説明

テープカセット

【課題】印字テープ及び貼付テープの消費量を抑制可能なテープカセットを提供する。
【解決手段】テープカセット100は、熱活性性の粘着剤が塗布された貼り合せテープ74と、印字が行われる印字面を有する印字テープ17と、印字テープ17及び貼り合せテープ74を搬送するテープ送りローラ32を有する。テープカセット100は、テープ印字装置110に着脱可能である。テープカセット100がテープ印字装置110に装着された状態において、印字位置よりも前記印字テープの排出方向下流側で、前記印字テープ17の印字面と前記貼り合せテープ74の熱活性性の粘着剤とが接触する。また、活性化されていない状態で貼り合せテープ74と印字テープ17とが接触しても、印字テープ17に貼り合せテープ74が貼り合わされることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字テープ、及び、該印字テープに貼り合わされる貼付テープの消費量を抑制することができるテープカセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
印字テープの印字面を保護するために、種々の手法が提案されている。例えば、下記特許文献1においては、印字テープの印字面に粘着テープを貼り合せることにより、印字面を保護している。
【0003】
【特許文献1】特開2006−181750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されるテープ印字装置では、印字機構と切断機構とが近接していないため、作成された印字テープの前端部の余白部が大きい。この余白部は、作成された印字テープにおける無駄(不必要)な部分、すなわち、不必要な消費部分である。印字テープを経済的に使用するためには、このような不必要な消費量を抑制する必要がある。
【0005】
また、印字機構と切断機構とを近接させた場合、印字テープを印字直後に切断することができるようになるものの、その一方で、粘着テープを切断するための切断機構を別途設ける必要がある。
【0006】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、1つの切断機構を備えたテープ作成装置において使用可能であり、かつ、印字テープ、及び、該印字テープに貼り合わされる貼付テープの消費量を抑制することができるテープカセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、テープカセットであって、常温では粘着性を有さず、加熱することにより粘着性を発する熱活性性の粘着剤が塗布された貼付テープと、印字が行われる印字面を有する印字テープと、印字テープへの印字位置よりもテープ搬送方向下流側に位置し、印字後の前記印字テープ及び前記貼付テープを搬送するテープ送りローラと、前記貼付テープ、前記印字テープ、及び、前記テープ送りローラを収納するカセットケースとを有し、印字機構を備えたテープ印字装置に着脱可能であり、前記テープ印字装置に装着された状態において前記テープ送りローラが当該テープ印字装置のテープ送りサブローラと対向する位置で、前記印字テープの印字面と前記貼付テープの熱活性性の粘着剤とが接触し、印字位置よりも前記印字テープの排出方向下流側であって、かつ、前記テープ送りローラの位置までの間に前記貼付テープが熱活性化される加熱領域を有することを特徴とする。
【0008】
上記テープカセットは、粘着剤が塗布された貼付テープの粘着剤及び印字が行われる印字テープの印字面が、印字位置よりも排出方向下流側で接触する。そして、前記粘着剤は、熱活性性であるので、前記貼付テープの粘着性を制御することができ、接触する貼付テープ及び印字テープの貼り合せ制御を行うことができる。また、該テープカセットが装着される印字装置は、1つのカッタユニットを有する構成とすることができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1のテープカセットであって、前記テープ送りローラは、ヒートローラであり、前記テープ送りローラの位置で、前記貼付テープが熱活性化されることを特徴とする。
【0010】
上記テープカセットは、該テープカセットが有するテープ送りローラがヒートローラであり、前記テープ送りローラの位置で、前記貼付テープが熱活性化される。これにより、貼付テープの粘着剤を活性化させるための加熱装置と該貼付テープの搬送装置とを1つの装置で実現することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1のテープカセットであって、前記加熱領域において、前記テープ印字装置が有する加熱部材を挿入する開口部をさらに備え、前記加熱部材の位置で、前記貼付テープが熱活性化されることを特徴とする。
【0012】
上記テープカセットは、テープ印字装置が有する加熱部材を挿入する開口部を備え、前記加熱部材の位置で、前記貼付テープが熱活性化される。これにより、テープ印字装置が有する加熱部材をカセット内に挿入させることができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項3のテープカセットであって、前記テープ印字装置が有する加熱部材の位置を規制する位置規制部材をさらに備える、ことを特徴とする。
【0014】
上記テープカセットは、テープ印字装置が有する加熱部材の位置を規制する位置規制部材を備える。これにより、加熱部材が貼付テープ側に移動したときの位置を規制することができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4いずれかのテープカセットであって、前記テープ送りローラは、前記テープ印字装置が有するテープ送りサブローラと協働することにより、前記印字位置よりも前記印字テープの排出方向下流側で、前記印字テープの印字面と前記貼付テープの熱活性性の粘着剤とを接触させることを特徴とする。
【0016】
上記テープカセットは、印字位置よりも搬送方向下流側において、テープ送りローラ及びテープ送りサブローラの協働によって、印字テープの印字面と貼付テープの粘着剤とが接触する。これにより、貼付テープの粘着剤が活性化している状態において、印字テープに貼付テープを貼り合せることができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5いずれかのテープカセットであって、前記テープ印字装置が有する切断装置と前記テープ送りローラの間に位置し、前記印字テープ及び前記貼付テープを案内規制する保持部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
上記テープカセットは、印字テープ及び貼付テープを案内規制する保持部を備える。これにより。印字テープ及び貼付テープを確実に切断装置側へ搬送することができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6いずれかのテープカセットであって、前記貼付テープの粘着剤が熱活性状態にない場合、前記印字テープと貼付テープとは互いに粘着していないことを特徴とする。
【0020】
上記テープカセットは、貼付テープの粘着剤が熱活性状態にない場合は、前記印字テープと貼付テープとは互いに粘着していない。これにより、印字テープ及び貼付テープの先端を認識するために両テープ接触させて搬送することができる。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7いずれかのテープカセットであって、前記カセットケースには、さらにインクリボンが収納され、前記印字位置で、前記インクリボンのインク面と前記印字テープの印字面とが接触することを特徴とする。
【0022】
上記テープカセットは、インクリボンを収納する。これにより、テープカセットとは別にインクリボンを印字装置に装着する必要がない。
【0023】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8いずれかのテープカセットであって、前記貼付テープは透明であり、前記粘着剤は活性化した状態において透明であることを特徴とする。
【0024】
上記テープカセットは、粘着剤が活性化した状態において透明である。これにより、活性化した粘着剤を通して印字内容を視認することができる。
【0025】
請求項10に係る発明は、請求項9のテープカセットであって、前記印字テープは、前記印字面の裏側に粘着剤層が構成されていることを特徴とする。
【0026】
上記テープカセットは、印字面の裏側に粘着剤層が構成されている。これにより、作成された印字テープを所望の場所に貼り付けることができる。
【0027】
請求項11に係る発明は、前記印字テープの粘着剤層側には、剥離紙が貼り付けられ、 前記剥離紙には、センサによって検出される目印印刷が施されていることを特徴とする。
【0028】
上記テープカセットは、印字テープの粘着剤層側に剥離紙が貼り付けられ、また、該剥離紙には、センサによって検出される目印印刷が施されている。これにより、作成された印字テープを長期間保管することができ、また、剥離紙を剥がして所望の場所に貼り付けることができる。さらに、目印印刷を検出することによって、印字テープの搬送量を認識することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、1つの切断機構を備えたテープ作成装置において使用可能であり、かつ、印字テープ、及び、該印字テープに貼り合わされる貼付テープの消費量を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1はテープ印字装置のカセット収納部に印字テープカセットを装着する状態を示す要部拡大斜視図である。
図2は印字テープカセット内部構成及びテープ印字装置の一部を模式的に示す平面図である。
【0031】
(印字テープカセット)
まず、テープカセット100について説明する。図1に示すように、テープカセット100は、テープ印字装置110に設けられたカセット収納部6に着脱可能である。
【0032】
テープカセット100は、上ケース2と下ケース3とを有する。上ケース2は下ケース3の上面を被覆する蓋部材である。下ケース3には、印字テープスプール18、インクリボンスプール20、インクリボン巻取スプール21、貼り合せテープスプール31が配置されている(図2参照)。
【0033】
印字テープスプール18には、印字面が内側となるように印字テープ17が巻回されている。印字テープ17は、長尺状のテープである。印字テープ17の詳細については後述する。また、印字テープスプール18は、後述するように印字テープ17を巻き戻すことができる。
【0034】
インクリボンスプール20には、インク層が内側となるようにインクリボン19が巻回されている。インクリボン巻取スプール21は、インクリボンスプール20からインクリボン19を引き出す。また、文字等の印字によって消費されたインクリボン19を巻き取る。
【0035】
また、印字テープスプール18は、テープカセット100内の中央部より若干上方に位置する(図2参照)。また、インクリボンスプール20は、テープカセット100内の右下部に位置する(図2参照)。インクリボン巻取スプール21は、インクリボンスプール20よりも印字テープ17の搬送方向下流側に位置する(図2参照)。
【0036】
貼り合せテープスプール31には、粘着剤層が内側となるように貼り合せテープ74が巻回されている。貼り合せテープ74の詳細については後述する。また、貼り合せテープスプール31は、後述するように貼り合せテープ74を巻き戻すことができる。また、貼り合せテープスプールは、テープカセット100内の左上部に位置する(図2参照)。
【0037】
テープカセット100には、テープ送りローラ32が配置されている。テープ送りローラ32は、テープ印字装置110のテープ送りローラ軸55(後述)に連結する。テープ送りローラ32は、テープカセット100がテープ印字装置110に装着された状態において、テープ印字装置110のテープ送りサブローラ51(後述)に対向する。
【0038】
テープカセット100には、テープ案内コロ30、案内ピン42、開口部43が配置されている。テープ案内コロ30、案内ピン42、開口部43は、印字テープ17の搬送位置を規制する。また、テープ案内コロ30は、テープカセット100内の右下部に位置する(図2参照)。案内ピン42は、テープ案内コロ30よりも印字テープ17の搬送方向下流側に位置する(図2参照)。
【0039】
テープカセット100には、規制突起部44、規制突起部45が配置されている。規制突起部44及び規制突起部45は、インクリボン19の搬送位置を規制する。
【0040】
テープカセット100には、分離部材4が形成されている。分離部材4によって、インクリボン19の搬送位置が規制される。また、分離部材4は、印字位置(後述)において貼り合された印字テープ17とインクリボン19とを分離させる機能をも有する。
【0041】
テープカセット100には、案内部材33が配置されている。案内部材33は、分離部材4とテープ送りローラ32の間に位置する。案内部材33とテープカセット100の外枠の間に、第1案内路34が形成される。第1案内路34は、印字テープ17の搬送経路を規制する。即ち、第1案内路34は、印字テープ17の厚み方向と幅方向への移動を規制している(特に、幅方向に関しては、テープカセット100の上面と下面が規制している)。
【0042】
テープカセット100には、ヘッド挿通口40が形成されている。ヘッド挿通口40は、上ケース2及び下ケース3を貫通している。また、テープカセット100がテープ印字装置110のカセット収納部6に収納された際に、サーマルヘッド7(後述)が挿通される。
【0043】
テープカセット100には、排出口13が形成されている。印字テープ17は、排出口13よりテープカセット100外に排出される。
テープカセット100には、排出口13周辺に、第2案内路35が形成されている。第2案内路35は、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送経路を規制する。即ち、第2案内路35は、印字テープ17及び貼り合せテープ74の厚み方向と幅方向への移動を規制している(特に、幅方向に関しては、テープカセット100の上面と下面が規制している)。
【0044】
テープカセット100には、テープ印字装置110が有する種別識別センサ(後述)によって読み取られる識別部(テープカセットの種類を示す)を有する。
【0045】
(カセット収納部)
次に、テープ印字装置110のカセット収納部6及びその周辺に配置される各要素について説明する。
カセット収納部6には、サーマルヘッド7が固設されている(図1及び図2参照)。サーマルヘッド7は、縦長四角形の平板状である。前面の左端縁部の辺に沿って、所定個数の発熱素子が一列に配列されて形成されている。それぞれの発熱素子は、不図示の発熱駆動制御機構によって制御される。
【0046】
テープ印字装置110は、プラテンローラ8を備えている。プラテンローラ8は、プラテンホルダ84に回転可能に支持されている。プラテンホルダ84は、ホルダ軸47に回動可能に支持されている。プラテンローラ8は、不図示の第1離間圧接装置によって、サーマルヘッド7との離間・圧接の制御が行われる。第1離間圧接装置は、図示しない駆動機構により駆動制御される。
プラテンローラ8は、図示しないモータの駆動に基いて回転する。プラテンローラ8の回転を駆動源として、印字前及び印字後の印字テープ17は搬送される。また、テープ印字装置110には、プラテンローラ8の回転量(すなわち、テープ送りローラの回転量)を検出する不図示のエンコーダを有する。
【0047】
また、プラテンホルダ84には、読取センサ11が取り付けられている。読取センサ11は、印字テープ17に印字されているゼブラマーク(後述)を読み取る。
【0048】
テープ印字装置110は、テープ送りサブローラ51を備えている。テープ送りサブローラ51は、その表面に熱を発生させることができる。テープ送りサブローラ51の熱状態は、図示しない熱制御装置によって制御される。
【0049】
テープ送りサブローラ51は、サブローラホルダ54に回転可能に支持されている。サブローラホルダ54は、サブローラ軸52に回動可能に支持されている。なお、図1においては、サブローラホルダ54は省略している。
また、テープ送りサブローラ51は、サブローラ軸52に回動可能に支持されている。テープ送りサブローラ51は、不図示の第2離間圧接装置によって、テープ送りローラ32との離間・圧接の制御が行われる。第2離間圧接装置は、図示しない駆動機構により駆動制御される。
【0050】
第1離間圧接装置と第2離間圧接装置とは、独立して駆動される。すなわち、プラテンローラ8とサーマルヘッド7との離間・圧接制御、及び、テープ送りサブローラ51とテープ送りローラ32との離間・圧接制御は、独立して行われることになる。それぞれの離間・圧接制御の詳細については、後述する。
【0051】
カセット収納部6には、リボン巻取軸9が配置されている。リボン巻取軸9は、上述したテープカセット100がテープ印字装置110に装着された際に、インクリボン巻取スプール21と連結する。リボン巻取軸9は、図示しない駆動機構により回転する。リボン巻取軸9が回転することにより、インクリボン19を引き出すことができる。
【0052】
カセット収納部6には、印字テープ巻取軸10が配置されている。印字テープ巻取軸10は、上述したテープカセット100がテープ印字装置110に装着された際に、印字テープスプール18と連結(係合)する。印字テープ巻取軸10は、図示しない駆動機構により回転する。印字テープ巻取軸10が回転することにより、印字テープを巻き戻す。
【0053】
カセット収納部6には、貼り合せテープ軸53が配置されている。貼り合せテープ軸53は、上述したカセットがテープ印字装置110に装着された際に、貼り合せテープスプール31と連結する。貼り合せテープ軸53は、図示しない駆動機構により回転する。貼り合せテープ軸53が回転することにより、貼り合せテープ74を巻き戻すことができる。
【0054】
カセット収納部6には、テープ送りローラ軸55が配置されている。テープ送りローラ軸55は、上述したテープカセット100がテープ印字装置110に装着された際に、テープ送りローラ32と連結する。テープ送りローラ軸55は、図示しない駆動機構により回転する。テープ送りローラ軸55が回転することにより、貼り合せテープ74は、排出口5に向かって搬送される。また、テープ送りローラ軸55は、上記回転とは逆方向に回転することも可能である。また、テープ印字装置110には、テープ送りローラ軸55の回転量(すなわち、テープ送りローラの回転量)を検出する不図示のエンコーダを有する。
【0055】
固定刃57A及び可動刃57Bにより構成されるカッタユニット57は、テープ送りサブローラ51及びテープ送りローラ軸55よりも搬送方向下流側に配置されている。可動刃57Bが固定刃57Aに向かって移動することにより、貼り合せテープ74及び印字済みの印字テープ17が切断される。可動刃57Bは、図示しない駆動機構により駆動制御される。
【0056】
カセット収納部6には、発光素子58A及び受光素子58Bから構成される先端部検出センサ58が配置されている。また、先端部検出センサ58は、フォトセンサ等の透過型センサで構成されている。発光素子58Aと受光素子58Bは、貼り合せテープ74及び印字テープ17の搬送路を挟んで対向する。発光素子58Aと受光素子58Bの間を貼り合せテープ74及び印字テープ17を搬送される間、発光素子58Aから出力された光は、受光素子58Bに到達しない。この原理を用いることにより、先端部検出センサ58は、貼り合せテープ74及び印字テープ17の先端を検出することができる。
【0057】
テープ印字装置110には、排出口5が形成されている。排出口5は、カッタユニット57よりも搬送方向下流側に位置している。
【0058】
テープ印字装置110には、装着されたテープカセット100の種別を識別するための種別識別センサ(不図示)を有している。
【0059】
上述した各駆動機構、各制御装置は、図示しない駆動回路の動作に基いて駆動する。また、各駆動回路は、テープ印字装置110が有する不図示のプロセッサ(例えば、CPU)によって制御される。
【0060】
(印字テープへの印字)
次に、印字テープ17への印字、及び、印字テープ17の搬送について説明する。
印字テープスプール18に巻回されている印字テープ17は、プラテンローラ8の回転駆動により、テープ案内コロ30、案内ピン42、開口部43を経てサーマルヘッド7及びプラテンローラ8に向かって搬送される。
また、インクリボンスプール20に巻回されているインクリボン19は、インクリボン巻取スプール21の回転駆動により、規制突起部44、規制突起部45、開口部43を経てサーマルヘッド7及びプラテンローラ8に向かって搬送される。
【0061】
図3は印字過程における印字テープ17及びインクリボン19の関係を模式的に示したものである。
図3に示すように、インクリボン19は、基材フィルム22及びインク層23により構成されている。また、印字テープ17は、基材フィルム25、粘着剤層24、離型紙26により構成されている。作成された印字テープ17は、離型紙26を剥がした状態で、粘着剤層24の面が被着体に貼り付けられる。
【0062】
印字テープ17及びインクリボン19は、サーマルヘッド7及びプラテンローラ8によって重ね合わされる。すなわち、印字テープ17とインクリボン19は、サーマルヘッド7及びプラテンローラ8の間で接触する。また、印字時には、サーマルヘッド7の発熱素子群が発熱駆動される。発熱素子群の発熱により、インクリボン19の被加熱部分のインク層23が溶解し、溶解したインク層23が印字テープ17に転写される。インク層23のインクは、高融点タイプ(インクの融点が、例えば、90℃以上のもの)を用いることができる。
【0063】
また、離型紙26の表面(粘着剤層24と接していない側)には、例えば、ゼブラマークが印字されている。ゼブラマークは、上述した読取センサ11によって読み取られる。図4は、ゼブラマークの一例を示した図である。印字テープ17の幅方向に伸びる線(例えば、直線)が、所定間隔で印字されている。
【0064】
該所定間隔の長さは、テープ印字装置110に認識されるよう構成される。例えば、装着されるテープカセットの種別によらず、該所定間隔の長さを一定(固定値)とすることができる。この場合、該固定値を予めテープカセット100に記憶しておけばよい。また、上述した識別部(テープカセット100)が、該所定間隔の長さの情報を含むように構成してもよい。この場合、読取センサ11は、装着されたテープカセット100の種類とともに、ゼブラマークの間隔の長さを検出する。
【0065】
読取センサ11が読み取ったゼブラマークの数に、該所定間隔の長さを掛け合わせることにより、印字テープ17の搬送量を算出することができる。
【0066】
ゼブラマークの色は、例えば、黒とすることができる。なお、読取センサ11によって読み取ることができる色であれば、どのような色でもよい。また、ゼブラマークが印字される離型紙26は、上述したとおり被着体への貼り付け時に剥がされる。
【0067】
印字が行われた後、インクリボン19は、分離部材4を経てインクリボン巻取スプール21に巻き取られる。このとき、印字済みの印字テープ17とインクリボン19とは分離される。また、印字済みの印字テープ17は、第1案内路34を経て、テープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ51の位置まで搬送される。
【0068】
印字済み印字テープ17は、テープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ51の間を通過するとき、該印字済み印字テープ17の印字面には、貼り合せテープ74が貼り合わされる。印字済み印字テープ17に貼り合せテープ74が貼り合わされるメカニズムについては後述する。
【0069】
作成された印字済みの印字テープ17は、テープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ51の回転駆動により、第2案内路35を経て排出口5まで搬送される。第1案内路34では印字済み印字テープ17が幅方向に規制され、第2案内路35では印字済み印字テープ17及び貼り合せテープ74が幅方向に規制されることにより、印字済み印字テープ17及び貼り合せテープ74は互いに幅方向にずれることなく貼り合わされることとなる。
また、印字済みの印字テープ17は、所望の位置でカッタユニット57により切断される。
【0070】
(印字テープへの貼り合せ)
図5は、加熱状態にあるテープ送りサブローラ51と印字済みの印字テープ17及び貼り合せテープ74との関係を模式的に示したものである。
図5に示すように、貼り合せテープ74は、粘着剤層27及びフィルム28により構成される。フィルム28として、インク層(すなわち、印字内容)が視認できるものが用いられる。例えば、PETフィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルムを用いることができる。
【0071】
また、フィルム28は、半透明であってもよい。例えば、曇りガラス状のフィルム(MATTフィルム)を用いてもよい。また、有色のフィルムでもよい。また、幅方向の両端部に、花柄、キャラクター等が印字されているものを用いてもよい。
【0072】
粘着剤層27の粘着剤は、常温では粘着性を有しておらず、加熱されることにより粘着性を有する(活性化する)。すなわち、該粘着剤は、熱活性性である(このような性質を有する粘着剤は、例えば、特許3394572号に開示されている。)。また、粘着性を有すると、その後温度が低下しても暫く粘着性を保持する(このような性質を有する粘着剤は、例えば、特開2002−265895号に開示されている)。本実施形態では市販の一般的な熱活性性の粘着剤を使用しており、その時間は5分程度となっている。なお、粘着剤の粘着性が発現している間に粘着した貼り合せテープ74と印字テープ17とは、粘着剤の粘着性が消滅した後も接着状態は維持している。粘着性が消滅した粘着剤を備えた貼り合せテープ74は新たな被着体と粘着することができないだけである。
また、粘着性を有するための温度(活性温度)は、80℃とすることができる。この温度は、上述したインクの融解温度よりも低い。
【0073】
また、粘着剤層27の粘着剤は、活性化した状態において透明である。これにより、フィルム28及び粘着剤層27を通して、印字内容(すなわち、インク層23)が視認できる。なお、粘着剤層27の粘着剤は、活性化していない状態においては、透明でなくてもよい。
【0074】
テープ送りサブローラ51が加熱されると、その熱は、印字テープ17を通じて粘着剤層27に伝わることになる。
そして、粘着剤層27の温度が80℃(すなわち、活性温度)に達すると、粘着性を有する。ただし、フィルム28の温度が90℃(すなわち、融解温度)に達しないようテープ送りサブローラ51は熱制御される。
【0075】
これにより、テープ送りサブローラ51及びテープ送りローラ32で接触した印字テープ17及び貼り合せテープ74は、貼り合わされることになる。貼り合わされた印字済みの印字テープ17は、カッタユニット57まで搬送され、所定の位置で切断される。
【0076】
図6は、非加熱状態にあるテープ送りサブローラ51と印字済みの印字テープ17及び貼り合せテープ74との関係を模式的に示したものである。
図6においては、粘着剤層27は非活性状態にあるから、印字テープ17及び貼り合せテープ74が接触したとしても、印字テープ17に貼り合せテープ74が貼り合わされることはない。
【0077】
(印字テープ及び貼り合せテープの搬送制御)
次に、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送制御について説明する。
図7乃至図9は、搬送制御処理のフローチャートである。搬送制御処理は、テープ印字装置110が有するプロセッサ(不図示)によって実行される。搬送制御処理は、印字制御の指令信号が出力されることにより実行が開始される。
図10乃至図23は、貼り合せテープ74、インク層23、印字テープ17の搬送の様子を示した図である。
【0078】
S1において、プラテンローラ8を原点位置に移動させる。プラテンローラ8をサーマルヘッド7側に移動させることにより、印字テープ17を先端部検出センサ58側に搬送可能な状態にする。
S2において、テープ送りサブローラ51を原点位置に移動させる。テープ送りサブローラ51をテープ送りローラ32側に移動させることにより、貼り合せテープ74及び印字テープ17を先端部検出センサ58側に搬送可能な状態にする。
【0079】
図10は、プラテンローラ8及びテープ送りサブローラ51が、原点位置に位置している様子を示している。また、印字テープ17及び貼り合せテープ74の先端は、カッタユニット57の近傍に位置している。
【0080】
S3において、印字テープ17及び貼り合せテープ74を先端部検出センサ58側に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、テープ送りローラ32、テープ送りサブローラ51である。
【0081】
S4において、先端部検出センサ58が印字テープ17及び貼り合せテープ74の先端を検出したか否かを判断する。具体的には、発光素子58Aからの光が遮られたことを検知したときに、上記テープの先端を検出したと判断する。
【0082】
テープの先端を検出していないと判断した場合は(S4:NO)、S3に戻る。これにより、テープの先端が検出されるまでの間、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送動作が継続して行われることになる。
【0083】
一方、テープの先端を検出したと判断した場合は(S4:YES)、S5に移行する。
S5において、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送を停止する。
S6において、プラテンローラ8をサーマルヘッド7から離間させる。これにより、印字テープ17の逆搬送が可能となる。
図11は、印字テープ17及び貼り合せテープ74の先端が先端部検出センサ58の位置に到達し、かつ、プラテンローラ8がサーマルヘッド7から離間した様子を示している。
【0084】
S7において、印字テープ17及び貼り合せテープ74を逆搬送させる。すなわち、先端部検出センサ58とは反対側に向かって搬送させる。これにより、印字テープ17は、印字テープスプール18に巻き戻される。また、貼り合せテープ74は、貼り合せテープスプール31に巻き戻される。
【0085】
この逆搬送の動力源は、印字テープスプール18、貼り合せテープスプール31である。また、テープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ51の回転を動力源として併用してもよい。なお、テープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ51を動力源として用いない場合であっても、上記貼り合せテープ74の逆搬送に伴って、テープ送りローラ32は回転する。そして、テープ送りローラ32の回転量は、貼り合せテープ74の搬送量と比例関係にある。
【0086】
S8において、貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達したか否かを判断する。ここで、第1所定位置とは、第2案内路35における所定の位置である。また、貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達したか否かの判断は、テープ送りローラ32の回転量に基いて算出された逆搬送量に基いて行われる。
【0087】
貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達していないと判断した場合は(S8:NO)、S7に戻る。これにより、貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達するまでの間、貼り合せテープ74及び印字テープ17の逆搬送動作が継続して行われることになる。
【0088】
一方、貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達したと判断した場合は(S8:YES)、S9に移行する。
S9において、貼り合せテープ74及び印字テープ17の逆搬送を停止する。また、テープ送りサブローラ51を、テープ送りローラ32から離間させる。
図12は、貼り合せテープ74及び印字テープ17の先端が第1所定位置に到達し、かつ、テープ送りサブローラ51がテープ送りローラ32から離間している様子を示している。
【0089】
貼り合せテープ74の無駄をできるだけ少なくするという観点においては、貼り合せテープ74の先端を、できるだけテープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ51(以下、「搬送ローラ対」ということがある。)に接近させた方が望ましい。
図13は、貼り合せテープ74及び印字テープ17の先端が、搬送ローラ対に接近している様子を示している。
図13の状態においては、貼り合せテープ74を排出口5に向かって搬送させる場合に、貼り合せテープ74の搬送が正しく行われない可能性がある(図14参照)。
そのため、本実施形態においては、貼り合せテープ74の逆搬送を、貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達した時点で停止させている。
【0090】
説明を図7に戻す。S9の処理が終了したあと、S10(図8)に移行する。
S10において、印字テープ17のみを逆搬送させる。すなわち、先端部検出センサ58とは反対側に向かって搬送させる。これにより、印字テープ17は、印字テープスプール18に巻き戻される。この逆搬送の動力源は、印字テープスプール18である。
【0091】
S11において、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達したか否かを判断する。ここで、第2所定位置は、第1案内路34における所定の位置である。また、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達したか否かの判断は、読取センサによって読み取られたゼブラマークの数に基いて算出される印字テープ17の搬送量に基いて行われる。
【0092】
印字テープ17の先端が第2所定位置に到達していないと判断した場合は(S11:NO)、S10に戻る。これにより、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達するまでの間、印字テープ17の逆搬送動作が継続して行われることになる。
【0093】
一方、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達したと判断した場合は(S11:YES)、S12に移行する。
S12において、印字テープ17の逆搬送を停止する。
図15は、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達している状態を示している。
【0094】
作成した印字テープ17の前余白をできるだけ少なくするという観点においては、印字テープ17の先端を、できるだけプラテンローラ8に接近させたほうが望ましい。
図16は、印字テープ17の先端が、プラテンローラ8に接近している状態を示している。
図16に示す状態においては、印字テープ17を先端部検出センサ58側に向かって搬送させた場合に、印字テープ17の搬送が正しく行われない可能性がある(図17参照)。
そのため、本実施形態においては、印字テープ17の逆搬送を、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達した時点で停止させている。
【0095】
説明を図8に戻す。S13において、プラテンローラ8を原点位置に移動させる。また、テープ送りサブローラ51を原点位置に移動させる。
S14において、印字テープ17に対し印字動作を行うとともに、搬送ローラ対に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、プラテンローラ8である。
図18は、印字テープ17に対し印字を行いつつ、印字テープ17を搬送している様子を示している。
【0096】
S15において、印字テープ17の先端が搬送ローラ対の位置に到達したか否かを判断する。この判断は、プラテンローラ8の回転数に基いて算出した印字テープ17の搬送量に基いて行われる。
【0097】
印字済みの印字テープ17の先端が搬送ローラ対の位置に到達していないと判断した場合は(S15:NO)、S14に戻る。これにより、印字済みの印字テープ17の先端が搬送ローラ対に到着するまでの間、印字テープ17に対する印字動作及び搬送動作が継続して行われることになる。
【0098】
印字済みの印字テープ17の先端が搬送ローラ対に到達したと判断した場合は(S15:YES)、S16に進む。
図19は、印字済みの印字テープ17の先端が搬送ローラ対に到達した様子を示している。
【0099】
S16において、印字テープ17の搬送を停止する。また、テープ送りサブローラ51を加熱する。このとき、テープ送りサブローラ51の表面が、貼り合せテープ74の粘着剤層を活性化させるために必要な熱量を有するまで待機する。
【0100】
S17において、印字動作を行うとともに、印字テープ17及び貼り合せテープ74をカッタユニット57側に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、プラテンローラ8及び搬送ローラ対である。
図20は、印字テープ17及び貼り合せテープ74がカッタユニット57側に向かって搬送されている様子を示している。また、印字テープ17及び貼り合せテープ74が搬送ローラ対を通過するとき、印字テープ17には、貼り合せテープ74が貼り合わされる(図5参照)。
【0101】
S18において、貼り合せテープ74が、切断位置に到達したか否かを判断する。この判断は、プラテンローラ8の回転数に基いて算出した印字テープ17の搬送量に基いて行われる。また、テープ送りローラ32及び/またはテープ送りサブローラ51の回転量を併用して印字テープの搬送量を算出してもよい。
【0102】
この切断位置において、貼り合せテープ74を切断することにより、作成済みの印字テープ17における不必要な部分(すなわち、貼り合せテープ74のみが先行している部分)が除去される。この切断位置は、図20に示されている。
【0103】
貼り合せテープ74が切断位置に到達していないと判断した場合は(S18:NO)、S17に戻る。これにより、貼り合せテープ74の先端が切断位置に到着するまでの間、印字テープ17への印字動作、及び、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送動作が継続して行われることになる。
【0104】
S18において、貼り合せテープ74が切断位置に到達したと判断した場合は(S18:YES)、S19(図9)に進む。
S19において、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送を停止する。
S20において、貼り合せテープ74を切断する。このとき、可動刃57Bが駆動する。
図21は、貼り合せテープ74の先端部分が切断された様子を示している。
【0105】
S21において、印字テープ17に対して印字処理を行うとともに、印字テープ17及び貼り合せテープ74をカッタユニット57側に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、プラテンローラ及び搬送ローラ対である。
S23において、印字が終了したか否かが判断される。印字が終了するまで、S22の処理(すなわち、印字処理及び搬送動作)が繰り返されることになる。
【0106】
印字が終了したと判断した場合は(S22:YES)、S23に移行する。
S23において、印字テープ17及び貼り合せテープ74をカッタユニット57側に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、プラテンローラ8及び搬送ローラ対である。
S24において、印字テープ17の後端が搬送ローラ対の位置に到達したか否かを判断する。この判断は、プラテンローラ8の回転数に基いて算出した印字テープ17の搬送量に基いて行われる。また、テープ送りローラ32及び/またはテープ送りサブローラ51の回転量を併用して印字テープの搬送量を算出してもよい。
【0107】
印字テープ17の後端が搬送ローラ対の位置に到達していないと判断した場合は(S24:NO)、S23に戻る。これにより、印字テープ17の後端が搬送ローラ対に到着するまでの間、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送動作が継続して行われることになる。
【0108】
印字テープ17の後端が搬送ローラ対の位置に到達したと判断した場合は(S24:YES)、S25に移行する。
図22は、印字テープ17の後端が搬送ローラ対の位置に到達した様子を示している。
【0109】
S25において、テープ送りサブローラを非加熱にする。また、テープ送りサブローラ51の表面が、貼り合せテープ74の粘着剤層が活性化しない温度まで低下するまで待機する。ここでの待機時間は、予め計測された時間としてもよく、また、不図示の温度センサによって制御してもよい。また、テープ送りサブローラ51の表面の温度を低下させるためにファンを用いてもよい。
【0110】
S26において、印字テープ17及び貼り合せテープ74をカッタユニット57側に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、プラテンローラ及び搬送ローラ対である。また、印字テープ17及び貼り合せテープ74が搬送ローラ対を通過するときに両テープは接触するが、テープ送りサブローラは非加熱状態にあるので、印字テープ17に貼り合せテープ74が貼り合わされることはない(図6参照)。
【0111】
S27において、印字テープ17の後端が切断位置に到達したか否かを判断する。この判断は、プラテンローラ8の回転数に基いて算出した印字テープ17の搬送量に基いて行われる。また、テープ送りローラ32及び/またはテープ送りサブローラ51の回転量を併用して印字テープの搬送量を算出してもよい。
【0112】
印字テープ17の後端が切断位置に到達していないと判断した場合は(S27:NO)、S26に戻る。これにより、印字テープ17の後端が切断位置に到着するまでの間、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送動作が継続して行われることになる。
【0113】
印字テープ17の後端が切断位置に到達したと判断した場合は(S27:YES)、S28に移行する。
S28において、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送を停止する。また、印字テープ17及び貼り合せテープ74を切断する。このとき、可動刃57Bが駆動する。
図23は、印字済みの印字テープ17が切断された様子を示している。
【0114】
以上説明した第1実施形態によれば、カッタユニット57の近傍に位置する印字テープ17及び貼り合せテープ74を所定量巻き戻し、その後印字処理を開始するので、貼り合せテープ74及び印字テープ17の前余白部分を少なくすることができる。また、貼り合せテープ74は第2案内路35まで巻き戻され、また、印字テープ17は第1案内路34まで巻き戻されるので、その後の搬送動作を確実に行うことができる。また、貼り合せテープ74の粘着剤層27の熱状態を制御することにより、貼り合せテープ74の粘着性を制御することができ、搬送ローラ対において接触する印字テープ17及び貼り合せテープ74の貼り合せ制御を行うことができる。また、1つのカッタユニットで本発明を実現することができる。
【0115】
なお、上述した第1実施形態において、作成される印字テープ17の前余白部分の一部を切断するよう構成してもよい。
【0116】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態のテープカセット200には、上述した第1実施形態のテープ送りローラ32に代えてテープ送りローラ62が配置されている。また、第2実施形態のテープ印字装置210には、上述した第1実施形態のテープ送りローラ軸55に代えてテープ送りローラ軸65が配置されている。また、第2実施形態のテープ印字装置210には、上述した第1実施形態のテープ送りサブローラ51に代えてテープ送りサブローラ61が配置されている。
【0117】
第2実施形態では、テープ送りローラ62の表面が加熱されることにより、粘着剤層27の粘着剤が活性化する。また、テープ送りサブローラ61は、その表面に熱を発生しない。
【0118】
図24はテープ印字装置のカセット収納部に印字テープカセットを装着する状態を示す要部拡大斜視図である。
図25は印字テープカセット内部構成及びテープ印字装置の一部を模式的に示す平面図である。
【0119】
テープ送りサブローラ61、テープ送りローラ62、テープ送りローラ軸65以外の要素は、上述した第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
テープ送りローラ軸65は、テープカセット200がカセット収納部に装着された場合に、テープ送りローラ62と連結する。
【0120】
テープ送りローラ軸65の表面(テープ送りローラ62との接触面)の一部または全部は、導電体で形成されている。テープ印字装置210が有する所定の供給源から供給された電流(電圧)が、テープ送りローラ軸65の導電体に供給される。また、テープ送りローラ軸65は、図示しない駆動機構により回転する。
【0121】
テープ送りローラ62の軸穴には、導電体が形成されている。この導電体は、テープ送りローラ軸65の導電体と接触する。これにより、テープ印字装置210が有する所定の供給源から供給された電流(電圧)が、テープ送りローラ62に伝わる。そして、テープ送りローラ62の表面は、供給電流によって加熱される。また、テープ送りローラ62の表面が加熱されることにより、該テープ送りローラ62に接触する貼り合せテープ74の粘着剤層27に粘着性が発生する。
【0122】
図26は、加熱状態にあるテープ送りローラ62と印字済みの印字テープ17及び貼り合せテープ74との関係を模式的に示したものである。
印字テープ17及び貼り合せテープ74の構成は、上述した第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0123】
テープ送りローラ62が加熱されると、その熱は、粘着剤層27に伝わることになる。そして、粘着剤層27の温度が80℃(すなわち、活性温度)に達すると、粘着性を有する。ただし、フィルム28の温度が90℃(すなわち、融解温度)に達しないようテープ送りローラ62は熱制御される。これにより、テープ送りローラ62及びテープ送りサブローラ61で接触した印字テープ17及び貼り合せテープ74は、貼り合わされることになる。
【0124】
図27は、非加熱状態にあるテープ送りローラ62と印字済みの印字テープ17及び貼り合せテープ74との関係を模式的に示したものである。
図27においては、粘着剤層27は非活性状態にあるから、印字テープ17及び貼り合せテープ74が接触したとしても、印字テープ17に貼り合せテープ74が貼り合わされることはない。
【0125】
(印字テープ及び貼り合せテープの搬送制御)
次に、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送制御について説明する。第2実施形態における搬送制御は、加熱/非加熱の制御対象がテープ送りローラ62である点を除いて、上述した第1実施形態における搬送制御と基本的には同じである。
【0126】
すなわち、図8のS16、及び、図9のS25以外の処理は、上述した図7乃至図9に示したフローチャートと同じ処理を行う。
そして、第2実施形態においては、図8のS16の「テープ送りサブローラを加熱」する処理に代えて、「テープ送りローラ62を加熱」する処理が行なわれる。また、図9のS25の「テープ送りサブローラを非加熱にする」処理に代えて、「テープ送りローラ62を非加熱にする」処理が行われる。
【0127】
以上説明した第2実施形態によれば、カッタユニット57近傍に位置する印字テープ17及び貼り合せテープ74を所定量巻き戻し、その後印字処理を開始するので、貼り合せテープ74及び印字テープ17の前余白部分を少なくすることができる。また、貼り合せテープ74は第2案内路35まで巻き戻され、また、印字テープ17は第1案内路34まで巻き戻されるので、その後の搬送動作を確実に行うことができる。また、貼り合せテープ74の粘着剤層27の熱状態を制御することにより、貼り合せテープ74の粘着性を制御することができ、搬送ローラ対において接触する印字テープ17及び貼り合せテープ74の貼り合せ制御を行うことができる。また、1つのカッタユニットで本発明を実現することができる。
【0128】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。上述した第1実施形態及び第2実施形態においては、それぞれ、テープ送りサブローラ、テープ送りローラが、粘着剤層27の粘着剤を活性化させるための加熱装置を兼ねていた。本実施形態においては、粘着剤層27の粘着剤を活性化させるための各加熱装置を上記ローラとは別体として備えている。
【0129】
第3実施形態では、上述した第1実施形態のテープ送りサブローラ51に代えてテープ送りサブローラ66が配置されている。テープ送りサブローラ66は、その表面に熱を発生しない。
【0130】
図28は印字テープカセット内部構成及びテープ印字装置の一部を模式的に示す平面図である。上述した第1実施形態と同じ部材については、同じ番号を付している。また、該同じ部材については、説明を省略する。
【0131】
第3実施形態のテープカセットは、案内部材37を有する。案内部材37は、貼り合せテープ74の搬送位置を規制する。
第3実施形態のテープカセットは、位置止め部材39を有する。
【0132】
第3実施形態のテープ印字装置は、ヒータ59を有する。ヒータ59は、テープカセットがテープ印字装置に装着された状態において、位置止め部材39に対向する。ヒータ59は、その表面に熱を発生させることができる。ヒータ59の熱状態は、図示しない熱制御装置によって制御される。
【0133】
テープカセットの位置止め部材39の材質は、ヒータ59の熱に耐えるために、難燃性の樹脂、金属等にすることが望ましい。また、テープカセットには、ヒータ59を挿入する開口部が設けられている。なお、図28では、開口部を点線で囲っている。
【0134】
ヒータ59は、不図示の第3離間圧接制御装置によって、位置止め部材39との離間・圧接制御が行われる。第3離間圧接制御手段は、図示しない駆動機構により駆動制御される。
【0135】
第1離間圧接装置、第2離間圧接装置、第3離間圧接手段は、それぞれ、独立して駆動される。すなわち、プラテンローラ8とサーマルヘッド7との離間・圧接制御、テープ送りサブローラ51とテープ送りローラ32との離間・圧接制御、ヒータ59と位置止め部材39との離間・圧接制御は、独立して行われることになる。それぞれの離間・圧接制御の詳細については、後述する。
【0136】
図29は、加熱状態にあるヒータ59と印字済みの印字テープ17及び貼り合せテープ74との関係を模式的に示したものである。
印字テープ17及び貼り合せテープ74の構成は、上述した第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0137】
ヒータ59が加熱されると、その熱は、粘着剤層27に伝わることになる。そして、粘着剤層27の温度が80℃(すなわち、活性温度)に達すると、粘着性を有する。これにより、テープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ66で接触した印字テープ17及び貼り合せテープ74は、貼り合わされることになる。
【0138】
図30は、非加熱状態にあるヒータ59と印字済みの印字テープ17及び貼り合せテープ74との関係を模式的に示したものである。
図30においては、ヒータ59と接触しておらず、粘着剤層27は非活性状態にあるから、印字テープ17及び貼り合せテープ74が接触したとしても、印字テープ17に貼り合せテープ74が貼り合わされることはない。
【0139】
(印字テープ及び貼り合せテープの搬送制御)
次に、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送制御について説明する。
図31乃至図33は、搬送制御処理のフローチャートである。搬送制御処理は、テープ印字装置110が有するプロセッサ(不図示)によって実行される。搬送制御処理は、印字制御の指令信号が出力されることにより実行が開始される。
図34乃至図47は、貼り合せテープ74、インク層23、印字テープ17の搬送の様子を示した図である。なお、図34乃至図47においては、説明の便宜上、開口部に係る図示を省略している。
【0140】
S31において、プラテンローラ8を原点位置に移動させる。プラテンローラ8をサーマルヘッド7側に移動させることにより、印字テープ17を先端部検出センサ58側に搬送可能な状態にする。
S32において、テープ送りサブローラ66を原点位置に移動させる。テープ送りサブローラ66をテープ送りローラ32側に移動させることにより、貼り合せテープ74及び印字テープ17を先端部検出センサ58側に搬送可能な状態にする。
【0141】
図34は、プラテンローラ8及びテープ送りサブローラ66が、原点位置に位置している様子を示している。また、印字テープ17及び貼り合せテープ74の先端は、カッタユニット57の近傍に位置している。
【0142】
S33において、印字テープ17及び貼り合せテープ74を先端部検出センサ58側に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、テープ送りローラ32、テープ送りサブローラ66である。
【0143】
S34において、先端部検出センサ58が印字テープ17及び貼り合せテープ74の先端を検出したか否かを判断する。具体的には、発光素子58Aからの光が遮られたことを検知したときに、上記テープの先端を検出したと判断する。
【0144】
テープの先端を検出していないと判断した場合は(S34:NO)、S33に戻る。これにより、テープの先端が検出されるまでの間、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送動作が継続して行われることになる。
【0145】
一方、テープの先端を検出したと判断した場合は(S34:YES)、S35に移行する。
S35において、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送を停止する。
S36において、プラテンローラ8をサーマルヘッド7から離間させる。これにより、印字テープ17の逆搬送が可能となる。
図35は、印字テープ17及び貼り合せテープ74の先端が先端部検出センサ58の位置に到達し、かつ、プラテンローラ8がサーマルヘッド7から離間した様子を示している。
【0146】
S37において、印字テープ17及び貼り合せテープ74を逆搬送させる。すなわち、先端部検出センサ58とは反対側に向かって搬送させる。これにより、印字テープ17は、印字テープスプール18に巻き戻される。また、貼り合せテープ74は、貼り合せテープスプール31に巻き戻される。
【0147】
この逆搬送の動力源は、印字テープスプール18、貼り合せテープスプール31である。また、テープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ66の回転を動力源として併用してもよい。なお、テープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ66を動力源として用いない場合であっても、上記貼り合せテープ74の逆搬送に伴って、テープ送りローラ32は回転する。そして、テープ送りローラ32の回転量は、貼り合せテープ74の搬送量と比例関係にある。
【0148】
S38において、貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達したか否かを判断する。ここで、第1所定位置とは、第2案内路35における所定の位置である。また、貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達したか否かの判断は、テープ送りローラ32の回転量に基いて算出された逆搬送量に基いて行われる。
【0149】
貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達していないと判断した場合は(S38:NO)、S37に戻る。これにより、貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達するまでの間、貼り合せテープ74及び印字テープ17の逆搬送動作が継続して行われることになる。
【0150】
一方、貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達したと判断した場合は(S38:YES)、S39に移行する。
S39において、貼り合せテープ74及び印字テープ17の逆搬送を停止する。また、テープ送りサブローラ66を、テープ送りローラ32から離間させる。
図36は、貼り合せテープ74及び印字テープ17の先端が第1所定位置に到達し、かつ、テープ送りサブローラ66がテープ送りローラ32から離間している様子を示している。
【0151】
貼り合せテープ74の無駄をできるだけ少なくするという観点においては、貼り合せテープ74の先端を、できるだけテープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ66(以下、「搬送ローラ対」ということがある。)に接近させた方が望ましい。
図37は、貼り合せテープ74及び印字テープ17の先端が、搬送ローラ対に接近している様子を示している。
図37の状態においては、貼り合せテープ74を排出口5に向かって搬送させる場合に、貼り合せテープ74の搬送が正しく行われない可能性がある(図38参照)。
そのため、本実施形態においては、貼り合せテープ74の逆搬送を、貼り合せテープ74の先端が第1所定位置に到達した時点で停止させている。
【0152】
説明を図31に戻す。S39の処理が終了したあと、S40(図32)に移行する。
S40において、印字テープ17のみを逆搬送させる。すなわち、先端部検出センサ58とは反対側に向かって搬送させる。これにより、印字テープ17は、印字テープスプール18に巻き戻される。この逆搬送の動力源は、印字テープスプール18である。
【0153】
S41において、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達したか否かを判断する。ここで、第2所定位置は、第1案内路34における所定の位置である。また、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達したか否かの判断は、読取センサによって読み取られたゼブラマークの数に基いて算出される印字テープ17の搬送量に基いて行われる。
【0154】
印字テープ17の先端が第2所定位置に到達していないと判断した場合は(S41:NO)、S40に戻る。これにより、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達するまでの間、印字テープ17の逆搬送動作が継続して行われることになる。
【0155】
一方、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達したと判断した場合は(S41:YES)、S42に移行する。
S42において、印字テープ17の逆搬送を停止する。
図39は、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達している状態を示している。
【0156】
作成した印字テープ17の前余白をできるだけ少なくするという観点においては、印字テープ17の先端を、できるだけプラテンローラ8に接近させたほうが望ましい。
図40は、印字テープ17の先端が、プラテンローラ8に接近している状態を示している。
図40に示す状態においては、印字テープ17を先端部検出センサ58側に向かって搬送させた場合に、印字テープ17の搬送が正しく行われない可能性がある(図41参照)。
そのため、本実施形態においては、印字テープ17の逆搬送を、印字テープ17の先端が第2所定位置に到達した時点で停止させている。
【0157】
説明を図32に戻す。S43において、プラテンローラ8を原点位置に移動させる。また、テープ送りサブローラ66を原点位置に移動させる。
S44において、印字テープ17に対し印字動作を行うとともに、搬送ローラ対に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、プラテンローラ8である。
図42は、印字テープ17に対し印字を行いつつ、印字テープ17を搬送している様子を示している。
【0158】
S45において、印字テープ17の先端がヒータ59の位置に到達したか否かを判断する。この判断は、プラテンローラ8の回転数に基いて算出した印字テープ17の搬送量に基いて行われる。
【0159】
印字済みの印字テープ17の先端がヒータ59の位置に到達していないと判断した場合は(S45:NO)、S44に戻る。これにより、印字済みの印字テープ17の先端がヒータ59の位置に到着するまでの間、印字テープ17に対する印字動作及び搬送動作が継続して行われることになる。
【0160】
印字済みの印字テープ17の先端がヒータ59の位置に到達したと判断した場合は(S45:YES)、S46に進む。
図43は、印字済みの印字テープ17の先端がヒータ59の位置に到達した様子を示している。
【0161】
S46において、印字テープ17の搬送を停止する。また、ヒータ59を位置止め部材39側に移動させるとともに、ヒータ59を加熱する。このとき、ヒータ59の表面が、貼り合せテープ74の粘着剤層を活性化させるために必要な熱量を有するまで待機する。
或いは、ヒータ59を位置止め部材39側に移動させる前からヒータ59の加熱を開始し、ヒータ59の表面が必要な熱量に達してからヒータ59を位置止め部材39側へ移動させてもよい。この場合は、ヒータ59の表面が、貼り合せテープ74の粘着剤層を活性化させるために必要な熱量を有するまで待機する必要がなくなるため、時間の短縮を図ることができる。
【0162】
S47において、印字動作を行うとともに、印字テープ17及び貼り合せテープ74をカッタユニット57側に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、プラテンローラ8である。また、ヒータ59を回転可能に構成し、ヒータ59を動力源として併用してもよい。
【0163】
図44は、印字テープ17及び貼り合せテープ74がカッタユニット57側に向かって搬送されている様子を示している。また、印字テープ17及び貼り合せテープ74が搬送ローラ対を通過するとき、印字テープ17には、貼り合せテープ74が貼り合わされる(図29参照)。また、印字テープ17の先端がテープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ66に到達した後は、テープ送りローラ32及びテープ送りサブローラ66についても、搬送の動力源となる。
【0164】
S48において、貼り合せテープ74が、切断位置に到達したか否かを判断する。この判断は、プラテンローラ8の回転数に基いて算出した印字テープ17の搬送量に基いて行われる。また、テープ送りローラ32及び/またはテープ送りサブローラ51の回転量を併用して印字テープの搬送量を算出してもよい。
【0165】
この切断位置において、貼り合せテープ74を切断することにより、作成済みの印字テープ17における不必要な部分(すなわち、貼り合せテープ74のみが先行している部分)が除去される。この切断位置は、図44に示されている。
【0166】
貼り合せテープ74が切断位置に到達していないと判断した場合は(S48:NO)、S47に戻る。これにより、貼り合せテープ74の先端が切断位置に到着するまでの間、印字テープ17への印字動作、及び、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送動作が継続して行われることになる。
【0167】
S48において、貼り合せテープ74が切断位置に到達したと判断した場合は(S48:YES)、S49(図33)に進む。
S49において、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送を停止する。
S50において、貼り合せテープ74を切断する。このとき、可動刃57Bが駆動する。
図45は、貼り合せテープ74の先端部分が切断された様子を示している。
【0168】
S51において、印字テープ17に対して印字処理を行うとともに、印字テープ17及び貼り合せテープ74をカッタユニット57側に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、プラテンローラ及び搬送ローラ対である。
S52において、印字が終了したか否かが判断される。印字が終了するまで、S52の処理(すなわち、印字処理及び搬送動作)が繰り返されることになる。
【0169】
印字が終了したと判断した場合は(S52:YES)、S53に移行する。
S53において、印字テープ17及び貼り合せテープ74をカッタユニット57側に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、プラテンローラ8及び搬送ローラ対である。
S54において、印字テープ17の後端がヒータ59の位置に到達したか否かを判断する。この判断は、プラテンローラ8の回転数に基いて算出した印字テープ17の搬送量に基いて行われる。また、テープ送りローラ32及び/またはテープ送りサブローラ66の回転量を併用して印字テープの搬送量を算出してもよい。
【0170】
印字テープ17の後端がヒータ59の位置に到達していないと判断した場合は(S54:NO)、S53に戻る。これにより、印字テープ17の後端がヒータ59の位置に到着するまでの間、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送動作が継続して行われることになる。
【0171】
印字テープ17の後端が搬送ローラ対の位置に到達したと判断した場合は(S54:YES)、S55に移行する。
【0172】
S55において、ヒータ59を離間させるとともに、ヒータ59を非加熱にする。ヒータ59を離間させることにより、貼り合せテープ74の粘着剤層の温度は、活性化しない温度まで低下する。したがって、ヒータ59の表面の温度が低下するための待機時間は必要がない。また、ヒータ59の表面の温度を低下させるためのファンを設ける必要がない。
図46は、印字テープ17の後端が搬送ローラ対の位置に到達し、かつ、ヒータ59が離間している様子を示している。
【0173】
S56において、印字テープ17及び貼り合せテープ74をカッタユニット57側に向かって搬送させる。この搬送の動力源は、プラテンローラ及び搬送ローラ対である。また、印字テープ17及び貼り合せテープ74が搬送ローラ対を通過するときに両テープは接触するが、テープ送りサブローラは非加熱状態にあるので、印字テープ17に貼り合せテープ74が貼り合わされることはない(図30参照)。
【0174】
S57において、印字テープ17の後端が切断位置に到達したか否かを判断する。この判断は、プラテンローラ8の回転数に基いて算出した印字テープ17の搬送量に基いて行われる。また、テープ送りローラ32及び/またはテープ送りサブローラ66の回転量を併用して印字テープの搬送量を算出してもよい。
【0175】
印字テープ17の後端が切断位置に到達していないと判断した場合は(S57:NO)、S56に戻る。これにより、印字テープ17の後端が切断位置に到着するまでの間、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送動作が継続して行われることになる。
【0176】
印字テープ17の後端が切断位置に到達したと判断した場合は(S57:YES)、S58に移行する。
S58において、印字テープ17及び貼り合せテープ74の搬送を停止する。また、印字テープ17及び貼り合せテープ74を切断する。このとき、可動刃57Bが駆動する。
図47は、印字済みの印字テープ17が切断された様子を示している。
【0177】
以上説明した第3実施形態によれば、カッタユニット57近傍に位置する印字テープ17及び貼り合せテープ74を所定量巻き戻し、その後印字処理を開始するので、貼り合せテープ74及び印字テープ17の前余白部分を少なくすることができる。また、貼り合せテープ74は第2案内路35まで巻き戻され、また、印字テープ17は第1案内路34まで巻き戻されるので、その後の搬送動作を確実に行うことができる。また、貼り合せテープ74の粘着剤層27の熱状態を制御することにより、貼り合せテープ74の粘着性を制御することができ、搬送ローラ対において接触する印字テープ17及び貼り合せテープ74の貼り合せ制御を行うことができる。また、1つのカッタユニットで本発明を実現することができる。また、ヒータ59を予め加熱しておき、位置止め部材39に移動した直後に粘着剤層27の温度を上昇して活性化できるので、粘着剤層27が活性化するまでの時間を短縮することができる。さらに、ヒータ59が離間した直後に粘着剤層27の温度が低下するので、粘着剤層27を非加熱状態にするまでの時間を短縮することができる。
【0178】
なお、上述した第3実施形態においては、位置止め部材39をテープカセット側に設けたが、該位置止め部材39と同じ機能を有する部材を、印字装置側に設けるよう構成してもよい。
また、第3実施形態においてヒータ59は貼り合せテープ74側に接触しているが、ヒータ74と位置止め部材39の位置関係を逆にして、ヒータ74が貼り合せテープ74の反対側である印字テープ17側に接触する構成としてもよい。
【0179】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはいうまでもない。また、上述した各フローチャートは単なる一例であり、上記各処理と同等の結果を得ることできるものであれば、他のフローチャートによって処理を実現してもよい。また、上述した搬送制御処理に係る方法、該方法をコンピュータによって実行するためのプログラム、該プログラムを記憶した記録媒体としても本発明は実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】第1実施形態のテープ印字装置のカセット収納部にテープカセットを装着する状態を示す要部拡大図である。
【図2】第1実施形態の印字テープカセット内部構成及びテープ印字装置の一部を模式的に示す平面図である。
【図3】第1実施形態での印字過程における印字テープ17及びインクリボン19の関係を示した模式図である。
【図4】ゼブラマークの一例を示した図である。
【図5】第1実施形態において、加熱状態にあるテープ送りサブローラと印字済みの印字テープ及び貼り合せテープとの関係を示した模式図である。
【図6】第1実施形態において、非加熱状態にあるテープ送りサブローラと印字済みの印字テープ及び貼り合せテープとの関係を示した模式図である。
【図7】第1実施形態における搬送制御処理のフローチャートである。
【図8】第1実施形態における搬送制御処理のフローチャートである。
【図9】第1実施形態における搬送制御処理のフローチャートである。
【図10】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図11】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図12】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図13】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図14】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図15】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図16】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図17】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図18】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図19】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図20】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図21】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図22】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図23】第1実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図24】第2実施形態のテープ印字装置のカセット収納部にテープカセットを装着する状態を示す要部拡大図である。
【図25】第2実施形態の印字テープカセット内部構成及びテープ印字装置の一部を模式的に示す平面図である。
【図26】第2実施形態において、加熱状態にあるテープ送りサブローラと印字済みの印字テープ及び貼り合せテープとの関係を示した模式図である。
【図27】第2実施形態において、非加熱状態にあるテープ送りサブローラと印字済みの印字テープ及び貼り合せテープとの関係を示した模式図である。
【図28】第3実施形態の印字テープカセット内部構成及びテープ印字装置の一部を模式的に示す平面図である。
【図29】第3実施形態において、加熱状態にあるヒータと印字済みの印字テープ及び貼り合せテープとの関係を示した模式図である。
【図30】第3実施形態において、非加熱状態にあるヒータと印字済みの印字テープ及び貼り合せテープとの関係を示した模式図である。
【図31】第3実施形態における搬送制御処理のフローチャートである。
【図32】第3実施形態における搬送制御処理のフローチャートである。
【図33】第3実施形態における搬送制御処理のフローチャートである。
【図34】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図35】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図36】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図37】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図38】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図39】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図40】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図41】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図42】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図43】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図44】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図45】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図46】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【図47】第3実施形態における印字テープ及び貼り合せテープの搬送の様子を示した模式図である。
【符号の説明】
【0181】
2 上ケース
3 下ケース
17 印字テープ
19 インクリボン
27 粘着剤層
32 テープ送りローラ
35 第2案内路
39 位置止め部材
62 テープ送りローラ
74 貼り合せテープ
100 テープカセット
200 テープカセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温では粘着性を有さず、加熱することにより粘着性を発する熱活性性の粘着剤が塗布された貼付テープと、
印字が行われる印字面を有する印字テープと、
印字テープへの印字位置よりもテープ搬送方向下流側に位置し、印字後の前記印字テープ及び前記貼付テープを搬送するテープ送りローラと、
前記貼付テープ、前記印字テープ、及び、前記テープ送りローラを収納するカセットケースとを有し、
印字機構を備えたテープ印字装置に着脱可能であり、
前記テープ印字装置に装着された状態において前記テープ送りローラが当該テープ印字装置のテープ送りサブローラと対向する位置で、前記印字テープの印字面と前記貼付テープの熱活性性の粘着剤とが接触し、
印字位置よりも前記印字テープの排出方向下流側であって、かつ、前記テープ送りローラの位置までの間に前記貼付テープが熱活性化される加熱領域を有する、
ことを特徴とするテープカセット。
【請求項2】
前記テープ送りローラは、ヒートローラであり、
前記テープ送りローラの位置で、前記貼付テープが熱活性化される、
ことを特徴とする請求項1のテープカセット。
【請求項3】
前記加熱領域において、前記テープ印字装置が有する加熱部材を挿入する開口部をさらに備え、
前記加熱部材の位置で、前記貼付テープが熱活性化される、
ことを特徴とする請求項1のテープカセット。
【請求項4】
前記テープ印字装置が有する加熱部材の位置を規制する位置規制部材をさらに備える、ことを特徴とする請求項1または請求項3のテープカセット。
【請求項5】
前記テープ送りローラは、前記テープ印字装置が有するテープ送りサブローラと協働することにより、前記印字位置よりも前記印字テープの排出方向下流側で、前記印字テープの印字面と前記貼付テープの熱活性性の粘着剤とを接触させる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかのテープカセット。
【請求項6】
前記テープ印字装置が有する切断装置と前記テープ送りローラの間に位置し、前記印字テープ及び前記貼付テープを案内規制する保持部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれかのテープカセット。
【請求項7】
前記貼付テープの粘着剤が熱活性状態にない場合、前記印字テープと貼付テープとは互いに粘着していない、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれかのテープカセット。
【請求項8】
前記カセットケースには、さらにインクリボンが収納され、
前記印字位置で、前記インクリボンのインク面と前記印字テープの印字面とが接触する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7いずれかのテープカセット。
【請求項9】
前記貼付テープは透明であり、前記粘着剤は活性化した状態において透明である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8いずれかのテープカセット。
【請求項10】
前記印字テープは、前記印字面の裏側に粘着剤層が構成されている、
ことを特徴とする請求項9のテープカセット。
【請求項11】
前記印字テープの粘着剤層側には、剥離紙が貼り付けられ、
前記剥離紙には、センサによって検出される目印印刷が施されている、
ことを特徴とする請求項10のテープカセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2011−101948(P2011−101948A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49328(P2008−49328)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】