説明

テレビジョン受像機

【課題】テレビジョン受像機において,ディスクドライブが修理等のために取り外されている場合でも,ユーザによるテレビジョン放送コンテンツの視聴に支障が生じないこと。
【解決手段】MPU81が,取り外し可能なブルーレイディスクドライブ7の装着有無を検知し,ブルーレイディスクドライブ7が装着されている場合に,それ正常であることの確認処理を実行した上でテレビジョン放送コンテンツの出力処理を可能にし,ブルーレイディスクドライブ7が装着されていない場合に,それが正常であることの確認処理をスキップし,ブルーレイディスクドライブ7への給電を停止して,テレビジョン放送コンテンツの出力処理を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ディスクドライブユニットを備えたテレビジョン受像機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今,液晶テレビジョン受像機に代表される薄型のテレビジョン受像機は,薄型化が益々進み,厚みが数十mm程度のものが一般的となり,厚みが10mm未満の製品も提供されつつある。
また,昨今のテレビジョン受像機は,光ディスクドライブやハードディスクドライブなどのディスクドライブが設けられ,光ディスクやハードディスク等の記録メディアに放送番組等のコンテンツを録画する録画機能及び録画データに基づく再生機能を備えるものがある。これにより,録画・再生機能を有するAV(Audio Visual)システム全体の省スペース化が実現される。なお,光ディスクドライブには,ブルーレイディスクドライブやDVD(Digital Versatile Disc)のドライブ等がある。
【0003】
また,昨今のテレビジョン受像機は,デジタルチューナ,HDMI(High Definition Multimedia Interface)などの通信機器,液晶パネルを照明するバックライト及びその発光輝度を調節するインバータ回路,サラウンド処理やイコライズ処理などを行う音響処理回路,ディスクドライブなど,多様な機能に対応した多数の部品や電子回路を備えている。そのため,昨今のテレビジョン受像機は,商用電源に接続されたときや,電源ON操作がなされたときなどに,複数の部品や電子基板それぞれが正常であることの確認処理(以下,正常確認処理と称する)を実行した上で,テレビジョン放送コンテンツの出力処理が可能な状態へ移行するものが多い。そして,テレビジョン受像機は,前記正常確認処理の結果,正常であることが確認できなかった部品等が存在する場合に,その内容を表すエラー通知を行う機能を備え,さらに,安全上の理由から通電停止の状態へ自動的に移行する機能を備える場合もある。なお,前記正常確認処理の対象には,当然ながらディスクドライブも含まれる。また,テレビジョン放送コンテンツの出力とは,テレビジョン放送コンテンツの映像表示及び音響出力のことである。
また,特許文献1には,多機能を有する画像形成装置において,一部のジョブの実行中に,並列接続された複数の電源供給手段のうちの一部に故障が発生した場合に,ジョブを実行していない機器への電力供給の遮断等により,ジョブを実行中の機器への電力供給をそのジョブの終了まで維持させることについて示されている。
また,特許文献2には,他の装置が着脱される電源装置において,前記他の装置が正常でない場合に,前記他の装置への電源供給を断続的に行うことにより,無駄な消費電力の低減と,電源供給端子の短絡等に起因する故障の防止とを実現することについて示されている。
【特許文献1】特開2007−036810号公報
【特許文献2】特開平2−148206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,テレビジョン受像機に設けられるディスクドライブ,特に,ブルーレイディスクドライブは,その寿命が他の構成要素の寿命よりも短いことが多い。
例えば,液晶テレビジョン受像機において,最も寿命の短い構成要素である蛍光管は,一般的な寿命が約60000時間である。また,光ディスクドライブに採用される赤色レーザダイオードの一般的な寿命は10000時間以上である。
一方,ブルーレイディスクドライブのピックアップ部には,青色レーザダイオードが採用されるが,青色レーザダイオードの一般的な寿命は1000時間から2000時間程度と短い。
また,画面サイズの大きなテレビジョン受像機を,ディスクドライブの修理や交換のためにメンテナンス工場等へ移送することは,多大な手間と費用を要するため現実的でない。そのため,ブルーレイディスクドライブなどのディスクドライブがテレビジョン受像機に設けられた場合,テレビジョン受像機の使用を継続しつつ,ディスクドライブを取り外してその修理や交換を行えることが望ましい。
【0005】
しかしながら,従来のテレビジョン受像機は,商用電源に接続されたときなどに,複数の部品や電子基板それぞれについて前記正常確認処理を実行した上で,テレビジョン放送コンテンツの出力処理が可能な状態へ移行する。そのため,従来のテレビジョン受像機は,ディスクドライブが取り外されている場合でも,ディスクドライブに対する前記正常確認処理を実行した上で,テレビジョン放送コンテンツの出力処理が可能な状態へ移行することになる。その結果,従来のテレビジョン受像機は,ディスクドライブが取り外されたいる場合に,以下のような問題点があった。
即ち,テレビジョン放送コンテンツの視聴が可能となるまでに,前記正常確認処理におけるディスクドライブからの応答待ちのタイムアウト時間などの無駄な遅延時間が発生するという問題点があった。
また,場合によっては,ディスクドライブが取り付けられてその正常状態が確認されるまで,当該テレビジョン受像機において,ユーザがテレビジョン放送コンテンツを視聴できないという問題点も生じ得た。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,ディスクドライブが修理等のために取り外されている場合でも,ユーザによるテレビジョン放送コンテンツの視聴に支障が生じないテレビジョン受像機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係るテレビジョン受像機は,次の(1)〜(4)に示される各構成要素を備えている。
(1)ディスクドライブ。
(2)前記ディスクドライブの装着有無を検知する装着有無検知手段。
(3)前記装着有無検知手段により前記ディスクドライブが装着されていることが検知されている場合に,前記ディスクドライブが正常であることの確認処理を実行した上でテレビジョン放送コンテンツの出力処理を可能にする第1の制御手段。
(4)前記装着有無検知手段により前記ディスクドライブが装着されていないことが検知されている場合に,前記ディスクドライブが正常であることの確認処理をスキップしてテレビジョン放送コンテンツの出力処理を可能にする第2の制御手段。
なお,前記ディスクドライブの典型例は,ブルーレイディスクドライブである。
【0007】
本発明に係るテレビジョン受像機は,装着されている前記ディスクドライブが正常であることの確認処理を実行した上でテレビジョン放送コンテンツの出力処理を可能にする。そのため,前記ディスクドライブが正常でない場合に,適切な処理,例えば,エラー通知処理や,通電によって安全上の問題が発生する恐れがある機器への通電を停止する処理などを実行することができる。
さらに,本発明に係るテレビジョン受像機は,前記ディスクドライブが装着されていない場合には,前記ディスクドライブが正常であることの確認処理をスキップしてテレビジョン放送コンテンツの出力処理を可能にする。そのため,前記ディスクドライブが修理等のために取り外されている場合でも,ユーザによるテレビジョン放送コンテンツの視聴における支障,例えば,無駄な待ち時間の発生や,テレビジョン放送コンテンツを視聴できなくなるなどの支障が生じない。
【0008】
また,本発明に係るテレビジョン受像機が,さらに次の(5)に示される構成要素を備えればなお好適である。
(5)前記装着有無検知手段により前記ディスクドライブが装着されていないことが検知されている場合に,テレビジョン放送コンテンツの出力処理を行う機器への電力出力とは独立して,前記ディスクドライブに対する給電ラインへの電力出力を停止する電力出力停止手段。
これにより,前記ディスクドライブに対する給電ラインの短絡などに起因するトラブルの発生を回避でき,装置の安全性が高まる。
また,本発明に係るテレビジョン受像機が,さらに次の(6)に示される構成要素を備えればなお好適である。
(6)前記装着有無検知手段により前記ディスクドライブが装着されていないことが検知された場合と前記ディスクドライブが正常であることの確認処理により正常であることが確認できなかった場合とで,それぞれ異なる内容のエラー通知を行うエラー通知手段。
これにより,ユーザは,当該テレビジョン受像機において前記ディスクドライブに関する処理を実行できない理由を的確に把握でき,利便性が高まる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るテレビジョン受像機によれば,装着されているディスクドライブが正常でない場合に適切な処理を行えるとともに,ディスクドライブが修理等のために取り外されている場合でも,ユーザによるテレビジョン放送コンテンツの視聴に支障が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機Xの主要部の構成を表すブロック図,図2はテレビジョン受像機Xにおける起動処理の手順を表すフローチャートである。
【0011】
まず,図1に示されるブロック図を参照しつつ,本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機Xの主要部の構成について説明する。
テレビジョン受像機Xは,液晶パネル4を備えた薄型の液晶テレビジョン受像機である。
図1に示されるように,テレビジョン受像機Xは,チューナ1,映像処理回路2,液晶駆動回路3,液晶パネル4,調光回路5,バックライト6,ブルーレイディスクドライブ7,メイン制御回路8,ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9及び主電源回路10等を備えている。
前記バックライト6は,映像を表示する前記液晶パネル4の背面側に配置され,複数のLED又は複数の蛍光管などを光源として前記液晶パネル4を照明する照明手段である。
【0012】
前記チューナ1は,テレビジョン放送信号から指定されたチャンネルのテレビジョン放送コンテンツの映像信号及び音響信号を抽出する電子部品である。以下,テレビジョン放送コンテンツのことを,放送コンテンツと称する。
また,前記映像処理回路2は,前記チューナ1又は前記ブルーレイディスクドライブ7から出力される映像信号に基づいて,動画における1コマの画像を構成する各画素の3原色(R,G,B)それぞれの映像輝度(画素階調)を表すフレーム信号を順次生成し,そのフレーム信号を前記液晶駆動回路3に伝送する回路である。
【0013】
前記液晶駆動回路3は,前記映像処理回路2から所定周期で順次伝送されてくる前記フレーム信号に基づいて,そのフレーム信号に対応する1フレーム分の映像(1コマの画像)を前記液晶パネル4に順次表示させる回路である。
より具体的には,前記液晶駆動回路3は,液晶表示パネルに設けられた各画素の液晶素子に対し,R,G,B3原色それぞれの階調レベル(輝度レベルといってもよい)に応じた電圧(階調電圧)の階調信号を供給する。これにより,前記液晶パネル4は,前記放送コンテンツの映像(動画)を表示する。
前記調光回路5は,前記メイン制御回路8からの制御指令に従って,前記バックライト6における各光源に対する供給電力,即ち,前記バックライト6の輝度を,例えばPWM制御によって調節する回路である。
なお,前記調光回路5は,例えばFPGAやASIC等により具現化されている。
前記主電源回路10は,商用電源と接続され,AC/DC変換によって所定の電圧のDC電力を生成し,そのDC電力を他の回路へ供給する回路である。例えば,前記主電源回路10は,前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9に設けられた第1サブ電源回路9a及び第2サブ電源回路9bそれぞれに対して個別にDC電力を供給する。
また,前記主電源回路10は,前記MPU81からの制御指令に従って,テレビジョン放送コンテンツの出力処理を行う機器へのDC電力の出力とは独立して,前記第1サブ電源回路9a及び前記第2サブ電源回路9bそれぞれに対する電力供給を行ったり停止したりする通電切替スイッチ10aを備えている。
ここで,前記第1サブ電源回路9aは,前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9に設けられた回路,例えば,前記MPU81と前記ブルーレイディスクドライブ7との間の通信を中継する回路等に対してDC電力を供給する回路である。
また,前記第2サブ電源回路9bは,給電ライン11cを通じて前記ブルーレイディスクドライブ7に対してDC電力を供給する回路である。このように,前記MPU81,前記主電源回路10における前記通電切替スイッチ10a及び前記第2サブ電源回路9bは,テレビジョン放送コンテンツの出力処理を行う機器への電力出力とは独立して,前記ブルーレイディスクドライブ7に対する前記給電ライン11cへの電力出力を行うか停止するかを切り替える回路を構成している。
【0014】
また,前記ブルーレイディスクドライブ7は,セットされたブルーレイディスクを回転駆動させ,そのブルーレイディスクにアクセスしつつ,再生処理や録画処理を実行する装置である。前記再生処理は,セットされたブルーレイディスクに記録されているコンテンツの録画データに基づいて,コンテンツの映像信号及び音響信号の生成及び出力を行う処理である。また,前記録画処理は,前記チューナ1により選局されているチャンネルの前記放送コンテンツの信号に基づいて,その放送コンテンツの録画データをセットされたブルーレイディスクに記録する処理である。
前記再生処理により得られる映像信号は,前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9を通じて前記映像処理回路2に出力される。また,前記再生処理により得られる映像信号は,前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9及び不図示の音響処理回路を通じて不図示のスピーカへ出力される。
また,前記録画処理に用いられる映像信号は,前記映像処理回路2から前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9を通じて入力される。また,前記録画処理に用いられる音響信号は,不図示の音響処理回路から前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9を通じて入力される。
【0015】
前記ブルーレイディスクドライブ7は,例えばビス等によって当該テレビジョン受像機Xの背面側の筐体等に着脱可能に取り付けられている。これにより,前記テレビジョン受像機Xにおいては,故障等の異常が生じた前記ブルーレイディスクドライブ7のみを取り外して修理又は交換することができる。また,前記ブルーレイディスクドライブ7は,その着脱にドライバ等の工具を必要とするビス等の保持機構により固定されている。そのため,前記ブルーレイディスクドライブ7が,ユーザの不注意によって誤って取り外されてしまう不都合が生じない。
また,前記ブルーレイディスクドライブ7は,コネクタ付きの着脱式接続ケーブル11によって前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9と接続されている。当該テレビジョン受像機Xの筐体に対する前記ブルーレイディスクドライブ7の着脱に伴い,前記ブルーレイディスクドライブ7に対する前記着脱式接続ケーブル11の着脱が行われる。
また,前記着脱式接続ケーブル11は,複数の信号ライン及び給電ラインが結束されたケーブルである。例えば,前記着脱式接続ケーブル11には,装着検知ライン11a,制御ライン11b,給電ライン11c及びAV信号伝送ライン11d等が含まれている。
前記装着検知ライン11aは,前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9により中継されて前記MPU81の信号入力部と接続されたラインである。前記装着検知ライン11aは,前記MPU81側でプルアップされ,前記ブルーレイディスクドライブ7側で接地されている。
そして,前記MPU81は,前記装着検知ライン11aを通じた入力信号の電圧レベルがプルアップされたハイレベルであるかローレベルであるかの判別により,前記ブルーレイディスクドライブ7が装着されていない状態であるか装着されている状態であるかを検知する。
また,前記制御ライン11bは,前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9により中継されて前記MPU81の信号入出力部と接続されたラインである。前記MPU81は,前記制御ライン11bを通じて前記ブルーレイディスクドライブ7に内蔵されているマイクロコンピュータと通信を行うことにより,前記ブルーレイディスクドライブ7からその状態に関する情報を得たり,前記ブルーレイディスクドライブ7に対して動作指令を出力したりする。
また,前記給電ライン11cは,前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9に含まれる前記第2サブ電源回路9bと接続されたラインである。
また,前記AV信号伝送ライン11dは,前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9により中継されて前記映像処理回路2と不図示の前記音響処理回路とのそれぞれに個別に接続された複数のラインである。そして,前記AV信号伝送ライン11dは,前記ブルーレイディスクドライブ7から前記映像処理回路2へ映像信号を伝送し,また,前記ブルーレイディスクドライブ7から不図示の前記音響処理回路へ音響信号を伝送する。
【0016】
また,前記メイン制御回路8は,演算手段であるMPU81及び不揮発性メモリであるEEPROM82等を備え,前記MPU81が不図示のROMに記憶された制御プログラムを実行することにより,当該テレビジョン受像機Xが備える各構成要素の制御処理を実行するものである。
例えば前記MPU81は,不図示のリモート操作器の操作キーを通じた操作入力を検知し,その操作入力の内容に応じた各種の処理を実行する。
より具体的には,前記MPU81は,前記リモート操作器における電源ONの操作入力に応じて後述する起動処理を実行する。
また,前記MPU81は,前記リモート操作器におけるチャンネル指定の操作入力に応じて,指定されたチャンネルの前記放送コンテンツの信号がテレビジョン放送信号から抽出されるよう,前記チューナ1を制御する。或いは,前記MPU81は,前記リモート操作器における音量調節の操作入力に応じて不図示のアンプを制御することにより,出力中の前記放送コンテンツの音響の音量を調節する。
また,前記MPU81は,前記リモート操作器における再生キーの操作入力や録画キーの操作入力に応じて,ブルーレイディスクに記録された録画コンテンツの再生処理や,選局されている前記放送コンテンツのブルーレイディスクへの録画処理を,前記ブルーレイディスクドライブ7に実行させる。
また,前述したように,前記MPU8は,前記主電源回路10における前記通電切替スイッチ10aを制御することにより,前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9上の回路や前記ブルーレイディスクドライブ7に対する給電を行うか否かの制御も行う。
なお,本実施形態は,前記ブルーレイディスクドライブ7が,前記テレビジョン受像機Xの背面側の筐体等に着脱可能に取り付けられた場合の例である。しかしながら,前記ブルーレイディスクドライブ7が,前記テレビジョン受信機Xの筐体内に装着された例も考えられる。その場合,前記ブルーレイディスクドライブ7は,外装を形成する筐体の一部が開かれて筐体内が解放された状態で取り外される。
【0017】
次に,図2に示されるフローチャートを参照しつつ,前記MPU81が実行する起動処理の手順の一例について説明する。図2に示される処理は,前記MPU81が,不図示のリモート操作器において電源ONの操作入力がなされたことを検知した場合に実行される。なお,以下の説明において,S1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別符号を表す。
前記起動処理において,前記MPU81は,前記ブルーレイディスクドライブ7以外の複数の機器について,各機器が正常であるか否かの確認を行う処理S1と,以下に示すブルーレイディスクドライブ関連初期処理(S2〜S10)とを,並行して又は順次実行し,その後,テレビジョン放送コンテンツの出力処理(S11)を実行する。
【0018】
前記ブルーレイディスクドライブ関連初期処理において,まず,前記MPU81は,前記装着検知ライン11aの信号レベルをチェックすることにより,前記ブルーレイディスクドライブ7の装着有無を検知する(S2,装着有無検知処理)。
そして,ステップS2において前記ブルーレイディスクドライブ7が装着されていることが検知されている場合,前記MPU81は,前記ブルーレイディスクドライブ7が正常であることを確認する処理(S3〜S8)を実行した上で,テレビジョン放送コンテンツの出力処理(S11)へ動作状態を移行させる。前記MPU81によるステップS2〜S8の処理が,前記第1の制御手段の処理の一例である。以下,ステップS3〜S8の処理のことを,BDドライブ正常確認処理と称する。
前記BDドライブ正常確認処理において,まず,前記MPU81は,前記通電切替スイッチ10aを制御することにより,前記第2サブ電源回路9b及び前記給電ライン11cを通じた前記ブルーレイディスクドライブ7への電力出力を開始させる(S3)。これにより,前記ブルーレイディスクドライブ7が起動し,その装置内の初期化処理が実行される。
【0019】
次に,前記MPU81は,前記ブルーレイディスクドライブ7の起動に要する予め定められた時間が経過するのを待った後,前記通電切替スイッチ10aを制御することにより,前記第1サブ電源回路9aを通じた前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9上の回路への電力出力を開始させる(S4)。これにより,前記MPU81が,前記制御ライン11bを通じて前記ブルーレイディスクドライブ7と通信することが可能となる。
【0020】
次に,前記MPU81は,前記第1サブ電源回路9a,前記第2サブ電源回路9b及びその他の前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9上の回路が正常な状態であるか否かの確認処理を実行し,その処理結を前記EEPROM82等のメモリに記録する(S5)。例えば,前記MPU81は,ステップS5において,前記第1サブ電源回路9a及び前記第2サブ電源回路9bの出力電圧レベルが許容レベルの範囲内にあるか否かの確認処理や,前記ブルーレイディスクドライブ7との通信が可能となったか否かの確認処理等を実行する。
【0021】
さらに,前記MPU81は,前記制御ライン11bを通じた情報取得により,前記ブルーレイディスクドライブ7が正常な状態であるか否かの確認処理を実行し,その処理結を前記EEPROM82等のメモリに記録する(S6)。例えば,前記MPU81は,前記ブルーレイディスクドライブ7から予め定められたタイムアウト時間内に内部情報の要求に対する応答が得られたか否かの確認処理や,その応答により得られた情報に,ディスク読み込みエラーやディスク初期化エラーなどのエラー情報が含まれない正常状態であるか否かの確認処理を実行する。
なお,ステップS6の処理は,前記第1サブ電源回路9a,前記第2サブ電源回路9b及び前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9上の他の回路が正常である場合にのみ可能であるため,ステップS5の確認処理でそれらが正常であることが確認された場合にのみ実行される。
【0022】
続いて,前記MPU81は,ステップS5及びS6の確認処理の結果,前記ブルーレイディスクドライブ7及び前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9上の回路が正常であるか否かを判別する(S7)。
そして,ステップS5及びS6の確認処理において前記ブルーレイディスクドライブ7又は前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9上の回路が正常でないことが確認された場合,前記MPU81は,前記ブルーレイディスクドライブ7に関する機器が正常でない内容を表すエラー通知の処理を実行し(S8),その後,処理をステップS11の処理へ移行させる。例えば,前記MPU81は,前記映像処理回路2を制御することにより,前記液晶パネル4にエラー通知のメッセージを表示させる。或いは,前記MPU81が,不図示の前記音響処理回路を制御することにより,エラー通知のメッセージをスピーカを通じて出力させることも考えられる。
一方,ステップS5及びS6の確認処理において前記ブルーレイディスクドライブ7及び前記ブルーレイディスクドライブインターフェース基板9上の回路の両方が正常であることが確認された場合,前記MPU81は,ステップS8の処理をスキップして処理をステップS11の処理へ移行させる。
【0023】
一方,ステップS2において前記ブルーレイディスクドライブ7が装着されていないことが検知されている場合,前記MPU81は,前記ブルーレイディスクドライブ7が正常であることを確認する処理(S3〜S8)をスキップし,以下に示すステップS9及びS10の処理を実行した後,テレビジョン放送コンテンツの出力処理(S11)へ動作状態を移行させる。
ステップS9において,前記MPU81は,前記通電切替スイッチ10aを制御することにより,前記第1サブ電源回路9a及び前記第2サブ電源回路9bを通じた電力出力を停止させる。このように,前記MPU81は,ステップS1の処理により前記ブルーレイディスクドライブ7が装着されていないことが検知されている場合に,テレビジョン放送コンテンツの出力処理を行う機器への電力出力とは独立して,前記ブルーレイディスクドライブ7に対する前記給電ライン11cへの電力出力を停止する(S9,電力出力停止処理)。
【0024】
また,ステップS10において,前記MPU81は,前記ブルーレイディスクドライブ7が装着されていない旨を表す通知の処理を実行する(S10)。例えば,前記MPU81は,前記映像処理回路2を制御することにより,前記液晶パネル4に前記ブルーレイディスクドライブ7が未装着である旨のメッセージを表示させる。或いは,前記MPU81が,不図示の前記音響処理回路を制御することにより,前記通知のメッセージをスピーカを通じて出力させることも考えられる。
このように,前記MPU81は,ステップS2の処理により前記ブルーレイディスクドライブ7が装着されていないことが検知された場合の通知(S10)と,前記ブルーレイディスクドライブ7が正常であることの確認処理(S3〜S6)により正常であることが確認できなかった場合のエラー通知(S8)とを,それぞれ異なる内容で行う。
これにより,ユーザは,当該テレビジョン受像機Xにおいて前記ブルーレイディスクドライブ7に関する処理を実行できない理由を的確に把握でき,利便性が高まる。
なお,前記MPU81が,ステップS8やステップS10において,前記ブルーレイディスクドライブ7の状況に関する情報(エラーの情報や未装着の情報)を前記EEPROM82等のメモリに記録しておき,前記ブルーレイディスクドライブ7を用いる処理である前記再生処理や前記録画処理を要求する操作入力がなされた際に,ステップS8,S10で記録した情報に応じた各通知処理(S10,S8)を実行することも考えられる。
【0025】
以上に示したテレビジョン受像機Xは,装着されている前記ブルーレイディスクドライブ7が正常であることの確認処理(S3〜S6)を実行した上で,テレビジョン放送コンテンツの出力処理(S11)を可能にする。そのため,前記ブルーレイディスクドライブ7が正常でない場合に,適切な処理(S8)を実行することができる。
なお,以上に示した実施形態は,前記ブルーレイディスクドライブ7が正常でない場合,エラー通知処理(S8)を行う例であるが,通電によって安全上の問題が発生する恐れがある機器,例えば,前記ブルーレイディスクドライブ7への通電を停止する処理などを実行することも考えられる。
また,前記テレビジョン受像機Xは,前記ブルーレイディスクドライブ7が装着されていない場合には,前記ブルーレイディスクドライブ7が正常であることの確認処理(S3〜S6)をスキップしてテレビジョン放送コンテンツの出力処理(S11)を可能にする。そのため,前記ブルーレイディスクドライブ7が修理等のために取り外されている場合でも,ユーザによるテレビジョン放送コンテンツの視聴における支障,例えば,無駄な待ち時間の発生や,テレビジョン放送コンテンツを視聴できなくなるなどの支障が生じない。
また,前記テレビジョン受像機Xは,前記ブルーレイディスクドライブ7が未装着の場合に,前記ブルーレイディスクドライブ7に対する前記給電ライン11cへの電力出力を停止する(S9)。
これにより,前記給電ライン11cの短絡などに起因するトラブルの発生を回避でき,装置の安全性が高まる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は,テレビジョン受像機への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機Xの主要部の構成を表すブロック図。
【図2】テレビジョン受像機Xにおける起動処理の手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
【0028】
X :テレビジョン受像機
1 :チューナ
2 :映像処理回路
3 :液晶駆動回路
4 :液晶パネル
5 :調光回路
6 :バックライト
7 :ブルーレイディスクドライブ
8 :メイン制御回路
9 :ブルーレイディスクドライブインターフェース基板
10:主電源回路
10a:通電切替スイッチ
11:着脱式接続ケーブル
11a:装着検知ライン
11b:制御ライン
11c:給電ライン
11d:AV信号伝送ライン
S1,S2,…:処理手順(ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクドライブを備えたテレビジョン受像機であって,
前記ディスクドライブの装着有無を検知する装着有無検知手段と,
前記装着有無検知手段により前記ディスクドライブが装着されていることが検知されている場合に,前記ディスクドライブが正常であることの確認処理を実行した上でテレビジョン放送コンテンツの出力処理を可能にする第1の制御手段と,
前記装着有無検知手段により前記ディスクドライブが装着されていないことが検知されている場合に,前記ディスクドライブが正常であることの確認処理をスキップしてテレビジョン放送コンテンツの出力処理を可能にする第2の制御手段と,
を具備してなることを特徴とするテレビジョン受像機。
【請求項2】
前記装着有無検知手段により前記ディスクドライブが装着されていないことが検知されている場合に,テレビジョン放送コンテンツの出力処理を行う機器への電力出力とは独立して,前記ディスクドライブに対する給電ラインへの電力出力を停止する電力出力停止手段を具備してなる請求項1に記載のテレビジョン受像機。
【請求項3】
前記装着有無検知手段により前記ディスクドライブが装着されていないことが検知された場合と前記ディスクドライブが正常であることの確認処理により正常であることが確認できなかった場合とで,それぞれ異なる内容のエラー通知を行うエラー通知手段を具備してなる請求項1又は2のいずれかに記載のテレビジョン受像機。
【請求項4】
前記ディスクドライブがブルーレイディスクドライブである請求項1〜3のいずれかに記載のテレビジョン受像機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−118937(P2010−118937A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291195(P2008−291195)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】