説明

テープ印刷装置

【課題】 連続運転時のDCモータの発熱による巻線抵抗値の上昇等によってもDCモータの回転数変動を補正して高精度の定長印刷が可能なテープ印刷装置を提供する。
【解決手段】 キーボード3の印刷キーが押下された場合には、先ず、EEPROM63に記憶される前回印字時のテープ印字中における定速走行時のエンコーダパルス周期検出値と、ROM64に予め記憶されるエンコーダパルス周期の基準値との差分を算出し、電子ガバナ回路73に出力しているD/A出力値をこの差分のエンコーダパルス周期の基準値に対する割合だけ増減して、新たな速度設定値としてD/A出力設定後、スイッチングトランジスタ72をオンにしてDCモータ2が駆動される(S1〜S2)。また、定速走行時のテープ印字中に、エンコーダパルス周期を検出して、この検出値をEEPROM63に記憶し、テープ印刷終了後、DCモータ2を停止する(S3〜S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状のテープを搬送しつつ該テープにサーマルヘッドによって印字するテープ印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、DCモータを駆動源とするテープ搬送機構により長尺状のテープを搬送しつつ該テープにサーマルヘッドによって印字するテープ印刷装置に関して種々提案されている。
例えば、印字媒体にドットパターンで印字する印字ヘッドと、その印字ヘッドまたは前記印字媒体を相対的に移動させるための送り機構と、前記印字ヘッドおよび前記送り機構を制御する制御手段とを備えたものであり、更に、前記送り機構の駆動源に、回転角度を検出せずに、一定の回転数で回転するように制御されるDCモータを備え、制御手段がこのDCモータの起動直後の回転の安定していない時は、印字を禁止し、回転数が一定値に安定した時に、一定の周波数で印字するように構成したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
そして、このような構成により、印字ヘッドまたは印字媒体を相対的に移動させるための送り機構の駆動モータに安価で、エネルギー効率のよいDCモータを用いることができる為に、低消費電力でかつ低価格なドットプリンタを実現できる。
【特許文献1】特開平6−155809号公報(段落(0008)〜(0021)、図2〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の構成を用いたテープ印刷装置においては、DCモータの回転速度は、制御ICと可変抵抗の抵抗値等で予め決定される構成のため、連続運転時のDCモータの発熱によって巻線抵抗値が上昇した場合には、該DCモータの回転速度が変動して高精度の定長印刷が困難になるという問題があった。また、テープ種別による負荷変動によってもDCモータの回転数が変化するため、精度の良い定長印刷が困難になるという問題がある。更に、テープ印刷装置の生産工程では、可変抵抗を調整してDCモータの回転速度を微調整する必要があり、回転数設定作業が煩雑で、作業効率が低下するという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、連続運転時のDCモータの発熱による巻線抵抗値の上昇やテープ種別による負荷変動等によってもDCモータの回転数変動を補正して高精度の定長印刷が可能となると共に、生産工程における可変抵抗調整等によるDCモータの回転速度の微調整を無くして組立作業効率の向上を図ることができるテープ印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係るテープ印刷装置は、長尺状のテープを搬送するテープ搬送機構と、前記テープ搬送機構を介して搬送されたテープにドットパターンにより文字等の印字を行うサーマルヘッドと、を備えたテープ印刷装置において、前記テープ搬送機構は、駆動源であるDCモータと、前記DCモータの回転速度を検出する検出手段と、前記DCモータの基準回転速度を予め記憶する第1記憶手段と、前記検出手段によってテープ印字中における定速走行時の回転速度を検出して記憶する第2記憶手段と、前記DCモータを所定の回転速度で駆動するように制御する第1制御手段と、を備え、前記第1制御手段は、前記DCモータの駆動開始時に、前記第2記憶手段に記憶される前回印字時の回転速度と前記基準回転速度との速度差に基づいて該DCモータの前回印字時の速度設定値を増減させて新たな速度設定値として設定することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係るテープ印刷装置は、請求項1に記載のテープ印刷装置において、初期速度設定値を予め記憶する第3記憶手段を備え、前記第1制御手段は、前記DCモータの駆動開始時に、前記第2記憶手段に回転速度が記憶されていない場合には、前記初期速度設定値を該DCモータの速度設定値として設定することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係るテープ印刷装置は、長尺状のテープを搬送するテープ搬送機構と、前記テープ搬送機構を介して搬送されたテープにドットパターンにより文字等の印字を行うサーマルヘッドと、を備えたテープ印刷装置において、前記テープ搬送機構は、駆動源であるDCモータと、前記DCモータの回転速度を検出する検出手段と、前記DCモータの基準回転速度を予め記憶する第1記憶手段と、前記検出手段によってテープ印字中における定速走行時の回転速度を所定時間毎に検出して記憶する第4記憶手段と、前記DCモータを所定の回転速度で駆動するように制御する第2制御手段と、を備え、前記第2制御手段は、前記DCモータの駆動開始時に、前記第4記憶手段に最後に記憶された回転速度と前記基準回転速度との速度差に基づいて該DCモータの前回印字終了時の速度設定値を増減させて新たな速度設定値として設定すると共に、印字開始後該第4記憶手段に回転速度が記憶される毎に、この記憶された回転速度と前記基準回転速度との速度差に基づいて該DCモータの速度設定値を増減して再設定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係るテープ印刷装置は、請求項3に記載のテープ印刷装置において、初期速度設定値を予め記憶する第5記憶手段を備え、前記第2制御手段は、前記DCモータの駆動開始時に、前記第4記憶手段に回転速度が記憶されていない場合には、前記初期速度設定値を該DCモータの駆動開始時の速度設定値として設定することを特徴とする。
【0009】
更に、請求項5に係るテープ印刷装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のテープ印刷装置において、前記DCモータの駆動開始後、定速回転になってから前記サーマルヘッドを介して印字を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係るテープ印刷装置では、テープ搬送機構の駆動源であるDCモータの駆動開始時に、第2記憶手段に記憶される該DCモータの前回印字時のテープ印字中における定速走行時の回転速度と、第1記憶手段に記憶される基準回転速度との速度差に基づいて該DCモータの前回印字時の速度設定値を増減させて新たな速度設定値として設定し、この設定した速度設定値でDCモータが駆動される。
これにより、連続運転時のDCモータの発熱による巻線抵抗値の上昇やテープ種別による負荷変動等によって、DCモータのテープ印字中における定速走行時の回転速度が変動しても、該DCモータの駆動開始時、即ち次の印刷データを印字する時に、基準回転速度でテープを搬送するようにDCモータの速度設定値を増減させて新たに速度設定値を設定して駆動することができるため、DCモータの回転数変動を補正して高精度の定長印刷をすることが可能となる。
【0011】
また、請求項2に係るテープ印刷装置では、請求項1に記載のテープ印刷装置において、DCモータの駆動開始時に、第2記憶手段に前回印字時のテープ印字中における定速走行時の回転速度が記憶されていない場合、即ち工場出荷後最初にテープ印刷装置を使用する場合や該第2記憶手段が初期化された場合などには、第3記憶手段に記憶する初期速度設定値で該DCモータが駆動されるため、テープ印刷装置の生産工程における可変抵抗調整等によるDCモータの回転速度の微調整を無くして組立作業効率の向上を図ることができる。
【0012】
また、請求項3に係るテープ印刷装置では、テープ搬送機構の駆動源であるDCモータの駆動開始時に、第4記憶手段に最後に記憶される該DCモータの前回印字時のテープ印字中における定速走行時の回転速度と、第1記憶手段に記憶される基準回転速度との速度差に基づいて該DCモータの前回印字終了時の速度設定値を増減させて新たな速度設定値として設定し、この設定した速度設定値でDCモータが駆動される。また、印字開始後、所定時間毎にDCモータの回転速度が検出されて該第4記憶手段に記憶される毎に、この記憶された回転速度と基準回転速度との速度差に基づいて該DCモータの速度設定値を増減して再設定し、この再設定した速度設定値でDCモータが駆動される。
これにより、連続運転時のDCモータの発熱による巻線抵抗値の上昇やテープ種別による負荷変動等によって、DCモータのテープ印字中における定速走行時の回転速度が変動しても、該DCモータの駆動開始時、即ち次のテープに印字する時に、基準回転速度でテープを搬送するようにDCモータの速度設定値を増減させて新たに速度設定値を設定して駆動することができるため、DCモータの回転数変動を補正して高精度の定長印刷をすることが可能となる。また、印字長の長いテープの印字中においても、所定時間毎にDCモータの回転速度を検出して基準回転速度との速度差に基づいてDCモータの速度設定値を増減することができるため、長時間連続運転時や長さの長い印刷テープを複数枚作成する時のDCモータの発熱による巻線抵抗値の上昇等によるDCモータの回転数変動を補正することができ、長さの長い印刷テープにおいても更なる高精度の定長印刷をすることが可能となる。
【0013】
また、請求項4に係るテープ印刷装置では、請求項3に記載のテープ印刷装置において、DCモータの駆動開始時に、第4記憶手段に前回印字時のテープ印字中における定速走行時の回転速度が記憶されていない場合、即ち工場出荷後最初にテープ印刷装置を使用する場合や該第4記憶手段が初期化された場合などには、第5記憶手段に記憶する初期速度設定値で該DCモータが駆動されるため、テープ印刷装置の生産工程における可変抵抗調整等によるDCモータの回転速度の微調整を無くして組立作業効率の向上を図ることができる。
【0014】
更に、請求項5に係るテープ印刷装置では、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のテープ印刷装置において、DCモータの駆動開始後、定速回転になってからサーマルヘッドを介して印字を開始するため、高品位の印字が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るテープ印刷装置について、具体化した実施例1及び実施例2に基づいて図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
先ず、実施例1に係るテープ印刷装置の概略構成について図1乃至図3に基づき説明する。
図1に示すように、実施例1に係るテープ印刷装置1は、その上面に文字キーや制御キーなどの多数のキーを含むキーボード3を有している。また、テープ印刷装置1の内部には、以下で説明するテープ収納カセット30(図2参照)を着脱自在に装着することができると共に、テープ駆動印刷機構10及びテープを切断するためのカッター17(共に図2参照)が含まれており、テープ収納カセット30から引き出されて印刷されたテープはカッター17で切断された後に、排出口5から排出される。また、図1には描かれていないものの、テープ印刷装置1の表面には、パーソナルコンピュータなどの外部機器78との有線または無線接続を行うための接続インターフェイス67(共に図4参照)が設けられている。
【0017】
また、図2に示すように、テープ印刷装置1内のカセット収納部フレーム11には、テープ収納カセット30が着脱自在に装着されている。テープ収納カセット30内には、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等からなる透明な表層テープ31が巻装されたテープスプール32と、インクリボン33が巻装されたリボン供給スプール34と、使用済みのインクリボン33を巻き取る巻取りスプール35と、表層テープ31と同一幅で両面に接着剤層を有する両面接着テープの片面に剥離テープが貼り合わされた二重テープ36が剥離テープを外側にして巻装された基材供給スプール37と、二重テープ36と表層テープ31とを重ねて接合させるための接合ローラ39とがそれぞれ回転自在に設けられている。
【0018】
また、図2及び図3に示すように、カセット収納部フレーム11には、軸20aを中心にして揺動可能となるようにアーム20が取り付けられている。アーム20の先端には、共にゴムなどの可撓性部材を表面に有するプラテンローラ21及び送りローラ22が回動自在に取り付けられている。アーム20が最も時計回りに揺動した位置では、プラテンローラ21が表層テープ31及びインクリボン33を介して後述するプレート12に配置されたサーマルヘッド13と圧接し、送りローラ22が表層テープ31及び二重テープ36を介して接合ローラ39と圧接する。
また、カセット収納部フレーム11からはプレート12が立設している。プレート12のプラテンローラ21側には、多数の発熱素子が図2の紙面垂直方向に1列に配列されたサーマルヘッド13が配置されている。プレート12は、テープ収納カセット30が所定位置に装着されたときに、テープ収納カセット30の凹部14にはめ込まれる。また、図3に示すように、カセット収納部フレーム11からは、リボン巻取りローラ15及び接合ローラ駆動ローラ16が立設している。テープ収納カセット30が所定位置に装着されると、リボン巻取りローラ15及び接合ローラ駆動ローラ16はそれぞれ巻取りスプール35及び接合ローラ39内に挿入される。
【0019】
また、カセット収納部フレーム11にはテープ走行用のDCモータ2が取り付けられている。DCモータ2の出力軸41から取り出された回転駆動力は、カセット収納部フレーム11に沿って互いに噛み合うように配置された円板状のギア42、43、44、45、46、47、48並びにプラテンローラ21及び送りローラ22とそれぞれ直列に配置された円板状のギア24、25を介して、リボン巻取りローラ15、接合ローラ駆動ローラ16、プラテンローラ21及び送りローラ22にそれぞれ伝えられる。
【0020】
そのため、DCモータ2に電力が供給されて出力軸41が回転すると、それに応じて巻取りスプール35、接合ローラ39、プラテンローラ21及び送りローラ22が回転し、これらの回転によって生じる駆動力によってテープ収納カセット30内の表層テープ31、インクリボン33及び二重テープ36が巻き解かれつつ下流側へと搬送される。表層テープ31及びインクリボン33は、互いに重ね合わされてからプラテンローラ21とサーマルヘッド13との間を通過する。これらがプラテンローラ21とサーマルヘッド13とによって挟まれた状態で搬送されつつ、サーマルヘッド13に配列された多数の発熱素子に選択的かつ間欠的に通電が行われることにより、表層テープ31にインクリボン33のインクがドット単位で転写されてそこに所望のドット画像が鏡像で形成される。また、サーマルヘッド13を通過したインクリボン33がリボン巻取りローラ15によって巻き取られた後、表層テープ31は二重テープ36と重ねられて送りローラ22と接合ローラ39との間を通過する。これによって、ドット印刷済みの表層テープ31はその印刷面側が二重テープ36と強固に重ね合わされる。
【0021】
この表層テープ31と二重テープ36とが重ね合わされた積層テープ38は、表層テープ31の印刷面とは反対側から印刷画像の正像を見ることができるものであって、送りローラ22のさらに下流側に配置されたカッター17によって切断されてから排出口5から排出される。カッター17は、固定刃17aに対して回動刃17bが回動して切断対象物を剪断する鋏形式であり、回動刃17bはカッター用のDCモータ72(図4参照)によって支点を中心に往復揺動することにより積層テープ38を切断する。切断された積層テープ38は、剥離テープを剥がすことにより任意の場所に貼り付けることが可能な粘着ラベルとして用いることができる。
【0022】
また、図3に示すように、DCモータ2には、その回転量を検出するためのセンサであるエンコーダ49が取り付けられている。エンコーダ49は、円周方向に一定間隔で形成されたスリットを有し且つDCモータ2の出力軸41が回転軸となるようにこれに接続された回転円板49aと、この回転円板49aの両側に発光素子及び受光素子が対向配置されたフォトセンサ49bとを有している。フォトセンサ49bの発光素子から出射された光線は、回転円板49aの回転に応じて、スリット間で遮蔽されるか或いはスリットを通過して受光素子に到達する。
なお、図3に示したフォトセンサ49bを用いる代わりに、1つの2相フォトセンサを用いてDCモータ2の正転・逆転の検出を行うことも可能である。
【0023】
次に、テープ印刷装置1の制御構成について、図4及び図5に基づいて説明する。テープ印刷装置1内には制御基板(図示せず)が配置されており、この制御基板上には、CPU61、CG−ROM62、EEPROM63、ROM64、RAM66、タイマ67、3つのドライバ回路68、69、70が配置されている。各種演算を行うと共に信号の入出力を管理するCPU61は、CG−ROM62、EEPROM63、ROM64、RAM66、タイマ67、各ドライバ回路68〜70と接続されていると共に、フォトセンサ49b、キーボード3及び接続インターフェイス67にも接続されている。
CG−ROM62は、印刷される文字や記号の画像データをコードデータと対応させてドットパターンで記憶するキャラクタージェネレータ用メモリである。また、EEPROM63には、後述のようにDCモータ2の定速回転時の回転速度であるエンコーダパルス周期の検出値やその際の速度設定値であるD/A出力値などを記憶する。また、ROM64には、テープ印刷装置1を動作させるための後述の各種のプログラム、DCモータ2の基準回転速度や初期速度設定値である初期D/A出力値などの各種データテーブル類が格納されている。また、RAM66は、キーボード3から入力されたデータや外部機器78から接続インターフェイス67を介して取り込まれたデータ、及び、CPU61での演算結果などを一時的に記憶する。また、タイマ67は、クロック信号に基づいて基準時刻からの経過時間をCPU61に通知する。
【0024】
また、CPU61には、サーマルヘッド13での印刷を制御する印刷制御部61aと、DCモータ2を制御するテープモータ制御部61bと、DCモータ72を制御するカッターモータ制御部61cと、エンコーダ49のフォトセンサ49bの出力信号からDCモータ2の回転パルスの数をカウントするパルスカウンタ61dとが含まれている。また、ドライバ回路68は、タイマ67で生成されたクロック信号を参照してDCモータ2の駆動と同期するように、印刷制御部61aからの制御信号に基づいてサーマルヘッド13に駆動信号を供給する。また、ドライバ回路69は、カッターモータ制御部61cからの制御信号に基づいてDCモータ72に駆動信号を供給する。また、ドライバ回路70は、テープモータ制御部61bからの制御信号に基づいてDCモータ2に駆動信号を供給する。
【0025】
また、図5に示すように、DCモータ2を駆動制御するドライバ回路70には、CPU61からのON・OFF信号によってDCモータ2への電力供給をオンオフするスイッチングトランジスタ72と、DCモータ2を定速回転制御する電子ガバナ回路73とが設けられている。CPU61内のD/A回路は、電子ガバナ回路73から出力される基準電圧Vrefの範囲内で、電圧を出力するようになっている。この電子ガバナ回路73は、抵抗Rの電流とDCモータ2の速度設定値であるD/A出力電圧に基づいて、DCモータ2の逆起電力が一定になるように比例電流制御を行う。そして、電力供給の開始からある程度の時間がたつと、電源電圧の大きさにかかわらず、DCモータ2は負荷に対応した一定の回転数で回転するようになる。また、電子ガバナ回路73は、CPU61内のD/A回路から入力されるD/A出力電圧値を増減させることによって、DCモータ2の速度設定値を増減させることができるように構成されている。そして、DCモータ2の定速走行時における回転速度がエンコーダ49を介して検出されて、EEPROM63に記憶される。
尚、この電子ガバナ回路73は、例えばLA5528N(メーカ:三洋電機株式会社)等の制御ICである。
【0026】
また、サーマルヘッド13は、DCモータ2の定速走行時には所定時間ごとに駆動される。そのため、ROM64には、テープが定速走行している間におけるサーマルヘッド13への通電間隔(T0)のデータが格納されている。このように、DCモータ2の定速走行時に所定時間ごとにサーマルヘッド13が駆動されるようにすることにより、DCモータ2が大きな回転数で定速走行する場合であってもサーマルヘッド13の駆動休止期間に行われる印刷データのデータ処理時間(例えば、アウトラインフォントデータからビットマップデータへの展開、文字装飾、縦横変換)を十分に確保することができるようになり、印刷ミスが生じるなど印刷品質が劣化してしまうことがなくなる。
他方、サーマルヘッド13は、DCモータ2の定速走行時以外(つまり、DCモータ2への電力供給が中断されてからDCモータ2が停止するまで、及び、DCモータ2への電力供給が再開されてからDCモータ2が定速走行を開始するまで)には、原則として、エンコーダ49のフォトセンサ49bの出力信号に基づいて停止される。このように定速走行時以外にはサーマルヘッド13を停止することにより、印刷ドットの位置ずれを高い精度で防止し、歪みの無い印字を実現できる。
【0027】
次に、このように構成されたテープ印字装置1のテープに印刷する印刷処理などの制御処理について図6乃至図8に基づいて説明する。
図6に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1において、テープ印字装置1のCPU61は、キーボード3の印刷キーが押下された場合には、後述のDCモータ2の速度設定値を決定する速度設定D/A出力処理(図7参照)を実行する。
そして、S2において、CPU61は、スイッチングトランジスタ72をオンにしてDCモータ2への電力供給を開始する。これにより、電子ガバナ回路73は、DCモータ2の逆起電力が、CPU61から入力されたD/A出力値、即ち速度設定値に対応する一定値となるようにDCモータ2を比例電流制御する。
続いて、S3において、CPU61は、フォトセンサ49bからのパルス周期を検出して加速領域が終了して定速回転数になるのを待つ。尚、DCモータ2を起動してから一定時間待つようにしてもよい。
【0028】
そして、S4において、DCモータ2の回転速度が一定になるタイミングで、CPU61は、サーマルヘッド13を介して時間(T0)毎に表層テープ31へのライン印刷を開始する。これにより、表層テープ31上には、均一なドット間隔によりドットパターン印刷がされる。
また、S5において、CPU61は、フォトセンサ49b及びパルスカウンタ61dを介して、印字中の表層テープ31の定速走行時におけるDCモータ2のエンコーダパルス周期を検出する。例えば、表層テープ31への印字中に、約100msec間のパルス数をカウントし、エンコーダパルス周期を検出する。
そして、S6において、CPU61は、このエンコーダパルス周期検出値をEEPROM63に記憶する。また、CPU61は、現在、電子ガバナ回路73へ出力しているD/A出力値をEEPROM63に記憶する。
その後、RAM66に記憶された印刷データが全て印刷された場合には、S7において、CPU61は、サーマルヘッド13の駆動を停止する。続いて、S8において、CPU61は、スイッチングトランジスタ72をオフにしてDCモータ2への電力供給をOFFにして、当該処理を終了する。
【0029】
次に、S1において実行する速度設定D/A出力処理のサブ処理について図7に基づいて説明する。
図7に示すように、S11において、CPU61は、EEPROM63に前回のテープ印刷時に記憶したエンコーダパルス周期検出値が記憶されているか否かを判定する判定処理を実行する。そして、EEPROM63に前回のエンコーダパルス周期検出値が記憶されていない場合には(S11:NO)、S12において、CPU61は、ROM64に予め記憶されている初期D/A出力値、即ち初期速度設定値を読み出し、該初期速度設定値を電子ガバナ回路73にD/A出力して、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻る。
【0030】
一方、EEPROM63に前回のエンコーダパルス周期検出値が記憶されている場合には(S11:YES)、S13において、CPU61は、EEPROM63からこのエンコーダパルス周期検出値を読み出す。
そして、S14において、CPU61は、ROM64に予め記憶されているエンコーダパルス周期の基準値を読み出し、このエンコーダパルス周期の基準値からエンコーダパルス周期検出値を引いた差分を算出してRAM66に記憶する。これにより、エンコーダパルス周期の基準値は、表層テープ31の基準走行速度時のエンコーダパルス周期であることから、DCモータ2の基準回転速度と前回印字時の回転速度との速度差が検出される。
【0031】
続いて、S15において、CPU61は、RAM66から再度、差分を読み出し、この差分のエンコーダパルス周期の基準値に対する割合を算出してRAM66に記憶する。これにより、DCモータ2の基準回転速度と前回印字時の回転速度との速度差の該基準回転速度に対する割合が検出される。
そして、S16において、CPU61は、RAM66から再度、差分の基準値に対する割合を読み出し、電子ガバナ回路73に出力しているD/A出力値をこの割合だけ増減して、この増減したD/A出力値を新たな速度設定値として電子ガバナ回路73にD/A出力し、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻る。
【0032】
次に、テープ印刷をした場合における、DCモータ2の駆動制御の一例を図8に基づいて説明する。
図8に示すように、キーボード3の印刷キーが押下された場合には、CPU61は、先ず、EEPROM63にエンコーダパルス周期検出値が記憶されていない場合(生産工程内で、最初にテープ印刷をした場合等)には、ROM64から初期速度設定値を読み出し、該初期速度設定値を電子ガバナ回路73にD/A出力する。また、EEPROM63に前回印刷時に記憶したエンコーダパルス周期検出値が記憶されている場合には、このエンコーダパルス周期検出値と、ROM64に予め記憶されるエンコーダパルス周期の基準値との差分を算出し、電子ガバナ回路73に出力しているD/A出力値を差分の基準値に対する割合だけ増減して、この増減したD/A出力値を新たな速度設定値として電子ガバナ回路73にD/A出力する。
続いて、CPU61は、時間t1において、スイッチングトランジスタ72をオンにしてDCモータ2を起動する。そして、DCモータ2の回転数の加速領域が終了して定速回転数になるのを待ち、サーマルヘッド13を介して表層テープ31への印刷を開始する。また、CPU61は、印刷中に、フォトセンサ49bを介してパルス周期を所定時間(実施例1では、約100msec〜200msec間である。)検出し、このパルス周期検出値をEEPROM63に記憶する。その後、RAM66に記憶する1枚目の印刷データを表層テープ31に印刷後、時間t2にスイッチングトランジスタ72をオフにしてDCモータ2をOFFにする。これにより、1枚目の印刷データをテープ印刷した場合における、DCモータ2のモータ回転数変動を表すモータ回転数曲線81が形成される。
【0033】
そして、RAM66に2枚目の印刷データがある場合には、CPU61は、EEPROM63から前回印刷時に記憶したエンコーダパルス周期検出値を読み出すと共に、ROM64からエンコーダパルス周期の基準値を読み出して、該基準値からエンコーダパルス周期検出値を引いた差分を算出する。その後、この差分が正の値の場合には、エンコーダパルス周期の基準値に対する割合だけ電子ガバナ回路73に出力しているD/A出力値を増加して、この増加したD/A出力値を新たな速度設定値として電子ガバナ回路73にD/A出力する。尚、この差分が負の値の場合には、エンコーダパルス周期の基準値に対する割合だけ電子ガバナ回路73に出力しているD/A出力値を減少して、この減少したD/A出力値を新たな速度設定値として電子ガバナ回路73にD/A出力する。
【0034】
続いて、CPU61は、時間t3において、スイッチングトランジスタ72をオンにしてDCモータ2を起動する。そして、DCモータ2の回転数の加速領域が終了して定速回転数になるのを待ち、サーマルヘッド13を介して2枚目の印刷データの表層テープ31への印刷を開始する。また、CPU61は、印刷中に、フォトセンサ49bを介してパルス周期を所定時間(実施例1では、約100msec〜200msec間である。)検出し、このパルス周期検出値をEEPROM63に記憶する。その後、CPU61は、RAM66に記憶する2枚目の印刷データを表層テープ31に印刷後、時間t4にスイッチングトランジスタ72をオフにしてDCモータ2をOFFにする。
これにより、2枚目の印刷データの印刷時には、DCモータ2のモータ回転数は、前回印字時に検出したエンコーダパルス周期検出値と基準値とに基づいて微調整されて、定速走行時のモータ回転数がほぼ基準回転数であるモータ回転数曲線82を形成する。
【0035】
ここで、ドライバ回路70、DCモータ2、各ギア42〜48、24、25、プラテンローラ21、送りローラ22は、テープ搬送機構を構成する。また、エンコーダ49及びパルスカウンタ61dは、検出手段を構成する。また、ROM64は、第1記憶手段及び第3記憶手段として機能する。また、EEPROM63は、第2記憶手段として機能する。また、CPU61及び電子ガバナ回路73は、第1制御手段を構成する。
【0036】
したがって、実施例1に係るテープ印刷装置1では、キーボード3の印刷キーが押下された場合には、DCモータ2の駆動開始時に、先ず、EEPROM63に記憶される該DCモータ2の前回印字時のテープ印字中における定速走行時のエンコーダパルス周期検出値と、ROM64に予め記憶されるエンコーダパルス周期の基準値との差分を算出し、電子ガバナ回路73に出力しているD/A出力値をこの差分のエンコーダパルス周期の基準値に対する割合だけ増減して、この増減したD/A出力値を新たな速度設定値として電子ガバナ回路73にD/A出力後、スイッチングトランジスタ72をオンにしてDCモータ2が駆動される。
これにより、連続運転時のDCモータ2の発熱による巻線抵抗値の上昇やテープ収納カセット30に収納される表層テープ31等のテープ種別による負荷変動等によって、DCモータ2のテープ印字中における定速走行時の回転速度が変動しても、該DCモータ2の駆動開始時、即ち次の表層テープ31への印刷データを印字する時に、基準回転速度でテープを搬送するようにDCモータ2の速度設定値であるD/A出力値を増減させて新たに速度設定値を設定して駆動することができるため、DCモータ2の回転数変動を補正して高精度の定長印刷をすることが可能となる。
【0037】
また、DCモータ2の駆動開始時に、EEPROM63に前回印字時のテープ印字中における定速走行時のエンコーダパルス周期検出値が記憶されていない場合、即ち生産工程内で最初にテープ印刷装置1を使用する場合や該EEPROM63が初期化された場合などには、ROM64に予め記憶する初期D/A出力値、即ち初期速度設定値を読み出し、該初期速度設定値を電子ガバナ回路73にD/A出力後、スイッチングトランジスタ72をオンにしてDCモータ2が駆動されるため、テープ印刷装置1の生産工程におけるDCモータ2の回転速度の微調整を無くすことができ、組立作業効率の向上を図ることができる。
更に、DCモータ2の駆動開始後、定速回転になってからサーマルヘッド13を介して印字を開始するため、高品位の印字が可能となる。
【実施例2】
【0038】
次に、実施例2に係るテープ印刷装置について図9及び図10に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記図1乃至図8の実施例1に係るテープ印刷装置1の構成等と同一符号は、該実施例1に係るテープ印刷装置1等の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。
実施例2に係るテープ印刷装置の概略構成及び制御構成は、実施例1に係るテープ印刷装置1とほぼ同じ構成である。
但し、実施例2に係るテープ印刷装置のテープに印刷する印刷処理などの制御処理が、後述のように実施例1に係るテープ印刷装置1の制御処理と異なっている。
【0039】
ここで、実施例2に係るテープ印刷装置のテープに印刷する印刷処理などの制御処理について図9に基づいて説明する。
図9に示すように、S21乃至S26において、CPU61は、上記S1乃至S6の処理を実行する。
そして、S27において、再度、S21において実行した速度設定D/A出力処理(図7参照)を実行する。即ち、電子ガバナ回路73に出力しているD/A出力値を差分の基準値に対する割合だけ増減して、この増減したD/A出力値を新たな速度設定値として電子ガバナ回路73にD/A出力し、速度設定電圧を調整する。これにより、印刷中のDCモータ2の回転速度が変更される。
続いて、S28において、CPU61は、所定時間(実施例2では、70msec〜200msec)経過するのを待ち、エンコーダパルス周期が安定するのを待つ。即ち、モータ回転数が新たな回転速度で安定するの待つ。
そしてまた、S29において、CPU61は、サーマルヘッド13の駆動を終了するか否か、即ち、RAM66に印字中の印刷データが残っているか否かを判定する判定処理を実行する。そして、RAM66に印字中の印刷データが残っている場合には(29:NO)、CPU61は、再度S25以降の処理を実行する。
一方、サーマルヘッド13の駆動を終了する、即ち、RAM66に記憶された印字中の印刷データが全て印刷された場合には(S29:YES)、S30において、CPU61は、スイッチングトランジスタ72をオフにしてDCモータ2への電力供給をOFFにして、当該処理を終了する。
【0040】
次に、テープ印刷をした場合における、DCモータ2の駆動制御の一例を図10に基づいて説明する。
図10に示すように、キーボード3の印刷キーが押下された場合には、CPU61は、先ず、上記S21の処理を実行して速度設定値に対応するD/A出力値を電子ガバナ回路73にD/A出力する。よって、工場出荷後、最初にテープ印刷をした場合には、CPU61は、先ず、ROM64から初期速度設定値を読み出し、該初期速度設定値を電子ガバナ回路73にD/A出力する。また、EEPROM63に前回印刷時に記憶したエンコーダパルス周期検出値が記憶されている場合には、このエンコーダパルス周期検出値と、ROM64に予め記憶されるエンコーダパルス周期の基準値との差分を算出し、電子ガバナ回路73に出力しているD/A出力値を差分の基準値に対する割合だけ増減して、この増減したD/A出力値を新たな速度設定値として電子ガバナ回路73にD/A出力する。
続いて、CPU61は、スイッチングトランジスタ72をオンにしてDCモータ2を起動する。そして、DCモータ2の回転数の加速領域が終了して定速回転数になるのを待ち、サーマルヘッド13を介して表層テープ31への印刷を開始する。また、CPU61は、DCモータ2の回転数の加速領域が終了して定速回転数に達するとフォトセンサ49bを介してパルス周期を所定時間T1(実施例2では、T1=約100msec〜200msecである。)検出し、このパルス周期検出値をEEPROM63に記憶する。また、
【0041】
そして、CPU61は、時間T2において、再度、EEPROM63から記憶したエンコーダパルス周期検出値を読み出すと共に、ROM64からエンコーダパルス周期の基準値を読み出して、該基準値からエンコーダパルス周期検出値を引いた差分を算出し、この差分のエンコーダパルス周期の基準値に対する割合だけ電子ガバナ回路73に出力しているD/A出力値を増減して、この増減したD/A出力値を新たな速度設定値として電子ガバナ回路73にD/A出力する。その後、CPU61は、所定時間T3(実施例2では、T3=約70msec〜200msec)経過するのを待ち、即ち、モータ回転数が新たな回転速度で安定するの待った後、サーマルヘッド13の駆動を終了するか否か、即ち、RAM66に印字中の印刷データが残っているか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、RAM66に印字中の印刷データが残っているため、CPU61は、各時間T4〜T6、T7〜T9、T10〜T12において、上記各時間T1〜T3における処理を実行する。
その後、RAM66に記憶された印字中の印刷データを全て印刷した場合には、CPU61は、サーマルヘッド13の駆動を終了すると共に、スイッチングトランジスタ72をオフにしてDCモータ2への電力供給をOFFにする。
これにより、各時間T1、T4、T7、T10において、CPU61は、印字中のエンコーダパルス周期を検出してこの検出値をEEPROM63に記憶して、各時間T2、T5、T8、T11において、印刷データの印字中に検出したエンコーダパルス周期検出値と基準値とに基づいて、DCモータ2の回転速度の微調整を再度行うことができ、テープ印字中(定速走行時)のモータ回転数をほぼ基準回転数にすることができる(モータ回転数曲線85)。
【0042】
ここで、ドライバ回路70、DCモータ2、各ギア42〜48、24、25、プラテンローラ21、送りローラ22は、テープ搬送機構を構成する。また、エンコーダ49及びパルスカウンタ61dは、検出手段を構成する。また、ROM64は、第1記憶手段及び第5記憶手段として機能する。また、EEPROM63は、第4記憶手段として機能する。また、CPU61及び電子ガバナ回路73は、第2制御手段を構成する。
【0043】
したがって、実施例2に係るテープ印刷装置では、キーボード3の印刷キーが押下された場合には、CPU61は、EEPROM63に前回印刷時に記憶したエンコーダパルス周期検出値が記憶されている場合には、このエンコーダパルス周期検出値と、ROM64に予め記憶されるエンコーダパルス周期の基準値との差分を算出し、電子ガバナ回路73に出力しているD/A出力値を差分の基準値に対する割合だけ増減して、この増減したD/A出力値を新たな速度設定値として電子ガバナ回路73にD/A出力する。続いて、CPU61は、スイッチングトランジスタ72をオンにしてDCモータ2を起動する。また、印字開始後、所定時間毎(約170msec〜400msec毎)にDCモータ2の回転速度、即ちエンコーダパルス周期を検出して、このエンコーダパルス周期検出値とエンコーダパルス周期の基準値との差分に基づいて電子ガバナ回路73へのD/A出力値を増減して、該電子ガバナ回路73へのD/A出力を再設定し、この再設定したD/A出力に対応する供給電力でDCモータ2が駆動される。
これにより、連続運転時のDCモータ2の発熱による巻線抵抗値の上昇やテープ収納カセット30に収納される表層テープ31等のテープ種別による負荷変動等によって、DCモータ2のテープ印字中における定速走行時の回転速度が変動しても、該DCモータ2の駆動開始時、即ち次の表層テープ31に印字する時に、基準回転速度で表層テープ31を搬送するようにDCモータ2の速度設定値を増減させて新たに速度設定値を設定して駆動することができるため、DCモータ2の回転数変動を補正して高精度の定長印刷をすることが可能となる。また、印字長の長い表層テープ31の印字中においても、所定時間毎にDCモータ2の回転速度を検出して基準回転速度との速度差に基づいてDCモータ2の速度設定値を増減することができるため、長時間連続運転時や長さの長い印刷テープを複数枚作成する時のDCモータ2の発熱による巻線抵抗値の上昇等によるDCモータ2の回転数変動を補正することができ、長さの長い印刷テープにおいても更なる高精度の定長印刷をすることが可能となる。
【0044】
また、DCモータ2の駆動開始時に、EEPROM63に前回印字時のテープ印字中における定速走行時のエンコーダパルス周期検出値が記憶されていない場合、即ち生産工程内で最初にテープ印刷装置を使用する場合や該EEPROM63が初期化された場合などには、ROM64に記憶する初期D/A出力値、即ち初期速度設定値を読み出し、該初期速度設定値を電子ガバナ回路73にD/A出力後、スイッチングトランジスタ72をオンにしてDCモータ2が駆動されるため、テープ印刷装置1の生産工程におけるDCモータ2の回転速度の微調整を無くすことができ、組立作業効率の向上を図ることができる。
更に、DCモータ2の駆動開始後、定速回転になってからサーマルヘッド13を介して印字を開始するため、高品位の印字が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1に係るテープ印刷装置の外観斜視図である。
【図2】実施例1に係るテープ印刷装置の内部に配置されたテープ駆動印刷機構及びテープ収納カセットの構造を説明するための平面図である。
【図3】図2のテープ駆動印刷機構をテープ収納カセットがない状態において矢印A方向から見た側面図である。
【図4】実施例1に係るテープ印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】実施例1に係るテープ印刷装置のテープ駆動用DCモータのドライバ回路を模式的に示す図である。
【図6】実施例1に係るテープ印刷装置の印刷処理等の制御処理を示すメインフローチャートである。
【図7】実施例1に係るテープ印刷装置の速度設定D/A出力処理を示すサブフローチャートである。
【図8】実施例1に係るテープ印刷装置のテープ駆動用モータの駆動制御を示すタイミングチャートである。
【図9】実施例2に係るテープ印刷装置の印刷処理等の制御処理を示すメインフローチャートである。
【図10】実施例2に係るテープ印刷装置のテープ駆動用モータの駆動制御を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 テープ印刷装置
2 DCモータ
3 キーボード
13 サーマルヘッド
30 テープ収納カセット
31 表層テープ
49 エンコーダ
49a 回転円板
49b フォトセンサ
61 CPU
61d パルスカウンタ
63 EEPROM
64 ROM
66 RAM
70 ドライバ回路
72 スイッチングトランジスタ
73 電子ガバナ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のテープを搬送するテープ搬送機構と、前記テープ搬送機構を介して搬送されたテープにドットパターンにより文字等の印字を行うサーマルヘッドと、を備えたテープ印刷装置において、
前記テープ搬送機構は、駆動源であるDCモータと、
前記DCモータの回転速度を検出する検出手段と、
前記DCモータの基準回転速度を予め記憶する第1記憶手段と、
前記検出手段によってテープ印字中における定速走行時の回転速度を検出して記憶する第2記憶手段と、
前記DCモータを所定の回転速度で駆動するように制御する第1制御手段と、を備え、
前記第1制御手段は、前記DCモータの駆動開始時に、前記第2記憶手段に記憶される前回印字時の回転速度と前記基準回転速度との速度差に基づいて該DCモータの前回印字時の速度設定値を増減させて新たな速度設定値として設定することを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
初期速度設定値を予め記憶する第3記憶手段を備え、
前記第1制御手段は、前記DCモータの駆動開始時に、前記第2記憶手段に回転速度が記憶されていない場合には、前記初期速度設定値を該DCモータの速度設定値として設定することを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項3】
長尺状のテープを搬送するテープ搬送機構と、前記テープ搬送機構を介して搬送されたテープにドットパターンにより文字等の印字を行うサーマルヘッドと、を備えたテープ印刷装置において、
前記テープ搬送機構は、駆動源であるDCモータと、
前記DCモータの回転速度を検出する検出手段と、
前記DCモータの基準回転速度を予め記憶する第1記憶手段と、
前記検出手段によってテープ印字中における定速走行時の回転速度を所定時間毎に検出して記憶する第4記憶手段と、
前記DCモータを所定の回転速度で駆動するように制御する第2制御手段と、を備え、
前記第2制御手段は、前記DCモータの駆動開始時に、前記第4記憶手段に最後に記憶された回転速度と前記基準回転速度との速度差に基づいて該DCモータの前回印字終了時の速度設定値を増減させて新たな速度設定値として設定すると共に、印字開始後該第4記憶手段に回転速度が記憶される毎に、この記憶された回転速度と前記基準回転速度との速度差に基づいて該DCモータの速度設定値を増減して再設定することを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項4】
初期速度設定値を予め記憶する第5記憶手段を備え、
前記第2制御手段は、前記DCモータの駆動開始時に、前記第4記憶手段に回転速度が記憶されていない場合には、前記初期速度設定値を該DCモータの駆動開始時の速度設定値として設定することを特徴とする請求項3に記載のテープ印刷装置。
【請求項5】
前記DCモータの駆動開始後、定速回転になってから前記サーマルヘッドを介して印字を開始することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のテープ印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−35476(P2006−35476A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215206(P2004−215206)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】