説明

テーパー付きの光学要素を光ファイバに連結する方法

【課題】
【解決手段】光ファイバ連結器は、金属管20と、透明な中空シリコーン挿入体10とを備え、また、第一の組みの把み部11を有するテーパー付き領域15と、第二の組みの把み部12を有する一定領域面積17とを備えている。標準的な圧着工具を使用する等により金属管及びシリコーン挿入体を第一及び第二の組みの把み部に近接して圧着することにより、テーパー付きの光学要素及び光ファイバが機械的に固定されたとき、テーパー付きの光学要素40は、光ファイバ50に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ照明の分野に関し、より具体的には、テーパー付きの光学要素を光ファイバに取り付けるのに適した連結器に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルを互いに連結する方法が既知であるが、かかる方法は、モーフィングコンセントレータ( morphing concentrator)のようなテーパー付きの光学要素を光ファイバに連結するのには不適当であることが判明している。このため、光ファイバを特に非画像光学素子の用途のためのテーパー付きの非画像用光学要素に経済的に連結し得ることが課題とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、テーパー付きの光学要素を光ファイバに連結するため連結器を使用する装置及び方法について説明する。1つの好ましい実施の形態において、本発明の連結器は、光ファイバ及びテーパー付きの非画像用光学要素を整合させるために使用される、中空のシリコーン挿入体を金属管内に備えている。圧着工具は、光ファイバ及び非画像用光学素子を整合状態に固定するのに十分、金属管及び連結器を変形させる。シリコーン挿入体は、全内部応力を損失せずに、非画像用光学素子と直接接触することを可能にする。本発明によれば、シリコーン挿入体は、部品の周りに締結するため「把み造作部」を有している。好ましくは、屈折率合致媒質が部品の両面と接触し、フレネル反射損失を8%から1%以下に減少させるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一の形態に従い、本発明は、テーパー付きの光学要素用の光ファイバ連結器であって、
内周面と、第一の開放した円形端部と、第二の開放した円形端部とを有する金属管と、
該金属管内に配置され且つ、該金属管の内周面と当接する、テーパー付きの光学要素よりも小さい屈折率を有する透明な中空挿入体とを有し、
中空挿入体は、
中心軸線に沿って第一の所定の距離だけ第一の開放した円形の端部から伸びるテーパー付きの入力領域であって、第一の複数の把み部を有し、第一の複数の把み部の各々1つは、金属管の内周面から半径方向に伸び、第一の複数の把み部は、第一の開放した円形の端部から伸びる円錐体の第一の部分を全体的に画成する上記テーパー付きの入力領域と、
第一の開放した円形端部から第一の所定の距離にて開始し且つ、中心軸線に沿って、第二の所定の距離だけ伸びる連結領域であって、その半径方向厚さが第一の開放した円形の端部から伸びる円錐体の第二の部分を画成する上記連結領域と、
第一の開放した円形の端部から第二の所定の距離にて開始し且つ、中心軸線に沿って第二の開放した円形の端部まで伸びる一定面積の領域であって、第二の複数の把み部を有し、該第二の複数の把み部の各々1つは、第三の所定の距離だけ内周面から半径方向に伸びる上記一定面積の領域と、を備える、光ファイバ連結器を提供するものである。
【0005】
第二の形態によれば、本発明は、テーパー付きの光学要素を光ファイバに連結する方法であって、
第一の開放した円形の端部と、第二の開放した円形の端部とを有する金属管の内周面上に透明なシリコーン挿入体を配置するステップと、
上記金属管の内周面から半径方向に伸びる第一の複数の把み部を有するテーパー付きの入力領域を上記透明なシリコーン挿入体から形成するステップと、
上記第一の開放した円形の端部から第一の所定の距離にて開始し且つ、上記金属管の中心軸線に沿って第二の所定の距離を伸びる連結領域を上記透明なシリコーン挿入体から形成するステップと、
上記金属管の内周面から半径方向に伸びる第二の複数の把み部を有する一定面積の領域を上記透明なシリコーン挿入体から形成するステップと、
上記テーパー付きの光学要素を上記金属管の第一の開放した円形の端部内に挿入し且つ、上記第一の複数の把み部と接触するようにするステップと、
上記光ファイバを上記金属管の第二の開放した円形の端部内に挿入し且つ、上記第二の複数の把み部と接触するようにするステップと、
テーパー付きの光学要素及び光ファイバを機械的に連結し得るように上記金属管を圧着するステップとを備える、上記方法を提供する。
【0006】
本発明の新規な特徴は、本発明の以下の詳細な説明を検討することにより当該技術分野の当業者に明らかになり、又は、本発明を実施することにより理解することができる。しかし、当該技術分野の当業者には、本発明の範囲及び精神の範囲内にて色々な変更例及び形態変更例が本発明の以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるため、本発明の詳細な説明及び記載した具体的な実施例は、本発明の特定の実施の形態を示す一方にて、単に説明のためにのみ掲げたものであることを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
先ず、図1を参照すると、本発明の1つの実施の形態に従った光ファイバ連結器は、変形可能な管20内にシリコーンのような材料で出来た透明な中空挿入体10を備えている。透明な中空挿入体に対して使用した材料は、漏光を防止するため、テーパー付き光学要素よりも小さい屈折率を有するか又は中空挿入体10とテーパー付き光学要素との間に低屈折率の被覆が提供されることが望ましい。1つの特定の実施の形態において、管20は、金属製であり、また、5.7mmの外径及び5.2mmの内径を有する。
【0008】
図2には、連結要素として使用する前における、図1の光ファイバ連結器の内部構造体が示されている。透明な中空挿入体10は、テーパー付き入力領域15と、連結領域16と、一定の面積領域17とから成っており、また、金属管20の内面に対して配置された成形部分であることが望ましい。テーパー付き入力領域15は、次第に互いに接近する第一の組みの把み部により画成される。第一の組みの把み部11の各々1つは、金属管20の内周面から半径方向に伸び且つ、全体的に円錐体の第一の部分を画成する。好ましくは、この円錐体のテーパーはテーパー付き光学要素のテーパーと合致するものとする。
【0009】
一定面積の出力領域17は、互いに等しく隔てられた第二の組みの把み部12により画成される。第二の組みの把み部12の各々1つは、所定の距離に亙って内周面から半径方向に伸びている。望ましくは、この所定の距離は、光ファイバの直径に合致するものとする。
【0010】
望ましくは、これらの把み部領域は、以下に説明するように、パラディン(Paladin)が製造するクリンプオールシリーズ(CrimpAll series)のような標準的な圧着工具を使用することを許容する圧着領域を提供するものとする。
【0011】
次に図3を参照すると、金属管20と透明な中空挿入体10とを備える、光ファイバ連結器の圧着工程前の状態が示されている。上述したように、透明な中空挿入体は、第一の組みの把み部11を含むテーパー付き領域15と、連結領域と、第二の組みの把み部12を含む一定面積の領域17とから成っている。テーパー付きの光学要素40は、本発明の連結器内にて光ファイバケーブル50に隣接する位置に配置されている。テーパー付きの光学要素40は、テーパー付きの入力領域15内に挿入され、光ファイバケーブル50は、連結器の他端を通じて一定面積の領域17内に挿入されている。テーパー付きの光学要素40及びファイバケーブル50の双方は、連結領域16内に突き出し、ここで、透明な中空挿入体の材料は、テーパー付きの光学要素40の一部分を収容するのに十分な可撓性を有する。テーパー付きの光学要素40と光ファイバ50の合わさる面の間に屈折率合致媒質60が配置されている。
【0012】
1つの好ましい実施の形態において、屈折率合致媒質は、製造中、連結器の中心に射出され、使用前に、硬化し又は乾燥することはないマイクロエンキャップシリコーン60である。対向する光学素子の面から接触したとき、封入剤は破断し、屈折率合致媒質は光学素子と接触する。この好ましい実施の形態において、屈折率合致媒質60は、テーパー付き光学要素40の1つの面と光ファイバ50の相応する面との間の光学的境界面に挿入される。
【0013】
別の実施の形態において、屈折率合致媒質は、透明な中空挿入体10の一部であるシリコーンの薄膜である。圧着したとき、膜が連結媒質を提供するのに十分流れるのを許容し得るように十分なエネルギが膜に付与される。
【0014】
次に、圧着工程後の本発明の連結器を示す図4について説明する。テーパー付き光学要素40及び光ファイバケーブル50が連結器内に挿入された後、これらは、第一の圧着領域31及び第二の圧着領域32にて金属管20及び連結器10を圧着することにより、機械的に連結される。
【0015】
図5には、マイクロエンキャップシリコーン61が透明な中空挿入体の連結器領域16内に埋め込まれ又は射出される、本発明の第二の実施の形態が示されている。圧着工程中、マイクロカプセルの一部は、図6に示すように、破断し、屈折率合致シリコーン60を解放する。この屈折率合致シリコーン60は、テーパー付き光学要素40及び光ファイバ50の対向する面を光学的に接続する。
【0016】
テーパー付きの光学要素は、次のステップを使用し本発明の連結器を用いて光ファイバに連結される。第一に、テーパー付きの光学要素40を連結器の第一の開放した円形端部内に挿入し且つ、第一の組みの把み部11と接触するようにする。次に、光ファイバ50を連結器の第二の開放した円形端部内に挿入し且つ、第二の組みの把み部12と接触させる。最後に、連結器の外部を構成する金属管20を圧着してテーパー付きの光学要素40及び光ファイバ50を機械的に連結する。
【0017】
代替的な実施の形態
発明の精神又は範囲から逸脱せずに代替的な実施の形態が案出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の特定の一例としての実施の形態に従った光ファイバ連結器を示す図である。
【図2】使用する前の、本発明に従った図1の光ファイバ連結器の内部構造を示す図である。
【図3】圧着する前の、本発明の光ファイバ連結器の第一の実施の形態を使用して光ファイバに光学的に接続されるテーパー付きの光学要素を示す図である。
【図4】圧着後の、図3の光ファイバ連結器を示す図である。
【図5】圧着前の、本発明の光ファイバ連結器の第二の実施の形態を使用して光ファイバに光学的に接続されるテーパー付きの光学要素を示す図である。
【図6】圧着後の、図5の光ファイバ連結器を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパー付きの光学要素を連結する光ファイバ連結器において、
a)内周面と、第一の開放した円形端部と、第二の開放した円形端部と、中央軸線とを有する金属管(20)と、
b)前記金属管の内周面内に配置された透明な中空挿入体(10)とを有し、
i)前記中空挿入体は、
前記中心軸線に沿って第一の所定の距離だけ前記第一の開放した円形の端部から伸びるテーパー付きの入力領域(15)であって、第一の複数の把み部(11)を有し、前記第一の複数の把み部の各々1つは、前記金属管の内周面から半径方向に伸び、前記第一の複数の把み部は、前記第一の開放した円形の端部から伸びる円錐体の第一の部分を全体的に画成する、上記テーパー付きの入力領域(15)と、
ii)前記第一の開放した円形端部から前記第一の所定の距離にて開始し且つ、前記中心軸線に沿って、第二の所定の距離だけ伸びる連結領域(16)であって、前記連結領域の半径方向厚さは、前記第一の開放した円形の端部から伸びる前記円錐体の第二の部分を画成する、前記連結領域(16)と、
iii)前記軸線に沿って前記第二の開放した円形の端部まで伸びる一定面積の領域(17)であって、第二の複数の把み部(12)を有し、前記第二の複数の把み部の各々1つは、第三の所定の距離だけ前記内周面から半径方向に伸びる前記一定面積の領域(17)と、を備える、テーパー付きの光学要素を連結する光ファイバ連結器。
【請求項2】
請求項1の連結器において、前記第一の開放した円形の端部内に挿入された前記テーパー付きの光学要素と、前記第二の開放した円形の端部内に挿入された前記光ファイバとを組み合わせて備え、前記金属管は、テーパー付きの光学要素及び光ファイバを整合状態に固定し得るように変形する、連結器。
【請求項3】
請求項2の組み合わせ体において、前記テーパー付きの光学要素及び前記光ファイバの対向する面と光学的に連通する屈折率合致媒質(60)を更に備える、組み合わせ体。
【請求項4】
請求項3の組み合わせ体において、前記屈折率合致媒質がマイクロエンキャップシリコーンである、組み合わせ体。
【請求項5】
請求項1の連結器において、前記金属管は、約5.7mmの外径及び約5.2mmの内径を有する、連結器。
【請求項6】
請求項1の連結器において、前記透明な中空挿入体はシリコーンで出来ている、連結器。
【請求項7】
テーパー付きの光学要素(40)を光ファイバ(50)に連結する方法において、
a)第一の開放した円形端部及び第二の開放した円形端部を有する変形可能な管(20)の内周面内にテーパー付きの要素よりも小さい屈折率を有する透明な中空挿入体を配置するステップを備え、
前記透明な中空挿入体は、
i)前記変形可能な管の内周面から半径方向に伸びる第一の複数の把み部(11)を備えるテーパー付きの入力領域(15)と、
ii)前記第一の開放した円形端部から第一の所定の距離にて開始し且つ、前記変形可能な管の中心軸線に沿って、第二の所定の距離だけ伸びる連結領域(16)と、
iii)前記変形可能な管の内周面から半径方向に伸びる第二の複数の把み部(12)を有する一定面積の領域(17)と、を備え、
b)前記テーパー付きの光学要素を前記変形可能な管の前記第一の開放した円形の端部内に挿入し且つ、前記第一の複数の把み部と接触するようにするステップと、
前記光ファイバを前記変形可能な管の前記第二の開放した円形の端部内に挿入し且つ、前記第二の複数の把み部と接触するようにするステップと、
d)テーパー付きの光学要素及び光ファイバを機械的に固定し得るように前記変形可能な管を前記第一及び第二の複数の把み部にて圧着するステップと、を備える、テーパー付きの光学要素(40)を光ファイバ(50)に連結する方法。
【請求項8】
請求項7の方法において、
a)前記テーパー付きの光学要素と前記光ファイバの相応する面との間に屈折率合致媒質(60)を提供するステップを更に備える、方法。
【請求項9】
請求項7の方法において、前記変形可能な管を圧着するステップは、
a)前記変形可能な管を前記第一の複数の把み部に接近して第一の圧着領域にて圧着し、これにより前記テーパー付きの光学要素を機械的に固定するステップと、
b)前記変形可能な管を前記第二の複数の把み部に接近して第二の圧着領域にて圧着し、これにより前記光ファイバを機械的に固定するステップと、を更に備える、方法。
【請求項10】
請求項6の方法において、変形可能な管は金属管であり、透明な中空挿入体は成形したシリコーン部分であり、前記配置するステップは、
a)成形した部品を金属管の内周面と接触するように挿入するステップを備える、方法。
【請求項11】
テーパー付きの光入力部を光ファイバの出力部に連結する光ファイバ連結器において、
a)変形可能な管と、
b)前記管内に配置され且つ、前記管の内面と当接する中空のシリコーン挿入体とを備え、該シリコーン挿入体は、
i)半径方向内方に伸びる第一の組みの把み部を有し、その内部にてテーパー付きの光入力部が伸びるテーパー付きの入力領域と、
ii)半径方向内方に伸びる第二の組みの把み部を有し、その内部にてテーパー付きの光出力部が伸びる一定半径の出力領域と、
iii)前記テーパー付きの入力領域と前記一定半径の出力領域との間にあり、その内部にてテーパー付きの光入力部及び光ファイバの出力部の対向する面が互いに合わさる連結領域とを備える、光ファイバ連結器。
【請求項12】
請求項11のファイバ連結器において、シリコーン挿入体のテーパー付きの入力領域におけるテーパーは、テーパー付きの光入力部のテーパーと合致する、ファイバ連結器。
【請求項13】
請求項12のファイバ連結器において、前記第一の組みの把み部は、次第に前記結合領域に向けて接近する、ファイバ連結器。
【請求項14】
請求項13のファイバ連結器において、前記第二の組みの把み部は、前記一定半径の出力領域にて互いから等距離隔てられる、ファイバ連結器。
【請求項15】
請求項11のファイバ連結器において、前記変形可能な管は金属製であり、前記中空のシリコーン挿入体は、前記金属管内に挿入され且つ、該金属管の内面と当接する成形した部品である、ファイバ連結器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−524858(P2007−524858A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500874(P2006−500874)
【出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/000510
【国際公開番号】WO2004/063781
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】