説明

テーブル支持機構

【課題】 移動テーブルを確実に支持するとともに、全体を比較的コンパクトにすることができるテーブル支持機構を提供すること。
【解決手段】 一側面に設けられた第1支持面10及びこの一側面と反対側に設けられた第2支持面12を有するベース体2と、第1支持面10に第1支持機構18を介して移動自在に支持された第1移動部材4と、第2支持面12に第2支持機構20を介して移動自在に支持された第2移動部材6と、一側部側が第3支持機構32を介して第1移動部材4に、他側部側が第4支持機構34を介して第2移動部材6に移動自在に支持された移動テーブル8と、を備えたテーブル支持機構。第1及び第2支持機構18,20はベース体2に対して所定方向に延び、第3支持機構32は所定方向に対して所定角度傾斜して延び、第4支持機構は所定方向に対して垂直方向に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の工具ホルダ、加工物ホルダなどを取り付けるための移動テーブルを支持するテーブル支持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
移動テーブルを支持するテーブル支持機構として、ベース部材と、このベース部材に所定方向に移動自在に支持された第1及び第2移動部材と、一端側が第1移動部材に、他端側が第2移動部材に支持された移動テーブルとを備え、第1及び第2移動部材が所定方向(第1方向)に移動自在にベース部材に支持され、移動テーブルの一端側が第1移動部材に所定方向に垂直な方向(第2方向)に移動自在に支持され、この移動部材の他端側が第2方向に対して傾斜した方向(第3方向)に移動自在に支持されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このテーブル支持機構では、例えば、第1及び第2移動部材を第1方向に同速度で移動させることによって、移動テーブルを第1方向に移動させることができ、第1移動部材を停止した状態で第2移動部材を第1方向に移動させることによって、移動テーブルを第2方向に移動させることができ、また第1及び第2移動部材を相互に異なる速度で第1方向に移動させることによって、移動テーブルを第1方向に移動させながら第2方向に移動させることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−79527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなテーブル支持機構には、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、ベース部材の上面に第1及び第2移動部材が第1方向に間隔をおいて配置される構成であり、それ故に、テーブル支持機構全体の薄型化を達成することができるが、この第1方向に細長い構造となり、テーブル支持機構全体が大きくなって小型の装置に適用が困難である。第2に、第1及び第2移動部材を移動させるためにリニアモータ手段を用いた場合、リニアモータ手段の駆動用磁石とベース体との間に磁気的吸引作用が働き、第1及び/又は第2移動部材を移動させる際に、この磁気的吸引作用が抵抗となる。
【0006】
本発明の目的は、移動テーブルを確実に支持するとともに、全体をコンパクトにすることができるテーブル支持機構を提供することである。
本発明の他の目的は、移動テーブルを移動させるための駆動手段としてリニアモータ手段を用いた場合においても、移動の際の抵抗を抑えることができるテーブル支持機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載のテーブル支持機構は、一側面に設けられた第1支持面及びこの一側面と反対側の他側面に設けられた第2支持面を有するベース体と、前記ベース体の前記第1支持面に第1支持機構を介して往復移動自在に支持された第1移動部材と、前記ベース体の前記第2支持面に第2支持機構を介して往復移動自在に支持された第2移動部材と、一側部側が第3支持機構を介して前記第1移動部材に往復移動自在に支持され、他側部側が第4支持機構を介して前記第2移動部材に往復移動自在に支持された移動テーブルと、を備え、
前記第1及び第2支持機構は前記ベース体に対して所定方向に延びており、前記第3支持機構は前記所定方向に対して所定角度傾斜して延び、前記第4支持機構は前記所定方向に対して垂直な方向に延びていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載のテーブル支持機構では、一側面に設けられた第1支持面及びこの一側面と反対側の他側面に設けられた第2支持面を有するベース体と、前記ベース体の前記第1支持面に第1支持機構を介して往復移動自在に支持された第1移動部材と、前記ベース体の前記第2支持面に第2支持機構を介して往復移動自在に支持された第2移動部材と、一側部側が第3支持機構を介して前記第1移動部材に往復移動自在に支持され、他側部側が第4支持機構を介して前記第2移動部材に往復移動自在に支持された移動テーブルと、を備え、
前記第1及び第2支持機構は前記ベース体に対して所定方向に延びており、前記第3支持機構は前記所定方向に対して所定角度傾斜して延び、前記第4支持機構は前記所定方向に対して前記第3支持機構の傾斜方向とは反対方向に所定角度傾斜して延びていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載のテーブル支持機構では、前記第1及び第2移動部材を駆動させるための第1及び第2駆動手段が設けられ、前記第1及び第2駆動手段は第1及び第2リニアモータ手段から構成されており、前記第1リニアモータ手段の駆動用永久磁石が前記ベース体の前記第1支持面に取り付けられ、前記第1リニアモータ手段の駆動用コイルが前記第1移動部材に取り付けられ、また前記第2リニアモータ手段の駆動用永久磁石が前記ベース体の前記第2支持面に取り付けられ、前記第2リニアモータ手段の駆動用コイルが前記第2移動部材に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載のテーブル支持機構によれば、ベース体の一側面の第1支持面に第1支持機構を介して第1移動部材が移動自在に支持され、このベース体の他側面の第2支持面に第2支持機構を介して第2移動部材が移動自在に支持されているので、第1及び第2移動部材はベース体の両側面側に配置され、このように構成することによって、ベース体の長さ(第1及び第2移動部材が移動する方向の長さ)が細長くなるのを防止することができ、テーブル支持機構の全体をコンパクトにすることができ、小型の工作機械などにも適用することができる。また、移動部材の一側部側が第3の支持機構を介して第1移動部材に支持され、移動部材の他側部側が第4支持機構を介して第2移動部材に移動自在に支持されているので、移動テーブルの両側部がベース体の両側面を覆うような構造となり、このように構成することによって、移動テーブルを確実に支持することができるとともに、テーブル支持機構の一層のコンパクト化を達成することができる。更に、第1及び第2支持機構はベース体に対して所定方向(第1方向)に延び、第3支持機構は上記所定方向に対して所定角度傾斜して延び、第4支持機構は上記所定方向に対して垂直な方向(第2方向)に延びているので、第1及び第2移動部材を所定方向に同速度で移動させることによって、移動テーブルをこの所定方向に移動させることができ、また第2移動部材に対して第1移動部材を所定方向に相対的に移動させる(例えば、第2移動部材を静止させて第1移動部材を移動させる)ことによって、移動テーブルを上記所定方向に対して垂直な方向(第2方向)に移動させることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載のテーブル支持機構によれば、ベース体、第1移動部材及び第2移動部材に関する構成が、請求項1に記載のテーブル支持機構と実質上同一であるので、上述したと同様の作用効果が達成される。また、第1及び第2支持機構はベース体に対して所定方向(第1方向)に延び、第3支持機構は上記所定方向に対して所定角度傾斜して延び、第4支持機構は上記所定方向に対して第3支持機構の傾斜方向と反対方向に所定角度傾斜して延びているので、第1及び第2移動部材を所定方向に同速度で移動させることによって、移動テーブルをこの所定方向に移動させることができ、また第2移動部材に対して第1移動部材を所定方向に相対的に移動させる(例えば、第第1移動部材を所定方向に、第2移動部材を所定方向と反対方向に移動させる)ことによって、移動テーブルを上記所定方向に対して垂直な方向(第2方向)に移動させることができる。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載のテーブル支持機構によれば、移動テーブルを移動させるための駆動手段が第1及び第2リニアモータ手段から構成され、第1リニアモータ手段の駆動用永久磁石がベース体の第1支持面に取り付けられ、その駆動用コイルが第1移動部材に取り付けられ、また第2リニアモータ手段の駆動用永久磁石がベース体の第2支持面に取り付けられ、その駆動用コイルが第2移動部材に取り付けられているので、第1リニアモータ手段の駆動用永久磁石と第1移動部材との間に作用する磁気的吸引力と、第2リニアモータ手段の駆動用永久磁石と第2移動部材との間に作用する磁気的吸引力とが、相互に打ち消し合うように作用し、これによって、第1及び第2リニアモータの駆動用永久磁石による磁気的作用を少なくして抵抗を小さく抑えることができる。また、このように構成した場合、リニアモータ手段を2個用いることによって、2軸(第1方向及び第2方向)のスライドにおける磁気的吸引力を打ち消すことができ、リニアモータ手段を用いたスライド機構の構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うテーブル支持機構の一実施形態について説明する。図1は、本発明に従うテーブル支持機構の一実施形態を示す断面図であり、図2は、図1のテーブル支持機構の側面図であり、図3は、図1のテーブル支持機構のベース体と第1移動部材との支持構造を示す側面図であり、図4は、図1のテーブル支持機構の第1移動部材と移動テーブルとの支持構造を示す側面図であり、図5は、図1のテーブル支持機構の第2移動部材と移動テーブルとの支持構造を示す側面図であり、図は、移動テーブルの動きを説明するための説明図である。
【0014】
図1及び図2において、図示のテーブル支持機構は、ベース体2と、このベース体2に移動自在に支持された第1及び第2移動部材4,6と、これら第1及び第2移動部材4,6に移動自在に支持された移動テーブル8と、から構成されている。このテーブル支持機構は、例えば工作機械のテーブル支持機構として適用することができ、この場合、ベース体2が工作機械(例えば、NC旋盤)の機械本体に取り付けられ、又は機械本体と一体的に構成される。
【0015】
ベース体2は所定方向(第1方向)(図1において紙面に垂直な方向、図2において左右方向)に長く、その一側面(図1において右面)に第1支持面10が設けられ、この一側面と反対側の他側面(図1において左面)に第2支持面12が設けられている。第1支持面10の上下方向中間部には第1取付凹部14が設けられ、また第2支持面12にも上下方向中間部に第2取付凹部16が設けられ、第1及び第2取付凹部14,16は上記所定方向に直線状に延びている。
【0016】
このベース体2の一側面側(図1において右側)に第1移動部材4が配設され、その他側面側(図1において左側)に第2移動部材6が配設されている。第1及び第2移動部材4,6は矩形状であり、ベース体2の第1支持面10と第1移動部材4との間に第1支持機構18が配設され、ベース体2の第2支持面12と第2移動部材6との間に第2支持機構20が配設されている。第1及び第2支持機構18,20は実質上同一の構成であり、以下、主として図3を参照して第1支持機構18(第2支持機構20)について説明する。
【0017】
第1支持機構18(第2支持機構20)は、第1案内支持部材22(第2案内支持部材24)と、第1案内支持部材22(第2案内支持部材24)に移動自在に支持された第1スライダ26(第2スライダ28)とから構成されている。この実施形態では、一対の第1案内支持部材22(第2案内支持部材24)がベース体2の第1支持面10(第2支持面12)に上下方向に間隔をおいて実質上平行に取り付けられ、このベース体2の一端から他端まで直線状に延びている。また、第1スライダ26(第2スライダ28)は各第1案内支持部材22(第2案内支持部材24)に対応して所定方向(図3において左右方向)に間隔をおいて一対設けられ、各第1スライダ26の組(各第2スライダ28の組)が対応する第1案内支持部材22(第2案内支持部材24)に滑動自在に装着されている。このように構成されているので、第1移動部材4は第1支持機構18の第1案内支持部材22に沿って矢印30又は矢印31で示す所定方向(第1方向)に往復移動自在にベース体2の第1支持面10に支持され、また第2移動部材6は第2支持機構20の第2案内支持部材24に沿って上記所定方向に往復移動自在にベース体2の第2支持面12に支持されている。
【0018】
尚、上述した構成に代えて、第1移動部材4(第2移動部材6)に第1案内支持部材22(第2案内支持部材24)を取り付けるとともに、ベース体2の第1支持面10(第2支持面12)に第1スライダ26(第2スライダ28)を取り付けるようにしてもよい。
【0019】
移動テーブル8は、このように支持された第1及び第2移動部材4,6に第3及び第4支持機構32,34を介して移動自在に支持されている。移動テーブル8は平坦な取付面36を有する本体部38と、この本体部38の両側部に設けられた第1及び第2被支持部40,42とを有し、第1及び第2被支持部40,42は本体部38から図1において実質上垂直下方に延びている。この本体部38の取付面36には、加工工具を着脱自在に保持するための工具ホルダ、加工物を着脱自在に保持するための加工物ホルダなどが取り付けられる。第1被支持部40は第1移動部材4の外側に配設され、この第1被支持部40と第1移動部材4との間に第3支持機構32が介在され、また第2被支持部42は第2移動部材6の外側に配設され、この第2被支持部42と第2移動部材6との間に第4支持機構34が介在されている。
【0020】
主として図1及び図4を参照して、第3支持機構32について説明すると、図示の第3支持機構32は、第3案内支持部材44と、第3案内支持部材44に移動自在に支持された第3スライダ48とから構成されている。この実施形態では、一対の第3案内支持部材44が第1移動部材4の外面に間隔をおいて実質上平行に取り付けられ、この第1移動部材4の一端下部(図4において左下部)から他端上部(図4において右上部)に向けて直線状に延びている。この第3案内支持部材44の所定方向に対する所定傾斜角度αは、適宜の角度でよいが、位置付け制御などを考慮すると45度に設定するのが望ましい。また、第3スライダ48は各第3案内支持部材44に対応して上記所定方向に対して所定角度傾斜した方向(図4において左下から右上の方向)に間隔をおいて一対設けられ、各第3スライダ48の組が対応する第3案内支持部材44に滑動自在に装着されている。
【0021】
主として図1及び図5を参照して、第4支持機構34について説明すると、図示の第4支持機構34は、第4案内支持部材46と、第4案内支持部材46に移動自在に支持された第4スライダ50とから構成されている。この実施形態では、一対の第4案内支持部材46が第2移動部材6の外面に間隔をおいて実質上平行に取り付けられ、この第2移動部材6の下部から上部に向けて図4において上下方向に直線状に延びている。また、第4スライダ50は各第4案内支持部材46に対応して図5において上下方向に間隔をおいて一対設けられ、各第4スライダ50の組が対応する第4案内支持部材46に滑動自在に装着されている。
【0022】
このように構成されているので、移動テーブル8の第1被支持部40は第3支持機構32の第3案内支持部材44に沿って矢印51又は矢印53(図4参照)で示す方向(第1方向に対して所定傾斜角度α傾斜した方向)に往復移動自在に第1移動部材4に支持され、また移動テーブル8の第2被支持部42は第4支持機構34の第4案内支持部材46に沿って矢印55又は矢印57(図5参照)で示す方向(第2方向)に往復移動自在に第2移動部材6に支持されている。
【0023】
尚、上述した構成に代えて、移動テーブル8の第1被支持部40(第2被支持部42)に第3案内支持部材44(第4案内支持部材46)を取り付けるとともに、第1移動部材4(第2移動部材6)に第3スライダ48(第4スライダ50)を取り付けるようにしてもよい。また、上述した実施形態では、第3支持機構32の第3案内支持部材44を図4において所定方向に対して所定傾斜角度α上方に傾斜するように設けているが、これとは反対に、図4において所定方向に対して所定傾斜角度α下方に傾斜するように設けるようにしてもよい。また、第3支持機構32の第3案内支持部材44を所定方向(第1方向)に対して所定傾斜角度α傾斜するように、また第4支持機構34の第4案内支持部材46を所定方向に対して垂直な方向(第2方向)に設けているが、これとは反対に、第3支持機構32の第3案内支持部材44を所定方向に対して垂直な方向(第2方向)に設け、第4支持機構34の第4案内支持部材46を所定方向に対して所定傾斜角度α傾斜するように設けるようにしてもよい。
【0024】
このテーブル支持機構は、更に、移動テーブル8を所要の通りに移動させるための駆動源52が設けられ、この駆動源52は、第1移動部材4を移動させるための第1駆動手段54と、第2移動部材6を移動させるための第2駆動手段56とから構成されている。第1及び第2駆動手段54,56は第1及び第2リニアモータ手段58,60から構成され、これらリニアモータ手段58,60は、N極及びS極が長手方向に交互に着磁された駆動用永久磁石62と、駆動電流が供給される駆動用コイル64から構成されている。第1リニアモータ手段58の駆動用永久磁石62は、ベース体2の第1支持面10の第1取付凹部14に取り付けられ、第1支持機構18の一対の第1案内支持部材22間にて上記所定方向(第1方向)に延びており、その駆動用コイル64は、この駆動用永久磁石62に対向して第1移動部材4(具体的には、二組の第1スライダ26の間の部位)に取り付けられおり、この駆動用コイル64に駆動電流を所要の通りに供給することによって、駆動用永久磁石62(これが取り付けられたベース体2)に対して駆動用コイル64(これが取り付けられた第1移動部材4)を上記所定方向(第1方向)に移動させることができる。同様に、第2リニアモータ手段60の駆動用永久磁石62は、ベース体2の第2支持面12の第2取付凹部16に取り付けられ、第2支持機構20の一対の第2案内支持部材24間にて上記所定方向(第1方向)に延びており、その駆動用コイル64は、この駆動用永久磁石62に対向して第2移動部材6(具体的には、二組の第2スライダ28の間の部位)に取り付けられおり、この駆動用コイル64に駆動電流を所要の通りに供給することによって、ベース体2に対して第2移動部材4を上記所定方向に移動させることができる。
【0025】
上述したようにベース体2の第1支持面10に第1移動部材4を配置し、この第1移動部材4を第1リニアモータ手段58により移動させるようにするとともに、ベース体2の第2支持面12に第2移動部材6を配置し、この第2移動部材6を第2リニアモータ手段60により移動させるようにすることによって、第1リニアモータ手段58の駆動用永久磁石62による磁気的作用と第2リニアモータ手段60の駆動用永久磁石64による磁気的作用とが相互に打ち消し合うように作用し、これら駆動用永久磁石64による磁気的影響をほとんどなくして移動の際の抵抗を小さく抑え、第1及び第2移動部材4,6の移動をスムースに行うことができる。
【0026】
次に、主として図1、図2及び図5を参照して、上述したテーブル支持機構における移動テーブル8の動きについて説明する。このテーブル支持機構において、例えば、第1及び第2リニアモータ手段58,60を作動させて第1及び第2移動部材4,6を同一方向(例えば、図2において左方)に同速度で移動させると、第1及び第2移動部材4,6間に相対的移動がなく、従って、移動テーブル8は第1及び第2移動部材4,6と一体的に移動し、かくして、移動テーブル8を第1及び第2移動部材4,6の移動速度と同速度で同一方向(例えば、図2において左方)に移動させることができる。
【0027】
また、例えば、図6に示すように、図2に示す状態から第1リニアモータ手段58を作動させて第2移動部材6に対して第1移動部材4を矢印70で示す方向(図2及び図5において左方)に移動させると、第2移動部材6に対する第1移動部材4の移動に伴って、第3支持機構32の第3スライダ48が第3案内支持部材44に沿って図6において右上方向に移動するとともに、第4支持機構34の第4スライダ50が第4案内支持機構46に沿って図5において上方に移動し、かくして、移動テーブル8を上記所定方向に対して垂直な矢印72で示す方向(図6において上方向であって、第2方向)に移動させることがきる。一方、第2移動部材6に対して第1移動部材4を矢印70で示す方向と反対方向(図2及び図5において右方)に移動させると、上述したとは反対に、第2移動部材6に対する第1移動部材4の移動に伴って、第3支持機構32の第3スライダ48が第3案内支持部材44に沿って図6において左下方向に移動するとともに、第4支持機構34の第4スライダ50が第4案内支持機構46に沿って図5において下方に移動し、かくして、移動テーブル8を矢印74で示す方向(図6において下方向であって、第2方向)に移動させることがきる。
【0028】
このように、上述したテーブル支持機構では、第1及び第2移動部材4,6の移動を制御することによって、移動テーブル8を所定方向(矢印30又は矢印31で示す第1方向)及び上記所定方向と垂直な方向(矢印72又は矢印74で示す第2方向)に移動させることができ、例えば、工作装置などにおけるX−Z移動テーブル支持機構として適用することができる。
【0029】
以上、本発明に従うテーブル支持機構の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0030】
例えば、図示の実施形態では、第1及び第2駆動手段54,56として第1及び第2リニアモータ手段58,60を用いているが、これらリニアモータ手段に代えて、ねじ軸とこのねじ軸を正逆方向に回転駆動する駆動モータとの組合せから構成するようにしてもよく、かかる場合、ベース体2の第1及び第2支持面10,12に上記所定方向(第1方向)に沿ってねじ軸が設けられ、第1及び第2移動部材4,6にこのねじ軸に螺着されるブロック片が取り付けられる。
【0031】
また、図示の実施形態では、ベース体2の第1及び第2支持面10,12に第1及び第2リニアモータ手段58,60の駆動用永久磁石62を取り付け、第1及び第2移動部材4,6に第1及び第2リニアモータ手段58,60の駆動用コイル64を取り付けているが、これとは反対に、ベース体2の第1及び第2支持面10,12にそれらの駆動用コイル64を取り付け、第1及び第2移動部材4,6にそれらの駆動用磁石62を取り付けるようにしてもよい。
【0032】
また、例えば、図示の実施形態では、第3支持機構32の第3案内支持部材44を図4において左右方向(第1方向)に対して所定傾斜角度α上方に傾斜するように設け、第4の支持機構34の第4案内支持部材46を図5において上下方向(第2方向)に設けているが、このような構成に代えて、図7に示すように構成することができる。第3及び第4支持機構の変形形態を示す図7(移動テーブルの第1被支持部及び第1移動部材を省略して示す)において、この変形形態における第3支持機構32Aは、上述した実施形態における第3支持機構と実質上同一の構成であり、第3案内支持部材44Aと、第3案内支持部材44Aに移動自在に支持された第3スライダ48Aとから構成され、一対の第3案内支持部材44Aが例えば第1移動部材4の外面に間隔をおいて取り付けられ、この第1移動部材4の一端下部(図7において左下部)から他端上部(図7において右上部)に向けて直線状に延び、所定方向(図7において左右方向である第1方向)に対して所定傾斜角度α(例えば、45度)傾斜して延びている。また、第3スライダ48Aは各第3案内支持部材44Aに対応して上記所定方向に対して所定角度傾斜した方向に間隔をおいて一対設けられ、各第3スライダ48Aの組が対応する第3案内支持部材44Aに滑動自在に装着されている。
【0033】
また、第4支持機構34Aは、第4案内支持部材46Aと、第4案内支持部材46Aに移動自在に支持された第4スライダ50Aとから構成されている。一対の第4案内支持部材46Aが第2移動部材6の外面に間隔をおいて実質上平行に取り付けられ、この第2移動部材6の一端上部(図7において左上部)から他端下部(図7において右下部)に向けて直線状に延び、所定方向(第1方向)に対して上記第3案内支持部材44Aの傾斜方向と反対方向に所定傾斜角度α傾斜して延びている。また、第4スライダ50Aは各第4案内支持部材46Aに対応して図7において右上から左下方向に間隔をおいて一対設けられ、各第4スライダ50Aの組が対応する第4案内支持部材46Aに滑動自在に装着されている。
【0034】
このような第3及び第4支持機構32A,34Aを採用しても、上述したと同様に、移動テーブル8を所定方向(図7において左右方向である第1方向)及びこの所定方向に対して垂直な方向(図7において上下方向である第2方向)に移動させることができる。例えば、第1及び第2移動部材4,6を同一方向(例えば、図7において左方)に同速度で移動させると、第1及び第2移動部材4,6間に相対的移動がなく、従って、移動テーブル8は第1及び第2移動部材4,6と一体的に移動し、かくして、移動テーブル8を第1及び第2移動部材4,6の移動方向と同一方向に移動させることができる。
【0035】
また、例えば、図7に示す状態から第1及び第2移動部材4,6を相互に離隔する方向に移動させると、図7から理解されるように、第1及び第2移動部材4,6の離隔方向の移動に伴って、第3支持機構32Aの第3スライダ48Aが第3案内支持部材44Aに沿って図7において右上方向に移動するとともに、第4支持機構34Aの第4スライダ50Aが第4案内支持機構46Aに沿って図7において左上方向に移動し、かくして、移動テーブル8を上記所定方向に対して垂直な矢印72で示す方向(図7において上方向であって、第2方向)に移動させることがきる。一方、例えば、図7に示す状態から第1及び第2移動部材4,6を相互に近接する方向に移動させると、第1及び第2移動部材4,6の近接方向の移動に伴って、第3支持機構32Aの第3スライダ48Aが第3案内支持部材44Aに沿って図7において左下方向に移動するとともに、第4支持機構34Aの第4スライダ50Aが第4案内支持機構46Aに沿って図7において右下方向に移動し、かくして、移動テーブル8を上記所定方向に対して垂直な矢印74で示す方向(図7において下方向であって、第2方向)に移動させることがきる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に従うテーブル支持機構の一実施形態を示す断面図。
【図2】図1のテーブル支持機構の側面図。
【図3】図1のテーブル支持機構のベース体と第1移動部材との支持構造を示す側面図。
【図4】図1のテーブル支持機構の第1移動部材と移動テーブルとの支持構造を示す側面図。
【図5】図1のテーブル支持機構の第2移動部材と移動テーブルとの支持構造を示す側面図。
【図6】移動テーブルの動きを説明するための説明図。
【図7】第3及び第4支持機構の変形形態を一部断面で示す断面図。
【符号の説明】
【0037】
2 ベース体
4,6 移動部材
8 移動テーブル
10,12 支持面
18,20,32,32A,34,34A 支持機構
22,24,44,44A,46,46A 案内支持部材
26,28,48,48A,50,50A スライダ
40,42 被支持部
58,60 リニアモータ手段
62 駆動用永久磁石
64 駆動用コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面に設けられた第1支持面及びこの一側面と反対側の他側面に設けられた第2支持面を有するベース体と、前記ベース体の前記第1支持面に第1支持機構を介して往復移動自在に支持された第1移動部材と、前記ベース体の前記第2支持面に第2支持機構を介して往復移動自在に支持された第2移動部材と、一側部側が第3支持機構を介して前記第1移動部材に往復移動自在に支持され、他側部側が第4支持機構を介して前記第2移動部材に往復移動自在に支持された移動テーブルと、を備え、
前記第1及び第2支持機構は前記ベース体に対して所定方向に延びており、前記第3支持機構は前記所定方向に対して所定角度傾斜して延び、前記第4支持機構は前記所定方向に対して垂直な方向に延びていることを特徴とするテーブル支持機構。
【請求項2】
一側面に設けられた第1支持面及びこの一側面と反対側の他側面に設けられた第2支持面を有するベース体と、前記ベース体の前記第1支持面に第1支持機構を介して往復移動自在に支持された第1移動部材と、前記ベース体の前記第2支持面に第2支持機構を介して往復移動自在に支持された第2移動部材と、一側部側が第3支持機構を介して前記第1移動部材に往復移動自在に支持され、他側部側が第4支持機構を介して前記第2移動部材に往復移動自在に支持された移動テーブルと、を備え、
前記第1及び第2支持機構は前記ベース体に対して所定方向に延びており、前記第3支持機構は前記所定方向に対して所定角度傾斜して延び、前記第4支持機構は前記所定方向に対して前記第3支持機構の傾斜方向とは反対方向に所定角度傾斜して延びていることを特徴とするテーブル支持機構。
【請求項3】
前記第1及び第2移動部材を駆動させるための第1及び第2駆動手段が設けられ、前記第1及び第2駆動手段は第1及び第2リニアモータ手段から構成されており、前記第1リニアモータ手段の駆動用永久磁石が前記ベース体の前記第1支持面に取り付けられ、前記第1リニアモータ手段の駆動用コイルが前記第1移動部材に取り付けられ、また前記第2リニアモータ手段の駆動用永久磁石が前記ベース体の前記第2支持面に取り付けられ、前記第2リニアモータ手段の駆動用コイルが前記第2移動部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のテーブル支持機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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