説明

テープ剥離装置、塗布システムおよびテープ剥離方法

【課題】基板に付着しているマスキングテープの残渣を確実に除去する。
【解決手段】塗布システム1のテープ剥離装置4では、テープ剥離ユニット41のテープ剥離ヘッドおよび基板移動機構によりマスキングテープが基板から剥離され、第2撮像部により取得された剥離領域の画像に基づいて剥離領域に付着しているマスキングテープの残渣が残渣検出部により検出される。そして、残渣除去ユニット42の光照射部および基板移動機構が除去制御部に制御されることにより、基板上にレーザ光の光スポットが形成され、残渣検出部による検出結果に基づいて当該光スポットの位置が基板上の残渣の位置へと変更される。これにより、レーザ光が残渣に順次照射されて残渣が分解される。その結果、マスキングテープの残渣を基板上から確実に除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板からマスキングテープを剥離するテープ剥離装置およびテープ剥離方法、並びに、当該テープ剥離装置を備えるとともに基板に流動性材料を塗布する塗布システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機EL(Electro Luminescence)材料を利用した有機EL表示装置の開発が行われており、例えば、高分子有機EL材料を用いたアクティブマトリックス駆動方式の有機EL表示装置の製造では、ガラス基板(以下、単に「基板」という。)に対して、TFT(Thin Film Transistor)回路の形成、陽極となるITO(Indium Tin Oxide)電極の形成、隔壁の形成、正孔輸送材料を含む流動性材料(以下、「正孔輸送液」という。)の塗布、加熱処理による正孔輸送層の形成、有機EL材料を含む流動性材料(以下、「有機EL液」という。)の塗布、加熱処理による有機EL層の形成、陰極の形成、および、絶縁膜の形成による封止が順次行われる。
【0003】
有機EL表示装置の製造において、正孔輸送液または有機EL液を基板に塗布する装置の1つとして、特許文献1に示すように、流動性材料を連続的に吐出する複数のノズルを、基板に対して主走査方向および副走査方向に相対移動することにより、基板上に流動性材料をストライプ状に塗布する装置が知られている。
【0004】
有機EL表示装置用の基板の表面には、正孔輸送液や有機EL液等の流動性材料が塗布されるべき塗布領域(すなわち、発光領域)の周囲に、ドライバ回路が組み込まれた領域や絶縁膜による封止のために必要な領域が設けられている。有機EL表示装置の製造では、正孔輸送層や有機EL層の形成工程においてこれらの塗布領域の周囲の領域(以下、「非塗布領域」という。)に流動性材料が付着する可能性があり、流動性材料が付着した状態で後工程が行われると電極の特性劣化や封止不良等が発生する可能性がある。したがって、基板の非塗布領域に流動性材料が付着することを防止する必要がある。
【0005】
特許文献2には、プリント基板に対するハンダの塗布作業において非塗布領域に貼付されて当該領域をハンダから保護するハンダマスキング用粘着テープが記載されている。特許文献2では、当該粘着テープの粘着剤層を形成する材料として、剥離時に糊残りが少なく、粘着剤残渣の水洗浄性が良好な水溶性粘着剤組成物の組成が開示されている。
【0006】
特許文献3では、基材面にシリコンポリマーを含むコーティング剤を塗布することにより、当該基材面に貼付された貼り紙の剥離の際に、貼り紙の残渣が基材面に残ることを防止する技術が開示されている。一方、特許文献4では、半導体基板に接着テープを貼付して剥離することにより、半導体基板上の付着微粒子や汚染金属を除去する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−111073号公報
【特許文献2】特開平8−253757号公報
【特許文献3】特開2004−143205号公報
【特許文献4】特開平9−266188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、有機EL表示装置用の基板に対する流動性材料の塗布において、非塗布領域にマスキングテープを貼付することにより流動性材料の非塗布領域への付着を防止する場合、マスキングテープを剥離する際にマスキングテープの粘着剤等が非塗布領域上に残渣として転写してしまう恐れがある。特に、マスキングテープの長手方向において粘着力にばらつきがある場合等、粘着力の強い箇所等でマスキングテープの剥離動作が一瞬停滞することがあり、この停滞した箇所に粘着剤の残渣(いわゆる、ストップマーク)が生じる可能性が高い。このように、非塗布領域に残渣が付着した状態で後工程が行われると電極の特性劣化や封止不良等が発生する恐れがある。
【0008】
一方、有機EL表示装置では、基板に塗布された後の有機EL材料等に水分や溶剤等が付着すると有機EL層の特性に悪影響が及ぶため、水等を利用した液体洗浄により残渣を除去することはできない。また、特許文献4では、接着テープの剥離後に基板上残る接着物や粘着物質等の残渣の除去について言及されているが、具体的な除去方法については全く開示されていない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、マスキングテープの残渣を確実に除去することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、基板からマスキングテープを剥離するテープ剥離装置であって、基板に貼付されているマスキングテープの少なくとも一部を保持して前記マスキングテープを前記基板から剥離する剥離機構と、前記基板上の前記マスキングテープが剥離された剥離領域を撮像する撮像部と、前記撮像部からの出力に基づいて前記剥離領域に付着している前記マスキングテープの残渣を検出する残渣検出部と、前記基板に光を照射して前記基板上に光スポットを形成する光照射部と、前記光スポットの位置を変更する照射位置変更機構と、前記残渣検出部からの出力に基づいて前記光照射部および前記照射位置変更機構を制御することにより、前記基板上の前記残渣に光を照射して分解することにより前記残渣を除去する除去制御部とを備える。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のテープ剥離装置であって、前記光照射部により前記残渣に照射される前記光がレーザ光である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のテープ剥離装置であって、前記剥離機構が、前記マスキングテープの少なくとも一部を保持する剥離ヘッドと、前記基板上において前記マスキングテープが貼付されている方向に沿って前記剥離ヘッドを前記基板に対して相対的に移動することにより前記マスキングテープを剥離する移動機構とを備え、前記マスキングテープの剥離において、前記撮像部が、前記移動機構により前記剥離ヘッドと共に前記基板に対して相対的に移動しつつ前記剥離領域を撮像する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のテープ剥離装置であって、前記剥離ヘッドが、前記マスキングテープに粘着することにより前記マスキングテープの少なくとも一部を保持する剥離テープと、前記剥離テープの粘着面を前記マスキングテープに対向させつつ前記剥離テープを案内して前記マスキングテープに順次粘着させる剥離テープ案内部と、前記剥離テープを前記剥離テープ案内部へと供給する剥離テープ供給部と、前記剥離テープを前記マスキングテープと共に前記基板から引き上げて回収する剥離テープ回収部とを備える。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のテープ剥離装置であって、一の基板に対して前記剥離機構がマスキングテープを剥離し、前記撮像部が剥離領域を撮像する際に前記一の基板を保持する第1基板保持部と、前記第1基板保持部による前記一の基板の保持と並行して他の基板に対して前記光照射部および前記照射位置変更機構が残渣を除去する際に前記他の基板を保持する第2基板保持部とをさらに備える。
【0015】
請求項6に記載の発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、基板上の非塗布領域にマスキングテープを貼付するテープ貼付装置と、マスキングテープが貼付された基板に向けて流動性材料をノズルから連続的に吐出しつつ前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動し、前記マスキングテープを含む領域に前記流動性材料を塗布する塗布装置と、流動性材料が塗布された基板からマスキングテープを剥離する請求項1ないし5のいずれかに記載のテープ剥離装置と、前記テープ貼付装置、前記塗布装置および前記テープ剥離装置へと順に基板を搬送する基板搬送機構とを備える。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の塗布システムであって、前記テープ貼付装置が、前記マスキングテープの貼付よりも前に前記基板の前記非塗布領域を撮像するもう1つの撮像部を備え、前記テープ剥離装置が、前記テープ貼付装置の前記もう1つの撮像部にて取得された前記基板の画像を基準画像として記憶する記憶部をさらに備え、前記テープ剥離装置の前記残渣検出部が、前記基準画像と前記撮像部により取得された前記基板の画像とを比較し、両画像の差異を前記マスキングテープの残渣として検出する。
【0017】
請求項8に記載の発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、非塗布領域にマスキングテープが貼付された基板に向けて流動性材料をノズルから連続的に吐出しつつ前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動し、前記マスキングテープを含む領域に前記流動性材料を塗布する塗布装置と、流動性材料が塗布された基板からマスキングテープを剥離する請求項1ないし5のいずれかに記載のテープ剥離装置と、前記塗布装置および前記テープ剥離装置へと基板を搬送する基板搬送機構とを備え、前記テープ剥離装置が、流動性材料が塗布される前の基板上の非塗布領域にマスキングテープを貼付するテープ貼付機構をさらに備える。
【0018】
請求項9に記載の発明は、基板からマスキングテープを剥離するテープ剥離方法であって、a)基板に貼付されているマスキングテープの少なくとも一部を保持して前記マスキングテープを前記基板から剥離する工程と、b)前記基板上の前記マスキングテープが剥離された剥離領域を撮像する工程と、c)前記b)工程において取得された画像に基づいて前記剥離領域に付着している前記マスキングテープの残渣を検出する工程と、d)前記基板上に形成された光スポットの位置を前記c)工程における検出結果に基づいて変更し、前記基板上の前記残渣に光を照射して分解することにより前記残渣を除去する工程とを備える。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のテープ剥離方法であって、前記d)工程において、前記残渣に照射される前記光がレーザ光である。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載のテープ剥離方法であって、一の基板に対する前記d)工程が、他の基板に対する前記a)工程および前記b)工程と並行して行われる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、マスキングテープの残渣を確実に除去することができる。請求項2および10の発明では、周囲への影響を低減しつつ残渣を除去することができる。請求項3および4の発明では、装置の構成を簡素化することができる。請求項5および11の発明では、残渣除去が不要な基板に対する処理時間を短縮することができる。
【0022】
請求項6ないし8の発明では、塗布領域のみに流動性材料が塗布された基板を容易に得ることができる。請求項7の発明では、残渣を精度良く検出することができる。請求項8の発明では、塗布システムの構造を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る塗布システム1の構成を示す図である。塗布システム1は、平面表示装置用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)に画素形成材料を含む流動性材料を塗布するシステムである。本実施の形態では、塗布システム1において、アクティブマトリックス駆動方式の有機EL(Electro Luminescence)表示装置用の基板に、有機EL材料を含む流動性材料(以下、「有機EL液」という。)が塗布される(以下の実施の形態においても同様)。
【0024】
図2は、基板9を示す平面図である。図2では、塗布システム1により有機EL液が塗布される領域(以下、「塗布領域」という。)91に平行斜線を付す。本実施の形態では、基板9上に4つの塗布領域91が設けられ、1枚の基板9から4つの有機EL表示装置用の基板が製造される。4つの塗布領域91の周囲の格子状の領域92は、ドライバ回路の組み込みや後工程における絶縁膜による封止等に利用されるため、有機EL液が塗布されるべきではない領域であり、以下、「非塗布領域92」という。なお、図2では、非塗布領域92に貼付されるマスキングテープ81も図示している。
【0025】
図1に示すように、塗布システム1は、基板9上の非塗布領域92にマスキングテープを貼付するテープ貼付装置2、マスキングテープが貼付された基板9に向けて流動性材料をノズルから連続的に吐出しつつノズルを基板9に対して相対的に移動してマスキングテープを含む領域に有機EL液を塗布する塗布装置3、有機EL液が塗布された基板9からマスキングテープを剥離するテープ剥離装置4、および、処理途上の基板9を必要に応じて一時的に保持するバッファユニット5を備える。
【0026】
テープ剥離装置4は、基板9からのマスキングテープの剥離を行うテープ剥離ユニット41、マスキングテープが剥離された基板9からマスキングテープの残渣を除去する残渣除去ユニット42、および、基板9をテープ剥離ユニット41から残渣除去ユニット42へと搬送する搬送ロボット43を備える。
【0027】
塗布システム1は、テープ貼付装置2と塗布装置3との間、および、塗布装置3とテープ剥離装置4との間に固定型の搬送ロボット6をさらに備える。塗布システム1では、2つの搬送ロボット6が、テープ貼付装置2、塗布装置3およびテープ剥離装置4へと順に基板を搬送する基板搬送機構となっている。また、塗布システム1では、搬送ロボット43により、テープ剥離装置4とバッファユニット5との間の基板の搬送が行われるとともに、塗布システム1からの基板9の搬出も行われる。
【0028】
図3ないし図5はそれぞれ、テープ貼付装置2の構成を示す平面図、正面図および左側面図である。図3ないし図5に示すように、テープ貼付装置2は、基板9を保持する基板保持部21、基板9を基板保持部21と共に移動する基板移動機構22、有機EL液が塗布される前の基板9上の非塗布領域92にマスキングテープ81(図2参照)を貼付するテープ貼付ヘッド23、テープ貼付ヘッド23を基板9の移動方向とは垂直な方向に移動するヘッド移動機構24、および、テープ貼付ヘッド23の内部に設けられて基板9を撮像する第1撮像部25(本実施の形態では、2次元CCD(Charge Coupled Device)カメラ)を備える。
【0029】
テープ貼付装置2では、基板移動機構22により、基板9が基板保持部21と共にレール221に沿って水平方向に移動するとともに垂直方向を向く回転軸を中心として回転する。また、ヘッド移動機構24により、テープ貼付ヘッド23が第1撮像部25と共に基板9の移動範囲の上方においてレール241に沿って水平方向に移動する。
【0030】
図6.Aは、テープ貼付ヘッド23の内部構成を拡大して示す左側面図である。図6.Aでは、テープ貼付ヘッド23のハウジング231に収容される構成を説明するため、ハウジング231の内部を描いている。テープ貼付ヘッド23では、ベーステープ82の一方の主面にマスキングテープ81が保持された2層構造のテープ8を利用してマスキングテープ81の貼付が行われる。マスキングテープ81は、ポリエチレンテレフタラート(PET)製のテープ基材、および、テープ基材の一方の主面にアクリル系の粘着剤により形成された粘着層を備える。
【0031】
図6.Aに示すように、テープ貼付ヘッド23は、未使用のテープ8が巻き付けられる供給リール232、テープ8からマスキングテープ81を分離して基板9に貼付する貼付部233、マスキングテープ81が分離された後のテープ8(すなわち、ベーステープ82)を巻き取って回収する回収リール234、および、これらの構成を収容するハウジング231を備える。
【0032】
テープ貼付装置2により基板9にマスキングテープ81が貼付される際には、まず、図3ないし図5に示すヘッド移動機構24によりテープ貼付ヘッド23が移動されて基板9の移動経路の上方に位置する。このとき、基板9は、図5におけるテープ貼付ヘッド23の右側に位置している。続いて、基板移動機構22により基板9が図5中の左側へと移動し、第1撮像部25の下方を通過しつつ図6.Aに示す貼付開始位置に位置する。基板9が貼付開始位置に位置すると、テープ貼付ヘッド23の貼付部233の切断部235により、テープ8の切断部235と対向する側においてマスキングテープ81のみが切断される。
【0033】
切断されたマスキングテープ81は、供給リール232および回収リール234が図6.A中における反時計回りに回転することにより、ベーステープ82と共に貼付部233のテープ分離部材236の先端へと送られ、当該先端において、ベーステープ82が送られてきた方向とはおよそ反対側に導かれることにより、マスキングテープ81がベーステープ82から剥離し、その先端部がハウジング231の下部開口237から基板9に向かって移動する。
【0034】
これと並行して、エアシリンダ238により貼付ローラ239が下部開口237を介して下方に移動し、マスキングテープ81の先端部を上側(すなわち、マスキングテープ81の粘着面とは反対側)から基板9に向けて押圧して貼付する。これと同時に、基板移動機構22(図5参照)により基板9が図6.Aの左方向へと移動を開始する。そして、供給リール232からテープ8が継続的に送り出されるとともに基板9が移動を継続することにより、図6.Bに示すように、基板9上にマスキングテープ81が貼付される。
【0035】
テープ貼付ヘッド23では、切断部235によりテープ8上のマスキングテープ81のみが再び切断され、マスキングテープ81が後端部まで基板9に貼付されることによりマスキングテープ81の貼付が終了する。なお、テープ貼付ヘッド23では、マスキングテープ81の先端部および後端部の貼付時以外は、貼付ローラ239はハウジング231内へと待避していてもよい。また、マスキングテープ81の貼付開始は、テープ8を供給しつつテープ8の供給速度に等しい速度で左方向へと移動している基板9に対して行われてもよい。
【0036】
テープ貼付装置2では、図2に示すように、基板9の格子状の非塗布領域92のうち、基板移動機構22による基板9の移動方向に平行に伸びる領域(すなわち、図2中の上下方向に伸びる領域)にのみマスキングテープ81が貼付され、基板9の移動方向に垂直に伸びる領域(すなわち、図2中の左右方向に伸びる領域)にはマスキングテープ81の貼付は行われない。後述するように、塗布システム1では、マスキングテープ81の貼付が省略された領域に対しては有機EL液の塗布は行われない。
【0037】
テープ貼付装置2では、マスキングテープ81の貼付前に行われる基板9の貼付開始位置への移動、および、基板9へのマスキングテープ81の貼付と並行して、第1撮像部25により、テープ貼付ヘッド23の下方を移動する基板9の非塗布領域92が、マスキングテープ81の貼付よりも前に連続的に撮像される。第1撮像部25にて取得された非塗布領域92の画像(すなわち、非塗布領域92のうちマスキングテープ81が貼付される予定の領域の画像)は、テープ剥離装置4へと送られる。
【0038】
図7および図8は、塗布装置3の構成を示す平面図および正面図である。図8に示すように、塗布装置3は、基板9を保持する基板保持部31を備え、基板保持部31は内部にヒータによる加熱機構(図示省略)を備える。塗布装置3は、また、図7および図8に示すように、基板保持部31を基板9の主面に対して平行な所定の方向(すなわち、図7中の上下方向であり、以下、「副走査方向」という。)に水平移動するとともに垂直方向に向く軸を中心として回転する基板移動機構32、基板9上に形成された位置調整用目印(図示省略)を撮像して検出する目印検出部33、基板保持部31上の基板9に向けて3本のノズル37から有機EL液を連続的に吐出する吐出機構である塗布ヘッド34、塗布ヘッド34を基板9の主面に平行であって副走査方向とは垂直な方向(すなわち、図7中の左右方向であり、以下、「主走査方向」という。)に水平移動するヘッド移動機構35、主走査方向に関して基板保持部31の両側に設けられるとともに塗布ヘッド34からの有機EL液を受ける2つの受液部36、塗布ヘッド34の3本のノズル37に同一種類の有機EL液を供給する流動性材料供給部38、および、これらの構成を制御する制御部39を備える。
【0039】
塗布ヘッド34では、3本のノズル37が、図7中の左右方向(すなわち、主走査方向)に関して略直線状に離れて配列されるとともに図7中の上下方向(すなわち、副走査方向)に僅かにずれて配置され、これらのノズル37から吐出された有機EL液が、基板9の塗布領域91(図2参照)に予め形成されている主走査方向に伸びる隔壁の間の溝に塗布される。本実施の形態では、隣接する2本のノズル37の間の副走査方向に関する距離は、隔壁間のピッチ(以下、「隔壁ピッチ」という。)に等しい。塗布ヘッド34では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)と互いに色が異なる3種類の有機EL材料をそれぞれ含む3種類の有機EL液が3本のノズル37から吐出される。
【0040】
塗布装置3により有機EL液の塗布が行われる際には、まず、テープ貼付装置2により非塗布領域92にマスキングテープ81(図2参照)が貼付された基板9が基板保持部31に載置されて保持され、目印検出部33からの出力に基づいて基板移動機構32が駆動されて基板9が図7中に実線にて示す塗布開始位置に位置する。塗布ヘッド34は予め図7および図8中に実線にて示す位置に位置している。
【0041】
続いて、制御部39により流動性材料供給部38が制御されてノズル37から有機EL液の吐出が開始されるとともに、ヘッド移動機構35が駆動されて塗布ヘッド34の移動が開始される。塗布装置3では、ノズル37から有機EL液を基板9に向けて連続的に吐出しつつ、ノズル37を基板9に対して図7中の左側から右側へと(すなわち、主走査方向に)相対的に移動することにより、基板9の隔壁間の3つの隣接する溝に有機EL液が塗布される。
【0042】
塗布ヘッド34が図7および図8中に二点鎖線にて示す位置まで移動すると、基板移動機構32が駆動され、基板9が基板保持部31と共に図7中の上側に隔壁ピッチの3倍の距離だけ移動する。そして、塗布ヘッド34が有機EL液を吐出しつつ図7中において右側から左側へと移動することにより、基板9上に3種類の有機EL液がストライプ状に塗布される。
【0043】
図9は、基板9を示す平面図であり、図10は、図9中のA−Aの位置における基板9の断面図である。塗布装置3では、塗布ヘッド34の主走査方向への移動、および、塗布ヘッド34の1回の主走査毎に行われる基板9の副走査方向へのピッチ移動が繰り返されることにより、図9および図10に示すように、基板9上のマスキングテープ81を含む領域(すなわち、非塗布領域92に貼付されたマスキングテープ81上の領域、および、塗布領域91の隔壁間の溝)に有機EL液93がストライプ状に塗布される。そして、基板9が図7中に二点鎖線にて示す塗布終了位置まで移動すると、ノズル37からの有機EL液の吐出が停止されて基板9に対する有機EL液の塗布が終了する。なお、図9では、図示の都合上、基板9上に塗布された有機EL液93の幅およびピッチを実際よりも大きく描いている。
【0044】
塗布装置3では、有機EL液93の塗布が行われている間、塗布ヘッド34のノズル37(図7および図8参照)から有機EL液93が連続的に吐出されている。塗布装置3では、非塗布領域92のうち基板9の移動方向に垂直に伸びる領域(すなわち、図9中において左右方向に伸びる領域であり、マスキングテープ81の貼付が省略されている領域)に対して、塗布ヘッド34を受液部36上に待機させた状態で、基板9を当該領域の幅(すなわち、図9中の上下方向の幅)と等しい距離だけ副走査方向に移動することにより、当該領域への有機EL液93の塗布が回避される。
【0045】
図11は、テープ剥離装置4のテープ剥離ユニット41の構成を示す平面図である。図11に示すように、テープ剥離ユニット41は、図3ないし図5に示すテープ貼付装置2のテープ貼付ヘッド23に代えてテープ剥離ヘッド413を備える。テープ剥離ユニット41のその他の構成はテープ貼付装置2とほぼ同様である。
【0046】
テープ剥離ユニット41は、基板9を保持する基板保持部411、基板9を基板保持部411と共に移動する基板移動機構412、マスキングテープ81(図2参照)を保持して剥離するテープ剥離ヘッド413、テープ剥離ヘッド413を基板9の移動方向とは垂直な方向に移動するヘッド移動機構414、テープ剥離ヘッド413の内部に設けられて基板9を撮像する第2撮像部415(本実施の形態では、2次元CCDカメラ)、マスキングテープ81の剥離後の基板9に付着したマスキングテープ81の残渣を検出する残渣検出部416、および、情報を記憶する記憶部417を備える。
【0047】
テープ剥離ユニット41では、基板移動機構412により、基板9が基板保持部411と共にレール4121に沿って水平方向に移動するとともに垂直方向を向く回転軸を中心として回転する。また、ヘッド移動機構414により、テープ剥離ヘッド413が第2撮像部415と共に基板9の移動範囲の上方においてレール4141に沿って水平方向に移動する。
【0048】
図12.Aは、テープ剥離ヘッド413の内部構成を拡大して示す左側面図である。図12.Aでも、図6.Aと同様に、テープ剥離ヘッド413のハウジング4131の内部を描いている。図12.Aに示すように、テープ剥離ヘッド413は、マスキングテープ81に粘着することによりマスキングテープ81の少なくとも一部を保持する剥離テープ83、剥離テープ83の粘着面をマスキングテープ81に対向させつつ剥離テープ83を案内して基板9上のマスキングテープ81に順次粘着させる剥離テープ案内部である粘着機構4133、未使用の剥離テープ83を粘着機構4133に供給する剥離テープ供給部である供給リール4132、剥離テープ83を剥離テープ83に粘着されたマスキングテープ81と共に基板9から引き上げて回収する剥離テープ回収部である回収リール4134、および、これらの構成を収容するハウジング4131を備える。粘着機構4133は、エアシリンダ4136および押圧ローラ4137を備える。また、剥離テープ83の幅は、マスキングテープ81の幅よりも大きい。
【0049】
テープ剥離ユニット41により基板9からマスキングテープ81が剥離される際には、まず、基板移動機構412およびヘッド移動機構414(図11参照)により基板9およびテープ剥離ヘッド413が移動されて剥離開始位置に位置する。すなわち、剥離対象であるマスキングテープ81の先端が、テープ剥離ヘッド413のハウジング4131の下部開口4135の下方に位置する。
【0050】
続いて、エアシリンダ4136により押圧ローラ4137が下部開口4135を介して下方に移動し、剥離テープ83を上側(すなわち、剥離テープ83の粘着面とは反対側)からマスキングテープ81の先端部に押圧して粘着する。次に、基板移動機構412により基板9が図12.A中の左方向に移動を開始する。これと同時に、供給リール4132および回収リール4134の図12.A中における時計回りの回転が開始されて供給リール4132に巻き付けられている剥離テープ83が送り出されるとともに、押圧ローラ4137が上方に移動して元の位置に戻ることにより、図12.Bに示すように、剥離テープ83に粘着されたマスキングテープ81の先端部が基板9から剥離する。そして、供給リール4132から剥離テープ83が継続的に送り出されるとともに基板9が移動を継続することにより、基板9上のマスキングテープ81が剥離テープ83に粘着されつつ基板9から剥離し、回収リール4134により巻き取られて回収される。テープ剥離ユニット41では、有機EL液93が塗布された基板9からマスキングテープ81が剥離されることにより、図13(図10に対応する基板9の断面図)に示すように、基板9の塗布領域91上にのみ有機EL液93が残置される。
【0051】
このように、図11に示すテープ剥離ユニット41では、テープ剥離ヘッド413によりマスキングテープ81を保持して持ち上げた状態で、基板移動機構412により基板9をマスキングテープ81が貼付されている方向に沿って移動することにより、基板9からのマスキングテープ81の剥離が行われる。換言すれば、テープ剥離ユニット41では、基板9に貼付されているマスキングテープ81を、剥離テープ83を利用して保持して基板9から剥離する剥離機構が設けられ、当該剥離機構は、テープ剥離ヘッド413および基板移動機構412により実現されている。また、基板移動機構412は、基板9上においてマスキングテープ81が貼付されている方向に沿ってテープ剥離ヘッド413を基板9に対して相対的に移動することによりマスキングテープ81を剥離する移動機構と捉えることができる。
【0052】
テープ剥離ユニット41では、有機EL液が付着したマスキングテープ81の上面を剥離テープ83により覆ってマスキングテープ81を基板9から剥離するため、マスキングテープ81上に付着した有機EL液を基板9に落下させることなくマスキングテープ81を回収することができる。なお、剥離テープ83のマスキングテープ81への粘着開始は、剥離テープ83を供給しつつ剥離テープ83の供給速度に等しい速度で移動している基板9に対して行われてもよい。
【0053】
テープ剥離ユニット41では、基板9からのマスキングテープ81の剥離と並行して、テープ剥離ヘッド413の下方を通過する基板9上のマスキングテープ81が剥離された領域(すなわち、非塗布領域92のうちマスキングテープ81が貼付されていた領域であり、以下、「剥離領域」という。)が第2撮像部415により連続的に撮像される。換言すれば、第2撮像部415は、テープ剥離ユニット41におけるマスキングテープ81の剥離において、基板移動機構412によりテープ剥離ヘッド413と共に基板9に対して相対的に移動しつつ剥離領域を撮像する。
【0054】
図14.Aは、第2撮像部415により取得された基板9の剥離領域の画像(すなわち、マスキングテープ81剥離後の非塗布領域92の画像であり、以下、「剥離領域画像」という。)901の一部を示す図である。剥離領域画像901には、非塗布領域92の周囲の塗布領域91に形成された隔壁94、および、隔壁94の間の溝に塗布された有機EL液93が含まれている。図14.Aでは、有機EL液93に斜線を付して示す。剥離領域画像901は第2撮像部415から残渣検出部416(図11参照)へと送られる。
【0055】
テープ剥離ユニット41では、既述のテープ貼付装置2の第1撮像部25にて取得されてテープ剥離装置4へと送られた基板9の非塗布領域92の画像が、基準画像として記憶部417に記憶されている。図14.Bは、基準画像900の図14.Aに対応する一部を示す図である。基準画像900でも、剥離領域画像901と同様に、非塗布領域92の周囲の塗布領域91に形成された隔壁94が含まれている。残渣検出部416では、第2撮像部415から出力された剥離領域画像901が基準画像900と比較され、非塗布領域92における両画像の差異が剥離領域に付着しているマスキングテープ81の残渣84として検出される。これにより、非塗布領域92中の微細な傷等が残渣84として誤検出されてしまうことが防止される。第2撮像部415からの出力に基づいて残渣検出部416により検出された残渣84の位置情報は、残渣除去ユニット42へと送られる。
【0056】
図15は、残渣除去ユニット42の構成を示す正面図である。残渣除去ユニット42は、基板9を保持する基板保持部421、基板9を互いに垂直な2つの水平方向(すなわち、図15中の左右方向および奥行き方向)に移動する基板移動機構422、基板9の非塗布領域92に付着しているマスキングテープ81の残渣にレーザ光を照射することにより残渣を分解して除去する除去ヘッド423、および、これらの構成を制御する除去制御部424を備える。除去ヘッド423は、基板9にレーザ光を照射して基板9上に光スポットを形成する光照射部4231、および、レーザ光の照射により分解されたマスキングテープ81の残渣を周囲のガスと共に吸引する吸引部4232を備える。
【0057】
残渣除去ユニット42によりマスキングテープ81の残渣が除去される際には、まず、テープ剥離ユニット41の残渣検出部416からの出力(すなわち、残渣の位置情報)に基づいて除去制御部424により基板移動機構422が制御されることにより、基板9が移動して基板9上の残渣のうち最初に除去される予定のものが除去ヘッド423の下方に位置する。
【0058】
続いて、吸引部4232による吸引が開始されるとともに光照射部4231が除去制御部424により制御されて基板9にレーザ光が照射され、マスキングテープ81の残渣を含む領域に光スポットが形成される。残渣除去ユニット42では、基板9上の残渣にレーザ光が照射されることにより残渣が分解されて除去される。分解された残渣は吸引部4232により周囲のガスと共に吸引されて回収されるため、分解された残渣が基板9や残渣除去ユニット42に再付着することが防止される。
【0059】
残渣除去ユニット42では、一の照射領域に対するレーザ光の照射が所定の時間だけ行われると、光照射部4231からのレーザ光の出射が停止される。そして、残渣の位置情報に基づいて基板移動機構422が再び駆動されて基板9が移動し、光照射部4231から基板9に向けてレーザ光が出射されて次の残渣を含む領域に光スポットが形成される。換言すれば、基板移動機構422は、基板9上における光スポットの位置を変更する照射位置変更機構として機能する。残渣除去ユニット42では、残渣の位置情報に基づいて基板9の移動およびレーザ光の照射が繰り返されることにより、基板9上に付着したマスキングテープ81の全ての残渣が除去される。
【0060】
次に、塗布システム1の動作について説明する。図16.Aおよび図16.Bは、一の基板9に対する有機EL液の塗布の流れを示す図である。塗布システム1では、まず、基板9が図3ないし図5に示すテープ貼付装置2に搬入されて基板保持部21に保持される(ステップS11)。基板9上には予め、TFT回路、ITO電極、隔壁および正孔輸送層が形成されている。テープ貼付装置2では、第1撮像部25およびテープ貼付ヘッド23に対して基板9が相対的に移動され、マスキングテープ81が貼付される前の非塗布領域92(図2参照)が第1撮像部25により連続的に撮像されるとともに非塗布領域92の第1撮像部25による撮像が終了した領域にマスキングテープ81が順次貼付される(ステップS12)。塗布システム1では、第1撮像部25により取得された画像がテープ剥離装置4のテープ剥離ユニット41へと送られ、テープ剥離ユニット41の記憶部417により基準画像900(図14.B参照)として記憶される(ステップS13)。
【0061】
マスキングテープ81の貼付が終了すると、搬送ロボット6(図1参照)により基板9がテープ貼付装置2から搬出され(ステップS14)、図7および図8に示す塗布装置3に搬入されて基板保持部31に保持される(ステップS15)。塗布装置3では、非塗布領域92にマスキングテープ81が貼付された基板9に向けて有機EL液が吐出され、マスキングテープ81を含む基板9上の領域(すなわち、マスキングテープ81上の領域、および、塗布領域91の隔壁間の溝部)に有機EL液がストライプ状に塗布される(ステップS16)。
【0062】
有機EL液の塗布が終了すると、搬送ロボット6により基板9が塗布装置3から搬出され(ステップS17)、図11に示すテープ剥離ユニット41に搬入されて基板保持部411に保持される(ステップS18)。テープ剥離ユニット41に搬入された基板9上では、塗布装置3により塗布された有機EL液の溶媒成分の一部が塗布装置3の基板保持部の加熱機構により蒸発し、有機EL液がある程度乾燥した状態(いわゆる、生乾きの状態)にてマスキングテープ81および塗布領域91上に付着している。
【0063】
テープ剥離ユニット41では、テープ剥離ヘッド413によりマスキングテープ81が剥離テープ83に粘着されて保持された状態で、基板9がテープ剥離ヘッド413および第2撮像部415に対して相対的に移動することにより、有機EL液が塗布されたマスキングテープ81が基板9から剥離されるとともに非塗布領域92のマスキングテープ81が剥離された領域(すなわち、剥離領域)が第2撮像部415により連続的に撮像される(ステップS19)。
【0064】
続いて、残渣検出部416において、第2撮像部415により取得された剥離領域画像901(図14.A参照)と記憶部417に記憶されている基準画像900とが比較され(ステップS20)、両画像の非塗布領域92において差異(すなわち、マスキングテープ81の残渣)が存在するか否かが検査される(ステップS21)。
【0065】
残渣検出部416により、剥離領域画像901の非塗布領域92と基準画像900の非塗布領域92との間に差異が存在すると判断された場合(すなわち、基板9上の剥離領域に付着している残渣が検出された場合)、基板9上における残渣の位置情報が残渣除去ユニット42へと送られる(ステップS22)。そして、基板9がテープ剥離ユニット41から搬出され(ステップS23)、図15に示す残渣除去ユニット42に搬入されて基板保持部421に保持される(ステップS24)。残渣除去ユニット42では、光照射部4231から基板9上に照射されるレーザ光の光スポットの位置を、残渣検出部416から出力された残渣の位置情報に基づいて変更し、基板9上の残渣に順次レーザ光を照射して分解することにより残渣が除去される(ステップS25)。残渣の除去が終了すると、基板9が残渣除去ユニット42から塗布システム1外へと搬出されて基板9に対する有機EL液の塗布が終了する(ステップS26)。
【0066】
一方、ステップS21において剥離領域画像901の非塗布領域92と基準画像900の非塗布領域92との間に差異が存在しないと判断された場合(すなわち、マスキングテープ81の残渣が検出されなかった場合)、基板9がテープ剥離ユニット41から塗布システム1外へと搬出されて基板9に対する有機EL液の塗布が終了する(ステップS211)。
【0067】
図1に示す塗布システム1では、実際には、有機EL液の塗布が複数の基板に対して連続的に行われる。具体的には、塗布装置3における1枚目の基板に対する有機EL液の塗布(ステップS16)と並行して、テープ貼付装置2における2枚目の基板に対する撮像およびマスキングテープの貼付(ステップS12)が行われ、また、テープ剥離ユニット41における1枚目の基板からのマスキングテープの剥離および剥離領域の撮像(ステップS19)と並行して、2枚目の基板に対する有機EL液の塗布(ステップS16)、および、3枚目の基板に対する撮像およびマスキングテープの貼付(ステップS12)が行われる。
【0068】
さらに、1枚目の基板上にマスキングテープの残渣が検出された場合、1枚目の基板に対する残渣の除去(ステップS25)と並行して、2枚目の基板からのマスキングテープの剥離および剥離領域の撮像(ステップS19)、3枚目の基板に対する有機EL液の塗布(ステップS16)、および、4枚目の基板に対する撮像およびマスキングテープの貼付(ステップS12)が行われる。このように、塗布システム1のテープ剥離装置4では、テープ剥離ユニット41の基板保持部411が、一の基板からのマスキングテープの剥離および剥離領域の撮像の際に当該一の基板を保持する第1基板保持部となっており、残渣除去ユニット42の基板保持部421が、他の基板に対する残渣の除去の際にテープ剥離ユニット41の基板保持部411による一の基板の保持と並行して当該他の基板を保持する第2基板保持部となっている。
【0069】
塗布システム1では、複数の基板に対する連続的な処理において、例えば、1枚目の基板に対する残渣の除去が行われている間に、2枚目の基板からのマスキングテープの剥離が終了して残渣が検出された場合、2枚目の基板がテープ剥離ユニット41から搬出されて一時的にバッファユニット5に収納される。これにより、1枚目の基板に対する残渣の除去の終了を待つことなく、3枚目の基板に対するマスキングテープの剥離を行うことができる。このように、塗布システム1では、バッファユニット5を設けることにより、塗布システム1の各装置間の処理時間の差を調整し、基板の処理順序に柔軟性を持たせることができるため、複数の基板の処理に要する時間を短縮することができる。
【0070】
以上に説明したように、テープ剥離装置4では、テープ剥離ユニット41のテープ剥離ヘッド413および基板移動機構412によりマスキングテープ81が基板9から剥離され、第2撮像部415により取得された剥離領域画像に基づいて残渣検出部416により剥離領域に付着しているマスキングテープ81の残渣が検出される。そして、残渣検出部416による検出結果に基づいて、残渣除去ユニット42の光照射部4231および基板移動機構422が除去制御部424に制御されることにより、基板9上の残渣にレーザ光が順次照射されて残渣が分解される。これにより、マスキングテープ81の残渣を基板上から確実に除去することができる。
【0071】
テープ剥離ユニット41では、テープ剥離ヘッド413によりマスキングテープ81を保持した状態で基板9をテープ剥離ヘッド413および第2撮像部415に対して相対的に移動することにより、マスキングテープ81の剥離および剥離領域の撮像が並行して行われる。これにより、テープ剥離装置4の構成を簡素化することができる。なお、テープ剥離ヘッド413によるマスキングテープ81の保持は、少なくともマスキングテープ81の一部が保持されていればよく、必ずしもマスキングテープ81の全体が保持される必要はない。
【0072】
残渣除去ユニット42では、指向性が高いレーザ光を利用して基板9上に形成される光スポットを小さくすることにより、残渣の周囲(例えば、塗布領域91に塗布された有機EL液や基板9自体)への光の影響を低減しつつ残渣を除去することができる。
【0073】
ところで、テープ剥離装置4において複数の基板に対して処理を行う場合、マスキングテープ81の残渣の除去は、残渣が検出された基板に対してのみ必要となる。テープ剥離装置4では、テープ剥離ユニット41と残渣除去ユニット42とを個別に設け、マスキングテープ81の剥離および剥離領域の撮像と残渣除去とを並行して行い得る構成とすることにより、残渣除去が不要な基板に対する処理時間を短縮することができる。
【0074】
一方、塗布システム1では、まず、テープ貼付装置2により基板9上の非塗布領域92にマスキングテープ81が貼付され、塗布装置3によりマスキングテープ81が貼付された基板9上のマスキングテープ81を含む領域に有機EL液が塗布される。そして、テープ剥離装置4のテープ剥離ユニット41により有機EL液が塗布された基板9からマスキングテープ81が剥離され、残渣除去ユニット42により剥離領域に付着したマスキングテープ81の残渣が除去される。これにより、塗布領域91のみに有機EL液が塗布されており、かつ、非塗布領域92に有機EL液やマスキングテープ81の残渣等の異物が付着していない基板9を容易に得ることができる。
【0075】
また、塗布システム1では、一の基板に対して、マスキングテープ81の貼付前に撮像が行われて取得された画像が基準画像として記憶され、マスキングテープ81の剥離後に取得された剥離領域画像を基準画像と比較することによりマスキングテープ81の残渣が検出される。このように、塗布システム1では、複数の基板を処理する際に各基板について基準画像を取得することにより、全基板に共通の基準画像を利用する場合と異なり、基板毎の差異による誤検出を防止して残渣を精度良く検出することができる。また、種類が異なる基板を連続的に処理する場合であっても、これに容易に対応することができる。
【0076】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る塗布システム1aについて説明する。図17は、塗布システム1aの構成を示す図である。図17に示すように、塗布システム1aは、図1に示す塗布システム1と同様に、塗布装置3、残渣除去ユニット42およびバッファユニット5を備える。また、塗布システム1aは、塗布システム1のテープ剥離ユニット41に代えて構造が若干異なるテープ剥離ユニット41aを備える。
【0077】
図18は、テープ剥離ユニット41aを示す平面図である。図18に示すように、テープ剥離ユニット41aは、図11に示すテープ剥離ユニット41と同様に、基板保持部411、基板移動機構412、テープ剥離ヘッド413、ヘッド移動機構414、第2撮像部415、残渣検出部416および記憶部417を備える。テープ剥離ユニット41aは、さらに、図3ないし図5に示すテープ貼付装置2と同様に、基板9の非塗布領域92にマスキングテープ81を貼付するテープ貼付ヘッド23、および、マスキングテープ81が貼付される前の非塗布領域92を撮像する第1撮像部25を備える。テープ貼付ヘッド23の構造は図6.Aに示すものと同様であり、基板9に対するマスキングテープ81の塗布時の動作も第1の実施の形態と同様である。
【0078】
塗布システム1aでは、テープ剥離ユニット41aにテープ貼付ヘッド23が設けられているため、すなわち、テープ剥離ユニット41aがテープ貼付・剥離ユニットとなっているため、図1に示すテープ貼付装置2は設けられない。また、図17に示すように、塗布システム1aでは、搬送ロボット6および搬送ロボット43に代えて、塗布装置3、テープ剥離装置4(すなわち、テープ剥離ユニット41aおよび残渣除去ユニット42)、並びに、バッファユニット5へと基板9を搬送する基板搬送機構であるマルチ搬送ロボット6aを備える。
【0079】
塗布システム1aによる有機EL液の塗布の流れは、基板9に対するマスキングテープ81の貼付がテープ剥離ユニット41aにおいて行われることを除き、第1の実施の形態とほぼ同様である。以下、図16.Aおよび図16.Bのテープ貼付装置2をテープ剥離ユニット41aに読み替えて参照しつつ塗布システム1aの動作を説明する。
【0080】
塗布システム1aでは、まず、基板9を保持したマルチ搬送ロボット6aがテープ剥離ユニット41aの前まで移動し、基板9がテープ剥離ユニット41aに搬入されて基板保持部411に保持される(ステップS11)。
【0081】
続いて、基板移動機構412により基板9が第1撮像部25およびテープ貼付ヘッド23に対して相対的に移動され、マスキングテープ81が貼付される前の非塗布領域92(図2参照)が第1撮像部25により連続的に撮像されるとともに、テープ貼付ヘッド23から繰り出されたマスキングテープ81が、非塗布領域92の第1撮像部25による撮像が終了した領域に順次貼付される(ステップS12)。第1撮像部25により取得された画像は記憶部417に送られて基準画像900(図14.B参照)として記憶される(ステップS13)。以上のように、塗布システム1aでは、テープ貼付ヘッド23および基板移動機構412が、有機EL液が塗布される前の基板9の非塗布領域92にマスキングテープ81を貼付するテープ貼付機構となる。
【0082】
マスキングテープ81の貼付が終了すると、マルチ搬送ロボット6aにより基板9がテープ剥離ユニット41aから搬出されて塗布装置3に搬入され、マスキングテープ81を含む基板9上の領域に有機EL液がストライプ状に塗布される(ステップS14〜S16)。
【0083】
有機EL液の塗布が終了すると、マルチ搬送ロボット6aにより基板9が塗布装置3から搬出されて再びテープ剥離ユニット41aに搬入される(ステップS17,S18)。テープ剥離ユニット41aでは、テープ剥離ヘッド413によりマスキングテープ81が保持された状態で、基板9がテープ剥離ヘッド413および第2撮像部415に対して相対的に移動することにより、マスキングテープ81が基板9から剥離されるとともに非塗布領域92のマスキングテープ81が剥離された領域(すなわち、剥離領域)が第2撮像部415により連続的に撮像される(ステップS19)。
【0084】
続いて、残渣検出部416において、第2撮像部415により取得された剥離領域画像901(図14.A参照)と記憶部417に記憶されている基準画像900とが比較され(ステップS20)、両画像の非塗布領域92において差異(すなわち、マスキングテープ81の残渣)が存在するか否かが検査される(ステップS21)。
【0085】
基板9上の剥離領域に付着している残渣が検出された場合、基板9上における残渣の位置情報が残渣除去ユニット42へと送られる(ステップS22)。そして、基板9がテープ剥離ユニット41から搬出されて残渣除去ユニット42に搬入され、残渣の位置情報に基づいて基板9上の残渣に順次レーザ光を照射して分解することにより残渣が除去される(ステップS23〜S25)。残渣の除去が終了すると、マルチ搬送ロボット6aにより基板9が残渣除去ユニット42から塗布システム1a外へと搬出されて基板9に対する有機EL液の塗布が終了する(ステップS26)。
【0086】
一方、ステップS21においてマスキングテープ81の残渣が検出されなかった場合、マルチ搬送ロボット6aにより基板9がテープ剥離ユニット41aから塗布システム1a外へと搬出されて基板9に対する有機EL液の塗布が終了する(ステップS211)。
【0087】
テープ剥離装置4では、第1の実施の形態と同様に、マスキングテープ81の残渣を基板上から確実に除去することができる。また、テープ剥離ユニット41と残渣除去ユニット42とを個別に設けることにより、残渣除去が不要な基板に対する処理時間を短縮することができる。テープ剥離ユニット41aでは、マスキングテープ81の剥離および剥離領域の撮像が並行して行われることにより、テープ剥離装置4の構成を簡素化することができる。残渣除去ユニット42では、指向性が高いレーザ光を利用することにより、残渣の周囲への光の影響を低減しつつ残渣を除去することができる。
【0088】
塗布システム1aでは、第1の実施の形態と同様に、塗布領域91のみに有機EL液が塗布されており、かつ、非塗布領域92に有機EL液やマスキングテープ81の残渣等の異物が付着していない基板9を容易に得ることができる。また、複数の基板を処理する際に基板毎に基準画像を取得することにより、残渣を精度良く検出することができる。
【0089】
塗布システム1aでは、特に、テープ剥離ユニット41aにより基板9に対するマスキングテープ81の貼付および剥離の双方を行うことにより、塗布システム1aの構造を簡素化することができる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0091】
例えば、残渣除去ユニット42の光照射部4231から照射される光は、必ずしもレーザ光には限定されない。例えば、マスキングテープ81の粘着層が光分解性の粘着剤により形成されている場合、ハロゲンランプのような通常の光源からの光をレンズにより集光して残渣に照射することにより、残渣を分解して除去することができる。
【0092】
第1撮像部25はテープ貼付ヘッド23の外部に設けられてもよい。この場合、非塗布領域92の撮像とマスキングテープ81の貼付とを並行して行うことにより装置の構成を簡素化するという観点からは、第1撮像部25が基板9に対してテープ貼付ヘッド23と共に相対的に移動されることが好ましい。第2撮像部415も、また、テープ剥離ヘッド413の外部に設けられてもよい。この場合、マスキングテープ81の剥離と剥離領域の撮像とを並行して行うという観点からは、第2撮像部415が基板9に対してテープ剥離ヘッド413と共に相対的に移動されることが好ましい。
【0093】
マスキングテープ81の残渣を基板上から確実に除去するという観点のみからは、第1撮像部25による非塗布領域92の撮像が全て終了した後に基板9に対するマスキングテープ81の貼付が行われ、基板9からのマスキングテープ81の剥離が全て終了した後に第2撮像部415による剥離領域の撮像が行われてもよい。この場合、第1撮像部25および第2撮像部415は基板9に対して必ずしも相対的に移動する必要はなく、例えば、基板9および両撮像部の移動が停止された状態にて基板9の全体が一度に撮像されてもよい。
【0094】
また、除去ヘッド423がテープ剥離ユニットに設けられ、基板保持部411に保持された基板9に対して、マスキングテープ81の剥離が行われた後に残渣除去が行われてもよい。これにより、塗布システムを小型化することができる。
【0095】
上記実施の形態に係る塗布システム、および、テープ剥離装置では、処理される複数の基板が同一種類であって、かつ、基板毎の差異がほとんどない場合、全基板に共通の基準画像がテープ剥離ユニットの記憶部417に予め記憶されていてもよい。この場合、基準画像としては、例えば、1枚目に処理される予定の基板の非塗布領域92を撮像したものが用いられる。
【0096】
塗布装置3では、塗布ヘッド34に設けられるノズルの本数は3本には限定されず、また、必ずしも3種類の有機EL液が同時に塗布される必要もない。例えば、3本以上のノズルから同一種類の有機EL液が同時に吐出されて基板9に塗布されてもよい。この場合、隣接する2本のノズルの間の副走査方向に関する距離は、隔壁ピッチの3倍と等しくされる。また、塗布装置3では、正孔輸送材料を含む流動性材料が基板9に塗布されてもよい。ここで、「正孔輸送材料」とは、有機EL表示装置の正孔輸送層を形成する材料であり、「正孔輸送層」とは、有機EL材料により形成された有機EL層へと正孔を輸送する狭義の正孔輸送層のみを意味するのではなく、正孔の注入を行う正孔注入層も含む。
【0097】
上記塗布装置は、必ずしも有機EL表示装置用の有機EL材料または正孔輸送材料を画素形成材料として含む流動性材料の塗布のみに利用されるわけではなく、例えば、液晶表示装置やプラズマ表示装置等の平面表示装置用の基板に対し、着色材料や蛍光材料等の他の種類の画素形成材料を含む流動性材料を塗布する場合やその他の流動性材料を塗布する場合に利用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図2】基板の平面図である。
【図3】テープ貼付装置の平面図である。
【図4】テープ貼付装置の正面図である。
【図5】テープ貼付装置の左側面図である。
【図6.A】テープ貼付ヘッドを拡大して示す左側面図である。
【図6.B】テープ貼付ヘッドの一部を拡大して示す左側面図である。
【図7】塗布装置の平面図である。
【図8】塗布装置の正面図である。
【図9】基板の平面図である。
【図10】基板の断面図である。
【図11】テープ剥離ユニットの平面図である。
【図12.A】テープ剥離ヘッドを拡大して示す左側面図である。
【図12.B】テープ剥離ヘッドの一部を拡大して示す左側面図である。
【図13】基板の断面図である。
【図14.A】剥離領域画像の一部を示す図である。
【図14.B】基準画像の一部を示す図である。
【図15】残渣除去ユニットの正面図である。
【図16.A】有機EL液の塗布の流れを示す図である。
【図16.B】有機EL液の塗布の流れを示す図である。
【図17】第2の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図18】テープ剥離ユニットの平面図である。
【符号の説明】
【0099】
1,1a 塗布システム
2 テープ貼付装置
3 塗布装置
4 テープ剥離装置
6 搬送ロボット
6a マルチ搬送ロボット
9 基板
23 テープ貼付ヘッド
25 第1撮像部
37 ノズル
81 マスキングテープ
83 剥離テープ
84 残渣
92 非塗布領域
93 有機EL液
411 基板保持部
412 基板移動機構
413 テープ剥離ヘッド
415 第2撮像部
416 残渣検出部
417 記憶部
421 基板保持部
422 基板移動機構
424 除去制御部
900 基準画像
901 剥離領域画像
4132 供給リール
4133 粘着機構
4134 回収リール
4231 光照射部
S11〜S26,S211 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板からマスキングテープを剥離するテープ剥離装置であって、
基板に貼付されているマスキングテープの少なくとも一部を保持して前記マスキングテープを前記基板から剥離する剥離機構と、
前記基板上の前記マスキングテープが剥離された剥離領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部からの出力に基づいて前記剥離領域に付着している前記マスキングテープの残渣を検出する残渣検出部と、
前記基板に光を照射して前記基板上に光スポットを形成する光照射部と、
前記光スポットの位置を変更する照射位置変更機構と、
前記残渣検出部からの出力に基づいて前記光照射部および前記照射位置変更機構を制御することにより、前記基板上の前記残渣に光を照射して分解することにより前記残渣を除去する除去制御部と、
を備えることを特徴とするテープ剥離装置。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ剥離装置であって、
前記光照射部により前記残渣に照射される前記光がレーザ光であることを特徴とするテープ剥離装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のテープ剥離装置であって、
前記剥離機構が、
前記マスキングテープの少なくとも一部を保持する剥離ヘッドと、
前記基板上において前記マスキングテープが貼付されている方向に沿って前記剥離ヘッドを前記基板に対して相対的に移動することにより前記マスキングテープを剥離する移動機構と、
を備え、
前記マスキングテープの剥離において、前記撮像部が、前記移動機構により前記剥離ヘッドと共に前記基板に対して相対的に移動しつつ前記剥離領域を撮像することを特徴とするテープ剥離装置。
【請求項4】
請求項3に記載のテープ剥離装置であって、
前記剥離ヘッドが、
前記マスキングテープに粘着することにより前記マスキングテープの少なくとも一部を保持する剥離テープと、
前記剥離テープの粘着面を前記マスキングテープに対向させつつ前記剥離テープを案内して前記マスキングテープに順次粘着させる剥離テープ案内部と、
前記剥離テープを前記剥離テープ案内部へと供給する剥離テープ供給部と、
前記剥離テープを前記マスキングテープと共に前記基板から引き上げて回収する剥離テープ回収部と、
を備えることを特徴とするテープ剥離装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のテープ剥離装置であって、
一の基板に対して前記剥離機構がマスキングテープを剥離し、前記撮像部が剥離領域を撮像する際に前記一の基板を保持する第1基板保持部と、
前記第1基板保持部による前記一の基板の保持と並行して他の基板に対して前記光照射部および前記照射位置変更機構が残渣を除去する際に前記他の基板を保持する第2基板保持部と、
をさらに備えることを特徴とするテープ剥離装置。
【請求項6】
基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、
基板上の非塗布領域にマスキングテープを貼付するテープ貼付装置と、
マスキングテープが貼付された基板に向けて流動性材料をノズルから連続的に吐出しつつ前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動し、前記マスキングテープを含む領域に前記流動性材料を塗布する塗布装置と、
流動性材料が塗布された基板からマスキングテープを剥離する請求項1ないし5のいずれかに記載のテープ剥離装置と、
前記テープ貼付装置、前記塗布装置および前記テープ剥離装置へと順に基板を搬送する基板搬送機構と、
を備えることを特徴とする塗布システム。
【請求項7】
請求項6に記載の塗布システムであって、
前記テープ貼付装置が、前記マスキングテープの貼付よりも前に前記基板の前記非塗布領域を撮像するもう1つの撮像部を備え、
前記テープ剥離装置が、前記テープ貼付装置の前記もう1つの撮像部にて取得された前記基板の画像を基準画像として記憶する記憶部をさらに備え、
前記テープ剥離装置の前記残渣検出部が、前記基準画像と前記撮像部により取得された前記基板の画像とを比較し、両画像の差異を前記マスキングテープの残渣として検出することを特徴とする塗布システム。
【請求項8】
基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、
非塗布領域にマスキングテープが貼付された基板に向けて流動性材料をノズルから連続的に吐出しつつ前記ノズルを前記基板に対して相対的に移動し、前記マスキングテープを含む領域に前記流動性材料を塗布する塗布装置と、
流動性材料が塗布された基板からマスキングテープを剥離する請求項1ないし5のいずれかに記載のテープ剥離装置と、
前記塗布装置および前記テープ剥離装置へと基板を搬送する基板搬送機構と、
を備え、
前記テープ剥離装置が、流動性材料が塗布される前の基板上の非塗布領域にマスキングテープを貼付するテープ貼付機構をさらに備えることを特徴とする塗布システム。
【請求項9】
基板からマスキングテープを剥離するテープ剥離方法であって、
a)基板に貼付されているマスキングテープの少なくとも一部を保持して前記マスキングテープを前記基板から剥離する工程と、
b)前記基板上の前記マスキングテープが剥離された剥離領域を撮像する工程と、
c)前記b)工程において取得された画像に基づいて前記剥離領域に付着している前記マスキングテープの残渣を検出する工程と、
d)前記基板上に形成された光スポットの位置を前記c)工程における検出結果に基づいて変更し、前記基板上の前記残渣に光を照射して分解することにより前記残渣を除去する工程と、
を備えることを特徴とするテープ剥離方法。
【請求項10】
請求項9に記載のテープ剥離方法であって、
前記d)工程において、前記残渣に照射される前記光がレーザ光であることを特徴とするテープ剥離方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載のテープ剥離方法であって、
一の基板に対する前記d)工程が、他の基板に対する前記a)工程および前記b)工程と並行して行われることを特徴とするテープ剥離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6.A】
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【図6.B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12.A】
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【図12.B】
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【図13】
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【図14.A】
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【図14.B】
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【図15】
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【図16.A】
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【図16.B】
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【図17】
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【図18】
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