子支払プロトコルとは関係なしに、他方の当事者とゲートウエイとの間でのすべての支払トランザクションにおいて同じ一般電子支払プロトコルを使用し、前記ゲートウエイと前記端末装置との間の各支払トランザクションにおいて端末装置の電子支払プロトコルを使用することを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の実施例によるサービスゲートウエイは、1つの共通の電子支払機構を有するサービスゲートウエイに適合される異なる支払機構を端末装置に設ける。この実施例によれば、種々な支払サービスをサポートする端末装置、例えば、種々な世代の端末装置が同じネットワークまたは異なるネットワークにて1つの共通な支払機構を使用することができるようになる。共通の支払機構または端末装置によってサポートされる支払機構を変更しても、本発明によればサービスゲートウエイのみを変更するだけでよく、他の支払機構または端末装置に影響は及ばない。
【0014】
本発明は、本請求の範囲の請求項10、11および12に記載の装置にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施例について、本発明を説明する。
前述したように、本発明の好ましい実施例の基本原理は、テレコミュニケーションシステムの端末装置に1つの汎用支払機構を設けることであり、且つサービスユニット、すなわち、ネットワークインフラストラクチャーに配置されそれを通してトランザクションが送られるサービスゲートウエイに、特定の支払機構に関連したすべてのコンピュータプログラムおよび機構を含ませることである。このサービスゲートウエイは、他方の当事者によってサポートされる電子支払方法を使用することによって他方の取引き当事者に向かう端末装置の代わりに動作する。
【0016】
このような支払システムを第1図に例示している。本発明によるサービスゲートウエイ10は、電子マネーゲートウエイとも称され、テレコミュニケーションネットワーク1の端末装置100に、ある電子支払プロトコル、すなわち、デジタルマネープロトコルAを使用する1つの汎用支払機構を設けている。一方、サービスゲートウエイ10は、テレコミュニケーションまたはデータネットワーク2および3を介して、デジタルマネーサービス1、2、・・・、Nでのトランザクションを1つまたはいくつかの他のデジタルマネープロトコルB、C、・・・・・・、Xで行うことができる。これらトランザクションにおいて、サービスゲートウエイ10は、他方の当事者によって使用されるプロトコルB、C、・・・・・・、またはXと一般プロトコルAとの間の必要な適合を行う。ここで注意すべきことは、他方の当事者によって使用されるプロトコルは、端末装置100のプロトコル、すなわち、プロトコルAと同じである。このような場合でも、本発明は、必要ならば、サービスゲートウエイ10がそのトランザクションを行うときに、端末装置100を使用する顧客の匿名性を維持できるという効果を与えるものである。
【0017】
本発明の第2の実施例の基本原理を、第2図に例示している。この第2図において、本発明によるサービスゲートウエイ10は、デジタルマネープロトコルAをサポートするデジタルマネーサービス1へのアクセスについてことなるデジタルマネーサービス1をそれぞれサポートするテレコミュニケーションネットワーク2および3の端末装置1、2、3、・・・・、Nを設ける。本発明のこの第2の実施例は、テレコミュニケーションネットワークに配置され古い支払機構をサポートする種々な世代の端末装置を最終的な標準であるデジタルマネープロトコルAに適合させなければならないような時に、効果的である。
本発明のさらに別の実施例は、第1図および第2図の実施例の組み合わせたようなものである。このような第3の実施例では、本発明によるサービスゲートウエイ10は、種々なデジタルマネープロトコルB、C、D、・・・・、X(第1図におけるように)をそれぞれサポートするいくつかのデジタルマネーサービス1、2、・・・・、Nへのアクセスについて、種々なデジタルマネープロトコルB、C、D、・・・X(第2図に示すような)をそれぞれサポートするいくつかの端末装置1、2、3、・・・、Nを設ける。本発明によるサービスゲートウエイ10は、各トランザクションにおいて、端末装置に対して且つデジタルマネーサービスに対して独立して、適当なプロトコルを選択し、選択されたプロトコルの間の必要なプロトコル適合を行う。
【0018】
本発明による支払サービスシステムは、また、これら2つの実施例の組み合わせたようなものもありうる。
【0019】
本発明によるサービスゲートウエイ10は、種々な形で実施できる。サービスゲートウエイ10の基本的な実施例を、第3図に例示している。ゲートウエイ10は、デジタルマネープロトコルAによる支払サービスを顧客端末装置100に与えるサーバ150を備える。ゲートウエイサーバと称されるサーバ150は、端末装置100の加入者のためにプロトコルAによる電子マネーを記憶するデータベースDB1に接続される。ゲートウエイ10は、また、デジタルマネープロトコルBを使用することによってデジタルマネーサービス200に向かうクライアントとして端末装置100の代わりに動作するゲートウエイクライアント151を備える。このゲートウエイクライアント151は、プロトコルBによるデジタルマネーを記憶するデータベースDB2に接続されている。ゲートウエイサーバ150およびゲートウエイクライアント151は、プロトコルAおよびBの間の必要な変換を行う。これは、変換ブロック152で例示されている。データベースDB1におけるプロトコルAによるデジタルマネーは、端末装置100のユーザに属するのが好ましいが、データベースDB2におけるプロトコルBによるデジタルマネーは、サービスゲートウエイ10のオーナーに属し得る。こうすることにより、トランザクションにおいて実際に支払をする者のアイデンティティを隠すことができる。
【0020】
あるトランザクションについて一例を説明する。デジタルマネーサービスのサーバ200が、そのサービスのために支払をしたいときには、プロトコルBによりそのクライアントへ支払リクエストを送信する。ゲートウエイクライアント151は、プロトコルBによりその支払リクエストを受信する。この支払リクエストは、変換152を受けて、ゲートウエイサーバ150へ送られ、このゲートウエイサーバ150は、それを、支払プロトコルAにより端末装置100へ送信する。端末装置100は、デジタルマネープロトコルAでゲートウエイサーバ150へ電子支払をなす。この支払は、変換152を受けて、ゲートウエイクライアントは、支払プロトコルBによりデジタルマネーサービスのサーバ200への支払をなす。
【0021】
本発明によるサービスゲートウエイ10は、また、デジタルマネーサービスのサーバ200がプロトコルBによる支払リクエストを送信するときには、ゲートウエイクライアント151が直ぐに支払プロトコルBによりデジタルマネーサービスのサーバ200に対する支払を行ない、その後でのみ顧客に請求するように動作しうる。
【0022】
サービスゲートウエイ10と端末装置100との間では、例えば、次のようなことが行われうる。
−デジタルマネー標準、すなわち、例えば、電子トークンによる請求
−移動ステーションへ加えられるべき請求額(例えば、GSMのCDR請求ファイル)
−基本請求月額
−電話のパルスカウンタ
−プリペードまたはクレジットマネー
【0023】
サービスゲートウエイ10とデジタルマネーサービス200との間に使用される請求は、前述したようなものであるか、または、次のようなものでありうる。
−その他のデジタルマネー標準
−他の形の通貨(例えば、マルクの代わりのドル)
【0024】
サービスゲートウエイは、また、それ自身のデータベースDB1およびDB2なしでも実施されうる。第4図は、外部デジタルマネー記憶装置AおよびBを使用するサービスゲートウエイ10を例示している。このゲートウエイ10は、第3図に示したものと他の点は類似している。
【0025】
前述した点は、本発明の一般的原理についてである。本発明の主たる適用分野は、移動通信システムであり、以下に、それに関して、本発明をより詳細に説明する。
【0026】
第6図は、本発明の原理により、すべての移動ステーションMSに、1つの一般支払プロトコルインターフェイス20を与えるサービスゲートウエイ20の概略機能ブロック図である。このインターフェイス20に使用されるデジタル支払プロトコルは、一般的に使用される支払プロトコルまたは機構であってよく、また、この目的のために特に設計されたものでもよい。本発明の好ましい実施例では、移動ステーションMSとサービスゲートウエイ10との間のインターネット接続があるので、移動ステーションの支払インターフェイスは、ワールドワイドウエブ(WWW)ページまたは任意の標準デジタル支払プロトコルである。第6図のサービスゲートウエイ10は、さらに、特定の標準による支払プロトコルインターフェイス21を備える。これらのインターフェイスにより、サービスユニット10は、ショップの如き他方の当事者とのトランザクションを処理する。第6図の実施例は、支払プロトコル#1、#2および#3をサポートする3つの支払プロトコルインターフェイスを示している。これらのプロトコルは、一般標準による任意の支払プロトコルでありうる。一般支払プロトコルインターフェイス20と各特定の支払プロトコルインターフェイス21との間には、各送信方向における一般支払プロトコルと特定の支払プロトコルとの間の必要なプロトコル変換および適合を行うプロトコル変換ユニット22がある。これらインターフェイス20および21、およびプロトコル変換ユニット22は、コントロールユニット23によって集中的に制御される。コントロールユニット23は、また、支払サービスデータベース11からのデータの読出しおよび支払サービスデータベース11へのデータの書込みをも制御する。支払サービスデータベース11は、加入者に使用しうるクレジットの額および加入者に使用でき電子財布と称される特定ファイルに置かれたデジタルキャッシュについてのデータ等のごとき支払サービスに関するすべての加入者特定データを記憶する。しかしながら、ここで注意すべきことは、第4図の実施例で例示したように、データベース11は必ずしも必要とされないということである。電子財布は、例えば、移動ステーションまたはその他の場所に置かれてもよい。
【0027】
第5図に示す本発明の実施例では、公衆陸上移動ネットワーク(PLMN)と本発明によるサービスユニット10とが一緒に接続されており、且つローカルエリアネットワークLAN1を介して公衆データネットワーク12に接続されている。このLAN1は、例えば、PLMNの移動サービス交換センターを相互接続するPLMNオペレータのローカルエリアネットワークでありうる。このようにして、1つのサービスゲートウエイは、ローカルエリアネットワークを通してすべての移動サービス交換センターにサービスすることができる。
【0028】
移動ステーションMSとサービスゲートウエイ10との間のトランザクションに関する通信は、PLMNを通して確立されるデータ接続を介して行われる。このようなデータ接続は、交換データ接続またはパケット交換接続の如き仮想データ接続等でありうる。もし、PLMNが短縮メッセージサービスを提供する場合には、一般支払インターフェイスは、移動ステーションMSが、ローカルエリアネットワークLAN1に接続される支払短縮メッセージサービスセンターと短縮メッセージサービスにより通信するようにして、実現されうる。別の仕方としては、ローカルエリアネットワークLN1を介して接続される代わりに、サービスゲートウエイ10は、第5図において点線13で例示するように、PLMNに直接に接続される。例えば、前述したような短縮メッセージサービスが使用されるときには、接続13は、例えば、短縮メッセージセンターとPLMNとの間の通常の接続と同様にして実現されうる。どの場合においても、サービスゲートウエイ10は、ある公衆データネットワークと直接に、または、ローカルエリアネットワークを介して、または、その他の送信機構を通して接続するデータ接続を有する。
【0029】
ここで強調しておきたいことは、電子支払プロトコルは、エンドツウエンドユーザアプリケーションプロトコル、すなわち、送信コントロールプロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)の如き下方レベル通信プロトコルのユーザデータフィールドにて伝送されるユーザデータであるということである。したがって、これは、支払プロトコルには、または、通信プロトコルが種々な通信ネットワークに使用される本発明には、または、通信プロトコルの間の適合の必要のある場合には、適切なものではない。
【0030】
前述したことから明らかなように、移動ステーションMSとサービスゲートウエイ10との間の接続は、移動システムにしたがっていくつかの仕方で行われうる。したがって、本発明は、特定の移動システムに制限されるものでなく、また、トランザクションを行うための移動ステーションMSとサービスゲートウエイ10との間の接続を実施する特定の仕方に制限されるものではない。本発明を適用しうるPLMNの一例としては、「the GSM recommendations 」および「The GSM System for Mobile Communications by M.Mouly and M.B.Pautet,Palaiseau,France,ISBN:2-9507190-0-7」に詳述されているパンヨーロッパデジタル移動システムGSMがある。移動ステーションMSに接続されたデータ端末装置DTE(例えば、PC)と一般データネットワークとの間に確立されるデータ接続については、本出願人による前述の国際特許出願PCT/FI94/00413に例示されている。この例では、データネットワークへの接続を行う特殊アクセスコンピュータが、移動サービス交換センターと関連して使用されている。データネットワークへの接続は、全データセッション中維持されるが、移動ステーションとアクセスコンピュータとの間の接続は、実際のデータ送信の間にのみ確立され、これにより、無線リソースおよび接続コストが節約される。ローカルエリアネットワークLAN1を通して移動ステーションMSとサービスゲートウエイ10との間で本発明による支払機構に使用されるべき接続は、例えば、このような既知の仕方で、好ましくは、インターネット接続として実現されうる。本発明によるサービスゲートウエイ10は、このようなアクセスコンピュータに接続することもできる。ローカルエリアネットワークを通して接続されるサービスゲートウエイ10の効果は、オペレータの移動サービス交換センターのすべてに共通にサービスできるということである。
【0031】
次に、本発明による支払サービスを移動システムに適合させることについて、トランザクションの一例に関して説明する。第5図を参照するに、それぞれデジタル支払プロトコル#1、#2および#3を使用する3つのショップ14、15および16が、第2のローカルエリアネットワークLAN2を介して一般データネットワーク12に接続されているとする。さらに、移動ステーションMSを使用するユーザがショップ15からサービスを購入し、それらサービスのための支払いを移動ステーションMSを介して行うために本発明によるデジタル支払サービスを使用するとする。得られたサービスのための支払は、デジタルキャッシュの額Aに相当する。ショップ15、より詳細には、そのショップのコンピュータまたはキャッシュシステムは、ショップ15によって使用される支払プロトコル#2にしたがった仕方で顧客によって与えられるネットワークアドレスからキャッシュ額Aをリクエストする。このネットワークアドレスは、サービスゲートウエイ10のネットワークアドレスであり、したがって、そのリクエストは、ローカルエリアネットワークLAN2、公衆データネットワーク12およびローカルエリアネットワークLAN1を通して、サービスゲートウエイ10へルーティングされる。サービスゲートウエイ10は、支払プロトコル#2をサポートする支払プロトコルインターフェイス21でそのリクエストを受け取る。コントロールユニット23は、ユーザの電子財布が額Aを支払うのに十分な額のデジタルキャッシュを含んでいるかをデータベース11でチェックする。もし、含んでいない場合には、コントロールユニット23は、このことを、支払プロトコルインターフェイス21に指示する。次いで、支払プロトコルインターフェイス21は、支払プロトコル#2によるメッセージを使用することにより、その情報をショップ15へ送る。もし、データベース11がその支払いを行うに十分な額のデジタルキャッシュを含む場合には、コントロールユニットは、このことを、インターフェイスユニット21へ指示し、その後、インターフェイス21は、プロトコル変換22を介して一般支払プロトコルインターフェイス20へ支払リクエストを送信する。次いで、支払プロトコルインターフェイス20は、一般デジタル支払プロトコルにしたがった仕方で移動ステーションへ支払リクエストを送信する。移動ステーションMSは、その支払リクエストを受け取り、例えば、移動ステーションまたはデータ端末装置のディスプレイにてそれをユーザに提示する。もし、ユーザが、例えば、移動ステーションまたはデータ端末装置のキーボードからコマンド入力することによりその支払を受け入れる場合には、移動ステーションMSは、PLMNを通してサービスゲートウエイ10へ承認メッセージを送信する。一般支払プロトコルインターフェイス20は、その承認メッセージを受け取り、プロトコル変換22をかおしてそれを支払プロトコルインターフェイス21へ送る。支払プロトコルインターフェイス21は、その承認をコントロールユニット21へ指示し、コントロールユニット21は、データベース11に置かれたユーザの電子財布から支払プロトコルインターフェイス21へと必要とされた額Aに相当するデジタルキャッシュを転送する。さらに、支払プロトコルインターフェイス21は、支払プロトコル#2にしたがった仕方でショップ15へそのデジタルマネーを送信する。デジタルマネーは、支払プロトコル#1および#2とで異なる形でありうるので、第3図および第4図に例示されるように、2つのデータベースが必要とされる。
【0032】
ユーザの財政リソースは、ユーザがそのトランザクションを受け入れた後にのみ、チェックされうる。
【0033】
他の支払プロトコル#1および#3が使用されているときには、オペレーションは、一般支払プロトコルインターフェイスについては支払プロトコル#2の使用中と同じである。一方、コントロールユニット23のオペレーションおよびデータベース11のデータは異なる。例えば、もし、支払プロトコル#1がユーザのクレジットに基づくものである場合には、コントロールユニット23は、ユーザが支払をなすに十分なクレジット額が残されているかを、データベース11にでチェックし、それが支払を受け入れるときには、その支払われた合計額だけクレジット額を増大させる。
【0034】
サービスゲートウエイ10は、ユーザによって使われた電子マネーを自動的に請求するように構成されうる。これは、種々な方法で実現できる。使われたマネーは、移動加入者の電話請求書に含まれてもよいし、または、別に後で請求されてもよいし、または、プリペードされていてもよいし、または、その他の支払方法が使用されてもよい。
【0035】
本発明によるサービスゲートウエイおよびそのオペレーションについて可能な1つの実施の仕方についてのみ説明してきたのであるが、このような実施例に基づけば当業者には、種々な変形実施例が明らかであろう。
【0036】
添付図面およびそれに関連した説明は、本発明を例示するだけのものであり、本発明の細部については、本請求の範囲の記載の範囲内において変更しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の好ましい実施例による支払システムの例示
【図2】本発明の好ましい実施例による支払システムの例示
【図3】本発明による2つのサービスゲートウエイの機能ブッロック図
【図4】本発明による2つのサービスゲートウエイの機能ブッロック図
【図5】本発明によるサービスゲートウエイおよびこれと一体とされたデータネットワークおよび移動ネットワークを例示する図
【図6】本発明による別のサービスゲートウエイの一般的機能ブロック図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレコミュニケーションシステムにおける端末装置と他方の取引き当事者との間の電子支払トランザクションを行うためのシステムであって、
支払サービスゲートウエイ(10)を備え、該支払サービスゲートウエイは、
前記端末装置との支払トランザクションのため第1の電子支払プロトコルをサポートする第1の支払プロトコルインターフェイスと、
データネットワークに接続され且つ前記他方の取引き当事者との支払トランザクションのため前記第1の電子支払プロトコルインターフェイスとは異なる電子支払プロトコルをサポートする少なくとも1つの他の支払プロトコルインターフェイスとを備えており、
前記支払サービスゲートウエイは、前記第1の支払プロトコルインターフェイスと前記少なくとも1つの他の支払プロトコルインターフェイスとの間の支払トランザクションのプロトコル適合を行うように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記支払サービスゲートウエイは、移動ネットワークオペレータのローカルエリアネットワークの如きデータネットワークを介して移動ネットワークに接続される請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記支払サービスゲートウエイは、移動ネットワークに接続されている請求項1記載のシステム。
【請求項4】
テレコミュニケーションシステムにおける端末装置と他方の取引き当事者との間のデータネットワークを介しての電子支払トランザクションを行うための方法において、
支払サービスゲートウエイを通して前記支払トランザクションをルーティングし、
前記他方の当事者の電子支払プロトコルとは関係なしに、前記端末装置よ前記ゲートウエイとの間のすべての支払トランザクションにおいて同じ一般電子支払プロトコルを使用し、
前記ゲートウエイと前記他方の当事者との間の各支払トランザクションにおいて前記他方の当事者の電子支払プロトコルを使用し、
前記一般支払プロトコルと各他方の当事者の支払プロトコルとの間のプロトコル変換を前記支払サービスゲートウエイにおいて行う、
方法。
【請求項5】
前記テレコミュニケーションネットワークは、デジタル移動ネットワークであり、前記支払サービスゲートウエイと前記端末装置との間の通信は、移動ネットワークを介して直接的に、または、移動ネットワークおよび支払サービスゲートウエイと移動ネットワークとの間に配置されたデータネットワークを介して行われる請求項4記載の方法。
【請求項6】
テレコミュニケーションシステムにおける端末装置と他方の取引き当事者との間の電子支払を行うためのシステムであって、
支払サービスゲートウエイを備え、該支払サービスゲートウエイは、
前記他方の当事者との支払トランザクションのため第1の電子支払プロトコルをサポートする第1の支払プロトコルインターフェイスと、
データネットワークに接続され且つ前記端末装置との支払トランザクションのため前記第1の支払プロトコルインターフェイスとは異なる電子支払プロトコルをサポートする少なくとも1つの他の支払プロトコルインターフェイスとを備えており、
前記支払サービスゲートウエイは、前記第1の支払プロトコルインターフェイスと前記少なくとも1つの他のプロトコルインターフェイスとの間の支払トランザクションのプロトコル適合を行うように構成されている、
システム。
【請求項7】
テレコミュニケーションシステムにおける端末装置と他方の取引き当事者との間の電子支払トランザクションを行うための方法であって、
支払サービスゲートウエイを介して前記支払トランザクションをルーティングし、
前記端末装置の電子支払プロトコルとは関係なしに、前記他方の当事者と前記ゲートウエイとの間のすべての支払トランザクションにおいて同じ一般電子支払プロトコルを使用し、
前記ゲートウエイと前記端末装置との間の支払トランザクションにおいて前記端末装置の電子支払プロトコルを使用し、
前記一般支払プロトコルと各端末装置の支払プロトコルとの間の前記支払サービスゲートウエイにおけるプロトコル変換を行う
方法。
【請求項8】
テレコミュニケーションネットワークにおける端末装置と他方の取引き当事者との間のトランザクションを行うための装置において、該装置は、
前記端末装置と該装置との間のすべての支払トランザクションにおいて第1の一般電子支払プロトコルを使用することによって前記端末装置と該装置との間のトランザクションを行うための手段であって、前記第1の一般電子支払プロトコルは、すべての端末装置に共通であり、前記他方の当事者によってサポートされる第2の電子支払プロトコルとは別であるような手段と、
前記他方の当事者によってサポートされる前記第2の電子支払プロトコルを使用することによって前記他方の当事者と該装置との間の支払トランザクションを行う手段と、
前記第1の電子支払プロトコルと前記第2の電子支払プロトコルとの間のプロトコル変換を行う手段と、
を備える装置。
【請求項9】
テレコミュニケーションネットワークにおける端末装置と他方の取引き当事者との間の電子支払トランザクションを行うための装置において、該装置は、
前記端末装置によってサポートされる第2の電子支払プロトコルとは別の第1の一般電子支払プロトコルを各トランザクションにおいて使用することにより前記他方の当事者と該装置との間の支払トランザクションを行う手段と、
前記端末装置によってサポートされる前記第2の電子支払プロトコルを使用することによって前記端末装置と該装置との間の支払トランザクションを行う手段と、
前記第1の一般電子支払プロトコルと前記第2の電子支払プロトコルとの間のプロトコル変換を行う手段と、
を備える装置。
【請求項10】
テレコミュニケーションネットワークにおける端末装置と他方の取引き当事者との間の電子支払トランザクションを行うための装置において、該装置(10)は、
各端末装置によってサポートされる電子支払プロトコルを使用することによって端末装置と該装置との間の支払トランザクションを行う手段と、
前記他方の当事者の電子支払プロトコルを使用することにより該他方の当事者と該装置との間の支払トランザクションを行う手段と、
各端末装置によってサポートされる電子支払プロトコルと各他方の当事者によって支援される電子支払プロトコルとの間のプロトコル変換を行う手段と、
を備える装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−200343(P2007−200343A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65041(P2007−65041)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【分割の表示】特願平9−517891の分割
【原出願日】平成8年11月5日(1996.11.5)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】