説明

テープ印刷装置とカセット

【課題】押付部材と支持部材が固着状態にあっても、カセットの装着によって、押付部材と支持部材を引き離すことが可能なテープ印刷装置とカセットを提供すること。
【解決手段】突起部201を、ローラホルダ101に設けている。従って、ローラホルダ101が支持板41に押し付けられ、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が密着した状態にあると、カセット装着部8内にカセットCが装着される過程において、突起部201を介して、カセットCがローラホルダ101を押すので、ローラホルダ101が付勢方向(カセット装着部8の内側から外側への方向)に移動し、ローラホルダ101が支持板41から離隔する。よって、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が固着し、ローラホルダ101が支持板41に押し付けられた状態が維持されていても、カセットCの装着によって、ローラホルダ101を支持板41から引き離すことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材に固着した押付部材をカセット装着時に引き剥がすことが可能なテープ印刷装置とカセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のテープ印刷装置では、カセットから引き出されたテープ状のフィルムを印字ヘッドに密着させることにより印刷が行われる。この密着性は、テープ状のフィルムを、印字ヘッドとプラテンローラで挟み込んだ状態にすることで、確保される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、この状態にするには、テープ状のフィルムを挟みながら、プラテンローラを印字ヘッドに押し付けたり、逆に、印字ヘッドをプラテンローラに押し付ける。
【0004】
尚、印字ヘッドとプラテンローラは、押し付ける方が押付部材に設けられ、押し付けられる方が支持部材に設けられる。
【特許文献1】特開2004−195894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、テープ印刷装置には、カセットが装着されていない保管状態にあっても、印字ヘッドとプラテンローラが互いに押し付けられた状態になるものがある。この場合、印字ヘッドとプラテンローラは、テープ状のフィルムを挟むことなく、直接に押し付けられる。
【0006】
このため、その保管状態が高温下で長期間継続されると、印字ヘッドとプラテンローラが固着するおそれがあった。そこで、出荷待ちの製品には、印字ヘッドとプラテンローラの間に紙等を挟み込んでいる。これにより、出荷待ちの製品では、印字ヘッドとプラテンローラが互いに押し付けられた状態でも、両者が直接に触れることがない。
【0007】
一方、ユーザの管理下では、保管温度に注意することをユーザに期待することは難しい。また、ユーザに放置する意思がなくとも、結果的に長期間継続して放置されることが多い。このような場合に、印字ヘッドとプラテンローラの間に紙等を挟み込ませることをユーザに期待することはできない。
【0008】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、押付部材と支持部材が固着状態にあっても、カセットの装着によって、押付部材と支持部材を引き離すことが可能なテープ印刷装置とカセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために成された請求項1に係る発明は、本体と、前記本体に設けられたカセット装着部と、前記カセット装着部の内側から外側に向けて付勢されながら前記本体に回動可能に支持された押付部材と、前記カセット装着部に設けられた支持部材と、を有し、前記押付部材が反付勢方向に移動させられることにより前記押付部材が前記支持部材に押し付けられるテープ印刷装置であって、前記押付部材に設けられた突起部を備え、密着状態にある前記押付部材と前記支持部材に対し、前記カセット装着部内にカセットが装着される過程において、当該カセットが前記押付部材の突起部を押すことにより、前記押付部材が付勢方向に移動し、前記支持部材から離隔すること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載するテープ印刷装置であって、前記支持部材に対し密着状態にある前記押付部材の前記突起部は前記カセット装着部内にカセットが装着される際の装着軌跡内に突出していること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載するテープ印刷装置であって、前記押付部材は、前記カセット装着部内にカセットが正しく装着されたときには、前記カセットに干渉することなく、反付勢方向に移動して前記支持部材に押し付けることが可能に構成されていること、を特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、前記押付部材が印字ヘッドであること、を特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、前記押付部材がプラテン保持部材であること、を特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、前記カセット装着部に設けられた一対の係着部を備え、前記カセット装着部内のカセットが前記一対の係着部に係合されると、前記カセット装着部内のカセットが正しく装着された状態で固定されること、を特徴とする。
【0015】
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、前記カセット装着部を掩覆・開放するためのカバーを有し、前記カバーで前記カセット装着部が掩覆された場合に、前記押付部材が反付勢方向に移動させられることにより、前記押付部材が前記支持部材に押し付けられること、を特徴とする。
【0016】
また、請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、前記カセット装着部を掩覆・開放するためのカバーと、前記カバーに設けられた突出部と、を有し、前記カバーで前記カセット装着部が掩覆された際には、前記突出部の動きに連動して前記押付部材が反付勢方向に移動すること、を特徴とする。
【0017】
また、請求項9に係る発明は、請求項7又は請求項8に記載するテープ印刷装置であって、前記カバーは前記本体に対し着脱可能であること、を特徴とする。
【0018】
また、請求項10に係る発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、前記突起部の形状が斜面になっていること、を特徴とする。
【0019】
また、請求項11に係る発明は、本体と、前記本体に設けられたカセット装着部と、前記カセット装着部の内側から外側に向けて付勢されながら前記本体に回動可能に支持された押付部材と、前記カセット装着部に設けられた支持部材と、を有しており、前記押付部材が反付勢方向に移動させられることにより前記押付部材が前記支持部材に押し付けられるテープ印刷装置に使用されるカセットであって、前記本体のカセット装着部にセットされた際に、前記カセット装着部の底面に対向する底壁と、前記底壁に連続し前記押付部材に対向する側壁と、前記底壁と前記側壁との接続部分に、前記押付部材に向かう方向に設けられた突起部とを有するカセットケースを備え、密着状態にある前記押付部材と前記支持部材に対し、前記カセット装着部内に当該カセットが装着される過程において、当該カセットの突起部が前記押付部材を押すことにより、前記押付部材が付勢方向に移動し、前記支持部材から離隔すること、を特徴とする。
【0020】
また、請求項12に係る発明は、請求項11に記載するカセットであって、前記支持部材に対し密着状態にある前記押付部材は、前記カセット装着部内に当該カセットが装着される際の突起部の軌跡内に位置していること、を特徴とする。
【0021】
また、請求項13に係る発明は、請求項11又は請求項12に記載するカセットであって、前記押付部材は、前記カセット装着部内にカセットが正しく装着されたときには、前記突起部に干渉することなく、反付勢方向に移動して前記支持部材に押し付けることが可能に構成されていること、を特徴とする。
【0022】
また、請求項14に係る発明は、請求項11乃至請求項13のいずれか一つに記載するカセットであって、前記押付部材が印字ヘッドであるような前記テープ印刷装置に使用されること、を特徴とする。
【0023】
また、請求項15に係る発明は、請求項11乃至請求項13のいずれか一つに記載するカセットであって、前記押付部材がプラテン保持部材であるような前記テープ印刷装置に使用されること、を特徴とする。
【0024】
また、請求項16に係る発明は、請求項11乃至請求項15のいずれか一つに記載するカセットであって、当該カセットは、前記カセット装着部内に設けられた一対の係着部に係合されると、前記カセット装着部内で正しく装着された状態で固定されること、を特徴とする。
【0025】
また、請求項17に係る発明は、請求項11乃至請求項16のいずれか一つに記載するカセットであって、前記カセット装着部を掩覆・開放するためのカバーで前記カセット装着部が掩覆された場合に、前記押付部材が反付勢方向に移動させられることにより、前記押付部材が前記支持部材に押し付けられるような前記テープ印刷装置に使用されること、を特徴とする。
【0026】
また、請求項18に係る発明は、請求項11乃至請求項16のいずれか一つに記載するカセットであって、前記カセット装着部を掩覆・開放するためのカバーで前記カセット装着部が掩覆された際には、前記カバーに設けられた突出部の動きに連動して前記押付部材が反付勢方向に移動するような前記テープ印刷装置に使用されること、を特徴とする。
【0027】
また、請求項19に係る発明は、請求項17又は請求項18に記載するカセットであって、前記カバーが前記本体に対し着脱可能であるような前記テープ印刷装置に使用されること、を特徴とする。
【0028】
また、請求項20に係る発明は、請求項11乃至請求項19のいずれか一つに記載するカセットであって、前記突起部の形状が斜面になっていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
すなわち、請求項1,11に係る発明では、突起部を、テープ印刷装置の押付部材又はカセットのカセットケースに設けている。従って、押付部材と支持部材が密着状態にあると、カセット装着部内にカセットが装着される過程において、突起部を介して、カセットが押付部材を押すので、押付部材が付勢方向に移動し、支持部材から離隔する。よって、押付部材と支持部材が固着状態にあっても、カセットの装着によって、押付部材と支持部材を引き離すことが可能である。
【0030】
また、請求項1,11に係る発明では、テープ印刷装置のカセット装着部内のカセットが正しくセッティングされていない状態にあれば、反付勢方向に移動させられた押付部材が、突起部を介して、カセットに当接する。従って、押付部材の反付勢方向への移動が途中で制止され、押付部材を支持部材に押し付けることができない。よって、この状態でテープ印刷が開始されても、カセット装着部内でカセットのテープ状フィルムがジャムを起こすことはない。
【0031】
尚、請求項2に係る発明のテープ印刷装置で特定するように、突起部を押付部材に設けた場合には、押付部材が支持部材に対し密着状態にあると、押付部材の突起部が、カセット装着部内にカセットが装着される際の装着軌跡内に突出している。よって、カセットは、支持部材に対し密着状態にある押付部材の突起部と当接することなくして、カセット装着部内に正しくセッティングされることはない。
【0032】
同様にして、請求項12に係る発明のカセットで特定するように、突起部をカセットケースに設けた場合には、押付部材が支持部材に対し密着状態にあると、押付部材が、テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが装着される際の突起部の軌跡内に位置している。よって、カセットは、支持部材に対し密着状態にある押付部材とその突起部が当接することなくして、テープ印刷装置のカセット装着部内に正しくセッティングされることはあり得ない。
【0033】
また、本発明では、突起部を、テープ印刷装置の押付部材又はカセットのカセットケースに設けているが、テープ印刷装置の印刷に支障がない。なぜなら、請求項3,13に係る発明で特定するように、押付部材は、テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが正しく装着されたときには、カセットに突起部を介して干渉することがないので、反付勢方向に移動して支持部材に押し付けられることが可能だからである。従って、カセットが通常使用される印字用のものであっても、支持部材と密着状態にある押付部材を支持部材から引き離すことができる。
【0034】
また、請求項4,5,14,15に係る発明で特定するように、押付部材としては、印字ヘッドやプラテン保持部材がある。
【0035】
また、請求項6,16に係る発明では、テープ印刷装置のセット装着部にカセットが入れられた際に、そのカセットをユーザ等が一対の係着部に係合させれば、常に、そのカセットはカセット装着部に正しくセッティングさせた状態に固定される。しかしながら、そのカセットが一対の係着部に係合されない状態が放置されると、かえって、そのカセットは、カセット装着部に正しくセッティングされていない状態に保持される。これにより、カセットのテープ状フィルムのジャムが発生しやすい環境が作り出されてしまうので、上記効果を奏するような本発明の機構を備える必要性が高くなる。
【0036】
また、請求項7,17に係る発明で特定するように、テープ印刷装置のカセット装着部を掩覆・開放するためのカバーでカセット装着部が掩覆された場合にあれば、押付部材が反付勢方向に移動させられることにより、押付部材が支持部材に押し付けられる。
【0037】
例えば、請求項8,18に係る発明で特定するように、テープ印刷装置のカセット装着部を掩覆・開放するためのカバーでカセット装着部が掩覆された際には、カバーの突出部の動きに連動して押付部材が反付勢方向に移動するものがある。
【0038】
また、請求項9,19に係る発明では、テープ印刷装置のカセット装着部が開放される際には、カバーが本体から取り外される。従って、カバーを自由に動かすことができるので、カセット装着部がカバーで掩覆される際には、カセット装着部に入れられたカセットが正しくセッティングされていない状態にあっても、カバーが本体に強引に取り付けられてしまうことがある。これにより、カセットのテープ状フィルムのジャムが発生しやすい環境が作り出されてしまうので、上記効果を奏するような本発明の機構を備える必要性が高くなる。
【0039】
また、請求項10,20に係る発明では、テープ印刷装置の押付部材又はカセットのカセットケースに設けられた突起部の形状が斜面になっている。これにより、カセット装着部内にカセットが装着される過程において、突起部の斜面が押付部材又はカセットに当接するので、支持部材と密着状態にある押付部材に対し、付勢方向(すなわち、押付部材を支持部材から引き離す方向)へ押す力をカセットから効率的に作用させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
〔1.第1実施形態の概要〕
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係るテープ印刷装置1を正面側から示した外観斜視図である。図3は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1を背面側から示した外観斜視図である。図2や図3に示すように、第1実施形態に係るテープ印刷装置1では、本体2に対して、複数のキーから構成されるキー操作部3や、ディスプレイ4、カッターレバー5等が設けられている。さらに、第1実施形態に係るテープ印刷装置1では、本体2に対して、カバー11が取り付けられている。
【0041】
図4は、カバー11の裏面を示した外観斜視図である。図4に示すように、カバー11には、突出部12や、一対の第1係爪部13A,13B、第2係爪部14等が設けられている。
【0042】
図5乃至図7は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1を背面側から示した外観斜視図であって、カセット未装着時にカバー11が開けられた状態を示している。図8乃至図10は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着時にカバー11が開けられた状態を示している。
【0043】
カセット未装着時にカバー11が開けられた状態では、本体2に設けられたカセット装着部8が露呈する(図5乃至図7参照)。カセット装着部8には、装着内面10が形成されている。装着内面10には、一対の係着部K1,K2や、支持板41等が立設されている。
【0044】
この点、カセット装着部8に入れられたカセットCに一対の係着部K1,K2が係合されると、カセットCをカセット装着部8内で正しくセッティングさせることができる(図8乃至図10参照)。このとき、カセットCの底壁CA1(下記図22等参照)が装着内面10に着接する。尚、カセットCの左右側壁には、一対の突条部V1,V2が設けられている。カセットCがカセット装着部8内に正しくセッティングされた際には、カセットCの一対の突条部V1,V2に対して、一対の係着部K1,K2がそれぞれ係合する。
【0045】
従って、例えば、後述する図31乃至図33に示すように、一対の係着部K1,K2に対してカセットCの一対の突条部V1,V2がそれぞれ載置された状態が放置されると、カセットCがカセット装着部8内に正しくセッティングされていない状態が保持される。
【0046】
支持板41には、サーマルヘッドH等が設けられている(図5,図7,図8,図10参照)。
【0047】
本体2のカッターレバー5付近には、ローラホルダ101が設けられている。ローラホルダ101は、回動軸109によって、本体2に回動可能に支持される。さらに、ローラホルダ101は、不図示のコイルバネによって、カセット装着部8の内側から外側に向けて付勢される。ローラホルダ101の内部には、プラテンローラ102とテープ送りサブローラ103が軸支されている(図6,図7,図9,図10参照)。
【0048】
ローラホルダ101の外面には、押付面108が形成されている。また、押付面108が露出する挿脱口9が本体2に設けられている。挿脱口9には、本体2にカバー11が取り付けられた際に、カバー11の突出部12が差し込まれる。このとき、押付面108に突出部12が摺動し、ローラホルダ101が反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)に回動するので、カセットCのテープ状フィルムを挟んで、プラテンローラ102がサーマルヘッドHに押し付けられる。尚、このような動作は、カセット装着部8にカセットCが未装着である時も同様であるが、この場合には、カセットCのテープ状フィルムが挟まれることなく、プラテンローラ102がサーマルヘッドHに直接に押し付けられる。
【0049】
図11乃至図13は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1を背面側から示した外観斜視図である。さらに、図11乃至図13は、カセットCがカセット装着部8内に正しくセッティングされた際に、本体2にカバー11が取り付けられたことによって、カセットCのテープ状フィルムを挟んで、プラテンローラ102がサーマルヘッドHに押し付けられた状態を示している。尚、図11乃至図13では、プラテンローラ102がサーマルヘッドHに押し付けられた状態を明示するため、カセットCのテープ状フィルムやカバー11は記載されていない。
【0050】
一方、本体2にカバー11が取り外された際には、カバー11の突出部12が挿脱口9から抜け離れる。このとき、押付面108から突出部12が離れ、ローラホルダ101が付勢方向(カセット装着部8の内側から外側への方向)に回動するので、プラテンローラ102がサーマルヘッドHから離間する(図8乃至図10参照)。
【0051】
カセット装着部8の周辺には、一対の第1係合口6A,6B(図11乃至図13参照)や第2係合口7が本体2に設けられている。各第1係合口6A,6Bは、本体2にカバー11が取り付けられる際に、カバー11の各第1係爪部13A,13Bがそれぞれ引っかけられる。第2係合口7は、本体2にカバー11が取り付けられた際に、カバー11の第2係爪部14と係り合う。よって、本体2にカバー11が取り付けられた際には、第2係爪部14の近傍にある凸状の押下部141をユーザが押下すれば、第2係爪部14と第2係合口7の係り合いが外れて、本体2からカバー11を取り外すことが可能となる。
【0052】
ところで、カセット装着部8にカセットCが未装着である場合には、本体2にカバー11が取り付けられると、上述したように、プラテンローラ102がサーマルヘッドHに直接に押し付けられる。この状態が、高温下で長期間放置されると、図14乃至図16に示すように、プラテンローラ102がサーマルヘッドHに固着する場合がある。図14乃至図16は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着部8にカセットCが未装着である場合に、カバー11が開けられ、サーマルヘッドHに固着したプラテンローラ102が露呈した状態を示している。
【0053】
このように、サーマルヘッドHに固着したプラテンローラ102が露呈した状態にある場合には、図17乃至図19に示すようにして、カセットCをカセット装着部8内に装着しようとすれば、カセットCのテープ状フィルムTFがプラテンローラ102等に突き当たってしまう。図17乃至図19は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1を背面側から示した外観斜視図であって、カバー11が取り外され、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が固着した状態の下で、カセットCがカセット装着部8内に装着されようとするときの様子を示した図である。
【0054】
〔2.突起部の概要〕
そこで、第1実施形態に係るテープ印刷装置1では、図5乃至図17、図19に示すように、カセット装着部8に向けて突き出た突起部201を、ローラホルダ101に設けている。また、突起部201においては、本体2に取り付けられたカバー11と向かい合う面を、付根から先端に渡って下る傾斜面にしている。
【0055】
〔3.突起部とカセットの位置関係〕
図20乃至図22は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1のサーマルヘッドHにプラテンローラ102が固着した状態にある場合において、ユーザがカセットCをカセット装着部8内に装着させようとするときの、ローラホルダ101の突起部201とカセットCの位置関係を示した図である。図20は平面図である。図21は、図20の矢視Aから見た側面図である。図22は、図20の矢視Bから見た側面図である。
【0056】
図1、図23と図24は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1のサーマルヘッドHにプラテンローラ102が固着した状態にある場合において、ユーザがカセットCをカセット装着部8内に装着させようとするときに、カセットCがローラホルダ101の突起部201に当接する関係を示した図である。図1は平面図である。図23は、図1の矢視Aから見た側面図である。図24は、図1の矢視Bから見た側面図である。
【0057】
図25乃至図27は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1のカセット装着部8内にカセットCが正しくセッティングされたときの、ローラホルダ101の突起部201とカセットCの位置関係を示した図である。図25は平面図である。図26は、図25の矢視Aから見た側面図である。図27は、図25の矢視Bから見た側面図である。
【0058】
図28乃至図30は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1のカセット装着部8内にカセットCが正しくセッティングされた後で、ローラホルダ101を支持板41に押し付けたときの、ローラホルダ101の突起部201とカセットCの位置関係を示した図である。図28は平面図である。図29は、図28の矢視Aから見た側面図である。図30は、図28の矢視Bから見た側面図である。
【0059】
尚、カセットCは、カセット装着部8内に正しくセッティングされたときに、カセット装着部8の装着内面10に対向する底壁CA1や、その底壁CA1に連続しローラホルダ101に対向する正面側壁CA2等で構成されるカセットケースCAを有する。また、図20乃至図30では、カセットCのテープ状フィルムTFは記載されていない。
【0060】
第1実施形態に係るテープ印刷装置1では、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が固着した状態にある場合に、ユーザがカセットCをカセット装着部8内に装着しようとすれば(図17乃至図19参照)、ローラホルダ101の突起部201とカセットCの位置関係は、図20乃至図22に示すようになる。
【0061】
そして、ユーザがカセットCをカセット装着部8内に正しくセッティングしようとすれば、カセットCの底壁CA1や正面側壁CA2がローラホルダ101の突起部201に当接する。このとき、カセットCは、ユーザによってカセット装着部8に向かって移動させられている。従って、図1、図23と図24に示すように、カセットCの底壁CA1や正面側壁CA2がローラホルダ101の突起部201に当接している間は、カセットCがローラホルダ101の突起部201を押動する。これにより、ローラホルダ101には、回動軸109を中心として図1における図面上の反時計回りに回転させる力が作用し、サーマルヘッドHからプラテンローラ102が引き剥がされるので、ローラホルダ101が付勢方向(カセット装着部8の内側から外側への方向)に回動する。
【0062】
その後、ローラホルダ101の付勢方向(カセット装着部8の内側から外側への方向)への回動が停止すると、図25乃至図27に示すように、ローラホルダ101が支持板41から離れた状態が維持されるので、カセット装着部8内にカセットCを正しくセッティングさせることができる。
【0063】
カセット装着部8内にカセットCが正しくセッティングされた後は、上述したように、本体2にカバー11を取り付けると、ローラホルダ101が反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)に回動する。このとき、ローラホルダ101の突起部201は、カセットCのカセットケースCA上(でカバー11下)を移動する。従って、ローラホルダ101の突起部201に妨げられることなく、図28乃至図30に示すようにして、ローラホルダ101が支持板41に押し付けられる。
【0064】
その一方で、カセット装着部8内にカセットCが正しくセッティングされていない場合には、本体2にカバー11を取り付けて、ローラホルダ101が反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)に回動させようとすれば、図31乃至図33に示すように、ローラホルダ101の突起部201がカセットCの正面側壁CAに当接するので、ローラホルダ101を支持板41に押し付けることはできない。
【0065】
尚、図31乃至図33は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1のカセット装着部8内にカセットCが正しくセッティングされていない状態で、ローラホルダ101を支持板41に押し付けようとしたときのローラホルダ101の突起部201とカセットCの位置関係を示した図である。図31は平面図である。図32は、図31の矢視Aから見た側面図である。図33は、図31の矢視Bから見た側面図である。
【0066】
〔4.まとめ〕
以上詳細に説明したように、第1実施形態では、突起部201を、テープ印刷装置1のローラホルダ101に設けている。従って、ローラホルダ101が支持板41に押し付けられ、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が密着した状態にあると、カセット装着部8内にカセットCが装着される過程において(例えば、図1や、図17乃至図27参照)、突起部201を介して、カセットCがローラホルダ101を押すので、ローラホルダ101が付勢方向(カセット装着部8の内側から外側への方向)に移動し、ローラホルダ101が支持板41から離隔する。よって、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が固着し、ローラホルダ101が支持板41に押し付けられた状態が維持されていても、カセットCの装着によって、ローラホルダ101を支持板41から引き離すことが可能である。
【0067】
この点、突起部201は、本体2に取り付けられたカバー11と向かい合う面が、付根から先端に渡って下っていく傾斜面になっている。よって、カセット装着部8内にカセットCが装着される過程において(例えば、図1や、図17乃至図27参照)、突起部201の斜面がカセットCの底壁CA1や正面側壁CA2に当接する。従って、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が固着することにより、支持板41に押し付けられた状態が維持されているローラホルダ101に対して、付勢方向(カセット装着部8の内側から外側への方向)へ押す力をカセットCから効率的に作用させることができる。
【0068】
その一方で、テープ印刷装置1のカセット装着部8内のカセットCが正しくセッティングされていない状態にある場合には、本体2にカバー11が取り付けられることによって、ローラホルダ101が反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)に回動させられると、反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)に回動させられたローラホルダ101が、図31乃至図33に示すように、その突起部201を介して、カセットCの正面側壁CAに当接する。従って、ローラホルダ101の反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)への回動が途中で制止され、ローラホルダ101を支持板41に押し付けることができない。よって、この状態でテープ印刷が開始されても、カセット装着部8内でカセットCのテープ状フィルムTFがジャムを起こすことはない。
【0069】
尚、カセット装着部8内にカセットCが正しくセッティングされている場合に、図11乃至図13や、図28乃至図30に示すように、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が密着した状態にあるときは、ローラホルダ101の突起部201が、カセットCのカセットケースCA上(且つカバー11下)で突き出た状態になる。さらに、図示するように、カセット装着部8とカセットCがほぼ同じ大きさであることを考慮すれば、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が密着した状態にあるときのローラホルダ101の突起部201は、カセット装着部8にカセットCが装着される際の装着軌跡内に突出している。よって、カセットCは、支持板41に押し付けられた状態にあるローラホルダ101の突起部201、すなわち、サーマルヘッドHに固着したプラテンローラ102を軸支するローラホルダ101と当接することなくして、カセット装着部8内にカセットCが装着されることはない。
【0070】
また、第1実施形態では、突起部201を、テープ印刷装置1のローラホルダ101に設けているが、テープ印刷装置1の印刷に支障がない。なぜなら、ローラホルダ101は、テープ印刷装置1のカセット装着部8内にカセットCが正しくセッティングされたときには、図11乃至図13や、図28乃至図30に示すように、カセットCに突起部202を介して干渉することがないので、反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)に回動して、支持板41に押し付けられることが可能だからである。従って、カセットCが通常使用される印字用のものであっても、ローラホルダ101を支持板41から引き離すことが可能である。
【0071】
また、第1実施形態に係るテープ印刷装置1は、カセット装着部8に設けられた一対の係着部K1,K2を備えている。そして、カセット装着部8内のカセットCが一対の係着部K1,K2に係合されると、図8乃至図13や図25乃至図30に示すように、カセット装着部8内のカセットCが、正しくセッティングされた状態で固定される。
【0072】
従って、カセット装着部8にカセットCが入れられた際に、ユーザ等がそのカセットCを一対の係着部K1,K2に係合させれば、常に、そのカセットCはカセット装着部8に正しくセッティングさせた状態に固定される。しかしながら、このような機構では、一対の係着部K1,K2に対してカセットCの一対の突条部V1,V2が載置されるような状態を必ず経由しなければならない。このような状態、すなわち、例えば、図31乃至図33に示すように、そのカセットCが一対の係着部K1,K2に係合されない状態が放置されると、かえって、そのカセットCはカセット装着部8に正しくセッティングされていない状態に保持される。これにより、カセットC内のテープ状フィルムTFのジャムが発生しやすい環境が作り出されてしまうので、第1実施形態の動作を行う機構を備える必要性が高くなる。
【0073】
また、第1実施形態に係るテープ印刷装置1では、カバー11は本体2に対し着脱可能であるので、カセット装着部8が開放される際には、カバー11が本体2から取り外される。従って、カバー11を自由に動かすことができるので、カバー11が本体2に取り付けられることによって、カセット装着部8がカバー11で掩覆される際には、カセット装着部8に入れられたカセットCが正しくセッティングされていない状態にあっても、カバー11が本体2に強引に取り付けられてしまうことがある。これにより、カセットC内のテープ状フィルムTFのジャムが発生しやすい環境が作り出されてしまうので、第1実施形態の動作を行う機構を備える必要性が高くなる。
【0074】
〔5.第2実施形態〕
第1実施形態では、突起部201を、テープ印刷装置1のローラホルダ101に設けている。しかしながら、以下に説明する第2実施形態のように、突起部201に相当するものをカセットC側に設けてもよい。
【0075】
図34乃至図36は、第2実施形態においてテープ印刷装置100を背面側から示した外観斜視図であって、カセット未装着時にカバー11が開けられた状態を示している。図37乃至図39は、第2実施形態においてテープ印刷装置100を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着時にカバー11が開けられた状態を示している。
【0076】
図40乃至図42は、第2実施形態においてテープ印刷装置100を背面側から示した外観斜視図である。さらに、図40乃至図42は、カセットCがカセット装着部8内に正しくセッティングされた際に本体2にカバー11が取り付けられたことによって、カセットCのテープ状フィルムを挟んで、プラテンローラ102がサーマルヘッドHに押し付けられた状態を示している。尚、図40乃至図42では、プラテンローラ102がサーマルヘッドHに押し付けられた状態を明示するため、カセットCのテープ状フィルムやカバー11は記載されていない。
【0077】
図43乃至図45は、第2実施形態においてテープ印刷装置100を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着部8にカセットCが未装着である場合に、カバー11が開けられ、サーマルヘッドHに固着したプラテンローラ102が露呈した状態を示している。
【0078】
図46乃至図48は、第2実施形態においてテープ印刷装置100を背面側から示した外観斜視図であって、カバー11が取り外され、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が固着した状態の下で、カセットCがカセット装着部8内に装着されようとするときの様子を示した図である。
【0079】
図34乃至図48に示すテープ印刷装置100は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1とは異なって、第1実施形態にはあった突起部201がローラホルダ101には設けられていない。その他は、第1実施形態に係るテープ印刷装置1と同じなので、第1実施形態と同じ符号を付し、テープ印刷装置100についての詳細な説明は省略する。
【0080】
これに対し、カセットCには、カセットケースCAの底壁CA1と正面側壁CA2との接続部分に、カセット装着部8内に正しくセッティングされた際にローラホルダ101に向けて突き出た突起部202を設けている。また、突起部202においては、カセットCがカセット装着部8内に正しくセッティングされた際には、底壁CA1に向かうほどローラホルダ101から離れていく傾斜面を有する。この突起部202は、第1実施形態の突起部201と同様な機能を有する。
【0081】
すなわち、第2実施形態では、突起部202を、カセットCに設けている。従って、ローラホルダ101が支持板41に押し付けられ、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が密着した状態にあると、カセット装着部8内にカセットCが装着される過程において(例えば、図34乃至図40参照)、突起部202を介して、カセットCがローラホルダ101を押すので、ローラホルダ101が付勢方向(カセット装着部8の内側から外側への方向)に移動し、支持板41から離隔する。よって、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が固着し、ローラホルダ101が支持板41に押し付けられた状態が維持されていても、カセットCの装着によって、ローラホルダ101を支持板41から引き離すことが可能である。
【0082】
この点、突起部202は、カセットCがカセット装着部8内に正しくセッティングされた際には、底壁CA1に向かうほどローラホルダ101から離れていく傾斜面を有する。よって、カセット装着部8内にカセットCが装着される過程では(例えば、図34乃至図40参照)、突起部202の斜面が、ローラホルダ101に当接する。従って、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が固着し、支持板41に押し付けられた状態が維持されているローラホルダ101に対し、付勢方向(カセット装着部8の内側から外側への方向)へ押す力をカセットCから効率的に作用させることができる。
【0083】
その一方で、テープ印刷装置100のカセット装着部8内のカセットCが正しくセッティングされていない状態にある場合には、本体2にカバー11を取り付けられることによって、ローラホルダ101が反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)に回動させられると、反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)に回動させられたローラホルダ101が、カセットCの突起部202に当接する。従って、ローラホルダ101の反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)への回動が途中で制止され、ローラホルダ101を支持板41に押し付けることができない。よって、この状態でテープ印刷が開始されても、カセット装着部8内でカセットCのテープ状フィルムTFがジャムを起こすことはない。
【0084】
尚、カセット装着部8内にカセットCが正しくセッティングされている場合に、図40乃至図42に示すように、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が密着した状態にあるときは、カセットCに設けられた突起部202が、ローラホルダ101の内側に突き出た状態になる。さらに、図示するように、カセット装着部8とカセットCがほぼ同じ大きさであることを考慮すれば、サーマルヘッドHにプラテンローラ102が密着した状態にあるときのローラホルダ101は、カセット装着部8にカセットCが装着される際の突起部202の軌跡内に突出している。よって、カセットCは、その突起部202が、支持板41に押し付けられた状態にあるローラホルダ101と当接することなくして、カセット装着部8内にカセットCが装着されることはない。
【0085】
また、第2実施形態では、突起部202を、カセットCに設けているが、テープ印刷装置100の印刷に支障がない。なぜなら、ローラホルダ101は、テープ印刷装置100のカセット装着部8内にカセットCが正しくセッティングされたときには、図40乃至図42に示すように、カセットCに突起部202を介して干渉することがないので、反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)に移動して支持板41に押し付けられることが可能だからある。従って、カセットCが通常使用される印字用のものであっても、ローラホルダ101を支持板41から引き離すことが可能である。
【0086】
また、第2実施形態において、テープ印刷装置100は、カセット装着部8に設けられた一対の係着部K1,K2を備えている。そして、カセット装着部8内のカセットCが一対の係着部K1,K2に係合されると、図37乃至図42に示すように、カセット装着部8内のカセットCが、正しくセッティングされた状態で固定される。
【0087】
従って、カセット装着部8にカセットCが入れられた際に、ユーザ等がそのカセットCを一対の係着部K1,K2に係合させれば、常に、そのカセットCはカセット装着部8に正しくセッティングさせた状態に固定される。しかしながら、このような機構では、一対の係着部K1,K2に対してカセットCの一対の突条部V1,V2が載置されるような状態を必ず経由しなければならない。このような状態、すなわち、例えば、そのカセットCが一対の係着部K1,K2に係合されない状態が放置されると、かえって、そのカセットCはカセット装着部8に正しくセッティングされていない状態に保持される。これにより、カセットC内のテープ状フィルムTFのジャムが発生しやすい環境が作り出されてしまうので、第2実施形態の動作を行う機構を備える必要性が高くなる。
【0088】
また、第2実施形態において、テープ印刷装置100では、カバー11は本体2に対し着脱可能であるので、カセット装着部8が開放される際には、カバー11が本体2から取り外される。従って、カバー11を自由に動かすことができるので、カバー11が本体2に取り付けられることによって、カセット装着部8がカバー11で掩覆される際には、カセット装着部8に入れられたカセットCが正しくセッティングされていない状態にあっても、カバー11が本体2に強引に取り付けられてしまうことがある。これにより、カセットC内のテープ状フィルムTFのジャムが発生しやすい環境が作り出されてしまうので、第2実施形態の動作を行う機構を備える必要性が高くなる。
【0089】
〔6.その他〕
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、第1,第2の実施形態において、ローラホルダ101の反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)への移動は、カバー11に設けられた突出部12の動きに連動させなくてもよい。例えば、ローラホルダ101の反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)への移動を行うための専用レバーを設けてもよい。
【0090】
また、第1,第2の実施形態において、プラテンローラ102等が設けられたローラホルダ101に代えて、サーマルヘッドHが設けられた支持板でもよい。この場合には、その支持板が、カセット装着部8の内側から外側に向けて付勢されながら本体2に回動可能に支持される。従って、カバー11が本体2に取り付けられることによって、カバー11でカセット装着部8が掩覆された際には、カバー11に設けられた突出部12の動きに連動して、その支持板が反付勢方向(カセット装着部8の外側から内側への方向)に移動する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、テープ印刷装置の印字ヘッドに固着したプラテンローラをカセット装着時に引き離す技術に適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態に係るテープ印刷装置のサーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態にある場合において、ユーザがカセットをカセット装着部内に装着させようとするときに、カセットがローラホルダの突起部に当接する関係を示した平面図である。
【図2】同テープ印刷装置を正面側から示した外観斜視図である。
【図3】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図4】カバーの裏面を示した外観斜視図である。
【図5】カセットが未装着である場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図6】カセットが未装着である場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図7】カセットが未装着である場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図8】カセットが正しくセッティングされている場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図9】カセットが正しくセッティングされている場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図10】カセットが正しくセッティングされている場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図11】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着時にプラテンローラがサーマルヘッドに押し付けられた状態を示した図である。
【図12】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着時にプラテンローラがサーマルヘッドに押し付けられた状態を示した図である。
【図13】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着時にプラテンローラがサーマルヘッドに押し付けられた状態を示した図である。
【図14】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着部にカセットが未装着である場合に、カバーが開けられ、サーマルヘッドに固着したプラテンローラが露呈した状態を示した図である。
【図15】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着部にカセットが未装着である場合に、カバーが開けられ、サーマルヘッドに固着したプラテンローラが露呈した状態を示した図である。
【図16】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着部にカセットが未装着である場合に、カバーが開けられ、サーマルヘッドに固着したプラテンローラが露呈した状態を示した図である。
【図17】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カバーが取り外され、サーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態の下で、カセットがカセット装着部内に装着されようとするときの様子を示した図である。
【図18】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カバーが取り外され、サーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態の下で、カセットがカセット装着部内に装着されようとするときの様子を示した図である。
【図19】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カバーが取り外され、サーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態の下で、カセットがカセット装着部内に装着されようとするときの様子を示した図である。
【図20】同テープ印刷装置のサーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態にある場合に、ユーザがカセットをカセット装着部内に装着しようとするときの、ローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した平面図である。
【図21】同テープ印刷装置のサーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態にある場合に、ユーザがカセットをカセット装着部内に装着しようとするときの、ローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した図であって、図20の矢視Aから見た側面図である。
【図22】同テープ印刷装置のサーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態にある場合に、ユーザがカセットをカセット装着部内に装着しようとするときの、ローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した図であって、図20の矢視Bから見た側面図である。
【図23】同テープ印刷装置のサーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態にある場合において、ユーザがカセットをカセット装着部内に装着させようとするときに、カセットがローラホルダの突起部に当接する関係を示した図であって、図1の矢視Aから見た側面図である。
【図24】同テープ印刷装置のサーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態にある場合において、ユーザがカセットをカセット装着部内に装着させようとするときに、カセットがローラホルダの突起部に当接する関係を示した図であって、図1の矢視Bから見た側面図である。
【図25】同テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが正しくセッティングされたときの、ローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した平面図である。
【図26】同テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが正しくセッティングされたときの、ローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した図であって、図25の矢視Aから見た側面図である。
【図27】同テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが正しくセッティングされたときの、ローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した図であって、図25の矢視Bから見た側面図である。
【図28】同テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが正しくセッティングされた後で、ローラホルダを支持板に押し付けたときのローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した平面図である。
【図29】同テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが正しくセッティングされた後で、ローラホルダを支持板に押し付けたときのローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した図であって、図28の矢視Aから見た側面図である。
【図30】同テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが正しくセッティングされた後で、ローラホルダを支持板に押し付けたときのローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した図であって、図28の矢視Bから見た側面図である。
【図31】同テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが正しくセッティングされていない状態で、ローラホルダを支持板に押し付けようとしたときのローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した平面図である。
【図32】同テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが正しくセッティングされていない状態で、ローラホルダを支持板に押し付けようとしたときのローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した図であって、図31の矢視Aから見た側面図である。
【図33】同テープ印刷装置のカセット装着部内にカセットが正しくセッティングされていない状態で、ローラホルダを支持板に押し付けようとしたときのローラホルダの突起部とカセットの位置関係を示した図であって、図31の矢視Bから見た側面図である。
【図34】カセットが未装着である場合にカバーが開けられた際の第2実施形態においてテープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図35】カセットが未装着である場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図36】カセットが未装着である場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図37】カセットが正しくセッティングされている場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図38】カセットが正しくセッティングされている場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図39】カセットが正しくセッティングされている場合にカバーが開けられた際の同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図である。
【図40】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着時にプラテンローラがサーマルヘッドに押し付けられた状態を示した図である。
【図41】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着時にプラテンローラがサーマルヘッドに押し付けられた状態を示した図である。
【図42】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着時にプラテンローラがサーマルヘッドに押し付けられた状態を示した図である。
【図43】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着部にカセットが未装着である場合に、カバーが開けられ、サーマルヘッドに固着したプラテンローラが露呈した状態を示している。
【図44】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着部にカセットが未装着である場合に、カバーが開けられ、サーマルヘッドに固着したプラテンローラが露呈した状態を示している。
【図45】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カセット装着部にカセットが未装着である場合に、カバーが開けられ、サーマルヘッドに固着したプラテンローラが露呈した状態を示している。
【図46】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カバーが取り外され、サーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態の下で、カセットがカセット装着部内に装着されようとするときの様子を示した図である。
【図47】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カバーが取り外され、サーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態の下で、カセットがカセット装着部内に装着されようとするときの様子を示した図である。
【図48】同テープ印刷装置を背面側から示した外観斜視図であって、カバーが取り外され、サーマルヘッドにプラテンローラが固着した状態の下で、カセットがカセット装着部内に装着されようとするときの様子を示した図である。
【符号の説明】
【0093】
1 テープ印刷装置
2 本体
8 カセット装着部
10 カセット装着部の装着内面
11 カバー
12 突出部
41 支持板
101 ローラホルダ
102 プラテンローラ
201 突起部
202 突起部
C カセット
CA カセットケース
CA1 カセットケースの底壁
CA2 カセットケースの正面側壁
H 印字ヘッド
K1,K2 一対の係着部
TF テープ状フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体に設けられたカセット装着部と、前記カセット装着部の内側から外側に向けて付勢されながら前記本体に回動可能に支持された押付部材と、前記カセット装着部に設けられた支持部材と、を有し、前記押付部材が反付勢方向に移動させられることにより前記押付部材が前記支持部材に押し付けられるテープ印刷装置であって、
前記押付部材に設けられた突起部を備え、
密着状態にある前記押付部材と前記支持部材に対し、前記カセット装着部内にカセットが装着される過程において、当該カセットが前記押付部材の突起部を押すことにより、前記押付部材が付勢方向に移動し、前記支持部材から離隔すること、を特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載するテープ印刷装置であって、
前記支持部材に対し密着状態にある前記押付部材の前記突起部は前記カセット装着部内にカセットが装着される際の装着軌跡内に突出していること、を特徴とするテープ印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するテープ印刷装置であって、
前記押付部材は、前記カセット装着部内にカセットが正しく装着されたときには、前記カセットに干渉することなく、反付勢方向に移動して前記支持部材に押し付けることが可能に構成されていること、を特徴とするテープ印刷装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、
前記押付部材が印字ヘッドであること、を特徴とするテープ印刷装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、
前記押付部材がプラテン保持部材であること、を特徴とするテープ印刷装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、
前記カセット装着部に設けられた一対の係着部を備え、
前記カセット装着部内のカセットが前記一対の係着部に係合されると、前記カセット装着部内のカセットが正しく装着された状態で固定されること、を特徴とするテープ印刷装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、
前記カセット装着部を掩覆・開放するためのカバーを有し、
前記カバーで前記カセット装着部が掩覆された場合に、前記押付部材が反付勢方向に移動させられることにより、前記押付部材が前記支持部材に押し付けられること、を特徴とするテープ印刷装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、
前記カセット装着部を掩覆・開放するためのカバーと、
前記カバーに設けられた突出部と、を有し、
前記カバーで前記カセット装着部が掩覆された際には、前記突出部の動きに連動して前記押付部材が反付勢方向に移動すること、を特徴とするテープ印刷装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載するテープ印刷装置であって、
前記カバーは前記本体に対し着脱可能であること、を特徴とするテープ印刷装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載するテープ印刷装置であって、
前記突起部の形状が斜面になっていること、を特徴とするテープ印刷装置。
【請求項11】
本体と、前記本体に設けられたカセット装着部と、前記カセット装着部の内側から外側に向けて付勢されながら前記本体に回動可能に支持された押付部材と、前記カセット装着部に設けられた支持部材と、を有しており、前記押付部材が反付勢方向に移動させられることにより前記押付部材が前記支持部材に押し付けられるテープ印刷装置に使用されるカセットであって、
前記本体のカセット装着部にセットされた際に、
前記カセット装着部の底面に対向する底壁と、
前記底壁に連続し前記押付部材に対向する側壁と、
前記底壁と前記側壁との接続部分に、前記押付部材に向かう方向に設けられた突起部とを有するカセットケースを備え、
密着状態にある前記押付部材と前記支持部材に対し、前記カセット装着部内に当該カセットが装着される過程において、当該カセットの突起部が前記押付部材を押すことにより、前記押付部材が付勢方向に移動し、前記支持部材から離隔すること、を特徴とするカセット。
【請求項12】
請求項11に記載するカセットであって、
前記支持部材に対し密着状態にある前記押付部材は、前記カセット装着部内に当該カセットが装着される際の突起部の軌跡内に位置していること、を特徴とするカセット。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載するカセットであって、
前記押付部材は、前記カセット装着部内にカセットが正しく装着されたときには、前記突起部に干渉することなく、反付勢方向に移動して前記支持部材に押し付けることが可能に構成されていること、を特徴とするカセット。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれか一つに記載するカセットであって、
前記押付部材が印字ヘッドであるような前記テープ印刷装置に使用されること、を特徴とするカセット。
【請求項15】
請求項11乃至請求項13のいずれか一つに記載するカセットであって、
前記押付部材がプラテン保持部材であるような前記テープ印刷装置に使用されること、を特徴とするカセット。
【請求項16】
請求項11乃至請求項15のいずれか一つに記載するカセットであって、
当該カセットは、前記カセット装着部内に設けられた一対の係着部に係合されると、前記カセット装着部内で正しく装着された状態で固定されること、を特徴とするカセット。
【請求項17】
請求項11乃至請求項16のいずれか一つに記載するカセットであって、
前記カセット装着部を掩覆・開放するためのカバーで前記カセット装着部が掩覆された場合に、前記押付部材が反付勢方向に移動させられることにより、前記押付部材が前記支持部材に押し付けられるような前記テープ印刷装置に使用されること、を特徴とするカセット。
【請求項18】
請求項11乃至請求項16のいずれか一つに記載するカセットであって、
前記カセット装着部を掩覆・開放するためのカバーで前記カセット装着部が掩覆された際には、前記カバーに設けられた突出部の動きに連動して前記押付部材が反付勢方向に移動するような前記テープ印刷装置に使用されること、を特徴とするカセット。
【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載するカセットであって、
前記カバーが前記本体に対し着脱可能であるような前記テープ印刷装置に使用されること、を特徴とするカセット。
【請求項20】
請求項11乃至請求項19のいずれか一つに記載するカセットであって、
前記突起部の形状が斜面になっていること、を特徴とするカセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2009−178962(P2009−178962A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20750(P2008−20750)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】