説明

テレビジョン装置

【課題】ユーザにコマーシャルが終了したことをわかりやすく通知して、視聴したい番組を途中で見逃すことがないようにしたテレビジョン装置を提供する。
【解決手段】トランスポートストリームデコーダ1、AVデコーダ2、オーディオデコーダ3、コマーシャル検出オン/オフ部4、コマーシャル終了検出回路5、表示メモリ6等を備えている。トランスポートストリームデコーダ1は、複数の放送番組から選択された放送番組に関するデータを出力する。AVデコーダ2は、視聴中の番組のデータをデコードして、表示メモリ6に書き込む。コマーシャル検出オン/オフ部4がオンに設定されると、コマーシャル放送中の番組のデータがオーディオデコーダ3に入力され、デコードされた音声データに基づき、コマーシャル終了検出回路5でコマーシャル終了判定が行われる。コマーシャル終了が検出されると、そのフラグが表示メモリ6に書き込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、番組の本編の合間にコマーシャルが放送されるテレビジョン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテレビジョン装置は、例えば、図9のように構成されている。複数の符号化された放送番組が束になったトランスポートストリームデータがトランスポートストリームデコーダ61に供給される。ユーザの選択により、トランスポートストリームデコーダ61は、トランスポートストリームデータのうちの1つの放送番組に関するデータを抽出して出力する。
【0003】
AVデコーダ62は、トランスポートストリームデコーダ61から出力された放送番組のAV(オーディオビジュアル)ストリームデータを復号処理する。AVデコーダ62で復号処理されたAVデータは、表示メモリ63に書き込まれる。表示メモリ63の内容は、テレビジョン装置の画面に表示される。
【0004】
このように、ユーザが選んだ番組を表示するのみの機能のため、現在視聴していた番組(番組N)の本編の合間にコマーシャルが放送されると、ユーザは、一時的に他の番組(番組K)を視聴するためにチャネルを切り替えることがある。そして、コマーシャルの放送期間のみ、他の番組(番組K)を視聴し、コマーシャルが終了した頃に、本来視聴したい元の番組Nの本編を続けて視聴するために、番組Kから番組Nにチャネルを切り替えていた。
【0005】
ところで、テレビジョン装置に関しては、従来、例えば、特許文献1に示されるように、視聴者が所望するテレビ放送を迅速かつ簡便に受像機画面上に表示することができるようにした装置が提案されている。
【0006】
また、特許文献2に示されるように、コマーシャル区間の自動検出及び新作CMのデータベースへの自動登録を実現するために、テレビジョン放送から精度良くCM区間を推定できるようにした装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−23576号公報
【特許文献2】特開2003−47031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、先の番組Nで放送されたコマーシャルが終了したことを知らせるようなテレビジョン装置は作製されていなかった。従来は、ユーザの感覚により、コマーシャルが終了したと思われる時点で、チャネルを操作して、番組Kから番組Nに切り替えているため、以下のような問題があった。
【0009】
先に視聴していた番組Nに切り替えたときには、すでにコマーシャルが終了して番組Nの本編が始まっており、番組Nの本編を連続して視聴できないことがあった。また、ユーザが番組Nのコマーシャルの終了に気づかず、番組Kの視聴を続けてしまうことがあった。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、ユーザにコマーシャルが終了したことをわかりやすく通知して、視聴したい番組を途中で見逃すことがないようにしたテレビジョン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のテレビジョン装置は、ユーザによりコマーシャル検出のオン/オフが設定されるコマーシャル検出オン/オフ部と、符号化された視聴番組データの束であるトランスポートストリームから少なくとも2つの視聴番組データを抽出するトランスポートストリームデコーダと、前記トランスポートストリームデコーダから出力された視聴中の視聴番組データを復号化する第1のAVデコーダと、前記トランスポートストリームデコーダから出力された視聴番組データを復号化する第2のAVデコーダと、前記第1のAVデコーダにより復号化されたAVデータを記憶する表示メモリと、前記第2のAVデコーダにより復号化されたAVデータからコマーシャルの終了を判定するコマーシャル終了検出部とを備え、視聴中の第1の視聴番組と前記コマーシャル検出オン/オフ部がオンに設定された時点で前記第1のAVデコーダに入力されていた第2の視聴番組とが異なる場合に、前記第2の視聴番組を前記トランスポートストリームデコーダから前記第2のAVデコーダに出力し、該第2のAVデコーダで復号化された第2の視聴番組データに基づいて前記コマーシャル終了検出部でコマーシャル終了の判定を行い、ユーザにコマーシャル終了通知を行うことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トランスポートストリームデコーダにより、視聴中の第1の視聴番組と、コマーシャル検出オン/オフ部がオンに設定された時点で視聴していた番組、すなわち第1のAVデコーダに入力されていた第2の視聴番組とが抽出されるようになっている。ここで、第1の視聴番組と第2の視聴番組とが異なるときに、第2の視聴番組をトランスポートストリームデコーダから第2のAVデコーダに出力し、第2のAVデコーダの出力に基づいてコマーシャル終了の判定を行い、ユーザにコマーシャル終了通知を行うようにしている。このため、ユーザは、現在視聴中ではない第2の視聴番組のコマーシャルが終了したことが容易にわかり、チャネルを第2の視聴番組に切り替えることができるので、視聴したい番組の本編を途中で見逃すことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のテレビジョン装置の概略構成例を示す図である。
【図2】本発明のテレビジョン装置の主要構成部におけるデータの時系列な変化を示す図である。
【図3】図2のデータの変化に対応した画面上の表示例の時系列な変化を示す図である。
【図4】本発明のテレビジョン装置の主要構成部におけるデータの時系列な変化を示す図である。
【図5】図4のデータの変化に対応した画面上の表示例の時系列な変化を示す図である。
【図6】本発明のテレビジョン装置の他の概略構成例を示す図である。
【図7】図6の主要構成部におけるデータの時系列な変化を示す図である。
【図8】トランスポートストリームデコーダの構成例を示す図である。
【図9】従来のテレビジョン装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。図面は模式的なものであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0015】
本発明のテレビジョン装置の一構成例を図1、8に示す。トランスポートストリームデコーダ1、AVデコーダ2、オーディオデコーダ3、コマーシャル検出オン/オフ部4、コマーシャル終了検出回路5、表示メモリ6等により構成される。
【0016】
トランスポートストリームデコーダ1には、複数の符号化(エンコード)された放送番組が束になったトランスポートストリームが入力される。また、トランスポートストリームは、複数のエンコードされた映像や音声、データなどの個別のストリームが1本のストリームに束ねられている。
【0017】
トランスポートストリームデコーダ1は、複数の放送番組のうちの少なくとも2つの放送番組に関するデータを選択して出力する。選択された1つの放送番組は、ユーザが指定した番組であり、この番組のAV(オーディオビジュアル)ストリームデータをトランスポートストリームから抽出し、出力Xに出力する。出力Xに出力されたAVストリームデータは、音声ストリームデータ及び映像ストリームデータを含むデータであり、AVデコーダ2に入力される。なお、AVデコーダ2は、音声ストリームデータと映像ストリームデータの両方をデコードする機能を有するデコーダである。
【0018】
また、トランスポートストリームデコーダ1は、図8の構成を有している。トランスポートストリームデコーダ1は、番組ID保持回路51、デコード中番組ID保持回路52、比較回路53、トランスポートストリームデコード処理部54を備えている。
【0019】
AVデコーダ2は、トランスポートストリームデコーダ1から出力された視聴中の番組のAVストリームデータを復号(デコード)処理する。AVデコーダ2でデコード処理されたAVデータは、表示メモリ6に書き込まれる。表示メモリ6の内容は、テレビジョン装置の画面に表示される。
【0020】
オーディオデコーダ3は、例えば、コマーシャル放送中の番組等の音声ストリームデータをトランスポートストリームデコーダ1から受信し、デコード処理する。
【0021】
コマーシャル終了検出回路5は、オーディオデコーダ3から出力されたデコードデータに基づき、コマーシャル終了判定を行う。判定の結果、コマーシャル終了が検出された時には、コマーシャル終了信号を出力する。コマーシャル終了検出回路5が出力するコマーシャル終了信号は、表示メモリ6及び他の回路等に伝達される。
【0022】
コマーシャル終了の判定には、例えば、従来から良く知られた以下のような方法が用いられる。例えば、輝度レベルの変化する画面転換部を検出し、その画面転換部から続く画面転換部までの時間間隔が所定の間隔である場合、コマーシャル区間であると判断する方法がある。この方法によれば、放送されているコマーシャルの映像データのみからコマーシャルの終了を判定することができる。
【0023】
また、例えば、番組本編からコマーシャルへの切り替わりや1つのコマーシャルから別のコマーシャルへの切り替わりの際には短い期間の無音区間が存在すること、1つのコマーシャルは15秒や30秒等の一定時間長であることに着目してコマーシャルを検出する方法等がある。この方法によれば、放送されているコマーシャルの音声データのみからコマーシャルの終了を判定することができる。
【0024】
コマーシャル検出オン/オフ部4は、ユーザによりオン/オフの設定が行われる。オンの設定が行われると、番組本編の途中に放送されるコマーシャルの終了を検出する動作がコマーシャル終了検出回路5で行われる。また、トランスポートストリームデコーダ1から出力Yにコマーシャル放送中の番組のストリームデータが出力される。
【0025】
表示メモリ6は、メモリに書き込まれたデータに基づいてテレビジョン装置の画面上に表示を行う。
【0026】
次に、動作について説明する。トランスポートストリームデコーダ1は、入力Aに示されるように、ユーザによって放送番組が選択されると、トランスポートストリームから選択された放送番組のAVストリームを出力Xに出力し、AVデコーダ2に供給する。AVデコーダ2は、入力されたAVストリームデータをデコードし、表示メモリ6にデコードされたAVデータの書き込みを行う。表示メモリ6に書き込まれたデータがユーザにより視聴される。上記、ユーザによって選択された番組を番組Nとする。番組Nは、ユーザが視聴したい番組であり、AVデコーダ2でデコード中の番組であるため、番組NのIDは、トランスポートストリームデコーダ1内のデコード中番組ID保持回路52に保持される。
【0027】
一方、ユーザからの指示により、コマーシャル検出オン/オフ部4がオンに設定されると、オン信号がトランスポートストリームデコーダ1の入力Bに供給される。同時に、コマーシャル検出オン/オフ部4からのオン信号は、コマーシャル終了検出回路5にも伝達され、コマーシャル終了検出回路5が作動状態になる。他方、コマーシャル検出オン/オフ部4がオフに設定されると、オフ信号がトランスポートストリームデコーダ1の入力Bに供給される。同時に、コマーシャル検出オン/オフ部4からのオフ信号は、コマーシャル終了検出回路5にも伝達され、コマーシャル終了検出回路5が非作動状態になる。
【0028】
コマーシャル検出オン/オフ部4からの信号がオン信号の場合、トランスポートストリームデコーダ1は、オンになった時点の番組Nの番組IDを番組ID保持回路51に保持する。一方、現在視聴中の番組は、デコード中番組ID保持回路52に保持されている。チャネル等により放送番組の切り替えがなければ、デコード中番組ID保持回路52で保持されているのは番組Nであり、番組ID保持回路51で保持されているのも番組Nであり、これら保持されている番組は同一である。
【0029】
比較回路53は、番組ID保持回路51に記憶されたID1とデコード中番組ID保持回路52に記憶されたID2とを比較する回路である。ID1とID2とが同じ場合は、比較回路53は、トランスポートストリームデコード処理部54に対して制御信号を出力し、オーディオデコーダ3への出力を禁止する。したがって、上記の場合、オーディオデコーダ3にはストリームデータが出力されない。一方、デコード中番組ID保持回路52に保持されたID2に相当する番組Nのストリームデータは、現在視聴中のデータであり、AVデコーダ2に供給される。
【0030】
また、コマーシャル検出オン/オフ部4からの出力がオフ信号の場合は、比較回路53からトランスポートストリームデコード処理部54に対して制御信号を出力し、オーディオデコーダ3への出力を禁止する。したがって、この場合も、オーディオデコーダ3にはストリームデータが出力されない。また、コマーシャル検出オン/オフ部4からのオフ信号はコマーシャル終了検出回路5に供給され、コマーシャル終了検出回路5は動作しない。
【0031】
次に、例えば、視聴番組Nの途中にコマーシャルが放送されたため、ユーザがチャネルを切り替え、視聴中の番組を番組Nから番組Kに切り替えたとする。この場合、デコード中番組ID保持回路52には、ユーザが切り替えた番組Kの番組IDが保持される。すると、番組ID保持回路51に保持されたID1とデコード中番組ID保持回路52に保持されたID2とは異なることになる。
【0032】
ID1とID2とが異なる場合は、比較回路53は制御信号を出力して、トランスポートストリームデコード処理部54に番組ID保持回路51に保持された番組Nの音声ストリームデータを抽出させ、オーディオデコーダ3に出力させる。このように、現在視聴中の番組と、コマーシャル検出オン/オフ部4の出力信号がオン信号になった時点の視聴番組とが異なる場合は、番組ID保持回路51に保持された番組ID(番組N)の音声ストリームをオーディオデコーダ3に出力する。一方、デコード中番組ID保持回路52に保持されたID2に相当する番組Kのストリームデータは、現在視聴中のデータであり、AVデコーダ2に供給される。
【0033】
オーディオデコーダ3は、トランスポートストリームデコーダ1からのエンコードされた音声ストリームデータをデコードし、コマーシャル終了検出回路5にデコードされた音声データを出力する。コマーシャル終了検出回路5は、番組Nの音声データに基づいて、コマーシャル終了を判定し、終了した時点で、コマーシャル終了検出信号を出力する。コマーシャル終了検出信号は表示メモリ6に伝達され、表示メモリ6では、番組Nのコマーシャル終了がわかるようなデータを書き込む。コマーシャルが終了したことを、ユーザが把握できるようにする。
【0034】
なお、比較回路53による比較結果は、外部回路で使用できるように、トランスポートストリームデコーダ1の出力Zから取り出せるようになっている。
【0035】
以上説明した動作について、本発明の主要構成部におけるデータの時系列な変化を示したのが、図2である。図1に示した構成のうち、表示メモリ6、AVデコーダ2、オーディオデコーダ3、コマーシャル終了検出回路5を順に縦軸に並べている。横軸は、時間軸を示し、各構成部について、入力されたデータの時系列的な変化が示されている。
【0036】
t1は、ユーザが手動にてチャネルを切り替え、視聴番組を切り替えた時刻を示す。t2は、コマーシャル終了検出回路5により、コマーシャル終了の検出が行われ、コマーシャル終了検出信号が出力された時刻を示す。t3は、ユーザが手動にてチャネルを切り替え、元の番組に戻した時刻を示す。
【0037】
最初に、ユーザが番組Nを選んでおり、番組Nのメイン映像(本編)が視聴されている。AVデコーダ2には、番組NのAVストリームデータが入力され、これをデコードしたAVデータが表示メモリ6に記憶されている状態が示されている。また、番組Nを視聴している状態で、コマーシャル検出オン/オフ回路4がオンとなっており、コマーシャル検出オン/オフ回路4がオンの時点で、番組NのIDが番組ID保持回路51に保持される。
【0038】
次に、視聴していた番組Nにコマーシャルの放送が開始されたので、ユーザが時刻t1で視聴番組を番組Nから番組Kに切り替えた状態が示されている。視聴番組が番組Kに切り替わったので、AVデコーダ2には、番組KのAVストリームデータが入力され、デコードされたAVデータが表示メモリ6に記憶される。
【0039】
一方、t1の時点で、オーディオデコーダ3に、番組Kに切り替わる前の番組Nの音声ストリームデータが入力される。このとき、オーディオデコーダ3には、番組Nのコマーシャル映像の音声データのみが入力されている。時刻t2は番組Nのコマーシャルが終了した時刻を示す。時刻t2で、コマーシャル終了検出回路5がコマーシャルの終了を検出して、コマーシャル終了信号を出力する。コマーシャル終了信号は表示メモリ6に伝達され、表示メモリ6は、番組Kの映像とともに、番組Nのコマーシャル終了フラグを表示するようにする。
【0040】
ユーザは、視聴している番組Kが表示されている画面上に、番組Nのコマーシャル終了フラグが表示されるため、視覚ですぐに認識することができる。これにより、例えば、時刻t3で、ユーザは、本来視聴したい番組Nのメイン映像(本編)に切り替えを行う。
【0041】
番組Nに切り替えられると、AVデコーダ2には、番組Nのメイン映像に関するAVストリームデータが入力され、表示メモリ6には、番組Nのメイン映像に関するデコードデータが書き込まれる。これにより、本来、視聴したい番組の本編の途中にコマーシャルが入った場合、コマーシャル期間だけ他の番組に切り替え、コマーシャル終了時に元の視聴したい番組に戻すという操作が、確実に行える。すなわち、他の番組を見続けることがなく、視聴したい番組の本編を見逃さないで済む。
【0042】
図3は、図2のデータの変化に対応した画面上の表示例の時系列な変化を示す。時間軸は図の矢印に示されている。最初は、番組Nのメイン映像N(本編)が画面上に表示されている。時刻t1で、画面上の表示がメイン映像Nから番組Kの映像Kに切り替わる。次に、時刻t2で映像Kの一部に番組Nのコマーシャル終了の表示が行われる。ユーザがコマーシャル終了表示を認識して、時刻t3でチャネルを切り替え、画面上の表示を番組Nのメイン映像Nに戻す。
【0043】
次に、図4に、コマーシャル終了判定に用いるデータが映像データの場合の本発明の主要構成部におけるデータの時系列な変化を示す。図2と同様、図1に示した構成が縦軸に並べられている。ここで、図2と異なるのは、オーディオデコーダ3を用いるのではなく映像デコーダ3Aが用いられていることである。すなわち、図1のテレビジョン装置で、オーディオデコーダ3を映像デコーダ3Aに置き換えたものである。ここで、表示メモリ6、AVデコーダ2、映像デコーダ3A、コマーシャル終了検出回路5を順に縦軸に並べている。横軸は、時間軸を示し、各構成について、どのようなデータが入力されていくのかが示されている。
【0044】
t1は、ユーザが手動にてチャネルを切り替えた時刻を示す。t2は、コマーシャル終了検出回路5により、コマーシャル終了の検出が行われ、コマーシャル終了検出信号が出力された時刻を示す。t3は、ユーザが手動にてチャネルを切り替え、元の番組に戻した時刻を示す。
【0045】
最初に、ユーザが番組Nを選んでおり、番組Nのメイン映像(本編)が視聴されている。AVデコーダ2には、番組NのAVストリームデータが入力され、これをデコードしたAVデータが表示メモリ6に書き込まれ、番組Nが視聴されている状態が示されている。また、番組Nを視聴している状態で、コマーシャル検出オン/オフ回路4がオンとなっており、オン信号がトランスポートストリームデコーダ1に供給されている。そして、視聴していた番組Nにコマーシャルが流れてきたので、ユーザが時刻t1で視聴番組を番組Nから番組Kに切り替える。視聴番組が切り替わったので、AVデコーダ2には、番組KのAVストリームデータが入力され、デコードされたAVデータが表示メモリ6に書き込まれる。
【0046】
一方、コマーシャル検出オン/オフ回路4がオンとなっているので、t1の時点で、映像デコーダ3Aに、番組Kに切り替わる前の番組Nの映像ストリームデータが入力される。このとき、映像デコーダ3Aには、番組Nのコマーシャルの映像データのみが入力されている。時刻t2は、番組Nのコマーシャルが終了した時刻を示す。時刻t2で、コマーシャル終了検出回路5がコマーシャル映像からコマーシャルの終了を検出して、コマーシャル終了信号を出力する。コマーシャル終了信号は表示メモリ6に伝達され、表示メモリ6は、番組Kの映像とともに、番組Nのコマーシャル終了フラグを表示するようにする。
【0047】
図5は、図4のデータの変化に対応した画面上の表示例の時系列な変化を示す。時間軸は図の矢印に示されている。最初は、番組Nの映像Nが画面上に表示されている。時刻t1で、画面上の表示が映像Nから番組Kの映像Kに切り替わる。このとき、映像Nは映像Kの一部の子画面に表示される。これは、コマーシャル放送中の番組Nのストリームデータをデコードするに際し、映像デコーダ3Aを用いるとともに、デコードされた番組Nの映像データをコマーシャル終了信号として、コマーシャル終了検出回路5から表示メモリ6に送信しているので、番組Nの映像表示が行える。
【0048】
子画面では、映像Nで放映されているコマーシャルが表示される。次に、時刻t2で番組Nのコマーシャルが終了すると、映像Kの子画面に表示されている映像Nがメイン映像に切り替わる。ユーザが子画面に表示された番組Nのメイン映像を見て、番組Nの途中に放送されたコマーシャルの終了表示を認識する。これにより、時刻t3でチャネルを切り替えて、番組Nの映像N(メイン映像)に戻る。
【0049】
図2では、コマーシャル放送中の番組の音声ストリームデータをデコードするためにオーディオデコーダ3を用い、図4では映像ストリームデータをデコードするために映像デコーダ3Aを用いたが、これらの両方の機能を有するAVデコーダを用いるようにしても良い。
【0050】
また、コマーシャル終了検出回路5からのコマーシャル終了信号を表示メモリ6が受信して、図3、5のように、表示メモリ6にコマーシャル終了がわかるような書き込みを行うのではなく、外部に伝達されるコマーシャル終了信号を利用して、警告音や光等により、コマーシャル終了の時点をユーザに認識させるようにしても良い。光で認識させる場合は、LED等を用い、色の変化で知らせたり、光の点滅により知らせるようにしても良い。
【0051】
図6は、コマーシャルの終了時に、ユーザが手動で表示画面を元の番組に切り替えるのではなく、強制的に表示画面を元の番組に切り替える構成である。AVデコーダ2、オーディオデコーダ3、コマーシャル終了検出回路5、表示メモリ6の各構成は、図1と同じであるので、説明を省略する。ここで、図1と異なるのは、コマーシャル終了検出回路5の出力が表示メモリ6や外部に伝達されずに、トランスポートストリーム11に供給されていることである。トランスポートストリーム11は、コマーシャル終了検出回路5からのコマーシャル終了信号を受けて、AVデコーダ2に番組Nの映像データ及び音声データを入力し、表示画面を強制的に番組Kから番組Nに切り替える。
【0052】
このため、トランスポートストリーム11は、図8の構成を有するとともに、デコード中番組ID保持回路52に記憶されている番組IDを番組ID保持回路51に記憶されている番組ID(番組N)と同じIDにするようにリセットする機能が付加されている。
【0053】
以上の構成によるデータの時系列な変化を示したのが、図7である。表示メモリ6、AVデコーダ2、オーディオデコーダ3、コマーシャル終了検出回路5の各構成について、データの変化が示されている。
【0054】
表示メモリ6、AVデコーダ2、オーディオデコーダ3、コマーシャル終了検出回路5構成が縦軸に並べられている。横軸は、時間軸を示す。t1は、ユーザが手動にてチャネルを切り替えた時刻を示す。T1は、コマーシャル終了検出回路5により、コマーシャル終了の検出が行われ、コマーシャル終了検出信号が出力された時刻を示す。ここでは、図2、4のように、ユーザが手動にてチャネルを切り替えて元の番組に戻した時刻t3は存在しない。
【0055】
最初に、ユーザが番組Nを選んでおり、番組Nのメイン映像(本編)が視聴されている。AVデコーダ2には、番組NのAVストリームデータが入力され、これをデコードしたAVデータが表示メモリ6に書き込まれ、番組Nが視聴されている状態が示されている。また、番組Nを視聴している状態で、コマーシャル検出オン/オフ回路4がオンとなっており、オン信号がトランスポートストリームデコーダ1に供給されている。そして、視聴していた番組Nにコマーシャルが流れてきたので、ユーザが時刻t1で視聴番組を番組Nから番組Kに切り替える。視聴番組が切り替わったので、AVデコーダ2には、番組KのAVストリームデータが入力され、デコードされたAVデータが表示メモリ6に書き込まれる。
【0056】
一方、コマーシャル検出オン/オフ回路4がオンとなっているので、t1の時点でオーディオデコーダ3に、番組Kに切り替わる前の番組Nの音声ストリームデータが入力される。このとき、オーディオデコーダ3には、番組Nのコマーシャルの音声データのみが入力されている。時刻T1は、番組Nのコマーシャルが終了した時刻を示す。時刻T1で、コマーシャル終了検出回路5がコマーシャル映像からコマーシャルの終了を検出して、コマーシャル終了信号を出力する。コマーシャル終了信号は表示メモリ6に伝達されずに、トランスポートストリームデコーダ11に伝達される。これにより、トランスポートストリームデコーダ11は、AVデコーダ2に番組NのAVストリームデータを入力させることにより、表示画面を強制的に番組Kから番組Nに切り替える。
【0057】
以上のように、ユーザが番組のコマーシャル放映の終了を認識して、元の視聴したい番組に手動で切り替えるのではなく、コマーシャル放映の終了が検出されると、装置が強制的に番組を切り替えるので、コマーシャルの終了と同時に元の番組に切り替えが正確に行われ、視聴したい番組の本編を見逃すことがない。
【符号の説明】
【0058】
1 トランスポートストリームデコーダ
2 AVデコーダ
3 オーディオデコーダ
4 コマーシャル検出オン/オフ部
5 コマーシャル終了検出回路
6 表示メモリ
11 トランスポートストリームデコーダ
51 番組ID保持回路
52 デコード中番組ID保持回路
53 比較回路
54 トランスポートストリームデコード処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによりコマーシャル検出のオン/オフが設定されるコマーシャル検出オン/オフ部と、
符号化された視聴番組データの束であるトランスポートストリームから少なくとも2つの視聴番組データを抽出するトランスポートストリームデコーダと、
前記トランスポートストリームデコーダから出力された視聴中の視聴番組データを復号化する第1のAVデコーダと、
前記トランスポートストリームデコーダから出力された視聴番組データを復号化する第2のAVデコーダと、
前記第1のAVデコーダにより復号化されたAVデータを記憶する表示メモリと、
前記第2のAVデコーダにより復号化されたAVデータからコマーシャルの終了を判定するコマーシャル終了検出部とを備え、
視聴中の第1の視聴番組と前記コマーシャル検出オン/オフ部がオンに設定された時点で前記第1のAVデコーダに入力されていた第2の視聴番組とが異なる場合に、前記第2の視聴番組を前記トランスポートストリームデコーダから前記第2のAVデコーダに出力し、該第2のAVデコーダで復号化された第2の視聴番組データに基づいて前記コマーシャル終了検出部でコマーシャル終了の判定を行い、ユーザにコマーシャル終了通知を行うことを特徴とするテレビジョン装置。
【請求項2】
前記コマーシャル終了検出部でコマーシャル終了が検出された場合、ユーザにコマーシャル終了通知を行わずに、前記トランスポートストリームデコーダにコマーシャル終了通知を出力し、前記第2の視聴番組データを前記トランスポートストリームデコーダから第1のAVデコーダに出力することを特徴とする請求項1に記載のテレビジョン装置。
【請求項3】
前記第1の視聴番組と第2の視聴番組とが同じ場合に、前記トランスポートストリームデコーダから前記第2のAVデコーダへの出力は禁止されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のテレビジョン装置。
【請求項4】
前記第2のAVデコーダは、オーディオデコーダ又は映像デコーダのいずれかであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のテレビジョン装置。
【請求項5】
前記ユーザへのコマーシャル終了通知は、前記コマーシャル終了検出部からのコマーシャル終了信号が前記表示メモリへ書き込まれ、画面上の表示により行われることを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載のテレビジョン装置。
【請求項6】
前記ユーザへのコマーシャル終了通知は、前記コマーシャル終了検出部からのコマーシャル終了信号に基づき音又は光により行われることを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載のテレビジョン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−51568(P2013−51568A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188829(P2011−188829)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】