説明

テレビ電話機能付きコンテンツ再生装置及びテレビ電話音声処理方法

【課題】テレビ視聴とテレビ電話とを両立しようとすると、同じテレビ番組を視聴しているときにハウリングする。
【解決手段】テレビ100のTV電話制御部160は、相手機と自機で視聴中の番組が一致する場合は、マイク144から入力された音声(相手機から受信した通話音声、自機で受信してスピーカ134から出力したテレビ音声および自機の周囲の通話音声)から、相手機から受信した通話音声および自機で受信してスピーカ134から出力したテレビ音声を消去するようにエコーキャンセル部140を制御し、視聴中の番組が一致しない場合は、マイク144から入力された音声から、相手機から受信した通話音声を消去するように、エコーキャンセル部140を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像および音声から構成されるコンテンツを出力する装置(代表的にはテレビジョン受像機(以下、単にテレビまたはTVと記載))に、テレビ電話による通話を可能とする機能を設けて、コンテンツ視聴とともに、他の装置との間でテレビ電話による通話を行なうことができるようにした、画像音声通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から実現されているテレビ電話に加えて、最近では、常時接続ブロードバンド技術の進展に伴い、IP(Internet Protocol)テレビ電話が普及しつつある。このようなIPテレビ電話機では、内蔵のカメラによって撮影された映像情報、および、内蔵のマイクによって取得された音声情報を、IPネットワークを介して通信相手先に送信することが可能である。さらに、IPテレビ電話機に内蔵されたカメラおよびマイクを別体のモジュールとして、そのモジュールをパソコンに接続してIPテレビ電話を実現する場合もある。さらに、モニタの代わりにテレビの表示部を用いることもある。テレビを用いたIPテレビ電話においては、カメラおよびマイクから構成されるモジュールを、インターネット接続されたテレビに接続したり内蔵したりすることが考えられる。
【0003】
特開2007−281923号公報(特許文献1)は、カメラおよびマイクから構成されるモジュールをテレビに内蔵した装置を開示する。この装置は、テレビ電話機能を備えたテレビであって、チャンネル切換などに応じてその情報を遠隔地のテレビに送信して、遠隔地のテレビはこれを受信して遠隔地のテレビに同じ番組を表示する。両者が同じ番組を見ることにより体験共有感を演出する。このようにすると、たとえば、互いに遠隔地に住んでいる家庭どうしがテレビ鑑賞を通じて日常的に情報を交換し、お互いの様子を見守るとともに体験の共有による擬似的な団らんを演出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−281923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術を用いて、テレビ視聴とテレビ電話とを同時に実行すると、同じ番組を視聴しているときに、以下の問題が発生する。相手先のテレビにおいて、相手先のユーザの声のみならずテレビ音声もマイクに入力されてしまい、自機へ送信される。自機のスピーカから、相手先のテレビから受信した(相手先のテレビのチューナーが受信して出力した)テレビ音声が出力されてしまい、自機で受信したテレビ音声とハウリングを起こしてしまう。
【0006】
これに対応するために、相手先のテレビでは、チューナーが受信したテレビ音声をスピーカから出力しないようにすることも考えられる。しかしながら、これでは、異なる番組を視聴していた場合、相手先のテレビ音声が背景音として送信されないので、テレビ視聴とテレビ電話とを両立できない。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、テレビ視聴(広くはコンテンツ視聴)とテレビ電話とを両立することのできる、画像音声通信技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に係るテレビ電話機能付きコンテンツ再生装置は、TV電話の相手機と映像信号及び音声信号を通信するTV電話通信部と、映像信号を入力する映像入力部と、音声信号を入力する音声入力部と、コンテンツを取得する取得部と、取得部が取得したコンテンツの映像信号とTV電話通信部が取得した映像信号とを出力する映像出力部と、取得部が取得したコンテンツの音声信号とTV電話通信部が取得した音声信号とを出力する音声出力部と、音声入力部に入力された音声信号から、指定された音声信号を消去するエコーキャンセル部と、TV電話通信部に、エコーキャンセル部から出力された音声信号と映像入力部から入力された映像信号とを相手機に送信させるTV電話制御部と、を備える。このTV電話制御部は、TV電話通信部を介して相手機において視聴中のコンテンツの情報である第1コンテンツ特定情報を取得し、取得した第1コンテンツ特定情報と自機において視聴中のコンテンツの情報である第2コンテンツ特定情報とを比較し、第1コンテンツ特定情報と第2コンテンツ特定情報が一致すると判断した場合は、エコーキャンセル部に対して、音声入力部に入力された音声信号から、TV電話通信部が取得した音声信号及び取得部が取得したコンテンツの音声信号を消去させる。
【0009】
本発明の別の局面に係るテレビ電話音声処理方法は、視聴中のコンテンツの情報である第2コンテンツ特定情報を特定するステップと、TV電話の相手機と映像信号及び音声信号を送受信するステップと、自機の映像信号を入力するステップと、自機の音声信号を入力するステップと、送受信するステップを介して、相手機において視聴中のコンテンツの情報である第1コンテンツ特定情報を取得するステップと、第1コンテンツ特定情報と第2コンテンツ特定情報とを比較するステップと、第1コンテンツ特定情報と第2コンテンツ特定情報が一致する場合、入力した自機の音声信号から、送受信するステップを介して取得した音声信号及び視聴中のコンテンツの音声信号を消去した音声信号を生成するステップと、送受信するステップに、自機の映像信号及び生成した音声信号を送信させるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
上述したテレビ電話機能付きコンテンツ再生装置によると、相手機と自機で同じコンテンツを視聴していると判定されると、音声入力部から入力された音声のうち、相手機から受信した相手側音声および自機で取得したコンテンツ音声が消去されて、相手機に送信される。このため、相手機から、相手機が出力したコンテンツ音声が消去されて送信されてくるので、自機でコンテンツ音声がハウリングすることを回避できる。さらに、相手機と自機で同じコンテンツを視聴していると判定されないと、音声入力部から入力された音声のうち、相手機から受信した相手側音声が消去されて、相手機に送信される。このため、相手機から、相手機が取得したコンテンツ音声が消去されないで送信されてくるので、相手機が自機とは異なるコンテンツを視聴していることがわかるとともに、そのコンテンツを視聴しているときの相手の声を聞くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るTV電話システムの全体構成図
【図2】図1のTVのハードウェア構成図
【図3】図2のTV電話制御部で実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態に係るTV電話システムの動作を説明するための図(その1)
【図5】本発明の実施の形態に係るTV電話システムの動作を説明するための図(その2)
【図6】本発明の実施の形態に係るTV電話システムの動作を説明するための図(その3)
【図7】本発明の実施の形態に係るTV電話システムの動作を説明するための図(その4)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態に係るTV電話システムについて説明する。以下の説明においては、同一の構成には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能は同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
(構成)
図1を参照して、本実施の形態に係るTV電話システムは、地上放送局からのデジタル放送波または放送衛星からのデジタル放送波を受信して映像と音声とを出力するテレビ機能に加えてTV電話機能を備えた2台のテレビ(テレビ電話機能付きコンテンツ再生装置)100を、ネットワークで接続したシステムである。なお、放送された電波に限定されず、TV機能に代えて/加えて、ネットワークを介して受信したコンテンツデータに基づいて映像と音声とを出力する機能を有しても構わない。このテレビ100が、テレビ電話機能付きコンテンツ再生装置の一例である。
【0014】
これらのテレビ100は、相手先のテレビ100において視聴中の番組情報(第1コンテンツ特定情報)を取得し、同一番組を視聴中であると(第1コンテンツ特定情報と自機において視聴中の番組情報(第2コンテンツ特定情報)とが一致していると)判断した場合は、マイク144から入力された音声(相手機から受信した通話音声、自機で受信してスピーカ134から出力したテレビ音声および自機の周囲の通話音声)から、相手機から受信した通話音声および自機で受信してスピーカ134から出力したテレビ音声を消去して、自機の周囲の通話音声のみを相手機へ送信するという特徴を備える。図1に示すシステム構成図においては、機能が全く同じテレビ100どうしをネットワーク接続しているが、上述した特徴を実現するための機能を備えたテレビであればよく、全く同じ機能を備えるテレビである必要はない。
【0015】
図1に示すように、これらのテレビ100は、映像を出力する液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイ等からなるモニタ124と、音声を出力するスピーカ134と、テレビ電話用の音声が入力されるマイク144および映像が入力されるカメラ154とを備える。
【0016】
図2に、テレビ100のハードウェア構成図を示す。チューナー(取得部)102は、アンテナ(図示せず)で受信したデジタル放送波を受けて、復調などの処理を行った信号をDEMUX回路104へ送る。DEMUX回路104は、チューナー102から受けた信号をMPEGデータと番組付属情報とに分離して、MPEGデータをデコード部106へ送る。デコード部106は、DEMUX回路104から受けたMPEGデータを復調し、得られた映像信号を映像合成部120へ、音声信号を音声合成部130へ送る。
【0017】
メインメモリ108は、番組付属情報などを格納する。番組表制御部110は、メインメモリ108の番組付属情報などから、現在視聴中の番組情報をTV電話制御部160へ送る。
【0018】
映像合成部120は、デコード部106から送られた映像信号とTV電話制御部160で生成した映像信号とを合成した信号を、映像出力回路122へ送る。映像出力回路122は、映像合成部120から送られた映像信号をモニタ124へ出力する。映像合成部120と映像出力回路122とモニタ124とで映像出力部121を構成する。
【0019】
音声合成部130は、デコード部106から送られた音声信号とTV電話制御部160で生成した音声信号とを合成した信号を、音声出力回路132へ送る。音声出力回路132は、音声合成部130から送られた音声信号をスピーカ134へ出力する。音声合成部130と音声出力回路132とスピーカ134とで音声出力部131を構成する。
【0020】
音声入力回路142は、マイク144から入力された音声信号をエコーキャンセル部140へ送る。映像入力回路152は、カメラ154から入力された映像信号をTV電話制御部160へ送る。音声入力回路142とマイク144とで音声入力部141を構成し、映像入力回路152とカメラ154とで映像入力部151を構成する。
【0021】
ネットワーク制御部(テレビ電話通信部)170は、TV電話制御部160と通信して、相手側のテレビ100(相手機)にTV電話の映像信号および音声信号を送信したり、相手機からTV電話の映像信号および音声信号を受信したりする。
【0022】
リモコン受光部180は、ユーザ操作などによる外部要求を受信して、リモコン制御部182へ通知する。リモコン制御部182は、ユーザの操作に応じて、TV電話についての要求を、TV電話制御部160へ送る。
【0023】
TV電話制御部160は、ユーザ操作等により、TV電話が開始されたときに、相手機のTV電話制御部160に、視聴中の番組情報(第1コンテンツ特定情報)を問い合わせる。さらに、TV電話制御部160は、自機側のテレビ100(自機)で現在視聴中の番組情報(第2コンテンツ特定情報)と、相手機で現在視聴中の番組情報とが一致するか否かを判定する。
【0024】
TV電話制御部160は、視聴中の番組が一致すると判定すると、エコーキャンセル部140へ、マイク144から入力された音声(相手機から受信した通話音声、自機で受信してスピーカ134から出力したテレビ音声および自機の周囲の通話音声)から、相手機から受信した通話音声および自機で受信してスピーカ134から出力したテレビ音声を消去するように指示する。
【0025】
TV電話制御部160は、視聴中の番組が一致しないと判定すると、エコーキャンセル部140へ、マイク144から入力された音声(相手機から受信した通話音声、自機で受信してスピーカ134から出力したテレビ音声および自機の周囲の通話音声)から、相手機から受信した通話音声のみを消去するように指示する。
【0026】
エコーキャンセル部140は、上述したように、TV電話制御部160からの指示に基づいて、音声入力回路142からの音声から、相手機から受信した通話音声および自機で受信してスピーカ134から出力したテレビ音声を消去したり、相手機から受信した通話音声のみを消去したりする。このとき、エコーキャンセル部140は、TV電話制御部160から送られた相手機から受信した通話音声信号およびデコード部106から送られたTV音声信号を基準信号として、指示された音声を消去する。
【0027】
(ソフトウェア構成)
図3を参照して、TV電話制御部160で実行されるTV電話音声処理の制御構造について説明する。ステップ(以下、ステップをSと記載)1000にて、TV電話制御部160は、リモコン等を用いたユーザの指示に基づいて、TV電話を開始する要求を検出したか否かを判定する。TV電話を開始する要求を検出したと判定されると(S1000にてYES)、処理はS1010へ移される。もしそうでないと(S1000にてNO)、この処理はS1000へ移される。
【0028】
S1010にて、TV電話制御部160は、通話処理を開始する。このとき、TV電話制御部160は、通信プロトコルに基づいてTV電話が実現できるように処理する。S1020にて、TV電話制御部160は、相手機へ視聴中の番組情報を問い合わせる。ここで、TV電話制御部160は、所定のプロトコル(たとえばhttp)を用いて、相手機へ番組情報を問い合わせる。なお、視聴中の番組情報の問い合わせを受けたテレビ100のTV電話制御部160は、相手機へ番組情報を送信する。ここで、番組情報は、コンテンツ特定情報の一例である。
【0029】
S1030にて、TV電話制御部160は、番組情報を相手機から受信したか否かを判定する。番組情報を相手機から受信すると(S1030にてYES)、処理はS1040へ移される。もしそうでないと(S1030にてNO)、この処理はS1030へ移される。
【0030】
S1040にて、TV電話制御部160は、予め定められた時間、双方(相手機、自機)ともチャンネル変更されていないか否かを判定する。このように判定するのは、ザッピング(リモコンでチャンネルを頻繁に切り替えながら視聴する行為)による誤動作を防止するためである。予め定められた時間、双方ともチャンネル変更されていないと判定されると(S1040にてYES)、処理はS1050へ移される。もしそうでないと(S1040にてNO)、この処理はS1020へ移される。
【0031】
S1050にて、TV電話制御部160は、自機と相手機とで同じ番組を視聴しているか否かを判定する。このとき、TV電話制御部160は、番組表制御部110から送られた番組情報(自機)と、受信した番組情報(相手機)とに基づいて判定する。自機と相手機とで同じ番組を視聴していると判定されると(S1050にてYES)、処理はS1060へ移される。もしそうでないと(S1050にてNO)、処理はS1070へ移される。
【0032】
S1060にて、TV電話制御部160は、自機のマイク144から入力された信号から、相手機から受信した音声信号および自機のスピーカ134からの出力TV音声信号を消去するように、エコーキャンセル部140に指示する。なお、自機のマイク144から入力された信号には、相手機から受信した音声信号および自機のスピーカ134からの出力TV音声信号に加えて、自機の周囲の人の音声信号が含まれる。ここで、相手機も同じ処理を実行するので、相手機から受信した音声信号には、背景のTV音声信号は含まれておらず、相手機の周囲の人の音声信号のみが含まれている。その後、処理はS1080へ移される。
【0033】
S1070にて、TV電話制御部160は、自機のマイク144から入力された信号から、相手機から受信した音声信号を消去するように、エコーキャンセル部140に指示する。ここで、同じ処理を相手機も実行するので、相手機から受信した音声信号には、背景のTV音声信号に加えて、相手機の周囲の人の音声信号が含まれている。その後、処理はS1080へ移される。
【0034】
S1080にて、TV電話制御部160は、通話処理を実行する。このとき、エコーキャンセル部140で消去されなかった音声信号が相手機へネットワークを介して送信される。
【0035】
S1090にて、TV電話制御部160は、リモコン等を用いたユーザの指示に基づいて、TV電話を終了する要求を検出したか否かを判定する。TV電話を終了する要求を検出したと判定されると(S1090にてYES)、処理はS1100へ移される。もしそうでないと(S1090にてNO)、この処理はS1110へ移される。
【0036】
S1100にて、TV電話制御部160は、通話処理を終了する。その後、この処理は終了する。
【0037】
S1110にて、TV電話制御部160は、チャンネル変更されたか否かを判定する。チャンネル変更されたと判定されると(S1110にてYES)、処理はS1020へ移される。もしそうでないと(S1110にてNO)、この処理はS1080へ移される。
【0038】
(動作)
以上のような構造及びフローチャートに基づく本実施の形態に係るテレビ100の動作について説明する。
【0039】
・視聴している番組が同じである場合
以下において、自機と相手機とで同じ番組を視聴している場合の動作を図4および図5を用いて説明する。
【0040】
TV電話が開始されて(S1000にてYES、S1010)、相手機へ視聴中の番組情報が問合せされて(S1020)、番組情報を受信する(S1030)。予め定められた時間において、図4に示すように同じ番組を視聴している場合には(S1040にてYES、S1050にてYES)、自機のマイク144から入力された信号から、相手機から受信した音声信号および自機のスピーカ134からの出力TV音声信号が、エコーキャンセル部140により消去される(S1060)。
【0041】
自機も相手機も同じ制御を実行するので、図5に示すように、スピーカ134からは、相手機から受信した通話音声(背景TV音なしで相手の声のみ)および自機で受信してデコードした放送音声が出力される。マイク144では、スピーカ134から出力された音声に加えて、自機の周囲の音声(ここでは自分の音声とする)が入力される。
【0042】
マイク144から入力された音声のうち、相手機から受信した通話音声(背景TV音なしで相手の声のみ)および自機で受信してデコードした放送音声が消去されて、通話処理が行われて、映像信号および音声信号(自分の声のみ)が相手機に送信される(S1080)。このような処理が、TV電話の終了要求を検出するまで継続される。このため、相手機から、相手機が受信して出力したTV音声信号が消去されて送信されてくるので、自機でTV音声がハウリングすることを回避できる。
【0043】
・視聴している番組が同じでない場合
以下において、自機と相手機とで異なる番組を視聴している場合の動作を図6および図7を用いて説明する。上述した動作と同じ説明は繰り返さない。
【0044】
予め定められた時間において、図6に示すように異なる番組を視聴している場合には(S1040にてYES、S1050にてNO)、自機のマイク144から入力された信号から、相手機から受信した音声信号が、エコーキャンセル部140により消去される(S1070)。
【0045】
自機も相手機も同じ制御を実行するので、図7に示すように、スピーカ134からは、相手機から受信した通話音声(背景TV音+相手の声)および自機で受信してデコードした放送音声が出力される。マイク144では、スピーカ134から出力された音声に加えて、自機の周囲の音声(ここでは自分の音声とする)が入力される。
【0046】
マイク144から入力された音声のうち、相手機から受信した通話音声(背景TV音+相手の声)が消去されて、通話処理が行われて、映像信号および音声信号(自機のTV音声および自分の声のみ)が相手機に送信される(S1080)。このような処理が、TV電話の終了要求を検出するまで継続される。このため、相手機から、相手機が受信して出力したTV音声信号が消去されないで送信されてくるので、相手機が自機とは異なる番組を視聴していることがわかるとともに、その番組を視聴しているときの相手の声を聞くことができる。
【0047】
なお、いずれの動作においても、同じ番組を視聴しているか否かに関わらず、相手機から受信した通話音声(背景TV音なしで相手の声のみ、または、背景TV音および相手の声)は消去されるので、自機で音声がハウリングすることを回避できる。
【0048】
(変形例)
なお、本発明の実施の形態については、以下のように変形することができる。
(1)受信する放送波は、デジタル放送波でなく、アナログ放送波でも構わない。
(2)ネットワーク回線を介した動画再生中であっても、番組情報の代わりに、たとえばURL(Uniform Resource Locators)のようなコンテンツを一意に識別できる識別子(コンテンツ特定データ)を利用することで、上述と同様の制御を行うことができる。すなわち、現在再生されているコンテンツの一致/不一致により、エコーキャンセル部におけるTV電話における音声信号の消去を決定する。
(3)現在視聴中の番組を示す番組情報は、相手機からの問合せ(TV電話開始時およびチャンネル変更時に送信される問合せ)に応答して相手機へ送信するようにしているが、一定時間毎に相手機へ送信するようにしても構わない。
(4)現在視聴中の番組を示す番組が変更されると(問合せるのではなく)、番組情報を相手機へ送信するようにしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、たとえば、テレビ視聴(広くはコンテンツ視聴)とテレビ電話とを両立することのできる、画像音声通信に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100 テレビ
124 モニタ
134 スピーカ
140 エコーキャンセル部
144 マイク
154 カメラ
160 TV電話制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TV電話の相手機と映像信号及び音声信号を通信するTV電話通信部と、
映像信号を入力する映像入力部と、
音声信号を入力する音声入力部と、
コンテンツを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記コンテンツの映像信号と前記TV電話通信部が取得した映像信号とを出力する映像出力部と、
前記取得部が取得した前記コンテンツの音声信号と前記TV電話通信部が取得した音声信号とを出力する音声出力部と、
前記音声入力部に入力された前記音声信号から、指定された音声信号を消去するエコーキャンセル部と、
前記TV電話通信部に、前記エコーキャンセル部から出力された音声信号と前記映像入力部から入力された映像信号とを前記相手機に送信させるTV電話制御部と、を備え、
前記TV電話制御部は、前記TV電話通信部を介して前記相手機において視聴中のコンテンツの情報である第1コンテンツ特定情報を取得し、取得した前記第1コンテンツ特定情報と自機において視聴中のコンテンツの情報である第2コンテンツ特定情報とを比較し、前記第1コンテンツ特定情報と前記第2コンテンツ特定情報が一致すると判断した場合は、前記エコーキャンセル部に対して、前記音声入力部に入力された前記音声信号から、前記TV電話通信部が取得した音声信号及び前記取得部が取得した前記コンテンツの音声信号を消去させる、ことを特徴とするテレビ電話機能付きコンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記TV電話制御部は、前記第1コンテンツ特定情報と前記第2コンテンツ特定情報が一致しないと判断した場合は、前記エコーキャンセル部に対して、前記音声入力部に入力された前記音声信号から、前記TV電話通信部が取得した音声信号を消去させる、ことを特徴とする請求項1に記載のテレビ電話機能付きコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記TV電話制御部は、予め定められた時間、前記第1コンテンツ特定情報と前記第2コンテンツ特定情報とを比較する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のテレビ電話機能付きコンテンツ再生装置。
【請求項4】
前記TV電話制御部は、TV電話の開始時、前記第2コンテンツ特定情報が変更された時または一定時間毎に、前記TV電話通信部を介して前記第1コンテンツ特定情報を取得する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のテレビ電話機能付きコンテンツ再生装置。
【請求項5】
視聴中のコンテンツの情報である第2コンテンツ特定情報を特定するステップと、
TV電話の相手機と映像信号及び音声信号を送受信するステップと、
自機の映像信号を入力するステップと、
自機の音声信号を入力するステップと、
前記送受信するステップを介して、前記相手機において視聴中のコンテンツの情報である第1コンテンツ特定情報を取得するステップと、
前記第1コンテンツ特定情報と前記第2コンテンツ特定情報とを比較するステップと、
前記第1コンテンツ特定情報と前記第2コンテンツ特定情報が一致する場合、入力した前記自機の音声信号から、前記送受信するステップを介して取得した前記音声信号及び前記視聴中のコンテンツの音声信号を消去した音声信号を生成するステップと、
前記送受信するステップに、前記自機の映像信号及び前記生成した音声信号を送信させるステップと、
を有することを特徴とするテレビ電話音声処理方法。
【請求項6】
前記第1コンテンツ特定情報と前記第2コンテンツ特定情報が一致しない場合、入力した前記自機の音声信号から、前記送受信するステップを介して取得した前記音声信号を消去した音声信号を生成するステップと、
を更に有することを特徴とする請求項5に記載のテレビ電話音声処理方法。
【請求項7】
前記比較するステップは、予め定められた時間、前記第1コンテンツ特定情報と前記第2コンテンツ特定情報とを比較する、ことを特徴とする請求項5または6に記載のテレビ電話音声処理方法。
【請求項8】
前記第1コンテンツ特定情報を取得するステップは、TV電話の開始時、前記第2コンテンツ特定情報が変更された時または一定時間毎に、前記送受信するステップを介して前記第1コンテンツ特定情報を取得する、ことを特徴とする請求項5または6に記載のテレビ電話音声処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−175192(P2012−175192A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32557(P2011−32557)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】