説明

テープカッター装置

【課題】粘着テープの非粘着面側に切断刃を配置できるとともに、切断後に容易に粘着テ
ープの切断端部に外側が非粘着面から成る折り返し部を形成できる。
【解決手段】粘着テープ2の引き出し方向に回動可能な切断刃9を、引き出し方向とは反対方向に付勢するトーションばね30を設けるとともに、切断刃9と収納部3の間であって、引き出される粘着テープ2の非粘着面2b側に配置され、収納部3から引き出された粘着テープ2を切断刃9へ案内する回転ローラ11と、収納部3から引き出される粘着テープ2を帯電させる帯電機構とを設け、切断刃9による粘着テープ2の切断後、切断刃9が粘着テープ2の引き出し方向とは反対方向に回動することにより、粘着テープ2の切断端部が折り返され、非粘着部から成る折り返し部2cが形成される構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断した粘着テープの切断端部を折り返して外側が非粘着面から成る折り返し部を形成することができるテープカッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、一面に粘着面を、他面に非粘着面をそれぞれ有する粘着テープを収納可能なリール、すなわち収納部と、粘着テープの粘着面側に回動可能に配置され、上述の収納部から指で摘んで引き出された粘着テープを切断する切断刃とを備えた構成になっている。また、切断された粘着テープの切断端部を切断刃との間で折り返して、摘み部すなわち、外側が非粘着面から成る折り返し部を形成する円筒状の待機部も備えた構成になっている。
【0003】
このように構成される従来技術にあっては、粘着テープを必要箇所に貼り付ける際には、例えば貼り付け予定領域の全長に相当する長さとなるように、粘着テープの折り返し部を指先で摘んで引き出して貼り付けることが行われる。また、粘着テープが必要箇所に貼り付けられた後、剥がす際には、粘着テープの外側が非粘着部から成る折り返し部を指先で摘んで引っ張り上げることにより、その粘着テープを簡単に剥がすことができる。
【特許文献1】特許第2958331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、粘着テープの貼着作業の作業能率の向上のために、粘着テープを段ボール等の被貼着部材に貼り付ける際に、上述のように粘着テープを貼り付け予定領域の全長に相当する長さとなるように引き出して貼り付けるようなことをしないで、粘着テープの先端部だけを被貼着部材に貼り付け、その後引き続いて粘着テープを保持している本体側を移動させることによって、粘着テープを貼り付け予定領域に貼り付けたい場合がある。このようにして粘着テープを貼り付ける場合には、上述した従来技術の構成とは異なって、切断刃を粘着テープの粘着面とは反対側の面である非粘着面側に配置するようにしたい。しかしながら、単に切断刃を粘着テープの非粘着面側に配置しただけでは、被貼着部材から剥がすときに便利なものとなっている外側が非粘着部から成る折り返し部の形成は難しくなる。
【0005】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、粘着テープの非粘着面側に切断刃を配置できるとともに、切断後に容易に粘着テープの切断端部に外側が非粘着面から成る折り返し部を形成できるテープカッター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、一面に粘着面を、他面に非粘着面をそれぞれ有する粘着テープを収納可能な収納部と、この収納部から引き出された粘着テープを切断する切断刃とを備えたものにあって、上記切断刃を、上記収納部から引き出された上記粘着テープの上記非粘着面側において上記粘着テープの引き出し方向に回動可能に配設するとともに、この切断刃を上記引き出し方向とは反対方向に付勢する付勢部材を設け、さらに、上記切断刃と上記収納部の間であって、上記収納部から引き出される上記粘着テープの上記非粘着面側に配置され、上記収納部から引き出された上記粘着テープを上記切断刃へ案内する案内部材と、上記収納部から引き出される上記粘着テープを帯電させる帯電機構とを設け、上記収納部から引き出された上記粘着テープが上記切断刃によって切断された後、上記切断刃が上記粘着テープの引き出し方向とは反対方向に回動することにより上記粘着テープの切断端部が折り返され、外側が上記非粘着面から成る折り返し部が形成されることを特徴としている。
【0007】
このように構成した本発明は、粘着テープを段ボール等の被貼着部材に貼り付ける際には、最初に被貼着部材に粘着テープの先端部を貼り付ける。その後引き続いて収納部を含む本体側を移動させ、粘着テープを案内部材を介して引き出しながら、その引き出された粘着テープの部分を順次被貼着部材に貼り付けて行く。この際、粘着テープの引き出し操作に伴って、帯電機構によって静電気が発生し、この静電気が粘着テープに帯電するとともに、切断刃が付勢部材の付勢力に抗して粘着テープの引き出し方向に回動する。このようにして、被貼着部材の貼り付け予定領域の全体に粘着テープが貼り付けられる。
【0008】
その後この粘着テープが、その非粘着面側に配置された切断刃で切断される。この切断刃で切断された際に、付勢部材の付勢力によって切断刃が粘着テープの引き出し方向と反対方向に回動し、静電気が帯電している粘着テープの切断端部が、切断刃に一時的に接着しながら非粘着面側が凸形状の曲面を形成するように撓められて、この切断刃の回動に伴って折り返され、この粘着テープの切断端部に、外側が非粘着面から成る折り返し部が形成される。このように本発明は、粘着テープの非粘着面側に切断刃を配置できるとともに、切断後に付勢部材の付勢力と、粘着テープの引き出し方向と反対方向に回動する切断刃を介して、また、帯電機構により粘着テープに帯電させた静電気による接着力を介して、粘着テープの切断端部の非粘着面側が凸状の曲面を形成するように撓ませることができ、容易に粘着テープの切断端部に外側が非粘着面から成る折り返し部を形成できる。
【0009】
また、本発明は上記発明において、上記案内部材が回転ローラから成るとともに、上記帯電機構は、上記回転ローラと、この回転ローラに回転負荷をかけるブレーキ部材とを含み、上記粘着テープが上記収納部から引き出されたときに、回転負荷がかけられた上記回転ローラ上を上記粘着テープが擦ることにより、上記粘着テープを帯電させるものから成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、粘着テープが引き出される際に、ブレーキ部材により回転が抑えられ気味となる回転ローラを介して粘着テープに静電気が帯電し、粘着テープが切断された後には、この粘着テープが静電気によって回転ローラに巻きつくように撓む傾向となり、これにより粘着テープの切断端部に確実に折り返し部を形成できる。
【0010】
また、本発明は上記発明において、上記粘着テープは、巻き回された状態で上記収納部に収納させてあるとともに、上記帯電機構は、上記収納部に上記巻き回された状態にある上記粘着テープの外周面に対接する摩擦発生部材を含み、上記粘着テープが上記収納部から引き出されたときに、上記摩擦発生部材と上記粘着テープとの摩擦により、上記粘着テープを帯電させるものから成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、粘着テープが収納部から引き出される際に、摩擦発生部材を介して粘着テープに静電気が帯電し、この静電気による接着力を介して粘着テープの切断端部に確実に折り返し部を形成できる。
【0011】
また、本発明は上記発明において、上記粘着テープが引き出された際に、この粘着テープの上記非粘着面と接触して上記切断刃を上記付勢部材の付勢力に抗して上記粘着テープの引き出し方向に回動させるガイド部を設け、上記帯電機構は、上記ガイド部を含み、上記粘着テープが上記収納部から引き出されたときに、上記ガイド部が上記粘着テープの上記非粘着面上を擦ることにより、上記粘着テープを帯電させるものから成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、粘着テープが引き出される際に、ガイド部が粘着テープの非粘着面を摺動して切断刃を開く方向に回動させることから、粘着テープを傷つけることなく被貼着部材に貼り付けることができるとともに、ガイド部によって切断刃を円滑に開かせることができる。また、ガイド部を介して粘着テープに静電気が帯電し、この静電気による接着力を介して粘着テープの切断端部に確実に折り返し部を形成できる。
【0012】
また、本発明は上記発明において、上記ガイド部は、上記切断刃の刃先に沿って延設される合成樹脂製のねじりコイルばねを含むことを特徴としている。このように構成した本発明は、合成樹脂製のねじりコイルばねを介して粘着テープに静電気を確実に帯電させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、粘着テープの非粘着面側に切断刃を配置できるとともに、切断後に付勢部材の付勢力と、粘着テープの引き出し方向と反対方向に回動する切断刃とを介して、また、帯電機構により粘着テープに帯電させた静電気による接着力を介して、粘着テープの切断端部の非粘着面側が凸状の曲面となるように撓ませることができ、粘着テープの切断端部を容易に折り返して、外側が非粘着面から成る折り返し部を形成できる。これにより、被貼着部材に貼り付けられた粘着テープを剥がす際に、折り返し部を把持して容易に粘着テープを剥がすことができ、また、粘着テープの本体側を移動させて行う粘着テープの貼着作業が可能となり、この粘着テープの貼着作業の作業能率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下,本発明に係るテープカッター装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0015】
[本実施形態の構成]
図1は本発明に係るテープカッター装置の一実施形態を示す側面図、図2は図1に示す本実施形態の要部拡大図、図3は図1のA方向から見た拡大図、図4は切断刃が閉じられた状態を示す図3に対応する図、図5は図1のB方向から見た図、図6は本実施形態に備えられる押圧回転部を示す図で、(a)図は要部拡大側面図、(b)図は(a)図のC−C断面図である。
【0016】
本実施形態に係るテープカッター装置は、図1に示すように、本体1と、この本体1に含まれ、一面に粘着面2aを、他面に非粘着面2bをそれぞれ有する粘着テープ2を、巻き回された状態で収納可能な収納部3と、この収納部3に収納された粘着テープ2が引き出される引き出し部4とを備えている。この引き出し部4には、引き出された粘着テープ2の粘着面2aが接触して回転するローラ部材12が含まれている。本体1を形成するフレーム1aには、収納部3に収納された粘着テープ2の外周面に対向するように配置される把手13が取り付けられている。
【0017】
また、本体1を形成するフレーム1aには、図2にも示すように、ねじ18によって支持部材17を固定してあり、この支持部材17に軸25によって枠体5を回動可能に取り付けてある。枠体5には、収納部3から引き出された粘着テープ2を切断する切断刃9をねじ31によって固定してある。この切断刃9は、収納部3から引き出された粘着テープ2の非粘着面2b側において、上述の枠体5と一体に粘着テープ2の引き出し方向に回動可能になっている。また、上述した軸25には、一端が支持部材17に係着され、他端が枠体5に係着される付勢部材、例えばトーションばね30を装着させてある。
【0018】
また、切断刃9と収納部3の間であって、収納部3から引き出される粘着テープ2の非粘着面2b側に配置され、収納部3から引き出された粘着テープ2を切断刃9へ案内する案内部材、例えばゴムローラから成る回転ローラ11を設けてある。この回転ローラ11は軸6を中心に回転し、軸6はフレーム1aに取り付けられる軸受6aによって保持されている。軸受6aには、回転ローラ11の回転を規制する摺動抵抗を与える金属製の部材から成る規制部材7を配置してある。また、図2に示すように、回転ローラ11に回転負荷をかけるブレーキ部材、例えば板ばね35を設けてある。この板ばね35は、例えば銅チタンから成り、上述した支持部材17とともにねじ18によってフレーム1aに取り付けてある。
【0019】
また、上述した切断刃9の内側、すなわち回転ローラ11に対向する側には、切断刃9を取り付けるねじ31によって、押え板32を枠体5に取り付けてある。押え板32の回転ローラ11と対向する部分には、回転ローラ11の外周面に適合する凹形状の曲面部32aを形成してある。
【0020】
また、枠体5には、図3,5等にも示すように、トーションばね37によって第1ガイド部33を装着させてあるとともに、第1ガイド部33よりも回転ローラ11に近い位置に、第2ガイド部34を取り付けてある。これらの第1ガイド部33と第2ガイド部34は、粘着テープ2が引き出された際に、粘着テープ2の非粘着面2bと接触して切断刃9をトーションばね30の付勢力に抗して粘着テープ2の引き出し方向に回動させるガイド部を構成している。第1ガイド部33は、切断刃9の前方に配置してあり、図3〜5等に示すように、例えば合成樹脂製の柱状体32aと、この柱状体32aに装着される合成樹脂製のねじりコイルばね32bとから成っている。第2ガイド部34は、切断刃9の刃先に沿って延設され、例えば金属製の小径の第1ねじりコイルばね34aと、この第1ねじりコイルばね34aに装着され、合成樹脂製の大径の第2ねじりコイルばね34bとから成っている。
【0021】
また、上述した把手13には、図1に示すように、収納部3に巻き回された状態にある装着テープ2の外周面、すなわち非粘着面2bに対接する摩擦発生部材を含む回転押圧部36を設けてある。この回転押圧部36は、図6に示すように、把手13に取り付けられる軸36aと、この軸36aに回転可能に取り付けられる摩擦発生部材、例えば合成樹脂製の回転体36bとから成っている。
【0022】
本実施形態は特に、収納部3から引き出される粘着テープ2を帯電させる帯電機構を備えており、この帯電機構は、例えば第1帯電機構と、第2帯電機構と、第3帯電機構とから成っている。
【0023】
第1帯電機構は、上述した図2に示す回転ローラ11と、この回転ローラ11に回転負荷をかけるブレーキ部材、すなわち板ばね35とを含み、粘着テープ2が収納部3から引き出されたときに、回転負荷がかけられた回転ローラ11上を粘着テープ2の非粘着面2bが擦ることにより、粘着テープ2を帯電させるものから成っている。
【0024】
第2帯電機構は、上述した図1,6に示す回転押圧部34に備えられる摩擦発生部材、すなわち収納部3に巻き回された状態にある粘着テープ2の外周面に対接する回転体36bを含み、粘着テープ2が収納部3から引き出されたときに、回転体36bと粘着テープ2の非粘着面2bとの摩擦により、粘着テープ2を帯電させるものから成っている。
【0025】
第3帯電機構は、上述した図1,2に示す第1ガイド部33及び第2ガイド部34を含み、粘着テープ2が収納部3から引き出されたときに、第1ガイド部33及び第2ガイド部34が、粘着テープ2の非粘着面2b上を擦ることにより、粘着テープ2を帯電させるものから成っている。
【0026】
[粘着テープの貼着作業]
図7〜図14は粘着テープの貼着動作を示す図で、図7は粘着テープの貼着作業開始時の状態を示す側面図、図8は粘着テープの貼着作業の途中の状態を示す側面図、図9は粘着テープの切断時の状態を示す図である。図10は粘着テープの切断直後の状態を示す側面図、図11は図10の状態にほぼ対応する要部拡大図である。図12は粘着テープが切断された後にこの粘着テープの切断端部に折り返し部が形成される途中の状態を示す要部拡大図である。図13は粘着テープの切断端部に折り返し部が形成されたときの状態を示す側面図、図14は図13の状態にほぼ対応する要部拡大図である。
【0027】
これらの図7〜14に基づいて、粘着テープ2を被貼着部材である段ボール14に貼り付ける本実施形態における貼着作業について以下に説明する。
【0028】
粘着テープ2を段ボール14に貼り付けるに際しては、例えば図7に示すように、把手13に手のひらを当接し、収納部3に収納された粘着テープ2を挟持した状態で回転ローラ11を段ボール14に近づけ、回転ローラ11で粘着テープ2の先端部分、すなわち折り返し部2cの根元付近を段ボール14に貼り付ける。そして、図8に示すように、本体1側を貼り付け予定領域に沿って移動させる。この間、回転ローラ11を段ボール14に押し付ける動作によって、第1ガイド部33の柱状体33aに装着したねじりコイルばね33bが粘着テープ2の非粘着面2b上を摺動し、第2ガイド部34の第2ねじりコイルばね34bが粘着テープ2の非粘着面2b上を摺動し、トーションばね30の付勢力に抗して枠体5が粘着テープ2の引き出し方向に回動し、この枠体5と一体に切断刃9が、トーションばね30の付勢力に抗して開く方向に回動する。
【0029】
この間、第2ガイド部34の大径の第2ねじりコイルばね34bが、小径の第1ねじりコイルばね34aに対して下方に移動する傾向となることによって、切断刃9の刃先は粘着テープ2に接触しないように保たれる。また、本体1を移動させる動作に伴ってローラ部材12が回転するとともに、回転ローラ11が規制部材7による軽い摺動抵抗を受けながらも、また、ブレーキ部材である板ばね35の制動力を受けながらも回転する。また、第1ガイド部33のねじりコイルばね33a、及び第2ガイド部34の第2ねじりコイルばね34bが、粘着テープ2の非粘着面2b上を摺動する動作に伴って、トーションばね30,37の付勢力によって第1ガイド部33と第2ガイド部34との間の粘着テープ2の部分、及び第2ガイド部34と回転ローラ11との間の粘着テープ2の部分に張力が与えられ、この張力によって粘着テープ2を段ボール14に堅固に貼り付けることができる。
【0030】
なお、上述の動作の間、収納部3から粘着テープ2が引き出される際に、把手3に設けた回転押圧部36の回転体36bと収納部3に巻き回された粘着テープ2の外周面との摩擦接触により、静電気が発生し、この静電気が粘着テープ2に帯電する。また、回転負荷がかけられた回転ローラ11に対して粘着テープ2の非接触面2bが擦ることにより静電気が発生し、この静電気が粘着テープ2に帯電する。さらに、第1ガイド部33のねじりコイルばね33b、及び第2ガイド部34の第2ねじりコイルばね34bが粘着テープ2の非粘着面2b上を擦ることによって静電気が発生し、この静電気が粘着テープ2に帯電する。すなわち、上述した第1〜第3帯電機構によって粘着テープ2が帯電する。
【0031】
粘着テープ2が貼り付け予定領域の全体にわたって引き出され、切断位置に至った際に、図9に示すように、粘着テープ2の非粘着面2b側に配置された切断刃9によってこの粘着テープ2が切断される。なおこのとき、上述のように第1ガイド部33及び第2ガイド部34と、回転ローラ11とを支点として粘着テープ2に張力が働き、この張力によって枠体5と一体に設けられた切断刃9が大きく開いた状態において、粘着テープ2は切断刃9によって確実に切断される。
【0032】
その切断直後には、図10,11に示すように、トーションばね30の付勢力によって枠体5と一体に設けられた切断刃9が、粘着テープ2の引き出し方向と反対方向に勢いよく戻ろうとするが、粘着テープ2の切断端部が切断刃9の刃先、及び第2ガイド部34の第2ねじりコイルばね34に一時的に接触しながら回転ローラ11側に押し戻されることにより、回転ローラ11と切断刃9との間に位置する粘着テープ2の切断端部が、押え板32及び支持部材17に近づくように、これらの押え板32及び支持部材17に対向する側が凸形状なるようにして撓められる。引き続く枠体5及び切断刃9の回動によって、図12に示すように、粘着テープ2の切断端部が押え板32の曲面部32aに当接するように撓められ、さらに、図13,14に示すように、粘着テープ2の切断端部が押え板32と、回転ローラ11との間で挟圧され、粘着テープ2の切断端部の粘着面2aどうしが接合し、この粘着テープ2の切断端部に、図14に示すように、外側が非粘着面2bから成る折り返し部2cが形成される。
【0033】
なお、段ボール14に貼り付けられた粘着テープ2を剥がす際には、折り返し部2cを摘んで、例えば引っ張り上げることにより、容易に粘着テープ2を段ボール14から剥がすことができる。
【0034】
[本実施形態の効果]
以上のように構成した本実施形態によれば、上述のように粘着テープ2の非粘着面2b側に切断刃9を配置できるとともに、切断後に、トーションばね30の付勢力と、粘着テープ2の引き出し方向と反対方向に回動する切断刃9、及び第2ガイド部34の第2ねじりコイルばね34bを介して、また、第1〜第3帯電機構により粘着テープ2に帯電させた静電気による接着力を介して、粘着テープ2の切断端部の非粘着面2b側が曲面を形成するように撓ませることができ、容易に粘着テープ2の切断端部を折り返して、外側が非粘着面2bから成る折り返し部2cを形成できる。これにより、段ボール14に貼り付けられた粘着テープ2を剥がす際に、折り返し部2cを把持して容易に粘着テープ2を剥がすことができ、また、粘着テープ2の本体1側を移動させて行う粘着テープ2の貼着作業が可能となり、この粘着テープ2の貼着作業の作業能率を向上させることができる。
【0035】
また、回転ローラ11と、ブレーキ部材を構成する板ばね35とを含む第1帯電機構を備えたことから、粘着テープ2が引き出される際に、板ばね35により回転が抑えられ気味となる回転ローラ11を介して、上述したように粘着テープ2に静電気が帯電し、粘着テープ2が切断された後には、この粘着テープ2が静電気の接着力によって回転ローラ11に巻きつくように撓む傾向となり、これにより粘着テープ2の切断端部に確実に折り返し部2cを形成できる。
【0036】
また、収納部3に巻き回された状態にある粘着テープ2の外周面に当接する摩擦発生部材を構成する回転体36bを有する回転押圧部36を含む第2帯電機構を備えたことから、粘着テープ2の収納部3が引き出される際に、回転体36bを介して上述したように粘着テープ2に静電気が帯電し、この静電気の接着力を介して粘着テープ2の切断端部に確実に折り返し部2cを形成できる。
【0037】
また、第1ガイド部33及び第2ガイド部34を含む第3帯電機構を備えたことから、粘着テープ2が引き出される際に、これらの第1ガイド部33及び第2ガイド部34を介して粘着テープ2に静電気が帯電し、この静電気による接着力を介して粘着テープ2の切断端部に確実に折り返し部2cを形成できる。なお、第1ガイド部33及び第2ガイド部34が粘着テープ2の非粘着面2bを摺動して切断刃9を開く方向に回動させることから、粘着テープ2を傷つけることなく段ボール14に貼り付けることができるとともに、これらの第1ガイド部33及び第2ガイド部34によって切断刃9を円滑に開かせることができる。また、粘着テープ2を段ボール14に貼り付ける貼着作業の間、上述したように第2ガイド部34の第2ねじりコイルばね34aによって切断刃9の刃先が出過ぎないように保つことができ、これによっても粘着テープ2を傷つけることなく段ボール14に貼り付けることができる。
【0038】
また、粘着テープ2に接触可能な第1ガイド部33のねじりコイルばね33b、及び第2ガイド部34の第2ねじりコイルばね34bのそれぞれを合成樹脂製のねじりコイルばねによって構成したことから、これらのねじりコイルばね33b、第2ねじりコイルばね34bを介して、粘着テープ2に静電気を確実に帯電させることができる。
【0039】
また、図1に示す回転押圧部36を収納部3に巻き回した粘着テープ2の外周面に対接させるようにしたことから、粘着テープ2の外周面と把手13との間に、把手13を把持する際に小指等が挿入可能な隙間を形成することができ、これによって把手13の把持操作が容易となる。
【0040】
[別の実施形態]
図15は本発明の別の実施形態を示す側面図、図16は図15に示す別の実施形態に備えられる接触押圧部を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は平面図である。
【0041】
この別の実施形態は、上述した把手13に設けられる回転押圧部36に代えて、接触押圧部38を設けた構成にしてある。この接触押圧部38は、図16にも示すように、収納部3に巻き回された状態にある粘着テープ2の外周面、すなわち非粘着面2bに対接するナイロン布38aと、このナイロン布38aを把手13に接着させる接着テープ38bとから成っている。すなわち、第2帯電機構が、摩擦発生部材であるナイロン布38aを含む構成にしてある。その他の構成は、上述した実施形態と同等である。
【0042】
このように構成した別の実施形態は、収納部3から粘着テープ2が引き出される際に、把手13に設けた接触押圧部38と収納部3に巻き回された粘着テープ2の外周面との摩擦接触により、静電気が発生し、この発生した静電気を粘着テープ2に帯電させることができ、この静電気による接着力を介して粘着テープ2の切断端部に確実に、外側が非粘着面2bから成る折り返し部2cを形成できる。その他の作用効果は、上述した実施形態におけるのと同等である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るテープカッター装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す本実施形態の要部拡大図である。
【図3】図1のA方向から見た拡大図である。
【図4】切断刃が閉じられた状態を示す図3に対応する図である。
【図5】図1のB方向から見た図である。
【図6】本実施形態に備えられる押圧回転部を示す図で、(a)図は要部拡大側面図、(b)図は(a)図のC−C断面図である。
【図7】粘着テープ貼着動作を示す図で、粘着テープの貼着作業開始時の状態を示す側面図である。
【図8】粘着テープ貼着動作を示す図で、粘着テープの貼着作業の途中の状態を示す側面図である。
【図9】粘着テープ貼着動作を示す図で、粘着テープの切断時の状態を示す図である。
【図10】粘着テープ貼着動作を示す図で、粘着テープの切断直後の状態を示す側面図である。
【図11】粘着テープ貼着動作を示す図で、図10の状態にほぼ対応する要部拡大図である。
【図12】粘着テープ貼着動作を示す図で、粘着テープが切断された後にこの粘着テープの切断端部に折り返し部が形成される途中の状態を示す要部拡大図である。
【図13】粘着テープ貼着動作を示す図で、粘着テープの切断端部に折り返し部が形成されたときの状態を示す側面図である。
【図14】粘着テープ貼着動作を示す図で、図13の状態にほぼ対応する要部拡大図である。
【図15】本発明の別の実施形態を示す側面図である。
【図16】図15に示す別の実施形態に備えられる接触押圧部を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は平面図である。
【符号の説明】
【0044】
2 粘着テープ
2a 粘着面
2b 非粘着面
2c 折り返し部
3 収納部
9 切断刃
11 回転ローラ(案内部材)〔第1帯電機構〕
13 把手
14 段ボール
30 トーションばね(付勢部材)
32 押え板
32a 曲面部
33 第1ガイド部(第3帯電機構)
33a 柱状体
33b ねじりコイルばね
34 第2ガイド部(第3帯電機構)
34a 第1ねじりコイルばね
34b 第2ねじりコイルばね
35 板ばね(ブレーキ部材)〔第1帯電機構〕
36 回転押圧部〔第2帯電機構〕
36a 軸
36b 回転体(摩擦発生部材)
38 接触押圧部(第2帯電機構)
38a ナイロン布(摩擦発生部材)
38b 接着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に粘着面を、他面に非粘着面をそれぞれ有する粘着テープを収納可能な収納部と、この収納部から引き出された粘着テープを切断する切断刃とを備えたものにあって、
上記切断刃を、上記収納部から引き出された上記粘着テープの上記非粘着面側において上記粘着テープの引き出し方向に回動可能に配設するとともに、この切断刃を上記引き出し方向とは反対方向に付勢する付勢部材を設け、
さらに、上記切断刃と上記収納部の間であって、上記収納部から引き出される上記粘着テープの上記非粘着面側に配置され、上記収納部から引き出された上記粘着テープを上記切断刃へ案内する案内部材と、
上記収納部から引き出される上記粘着テープを帯電させる帯電機構とを設け、
上記収納部から引き出された上記粘着テープが上記切断刃によって切断された後、上記切断刃が上記粘着テープの引き出し方向とは反対方向に回動することにより上記粘着テープの切断端部が折り返され、外側が上記非粘着面から成る折り返し部が形成されることを特徴とするテープカッター装置。
【請求項2】
上記請求項1記載の発明において、
上記案内部材が回転ローラから成るとともに、
上記帯電機構は、上記回転ローラと、この回転ローラに回転負荷をかけるブレーキ部材とを含み、上記粘着テープが上記収納部から引き出されたときに、回転負荷がかけられた上記回転ローラ上を上記粘着テープが擦ることにより、上記粘着テープを帯電させるものから成ることを特徴とするテープカッター装置。
【請求項3】
上記請求項1または2記載の発明において、
上記粘着テープは、巻き回された状態で上記収納部に収納させてあるとともに、
上記帯電機構は、上記収納部に上記巻き回された状態にある上記粘着テープの外周面に対接する摩擦発生部材を含み、上記粘着テープが上記収納部から引き出されたときに、上記摩擦発生部材と上記粘着テープとの摩擦により、上記粘着テープを帯電させるものから成ることを特徴とするテープカッター装置。
【請求項4】
上記請求項1〜3のいずれか1項記載の発明において、
上記粘着テープが引き出された際に、この粘着テープの上記非粘着面と接触して上記切断刃を上記付勢部材の付勢力に抗して上記粘着テープの引き出し方向に回動させるガイド部を設け、
上記帯電機構は、上記ガイド部を含み、上記粘着テープが上記収納部から引き出されたときに、上記ガイド部が上記粘着テープの上記非粘着面上を擦ることにより、上記粘着テープを帯電させるものから成ることを特徴とするテープカッター装置。
【請求項5】
上記請求項4記載の発明において、
上記ガイド部は、上記切断刃の刃先に沿って延設される合成樹脂製のねじりコイルばねを含むことを特徴とするテープカッター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−133125(P2008−133125A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322191(P2006−322191)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】