説明

テープカセット

【課題】インクリボンに発生した走行ズレや皺をそのインクリボンが走行中に矯正することが可能なテープカセットを提供すること。
【解決手段】テープカセット内のインクリボン6は、印字の際には、先ず、供給部側案内リブ63と接触しながら所定方向Dへ最初に屈曲案内されながら走行する。このとき、供給部側案内リブ63の中央に凸部があると、インクリボン6の走行は供給部側案内リブ63の中央部側に導かれ、インクリボン6の走行ズレが発生しても矯正される。その後は、インクリボン6は、中間案内リブ62と排出口側案内リブ61に接触しながら所定方向Dへ屈曲案内されながら走行する。このとき、中間案内リブ62と排出口側案内リブ61とが凸部のないストレート形状であると、インクリボン6に皺が発生しても、中間案内リブ62と排出口側案内リブ61とによって、その皺を伸ばして矯正させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンの走行技術を向上させるテープカセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、テープ印字装置に装着されたテープカセットでは、印字の際には、インクリボンが、リボン供給スプールから引き出され、テープ印字装置の印字ヘッド上を走行している(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−314865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このインクリボンの走行中において、走行ズレや皺の発生はほとんど起こることはなくなったが、何らかの原因によって走行ズレや皺が発生してしまうと、印字品質にカスレ等の悪影響を与えてしまうので、インクリボンの走行技術について更なる向上が望まれていた。
【0005】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、走行中のインクリボンに発生した走行ズレや皺を矯正することが可能なテープカセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、カセット装着部に印字ヘッドを備えたテープ印字装置に着脱自在なテープカセットであって、カセットケース本体と、前記カセットケース本体内に収納されるリボン供給スプールと、前記リボン供給スプールにインク面が内側に巻回されたインクリボンと、当該テープカセットが前記カセット装着部に装着された場合に前記印字ヘッドが挿入される空間であって、前記カセットケース本体を上下方向に貫通し、且つ、当該テープカセットの側面に沿って伸びるヘッド挿入部と、前記リボン供給スプールから前記インクリボンが引き出される供給部の付近に位置するとともに前記カセットケース本体の側面に突設されるアーム本体を支えた基端部分と、前記ヘッド挿入部に向けて開口する排出口を設けた先端部分とを有し、前記インクリボンが前記供給部から前記排出口を通過して前記ヘッド挿入部に向かう所定方向へ走行するアーム部と、複数の案内部材と、前記複数の案内部材の一つであって、前記供給部から前記排出口までの間にあり、前記排出口に対して前記インクリボンの走行方向の上流側の直前に又は前記排出口に位置し、前記インクリボンの前記インク面の裏面側を接触させながら前記インクリボンの走行を前記所定方向へ屈曲案内する第1案内部材と、前記複数の案内部材の一つであって、前記供給部から前記排出口までの間にあり、前記第1案内部材に対して前記インクリボンの走行方向の上流側に位置し、前記インクリボンの前記インク面の裏面側を接触させながら前記インクリボンの走行を前記所定方向へ屈曲案内する第2案内部材と、前記第2案内部材の中央部に凸設され、前記インクリボンの走行方向とは直交する前記インクリボンの幅方向に沿って突出した第1上流側突片部を備えたこと、を特徴とする。
【0007】
請求項1に係る発明のテープカセットでは、先ず、リボン供給スプールから引き出されたインクリボンが、そのインク面の裏面側を第2案内部材の第1上流側突片部に接触しながら走行する。この点、第2案内部材の第1上流側突片部は、第2案内部材の中央部に凸設され、インクリボンの走行方向とは直交するインクリボンの幅方向に沿って突出しているので、インクリボンの走行は第2案内部材の中央部側に導かれる。よって、インクリボンの走行ズレが発生しても矯正される。その後、インクリボンは、そのインク面の裏面側を第1案内部材に接触しながら走行するので、インクリボンに皺が発生しても、その皺は、第1案内部材によって伸ばされて矯正される。この点、第1案内部材は、アーム部のヘッド挿入部に向けて開口する排出口に対して、インクリボンの走行方向の上流側の直前に又はその排出口に位置している。よって、走行ズレや皺が発生しても、その走行ズレやその皺が矯正されたインクリボンが、排出口を通過し、アーム部のヘッド挿入部に挿入されているテープ印字装置の印字ヘッドに向かって走行するので、良好な印字品質が確保できる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載するテープカセットであって、前記第1案内部材の中央部に凸設され、前記インクリボンの走行方向とは直交する前記インクリボンの幅方向に沿って前記第1上流側突片部より低く突出した下流側突片部を備えたこと、を特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明のテープカセットでは、インクリボンは、そのインク面の裏面側を第1案内部材の下流側突片部に接触しながら走行する。この点、第1案内部材の下流側突片部は、第1案内部材の中央部に凸設され、インクリボンの走行方向とは直交するインクリボンの幅方向に沿って第2案内部材の第1上流側突片部より低く突出しているので、第2案内部材の第1上流側突片部にインクリボンのインク面の裏面側が接触した後でそのインクリボンに皺が発生しても、その皺は、第1案内部材の下流側突片部によって伸ばされて矯正される。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載するテープカセットであって、前記第2案内部材は、前記アーム部の前記基端部分に位置し、前記供給部から引き出された前記インクリボンの走行を前記所定方向へ最初に屈曲案内すること、を特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明のテープカセットでは、第2案内部材が、アーム部の基端部分に位置しており、供給部から引き出されたインクリボンの走行を所定方向へ最初に屈曲案内する。よって、インクリボンの走行方向のより上流側にて、インクリボンの走行ズレを第2案内部材で矯正する。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載するテープカセットであって、前記複数の案内部材の一つであって、前記第2案内部材に対して前記インクリボンの走行方向の上流側に位置し、前記インクリボンの前記インク面の裏面側を接触させながら前記インクリボンの走行を前記所定方向へ屈曲案内する第3案内部材を備え、前記第2案内部材は、前記アーム部の前記先端部分にあって、前記第1案内部材に対して前記インクリボンの走行方向の上流側に位置し、前記第3案内部材の中央部は、前記インクリボンの走行方向とは直交する前記インクリボンの幅方向に沿ってストレートに形成されたこと、を特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明のテープカセットでは、第3案内部材と第1案内部材との間に第2案内部材があるので、アーム部のヘッド挿入部に向けて開口する排出口により近い位置において、第2案内部材によるインクリボンの走行ズレの矯正を行うことが可能となる。また、上述したように、インクリボンに発生した皺を伸ばして矯正する第1案内部材は、テープ印字装置のヘッド挿入部に向けて開口する排出口に対して、インクリボンの走行方向の上流側の直前に又はその排出口に位置する。以上より、インクリボンに走行ズレや皺が発生しても、テープ印字装置の印字ヘッドの最も近くに位置する排出口をそのインクリボンが通過する際やその通過の直前にて、そのインクリボンの走行ズレや皺が矯正される。
【0014】
尚、請求項4に係る発明のテープカセットでは、リボン供給スプールから引き出されたインクリボンのインク面の裏面側が、第3案内部材の中央部に接触しながら走行する。この点、第3案内部材の中央部は、インクリボンの走行方向とは直交するインクリボンの幅方向に沿ってストレートに形成されているので、走行中のインクリボンに皺が発生しても、その皺は、第3案内部材の中央部によって伸ばされて矯正される。
【0015】
また、請求項5に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載するテープカセットであって、前記複数の案内部材の一つであって、前記第2案内部材に対して前記インクリボンの走行方向の上流側に位置し、前記インクリボンの前記インク面の裏面側を接触させながら前記インクリボンの走行を前記所定方向へ屈曲案内する第3案内部材を備え、前記第2案内部材は、前記アーム部の前記先端部分にあって、前記第1案内部材に対して前記インクリボンの走行方向の上流側に位置し、前記第3案内部材の中央部に凸設され、前記インクリボンの走行方向とは直交する前記インクリボンの幅方向に沿って突出した第2上流側突片部を備えたこと、を特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明のテープカセットでは、第3案内部材と第1案内部材との間に第2案内部材があるので、アーム部のヘッド挿入部に向けて開口する排出口により近い位置において、第2案内部材によるインクリボンの走行ズレの矯正を行うことが可能となる。また、上述したように、インクリボンに発生した皺を伸ばして矯正する第1案内部材は、テープ印字装置のヘッド挿入部に向けて開口する排出口に対して、インクリボンの走行方向の上流側の直前に又はその排出口に位置する。以上より、インクリボンに走行ズレや皺が発生しても、テープ印字装置の印字ヘッドの最も近くに位置する排出口をそのインクリボンが通過する際又はその通過の直前にて、インクリボンの走行ズレや皺が矯正される。
【0017】
さらに、請求項5に係る発明のテープカセットでは、リボン供給スプールから引き出されたインクリボンが、そのインク面の裏面側を第3案内部材の第2上流側突片部に接触しながら走行する。この点、第3案内部材の第2上流側突片部は、第3案内部材の中央部に凸設され、インクリボンの走行方向とは直交するインクリボンの幅方向に沿って突出しているので、インクリボンの走行は第3案内部材の中央部側に導かれる。よって、インクリボンの走行ズレが発生しても矯正される。従って、リボン供給スプールからインクリボンが引き出された後付近やそのインクリボンが排出口を通過する直前付近の2箇所において、そのインクリボンの走行ズレを矯正することができる。
【発明の効果】
【0018】
すなわち、本発明のテープカセットでは、インクリボンに走行ズレや皺が発生しても、その走行ズレや皺はそのインクリボンの走行中に複数の案内部材によって矯正されるので、良好な印字品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープカセットが有するアーム部内でのインクリボンの走行状態を概略的に示した斜視図である。
【図2】同テープカセットが有する3つのインクリボン用案内リブの形状に関し、組み合わせの一例を示した側面図である。
【図3】同テープカセットが有する3つのインクリボン用案内リブの形状に関し、組み合わせの一例を示した側面図である。
【図4】同テープカセットが有する3つのインクリボン用案内リブの形状に関し、組み合わせの一例を示した側面図である。
【図5】同テープカセットの斜視図である。
【図6】上カセットケースを除いて示す同テープカセットの平面図である
【図7】同テープカセットが着脱されるテープ印字装置の平面図である。
【図8】同テープ印字装置の側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照にして説明する。図7は、本実施形態に係るテープカセットが着脱されるテープ印字装置101の平面図である。図8は、テープ印字装置101の側面図である。テープ印字装置101は、ラベル作成用のテーププリンタである。図7や図8に示すように、テープ印字装置101には、蓋体102やカセット装着部103が設けられている。
【0021】
カセット装着部103は、蓋体102が閉じられた状態では、蓋体102によって覆われる。但し、蓋体102は、開閉可能なように回動自在に設けられている。従って、蓋体102が開けられた状態では、カセット装着部103が露出する。
【0022】
露出したカセット装着部103に対して、ユーザーは、本実施形態に係るテープカセット1を入れたり外したりすることができる。従って、ユーザーは、本実施形態に係るテープカセット1をカセット装着部103に入れ、蓋体102を閉じると、本実施形態に係るテープカセット1をテープ印字装置101のカセット装着部103に装着することができる。
【0023】
図5は、本実施形態に係るテープカセット1の斜視図である。本実施形態に係るテープカセット1は、所謂ラミネートタイプのものである。図5に示すように、本実施形態に係るテープカセット1は、上カセットケース2と下カセットケース3から構成されるカセットケース本体99を有しており、テープ排出部4から印字テープ5が排出される。
【0024】
尚、符号11は、ラミネートフィルム(第1小巻テープに巻回されたもの)である。符号19は、アーム部である。符号20は、ヘッド挿入部である。これらの説明は、後述する。
【0025】
図6は、上カセットケース2(上記図5参照)を除いて示す本実施形態に係るテープカセット1の平面図である。図6において、本実施形態に係るテープカセット1の下カセットケース3内には、第2小巻テープ13が巻回されたテープスプール12や、第1小巻テープ11が巻回されたフィルムスプール14、インクリボン6が巻回されたリボン供給スプール15、リボン巻取スプール16が、それぞれ上カセットケース2(上記図5参照)に形成されたスプール支持部(図示せず)との協働により回転可能に配置されている。
【0026】
第1小巻テープ11は、透明或いは半透明な樹脂から成るラミネートフィルムがその印字面を内側にしてフィルムスプール14に巻回されたものである。フィルムスプール14に巻回された第1小巻テープ(ラミネートフィルム)11は、下カセットケース3に立設された案内ピン17から回転可能な案内コロ18を経て、アーム部19内に案内され、更に、その印字面を第2走行部材50と接触させながら走行し、アーム部19の排出口97を通過して、ヘッド挿入部20で露出された後、第1走行部材21、送りローラ22を経てテープ排出部4から本実施形態に係るテープカセット1の外部に排出される。
【0027】
この点、ヘッド挿入部20は、本実施形態に係るテープカセット1の前面(上記図5では、図面の右側側面)に沿って伸びており、カセットケース本体99(上記図5参照)を上下方向に貫通して形成されている。アーム部19は、基端部分19Aと先端部分19Bとを含んだアーム本体19Cを有している。基端部分19Aは、リボン供給スプール15からインクリボン6が引き出された直後にある供給部98の付近に位置している。一方、先端部分19Bには、ヘッド挿入部20に向けて開口する排出口97が設けられている。
【0028】
また、アーム部19は、アーム本体19Cがカセットケース本体99(上記図5参照)の側面にて支持される片持ち梁の構造をしている。その構造においては、基端部分19Aが固定端であり、先端部分19Bが自由端である。従って、基端部分19Aによって、カセットケース本体99(上記図5参照)の側面から突設しているアーム本体19Cが支えられている。
【0029】
また、インクリボン6は、インク塗布側のインク面を内側にしてリボン供給スプール15に巻回されている。そして、インクリボン6は、リボン供給スプール15から引き出された直後に、供給部98を経て、そのインク面の裏面6Aを第3走行部材60と接触させながら走行し、アーム部19の排出口97を通過して、ヘッド挿入部20で露出される。このように、アーム部19内でのインクリボン6は、供給部98から排出口97を通過してヘッド挿入部20に向かう所定方向へ走行する。その後、インクリボン6は、そのインク面の裏面6Aと第1小巻テープ(ラミネートフィルム)11の印字面とが重ね合わされるように案内された後に、第1走行部材21の外側に沿って案内されることにより第1小巻テープ(ラミネートフィルム)11の印字面から離れ、リボン巻取スプール16に巻き取られる。
【0030】
尚、本実施形態に係るテープカセット1は、テープ印字装置101(上記図7,図8参照)のカセット装着部103(上記図8参照)に装着されると、ヘッド挿入部20において、テープ印字装置101(上記図8参照)の印字ヘッドHが挿入される。そして、第1小巻テープ(ラミネートフィルム)11とインクリボン6は、印字ヘッドHとそれに対向するテープ印字装置101(上記図7,図8参照)のプラテンローラPに挟まれる。
【0031】
一方、第2小巻テープ13は、一面にのみ剥離紙を貼付した両面粘着テープが他面側を内側にしてテープスプール12に巻回されたものである。このように巻回された第2小巻テープ(剥離紙付両面粘着テープ)13は、送りローラ22により、その粘着面と第1小巻テープ(ラミネートフィルム)11の印字面とが重ね合わされるように案内されることで、第1小巻テープ(ラミネートフィルム)11が貼り付けられ、テープ排出部4から本実施形態に係るテープカセット1の外部に排出される。これにより、本実施形態に係るテープカセット1のテープ排出部4からは、第1小巻テープ(ラミネートフィルム)11と第2小巻テープ(剥離紙付両面粘着テープ)13とで構成された、所謂ラミネートタイプの印字テープ5が排出される。
【0032】
また、本実施形態に係るテープカセット1では、走行中のインクリボン6がそのインク面の裏面6Aを接触させる第3走行部材60に対して、複数の案内リブが設けられている。図1は、本実施形態に係るテープカセット1が有するアーム部19内でのインクリボン6の走行状態を概略的に示した斜視図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係るテープカセット1では、印字の際には、インクリボン6は、供給部98から排出口97を通過してヘッド挿入部20(上記図6参照)に向かう所定方向Dへ走行する。さらに、本実施形態に係るテープカセット1が有するアーム部19内では、走行中のインクリボン6がそのインク面の裏面6A(上記図6参照)を接触させる第3走行部材60において、所定方向Dに対する直交方向(インクリボン6の幅方向)に直線状の3つの案内リブ61,62,63が並列して設けられている。
【0034】
符号61の案内リブは、アーム部19の先端部分19Bの排出口97付近に設けられた排出口側案内リブである。符号63の案内リブは、アーム部19の基端部分19Aの近くにある供給部98付近に設けられた供給部側案内リブであり、供給部98から引き出されたインクリボン6の走行を所定方向Dへ最初に屈曲案内するものである。符号62の案内リブは、排出口側案内リブ61と供給部側案内リブ63との間に設けられた中間案内リブであり、供給部側案内リブ63よりは排出口側案内リブ61に近い位置に設けられている。尚、上述したように、第3走行部材60では、インクリボン6がそのインク面の裏面6A(上記図6参照)を接触させながら走行するが、正確に言えば、インクリボン6のインク面の裏面6A(上記図6参照)は、3つの案内リブ61,62,63に接触する。
【0035】
尚、図1に示すように、走行中の第1小巻テープ(ラミネートフィルム)11(上記図6参照)がその印字面を接触させる第2走行部材50においても、一対の案内リブ51,52が並列して設けられている。
【0036】
図2乃至図4は、3つの案内リブ61,62,63の形状に関し、組み合わせの一例を示した側面図である。図2乃至図4に示すように、2つの案内リブ62,63には、凸部62A,63Aが設けられる場合がある。図2と図4では、供給部側案内リブ63の中央部において、所定方向Dに対する直交方向(インクリボン6(上記図1参照)の幅方向)に沿って突出した供給部側凸部63Aが設けられている。図3と図4では、中間案内リブ62の中央部において、所定方向Dに対する直交方向(インクリボン6(上記図1参照)の幅方向)に沿って突出した中間凸部62Aが設けられている。
【0037】
但し、図3に示すように、供給部側案内リブ63の供給部側凸部63Aと中間案内リブ62の中間凸部62Aとを有する場合には、供給部側案内リブ63の供給部側凸部63Aの高さS2よりも、中間案内リブ62の中間凸部62Aの高さS1を低くする第1ケースと、中間案内リブ62の中間凸部62Aの高さS1を供給部側案内リブ63の供給部側凸部63Aの高さS2と同じ又はそれ以上にする第2ケースとがある。
【0038】
ここで、3つの案内リブ61,62,63の形状が図2に示す組み合わせである場合を説明する。この場合には、インクリボン6(上記図1参照)は、先ず、供給部側案内リブ63と接触しながら所定方向Dへ最初に屈曲案内される。この場合では、供給部側案内リブ63の供給部側凸部63Aにより、インクリボン6(上記図1参照)の走行は例えインクリボン幅方向の何れかにズレていたとしても供給部側案内リブ63の中央部側に導かれる。よって、インクリボン6(上記図1参照)のインクリボン幅方向への走行ズレが発生しても矯正される。その後、インクリボン6(上記図1参照)は、中間案内リブ62と排出口側案内リブ61の順で接触しながら所定方向Dへ屈曲案内される。この場合では、中間案内リブ62と排出口側案内リブ61とが凸部のないストレート形状であることから、インクリボン6(上記図1参照)に皺が発生しても、中間案内リブ62と排出口側案内リブ61によって、その皺を伸ばして矯正させることができる。この場合には、皺を矯正する排出口側案内リブ61に近い位置に、皺を矯正する中間案内リブ62が設けられていることから(上記図1参照)、インクリボン6(上記図1参照)に皺が発生しても、印字ヘッドH(上記図6参照)に近い位置にある排出口97(上記図1参照)をそのインクリボン6(上記図1参照)が通過する直前において、そのインクリボン6(上記図1参照)の皺を矯正させることを繰り返して行うことができる。
尚、この場合には、中間案内リブ62又は排出口側案内リブ61のいずれか一つを設けなくても、インクリボン6(上記図1参照)に発生した皺を矯正することは可能である。
【0039】
次に、3つの案内リブ61,62,63の形状が図3に示す組み合わせである場合を説明する。この場合でも、インクリボン6(上記図1参照)は、先ず、供給部側案内リブ63と接触しながら所定方向Dへ最初に屈曲案内される。この場合でも、供給部側案内リブ63の供給部側凸部63Aにより、インクリボン6(上記図1参照)の走行は供給部側案内リブ63の中央部側に導かれる。よって、インクリボン6(上記図1参照)の走行ズレが発生しても矯正される。その後、インクリボン6(上記図1参照)は、中間案内リブ62に接触しながら所定方向Dへ屈曲案内される。但し、この場合では、中間案内リブ62には中間凸部62Aが設けられている。ただ、上述した第1ケースでは、その高さS1は、供給部側案内リブ63の供給部側凸部63Aの高さS2よりも低く設定されているため、供給部側案内リブ63の供給部側凸部63Aとの接触によりインクリボン6(上記図1参照)に皺が仮に発生しても、中間案内リブ62の中間凸部62Aにより、その皺を伸ばして矯正させることができる。その後、インクリボン6(上記図1参照)は、排出口側案内リブ61に接触しながら所定方向Dへ屈曲案内される。この場合では、排出口側案内リブ61が凸部のないストレート形状であることから、インクリボン6(上記図1参照)に皺が発生しても、排出口側案内リブ61によって、その皺を伸ばして矯正させることができる。この場合には、皺を矯正する排出口側案内リブ61に近い位置に、皺を矯正する中間案内リブ62が設けられていることから(上記図1参照)、インクリボン6(上記図1参照)に皺が発生しても、印字ヘッドH(上記図6参照)に近い位置にある排出口97(上記図1参照)をそのインクリボン6(上記図1参照)が通過する直前において、そのインクリボン6(上記図1参照)の皺を矯正させることを繰り返して行うことができる。
尚、この場合にも、中間案内リブ62又は排出口側案内リブ61のいずれか一つを設けなくても、インクリボン6(上記図1参照)に発生した皺を矯正することが可能である。
【0040】
一方、3つの案内リブ61,62,63の形状が図3に示す組み合わせである場合において、上述した第2ケースでは、中間案内リブ62には中間凸部62Aの高さS1は、供給部側案内リブ63の供給部側凸部63Aの高さS2と同じ又はそれ以上に設定されている。従って、中間案内リブ62の中間凸部62Aは、供給部側案内リブ63の供給部側凸部63Aと同様にして、インクリボン6(上記図1参照)の走行を中間案内リブ62の中央部側に導く。これにより、この場合では、供給部側案内リブ63と中間案内リブ62とでインクリボン6(上記図1参照)の走行ズレを矯正することから、リボン供給スプール15(上記図6参照)からインクリボン6(上記図1参照)が引き出された後付近やそのインクリボン6(上記図1参照)が排出口97(上記図1参照)を通過する直前付近の2箇所において、そのインクリボン6(上記図1参照)の走行ズレを矯正することができる。
【0041】
最後に、3つの案内リブ61,62,63の形状が図4に示す組み合わせである場合を説明する。この場合でも、インクリボン6(上記図1参照)は、先ず、供給部側案内リブ63と接触しながら所定方向Dへ最初に屈曲案内される。この場合では、供給部側案内リブ63が凸部のないストレート形状であることから、インクリボン6(上記図1参照)に皺が発生しても、供給部側案内リブ63によって、その皺を伸ばして矯正させることができる。その後、インクリボン6(上記図1参照)は、中間案内リブ62に接触しながら所定方向Dへ屈曲案内される。この場合では、中間案内リブ62の中間凸部62Aにより、インクリボン6(上記図1参照)の走行は中間案内リブ62の中央部側に導かれる。よって、インクリボン6(上記図1参照)の走行ズレが発生しても矯正される。その後、インクリボン6(上記図1参照)は、排出口側案内リブ61に接触しながら所定方向Dへ屈曲案内される。この場合では、排出口側案内リブ61が凸部のないストレート形状であることから、インクリボン6(上記図1参照)に皺が発生しても、排出口側案内リブ61によって、その皺を伸ばして矯正させることができる。この場合には、皺を矯正する排出口側案内リブ61に近い位置に、走行ズレを矯正する中間案内リブ62が設けられていることから(上記図1参照)、インクリボン6(上記図1参照)に走行ズレや皺が発生しても、印字ヘッドH(上記図6参照)に近い位置にある排出口97(上記図1参照)をそのインクリボン6(上記図1参照)が通過する直前において、そのインクリボン6(上記図1参照)の走行ズレや皺を矯正させることができる。さらに、この場合では、供給部側案内リブ63と排出口側案内リブ61とでインクリボン6(上記図1参照)の皺を矯正することから、リボン供給スプール15(上記図6参照)からインクリボン6(上記図1参照)が引き出された後付近やそのインクリボン6(上記図1参照)が排出口97(上記図1参照)を通過する直前付近の2箇所において、そのインクリボン6(上記図1参照)の皺を矯正することができる。
尚、この場合には、供給部側案内リブ63を設けなくても、インクリボン6(上記図1参照)に発生した皺を、そのインクリボン6(上記図1参照)が排出口97(上記図1参照)を通過する直前で、排出口側案内リブ61により矯正することが可能である。
【0042】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、図1では、供給部側案内リブ63は、第3走行部材60で最も供給部98に近い端部位置に設けられている。これにより、図2や図3の場合では、インクリボン6の走行方向である所定方向Dのより上流側にてインクリボン6の走行ズレを矯正できるし、あるいは、図4の場合では、インクリボン6の走行方向である所定方向Dのより上流側にてインクリボン6の皺を伸ばして矯正できる。もっとも、供給部側案内リブ63は、所定方向Dへ移動させた位置に第3走行部材60を設けてもよい。
【0043】
また、図1に示すように、排出口側案内リブ61は、アーム部19の先端部分19Bの排出口97付近(排出口97に対し所定方向Dとは反対方向側付近)に設けられているが、排出口97そのものに設けてもよい。この場合には、インクリボン6に皺が発生しても、印字ヘッドH(上記図6参照)に近い位置にある排出口97をそのインクリボン6が通過する際において、そのインクリボン6の皺を排出口側案内リブ61により矯正させることができる。
【0044】
また、図1では、中間案内リブ62は、供給部側案内リブ63よりも排出口側案内リブ61に近い位置に設けられているが、供給部側案内リブ63により近い位置に設けてもよい。
【0045】
また、図1では、直線状の3つの案内リブ61,62,63が所定方向Dに対する直交方向(インクリボン6の幅方向)に沿って突出して第3走行部材60に所定方向Dに列設されている。しかしながら、直線状の4つ以上の案内リブを所定方向Dに対する直交方向(インクリボン6の幅方向)に沿って突出させ、第3走行部材60に所定方向Dに列設させてもよい。
【0046】
また、本実施形態に係るテープカセット1は、所謂ラミネートタイプのものであったが、所謂レセプタタイプのものであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 テープカセット
6 インクリボン
6A インク面の裏面
15 リボン供給スプール
19 アーム部
19A 基端部分
19B 先端部分
19C アーム本体
61 排出口側案内リブ
62 中間案内リブ
62A 中間凸部
63 供給部側案内リブ
63A 供給部側凸部
97 排出口
98 供給部
99 カセットケース本体
101 テープ印字装置
103 カセット装着部
D 所定方向
H 印字ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセット装着部に印字ヘッドを備えたテープ印字装置に着脱自在なテープカセットであって、
カセットケース本体と、
前記カセットケース本体内に収納されるリボン供給スプールと、
前記リボン供給スプールにインク面が内側に巻回されたインクリボンと、
当該テープカセットが前記カセット装着部に装着された場合に前記印字ヘッドが挿入される空間であって、前記カセットケース本体を上下方向に貫通し、且つ、当該テープカセットの側面に沿って伸びるヘッド挿入部と、
前記リボン供給スプールから前記インクリボンが引き出される供給部の付近に位置するとともに前記カセットケース本体の側面に突設されるアーム本体を支えた基端部分と、前記ヘッド挿入部に向けて開口する排出口を設けた先端部分とを有し、前記インクリボンが前記供給部から前記排出口を通過して前記ヘッド挿入部に向かう所定方向へ走行するアーム部と、
複数の案内部材と、
前記複数の案内部材の一つであって、前記供給部から前記排出口までの間にあり、前記排出口に対して前記インクリボンの走行方向の上流側の直前に又は前記排出口に位置し、前記インクリボンの前記インク面の裏面側を接触させながら前記インクリボンの走行を前記所定方向へ屈曲案内する第1案内部材と、
前記複数の案内部材の一つであって、前記供給部から前記排出口までの間にあり、前記第1案内部材に対して前記インクリボンの走行方向の上流側に位置し、前記インクリボンの前記インク面の裏面側を接触させながら前記インクリボンの走行を前記所定方向へ屈曲案内する第2案内部材と、
前記第2案内部材の中央部に凸設され、前記インクリボンの走行方向とは直交する前記インクリボンの幅方向に沿って突出した第1上流側突片部を備えたこと、を特徴とするテープカセット。
【請求項2】
請求項1に記載するテープカセットであって、
前記第1案内部材の中央部に凸設され、前記インクリボンの走行方向とは直交する前記インクリボンの幅方向に沿って前記第1上流側突片部より低く突出した下流側突片部を備えたこと、を特徴とするテープカセット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するテープカセットであって、
前記第2案内部材は、前記アーム部の前記基端部分に位置し、前記供給部から引き出された前記インクリボンの走行を前記所定方向へ最初に屈曲案内すること、を特徴とするテープカセット。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載するテープカセットであって、
前記複数の案内部材の一つであって、前記第2案内部材に対して前記インクリボンの走行方向の上流側に位置し、前記インクリボンの前記インク面の裏面側を接触させながら前記インクリボンの走行を前記所定方向へ屈曲案内する第3案内部材を備え、
前記第2案内部材は、前記アーム部の前記先端部分にあって、前記第1案内部材に対して前記インクリボンの走行方向の上流側に位置し、
前記第3案内部材の中央部は、前記インクリボンの走行方向とは直交する前記インクリボンの幅方向に沿ってストレートに形成されたこと、を特徴とするテープカセット。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載するテープカセットであって、
前記複数の案内部材の一つであって、前記第2案内部材に対して前記インクリボンの走行方向の上流側に位置し、前記インクリボンの前記インク面の裏面側を接触させながら前記インクリボンの走行を前記所定方向へ屈曲案内する第3案内部材を備え、
前記第2案内部材は、前記アーム部の前記先端部分にあって、前記第1案内部材に対して前記インクリボンの走行方向の上流側に位置し、
前記第3案内部材の中央部に凸設され、前記インクリボンの走行方向とは直交する前記インクリボンの幅方向に沿って突出した第2上流側突片部を備えたこと、を特徴とするテープカセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−177895(P2011−177895A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41323(P2010−41323)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】