ディスククランプ機構及びディスク駆動装置
【課題】部品点数が少なく、クランプ盤の組み付けに掛かる工数を削減することのできる簡易構造のディスククランプ機構を提供する。
【解決手段】ターンテーブル32と協同してディスクDを挟持するクランプ盤41と、クランプ盤41を回転自在に保持するクランプベース42とを備える。クランプ盤41は、ターンテーブル32に向けてディスクDを押圧する面板部41aと、その面板部41aよりも外径が小さい小径胴部41cと、面板部41aに平行して小径胴部41cの軸方向の一方端部より張り出すフランジ部41bとを有する。クランプベース42には、薄板状の保持部42cと、ストッパ片42dと、フランジ部41bを径方向から通過させ得る長孔h2を有して保持部42cに連なる屈曲部42eとが一体成形され、保持部42cには、長孔h2に連続して小径胴部41cを受け入れる切欠孔h1が設けられる。
【解決手段】ターンテーブル32と協同してディスクDを挟持するクランプ盤41と、クランプ盤41を回転自在に保持するクランプベース42とを備える。クランプ盤41は、ターンテーブル32に向けてディスクDを押圧する面板部41aと、その面板部41aよりも外径が小さい小径胴部41cと、面板部41aに平行して小径胴部41cの軸方向の一方端部より張り出すフランジ部41bとを有する。クランプベース42には、薄板状の保持部42cと、ストッパ片42dと、フランジ部41bを径方向から通過させ得る長孔h2を有して保持部42cに連なる屈曲部42eとが一体成形され、保持部42cには、長孔h2に連続して小径胴部41cを受け入れる切欠孔h1が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク(円盤状の情報記録媒体)に記録された楽曲情報などを再生したり、所望の情報をディスクに記録したりするのに用いられるディスク駆動装置に係わり、特に情報の記録再生に際してディスクをクランプするための機構と同機構を備えたディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、CDプレーヤやDVDレコーダといったディスク駆動装置は、ディスクを支持して回転させるターンテーブル、ディスクの盤面に沿ってその半径方向に移動する光ピックアップ、並びにターンテーブル上のディスクがターンテーブルに同調して回転するようディスクをクランプするディスククランプ機構などを具備して構成される。
【0003】
このうち、ディスククランプ機構として、ターンテーブルと協同してディスクを回転自在に挟持するクランプ盤(クランパ)と、一端部を支点として上下方向に揺動するクランプベース(クランプアーム)とを備え、そのクランプベースに金属板などから形成されるクランプホルダーをネジ止めし、そのクランプホルダーとクランプベースとによりクランプ盤を回転自在に保持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
又、2つの円板状フランジ部を有するクランプ盤(クランパ)にして、そのクランプ盤を回転自在に支持するクランプベース(支持部材)に正方形状の角孔を設けると共に、角孔の周縁を弾性片部として、その角孔にフランジ部を押し込んでクランプ盤を装着可能にしたクランパ支持構造が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−4945号公報(段落0003〜0007、図3、図4)
【特許文献2】特開平7−272371号公報(段落0030、図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、クランプベースに別体のクランプホルダーをネジ止めし、そのクランプホルダーとクランプベースでクランプ盤を回転自在に保持する構成では、クランプホルダーとその取付用ネジを必要とするため部品点数が多くコスト高となり、しかもクランプ盤の組み付けに掛かる工数が増すため生産性が悪化するという問題がある。
【0007】
加えて、特許文献1では、クランプ盤によるディスクのクランプが解除されたとき、クランプ盤がシャーシの部位に接触してそのがたつきが防止されるとしているが、そのクランプ盤は軸方向の移動のみ規制されるだけなので、車載用など振動環境下で使用されるものでは、クランプ盤が径方向に振れてラトルノイズ(がたつき音)を発生することが懸念される。
【0008】
一方、特許文献2に開示されるような支持構造によれば、部品点数を削減することはできても、角孔の周縁にばね性を有する弾性片部を形成するので、剛性が高い金属材料から支持部材を成形すること困難であるし、角孔内に装着されたクランプ盤は軸方向と径方向の双方に移動を許容されるので、そのクランプ盤によりディスクがクランプされていない状態においてラトルノイズを発生し易いという問題がある。
【0009】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は部品点数の少ない簡易構造のディスククランプ機構にしてクランプ盤の組み付けに掛かる工数を削減することに加え、ディスクをクランプしていない状態でのクランプ盤の振動に起因するラトルノイズの発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はクランプ盤の組み付けに掛かる工数を削減するため、
(1)回転駆動されるターンテーブル32と協同してディスクDを挟持するクランプ盤41と、クランプ盤41を回転自在に保持し、ターンテーブル32上のディスクDにクランプ盤41が接触するクランプ位置と前記クランプ盤41がディスクDから離間するクランプ解除位置との間を移動可能とされるクランプベース42とを備え、
前記クランプ盤41は、前記クランプベース42が前記クランプ位置にあるとき前記ターンテーブル32に向けてディスクDを押圧する面板部41aと、その面板部41aより小さい外径を有して前記面板部41aの中心部に連なる小径胴部41cと、前記面板部41aに平行して前記小径胴部41cの軸方向の一方端部より張り出すフランジ部41bとを有し、
前記クランプベース42には、前記クランプ盤41の面板部41aとフランジ部41bとの間に介在される薄板状の保持部42cと、前記クランプ位置にて前記フランジ部41bの端面に臨むストッパ片42dと、そのストッパ片42dが位置する側から前記保持部42cに向けて前記フランジ部41bをフランジ部41bの径方向から通過させ得る長孔h2を有して前記保持部42cに連なる屈曲部42eとが一体成形されており、
前記保持部42cには、前記屈曲部42eの長孔h2に連続して前記小径胴部41cを受け入れる切欠孔h1が設けられていることを特徴とするディスククランプ機構4を提供する。
(2)又、前記保持部42cは、前記クランプベース42の他の部位よりも肉厚が小さいことを特徴とする。
(3)加えて、ラトルノイズの発生を防止するため、
前記クランプベース42が前記クランプ解除位置にあるとき、前記クランプ盤41を拘束するロック手段を備え、
前記ロック手段は、前記クランプ盤41を前記ターンテーブル32側に押圧して前記クランプ盤41の軸方向への移動を規制する第1のロック手段12aと、前記クランプ盤41の周縁部に密着して前記クランプ盤41の径方向への移動を規制する第2のロック手段12b,42dとによりなることを特徴とするディスククランプ機構4を提供する。
(4)更に、本発明は上記のようなディスククランプ機構4を備えることを特徴とするディスク駆動装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クランプ盤を回転自在に支持する部品をクランプベースにネジ止めするのでなく、クランプ盤をクランプベースに直接取り付けられる構成としていることから、部品点数を減らして製造コストを削減できるほか、クランプ盤の組み付けに掛かる工数も減るので生産性を上げることができる。
【0012】
又、クランプ盤を回転自在に保持するべくクランプベースに一体成形される薄板状の保持部の肉厚が、クランプベースの他の部位より小さくされていることから、面板部とフランジ部との間隔が小さい薄型のクランプ盤にしながら、クランプ盤がディスクと共に回転されるとき、その面板部とフランジ部との間に介在される保持部が面板部とフランジ部の両者に接触することを防止できる。このため、ディスクの回転性能が損なわれず、クランプ盤が摩擦熱で変形することもない。
【0013】
更に、クランプベースがクランプ解除位置にあるとき、クランプ盤を拘束するロック手段として、クランプ盤をターンテーブル側に押圧してクランプ盤の軸方向への移動を規制する第1のロック手段と、クランプ盤の周縁部に密着してクランプ盤の径方向への移動を規制する第2のロック手段とを備えることから、自動車などの振動環境下においてもクランプ盤ががたつかず、クランプ盤の振動に起因するラトルノイズの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るクランプ機構を備えたディスク駆動装置の内部構造を示す側面図
【図2】クランプ盤の平面図
【図3】図2のX−X断面図
【図4】クランプベースの平面図
【図5】クランプベースにクランプ盤を組み付けた状態を示す平面図
【図6】クランプベースの一部を拡大して示した斜視図
【図7】クランプベースにクランプ盤を組み付ける説明図
【図8】クランプ盤とこれを拘束するロック手段の位置関係を示す平面図
【図9】ロック手段を構成する天板の部分拡大平面図
【図10】図9のY−Y断面図
【図11】ディスクがクランプされた状態を示す説明図
【図12】クランプが解除された状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明を詳しく説明する。先ず、図1に本発明に係るディスククランプ機構を備えたディスク駆動装置の内部構造を示して、その全体構成を説明する。
【0016】
図1において、1は装置の外装を成す筐体であり、この筐体1は金属板をプレス加工して成るベースシャーシ11と、その上部を覆う天板12とにより構成され、筐体1の前面にはディスクDを出し入れするための横長のスロット13が開口されている。
【0017】
2は筐体1のスロット13側に設けたディスク搬送機構であり、このディスク搬送機構2は、天板12の内側面に固設した合成樹脂製のディスク摺接板21と、このディスク摺接板21の下方に配置された正逆に回転駆動する送りローラ22とを有して構成されている。尚、送りローラ22は、図1の一点鎖線で示される位置を待機位置として、実線で示される位置との間で昇降可能とされている。
【0018】
そして、係るディスク搬送機構2によれば、ディスクDの搬送に際して送りローラ22が回転されつつ待機位置から上方に旋回移動されてディスク摺接板21との間にディスクDを挟み込み、その状態でディスクDの搬送が行われるようになっている。
【0019】
ここに、ディスク摺接板21には、ディスクDの搬送方向に直交して2つの凸条21aが形成されるが、それら凸条21aはディスクDの周縁にのみ摺接するよう両端から中央に向けて突出量が漸次小さく設定される。又、送りローラ22もその両端から中央に向けて直径が漸次小さくなる形態であり、これにより凸条21aおよび送りローラ22がディスクDの周縁のみに接触してディスクDの信号記録エリアの摩損を防止できるようになっている。
【0020】
又、図1において、3はトラメカと俗称されるドライブユニットであり、このドライブユニット3は、金属製の座板31にターンテーブル32や光ピックアップ33などを一体に組み付けて構成されている。このうち、ターンテーブル32は、ディスクDを支持して回転させる円形の回転部材であり、これは座板31に固定されるスピンドルモータ34のロータ軸に直結されて回転駆動されるようになっている。一方、光ピックアップ33は、ターンテーブル32で支持されたディスクの半径方向に移動しながら、ディスクの記録情報を読み出したり、ディスクに対して情報の書き込みを行ったりするための電子部品ユニットで、これはディスクの盤面に照射すべき光を発生するレーザダイオードなどの発光素子や、ディスクからの反射光を受け取る受光素子などを具備して構成される。
【0021】
尚、ドライブユニット3を構成する座板31は、防振ダンパ35を介してベースシャーシ11に弾性支持されており、これによりディスク駆動時における再生音の音飛びなどが防止されるようになっている。
【0022】
又、図1において、41はターンテーブル32と協同してディスクを回転自在に挟持するクランプ盤、42はクランプ盤41を回転自在に保持するクランプベースであり、それらは本発明に係るディスククランプ機構4を構成する。
【0023】
以下、係るディスククランプ機構4について言及すると、図2および図3において、クランプ盤41は、円板状の面板部41aとフランジ部41bとを有し、その両者41a,41bが小径胴部41cを介して同心状に連なる構成とされている。特に、本実施形態のクランプ盤41は、合成樹脂による一体成形物であり、面板部41aの外径は図1に示したターンテーブル32の外径と略同じ(例えば、30mm)とされている。又、フランジ部41bは、面板部41aに平行して小径胴部41cの一端外周(小径胴部41cの軸方向一方端部)より張り出しており、その外径は面板部41aよりも小さく、小径胴部41cよりも大きく設定されている。これにより、小径胴部41cの外周には、面板部41aとフランジ部41bとの間で環状溝41dが形成されている。尚、環状溝41dの幅tは約2mmである。
【0024】
又、図3から明らかなように、小径胴部41cには、面板部41a側の端面中心部に中心凹部41eが形成されていると共に、その中心凹部41eを囲む環状凹部41fが形成されており、更にフランジ部41b側の端面中心部において回転中心となる半球状の凸部41gが形成されている。
【0025】
次に、図4において、クランプベース42は、金属板をプレス機械により塑性変形せしめた板金部品であり、その板厚は0.8〜1.0mmとされている。又、横長の本体部42aには、その長手方向両端において支点軸42bが突設されている。そして、クランプベース42は、その支点軸42bを中心として後述するクランプ位置とクランプ解除位置との間で揺動移動可能とされる。又、クランプベース42には、横長の本体部42aに連ねて上記クランプ盤41を配置する薄板状の保持部42cが一体成形されている。
【0026】
保持部42cは、その内側が切欠孔h1として切り抜かれたU字形の形態で、クランプベース42の他の部位よりも肉厚が小さく、その肉厚が0.2〜0.5mmとされている。ここに、保持部42cは、例えばクランプベース42の材料となる金属板を定形に打ち抜いた後、これを曲げ加工する前に、保持部42cとなる部分を所定の厚さになるまで叩き、これにより広がったバリ状部分を「チリ切り」工程(バリ取り工程)によりカットする工程を経て形成される。
【0027】
そして、保持部42cは、図5のようにクランプ盤41の面板部41aとフランジ部41bとの間に介在されてクランプ盤41を回転自在に保持する。尚、図5から明らかなように、切欠孔h1は、面板部41a及びフランジ部41bの外径より小さく、小径胴部41cの外径よりも若干大きな幅を有している。又、面板部41aとフランジ部41bとの間隔(上記環状溝41dの幅t)は、保持部42cの肉厚よりも大きい。このため、クランプ盤41は、その径方向と軸方向への移動を許容されるものの、保持部42cから軸方向へ離脱することが防止され、しかも保持部42cに対して面板部41a、フランジ部41b、並びに小径胴部41cのいずれもが接触せずして回転することが可能とされている。
【0028】
又、図6から明らかなように、クランプベース42には、上記保持部42cのほか、V字形に折れ曲がったストッパ片42d、本体部42aと保持部42cとを繋ぐ屈曲部42e、並びに本体部42aから保持部42c側に張り出したスラスト軸受板42fが一体成形されている。このうち、ストッパ片42dは、本体部42aから屈曲部42eの中央部に向けて延び、その屈曲部42eには本体部42aの長手方向に沿って長孔h2が穿設されている。屈曲部42eは、保持部42cに連なる傾斜状の折り曲げ部分で、この屈曲部42eを介して本体部42aと保持部42cが所定(数mm程度)の高低差を有して連ねられており、長孔h2には保持部42cの切欠孔h1が連続している。尚、長孔h2は、切欠孔h1の幅より大きな長さを有してクランプ盤41のフランジ部41bがその径方向に沿って通過することを許容しており、これにより切欠孔h1内に小径胴部41cを案内することが可能とされている。
【0029】
つまり、クランプ盤41は、図7(a)のように、フランジ部41bを径方向から長孔h2に通しつつ、小径胴部41cを切欠孔h1内に誘導して保持部42cに配置することができ、しかして図7(b)のように面板部41aとフランジ部41bとの間に保持部42cを介在させることが可能とされている。
【0030】
ここに、保持部42cに配置されたクランプ盤41のフランジ部41bの端面には、ストッパ片42dが臨み、そのストッパ片42dによりクランプ盤41の径方向の移動規制と、切欠孔h2からの小径胴部41cの不用意な離脱防止とが図られているところ、クランプ盤41を保持部42cに配置するときには、ストッパ片42dがフランジ部41bに干渉することになるが、図7(a)のようにフランジ部41bの内周縁にストッパ片42dが接触した時点において、クランプ盤41を保持部42c側に強く押し込むことにより、フランジ部41bがストッパ片42dから離間する方向に撓み、これにより保持部42dまでクランプ盤41を導くことが可能とされている。尚、ストッパ片42dにバネ性を付与し、保持部42cへのクランプ盤41の配設に際してストッパ片42dがフランジ部41bから離間する方向に撓むようにすることもできる。
【0031】
次に、図8において、ディスク駆動装置の筐体の上面部となる天板12には、クランプ盤41に対応して、クランプ盤41を拘束するための突片12a,12bが形成されている。このうち、突片12aは、第1のロック手段としてクランプ盤41の軸方向(図8の図示面直角方向)の移動を規制し、他の突片12b,12bは上記ストッパ片42dと協同してクランプ盤41の径方向の移動を規制する第2のロック手段を構成する。
【0032】
又、図9および図10から明らかなように、突片12aは天板12に穿設した穴部12cに近接する位置をL字形に折り曲げて形成され、突片12b,12bは穴部12cを挟んでその両側に形成されている。特に、突片12b,12bは、天板12の部位を下方に傾斜状に折り曲げてなるもので、互いにハの字形をなしている。ここに、穴部12cは、クランプベース42のスラスト軸受板42f(図8参照)に対応し、クランプベース42がクランプ位置にあるときに天板12がスラスト軸受板42fに干渉するのを防止する働きをする。尚、図9において、ハッチングは断面を示すものでなく、天板12の非開口部分を示している。
【0033】
次に、図11および図12は、上記のような突片12a,12bを形成した天板12を含んで構成されるディスククランプ機構4の装備箇所を示す。これらの図で明らかなように、ドライブユニット3の座板31には、クランプベース42の支点軸42bを枢支するブラケット31aが形成されている。そして、クランプベース42は、その支点軸42bを中心として、図11に示されるクランプ位置と、図12に示されるクランプ解除位置との間を揺動移動可能とされている。
【0034】
図11のように、クランプ位置では、クランプ盤41の面板部41aがターンテーブル32上のディスクDの中心部に接触し、そのクランプ盤41とターンテーブル32によりディスクDが回転自在に挟持される。このとき、クランプ盤41の環状凹部41fにはターンテーブル32のハブ32aが嵌り込み、中心凹部41eにはハブ32aの中心に位置するボス部32bが嵌り込むのであり、これによりターンテーブル32に対するクランプ盤41の芯出しが行われる。
【0035】
又、クランプ盤41は、ディスクDからの反力により押し上げられ、その凸部41gがクランプベース42のスラスト軸受板42fに摺接する。更に、クランプベース42の保持部42cは、クランプ盤41の面板部41aとフランジ部41bのいずれにも接触せずしてその中間に位置し、フランジ部41bの端面にはストッパ片42dが臨む。尚、クランプベース42は、ドライブユニット3の座板31にバネSで繋がれ、そのバネSによりクランプ位置に向けて付勢されており、クランプ位置ではバネSの付勢力がスラスト軸受板42fを介してクランプ盤41の凸部41gに作用し、これにより面板部41aがディスクDに押し付けられることとなる。
【0036】
一方、ターンテーブル32上のディスクDを排出するときには、図示せぬカム部材の作動によりクランプベース42がバネSの付勢力に抗してクランプ解除位置に移動され、次のディスクが挿入されるまでの間、クランプ解除位置に保持される。
【0037】
図12のように、クランプ解除位置では、スラスト軸受板42fが天板12の穴部12cに入り、クランプ盤41の面板部41aはその上面が突片12aに接触してターンテーブル32側に押圧される。これにより、クランプ盤41は突片12aによる押圧部分とは反対側(クランプベース42の本体部42aに近接する側)が持ち上がり、その側における面板部41aの上面が保持部42cおよびストッパ片42dの下面部にそれぞれ接触し、突片12a側ではフランジ部41bの下面が保持部42cの上面部に接触する。更に、スラスト軸受板42fには、クランプ解除位置に到達するまでの間に離れるクランプ盤41の凸部41gが再接触する。しかして、クランプ盤41は軸方向の移動を規制される。
【0038】
加えて、クランプ解除位置では、フランジ部41bの周縁部(上面と端面が交わる角部)に対し、斜面状をなす2つの突片12bが2方向から接触しながら、クランプ盤41をストッパ片42d側に押し込むようになる。これにより、ストッパ片42dに対してもフランジ部41bの周縁部(端面)が接触する。
【0039】
この結果、クランプ盤41は径方向の移動も規制されるようになり、このため自動車などの振動環境下においてもクランプ盤41ががたつかず、クランプ盤41の振動に起因するラトルノイズの発生が防止されることとなる。
【0040】
以上、本発明について説明したが、クランプ盤41はバネSの付勢力でディスクに押し付けられることに限らず、クランプ盤41に磁石を内蔵し、その磁力でターンテーブル32とクランプ盤41がディスクを介して吸着するようにしてもよく、この場合にはスラスト軸受板42fを省略することができる。
【符号の説明】
【0041】
D ディスク
12 天板
12a 突片(第1のロック手段)
12b 突片(第2のロック手段)
32 ターンテーブル
4 ディスククランプ機構
41 クランプ盤
41a 面板部
41b フランジ部
41c 小径胴部
42 クランプベース
42c 保持部
h1 切欠孔
42d ストッパ片(第2のロック手段)
42e 屈曲部
h2 長孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク(円盤状の情報記録媒体)に記録された楽曲情報などを再生したり、所望の情報をディスクに記録したりするのに用いられるディスク駆動装置に係わり、特に情報の記録再生に際してディスクをクランプするための機構と同機構を備えたディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、CDプレーヤやDVDレコーダといったディスク駆動装置は、ディスクを支持して回転させるターンテーブル、ディスクの盤面に沿ってその半径方向に移動する光ピックアップ、並びにターンテーブル上のディスクがターンテーブルに同調して回転するようディスクをクランプするディスククランプ機構などを具備して構成される。
【0003】
このうち、ディスククランプ機構として、ターンテーブルと協同してディスクを回転自在に挟持するクランプ盤(クランパ)と、一端部を支点として上下方向に揺動するクランプベース(クランプアーム)とを備え、そのクランプベースに金属板などから形成されるクランプホルダーをネジ止めし、そのクランプホルダーとクランプベースとによりクランプ盤を回転自在に保持するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
又、2つの円板状フランジ部を有するクランプ盤(クランパ)にして、そのクランプ盤を回転自在に支持するクランプベース(支持部材)に正方形状の角孔を設けると共に、角孔の周縁を弾性片部として、その角孔にフランジ部を押し込んでクランプ盤を装着可能にしたクランパ支持構造が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−4945号公報(段落0003〜0007、図3、図4)
【特許文献2】特開平7−272371号公報(段落0030、図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、クランプベースに別体のクランプホルダーをネジ止めし、そのクランプホルダーとクランプベースでクランプ盤を回転自在に保持する構成では、クランプホルダーとその取付用ネジを必要とするため部品点数が多くコスト高となり、しかもクランプ盤の組み付けに掛かる工数が増すため生産性が悪化するという問題がある。
【0007】
加えて、特許文献1では、クランプ盤によるディスクのクランプが解除されたとき、クランプ盤がシャーシの部位に接触してそのがたつきが防止されるとしているが、そのクランプ盤は軸方向の移動のみ規制されるだけなので、車載用など振動環境下で使用されるものでは、クランプ盤が径方向に振れてラトルノイズ(がたつき音)を発生することが懸念される。
【0008】
一方、特許文献2に開示されるような支持構造によれば、部品点数を削減することはできても、角孔の周縁にばね性を有する弾性片部を形成するので、剛性が高い金属材料から支持部材を成形すること困難であるし、角孔内に装着されたクランプ盤は軸方向と径方向の双方に移動を許容されるので、そのクランプ盤によりディスクがクランプされていない状態においてラトルノイズを発生し易いという問題がある。
【0009】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は部品点数の少ない簡易構造のディスククランプ機構にしてクランプ盤の組み付けに掛かる工数を削減することに加え、ディスクをクランプしていない状態でのクランプ盤の振動に起因するラトルノイズの発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はクランプ盤の組み付けに掛かる工数を削減するため、
(1)回転駆動されるターンテーブル32と協同してディスクDを挟持するクランプ盤41と、クランプ盤41を回転自在に保持し、ターンテーブル32上のディスクDにクランプ盤41が接触するクランプ位置と前記クランプ盤41がディスクDから離間するクランプ解除位置との間を移動可能とされるクランプベース42とを備え、
前記クランプ盤41は、前記クランプベース42が前記クランプ位置にあるとき前記ターンテーブル32に向けてディスクDを押圧する面板部41aと、その面板部41aより小さい外径を有して前記面板部41aの中心部に連なる小径胴部41cと、前記面板部41aに平行して前記小径胴部41cの軸方向の一方端部より張り出すフランジ部41bとを有し、
前記クランプベース42には、前記クランプ盤41の面板部41aとフランジ部41bとの間に介在される薄板状の保持部42cと、前記クランプ位置にて前記フランジ部41bの端面に臨むストッパ片42dと、そのストッパ片42dが位置する側から前記保持部42cに向けて前記フランジ部41bをフランジ部41bの径方向から通過させ得る長孔h2を有して前記保持部42cに連なる屈曲部42eとが一体成形されており、
前記保持部42cには、前記屈曲部42eの長孔h2に連続して前記小径胴部41cを受け入れる切欠孔h1が設けられていることを特徴とするディスククランプ機構4を提供する。
(2)又、前記保持部42cは、前記クランプベース42の他の部位よりも肉厚が小さいことを特徴とする。
(3)加えて、ラトルノイズの発生を防止するため、
前記クランプベース42が前記クランプ解除位置にあるとき、前記クランプ盤41を拘束するロック手段を備え、
前記ロック手段は、前記クランプ盤41を前記ターンテーブル32側に押圧して前記クランプ盤41の軸方向への移動を規制する第1のロック手段12aと、前記クランプ盤41の周縁部に密着して前記クランプ盤41の径方向への移動を規制する第2のロック手段12b,42dとによりなることを特徴とするディスククランプ機構4を提供する。
(4)更に、本発明は上記のようなディスククランプ機構4を備えることを特徴とするディスク駆動装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クランプ盤を回転自在に支持する部品をクランプベースにネジ止めするのでなく、クランプ盤をクランプベースに直接取り付けられる構成としていることから、部品点数を減らして製造コストを削減できるほか、クランプ盤の組み付けに掛かる工数も減るので生産性を上げることができる。
【0012】
又、クランプ盤を回転自在に保持するべくクランプベースに一体成形される薄板状の保持部の肉厚が、クランプベースの他の部位より小さくされていることから、面板部とフランジ部との間隔が小さい薄型のクランプ盤にしながら、クランプ盤がディスクと共に回転されるとき、その面板部とフランジ部との間に介在される保持部が面板部とフランジ部の両者に接触することを防止できる。このため、ディスクの回転性能が損なわれず、クランプ盤が摩擦熱で変形することもない。
【0013】
更に、クランプベースがクランプ解除位置にあるとき、クランプ盤を拘束するロック手段として、クランプ盤をターンテーブル側に押圧してクランプ盤の軸方向への移動を規制する第1のロック手段と、クランプ盤の周縁部に密着してクランプ盤の径方向への移動を規制する第2のロック手段とを備えることから、自動車などの振動環境下においてもクランプ盤ががたつかず、クランプ盤の振動に起因するラトルノイズの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るクランプ機構を備えたディスク駆動装置の内部構造を示す側面図
【図2】クランプ盤の平面図
【図3】図2のX−X断面図
【図4】クランプベースの平面図
【図5】クランプベースにクランプ盤を組み付けた状態を示す平面図
【図6】クランプベースの一部を拡大して示した斜視図
【図7】クランプベースにクランプ盤を組み付ける説明図
【図8】クランプ盤とこれを拘束するロック手段の位置関係を示す平面図
【図9】ロック手段を構成する天板の部分拡大平面図
【図10】図9のY−Y断面図
【図11】ディスクがクランプされた状態を示す説明図
【図12】クランプが解除された状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明を詳しく説明する。先ず、図1に本発明に係るディスククランプ機構を備えたディスク駆動装置の内部構造を示して、その全体構成を説明する。
【0016】
図1において、1は装置の外装を成す筐体であり、この筐体1は金属板をプレス加工して成るベースシャーシ11と、その上部を覆う天板12とにより構成され、筐体1の前面にはディスクDを出し入れするための横長のスロット13が開口されている。
【0017】
2は筐体1のスロット13側に設けたディスク搬送機構であり、このディスク搬送機構2は、天板12の内側面に固設した合成樹脂製のディスク摺接板21と、このディスク摺接板21の下方に配置された正逆に回転駆動する送りローラ22とを有して構成されている。尚、送りローラ22は、図1の一点鎖線で示される位置を待機位置として、実線で示される位置との間で昇降可能とされている。
【0018】
そして、係るディスク搬送機構2によれば、ディスクDの搬送に際して送りローラ22が回転されつつ待機位置から上方に旋回移動されてディスク摺接板21との間にディスクDを挟み込み、その状態でディスクDの搬送が行われるようになっている。
【0019】
ここに、ディスク摺接板21には、ディスクDの搬送方向に直交して2つの凸条21aが形成されるが、それら凸条21aはディスクDの周縁にのみ摺接するよう両端から中央に向けて突出量が漸次小さく設定される。又、送りローラ22もその両端から中央に向けて直径が漸次小さくなる形態であり、これにより凸条21aおよび送りローラ22がディスクDの周縁のみに接触してディスクDの信号記録エリアの摩損を防止できるようになっている。
【0020】
又、図1において、3はトラメカと俗称されるドライブユニットであり、このドライブユニット3は、金属製の座板31にターンテーブル32や光ピックアップ33などを一体に組み付けて構成されている。このうち、ターンテーブル32は、ディスクDを支持して回転させる円形の回転部材であり、これは座板31に固定されるスピンドルモータ34のロータ軸に直結されて回転駆動されるようになっている。一方、光ピックアップ33は、ターンテーブル32で支持されたディスクの半径方向に移動しながら、ディスクの記録情報を読み出したり、ディスクに対して情報の書き込みを行ったりするための電子部品ユニットで、これはディスクの盤面に照射すべき光を発生するレーザダイオードなどの発光素子や、ディスクからの反射光を受け取る受光素子などを具備して構成される。
【0021】
尚、ドライブユニット3を構成する座板31は、防振ダンパ35を介してベースシャーシ11に弾性支持されており、これによりディスク駆動時における再生音の音飛びなどが防止されるようになっている。
【0022】
又、図1において、41はターンテーブル32と協同してディスクを回転自在に挟持するクランプ盤、42はクランプ盤41を回転自在に保持するクランプベースであり、それらは本発明に係るディスククランプ機構4を構成する。
【0023】
以下、係るディスククランプ機構4について言及すると、図2および図3において、クランプ盤41は、円板状の面板部41aとフランジ部41bとを有し、その両者41a,41bが小径胴部41cを介して同心状に連なる構成とされている。特に、本実施形態のクランプ盤41は、合成樹脂による一体成形物であり、面板部41aの外径は図1に示したターンテーブル32の外径と略同じ(例えば、30mm)とされている。又、フランジ部41bは、面板部41aに平行して小径胴部41cの一端外周(小径胴部41cの軸方向一方端部)より張り出しており、その外径は面板部41aよりも小さく、小径胴部41cよりも大きく設定されている。これにより、小径胴部41cの外周には、面板部41aとフランジ部41bとの間で環状溝41dが形成されている。尚、環状溝41dの幅tは約2mmである。
【0024】
又、図3から明らかなように、小径胴部41cには、面板部41a側の端面中心部に中心凹部41eが形成されていると共に、その中心凹部41eを囲む環状凹部41fが形成されており、更にフランジ部41b側の端面中心部において回転中心となる半球状の凸部41gが形成されている。
【0025】
次に、図4において、クランプベース42は、金属板をプレス機械により塑性変形せしめた板金部品であり、その板厚は0.8〜1.0mmとされている。又、横長の本体部42aには、その長手方向両端において支点軸42bが突設されている。そして、クランプベース42は、その支点軸42bを中心として後述するクランプ位置とクランプ解除位置との間で揺動移動可能とされる。又、クランプベース42には、横長の本体部42aに連ねて上記クランプ盤41を配置する薄板状の保持部42cが一体成形されている。
【0026】
保持部42cは、その内側が切欠孔h1として切り抜かれたU字形の形態で、クランプベース42の他の部位よりも肉厚が小さく、その肉厚が0.2〜0.5mmとされている。ここに、保持部42cは、例えばクランプベース42の材料となる金属板を定形に打ち抜いた後、これを曲げ加工する前に、保持部42cとなる部分を所定の厚さになるまで叩き、これにより広がったバリ状部分を「チリ切り」工程(バリ取り工程)によりカットする工程を経て形成される。
【0027】
そして、保持部42cは、図5のようにクランプ盤41の面板部41aとフランジ部41bとの間に介在されてクランプ盤41を回転自在に保持する。尚、図5から明らかなように、切欠孔h1は、面板部41a及びフランジ部41bの外径より小さく、小径胴部41cの外径よりも若干大きな幅を有している。又、面板部41aとフランジ部41bとの間隔(上記環状溝41dの幅t)は、保持部42cの肉厚よりも大きい。このため、クランプ盤41は、その径方向と軸方向への移動を許容されるものの、保持部42cから軸方向へ離脱することが防止され、しかも保持部42cに対して面板部41a、フランジ部41b、並びに小径胴部41cのいずれもが接触せずして回転することが可能とされている。
【0028】
又、図6から明らかなように、クランプベース42には、上記保持部42cのほか、V字形に折れ曲がったストッパ片42d、本体部42aと保持部42cとを繋ぐ屈曲部42e、並びに本体部42aから保持部42c側に張り出したスラスト軸受板42fが一体成形されている。このうち、ストッパ片42dは、本体部42aから屈曲部42eの中央部に向けて延び、その屈曲部42eには本体部42aの長手方向に沿って長孔h2が穿設されている。屈曲部42eは、保持部42cに連なる傾斜状の折り曲げ部分で、この屈曲部42eを介して本体部42aと保持部42cが所定(数mm程度)の高低差を有して連ねられており、長孔h2には保持部42cの切欠孔h1が連続している。尚、長孔h2は、切欠孔h1の幅より大きな長さを有してクランプ盤41のフランジ部41bがその径方向に沿って通過することを許容しており、これにより切欠孔h1内に小径胴部41cを案内することが可能とされている。
【0029】
つまり、クランプ盤41は、図7(a)のように、フランジ部41bを径方向から長孔h2に通しつつ、小径胴部41cを切欠孔h1内に誘導して保持部42cに配置することができ、しかして図7(b)のように面板部41aとフランジ部41bとの間に保持部42cを介在させることが可能とされている。
【0030】
ここに、保持部42cに配置されたクランプ盤41のフランジ部41bの端面には、ストッパ片42dが臨み、そのストッパ片42dによりクランプ盤41の径方向の移動規制と、切欠孔h2からの小径胴部41cの不用意な離脱防止とが図られているところ、クランプ盤41を保持部42cに配置するときには、ストッパ片42dがフランジ部41bに干渉することになるが、図7(a)のようにフランジ部41bの内周縁にストッパ片42dが接触した時点において、クランプ盤41を保持部42c側に強く押し込むことにより、フランジ部41bがストッパ片42dから離間する方向に撓み、これにより保持部42dまでクランプ盤41を導くことが可能とされている。尚、ストッパ片42dにバネ性を付与し、保持部42cへのクランプ盤41の配設に際してストッパ片42dがフランジ部41bから離間する方向に撓むようにすることもできる。
【0031】
次に、図8において、ディスク駆動装置の筐体の上面部となる天板12には、クランプ盤41に対応して、クランプ盤41を拘束するための突片12a,12bが形成されている。このうち、突片12aは、第1のロック手段としてクランプ盤41の軸方向(図8の図示面直角方向)の移動を規制し、他の突片12b,12bは上記ストッパ片42dと協同してクランプ盤41の径方向の移動を規制する第2のロック手段を構成する。
【0032】
又、図9および図10から明らかなように、突片12aは天板12に穿設した穴部12cに近接する位置をL字形に折り曲げて形成され、突片12b,12bは穴部12cを挟んでその両側に形成されている。特に、突片12b,12bは、天板12の部位を下方に傾斜状に折り曲げてなるもので、互いにハの字形をなしている。ここに、穴部12cは、クランプベース42のスラスト軸受板42f(図8参照)に対応し、クランプベース42がクランプ位置にあるときに天板12がスラスト軸受板42fに干渉するのを防止する働きをする。尚、図9において、ハッチングは断面を示すものでなく、天板12の非開口部分を示している。
【0033】
次に、図11および図12は、上記のような突片12a,12bを形成した天板12を含んで構成されるディスククランプ機構4の装備箇所を示す。これらの図で明らかなように、ドライブユニット3の座板31には、クランプベース42の支点軸42bを枢支するブラケット31aが形成されている。そして、クランプベース42は、その支点軸42bを中心として、図11に示されるクランプ位置と、図12に示されるクランプ解除位置との間を揺動移動可能とされている。
【0034】
図11のように、クランプ位置では、クランプ盤41の面板部41aがターンテーブル32上のディスクDの中心部に接触し、そのクランプ盤41とターンテーブル32によりディスクDが回転自在に挟持される。このとき、クランプ盤41の環状凹部41fにはターンテーブル32のハブ32aが嵌り込み、中心凹部41eにはハブ32aの中心に位置するボス部32bが嵌り込むのであり、これによりターンテーブル32に対するクランプ盤41の芯出しが行われる。
【0035】
又、クランプ盤41は、ディスクDからの反力により押し上げられ、その凸部41gがクランプベース42のスラスト軸受板42fに摺接する。更に、クランプベース42の保持部42cは、クランプ盤41の面板部41aとフランジ部41bのいずれにも接触せずしてその中間に位置し、フランジ部41bの端面にはストッパ片42dが臨む。尚、クランプベース42は、ドライブユニット3の座板31にバネSで繋がれ、そのバネSによりクランプ位置に向けて付勢されており、クランプ位置ではバネSの付勢力がスラスト軸受板42fを介してクランプ盤41の凸部41gに作用し、これにより面板部41aがディスクDに押し付けられることとなる。
【0036】
一方、ターンテーブル32上のディスクDを排出するときには、図示せぬカム部材の作動によりクランプベース42がバネSの付勢力に抗してクランプ解除位置に移動され、次のディスクが挿入されるまでの間、クランプ解除位置に保持される。
【0037】
図12のように、クランプ解除位置では、スラスト軸受板42fが天板12の穴部12cに入り、クランプ盤41の面板部41aはその上面が突片12aに接触してターンテーブル32側に押圧される。これにより、クランプ盤41は突片12aによる押圧部分とは反対側(クランプベース42の本体部42aに近接する側)が持ち上がり、その側における面板部41aの上面が保持部42cおよびストッパ片42dの下面部にそれぞれ接触し、突片12a側ではフランジ部41bの下面が保持部42cの上面部に接触する。更に、スラスト軸受板42fには、クランプ解除位置に到達するまでの間に離れるクランプ盤41の凸部41gが再接触する。しかして、クランプ盤41は軸方向の移動を規制される。
【0038】
加えて、クランプ解除位置では、フランジ部41bの周縁部(上面と端面が交わる角部)に対し、斜面状をなす2つの突片12bが2方向から接触しながら、クランプ盤41をストッパ片42d側に押し込むようになる。これにより、ストッパ片42dに対してもフランジ部41bの周縁部(端面)が接触する。
【0039】
この結果、クランプ盤41は径方向の移動も規制されるようになり、このため自動車などの振動環境下においてもクランプ盤41ががたつかず、クランプ盤41の振動に起因するラトルノイズの発生が防止されることとなる。
【0040】
以上、本発明について説明したが、クランプ盤41はバネSの付勢力でディスクに押し付けられることに限らず、クランプ盤41に磁石を内蔵し、その磁力でターンテーブル32とクランプ盤41がディスクを介して吸着するようにしてもよく、この場合にはスラスト軸受板42fを省略することができる。
【符号の説明】
【0041】
D ディスク
12 天板
12a 突片(第1のロック手段)
12b 突片(第2のロック手段)
32 ターンテーブル
4 ディスククランプ機構
41 クランプ盤
41a 面板部
41b フランジ部
41c 小径胴部
42 クランプベース
42c 保持部
h1 切欠孔
42d ストッパ片(第2のロック手段)
42e 屈曲部
h2 長孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動されるターンテーブルと協同してディスクを挟持するクランプ盤と、前記クランプ盤を回転自在に保持し、前記ターンテーブル上のディスクに前記クランプ盤が接触するクランプ位置と前記クランプ盤が前記ディスクから離間するクランプ解除位置との間を移動可能とされるクランプベースとを備え、
前記クランプ盤は、前記クランプベースが前記クランプ位置にあるとき前記ターンテーブルに向けてディスクを押圧する面板部と、その面板部より小さい外径を有して前記面板部の中心部に連なる小径胴部と、前記面板部に平行して前記小径胴部の軸方向の一方端部より張り出すフランジ部とを有し、
前記クランプベースには、前記クランプ盤の前記面板部と前記フランジ部との間に介在される薄板状の保持部と、前記クランプ位置にて前記フランジ部の端面に臨むストッパ片と、そのストッパ片が位置する側から前記保持部に向けて前記フランジ部を前記フランジ部の径方向から通過させ得る長孔を有して前記保持部に連なる屈曲部とが一体成形されており、
前記保持部には、前記屈曲部の長孔に連続して前記小径胴部を受け入れる切欠孔が設けられていることを特徴とするディスククランプ機構。
【請求項2】
前記保持部は、前記クランプベースの他の部位よりも肉厚が小さいことを特徴とする請求項1記載のディスククランプ機構。
【請求項3】
前記クランプベースが前記クランプ解除位置にあるとき、前記クランプ盤を拘束するロック手段を備え、
前記ロック手段は、前記クランプ盤を前記ターンテーブル側に押圧して前記クランプ盤の軸方向への移動を規制する第1のロック手段と、前記クランプ盤の周縁部に密着して前記クランプ盤の径方向への移動を規制する第2のロック手段とによりなることを特徴とする請求項1、又は2記載のディスククランプ機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスククランプ機構を備えることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項1】
回転駆動されるターンテーブルと協同してディスクを挟持するクランプ盤と、前記クランプ盤を回転自在に保持し、前記ターンテーブル上のディスクに前記クランプ盤が接触するクランプ位置と前記クランプ盤が前記ディスクから離間するクランプ解除位置との間を移動可能とされるクランプベースとを備え、
前記クランプ盤は、前記クランプベースが前記クランプ位置にあるとき前記ターンテーブルに向けてディスクを押圧する面板部と、その面板部より小さい外径を有して前記面板部の中心部に連なる小径胴部と、前記面板部に平行して前記小径胴部の軸方向の一方端部より張り出すフランジ部とを有し、
前記クランプベースには、前記クランプ盤の前記面板部と前記フランジ部との間に介在される薄板状の保持部と、前記クランプ位置にて前記フランジ部の端面に臨むストッパ片と、そのストッパ片が位置する側から前記保持部に向けて前記フランジ部を前記フランジ部の径方向から通過させ得る長孔を有して前記保持部に連なる屈曲部とが一体成形されており、
前記保持部には、前記屈曲部の長孔に連続して前記小径胴部を受け入れる切欠孔が設けられていることを特徴とするディスククランプ機構。
【請求項2】
前記保持部は、前記クランプベースの他の部位よりも肉厚が小さいことを特徴とする請求項1記載のディスククランプ機構。
【請求項3】
前記クランプベースが前記クランプ解除位置にあるとき、前記クランプ盤を拘束するロック手段を備え、
前記ロック手段は、前記クランプ盤を前記ターンテーブル側に押圧して前記クランプ盤の軸方向への移動を規制する第1のロック手段と、前記クランプ盤の周縁部に密着して前記クランプ盤の径方向への移動を規制する第2のロック手段とによりなることを特徴とする請求項1、又は2記載のディスククランプ機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスククランプ機構を備えることを特徴とするディスク駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−9104(P2012−9104A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143417(P2010−143417)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]