説明

テープ供給装置およびこれを備えたテープ印刷装置

【課題】印刷テープ(テープ状部材)に加工を施すことなく、確実にテープエンドを検出および印刷テープのテープ送り状態を把握しつつ、回転検出手段の配設に自由度を持たせることのできるテープ供給装置等を提供する。
【解決手段】印刷テープ21aをテープコア21bに巻回してなるテープ体21が着脱自在に装着されるカートリッジ装着部42と、カートリッジ装着部42に装着されたテープ体21のテープコア21bから、印刷テープ21aを繰り出しながら送るテープ送り手段44と、カートリッジ装着部42に装着されたテープ体21のテープコア21bに係合し、印刷テープ21aの繰り出しに伴うテープコア21bの回転に同期して回転する回転体46と、回転体46の回転停止を含む回転状態を検出する回転検出手段47と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープコアにロール状に巻回したテープ状部材を繰り出して送るテープ供給装置およびこれを備えたテープ印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巻回されたテープ状部材の終了端の近傍に形成された被検出部を、サーマルヘッドの下流側のカッターに隣接して設けられたフォトセンサー(光センサー:検出手段)により検出することで、テープ状部材が終了したことを認識可能なテープ供給装置(テープ印字装置)が知られている(特許文献1参照)。
このテープ供給装置では、被検出部が、テープ状部材においてフォトセンサーの光が通過可能な孔(または透明部分)として設けられており、フォトセンサーが被検出部を検出する(テープエンド検出)と、テープ状部材の送り駆動およびテープ状部材に対する印刷が停止される。この場合、被検出部からテープ状部材の終了端までの長さが、フォトセンサーの検出位置からサーマルヘッドの印刷位置までの長さ(距離)と等しく構成され、印刷位置にテープ状部材が存在しない状態で印刷が行われることを防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−267881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなテープ供給装置では、テープ状部材の後端部分(テープエンド)に被検出部を形成しなければならず、テープ状部材の製造コストの増大が問題となっていた。また、テープ状部材が透明或いは半透明である場合には、光センサー等の検出手段では被検出部の検出が非常に困難なものとなり、テープエンドを正確に検出することができなかった。さらに、上記した検出手段では、テープ状部材の送りが、適切に行われているか否かを検出することができなかった。他にも、テープ状部材の搬送経路に光センサー等の検出手段を設けなければならず、検出手段の配設位置に制限が課せられていた。
【0005】
本発明は、確実にテープエンドの検出およびテープ状部材のテープ送り状態を把握しつつ、検出手段の配設に自由度を持たせることのできるテープ供給装置およびこれを備えたテープ印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープ供給装置は、テープ状部材をテープコアに巻回してなるテープ体が着脱自在に装着されるテープ装着部と、テープ装着部に装着されたテープ体のテープコアから、テープ状部材を繰り出しながら送るテープ送り手段と、テープ装着部に装着されたテープ体のテープコアに係合し、テープ状部材の繰り出しに伴うテープコアの回転に同期して回転する回転体と、回転体の回転停止を含む回転状態を検出する回転検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、回転体を介してテープコアの回転停止を含む回転状態を検出できるため、テープ状部材が繰り出されながら送られる状態を把握することができる。例えば、テープ送り手段に同期して回転体の回転が検出されれば、テープ状部材が正常に繰り出され且つ送られていることが把握でき、一方、回転体の回転停止により、テープ状部材を使い切ったこと(テープエンド)やテープ状部材の異常な送り状態であることが把握できる。これにより、テープ状部材自体にテープエンドを示すための加工を施す必要がないため、テープ状部材(ひいてはテープ体)を安価に製造することができる。また、当該回転状態を検出する回転検出手段は、検出対象となる回転体の形状や配設位置に応じて配設すればよいため、テープ状部材自体を検出対象とする場合に比べて、回転検出手段の配設位置をある程度自由に設定することができる。
【0008】
この場合、回転体は、テープコアと同軸上においてテープ装着部に回転自在に軸支され、テープコアと回転体とは、スプライン様に係合することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、テープコアの回転を回転体に的確に伝達することができる。これにより、テープコアと回転体とが空回りすることを防止することができ、回転検出手段により、回転体の正確な回転状態の検出を担保することができる。
【0010】
この場合、回転体には、回転を制動するトルクリミッターが組み込まれていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、テープコアに巻かれたテープ状部材が解けることを防止すると共に、テープ状部材は、バックテンションを与えられた状態で弛むことなく送られる。これにより、回転検出手段は、正確な回転状態を検出することができる。
【0012】
この場合、テープ送り手段の駆動を制御する制御手段と、装着されたテープ体の種別を検出する種別検出手段と、を更に有し、制御手段は、テープ体の種別毎の各種パラメーターを記憶した制御テーブルを有し、種別検出手段の検出結果に基づき、制御テーブルを参照し、テープ送り手段の送り駆動速度、回転検出手段の検出結果および制御テーブルの参照結果から、テープ状部材の巻き残量を算出することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、テープ状部材の構成(色や種類等)によらず、簡単にテープ状部材の巻き残量を算出することができる。さらに、報知手段により、ユーザーは、テープ体の交換時期や巻き残量を容易に確認することができる。
なお、回転検出手段の回転状態とテープ状部材の巻き残量との相関関係を示す対応表を制御テーブルとして用いてもよい。この場合、回転検出手段の検出結果から制御テーブルを参照するだけで巻き残量を求めることができる。
【0014】
この場合、回転体は、少なくとも1つの被検出部を有し、回転検出手段は、被検出部に臨む光センサーを有していることが好ましい。
【0015】
他にも、回転体は、少なくとも1つの被検出部を有し、回転検出手段は、被検出部に接触し凹凸形状し、オンまたはオフするマイクロスイッチを有していることが好ましい。
【0016】
これらの構成によれば、簡単な構造で回転体の回転を正確に検出することができる。これにより、テープエンドの検出もしくはテープ状部材の送り状態またはテープ状部材の巻き残量の算出を精度良く行うことができる。
【0017】
本発明のテープ印刷装置は、上記したテープ供給装置と、繰り出され送られるテープ状部材に印刷を行うテープ印刷手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、テープ状部材をいわゆる印刷テープに適用した場合に、印刷テープの繰り出し状態、すなわち印刷テープが正常に送られているか否かを正確に把握することができる。このため、例えば、テープ状部材を使い切ったことやテープ状部材の弛みや絡み等が生じていることを検出し、自動的にテープ状部材の送りを停止することができる。これにより、テープ状部材が供給されていないにもかかわらず、テープ印刷手段により印刷処理が続けられることによる印刷不良等の問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】テープ印刷装置の開蓋状態の外観斜視図である。
【図2】上ケースを破断したテープカートリッジの平面図である。
【図3】図1に示すテープカートリッジのA−A線における断面斜視図(a)および回転体の断面斜視図(b)である。
【図4】第1の実施例に係るテープカートリッジの一部を模式的に示した平面図(a)および図4(a)に示すテープカートリッジのA−A線における断面図(回転体等も含む)(b)である。
【図5】テープ印刷装置の制御装置のブロック図である。
【図6】印刷テープの巻き残量と、回転検出手段により検出される回転検出信号との関係を示す説明図である。
【図7】印刷テープの巻き残量の算出に用いる各種定数および変数を示した説明図である。
【図8】第3の実施例に係るテープカートリッジおよび回転体等の図1に示したA−A線における断面図である。
【図9】第4の実施例に係るテープ印刷装置の回転体の断面図(a)および底面図(b)である。
【図10】第5の実施例(A)および第6の実施例(B)に係るテープ印刷装置の回転体の断面図(a)および底面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明のテープ印刷装置について説明する。このテープ印刷装置は、装着したテープカートリッジから印刷テープ(テープ状部材)およびインクリボンを繰り出し、張りを与えた状態で併走させながら印刷を行い、印刷テープの印刷済み部分を切断して、ラベル(テープ片)を作成するものである。
【0021】
(第1の実施例)
図1を参照して、テープ印刷装置1について説明する。図1は、テープ印刷装置1の開蓋状態の外観斜視図である。テープ印刷装置1は、印刷テープ21a等を収容したテープカートリッジ13が着脱自在に装着される装置本体14を備えたテープ供給装置11と、繰り出され送られる印刷テープ21aに印刷を行うテープ印刷手段12と、を備えている。また、テープ印刷装置1には、印刷処理等を統括的に制御する制御装置15(図5参照)を備えている。
【0022】
図2は、上ケース20aを破断したテープカートリッジ13の平面図である。図1および図2に示すように、テープカートリッジ13は、上ケース20aと下ケース20bとからなる樹脂製のカートリッジケース20により、その外殻が形成されている。また、テープカートリッジ13は、印刷テープ21aをテープコア21bに巻回してなるテープ体21と、インクリボン22aをリボンコア22bに巻回してなるリボン体22と、使用後のインクリボン22aを巻き取る巻取りコア23と、印刷テープ21aをテープ体21から繰り出して送るプラテンローラー24と、をカートリッジケース20の内部に収容している。なお、図2において、テープ体21は上側中央に、リボン体22は下側右側に、そして巻取りコア23は下側中央に、それぞれ配置されている。テープカートリッジ13を装置本体14に装着すると、印刷テープ21aには、テープ印刷手段12のサーマルヘッド12aがプラテンローラー24に対峙するようになっている。
【0023】
図3は、図1に示すテープカートリッジ13のA−A線における断面斜視図(a)および回転体の断面斜視図(b)である。また、図4は、テープカートリッジ13の一部を模式的に示した平面図(a)および図4(a)に示すテープカートリッジ13のA−A線における断面図(回転体等も含む)(b)である。図3および図4に示すように、上ケース20aには、テープコア21bが係合する円筒状の上コア軸31が内部に向かって突設されている。なお、上コア軸31は、上ケース20aと一体に成形されている。同様に、下ケース20bには、テープコア21bを軸支する円筒状の下コア軸33が内部に向かって突設されている。下コア軸33は、下ケース20bと一体に成形され、上コア軸31と対峙している。下コア軸33の内側には、装置本体14と連通する円形の検出開口34が形成されており、この検出開口34には、後述する回転体46が係合するようになっている。
【0024】
テープコア21b、リボンコア22bおよび巻取りコア23は、それぞれ円筒状に形成されており、上ケース20aと下ケース20bとの間に配置されている。また、図示では省略したが、テープコア21b、リボンコア22bおよび巻取りコア23には、回転止め機構が組み込まれており、テープカートリッジ13を装置本体14に装着すると、回転止めが解除されるようになっている。
【0025】
テープコア21bは、外筒部35と内筒部36と、これらを中間位置で連結する環状連結部37とで一体に形成され、全体として二重の円筒形状を為している。外筒部35の外側には、印刷テープ21aが巻かれており、外筒部35の内側には、環状連結部37を上下から挟むように、上記した上コア軸31および下コア軸33が、それぞれ係合するようになっている。
【0026】
内筒部36の内面には、後述する回転体46(の係合軸部55)が係合するスプライン溝S1が形成されている。これにより、テープコア21bは、回転体46に軸方向から着脱自在に装着され、且つテープコア21bと回転体46とは、同期して回転する。
【0027】
テープコア21bから繰り出された印刷テープ21aは、テープガイドピン26に案内されてプラテンローラー24に至る。一方、リボンコア22bから繰り出されたインクリボン22aは、テンションが付与されながら第1リボンピン27および第2リボンピン28に案内され、プラテンローラー24に至る。そして、サーマルヘッド12aが対峙するプラテンローラー24の部分で、インクリボン22aは、印刷テープ21aに重なって併走しながらサーマルヘッド12aにより印刷処理が行われる。印刷後の印刷テープ21aは、カートリッジケース20の側面に形成したテープ送出口29からテープカートリッジ13の外部に送り出される。一方、インクリボン22aは、カートリッジケース20内を回って巻取りコア23に巻き取られる。
【0028】
続いて、テープ供給装置11の主要部を為す装置本体14について説明する。図1に示すように、装置本体14は、装置ケース41により外殻が形成され、テープカートリッジ13を装着するカートリッジ装着部42が形成されている。また、装置本体14は、ユーザーが直接操作する入力装置であるキーボード43aおよびキーボード43aからの入力結果等を表示するディスプレイ43b(報知手段)を有する操作手段43と、テープカートリッジ13から印刷テープ21aを繰り出しながら送るテープ送り手段44と、印刷済みの印刷テープ21aを切断するカッター手段45と、カートリッジ装着部42に装着されたテープカートリッジ13のテープコア21bに係合する回転体46と、回転体46を介してテープコア21bの回転停止を含む回転状態を検出する回転検出手段47(図5参照)と、を備えている。
【0029】
キーボード43aは、装置ケース41の前半部上面に、ディスプレイ43bは、装置ケース41の後半部右上面に、それぞれ配設されている。また、装置ケース41の後半部左上面には、開閉蓋48が設けられており、開閉蓋48の内側には、カートリッジ装着部42が窪入形成されている。カートリッジ装着部42には、隠蔽するようにして、上記したテープ印刷手段12、テープ送り手段44および回転体46が配設されている。また、カートリッジ装着部42の隅部には、後述するテープ識別センサー79(図5参照)が配設されており、カートリッジケース20の種別等を識別できるようになっている。
【0030】
テープ送り手段44は、プラテンローラー24を駆動して印刷テープ21aを送るプラテン駆動軸51と、巻取りコア23を駆動してインクリボン22aを巻き取る巻取り駆動軸52と、プラテン駆動軸51および巻取り駆動軸52を同期回転させる送りモーター54(図5参照)と、送りモーター54の駆動力をプラテン駆動軸51および巻取り駆動軸52に伝達するギヤ列(図示省略)と、を備えている。なお、送りモーター54およびギヤ列は、カートリッジ装着部42の底板の下部空間に内蔵されている。
【0031】
テープカートリッジ13をカートリッジ装着部42に装着すると、プラテン駆動軸51がプラテンローラー24に係合し、巻取り駆動軸52が巻取りコア23に係合する。さらに、回転体46がテープコア21bに係合すると共に、サーマルヘッド12aが、印刷テープ21aおよびインクリボン22aを挟んでプラテンローラー24に当接し、印刷待機状態となる。
【0032】
装置ケース41の左側部には、カートリッジ装着部42と装置外部とを連通するテープ排出口49が形成されている。このテープ排出口49には、カッター手段45(切刃)が臨んでおり、カッターモーター45aを駆動することで、テープ排出口49から送り出される印刷テープ21aの印刷済み部分がテープ幅方向に切断され、テープ片(ラベル)が作成される。
【0033】
図3および図4に示すように、回転体46は、上記したテープコア21bの軸心に係合する係合軸部55と、係合軸部55の下端部に環状に形成されたフランジ部56と、で一体に形成されている。係合軸部55は、円筒状に形成され、フランジ部56は、係合軸部55の下端部の円周上において鍔状に形成されている。回転体46は、そのフランジ部56をカートリッジ装着部42の底板の下部空間に内蔵し、フランジ部56から上方に延在する係合軸部55をカートリッジ装着部42の底板から突出させ、カートリッジ装着部42(装置ケース41)に対して回転自在に支持されている。
【0034】
係合軸部55の外面には、内筒部36の内面に形成されたスプライン溝S1に係合するスプラインS2が形成されている。テープカートリッジ13をカートリッジ装着部42に装着すると、係合軸部55は、内筒部36に係合し(図3(a)参照)、印刷テープ21aの繰り出しに伴うテープコア21bの回転に同期して回転する。これにより、回転検出手段47を用いて回転体46の回転状態、すなわち、テープコア21bの回転状態を正確に検出することができる(詳細は後述する。)。なお、係合軸部55のスプラインS2の先端を、鋭角に形成し、スプライン係合をガイドすることができるようにすることが好ましい。また、上記した内筒部36のスプライン溝S1および係合軸部55のスプラインS2を省略して、内筒部36に係合軸部55を嵌合させ、その摩擦力により互いの回転を同期させてもよい。この場合、係合軸部55はゴム等の弾性部材で形成したり、または、係合軸部55を上方に向かって先細るようなテーパー状に形成することが好ましい。
【0035】
フランジ部56には、後述する回転検出手段47による検出対象となる被検出部57が形成されている(図3(b)参照)。この被検出部57は、フランジ部56を厚み方向(上下方向)に貫通した矩形または扇形の開口からなる複数の光透過部57aと、当該開口以外の複数の光遮蔽部57bと、を交互に連ねて構成されている。複数の光透過部57aおよび複数の光遮蔽部57bは、フランジ部56の平面上において等ピッチに環状に配設されており、回転体46の回転を、回転検出手段47が検出することでパルス信号が生成される。なお、光透過部57aおよび光遮蔽部57bの形成数は、任意であり、それぞれ少なくとも1つ構成されていればよく、等間隔でなくてもよい。すなわち、被検出部57は、回転検出手段47からの光を透過する部分、または光を遮蔽する部分が、少なくとも1つ形成されていればよい。また、被検出部57(光透過部57aおよび光遮蔽部57b)の形成位置は、フランジ部56に限定されるものではなく、テープコア21bの回転に伴い回転し、且つ後述する回転検出手段47により、テープコア21bの回転を検出できる位置に設けられていればよい。例えば、フランジ部56を設けずに、係合軸部55の下端面に光透過部57aおよび光遮蔽部57bを設けてもよいし、係合軸部55から外側または内側に光遮蔽部57bのみを突き出すように設けてもよい。つまり、光透過部57aおよび光遮蔽部57bを環状に配設しなくてもよい。さらに、フランジ部56が透明であれば、光透過部57aおよび光遮蔽部57bを縞模様のシール(テープ)で構成し、フランジ部56に貼着するようにしてもよい。
【0036】
図3および図4に示すように、回転検出手段47は、光などの電磁気的エネルギーを検出する光センサーで構成されている。この光センサーの一例として、第1の実施例では、発光素子Eと受光素子Rとが向かい合うように配設された透過型フォトセンサー(光センサー)58を用いている。透過型フォトセンサー58は、光の断続や強さを探知して電気信号に変換する変換回路を搭載したいわゆるフォトインタラプタであり、その発光素子Eと受光素子Rとが、上記した回転体46(のフランジ部56)の被検出部57に臨むように横向きに配設されている。テープコア21bの回転に同期して回転体46が回転すると、被検出部57の複数の光透過部57aおよび複数の光遮蔽部57bにより、透過型フォトセンサー58は、電圧の出力変化を検出する。この出力変化は、制御装置15に送信され、パルス信号(回転検出信号)として認識される(図6(a)および(b)参照)。そして、制御装置15は、パルス信号および制御装置15のパルス信号を基にして、テープコア21bの回転状態(回転時間や円弧長等)を検出する。これにより、制御装置15において、印刷テープ21aが繰り出されながら送られる状態を、正確に把握することができるようになっている。なお、フランジ部56を設けずに係合軸部55の内側または外側に被検出部57を設けた場合には、回転検出手段47が被検出部57に臨むように、その位置を適宜変更する。すなわち、回転検出手段47は、検出対象となる回転体46の形状や配設位置に応じて配設すればよい。このため、例えば、印刷テープ21a自体に形成した被検出部57を検出対象とする場合に比べて、回転検出手段47の配設位置をある程度自由に設定することができる。
【0037】
次に、図5を参照して、制御装置15について説明する。図5は、テープ印刷装置1の制御装置15のブロック図である。制御装置15は、装置本体14の各手段を制御する制御部61(制御手段)と、装置本体14の各手段を駆動する駆動部62と、テープカートリッジ13の種別を検出する種別検出部63(種別検出手段)と、を備えている。
【0038】
制御部61は、CPU70、ROM71、RAM72およびIOC73(Input Output Controller)を備え、互いに内部バス74により接続されている。CPU70は、RAM72に展開されたROM71内の制御プログラムに従って各種演算処理を行う。そして、CPU70は、IOC73を介して装置本体14の各手段との間で印刷制御信号やテープコア21b(回転体46)の回転検出信号等の各種信号の入出力を処理することで各種処理の制御等を行う。また、CPU70は、内部時刻を更新するためのタイマー80を有している。
【0039】
ROM71は、テープ送り手段44による印刷テープ21aおよびインクリボン22aの送り速度Vf、被検出部57の分割数Se(光透過部57aと光遮蔽部57bとを一組として、これが環状に何組数形成されているかということ。)およびテープカートリッジ13(または印刷テープ21a)の種別毎の各種パラメーターPMを記憶した制御テーブル81を有している。制御テーブル81には、パラメーターPMとして、印刷テープ21aのテープ厚みTtと、テープコア21b(の外筒部35)のコア直径Dcと、が記憶されている。
【0040】
詳細は後述するが、種別検出部63によりテープカートリッジ13の種別が検出されると、該当する各種パラメーターPM等が制御テーブル81からRAM72上に展開される。そして、CPU70は、印刷テープ21a等の送り速度Vf、各種パラメーターPMおよび回転検出手段47の検出結果を用いて、テープカートリッジ13内の印刷テープ21aの巻き残量Lxを求める。なお、送り速度Vfおよび分割数Seは、一定(定数)であり、テープ厚みTtおよびコア直径Dcは、テープカートリッジ13の種別毎に固有の値である。
【0041】
駆動部62は、サーマルヘッド12a、ディスプレイ43b、送りモーター54およびカッターモーター45aに対し、制御部61からの入出力信号の橋渡しを行うと共に、これらを各々駆動するヘッドドライバー75、ディスプレイドライバー76、送りモータードライバー77およびカッターモータードライバー78を有している。
【0042】
種別検出部63は、上述したようにカートリッジ装着部42の隅部に配設されたテープ識別センサー79(マイクロスイッチ)を有している。テープ識別センサー79は、カートリッジケース20の裏面に形成された複数の被検出孔(図示省略)を検出し、この複数の被検出孔の組み合わせ(ビットパターン)に基づいて、テープカートリッジ13の装着および種別を識別する。
【0043】
続いて、上記した制御装置15を用いたテープエンド検出(印刷テープ21aを使い切ったこと。)、印刷テープ21aの弛み等検出および印刷テープ21aの巻き残量Lxの算出について説明する。
【0044】
はじめに、テープエンド検出について説明する。第1の実施例に係るテープ印刷装置1では、プラテンローラー24および巻取りコア23を回転駆動することで印刷テープ21aがテープコア21bから繰り出され、インクリボン22aがリボンコア22bから繰り出される。したがって、テープ印刷手段12による印刷テープ21a等の送り駆動に同期するようにしてテープコア21bの回転、つまり、回転体46の回転が検出されれば、印刷テープ21a等が正常に繰り出され且つ送られていることが、把握できる。一方、印刷テープ21aを使い切ると、テープコア21bには、繰り出すべき印刷テープ21aが存在しなくなるため、テープコア21bの回転は停止すると共に、テープコア21bに係合した回転体46の回転も停止する。
【0045】
そこで、テープエンド検出は、回転体46の回転状態を回転検出手段47が検出した場合になされる。そして、テープエンドが検出されると、CPU70は、制御プログラムに従って送りモーター54の駆動およびサーマルヘッド12aの駆動を停止させると共に、テープカートリッジ13の交換が必要な旨をディスプレイ43bに表示させ、これをユーザーに報知する。なお、印刷テープ21aは、サーマルヘッド12aとプラテンローラー24とに挟まれて、テンションがかかった状態で送られるため、印刷テープ21aを使い切った後、回転体46は、慣性により僅かに空回りする。この回転体46の空回りを検出することでテープエンド検出を行ってもよい。
【0046】
これにより、印刷テープ21a自体にテープエンドを示すための加工を施すことなく、回転体46を介して正確にテープエンドの検出を行うことができ、印刷テープ21a(ひいてはテープ体21)を安価に製造することができる。さらに、印刷テープ21aが無くなる前に送りモーター54の駆動等を停止させることができるため、サーマルヘッド12aとプラテンローラー24との間(印刷位置)に印刷テープ21aが存在しない状態で印刷動作が実施されることを防止することができる。なお、テープエンドのみならず、印刷テープ21aの送りが正常に行われている旨をディスプレイ43bに表示させるようにしてもよい。また、テープエンドの検出から送りモーター54等の停止に至る時間を遅延させ、可能な限り印刷テープ21aを使い切るようにしてもよい。
【0047】
次に、印刷テープ21aの弛み等の検出について説明する。例えば、何らかの理由でテープコア21bに対する印刷テープ21aの巻きに弛みが生じたり、印刷テープ21aが切れた場合等、またはテープコア21bからサーマルヘッド12aに至る経路において印刷テープ21aの弛みや絡み等が生じた場合には、送りモーター54の駆動開始後、僅かな時間だけ回転体46が回転しない、または、まったく回転体46が回転しない。つまり、印刷テープ21aの異常な送り状態となる。
【0048】
そこで、第1の実施例に係るテープ印刷装置1では、弛み等検出のための所定時間を設定し(ROM71に記憶させる。)、送りモーター54の駆動開始後、当該所定時間経過前に回転体46の回転を検出した場合に、印刷テープ21aの異常な送り状態を検出する。この場合、CPU70は、制御プログラムに従って送りモーター54の駆動を停止させると共に、その旨をディスプレイ43bに表示させ、これをユーザーに報知する。このように注意喚起されたユーザーは、テープカートリッジ13内の印刷テープ21aに弛み等が生じているか否かを認識することができる。もっとも、印刷テープ21aの弛み等が印刷等の障害にならない場合には、送りモーター54の駆動停止やディスプレイ43b表示を行う必要は無いが、上記した所定時間の設定により、印刷テープ21aに弛み等による印刷テープ21aの異常な送り常態を、テープエンドであるのと誤って検出することを防ぐことができる。
【0049】
なお、先に説明したテープエンド検出では、回転体46(テープコア21b)の回転中(印刷テープ21aの送り駆動中)に回転が停止した場合を述べたが、例えば、誤って印刷テープ21aを使い切ったテープカートリッジ13を装着した場合でも、上記した所定時間を経過後、当該回転を検出できない場合を、テープエンドとして検出することができるようになっている。
【0050】
次に、図6および図7を参照して、印刷テープ21aの巻き残量Lxの算出について説明する。図6は、印刷テープ21aの巻き残量Lxと、回転検出手段47により検出される回転検出信号との関係を示す説明図である。図7は、印刷テープ21aの巻き残量Lxの算出に用いる各種定数および変数を示した説明図である。図6に示すように、第1の実施例のテープ印刷装置1は、印刷テープ21aの送り量(テープ体21の周速(図6(a)参照))が同一であっても、巻き残量Lxが多いとテープコア21bの回転速度は遅くなり(図6(b)参照)、一方、巻き残量Lxが少ないと当該回転速度は速くなる(図6(c)参照)。すなわち、テープコア21bの回転速度は、テープ体21の直径(外径Da)に反比例する。そこで、第1の実施例のテープ印刷装置1では、このテープコア21bの回転速度と、テープ体21の外径Daとの反比例関係を踏まえて、回転検出手段47により検出したパルス信号(回転検出信号)等から印刷テープ21aの巻き残量Lxを求めている。
【0051】
先ず、印刷テープ21aに対する印刷処理が開始され、回転検出手段47により、テープコア21bおよび回転体46の回転が検出されると、CPU70は、自身が有するタイマー80により、被検出部57の1ピッチ(1つの光透過部57aと1つの光遮蔽部57bとを合わせた距離:1パルス)毎の回転にかかる時間(以下、1ピッチ検出時間Tpと呼ぶ。)を計測する。これら1ピッチ検出時間Tpは、RAM72に一時的に記憶される。そして、CPU70は、この1ピッチ検出時間Tpおよび制御テーブル81からRAM72上に読み出された、送り速度Vf、分割数Seおよび各種パラメーターPM(テープ厚みTt、コア直径Dc)から印刷テープ21aの巻き残量Lxを算出する。
【0052】
以下、図7を参照して、具体的な算出手順を示す。先ず、送り速度Vfと1ピッチ検出時間Tpとから、1ピッチの回転におけるテープ体21の円弧長(以下、1ピッチ円弧長Lpと呼ぶ。)を求める(式(1)参照)。そして、当該1ピッチ円弧長Lpと分割数Seとから、その時点でのテープ体21の外周長Ldを求め(式(2)参照)、当該外周長Ldから、その時点でのテープ体21の外径Daを算出する(式(3)参照)。
Lp=Vf×Tp (1)
Ld=Lp×Se (2)
Da=Ld/π (3)
【0053】
次に、算出したテープ体21の外径Daからテープ体21の総断面積Saを求める(式(4)参照)。同様に、コア直径Dcからテープコア21bの断面積(以下、コア断面積Scと呼ぶ。)を求める(式(5)参照)。そして、総断面積Saとコア断面積Scとの差を求めることでテープコア21bに巻回している印刷テープ21aの断面積(以下、テープ断面積Stと呼ぶ。)を求める(式(6)参照)。最後に、求めたテープ断面積Stとテープ厚みTtとから印刷テープ21aの巻き残量Lxを算出する(式(7)参照)。
Sa=(Da^2)×π/4 (4)
Sc=(Dc^2)×π/4 (5)
St=Sa−Sc (6)
Lx=St/Tt (7)
【0054】
そして、印刷テープ21aの巻き残量Lxが算出されると、CPU70は、その旨をディスプレイ43bに表示させ、これをユーザーに報知する。それを確認したユーザーは、必要な印刷テープ21aの長さに応じて、印刷テープ21aを使い切る前にテープカートリッジ13の交換を行うか否かを判断することができる。なお、巻き残量Lxのディスプレイ43bへの表示は、数値による表示の他にインジケーター表示するようにしてもよい。
【0055】
なお、上述の説明では、制御テーブル81に記憶されたテープカートリッジ13の種別毎のコア直径Dcからコア断面積Scを算出していたが、コア直径Dcに代えて、当該種別毎のコア断面積Scを記憶するようにしてもよい。また、第1の実施例では、印刷テープ21aに関する情報(テープエンド、弛み等、巻き残量Lx)のユーザーへの報知手段としてディスプレイ43bを用いているが、LED等の警告灯やスピーカーからの警告音等により報知してもよい。
【0056】
(第2の実施例)
第1の実施例に係る印刷テープ21aの巻き残量Lxの計算方法に代えて、回転体46(テープコア21b)の回転速度から印刷テープ21aの巻き残量Lxを求めるようにしてもよい。具体的には、上記した制御テーブル81に、送り速度Vf、分割数Seおよび各種パラメーターPM(テープ厚みTt、コア直径Dc)に代えて、被検出部57の1ピッチの長さ(距離)と、テープカートリッジ13の種別毎のテープコア21bの回転速度と当該回転速度における巻き残量Lxとの相関関係を示す対応表と、を記憶する。そして、CPU70は、1ピッチの長さと1ピッチ検出時間Tpとからテープコア21bの回転速度を算出し、この算出結果を基に制御テーブル81(対応表)を参照して対応する巻き残量Lxを求める。これにより、回転検出手段47の検出結果から制御テーブル81(対応表)を参照するだけで、簡単に巻き残量Lxを求めることができる。なお、その他の構成は、第1の実施例での説明と同様であるため省略する。
【0057】
以上の第1および第2の実施例によれば、印刷テープ21aが正常に送られているか否かを正確に把握することができ、印刷テープ21aを使い切ったことや印刷テープ21aの弛みや絡み等を検出し、自動的に印刷テープ21aの繰り出しを停止することができる。これにより、印刷テープ21aが供給されていないにもかかわらず、テープ印刷手段12により印刷処理が続けられる等の問題を回避することができる。また、回転検出手段47の配設位置をある程度自由に設定することができるため、テープ印刷装置1の設計の自由度が増す。
【0058】
(第3の実施例)
図8を参照して、第3実施形態に係るテープ印刷装置1について説明する。図8は、第3の実施例に係るテープカートリッジ13および回転体46等の図1に示したA−A線における断面図である。上述した通り、テープコア21bに対する印刷テープ21aの巻きに弛みが生じると、テープコア21bおよび回転体46を正常に検出することができないという問題が生じる。そこで、第3の実施例に係るテープ印刷装置1では、回転体46の回転を制動するトルクリミッター90が組み込まれている。
【0059】
この場合、回転体46の係合軸部55は、フランジ部56の下方にまで延在している。すなわち、フランジ部56は、係合軸部55の軸方向中央より僅かに下側において形成されている。また、トルクリミッター90は、いわゆる捻りコイルばねであり、フランジ部56の下方において係合軸部55に軽く巻き締められている。そして、トルクリミッター90は、回転体46に対して、印刷テープ21aの繰り出し方向(送り方向)とは逆向きの制動力を与えている。これにより、印刷テープ21aは、バックテンションを与えられた状態で弛むことなく送られるため、印刷テープ21aの巻回状態が解れることを防止することができ、回転検出手段47は、正確な回転状態を検出することができる。なお、トルクリミッター90は、テープコア21bに対する印刷テープ21aの巻回状態を維持することができれば、捻りコイルばねに限られない。例えば、装置ケース41と回転体46の下端との間に介設した皿ばねであってもよい。なお、その他の構成は、第1の実施例での説明と同様であるため省略する。また、このようなトルクリミッター90を、インクリボン22aを巻回するリボンコア22bに対して適用してもよい。これにより、上記と同様、インクリボン22aは、バックテンションを与えられた状態で送られるため、インクリボン22aの巻き弛みを防止することができる。
【0060】
(第4の実施例)
図9を参照して、第4の実施例に係るテープ印刷装置1について説明する。図9は、第4の実施例に係るテープ印刷装置1の回転体46の断面図(a)および底面図(b)である。第4の実施例に係るテープ印刷装置1では、回転検出手段47である光センサーとして、発光素子Eと受光素子Rとが同方向に向かって配設された反射型フォトセンサー(光センサー)91を用いている。反射型フォトセンサー91は、発光素子Eからの放出された光を、被検出部57に当てて反射した光を受光素子Rが受光することで光の断続や強さを探知するものである。第4の実施例では、反射型フォトセンサー91を回転体46のフランジ部56下側に臨むように配設している。これに伴い第4の実施例の被検出部57は、フランジ部56の下面に発光素子Eからの光を反射する光反射部92と、発光素子Eからの光の反射が阻止される光非反射部93と、を交互に等間隔に且つ環状に複数連ねて構成されている(図9(b)参照)。回転体46が回転すると、反射型フォトセンサー91の発光素子Eからの光は、光非反射部93の部分で反射しないため、反射型フォトセンサー91の出力は変化し、回転体46(テープコア21b)の回転状態を検出(パルス信号を得る。)することができるようになっている。なお、第4の実施例の被検出部57(光反射部92および光非反射部93)は、第1の実施例のそれと同様、その形成数、配置間隔等は任意である。すなわち、被検出部57は、回転検出手段47からの光を反射する部分、または光を反射しない部分が、少なくとも1つ形成されていればよい。また、被検出部57(光反射部92および光非反射部93)の形成位置は、フランジ部56に限定されるものではなく、テープコア21bの回転に伴い回転し、且つ後述する回転検出手段47により、回転体46の回転を検出できる位置に設けられていればよい。つまり、光反射部92および光非反射部93を環状に配設しなくてもよい。また、光反射部92および光非反射部93の形状や材質等は任意である。なお、その他の構成は、第1の実施例での説明と同様であるため省略する。
【0061】
(第5および第6の実施例)
図10を参照して、第5および第6の実施例に係るテープ印刷装置1について説明する。図10は、第5の実施例(A)および第6の実施例(B)に係るテープ印刷装置1の回転体46の断面図(a)および底面図(b)である。図10(A)に示すように、第5の実施例に係るテープ印刷装置1では、回転検出手段47が、テープコア21bのフランジ部56下側に臨むマイクロスイッチ94で構成されている。これに伴い第5の実施例の被検出部57は、フランジ部56下面に環状に、マイクロスイッチ94のスイッチ端95を押し込む(オン)凸部96と、当該スイッチ端95の押し込みを解除する(オフ)凹部97と、を交互に等間隔に連ねて構成されている(図10(A)(a)参照)。そして、マイクロスイッチ94は、そのオンまたはオフを切り替えるスイッチ端95を凸部96に接触する位置に臨んでおり、回転体46が回転すると、凸部96および凹部97により、マイクロスイッチ94のオンまたはオフが切り替えられ、回転体46(テープコア21b)の回転状態を検出(パルス信号を得る。)することができるようになっている。他にも、被検出部57は、凸部96および凹部97ではなく、第1の実施例のように矩形(または扇形)の開口を形成してもよい。また、フランジ部56を省略して、係合軸部55の下端面に波状の凸部96および凹部97を形成してもよい(いずれも図示は省略)。なお、凸部96および凹部97の形成数、配置間隔等は任意であり、それぞれ少なくとも1つで構成されていればよい。すなわち、被検出部57は、スイッチ端95を押し込む部分、またはスイッチ端95の押し込みを解除する部分が、少なくとも1つ形成されていればよい。また、被検出部57(凸部96および凹部97)の形成位置は、回転体46の回転を検出できる位置であれば、フランジ部56に限定されるものではない。つまり、凸部96および凹部97を環状に配設しなくてもよい。また、凸部96および凹部97の形状や材質等は任意である。なお、その他の構成は、第1の実施例での説明と同様であるため省略する。
【0062】
図10(B)に示すように、第6の実施例に係るテープ印刷装置1では、第5の実施例と同様に、回転検出手段47にマイクロスイッチ94を、被検出部57に凸部96および凹部97を、それぞれ用いるが、マイクロスイッチ94のスイッチ端95と凸部96とは直接接触させず、揺動部材98を介してマイクロスイッチ94のオンまたはオフを切り替える。マイクロスイッチ94は、スイッチ端95を下側に向けて、且つスイッチ端95をフランジ部56の下面と面一となるように配設されている(図10(B)(a)参照)。
揺動部材98は、棒状の部材であり、その中心を軸にして揺動するようになっており、上端部を凸部96に接触させ、下端部をスイッチ端95に接触させている。回転体46が回転すると、揺動部材98は、凸部96および凹部97により揺動し、スイッチ端95の押込みとその解除が繰り返される。これにより、マイクロスイッチ94のスイッチ端95を直接凸部96に接触させることなくマイクロスイッチ94のオンまたはオフを切り替えることができるため、スイッチ端95の磨耗による誤動作や故障を防止することができる。なお、第6の実施例に係る回転検出手段47(マイクロスイッチ94)の配設位置は、一例であり、例えば、マイクロスイッチ94のスイッチ端95を上側に向けて配設してもよい。なお、その他の構成は、第1の実施例での説明と同様であるため省略する。
【0063】
以上の第3ないし第6の実施例によれば、他の実施例と同様に、回転体46を介してテープコア21bの回転を正確に検出することができ、印刷テープ21aの送り状態もしくはテープエンドの検出または印刷テープ21aの巻き残量Lxの算出を精度良く行うことができる。なお、第4ないし第6の実施例において、第3の実施例のように、トルクリミッター90を組み込む構成としてもよい。
【0064】
なお、第1ないし第6実施例では、テープコア21bの回転を検出することにより、印刷テープ21aのテープエンド検出、弛み等の検出および巻き残量Lxの算出を行っているが、リボンコア22bの回転を検出するようにしてもよい。つまり、請求項に言う「テープ状部材」とは、印刷テープ21aに限られるわけではなく、インクリボン22aや、その他テープ状に形成された部材であれば、どのようなものでもよい。
【符号の説明】
【0065】
1:テープ印刷装置、11:テープ供給装置、12:テープ印刷手段、14:装置本体、15:制御装置、21:テープ体、21a:印刷テープ、21b:テープコア、57:被検出部、42:カートリッジ装着部、44:テープ送り手段、46:回転体、47:回転検出手段、58:透過型フォトセンサー(光センサー)、61:制御部、63:種別検出部、81:制御テーブル、90:トルクリミッター、91:反射型フォトセンサー(光センサー)、94:マイクロスイッチ、S1:スプライン溝、S2:スプライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状部材をテープコアに巻回してなるテープ体が着脱自在に装着されるテープ装着部と、
前記テープ装着部に装着された前記テープ体の前記テープコアから、前記テープ状部材を繰り出しながら送るテープ送り手段と、
前記テープ装着部に装着された前記テープ体の前記テープコアに係合し、前記テープ状部材の繰り出しに伴う前記テープコアの回転に同期して回転する回転体と、
前記回転体の回転停止を含む回転状態を検出する回転検出手段と、を備えたことを特徴とするテープ供給装置。
【請求項2】
前記回転体は、前記テープコアと同軸上において前記テープ装着部に回転自在に軸支され、
前記テープコアと前記回転体とは、スプライン様に係合することを特徴とする請求項1に記載のテープ供給装置。
【請求項3】
前記回転体には、回転を制動するトルクリミッターが組み込まれていることを特徴とする請求項1または2に記載のテープ供給装置。
【請求項4】
前記テープ送り手段の駆動を制御する制御手段と、装着された前記テープ体の種別を検出する種別検出手段と、を更に有し、
前記制御手段は、
前記テープ体の種別毎の各種パラメーターを記憶した制御テーブルを有し、
前記種別検出手段の検出結果に基づき、前記制御テーブルを参照し、
前記テープ送り手段の送り駆動速度、前記回転検出手段の検出結果および前記制御テーブルの参照結果から、前記テープ状部材の巻き残量を算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のテープ供給装置。
【請求項5】
前記回転体は、少なくとも1つの被検出部を有し、
前記回転検出手段は、前記被検出部に臨む光センサーを有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のテープ供給装置。
【請求項6】
前記回転体は、少なくとも1つの被検出部を有し、
前記回転検出手段は、前記被検出部に接触し、オンまたはオフするマイクロスイッチを有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のテープ供給装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のテープ供給装置と、
繰り出され送られる前記テープ状部材に印刷を行うテープ印刷手段と、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−37155(P2011−37155A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187153(P2009−187153)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】