説明

テレビジョン受像装置

【課題】映像信号の種別の自動検出における検出条件の設定を変更し、誤検出の生じにくいテレビジョン受像装置を提供する
【解決手段】テレビジョン受像装置1は、映像信号切替回路11と、入力信号検出回路12と、制御回路13と、映像信号処理回路14と、記憶装置15と、表示デバイス16とからなり、入力信号検出回路12によって、受信した映像信号がアナログ放送によるものであると判断した場合には、デジタル放送によるものであると判断した場合よりも、制御回路13により信号種別検出回路14aに命令を送信し、映像信号の検出条件を厳しくないものへと変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビジョン受像装置に関し、特に2:3/2:2プルダウン処理における映像信号の種別の誤検出を生じにくくすることのできるテレビジョン受像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送の受信や、ビデオ又はDVDの再生等、テレビジョン受像装置を用いた映像の視聴方法は様々である。また、映像の種類も豊富であり、例えば、映画等の映像を上記方法によりテレビジョン受像装置を用いて視聴することも可能である。
【0003】
しかし、劇場用映画は、通常1秒間に24コマの画像から作られているのに対し、日本等で使用されるNTSC方式のテレビジョン受像装置は、1秒間に30フレーム(1フレーム当たり2フィールド)の画像から作られている。そのため、映画における1秒間のコマ数と、テレビジョン受像装置が表示する1秒間のコマ数(フレーム数)が一致せず、そのままではテレビジョン受像装置において映画の映像を表示することができない。
【0004】
このような問題に対しては、映像信号の作成時に2:3プルダウン処理を行い、1秒当たり24コマの映像を30コマの映像に変換することで、テレビジョン受像装置における映画の視聴を可能にしている。また、PAL方式におけるテレビジョン受像装置においては、2:2プルダウン処理を行い、同様に映画の映像の表示を可能にしている。
【0005】
更に、2:3プルダウン処理等の行なわれた映像信号を受信し、IP変換する際には、逆2:3プルダウン処理を行なう必要があり、テレビジョン受像装置には逆2:3プルダウン処理を行なう機能が搭載されている。
【0006】
もっとも、テレビジョン受像装置で表示される映像は映画に限られず、様々な映像が表示される。そのため、逆2:3プルダウン処理等を行なう必要のある映像信号と処理の不要な映像信号といったように、種別の異なる映像信号が混在していることもある。このような場合には、逆2:3プルダウン処理をするかしないかの切替が必要となる。
【0007】
逆2:3プルダウン処理をするかしないかの切替については、受信した映像信号の種別を自動で検出して判断するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−26885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1におけるテレビジョン受像装置によると、映像信号の種別を自動検出するとき、その映像信号がアナログ信号であると、アナログ信号にノイズが重畳してフィールド間の映像信号の差別化が困難になって、誤検出を起こすおそれがある。その結果、2:3プルダウン処理のされていない映像に対して、逆2:3プルダウン処理を実行してしまうことがあり、「歯抜け」や「ギザつき」を生じて画質劣化するという問題がある。
【0009】
従って本発明は、以上の問題点に鑑み、映像信号の種別を自動検出する際の検出条件設定を変更し、誤検出の生じにくいテレビジョン受像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、映像信号を受信する受信部と、前記映像信号がアナログ信号であるかデジタル信号であるかを判断する第1の判断部と、前記映像信号が2:3プルダウン処理の施された信号であるかどうかを判断する第2の判断部と、前記第1の判断部の判断結果に応じて前記第2の判断部の判断条件の設定を変更する制御部と、を備えることを特徴とするテレビジョン受像装置を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、映像信号を受信する受信部と、前記映像信号がアナログ信号であるかデジタル信号であるかを判断する第1の判断部と、前記映像信号が2:3プルダウン処理の施された信号であるかどうかを判断する第2の判断部と、前記第2の判断部が、前記映像信号が2:3プルダウン処理の施された信号であると判断したとき、前記映像信号に逆2:3プルダウン処理を施す映像信号変換部と、前記第1の判断部の判断結果に応じて前記第2の判断部の判断条件の設定を変更する制御部と、を備えることを特徴とするテレビジョン受像装置を提供するものでもある。
【0012】
上記発明によれば、映像信号がアナログ放送によるものかデジタル放送によるものかにより映像の種別の検出条件設定を変更することができ、映像信号が2:3プルダウン処理等のされたものか否かの誤検出を生じにくくすることができる。
【0013】
また、本発明は、映像信号を受信する受信部と、前記映像信号がアナログ信号であるかデジタル信号であるかを判断する第1の判断部と、前記映像信号が2:3プルダウン処理の施された信号であるかどうかを判断する第2の判断部と、ユーザの選択により画質の表示調整を行なう画質調整部と、前記第1の判断部の判断結果及び前記画質調整部の画質の表示調整に応じて前記第2の判断部の判断条件の設定を変更する制御部と、を備えることを特徴とするテレビジョン受像装置を提供する。
【0014】
上記発明によれば、ユーザの選択により映像の種別の検出条件の設定を変更することができ、映像信号が2:3プルダウン処理等のされたものか否かの誤検出を生じにくくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、入力された映像信号が2:3プルダウン処理のなされたものか否かについての誤検出を防止することができ、画質劣化を生じにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
(システムの構成)
図1は、本発明に係るテレビジョン受像装置を含む映像受像システムの外観を示す図である。
【0018】
映像受像システムは、本発明にかかるテレビジョン受像装置1と、テレビ放送の電波を受信するためのデジタル用アンテナ2a、アナログ用アンテナ2bと、外部装置3とからなる。
【0019】
テレビジョン受像装置1は、放送局から送信されるテレビ放送電波を受信し、当該電波に含まれる映像信号に基づきテレビ画像を表示するものである。
【0020】
デジタル用アンテナ2aは、放送用電波のうちデジタル放送に係る電波を受信するためのものであり、アナログ用アンテナ2bは、放送用電波のうちアナログ放送に係る電波を受信するためのものである。なお、図1においては、両アンテナを別個のものとして記載しているが、デジタル放送とアナログ放送の双方を受信する1のアンテナを用いたものであってもよい。また、図1におけるアンテナとしては、地上波放送用の八木アンテナを一例として表示しているが、衛星放送用のパラボラアンテナであってもよく、更に、双方のアンテナを備え持つものであってもよい。
【0021】
(第1の実施の形態:テレビジョン受像装置の構成)
本発明に係るテレビジョン受像装置は、映像の種別を自動検出する際に検出条件の設定変更が可能なテレビジョン受像装置であるが、当該検出条件の設定変更の方法について2通りの方法を提言する。以下、それぞれの実施の形態について説明する。
【0022】
第1の実施の形態は、映像ソースが、アナログ放送であるか、デジタル放送であるか、或いは外部機器であるかにより、検出条件の設定を変更するものである。
【0023】
図2は、本発明に係るテレビジョン受像装置1の第1の実施の形態における内部構成を示すブロック図である。
【0024】
テレビジョン受像装置1は、映像信号切替回路11と、入力信号検出回路12と、制御回路13と、映像信号処理回路14と、記憶装置15と、表示デバイス16とからなる。また、テレビジョン受像装置1には、デジタル用アンテナ2aと、アナログ用アンテナ2bと、外部機器3とが接続されている。
【0025】
映像信号切替回路11は、表示デバイス16で表示する映像に係る映像信号の入力先を、映像信号切替回路11に接続されたデジタル用アンテナ2a、アナログ用アンテナ2b、外部機器3のうちのいずれかに切り替えるためのものである。
【0026】
入力信号検出回路12は、映像信号切替回路11に入力された映像信号が、デジタル放送によるものか、アナログ放送によるものか、或いは外部機器3から入力されたものかの検出を行うためのものである。
【0027】
制御回路13は、入力信号検出回路12の検出結果に基づいて、映像信号処理回路14における映像信号の種別の検出条件の設定を変更するための制御を行うためのものである。
【0028】
映像信号処理回路14は、信号種別検出回路14aと、映像信号変換回路14bとからなる。信号種別検出回路14aは、制御回路13の制御により設定された検出条件により映像信号の種別の検出を行うものである。また、映像信号変換回路14bは、映像信号切替回路11を介して入力した映像信号に対して、必要に応じてIP変換処理や、逆2:3プルダウン処理を行なうためのものである。
【0029】
記憶装置15は、信号種別検出回路14aにおける映像信号の種別の検出条件の設定に対する複数の検出条件からなる検出条件設定テーブル等のデータを格納しておくためのものであり、信号種別検出回路14aは、制御回路13の制御による設定に対応する検出条件を、当該検出条件設定テーブルより読込み、それを用いて映像信号の種別の検出を行なう。
【0030】
表示デバイス16は、入力した映像信号に係る映像を表示するためのものである。
【0031】
映像信号切替回路11の信号入力先の切替により、デジタル用アンテナ2a、アナログ用アンテナ2b、外部機器3のうちの選択された入力先より映像信号が入力されると、当該映像信号は入力信号検出回路12と映像信号処理回路14とに送信される。
【0032】
入力信号検出回路12は、映像信号の入力先がデジタル用アンテナ2a、アナログ用アンテナ2b、外部機器3のいずれであるかを検出し、その結果を制御回路13に送信し、制御回路13において映像信号の種別を検出する条件の設定が変更される。
【0033】
映像信号処理回路14は、制御回路13により検出条件の設定が変更されると、記憶装置15から読み込んだ設定条件等に基づき、映像信号切替回路11より受信した映像信号の種別の検出を行う。そして、映像信号が2:3プルダウン既処理のもの、即ち映画の映像信号であると検出した場合には、逆2:3プルダウン処理を行い、映像信号が2:3プルダウン未処理のものであると検出した場合には、通常のIP変換処理を行なう。
【0034】
(逆2:3プルダウン処理)
次に、逆2:3プルダウン処理について図3から図5を用いて説明する。なお、本発明に係るテレビジョン受像装置1は、逆2:3プルダウン処理だけでなく逆2:2プルダウン処理についても同様の機能を有するものであるが、以下の説明においては逆2:3プルダウン処理を例にして説明するものとする。
【0035】
図3は、通常の映像信号におけるインターレース方式の映像を表示する際の処理の例を示す図である。
【0036】
映画を除く通常のテレビ放送等の映像信号においては、日本等におけるNTSC方式の場合には垂直走査周波数が60Hzであるため、1秒当たり60フィールドよりなる。更に、インターレース方式の映像においては、飛び越し走査がなされるため、1つのフィールドにおいては全画像のうちの半分のデータしか表示ができないため、2つのフィールドを合わせて1つのフレームを形成することになる。
【0037】
図3(a)に示すように、例えばある映像におけるAのフレームは、当該フレームにおける奇数本目の走査線を表示するフィールド(A)と、偶数本目の走査線を表示するフィールド(A)とからなる。インターレース方式においては、それを順次画面上に表示することにより、1つのフレームの表示がなされることになる。
【0038】
また、プログレッシブ方式のテレビジョン受像装置においては、1つのフィールドにおいて全画面の表示が可能であるので、図3(b)に示すようにインターレース方式による2つのフィールドを合成した上で、得られた画像を、2つのフィールドで連続して表示することになる。例えばある映像のAのフレームにおける奇数本目の走査線を表示するフィールド(A)と、偶数本目の走査線を表示するフィールド(A)とを合成し、1個のAのフィールドを作成し、それを2回連続して表示することになる。
【0039】
一方、映画の映像においては、1秒あたりのコマ数が24個であるため、そのままテレビジョン受像装置で表示することはできない。そこで、NTSC方式の場合、1つ目のコマより2つのフィールドを作成し、次のコマより3つのフィールドを作成し、これを繰り返すという、2:3プルダウン処理を行なう必要がある。
【0040】
図4は、2:3プルダウン処理及び逆2:3プルダウン処理の一例を示す図である。
【0041】
図4において、映画の映像信号に対して2:3プルダウン処理を行なうと、例えばAのコマについては2つのインターレース方式のフィールドが得られ、Bにコマについては3つのフィールドが得られることになる。
【0042】
このようにして得られたインターレース方式の映像信号に基づき、プログレッシブ方式による再生を行なう際には、図4に示すような逆2:3プルダウン処理による合成を行なう必要がある。即ち、1つのコマに対応するフィールドが必ずしも偶数ではないので、インターレース方式の映像信号におけるフィールドを、2つずつ順番に組み合わせることができない箇所が現れるので、その部分につき調整を行なう必要があるのである。
【0043】
逆2:3プルダウン処理は、予め2:3プルダウン処理のされた映像信号に対してのみ行なわれる必要があり、2:3プルダウン処理のされていない映像信号に対して処理を行なってしまうと、いわゆる「歯抜け」や「ギザつき」の生じた画像が表示されてしまうことがある。
【0044】
図5は、2:3プルダウン処理のされていない映像信号に対して逆2:3プルダウン処理を行った場合の例である。
【0045】
この場合、例えば、Bのコマの偶数本目のフィールド(B)と、Cのコマの奇数本目のフィールド(C)など、本来異なるコマから作成されたフィールド同士を合成してしまうことになる。このようなフィールドと、特に問題なく合成されたフィールドとが得られ、これにより「歯抜け」や「ギザつき」等が発生するのである。
【0046】
(逆2:3プルダウン処理の有無の判断)
上記のような処理を起こさなくするためには、入力された映像信号が2:3プルダウン処理のされた信号であるか否かを的確に判断する必要がある。
【0047】
その判断のためには、奇数側または偶数側の走査線のフィールド同士の画像を比較し、その変化から、2:3プルダウン処理のされた信号であるか否かが判断されることになる。
【0048】
図6は、デジタル放送による映像信号とアナログ放送による映像信号のそれぞれにおける、2:3プルダウン処理のされた信号か否かの判断をする様子を示す図である。
【0049】
図6(a)は、デジタル放送による映像信号であって2:3プルダウン処理のされていない信号について判断する様子を示している。2:3プルダウン処理のされていない信号の場合、各フィールドの信号は全て異なるコマより作成されたものである。
【0050】
一方、図6(b)は、デジタル放送による映像信号であって2:3プルダウン処理のされた信号について判断する様子を示しているが、2:3プルダウン処理のされた信号の場合、図6(b)におけるBのフィールドやDのフィールドのように同一のコマより作成されたフィールドが混在することになる。
【0051】
従って、前後のフィールドを比較し、各フィールドの動きの検出を行うことで、映像信号が2:3プルダウン処理の施された信号であるか否かを判断することが可能となる。
【0052】
例えば、図6(a)においては8フィールド分の期間(t)の検索により、各フィールドが「2−2−2−2」の組み合わせになっていることがわかるので、映像信号は2:3プルダウン処理の施されていない信号であると判断される。一方、図6(b)においては10フィールド分の期間(t)を検索すると、「B」や「D」などの同一のフィールドの存在により各フィールドが「2−3−2−3」の組み合わせになっていることがわかるので、映像信号は2:3プルダウン処理の施された信号であると判断される。
【0053】
しかしながら、映像信号がデジタル放送によるもの、或いは外部機器から送信されたものである場合には、当該映像信号に含まれるノイズの量は極めて少ないが、アナログ放送によるものであった場合には、多くのノイズを含むことがある。特に映像信号の電界強度が弱い場合には、ノイズの割合が大きくなる。
【0054】
図6(c)は、アナログ放送による映像信号であって2:3プルダウン処理のされていない信号について、(d)は、アナログ放送による映像信号であって2:3プルダウン処理のされた信号について判断する様子をそれぞれ示している。いずれも、各フィールドにノイズが混入している。
【0055】
そのため、前後のフィールドを比較し、各フィールドの動きの検出を行っても、正確に映像信号が2:3プルダウン処理のされた信号であるか否かを判断することができるとは限らない。
【0056】
例えば、図6(c)においては、(a)と同じ8フィールド分の期間(t)の検索によっても、各フィールドが「2−2−2−2」の組み合わせになっていると判断できるとは限らない。また、図6(d)においては、(B)と同じ10フィールド分の期間(t)の検索によっても、各フィールドが「2−3−2−3」の組み合わせになっていると判断できるとは限らない。
【0057】
そして、判断を誤ったときには誤検出となり、その結果、「歯抜け」や「ギザつき」等の画質劣化が生じることとなる。
【0058】
そこで、映像信号がアナログ放送によるものである場合には、デジタル放送によるものや外部機器から送信されたものである場合よりも、検出精度を高める必要がある。検出精度を高めるためには、通常の場合と検出条件の設定を変更することとなるが、検出条件の設定の変更は、具体的には検出時間を変更することや、検出感度を変更すること等が上げられる。
【0059】
(第1の実施の形態における映像信号処理)
次に、本発明に係るテレビジョン受像装置1の第1の実施の形態における、映像信号処理について、フローチャートを参照しつつ説明する。
【0060】
図7は、テレビジョン受像装置1が映像信号を受信し、映像信号処理を行なう際の動作を示すフローチャートである。
【0061】
最初に、映像信号切替回路11が映像信号を受信する(ステップS101)。映像信号を受信すると、入力信号検出回路において当該映像信号がアナログ放送によるものか否かの判断が行なわれる(ステップS102)。
【0062】
映像信号がアナログ放送によるものであると判断した場合には(S102:Yes)、制御回路13において映像信号の種別の自動検出における検出条件の設定を変更する(ステップS103)。設定の変更に際しては、映像信号処理回路14は、記憶装置15から設定値等の情報を取得する。一方、映像信号がアナログ放送によるものでなく、デジタル放送によるもの或いは外部機器からのものであると判断した場合には(S102:No)、検出条件の設定は変更しない。
【0063】
次に、映像信号処理回路14において、映像信号の種別の検出を行う(ステップS104)。そして、検出結果が2:3プルダウン既処理の映画の映像信号であるか否かの判断を行なう(ステップS105)。
【0064】
映像信号が映画の映像信号であると判断した場合には(S105:Yes)、映像信号処理回路14において逆2:3プルダウン処理を行なう(ステップS106)。一方、映像信号が映画の映像信号でないと判断した場合には(S105:No)、逆2:3プルダウン処理は行なわない。
【0065】
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態の効果によると、入力信号検出回路12と制御回路13とを備えたことにより、映像信号がアナログ放送によるものかデジタル放送によるものかにより映像信号の種別の検出条件の設定を変更することができ、映像信号が2:3プルダウン処理のされたものか否かの誤検出を生じにくくすることができる。
【0066】
(第2の実施の形態:液晶受像装置の構成)
本発明に係るテレビジョン受像装置における第2の実施の形態は、ユーザの選択に応じて映像信号の種別の検出条件の設定を変更するものである。
【0067】
図8は、本発明に係るテレビジョン受像装置1の第2の実施の形態における内部構成を示すブロック図である。
【0068】
テレビジョン受像装置1は、映像信号切替回路11と、入力信号検出回路12と、制御回路13と、映像信号処理回路14と、記憶装置15と、表示デバイス16と、OSD選択メニュー17とからなる。また、テレビジョン受像装置1には、デジタル用アンテナ2aと、アナログ用アンテナ2bと、外部機器3とが接続されている。
【0069】
映像信号切替回路11、入力信号検出回路12、制御回路13、映像信号処理回路14、記憶装置15、表示デバイス16は、上述した第1の実施の形態と同様のものである。
【0070】
OSD選択メニュー17は、表示デバイス16による画像表示について、ユーザが画面上の表示に基づいて設定を行なうためのメニューである。
【0071】
(OSD表示メニュー)
次に、OSD表示メニューを用いた映像信号の種別の検出条件の設定変更について説明する。
【0072】
図9は、本発明に係るテレビジョン受像装置1のOSD選択メニュー17における、画像選択メニューの表示例である。
【0073】
テレビジョン受像装置1には、表示される映像の色合い等を調整する機能が搭載されており、ユーザは、画面上に表示されるOSD選択メニュー17を介して、かかる色合いの調整を行なうことができる。図9(a)は、画面上に表示される映像の種類に応じて最適な色合いに調整するための調整メニューの表示例である。
【0074】
本発明にかかるテレビジョン受像装置1は、OSD選択メニュー17による色合い調整の際に、併せて映像信号の種別の検出条件の設定の変更を行なうことができる。
【0075】
図9(a)においては、色合い調整の選択肢として「標準」、「シネマ」、「ドラマ」、「スポーツ」、「静止画」の5つが表示されており、ユーザはこれを参照しつつリモコン等を用いて1つを選択し、それにより予め設定された色合いに調整されることになる。
【0076】
ここで、図9(a)に描かれた選択肢のうち、「シネマ」を選択された場合、ユーザは、映画の映像を視聴する可能性が高いことになるが、他の選択肢が選択された場合には、映画の映像を視聴する可能性が低いことになる。
【0077】
そこで、「シネマ」が選択された場合に限り、2:3プルダウン処理がなされた映像信号であることを検出しやすくなるように検出条件を設定し、それ以外が選択された場合には、2:3プルダウン処理がなされた映像信号であることを極めて検出しにくくするように検出条件を設定することができる。
【0078】
また、図9(b)は、映像信号の種別の検出条件レベルを、ユーザが直接設定する場合の設定画面の表示例である。
画面上に映像信号の種別の検出条件の複数のレベル(図9(b)においては5段階)が表示されており、ユーザはその中から検出条件のレベルを選択すると、それに応じた映像信号の種別の検出条件に設定がされることになる。
【0079】
(第2の実施の形態における映像信号処理)
次に、本発明に係るテレビジョン受像装置1の第2の実施の形態における、映像信号処理について、フローチャートを参照しつつ説明する。
【0080】
図10は、テレビジョン受像装置1が映像信号を受信し、映像信号処理を行なう際の動作を示すフローチャートである。
【0081】
最初に、映像信号切替回路11が映像信号を受信する(ステップS111)。映像信号を受信すると、入力信号検出回路において当該映像信号がアナログ放送によるものか否かの判断が行なわれる(ステップS112)。
【0082】
映像信号がアナログ放送によるものであると判断した場合には(S112:Yes)、続いて、ユーザによる映像信号の種別の検出条件の設定変更が、表示する映像種類による色合い調整によりなされたか否かの判断を行なう(ステップS113)。
【0083】
表示する映像種類による色合い調整によりユーザによる映像信号の種別の検出条件の設定変更がなされたと判断した場合には(S113:Yes)、制御回路13において、映像信号の種別の自動検出における検出条件の設定を当該色合い調整に対応したものに変更する(ステップS114)。設定の変更に際しては、映像信号処理回路14は、記憶装置15から設定値等の情報を取得する。一方、表示する映像種類による色合い調整によりユーザによる映像信号の種別の検出条件の設定変更がされていないと判断した場合には(S113:No)、続いて、ユーザによる映像信号の種別の検出条件の設定変更が、検出感度レベルの設定によりなされたか否かの判断を行なう(ステップS115)。
【0084】
検出感度レベルの設定によりユーザによる映像信号の種別の検出条件の設定変更がなされたと判断した場合には(S115:Yes)、制御回路13において、映像信号の種別の自動検出における検出条件の設定を当該感度レベルに対応したものに変更する(ステップS116)。
【0085】
一方、映像信号がアナログ放送によるものでなく、デジタル放送によるもの或いは外部機器からのものであると判断した場合と(S112:No)、検出感度レベルの設定によりユーザによる映像信号の種別の検出条件の設定変更がされていないと判断した場合には(S115:No)、検出条件の設定は変更しない。
【0086】
次に、映像信号処理回路14において、映像信号の種別の検出を行う(ステップS117)。そして、検出結果が2:3プルダウン既処理の映画の映像信号であるか否かの判断を行なう(ステップS118)。
【0087】
映像信号が映画の映像信号であると判断した場合には(S118:Yes)、映像信号処理回路14において逆2:3プルダウン処理を行なう(ステップS119)。一方、映像信号が映画の映像信号でないと判断した場合には(S118:No)、逆2:3プルダウン処理は行なわない。
【0088】
(第2の実施の形態の効果)
上記した第2の実施の形態の効果によると、制御回路13とOSD選択メニュー17とを備えたことにより、ユーザの選択により映像信号の種別の検出条件の設定を変更することができ、映像信号が2:3プルダウン処理のされたものか否かの誤検出を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係るテレビジョン受像装置を含む映像受像システムの外観を示す図である。
【図2】本発明に係るテレビジョン受像装置1の第1の実施の形態における内部構成を示すブロック図である。
【図3】(a)、(b)は、通常の映像信号におけるインターレース方式の映像を表示する際の処理の例を示す図である。
【図4】2:3プルダウン処理及び逆2:3プルダウン処理の一例を示す図である。
【図5】2:3プルダウン処理のされていない映像信号に対して逆2:3プルダウン処理を行った場合の例である。
【図6】(a)〜(d)は、デジタル放送による映像信号とアナログ放送による映像信号のそれぞれにおける、2:3プルダウン処理のされた信号か否かの判断をする様子を示す図である。
【図7】テレビジョン受像装置1が映像信号を受信し、映像信号処理を行なう際の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係るテレビジョン受像装置1の第2の実施の形態における内部構成を示すブロック図である。
【図9】(a)、(b)は、本発明に係るテレビジョン受像装置1のOSD選択メニュー17における、画像選択メニューの表示例である。
【図10】テレビジョン受像装置1が映像信号を受信し、映像信号処理を行なう際の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1、テレビジョン受像装置 2a、デジタル用アンテナ 2b、アナログ用アンテナ
3、外部機器 11、映像信号切替回路 12、入力信号検出回路 13、制御回路
14、映像信号処理回路 14a、信号種別検出回路 14b、映像信号変換回路
15、記憶装置 16、表示デバイス 17、OSD選択メニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を受信する受信部と、
前記映像信号がアナログ信号であるかデジタル信号であるかを判断する第1の判断部と、
前記映像信号が2:3プルダウン処理の施された信号であるかどうかを判断する第2の判断部と、
前記第1の判断部の判断結果に応じて前記第2の判断部の判断条件の設定を変更する制御部と、を備えることを特徴とするテレビジョン受像装置。
【請求項2】
映像信号を受信する受信部と、
前記映像信号がアナログ信号であるかデジタル信号であるかを判断する第1の判断部と、
前記映像信号が2:3プルダウン処理の施された信号であるかどうかを判断する第2の判断部と、
前記第1の判断部の判断結果に応じて前記第2の判断部の判断条件の設定を変更する制御部と、
前記第2の判断部が、前記映像信号が2:3プルダウン処理の施された信号であると判断したとき、前記映像信号に逆2:3プルダウン処理を施す映像信号変換部と、を備えることを特徴とするテレビジョン受像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2の判断部の判断条件の設定として検出時間を変更するものであることを特徴とする請求項1または2記載のテレビジョン受像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の判断部の判断条件の設定として検出感度を変更するものであることを特徴とする請求項1または2記載のテレビジョン受像装置。
【請求項5】
映像信号を受信する受信部と、
前記映像信号がアナログ信号であるかデジタル信号であるかを判断する第1の判断部と、
前記映像信号が2:3プルダウン処理の施された信号であるかどうかを判断する第2の判断部と、
ユーザの選択により画質の表示調整を行なう画質調整部と、
前記第1の判断部の判断結果及び前記画質調整部の画質の表示調整に応じて前記第2の判断部の判断条件の設定を変更する制御部と、を備えることを特徴とするテレビジョン受像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−5444(P2008−5444A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175890(P2006−175890)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】