説明

テープ印刷装置

【課題】印刷テープの無駄な消費を抑制しつつ、印刷結果の適否を適切に判定することができるテープ印刷装置を提供する。
【解決手段】入力情報に基づいて、印刷データーを生成するデーター生成手段10と、印刷テープ70を送ると共に、送られてゆく印刷テープ70に印刷データーに基づいて印刷を行う印刷部4と、印刷部4のテープ送り方向下流側に配設され、印刷テープ70に印刷された印刷画像Aを読み取る撮像素子アレイ7と、読み取った印刷画像Aと生成した印刷データーとを比較し、印刷結果Aの適否を判定する判定手段10と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ状印刷媒体に印刷された印刷結果を読み取って、その適否を判定するテープ印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテープ印刷装置として、台紙に複数のラベルを貼ったラベルテープに、品番、バーコード、加工日、価格、重量等を印刷するラベルプリンターが知られている(特許文献1参照)。
このラベルプリンターでは、ラベルテープの幅に応じた印字テストパターンを作成し、この印字テストパターンをラベルテープに印字する。これにより、テープ送り方向に延びる未印字のライン、すなわち印字ヘッドにドット抜けが生じているか否かを目視で検査できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−143763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、従来のラベルプリンターでは、印字テストパターンをラベルテープに印字する分、ラベルテープが無駄に消費される問題があった。また、目視検査であるため、検査結果(判定結果)に個人差が生じ、印刷品質の維持や印刷制御の最適化を図ることができない問題があった。
【0005】
本発明は、テープ状印刷媒体の無駄な消費を抑制しつつ、印刷結果の適否を適切に判定することができるテープ印刷装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープ印刷装置は、入力情報に基づいて、印刷データーを生成するデーター生成手段と、テープ状印刷媒体を送ると共に、送られてゆくテープ状印刷媒体に印刷データーに基づいて印刷を行う印刷手段と、印刷手段の媒体送り方向下流側に配設され、テープ状印刷媒体に印刷された印刷画像を読み取る撮像素子アレイと、読み取った印刷画像と生成した印刷データーとを比較し、印刷結果の適否を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、読み取った印刷画像と生成した印刷データーとを比較し、印刷結果の適否を判定するようにしているため、判定用の印刷を行う必要が無く、且つリアルタイムで適切な判定を行うことができる。また、判定結果を印刷条件等の制御に直接反映させることができる。
【0008】
この場合、テープ状印刷媒体は、カートリッジケースに収容したテープカートリッジの形態で提供され、テープカートリッジが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部と、テープ状印刷媒体の印刷済み部分を切断するテープ切断手段と、を更に備え、撮像素子アレイは、カートリッジ装着部とテープ切断手段との間に配設されていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、テープ状印刷媒体の印刷済み部分を切断する前に、印刷済み部分(印刷結果)の全てを読み取って、その適否を判定することができる。
【0010】
また、印刷手段は、発熱素子アレイで構成されたサーマルヘッドを有し、撮像素子アレイの解像度は、発熱素子アレイの解像度以上であることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、印刷結果を精度良く読み取ることができ、印刷結果の適否を精度良く判定することができる。
【0012】
そして、撮像素子アレイがラインセンサーであることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、撮像素子アレイをコンパクトに構成することができるため、装置内にスペース効率良く配置することができる。
【0014】
一方、判定手段は、印刷データーの属性別に設定した複数の判定基準を有していることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、印刷データーの属性別、例えばテキストデータやコードデータの別で、判定基準を設けることにより、印刷データーの性状にあった判定を行うことができる。
【0016】
また、判定手段による判定結果を報知する報知手段を、更に備えることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、印刷不良等の判定結果をユーザーに知らせることができ、対応を促すことができる。なお、音声および/または画面表示等で報知を行うことが好ましく、画面表示では、印刷不良等の内訳や対応策を併せて表示することが好ましい。
【0018】
さらに、判定手段による判定結果に基づいて、印刷手段によるテープ状印刷媒体の送り速度および印刷濃度の少なくとも一方を制御する制御手段を、更に備えることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、判定結果に応じて、送り速度や印刷濃度をほぼリアルタイムで制御することができるため、安全率を加味した送り速度および印刷濃度に設定しておく必要がなく、印刷条件の最適化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るテープ印刷装置の構造図である。
【図2】印刷テープを表側から見た状態のテープ印刷装置の構造図である。
【図3】印刷テープを裏側から見た状態のテープ印刷装置の構造図である。
【図4】印刷テープの平面図(a)、断面図(b)および裏面図(c)である。
【図5】印刷結果に基づく制御方法のフローチャートである。
【図6】印刷結果に基づく他の制御方法(変形例)のフローチャートである。
【図7】テープ残量情報に基づく制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置およびその制御方法について説明する。このテープ印刷装置は、装着したテープカートリッジから印刷テープ(テープ状印刷媒体)を繰出しながら送り、これに所望の印刷を行うと共にその印刷済み部分を切断して、所望のラベルを得るものである。
【0022】
図1ないし図3は、テープ印刷装置の主要部を模式的に表した構造図であり、これらの図に示すように、テープ印刷装置1は、テープカートリッジ2が着脱自在に装着されるカートリッジ装着部3と、印刷テープ70に熱転写による印刷を行う印刷ヘッド5を有する印刷部(印刷手段)4と、印刷部4のテープ送り方向の下流側に配設され、表側ラインセンサー7および裏側ラインセンサー8を有するセンサーユニット6と、センサーユニット6の下流側に配設されたカッターユニット(テープ切断手段)9と、これら構成装置を統括制御する制御部(制御手段)10と、を備えている。
【0023】
一方、テープカートリッジ2は、印刷テープ70の送出し口22を有するカートリッジケース21に、印刷テープ70、インクリボン23およびプラテンローラー24を収容して、構成されている。印刷テープ70は、テープコア25に巻回され、送出し口22に向かって繰出し可能に構成されている。同様に、インクリボン23は、繰出しコア26に巻回され、印刷ヘッド5の位置を経由して巻取りコア27に巻き取られるようになっている。一方、カートリッジケース21の印刷ヘッド5に対応する位置には、矩形の開口部28が形成されおり、プラテンローラー24は、この開口部28に遊挿された印刷ヘッド5に接触するように配設されている。
【0024】
印刷部4は、サーマルヘッドで構成された印刷ヘッド5を有し、プラテンローラー24との間に印刷テープ70およびインクリボン23を挟持し、印刷テープ70とインクリボン23とを併走させながら熱転写による印刷を行う。印刷ヘッド5は、複数の発熱素子をテープ幅方向に列設した発熱素子アレイを有し、この発熱素子アレイの長さは、印刷可能な最大幅の印刷テープ70の幅に対応している。すなわち、本実施形態の印刷ヘッド5では、発熱素子アレイを構成する複数の発熱素子を、印刷データーに基づいて選択的に発熱駆動し、印刷テープ70の送りと同期させて1ラインずつのドット印刷を行うようになっている。
【0025】
カートリッジ装着部3には、動力源を構成する送りモーター31と、送りモーター31により駆動し、プラテンローラー24および巻取りコア27を回転させるテープ送り機構32と、が内蔵されている。図示では省略したが、テープ送り機構32はギヤ列で構成されており、2つの最終ギヤには、カートリッジ装着部3内に突出するプラテン軸33および巻取り軸34が設けられている。テープカートリッジ2をカートリッジ装着部3に装着すると、プラテンローラー24がプラテン軸33に、また巻取りコア27が巻取り軸34に装着され、印刷テープ70の送りとインクリボン23の送りとが可能(送り待機状態)となる。
【0026】
そして、この状態から、送りモーター31を駆動すると、印刷テープ70とインクリボン23とが印刷ヘッド5の位置で重なって併走する。ここで印刷ヘッド5を駆動することにより、印刷テープ70への印刷が行われる。印刷ヘッド5を通過した印刷テープ(の印刷済み部分)70は、送り経路36に沿って送られ、テープカートリッジ2の送出し口22を経て、排出口35から装置外部に送り出される。一方、インクリボン23は、巻取りコア27に巻き取られる。なお、プラテンローラー24は、テープカートリッジ2ではなく装置側に設けるようにしてもよい。かかる場合には、テープカートリッジ2をカートリッジ装着部3に装着したときに、印刷ヘッド5或いはプラテンローラー24を移動させて、これらの間に印刷テープ70およびインクリボン23を挟持し、送り待機状態とすることが好ましい。
【0027】
カッターユニット9は、駆動源を構成するカッターモーター41と、印刷テープ70を切断するカッター42と、カッターモーター41の動力をカッター42に伝達するカッター作動機構43と、を有している。カッターモーター41が駆動すると、カッター作動機構43を介してカッター42が切断動作し、印刷テープ70を切断する。なお、カッター42は、ハサミ形式のものであってもよいし、押切り形式のものであってもよい。また、カッター(フルカッター)42に加え、ハーフカッターを設けるようにしてもよい。
【0028】
センサーユニット6は、印刷テープ70の送り経路36を挟んで対面する表側ラインセンサー7と裏側ラインセンサー8と、を有している。両ラインセンサー7,8は、カッターユニット9とカートリッジ装着部3との間において、送り経路36(印刷テープ70)を横断するように配設されている。より具体的には、両ラインセンサー7,8は、印刷テープ70の送り方向に直交する方向に延在し、かつカッターユニット9のカッター42と、カートリッジ装着部3に装着したテープカートリッジ2の送出し口22との間の間隙部分に配設されている。
【0029】
また、各ラインセンサー7,8は、印刷ヘッド5に対応する長さを有しており、CCDやCMOS等の撮像素子をテープ幅方向に列設した撮像素子アレイで構成されている。すなわち、各ラインセンサー7,8を構成する撮像素子アレイと、印刷ヘッド5の発熱素子アレイとは、テープ幅方向において同一位置であって、かつ同一長さに形成されている。もっとも、発熱素子アレイに対し撮像素子アレイを長く形成するようにしてもよい。このようにすれば、印刷テープ70のテープ幅を直接読み取ることができ、後述する属性情報Bにおいてテープ幅情報を省略することができる。
【0030】
表側ラインセンサー7は、印刷テープ70の印刷面(表側)70aに対面し、印刷部4による印刷結果Aを読み取るようになっている(図2参照:詳細は後述する)。したがって、表側ラインセンサー7の撮像素子アレイにおける読み取りの解像度は、印刷ヘッド5の発熱素子アレイにおける印刷の解像度に対し、同等か或いは高いものを用いることが好ましい。一方、裏側ラインセンサー8は、印刷テープ70の非印刷面(裏側)70bに対面し、非印刷面70bに記録(印刷)されている印刷テープ70の属性情報Bを読み取るようになっている(図3参照:詳細は後述する)。したがって、裏側ラインセンサー8の撮像素子アレイにおける読み取りの解像度は、属性情報Bにおける印刷の解像度に対し、同等か或いは高いものを用いることが好ましい。
【0031】
制御部10は、CPU51と、ROMおよびRAM等から成る記憶部52と、を有し、記憶部52内の制御情報に基づいて、或いはセンサーユニット6の表側ラインセンサー7および裏側ラインセンサー8の検出結果(読取り結果)に基づいて、印刷ヘッド5、送りモーター31およびカッターモーター41を制御する。また、制御部10には、入力手段を構成するキーボード54と、表示手段を構成するディスプレイ55が接続されている。ユーザーは、キーボード54から所望のデーター入力を行うと共に、入力データーを表示するディスプレイ55を見ながら、編集等を行う。これにより、印刷データーが生成され、キーボード54からの印刷指令により、印刷が実行される。さらに、ディスプレイ55には、制御部10を介して、表側ラインセンサー7および裏側ラインセンサー8の検出結果等が表示されるようになっている(詳細は後述する)。
【0032】
次に、印刷テープ70について説明すると共に、印刷テープ70からセンサーユニット6が読み取った印刷結果Aや属性情報Bに基づいて、制御部10が実施する制御方法について説明する。
図4の印刷テープの構造図に示すように、印刷テープ70は、裏面に粘着剤層72を有する記録テープ71と、記録テープ71が貼着された剥離テープ73とで構成されている。記録テープ71の表面は印刷面70aを構成し、印刷ヘッド5により印刷が行われる。すなわち、印刷テープ70の印刷面70aには、上記のように印刷データーに基づいて、印刷ヘッド5による発熱素子アレイの選択的駆動と、プラテンローラー24による印刷テープ70の送りとにより、1ラインずつのドット印刷が行われる。これにより、例えば文字、図形、記号等のキャラクター画像や、バーコード、QRコード等の2次元コードのコード画像が印刷される。そして、表側ラインセンサー7は、これらキャラクター画像やコード画像等の印刷結果A(図2参照)を先頭から1ラインずつ読み取る。
【0033】
一方、剥離テープ73の裏面である非印刷面70bには、印刷テープ70の属性情報Bが記録(実施形態のものは印刷)されている。すなわち、印刷テープ70の非印刷面70bには、印刷テープ70自身のテープ種別情報B1およびテープ残量情報B2が印刷されている。本実施形態の印刷テープ70では、図示の上側半部にテープ残量情報B2が、下側半部にテープ種別情報B1が印刷されている。テープ残量情報B2は、印刷テープ70の長さ方向に平行な複数行の仮想線において、例えば10cm単位で変更した、太線の数とその位置によるビット情報として印刷されている。
【0034】
すなわち、テープ残量情報B2は、印刷テープ70の長さ方向の任意の位置において読み取り可能な、バーコードのコード画像として印刷されている。したがって、裏側ラインセンサー8は、印刷テープ70の長さ方向の任意の位置において、そのテープ残量(残り長さ)を10cm単位で読み取ることができるようになっている。なお、テープ残量が10cmとなったところで、テープ残量情報B2は、テープエンド情報の位置づけとなる(詳細は後述する)。なお、テープ残量情報B2は、10cm単位に限定されるものでなく、この数値は任意である。
【0035】
テープ種別情報B1には、例えばテープ幅情報、テープ色情報、テープ材質情報の他、真正品情報等が挙げられる。実施形態のものは、テープ幅情報を印刷しているが、印刷テープ70のテープ幅と裏側ラインセンサー8の解像度が許す限りにおいて、複数のテープ種別情報B1を印刷することが好ましい。テープ種別情報B1は、印刷テープ70の長さ方向に平行な複数行の仮想線において、太線の数とその位置によるビット情報として印刷されている。すなわち、テープ種別情報B1も、印刷テープ70の長さ方向の任意の位置において読み取り可能な、バーコードのコード画像として印刷されている。したがって、裏側ラインセンサー8は、印刷テープ70の長さ方向の任意の位置において、そのテープ幅を読み取ることができる。なお、テープ種別情報B1が、真正品情報である場合には、いわゆる透明印刷とすることが好ましい。かかる場合には、裏側ラインセンサー8の近傍に透明印刷を可視化する紫外線ランプ等を設けるようにする。
【0036】
次に、図1、図2および図5のフローチャートを参照して、表側ラインセンサー7による印刷結果Aの読み取りと、読み取った印刷結果Aに基づいて制御部10が実施する制御方法について説明する。
上述のように、印刷テープ70には、文字、図形、記号等のキャラクター画像や、バーコード等の2次元コードのコード画像が印刷される。すなわち、作成した印刷データーに基づいて印刷が行われ(S11)、この印刷された画像(印刷結果A)は、順次、表側ラインセンサー7に送られ1ラインずつ読み取られる(S12)。ここで、制御部10では、印刷データーと印刷結果Aとが1ラインずつ比較され、ドット抜けが生じているか否かが検査される(S13)。
【0037】
記憶部52(RAM)には、キャラクター画像(通常印刷)とコード画像(コード印刷)とで判定基準の異なる判定テーブルが用意されており、例えばキャラクター画像(通常印刷)では、10%のドット抜けを閾値として判定を行い(S14)、閾値を越えてドット抜けが生じている場合(S14:否)には、その旨、ディスプレイ55に表示する(S15)。同様に、コード画像(コード印刷)では、0%のドット抜けを閾値として判定を行い(S14)、閾値を越えてドット抜けが生じている場合(S14:否)には、その旨、ディスプレイ55に表示する(S15)。なお、これらの表示と併せて、ヘッドクリーニングや再印刷等の対応策を表示するようにしてもよい。
【0038】
このようにして、印刷データーと印刷結果Aとが1ラインずつ比較されてゆくが、閾値を越えてドット抜けが生じている場合(S14:否)に、続いて数ラインに亘って同一位置(同一発熱素子)にドット抜けが生じているか否かが判定される(S16)。そして、数ラインに亘ってドット抜けが生じている場合(S16:有)には、同様にその旨および対応策をディスプレイ55に表示する(S17)。
【0039】
なお、上記の制御フローでは、ドット抜け「無」を含む閾値を越えない範囲でドット拭けが生じた場合(S14:適)に、連続ドット抜け(S16)の判定を行わない制御となっている。しかし、設定した閾値によっては、連続ドット抜けの可能性を否定できない。そこで、閾値を越えない範囲でドット拭けが生じた場合(S14:適)にも、連続ドット抜け(S16)の判定を行う制御としてもよい(図6参照)。
一方、この判定結果を利用し、印刷スピードを上げ、或いは印刷ヘッド5の駆動電圧を下げ、印刷駆動の効率化を図ることも可能である。例えば、キャラクター画像(通常印刷)の判定において、閾値を越えない範囲で、印刷スピードを段階的に上げ、或いは印刷ヘッド5の駆動電圧を段階的に下げるようにする。
【0040】
このように、表側ラインセンサー7により印刷結果Aを読み取って、その読取り結果と印刷データーとを比較し、ドット抜けの有無やドット抜けの程度を判定するようにしているため、検査専用(判定用)の印刷を行う必要が無く、且つリアルタイムで適切な判定を行うことができる。また、判定結果を印刷条件等の制御に直接反映させることができる。特に、バーコード、QRコード等の2次元コードの印刷においては、印刷結果の品質を保証することができる。また、印刷スピード等を積極的に制御することで、印刷の効率化や印刷条件の最適化を図ることができる。さらに、印刷部4の故障、インクリボン23の不具合、印刷テープ70のジャミング等も検出(判定)することができる。
【0041】
次に、図1、図3および図7のフローチャートを参照して、裏側ラインセンサー8による属性情報Bの読み取りと、読み取った属性情報Bに基づいて制御部10が実施する制御方法について説明する。
この場合、表側ラインセンサー7と異なり裏側ラインセンサー8は、テープカートリッジ2の装着時および印刷時のいずれにおいても、属性情報Bであるテープ種別情報B1およびテープ残量情報B2を読み取る(電源ONが前提)。すなわち、テープカートリッジ2の送出し口22には、前回の切断の際に残った印刷テープ70の先端部が突出しており、テープカートリッジ2をカートリッジ装着部3に装着すると、この先端部が裏側ラインセンサー8(および表側ラインセンサー7)に対峙する。ここで、電源をONすると、裏側ラインセンサー8は瞬時に属性情報Bを読み取ることができる。
【0042】
電源をONし(S21)、裏側ラインセンサー8がテープ残量情報B2を読み取ると(S22)、制御部10は、そのテープ残量値をディスプレイ55に表示する(S23)。裏側ラインセンサー8は、印刷が開始されてもテープ残量情報B2の読み取りを続行し、リアルタイムでテープ残量値の表示を続ける。また、上述のように、テープ残量が10cmとなったところで、テープ残量情報B2はテープエンド情報の位置づけとなるため、テープエンド情報を監視する(S24)。そして、テープ残量10cmを読み取った(検出した)ところで(S24:YES)、テープ残量値に代えて、或いはこれに加えてテープエンドである旨、およびテープ交換が必要である旨、ディスプレイ55に表示する(S25)。その後、印刷部4の駆動を禁止する(S26)。
【0043】
これにより、ユーザーは、電源投入時点から印刷テープ70の残り長さを常に把握することができ、印刷テープ70の残り長さを把握しながら、入力データーの編集やラベルの作成を行うことができる。また、ラベルの作成途中にテープエンドとなってしまうのを、有効に防止することができる。なお、テープ残量に関わらず、次に作成されるラベルの長さとテープ残量とを比較し、テープ残量の方が少ない場合に、テープエンドを表示するようにしてもよい。
【0044】
同様、裏側ラインセンサー8がテープ幅情報(テープ種別情報B1)を読み取ると、制御部10は、ディスプレイ55上にテープ幅を表示すると共に、印刷書式をテープ幅に合わせたものにする。そして、テープ幅に合わせて印刷ヘッド5による印刷幅を設定し、印刷を実施する。
なお、テープ種別情報B1がテープ材質情報である場合には、記憶部52(RAM)内の制御テーブルに従って、印刷ヘッド5の駆動電圧、すなわち印刷濃度を制御して印刷を実行することが好ましい。
また、テープ種別情報B1が真正品情報である場合には、これが正しく読み取れないときにのみ、印刷部4の駆動を禁止することが好ましい。
【0045】
このように、裏側ラインセンサー8が読み取ったテープ種別情報B1により、印刷ヘッド5による印刷幅や印刷ヘッド5の駆動電圧の制御をリアルタイムで行うことができ、印刷の最適化を図ることができる。すなわち、印刷品質を適正に維持することができる。また、真正品情報により、印刷テープ70や印刷インクの耐久性を保証することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、記録テープ71と剥離テープ73とから成る印刷テープ70について説明したが、本発明は、単層、複層の積層構造を問わず(粘着剤の有無も問わない)、印刷面と非印刷面が存在する印刷用の各種テープに適用可能である。また、本実施形態では、テープ印刷装置としていわゆるサーマルプリンターについて説明したが、本発明は、インクジェットプリンタ等の各種のテープにも適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 テープ印刷装置、2 テープカートリッジ、3 カートリッジ装着部、4 印刷部、6 センサーユニット、7 表側ラインセンサー、8 裏側ラインセンサー、9 カッターユニット、10 制御部、21 カートリッジケース、22送出し口、24 プラテンローラー、31 送りモーター、36 送り経路 41 カッターモーター、42 カッター、51 CPU、52 記憶部、54 キーボード、55 ディスプレイ、70 印刷テープ、70a 印刷面、70b 非印刷面、A 印刷結果、B 属性情報、B1 テープ種別情報、B2 テープ残量情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力情報に基づいて、印刷データーを生成するデーター生成手段と、
テープ状印刷媒体を送ると共に、送られてゆく前記テープ状印刷媒体に前記印刷データーに基づいて印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段の媒体送り方向下流側に配設され、前記テープ状印刷媒体に印刷された印刷画像を読み取る撮像素子アレイと、
読み取った前記印刷画像と生成した前記印刷データーとを比較し、印刷結果の適否を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
前記テープ状印刷媒体は、カートリッジケースに収容したテープカートリッジの形態で提供され、
前記テープカートリッジが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部と、
前記テープ状印刷媒体の印刷済み部分を切断するテープ切断手段と、を更に備え、
前記撮像素子アレイは、前記カートリッジ装着部と前記テープ切断手段との間に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項3】
前記印刷手段は、発熱素子アレイで構成されたサーマルヘッドを有し、
前記撮像素子アレイの解像度は、前記発熱素子アレイの解像度以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のテープ印刷装置。
【請求項4】
前記撮像素子アレイがラインセンサーであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のテープ印刷装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記印刷データーの属性別に設定した複数の判定基準を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のテープ印刷装置。
【請求項6】
前記判定手段による判定結果を報知する報知手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のテープ印刷装置。
【請求項7】
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記印刷手段による前記テープ状印刷媒体の送り速度および印刷濃度の少なくとも一方を制御する制御手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のテープ印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−52656(P2013−52656A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194098(P2011−194098)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】