説明

ディクテーションサーバ、及びディクテーション端末

【課題】常にオンライン接続しなくても学習が継続可能なディクテーションサーバ、及びディクテーション端末を提供すること。
【解決手段】ネットワーク(30)を介して端末(20)と接続されたディクテーションサーバ(10)は、語学教材である音声データ(例えば、MP3ファイル)と、前記音声データに関連付けられた解答データ(例えば、音声内容をテキストにしたテキストファイル及び記号や略号などを定義したテキストファイル)とを記憶する記憶手段(101)と、前記端末から前記語学教材に関する要求データを受信したことに応じて、前記記憶手段に記憶された前記音声データ及び前記解答データを送信する送信制御手段(103)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習教材としての音声ファイル、テキストファイル提供のオンラインネットワークに係り、特に学習者は、端末でこの学習教材をダウンロードすることで学習でき、また、学習結果をアップロードできるディクテーションサーバ、及びディクテーション端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、語学学習に於いて、インターネットやローカルネットを使用したネットワーク語学学習システムが用いられている。ネットワーク語学学習システムでは、学習提供者側は、常に新しい教材を準備・更新する。一方、学習者側は、ネットワークブラウザや小規模なソフトウェアを起動し、該ネットワークに接続しさえすれば、複雑なソフトウェアや大量の学習教材を学習者自身の端末に準備しなくても学習ができる上に、学習提供者によって、常に新しい学習教材が提供されることになる。
【0003】
このようなネットワーク語学学習システムは、学習提供者側から見れば常に新しい教材が提供できるばかりではなく、新しい学習法を提供したり、試験を提供したりすることもできる。
【0004】
ネットワーク語学学習システムの例として、学習提供者側は、Web上のサーバからストリーミング技術によって学習者端末に音声再生させたり、学習者は学習の答えを都度ネットワークにアップロードし、サーバ側でその答えを正誤判断したりするなど、常時オンラインの状態での応答学習形態が一般的である。例えば、会費が納入済であることを照合後、サーバが会員端末にディクテーション用音声データを送信し、会員は再生音声を聴取し、それをキーボードから入力すると共にサーバに送信することで、サーバで正解テキストと照合する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−290413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような方法は、常にオンラインである必要があるため、学習途中で学習提供者や学習者の意図と無関係にネットワークが支障をきたした場合は、学習が継続できなくなる。また、上述のネットワーク語学学習システムは、例えば、ストリーミング技術を用いた場合において、常にオンラインである必要があるため、ネットワーク上で一部でも帯域が小さくなっていたり、ベストエフォート型帯域サービスの場合は回線の輻輳によって、学習提供のサーバと学習者端末の間の相互通信応答が不安定になったり、学習効率を落とす原因になる。
【0006】
また、口述筆記(ディクテーション)式の学習は語学学習において、特にヒアリング能力の向上を重視するにもかかわらず、学習の正誤判定が厳しく、そのことが学習者の学習意欲と継続性の低下の原因になっていた。
【0007】
本発明は、常にオンライン接続しなくても学習が継続可能なディクテーションサーバ、及びディクテーション端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
(1) ネットワーク(30)を介して端末(20)と接続されたディクテーションサーバ(10)であって、
語学教材である音声データ(例えば、MP3ファイル)と、前記音声データに関連付けられた解答データ(例えば、音声内容をテキストにしたテキストファイル及び記号や略号などを定義したテキストファイル)とを記憶する記憶手段(101)と、
前記端末から前記語学教材に関する要求データを受信したことに応じて、前記記憶手段に記憶された前記音声データ及び前記解答データを送信する送信制御手段(103)と、を備えることを特徴とするディクテーションサーバ。
【0010】
(1)本発明のこのような構成によれば、ディクテーションサーバは、語学教材である音声データと、音声データに関連付けられた解答データとを記憶し、端末から語学教材に関する要求データを受信したことに応じて、記憶された音声データ及び解答データを送信する。
【0011】
(1)このことにより、音声データ及び音声データに関連付けられた解答データを端末に送信することができる。そして、端末は、ネットワークを用いた学習システムでありながら、主な学習や答え合わせの際に、常時ディクテーションサーバとオンライン接続されていなくても学習者が学習を進められる。従って、ネットワークの帯域の狭さや、それによる遅延やタイミングのずれにわずらわせられることなく、学習者が学習を進めることができる。また、学習提供者は、学習教材として複雑な設定をする必要がなく、例えば、音声のMP3ファイルとテキストファイルとを最低限準備すれば、ディクテーションサーバを用いて学習提供ができる。よって、学習提供者の学習教材の財産を非常に簡便になおかつ有効に活用できる。
【0012】
(2) (1)に記載のディクテーションサーバ(10)において、
前記解答データは、一の前記音声データに対して複数種類の正解の解答を有することを特徴とするディクテーションサーバ。
【0013】
(2)本発明のこのような構成によれば、解答データは、一の音声データに対して複数種類の正解の解答を有する。
【0014】
(2)このことにより、音声データに対する解答を複数有することができるので、音声データにテキスト化したテキストデータと相違があっても、例えば、大文字・小文字の違いは許容し正解とする、略語、数字記述、記号記述は許容し正解とする、といった柔軟な答え合わせをすることができる。
【0015】
(3) (1)又は(2)に記載のディクテーションサーバ(10)において、
前記記憶手段(101)は、前記端末から受信した学習の結果データを、前記端末の使用者を示すユーザIDごとに累積して記憶し、
前記送信制御手段(103)は、前記端末(20)から前記ユーザIDと共に成績に関する要求データを受信したことに応じて、前記ユーザIDに関連付けられて前記記憶手段に記憶された前記結果データに基づき作成された学習成績データを送信することを特徴とするディクテーションサーバ。
【0016】
(3)本発明のこのような構成によれば、ディクテーションサーバは、端末から受信した学習の結果データを、端末の使用者を示すユーザIDごとに累積して記憶し、端末からユーザIDと共に成績に関する要求データを受信したことに応じて、ユーザIDに関連付けられて記憶された結果データに基づき作成された学習成績データを送信する。
【0017】
(3)このことにより、学習の結果データを、ディクテーションサーバにユーザIDごとに記憶することができ、ディクテーションサーバは、学習の結果データに基づき学習成績データ作成することができる。また、学習成績データを、ネットワークに接続している端末から、例えば、特定のURLへのアクセスで端末のWebブラウザ上に表示させる。よって、学習者は、学習成績を容易に閲覧できる。
【0018】
(4) ネットワーク(30)を介してサーバ(10)と接続されたディクテーション端末(20)であって、
前記サーバに記憶された語学教材である音声データ(例えば、MP3ファイル)と、前記音声データに関連付けられた解答データ(例えば、音声内容をテキストにしたテキストファイル及び記号や略号などを定義したテキストファイル)とを受信する受信制御手段(202)と、
前記受信制御手段により受信した前記音声データ及び前記解答データを関連付けて記憶する記憶手段(201)と、
キーボードを有する操作部(例えば、マウス25やキーボード26)から前記音声データの再生開始入力を受け付けたことに応じて、前記記憶手段に記憶された前記音声データを出力する第1出力制御手段(205)と、
前記操作部により入力された入力データと、前記第1出力制御手段により出力された前記音声データに関連付けて記憶された前記解答データとを照合する照合手段(204)と、
前記照合手段により照合された結果データを出力する第2出力制御手段(206)と、を備えることを特徴とするディクテーション端末。
【0019】
(4)本発明のこのような構成によれば、ディクテーション端末は、サーバに記憶された語学教材である音声データと、音声データに関連付けられた解答データとを受信し、受信した音声データ及び解答データを関連付けて記憶し、キーボードを有する操作部から音声データの再生開始入力を受け付けたことに応じて、記憶された音声データを出力し、操作部により入力された入力データと、出力された音声データに関連付けて記憶された解答データとを照合し、照合された結果データを出力する。
【0020】
(4)このことにより、ディクテーション端末は、サーバから受信した音声データと、音声データに関連付けられた解答データとを用いて、音声データを再生し、入力された入力データと音声データに関連付けられた解答データとを照合する、いわゆるディクテーションに関する学習を行うことができる。ディクテーション端末は、サーバから音声データ及び解答データを受信することにより、その後、サーバとオンライン接続されていなくても、学習者は学習を進めることができる。
【0021】
(5) (4)に記載のディクテーション端末(20)において、
前記音声データの一時停止、巻き戻し、及び早送りに関する各々の操作を、前記操作部(例えば、キーボード26)の各々の所定のキーと関連付ける操作環境設定手段(207)を備えることを特徴とするディクテーション端末。
【0022】
(5)本発明のこのような構成によれば、ディクテーション端末は、音声データの一時停止、巻き戻し、及び早送りに関する各々の操作を、操作部の各々の所定のキーと関連付ける。
【0023】
(5)このことにより、音声データの一時停止、巻き戻し、及び早送りに関する各々の操作を、キーボードの所定のキーと関連付けるので、学習にとって頻繁に行わなければいけない操作を、キーボード上の指を他へ移すことなく実施できる。よって、学習者にとって、効率上非常に便利な機能を提供することができる。
【0024】
(6) (4)又は(5)に記載のディクテーション端末(20)において、
前記記憶手段(201)は、前記照合手段(204)により照合された前記結果データを記憶し、
所定のタイミングで前記記憶手段に記憶された前記結果データを学習の結果データとして、前記ディクテーション端末の使用者を示すユーザIDと共に前記サーバ(10)に送信する送信制御手段(203)を備えることを特徴とするディクテーション端末。
【0025】
(6)本発明のこのような構成によれば、ディクテーション端末は、照合された結果データを記憶し、所定のタイミングで記憶された結果データを学習の結果データとして、ディクテーション端末の使用者を示すユーザIDと共にサーバに送信する。
【0026】
(6)このことにより、ディクテーション端末は、サーバにユーザIDごとに学習の結果データを記憶することができるので、学習の結果データをサーバで管理することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ディクテーションサーバは、語学教材である音声データと、音声データに関連付けられた解答データとを端末に送信するので、端末は、都度ディクテーションサーバと送信することなく学習を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、本実施形態の一例に係るディクテーションシステム1の全体構成を示す図である。
【0030】
ディクテーションシステム1は、図1で示すようにディクテーションサーバ10(以下、サーバ10という)、及びディクテーション端末20(以下、端末20という)が、通信ネットワーク30を介して接続されたものである。サーバ10は、HTTP(HyperText Transfer Protocol)12、及びFTP(File Transfer Protocol)14の各プロトコル、並びにサーバ環境を成立させるためサーバ環境ソフトウェア16を有する。また、端末20は、語学学習のための語学学習ソフトウェア22の中にアプリケーション24を有している。通信ネットワーク30は、例えば、TCP/IPを用いた通信を行う。
【0031】
サーバ10は、例えば、Webサーバであり、学習者(ユーザ)の端末20からのアクセス用のHTML(HyperText Markup Language)及びスクリプトで記述されたアプリケーションを有する。HTTP12は、端末20からのアクセスを受け付け、サーバ10の管理者の作業環境と、学習者の自己情報管理、及び成績閲覧の為のインターフェイスを提供する。
【0032】
学習者は、端末20からWebブラウザを使用してHTMLインターフェイスに接続し、あらかじめ管理者に登録されたアカウント(ユーザID)を使ってログインし、登録情報の編集並びに成績閲覧表示をすることができる。
【0033】
学習者は、サーバ10にIP接続できる端末20上で、語学学習ソフトウェア22を起動する。その際、語学学習ソフトウェア22は、学習者のアカウントの入力を求めると共に、あらかじめサーバ10に登録されている学習者情報を、FTP14によりダウンロードしてきたうえで、学習者が入力したアカウント情報と、FTP14によりダウンロードした学習者情報とを照合する。
【0034】
照合の結果、照合が一致した場合にのみ、学習者の端末20にて語学学習ソフトウェア22から、アプリケーション24を起動する。照合が不一致の場合は、アプリケーション24は起動されない。
【0035】
学習者は、多くの教材をインストールすることなく、例えば、語学学習ソフトウェア22のような簡単なアプリケーションソフトのみを端末20にインストールするだけで、豊富な教材を通信ネットワーク30から無限に取得することができる。また、通信ネットワーク30に接続できる端末20にアプリケーション24のような簡単なアプリケーションソフトをインストールしさえすれば、学習する端末20は特定の端末である必要はなく、またいつでも好きな時間に好きなだけ教材を取得して学習ができる。
【0036】
また、学習者が入力したアカウント情報と、FTP14によりダウンロードした学習者情報とを照合することにより、アプリケーション24を起動するか否かを判断するため、学習提供者は学習者を簡便に管理できる。
【0037】
学習者は、アプリケーション24が実行されることにより表示された画面中の操作ボタン(後述する図3参照)を、例えば、マウス25でクリックしたり、キーボード26で選択したりすることで学習の準備及び補助を行う。
【0038】
次に、サーバ10及び端末20の処理について説明する。図2は、本実施形態の一例に係るサーバ10及び端末20の機能ブロックを示す図である。また、図3は、本実施形態の一例に係る端末20の画面表示例を示す図である。
【0039】
学習者は、操作画面40(図3(a))中の操作ボタンのうち教材ダウンロードボタン41を、マウス25を使って押下することによって、教材一覧の中から教材をダウンロードするダウンロード画面410を開き、教材一覧の中から任意の教材をマウス25で選択し、ダウンロードボタン411を押下する(図3(b))。
【0040】
教材一覧は、アプリケーション24が実行されることにより、サーバ10にアクセスし、FTP14を介して取得したものである。そして、アプリケーション24により、サーバ10にIP接続し、学習者により選択された教材を、学習者の端末20の特定のフォルダにダウンロードする。すなわち、サーバ10の受信制御手段102は、端末20から選択された教材に関する要求データを受信する。そして、サーバ10の送信制御手段103は、記憶手段101に記憶された教材を端末20に送信する。端末20の受信制御手段202は、教材をサーバ10から受信し、記憶手段201に記憶する(図2参照)。
【0041】
上述の操作でダウンロードされた教材には、語学音声のMP3ファイル(音声データ)と、解答データとして音声内容をテキストにしたテキストファイル、及び記号や略号などを定義したテキストファイルとが含まれているが、アプリケーション24は、ダウンロード後これらの内容を即座に取り込む。音声ファイルのファイル形式であるMP3は、他の音声形式に比して高品質かつサイズも小さくできるということで、一般的に広く利用されている。
【0042】
学習者は、アプリケーション24の音声操作機能を操作しつつ、音声の内容をそのまま図3(c)の学習画面50上にテキスト入力することを行っていく。すなわち、端末20の第1出力制御手段205は、マウス25などの操作部から操作を受け付け、記憶手段201に記憶された音声データを出力する(図2参照)。
【0043】
また、学習者は、アプリケーション24の音声操作機能を操作しつつ、音声の内容をそのまま学習画面50上にテキスト入力することを行っていくが、音声の再生、停止、一時停止は、巻き戻し、早送り、音声の先頭出しは、操作画面40(図3(a)参照)中の各々の機能に対応した操作ボタンをマウス25による操作でクリックすることでできる。
【0044】
さらに、学習者は、アプリケーション24の音声操作機能を操作しつつ、音声の内容をそのまま学習画面50上にテキスト入力することを行っていくが、学習中の音声の一時停止、巻き戻し、早送りは、あらかじめ設定されたキーボード26による操作ですることでできる。この設定は、学習者により変更することができる。すなわち、操作環境設定手段207は、音声データの一時停止、巻き戻し、及び早送りに関する各々の操作を、キーボード26の所定のキーと関連付ける(図2参照)。
【0045】
学習において、音声内容を画面上にタイピングしていくという学習形式であるために、学習中は、学習者の指がマウス25や他の機器ではなく、常に端末20のキーボード26上に置かれている。そのため、音声の一時停止、巻き戻し、早送りといった学習にとって頻繁に行わなければいけない操作は、キーボード26上の指を他へ移すことなく実施でき、これは学習効率上非常に便利であり、かつ学習を妨げない利点を有する。
【0046】
さらにまた、学習者は、アプリケーション24の音声操作機能を操作しつつ、音声の内容をそのまま学習画面50上にテキスト入力することを行っていくが、全画面クリア、フォントの変更、音声の巻き戻し時間の変更、音声の早送り時間の変更、音声の位置停止のキー、音声の早送りのキー、音声の巻き戻しのキーなどの設定は、操作画面40(図3(a)参照)中の操作ボタンをマウス25で操作することでできる。
【0047】
また、学習者は、アプリケーション24により表示される設定画面(図示せず)で特定したボタンを、マウス25の操作で押下することにより、学習画面50上に穴埋め問題を得ることができる。穴埋め問題は、ダウンロードされた教材のセットに含まれる音声内容をテキスト化した音声テキストファイルを元に、アプリケーション24が自動生成して学習画面50上に表示する。
【0048】
学習者は、アプリケーション24が自動生成した穴埋め問題は、音声テキストファイルを元に、ランダムにN個の単語を下線付きスペースに変換したものである。左記Nの数については音声テキストの全単語数×穴埋め問題割合の値である。
【0049】
上述の穴埋め問題割合は、学習者がいくつかの選択肢の中から設定できる。この設定の操作は、アプリケーション24上の特定のボタンをマウス25の操作で押下することでできる。
【0050】
アプリケーション24のタイピングを行う学習画面50は、通常のテキストエディタ同様に学習者がキーボード26によりキー入力した文字を表示する。
【0051】
アプリケーション24の学習画面50は、通常のテキストエディタ同様に学習者がキー入力した文字を表示するが、特定のキー操作で、下線付きの単語又は下線付きのスペースにカーソルを自動ジャンプさせることができる。
【0052】
アプリケーション24の学習画面50上で下線付きの単語又は下線付きのスペースにカーソルを自動ジャンプさせることができるキーは、いくつかの選択肢の中から学習者が設定できる。
【0053】
アプリケーション24の学習画面50上での口述筆記タイピングの学習結果は、アプリケーション24により表示される操作画面40(図3(a)参照)上の特定のボタンをマウス25の操作で押下することで、学習した後即座に答え合わせをすることができる。
【0054】
上述の答え合わせは、学習画面50上に入力された全テキストと、上述のダウンロード教材に含まれる音声テキストとの比較を、アプリケーション24が内部的に行うことで実現する。すなわち、端末20の照合手段204が、学習画面50に表示された学習者がキー入力した文字(入力データ)と、音声テキスト(解答データ)とを照合する(図2参照)。
【0055】
上述の答え合わせのロジックについては、ダウンロード教材に含まれる音声テキストと学習者がタイピング入力したテキストとの比較を行うことで実現する。しかし、正解データとして、音声内容をテキスト化したテキストファイルの他に、記号や略号などを定義したテキストファイルを有することで、音声テキストと相違があっても大文字・小文字の違いは許容し正解とする、略語、数字記述、記号記述は許容し正解とする、といった柔軟な答え合わせをすることができる。
【0056】
柔軟な答え合わせは、ダウンロード教材に含まれる音声テキストと学習者がタイピング入力したテキストとを比較しつつ、略語登録テキストも参照することで実現している。すなわち、端末20の照合手段204が、学習画面50に表示された学習者がキー入力した文字(入力データ)と、音声テキスト(解答データ)とを照合することで実現する(図2参照)。
【0057】
略語登録テキストは学習者端末に存在し学習者自体が略語、記号、数値を登録することができる。また上述のダウンロード教材に含まれる記号や略号などを定義したテキストファイルも、ダウンロード時に略語登録テキストに反映させることができる。
【0058】
上述のダウンロード教材に含まれる記号や略号などを定義したテキストファイルは学習提供者側の意向により、教材のセットに含めることもできるし、省略することもできる。
【0059】
上述した柔軟な答え合わせのポリシーは、本発明は学習者の外国語の音声聞き取りの学習を主目的とした語学学習システムであり、正確に聞き取った音声の表現形式に厳密にする必要はないとするものである理由による。
【0060】
答え合わせした結果は、即学習の学習画面50に表示される。すなわち、第2出力制御手段206は、照合された結果データを学習画面50に表示する(図2参照)。
【0061】
答え合わせ結果の表示の仕方については、正解、許容による正解、スペルミス、聞き取り抜け、聞き取り余分によって色を変えて表示される。またアプリケーション24上の特定のボタンをマウス25の操作で押下することで学習画面50上に正解単語一覧が表示される。
【0062】
アプリケーション24は、答え合わせを実行することで、タイピング入力の音声ファイルに対するスピードと答え合わせ結果とを反映して100点を満点にした得点を付与する。スペルミス、単語聞き取り抜け、聞き取り余分の失点の重みを変更することもできる。
【0063】
アプリケーション24は、答え合わせを実行することで計算した得点を、学習者が操作画面40上のアップロードボタン42をマウス25で押下することで、FTP14によりサーバ10にアップロードすることができる。このアップロードするタイミングは、例えば、単位あたりの学習が終了した時点であってもよいし、学習者による操作タイミングであってもよい。端末20の送信制御手段203は、結果データをサーバ10に送信する(図2参照)。なお、結果データとして、この例では得点を送信するが、正誤を含めた照合結果のデータを送信してもよい。また、学習者のユーザIDと共に送信することで、サーバ10の受信制御手段102は、結果データを受信し、記憶手段101は、学習者ごとに結果データを記憶することができる(図2参照)。
【0064】
学習の終了後、学習者の操作により、アプリケーション24が終了されると、語学学習ソフトウェア22も終了される。その際、サーバ10から端末20にダウンロードされた教材(音声データ及び正解データ)は、端末20の記憶手段201から削除される。また、端末20において、連続して複数の学習をすることができる。その場合は、新たな教材をダウンロードすることにより、端末20に格納された既に学習済の教材上に新たな教材を上書きする。
【0065】
上述の仕組みにより、学習提供者側でサーバ10に登録した教材の不正なコピー流出を防ぐことができる。また、端末20で使用される記憶容量の消費を防ぐことができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【0067】
本発明では、サーバにより、学習結果の閲覧、学習教材提供及び成績の提出を行うことができるが、語学学習自体はサーバと必ずしもオンラインである必要はない。
【0068】
その場合、学習提供者は、サーバにアクセスし、特別なアカウント権限で登録学習者の管理すなわち新規登録、ユーザ名変更、パスワード変更、成績閲覧をすることができる。
【0069】
本発明では、学習提供者は、サーバ10の教材ダウンロード用のフォルダに、FTP14を介して直接アクセスして教材の提供の設定をすることができるが、このとき、教材ごとにフォルダに学習者にわかりやすい命名をすることができる。その結果、学習者が教材をダウンロードする際の教材選択の目安となる。また、教材提供者が教材のフォルダにつけた名前が、学習者側の端末20上のアプリケーション24上で示されるダウンロード教材一覧にそのまま反映される。
【0070】
本発明では、学習提供者が準備する教材は、音声のMP3ファイル、音声の内容をテキストにしたテキストファイル、略語・数値の許容を示すテキストファイルを1セットにして、教材ごとのフォルダに全く同じ名前で保存することができる。その結果、教材はフォルダ名で区別することができる。また、略語・数値の許容テキストファイルは省略可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態の一例に係るディクテーションシステムの全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態の一例に係るサーバ及び端末の機能ブロックを示す図である。
【図3】本実施形態の一例に係る端末の画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 ディクテーションシステム
10 ディクテーションサーバ
12 HTTP
14 FTP
20 ディクテーション端末
22 語学学習ソフトウェア
24 アプリケーション
25 マウス
26 キーボード
40 操作画面
50 学習画面
101 記憶手段
102 受信制御手段
103 送信制御手段
201 記憶手段
202 受信制御手段
203 送信制御手段
204 照合手段
205 第1出力制御手段
206 第2出力制御手段
207 操作環境設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して端末と接続されたディクテーションサーバであって、
語学教材である音声データと、前記音声データに関連付けられた解答データとを記憶する記憶手段と、
前記端末から前記語学教材に関する要求データを受信したことに応じて、前記記憶手段に記憶された前記音声データ及び前記解答データを送信する送信制御手段と、を備えることを特徴とするディクテーションサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のディクテーションサーバにおいて、
前記解答データは、一の前記音声データに対して複数種類の正解の解答を有することを特徴とするディクテーションサーバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のディクテーションサーバにおいて、
前記記憶手段は、前記端末から受信した学習の結果データを、前記端末の使用者を示すユーザIDごとに累積して記憶し、
前記送信制御手段は、前記端末から前記ユーザIDと共に成績に関する要求データを受信したことに応じて、前記ユーザIDに関連付けられて前記記憶手段に記憶された前記結果データに基づき作成された学習成績データを送信することを特徴とするディクテーションサーバ。
【請求項4】
ネットワークを介してサーバと接続されたディクテーション端末であって、
前記サーバに記憶された語学教材である音声データと、前記音声データに関連付けられた解答データとを受信する受信制御手段と、
前記受信制御手段により受信した前記音声データ及び前記解答データを関連付けて記憶する記憶手段と、
キーボードを有する操作部から前記音声データの再生開始入力を受け付けたことに応じて、前記記憶手段に記憶された前記音声データを出力する第1出力制御手段と、
前記操作部により入力された入力データと、前記第1出力制御手段により出力された前記音声データに関連付けて記憶された前記解答データとを照合する照合手段と、
前記照合手段により照合された結果データを出力する第2出力制御手段と、を備えることを特徴とするディクテーション端末。
【請求項5】
請求項4に記載のディクテーション端末において、
前記音声データの一時停止、巻き戻し、及び早送りに関する各々の操作を、前記操作部の各々の所定のキーと関連付ける操作環境設定手段を備えることを特徴とするディクテーション端末。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のディクテーション端末において、
前記記憶手段は、前記照合手段により照合された前記結果データを記憶し、
所定のタイミングで前記記憶手段に記憶された前記結果データを学習の結果データとして、前記ディクテーション端末の使用者を示すユーザIDと共に前記サーバに送信する送信制御手段を備えることを特徴とするディクテーション端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−15130(P2009−15130A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178436(P2007−178436)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(507230614)ハイウエア株式会社 (2)
【Fターム(参考)】