説明

ディスクドライブ装置およびディスクアタッチメント

【課題】起立姿勢のディスクトレイに小径ディスクを適切に縦置きセット可能とする。
【解決手段】少なくとも大径ディスクをセット可能な浅溝状のディスク収容部11を有する起立姿勢のディスクトレイ3に、当該ディスクトレイ3に装着したディスクアタッチメント4を介して小径ディスクDsをセットするようにしたものであって、ディスクアタッチメント4は、セットされる小径ディスクDsとディスク収容部11の周壁16との間に配設され、ディスク収容部11に着脱自在に取り付けられるアタッチメント本体31と、アタッチメント本体31の径方向の内側に形成され、小径ディスクDsを支持した状態でセットするディスクセット部32とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクトレイにディスクアタッチメントを介して小径ディスクをセットするようにしたディスクドライブ装置およびディスクアタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク(DVD等)の再生/記録を行うディスクドライブ装置(ディスク移送装置)として、ディスクトレイを備えたトレイ方式のものが知られている。また、光ディスクは、大径のもの(通常サイズ:直径略12cm)と小径のもの(直径略8cm)との2種類が一般に普及している。このため、小径ディスク対応のディスクトレイのディスク収容部は、通常、大径ディスクを収容する大径収容部と、大径収容部と略同心円状且つその底面からさらに浅い溝状に形成され、小径ディスクを収容する小径収容部とから構成されている。ディスクトレイが水平姿勢で使用される場合にはこれで足りるが、起立姿勢時にも小径ディスクを適切に支持できるようにすべく、小径収容部の外周部に、小径ディスクの下側外周縁部を係止し得る爪部を形成したものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−257112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように小径収容部の周壁(外周部)に爪部を形成すると、その分小径収容部の厚さが増してしまい、結果として、ディスクトレイ全体を所望の厚さに収めることが困難となり、設計の自由度を制約する要因となっていた。
【0004】
これに対し、外径を大径ディスクに対応させ且つ内径を小径ディスクに対応させたリング状のアダプターを用いることが考えられる。すなわち、小径ディスクをディスクトレイにセットする前に小径ディスクをアダプターに装着し、小径ディスクを装着したアダプターを、大径ディスクと同様にして、ディスクトレイにセットすることが考えられる。しかしながら、この場合には、小径ディスクをリング状のアダプターに装着する際に、小径ディスクの読取面に指先が触れてしまいがちであり、読取面を誤って汚しやすいという問題がある。しかも、複数枚の小径ディスクをディスクトレイに交互にセットする場合には、アダプターを小径ディスクの枚数分用意しない限り、小径ディスクを交換するたびに、再生等が終了した小径ディスクをアダプターから取り外すと共に次の小径ディスクをアダプターに装着するという作業が発生するため、ユーザーにとって不便なものとなってしまう。
【0005】
本発明は、起立姿勢のディスクトレイに小径ディスクを適切に縦置きセット可能とするディスクドライブ装置およびディスクアタッチメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のディスクドライブ装置は、少なくとも大径ディスクをセット可能な浅溝状のディスク収容部を有する起立姿勢のディスクトレイに、予め当該ディスクトレイに装着したディスクアタッチメントを介して小径ディスクをセットするようにしたディスクドライブ装置であって、ディスクアタッチメントは、セットされる小径ディスクとディスク収容部の周壁との間に配設され、ディスク収容部に着脱自在に取り付けられるアタッチメント本体と、アタッチメント本体の径方向の内側に形成され、小径ディスクを支持した状態でセットするディスクセット部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明のディスクアタッチメントは、少なくとも大径ディスクをセット可能な浅溝状のディスク収容部を有する起立姿勢のディスクトレイに予め装着され、ディスク収容部に小径ディスクをセットするためのディスクアタッチメントであって、セットされる小径ディスクとディスク収容部の周壁との間に配設され、ディスク収容部に着脱自在に取り付けられるアタッチメント本体と、アタッチメント本体の径方向の内側に形成され、小径ディスクを支持した状態でセットするディスクセット部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、ディスクアタッチメントを介して小径ディスクをセットすることで、ディスクトレイに小径ディスクをセットするための特別な加工を施す必要がなく、小径収容部の周壁に爪部を形成した場合のように、ディスクトレイ全体の厚さが増すようなことがない。また、予めディスクトレイにディスクアタッチメントを装着しておくことで、アダプターを用いる場合のように、小径ディスクをディスクアタッチメントに装着させる必要がなく、読取面を誤って汚してしまうことを防止できる。したがって、起立姿勢のディスクトレイに小径ディスクを適切に縦置きセットすることができる。
【0009】
上記したディスクドライブ装置において、ディスク収容部は、周壁から内側に突出し大径ディスクをセット位置に位置規制する規制突起を有し、アタッチメント本体は、規制突起に係止されていることが好ましい。
【0010】
上記したディスクアタッチメントにおいて、アタッチメント本体は、ディスク収容部の周壁から内側に突出形成した大径ディスクをセット位置に位置規制する規制突起に、係止されることが好ましい。
【0011】
これらの構成によれば、大径ディスクをディスク収容部に安定的に縦置きセットするための規定突起を利用して、ディスクアタッチメントのアタッチメント本体を係止することができる。したがって、ディスクトレイに、アタッチメント本体を取り付けるための部位をあらためて設ける必要がない。
【0012】
上記したディスクドライブ装置において、ディスク収容部は、規制突起に対し上下対称位置に同一形態の規制突起を、さらに有していることが好ましい。
【0013】
ディスクトレイが相互に上下反転姿勢となる2種類の起立姿勢をとり得る場合、本構成によれば、いずれの起立姿勢の場合にも、相互に上下対称位置に設けられた2つの規制突起のうち、その姿勢に対応する一方の規制突起を利用することで、アタッチメント本体を係止することができる。したがって、いずれの起立姿勢の場合にも、小径ディスクを縦置きセットすることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0014】
上記したディスクドライブ装置において、ディスク収容部は、位置決め凹部を、さらに有し、アタッチメント本体は、取り付けた状態で位置決め凹部に係合する位置決め凸部を、さらに有していることが好ましい。
【0015】
上記したディスクアタッチメントにおいて、アタッチメント本体は、ディスク収容部に取り付けた状態で、ディスク収容部に形成した位置決め凹部に係合する位置決め凸部を、さらに有していることが好ましい。
【0016】
これらの構成によれば、ディスクアタッチメントを、ディスク収容部に対して適切な位置に装着することができる。このため、ディスクトレイに対し、小径ディスクを適切な位置にセットすることができる。
【0017】
上記したディスクドライブ装置において、アタッチメント本体は、ディスクアタッチメントをディスク収容部から取り外すための摘み片を、さらに有していることが好ましい。
【0018】
上記したディスクアタッチメントにおいて、アタッチメント本体は、ディスク収容部から取り外すための摘み片を、さらに有していることが好ましい。
【0019】
これらの構成によれば、摘み片を摘んでこれを引き上げるようにすることで、ディスクアタッチメントをディスク収容部から容易に取り外すことができる。
【0020】
上記したディスクドライブ装置において、ディスクセット部は、小径ディスクの外周縁部を少なくとも2箇所で支持する周縁支持部を有し、周縁支持部は、少なくとも先端側が断面「V」字状に形成されていることが好ましい。
【0021】
上記したディスクアタッチメントにおいて、ディスクセット部は、小径ディスクの外周縁部を少なくとも2箇所で支持する周縁支持部を有し、周縁支持部は、少なくとも先端側が断面「V」字状に形成されていることが好ましい。
【0022】
これらの構成によれば、周縁支持部により、小径ディスクの外周縁部を、表裏両側から挟持するようにして小径ディスクを支持することができる。しかも、周縁支持部は、少なくとも先端側が断面略「V」字形状を有することで、その先端部において、小径ディスクを回転させるのに十分な間隙が形成される。このため、小径ディスクを安定的に縦置きセットすることができると共に、ローディング後には、小径ディスクを十分なクリアランスをもって回転させることができる。
【0023】
上記したディスクドライブ装置において、ディスクアタッチメントは、起立姿勢時にセットした小径ディスクの下部を、当該小径ディスクの上部よりもディスク収容部の載置面から離間させる載上げ部を、さらに備えたことが好ましい。
【0024】
上記したディスクアタッチメントにおいて、起立姿勢時にセットした小径ディスクの下部を、当該小径ディスクの上部よりもディスク収容部の載置面から離間させる載上げ部を、さらに備えたことが好ましい。
【0025】
これらの構成によれば、小径ディスクの下部が載上げ部に載上げることで、小径ディスクの下部は載置面から離間するが、その分、小径ディスクの上部は載置面に近づき、接するようになる。したがって、小径ディスクの上部を載置面に立て掛けた状態となり、小径ディスクはより倒れにくくなるため、安定的に小径ディスクを縦置きセットすることができる。
【0026】
上記したディスクドライブ装置において、載上げ部は、上側からセットされる小径ディスクの載上げを案内する載上げガイドを有していることが好ましい。
【0027】
上記したディスクアタッチメントにおいて、載上げ部は、上側からセットされる小径ディスクの載上げを案内する載上げガイドを有していることが好ましい。
【0028】
これらの構成によれば、小径ディスクを上側からセットする際に、小径ディスクの下部を載上げ部に容易に載り上げさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るディスクドライブ装置およびディスクアタッチメントについて説明する。このディスクドライブ装置は、ディスクトレイにセットされた光ディスクを装置内部のターンテーブルにローディング(導入)すると共に、再生等終了後、光ディスクを装置外にイジェクト(排出)するためのものである。
【0030】
なお、このディスクドライブ装置は、全体として略直方体形状を有しており、横置きで使用されると共に、縦置き(横置き使用時の左右いずれを上にしても可)でも使用されるようになっている。これに対応して、ディスクトレイは、水平姿勢(水平面と略平行)と、相互に上下反転姿勢となる2種類の起立姿勢(水平面と略垂直)とをとり得る。すなわち、ディスクトレイは、ディスクドライブ装置の横置き時には水平姿勢となり、縦置き時には、横置き使用時の左を上にした場合と、右を上にした場合とで異なる起立姿勢となる。以下では、ディスクドライブ装置におけるディスクトレイのスライド方向を「前後」(図示ではX方向)とし、ディスクトレイに対して垂直な方向を「表裏」(図示ではY方向)とし、起立姿勢のディスクトレイの上下方向を「上下」(図示ではZ方向)とする。
【0031】
図1および図2に示すように、ディスクドライブ装置1は、外殻を形成する装置ケース101の前面に形成されたディスク出入口102から、光ディスクDをセットするディスクトレイ3を出没させるものであって、光ディスクDをセット可能に構成されたディスクトレイ3と、ディスクトレイ3に着脱自在に装着されるディスクアタッチメント4と、ディスクトレイ3を、ディスク出入口102から出現したセット位置と、装置ケース101内のターンテーブル103(後述する)に臨むローディング位置との間でスライドさせるトレイ移動機構106とを備えている。
【0032】
ディスクトレイ3は、一般に普及している直径略12cmの大径ディスク(図示省略)と、直径8cmの小径ディスクDsとを選択的にセット可能に構成されており、起立姿勢時には、これにディスクアタッチメント4を装着したアタッチメント装置2により、小径ディスクDsを縦置きセットするようになっている(詳細は後述する。)。なお、光ディスクDは、読取面側をディスクトレイ3の載置面12(後述する)に向けてセットされる。
【0033】
また、ディスクドライブ装置1には、導入した光ディスクDが回転可能にセットされるターンテーブル103、ターンテーブル103の下部に設けられ、これを回転させるスピンドルモータ(図示省略)、ターンテーブル103を、ローディングまたはイジェクトされる光ディスクDとの干渉を回避した待機位置と、ローディングされた光ディスクDを支持可能な支持位置との間で移動させるターンテーブル移動機構(図示省略)、ターンテーブル103との間に光ディスクDを回転可能に挟持するクランパ(図示省略)、ターンテーブル103上で回転する光ディスクDの読取面に臨んで、記録されている情報を読み取るピックアップ機構(図示省略)、これらを収容する箱形のフレーム105等が備えられている。
【0034】
ディスクトレイ3は、セット位置に出現してユーザーにより光ディスクDがセットされた後、ディスク出入口102から装置内部に引き込まれ、セットした光ディスクDをターンテーブル103にセット可能なローディング位置まで移動する。
【0035】
そして、ローディング位置まで移動したディスクトレイ3上の光ディスクDに対し、読取面側からターンテーブル103が接近して、その中央のテーパ部(図示省略)が光ディスクDの中心孔Daに係合する。これにより、光ディスクDがディスクトレイ3の載置面12から僅かに離間すると共に、ターンテーブル103の中心に位置決めされた状態でセットされる。さらに、ターンテーブル103にセットされた光ディスクDは、クランパにより回転可能に挟持される。この状態で、光ディスクDを回転させながら、ピックアップ機構により読み取られていく。
【0036】
光ディスクDの回転駆動(再生等)が終了すると、クランパによる挟持状態が解除されると共に、ターンテーブル103が下降して、光ディスクDがディスクトレイ3に収容される。そして、光ディスクDを収めたディスクトレイ3は、その状態でセット位置へ移動し、光ディスクDを取り出し可能とする。
【0037】
続いて、本発明に係るディスクアタッチメント4を適用したアタッチメント装置2について説明する。アタッチメント装置2は、大径ディスクをセット可能な起立姿勢のディスクトレイ3に対し、予めこれに装着したディスクアタッチメント4を介して小径ディスクDsをセットするようにしたものである。
【0038】
図3に示すように、ディスクトレイ3は、全体形状として、長方形の板状をなし、樹脂材料で成形された部材である。ディスクトレイ3には、前端寄りに位置して、大径ディスクおよび小径ディスクDsを選択的に収容する浅溝状のディスク収容部11が形成されており、その底面、すなわち水平姿勢時に大径ディスクや小径ディスクが載置される載置面12に読取面を向けて、大径ディスクや小径ディスクDsがセットされる。また、ディスクトレイ3には、ディスク収容部11の中央部から後方にかけて、上記のターンテーブル103やピックアップ機構を臨ませるための大形の矩形窓13が開口形成されている。
【0039】
ディスク収容部11は、ディスクアタッチメントを装着しない状態において、水平姿勢で大径ディスクおよび小径ディスクをセット可能であると共に、起立姿勢で大径ディスクをセット可能に構成されており、大径ディスクを収容する大径収容部14と、小径ディスクDsを収容する小径収容部15とから構成されている。また、載置面12は、小径収容部15を除いた環状の大径載置面12aと、小径収容部15の小径載置面12bとから成っている。
【0040】
大径収容部14は、大径ディスクの厚さよりも十分に深く形成されていると共に、その周壁(大径周壁16)は、大径ディスクの直径より幾分大きい円形を為している。このため、大径ディスク(小径ディスクDsも同様)は、上記のターンテーブル103にセットされた際に、大径周壁16から僅かに離間した状態となるが、十分なクリアランスをもって回転することができる。なお、大径周壁16は、周壁傾斜部17を介して大径載置面12aに連なっている。すなわち、大径ディスクを大径収容部14の中心に設置できるように、大径載置面12aは大径周壁16よりもやや小さな円形(大径ディスクよりも僅かに大径)を為している。
【0041】
また、大径周壁16は、上下両側の一部が切り欠かれている(切欠き部18)。大径ディスクをセットすると、各切欠き部18から大径ディスクの上下両端部が僅かにはみ出すようになっており、把持した大径ディスクを大径収容部14にセットしやすくなっている。
【0042】
大径載置面12aには、ディスクトレイ3の前後方向に長い長円形の位置決め開口19(位置決め凹部)が、上下対称となる位置にそれぞれ形成されている。各位置決め開口19には、後述するディスクアタッチメント4の一対の位置決め凸部49(図5参照)がその両端部に係合するようになっている。なお、位置決め開口19に代えて、一対の位置決め凸部49に対応させた前後一対の位置決め孔(または凹部)を形成してもよい。この場合、操作性を考慮して、一対の位置決め孔の一方を、ディスクトレイ3の前後方向に長い長孔とすることが好ましい。
【0043】
一方、小径収容部15は、大径ディスクと略同心状且つ大径載置面12aからさらに浅く窪んだ浅溝状に形成されており、その周壁(小径周壁20)が小径ディスクの直径より僅かに大きい円形を為すと共に、小径ディスクDsの厚さと略同じ深さに形成されている。
【0044】
このように大径収容部14および小径収容部15が構成されていることで、水平姿勢のディスクトレイ3に対し、大径ディスクおよび小径ディスクDsを略同心に横置きで選択的にセットすることができる。このため、大径ディスクおよび小径ディスクDsのいずれをセットした場合にも、ローディングおよびイジェクトを適切に行うことができる。なお、本実施形態では、ディスクトレイ3が水平姿勢でも使用されるため、このように大径収容部14内に小径収容部15を形成したが、起立姿勢専用の場合には、小径収容部15を形成しなくともよい。
【0045】
ところで、上述したように、ディスクトレイ3は、水平姿勢で使用されるのみならず、起立姿勢でも使用される。起立姿勢時には、ディスク収容部11の載置面12に読取面側を向けて収容された光ディスクDが、ディスクトレイ3の移動時等に、表面側(レーベル面側)に倒れてしまうおそれがある。
【0046】
そのため、ディスク収容部11(大径収容部14)は、大径周壁16の表面側先端部から内側に突出し、大径ディスクをセット位置に位置規制する2組の規制突起21を有している。すなわち、大径周壁16には、上記の2種類の起立姿勢に対応して、起立姿勢時において上下対称となる位置に、同一形態の2組の規制突起21が形成されている。各組の規制突起21は、前後一対の係止爪22で構成されている。なお、各組一対の係止爪22のうち、手前側の係止爪22の方が、上下方向の外側に設けられている。
【0047】
起立姿勢のディスクトレイ3に対して、大径ディスクは、大径収容部14の下方に幾分偏心して収容され、下側となった切欠き部18から大径ディスクの下部がややはみ出す。そして、上下2組の規制突起21のうち、下側の規制突起21により位置規制され、倒れが防止される。
【0048】
さらに、各切欠き部18の前後両端部では、一対の大径段部23を介して大径周壁16に連なっている。ディスクトレイ3が起立姿勢の場合には、上側からセットされた大径ディスクの下部が、下側となった方の一対の大径段部23に載り上げ、大径載置面12aから僅かに離間する。したがって、大径ディスクの上部を大径載置面12aに立て掛けた状態となり、大径ディスクはより表面側に倒れにくくなるため、安定的に大径ディスクを縦置きセットすることができる。なお、上側からセットされる大径ディスクの下部は、上記の周壁傾斜部17をガイドとして、各大径段部23に載り上げるようになっている。
【0049】
このように、起立姿勢のディスクトレイ3において、2組の規制突起21や2組の大径段部23がそれぞれ上下対称位置に設けられていることで、2種類の起立姿勢のいずれの場合にも、大径ディスクが表面側に倒れることが防止されている。
【0050】
一方、図1および図2に示したように、起立姿勢のディスクトレイ3に対し、小径ディスクDsをセットする場合には、ディスクアタッチメント4を介してセットされる。ディスクアタッチメント4は、全体として平面視略船形の板状に形成され、樹脂材料で一体成形されている。
【0051】
図4および図5に示すように、ディスクアタッチメント4は、セットされる小径ディスクDsと大径周壁16との間に配設され、ディスク収容部11(大径収容部14のうち、小径収容部15を除いた部分)に着脱自在に取り付けられるアタッチメント本体31と、アタッチメント本体31の径方向の内側に形成され、小径ディスクDsを支持した状態でセットする前後一対の周縁支持部32(ディスクセット部)と、前後一対の周縁支持部32の中間に形成された載上げ部36とから構成されている。
【0052】
アタッチメント本体31の縁部は、上側に凸となる円弧状に形成された下側円弧部33と、下側円弧部33の前後両端に連なり、大径周壁16に倣った円弧状に形成された前後の大径円弧部34と、周縁支持部32が形成されると共に、小径ディスクDsの外縁に対応した円弧状に形成された前後の小径円弧部35と、それをつなぐと共に、上側に載上げガイド36を突出させた直線部39と、各小径円弧部35および各大径円弧部34と連なる前後の屈曲部38とから構成されている。
【0053】
下側円弧部33の中間部には、長半円形状を有し、その裏面上端部において下側円弧部33の表面に連なる摘み片45が設けられている。この摘み片45は、ディスクアタッチメント4を取り外す際に、指先等で摘む部位となるものである。
【0054】
前後の大径円弧部34の下端部(下側円弧部33の前後両端部)には、一対の小片46が下側に突出形成されている。一対の小片46は、ディスクトレイ3の各組一対の大径段部23に対応しており、各小片46が各大径段部23と係合するようになっている。すなわち、各小片46は、裏面側が小段部47を介して極僅かに薄肉に形成され、この小段部47の部分で各大径段部23と接するようになっている。
【0055】
アタッチメント本体31の裏面には、中央部において前後に延びた補強リブ48と、補強リブ48の上側に設けられ円柱形状を有する前後一対の位置決め凸部49とが形成されている。一対の位置決め凸部を上記の位置決め開口19の両端部にそれぞれ係合させることで、ディスクアタッチメント4を適切な位置に位置決めした状態で、ディスク収容部11に装着することができる。
【0056】
一方、一対の周縁支持部32は、小径ディスクDsの外周縁部を2箇所で支持するものであって、それぞれ、断面略「V」字状に形成されている。すなわち、各周縁支持部32は、各小径円弧部35の周方向外側端部から表裏方向斜めにそれぞれ突設した一対の支持片51により構成されている。この一対の支持片51の基端側において、小径ディスクDsの外周縁部を、表裏両側から挟持するようにして小径ディスクDsを支持することができる。小径ディスクDsは、各支持片51に対して、外周縁部のエッジ部分で接している(図7(d)参照)。
【0057】
各周縁支持部32が断面略「V」字形状を有することで、その先端部において、小径ディスクDsを回転させるのに十分な間隙が形成される。すなわち、一対の支持片51の先端部の間隙は、小径ディスクDsを回転させるのに十分なものとなっている。このため、小径ディスクDsを安定的に縦置きセットすることができると共に、ローディング後には、小径ディスクDsを十分なクリアランスをもって回転させることができる。
【0058】
各周縁支持部32は、少なくとも先端側(ディスクアタッチメント4の径方向内側)が断面略「V」字形状を有すればよく、例えば、全体として断面略「Y」字形状であっても、上記の「V」字形状と同様な縦置きセット時の安定性および回転のクリアランスを実現することができる。また、その「V」字の角度(一対の支持片51が為す角度)は、ディスクセット時の安定性および回転のクリアランスを考慮して、90°から150°の範囲にあることが好ましく、110°から130°の範囲にあることがより好ましい。
【0059】
また、表側の支持片51には、小径ディスクDsの表側への倒れを確実に防止すべく、その先端部の周方向外側に位置して、径方向内側に突出する小爪52が形成されている。
【0060】
なお、本実施形態では、周縁支持部32を一対(2個)のもので構成したが、小径ディスクDsの外周縁部を少なくとも2箇所で支持するものであればよく、3個以上で構成してもよいし、一体的なもので2箇所以上を支持するようにしてもよい。
【0061】
載上げ部36は、詳細は後述するが、セットした小径ディスクDsの下部を表面側に載り上げさせるためのものであって、直線部39の上端面(の裏面側)から上側に突出形成されている。載上げ部36は、先端側から順に、長く形成された先端平坦部41と、先端平坦部41から表面側に向かって傾斜した中間傾斜部42と、短く形成された基端平坦部43とから成っており、先端平坦部41と中間傾斜部42とが、上側からセットされる小径ディスクDsの基端平坦部43への載上げを案内する載上げガイド37を構成している。
【0062】
このように構成されたディスクアタッチメント4は、アタッチメント本体31をディスクトレイ3の下側となる規制突起21に係止することで、ディスク収容部11に着脱自在に取り付けられる。すなわち、ディスクアタッチメント4を幾分弾性変形させ、一対の位置決め凸部49を、ディスクトレイ3の下側となる位置決め開口19に係合させると共に、規制突起21の各係止爪22により前後の大径円弧部34をそれぞれ表側から押えるようにして、係止させる。このとき、アタッチメント本体31の前後の大径円弧部34の端面が、大径周壁16上に載置された状態となる。
【0063】
なお、この場合、上述したように、各組一対の係止爪22のうち、手前側の係止爪22の方が、上下方向の外側(下側の規制突起21にあっては下側)に設けられているため、手前側の係止爪22は、対応する大径円弧部34の上下方向の略中間部を係止し、後側の係止爪22は、対応する大径円弧部34の上端部を係止するようになっている。
【0064】
また、ディスクアタッチメント4は、ディスク収容部11に装着された状態においては、上述したように、一対の小片46が、下側となる一対の大径段部23に接しており、さらに、一対の周縁支持部32のそれぞれ裏面側の支持片51先端部が、載置面12と接している。これにより、ディスクアタッチメント4は、載置面12に対してがたつくことなく装着される。
【0065】
さらに、起立姿勢のディスクトレイ3において、2組一対の規制突起21や2組の位置決め開口19がそれぞれ上下対称位置に設けられていることで、いずれの起立姿勢の場合にも、その姿勢に対応する一方の(下側となる)規制突起21および位置決め開口19を利用することで、アタッチメント本体31を係止することができる。したがって、いずれの起立姿勢の場合にも、小径ディスクDsを縦置きセットすることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、アタッチメント本体31を、一対の係止爪22に係止する構成であるが、装着方法はこれに限定されるものでなく、例えば、アタッチメント本体31の裏面にフックを設けると共に、載置面12にフックが係脱自在に係止するフック受け部を設け、このフックをフック受け部に係止させる構成であってもよい。もっとも、本実施形態のように、一対の係止爪22を利用して、アタッチメント本体31を係止することで、ディスクトレイ3に、このフック受け部のようなアタッチメント本体31を取り付けるための部位をあらためて設ける必要がない。
【0067】
一方、ディスクトレイ3に装着されたディスクアタッチメント4は、その摘み片45を摘んで、これを表面側に軽く引き上げるようにすることで、容易に取り外すことができる。したがって、大径ディスクをセットするためにディスクアタッチメント4を取り外す必要がある場合等に便利である。
【0068】
続いて、小径ディスクDs下部の載上げ部36への載上げについて説明する。ここでは、起立姿勢のディスクトレイ3に対し、ターンテーブル103にセットされた小径ディスクDsが、ターンテーブル103とクランパとの挟持が解除された後に、ディスクアタッチメント4を介して小径収容部15に収容される場合について説明するが、ユーザーが、セット位置に出現した起立姿勢のディスクトレイ3に対し、小径ディスクDsをセットする場合も同様である。
【0069】
図6に示すように、小径ディスクDsは、再生時、すなわちターンテーブル103とクランパとにより回転可能に挟持されたときには、ディスクトレイ3の載置面12から僅かに離間した状態となっている。載上げ部36においては、小径ディスクDsの外周縁部が先端平坦部41から離間し、水平方向(図示左右方向)において中間傾斜部42と略同じ位置にきている(図6(b)参照)。また、各周縁支持部32においては、これを構成する一対の支持片51の上端部の間隙(図示矢印の範囲内)に、小径ディスクDsの外周縁部が収まっている(図6(c)参照)。
【0070】
図7に示すように、小径ディスクDsの挟持が解除されると、小径ディスクDsは、自重により下方に移動し、小径収容部15の下方にやや偏心した状態で、ディスクアタッチメント4を介して縦置きセットされる。このとき、小径ディスクDsの下部が、載上げガイド37(先端平坦部41および中間傾斜部42)の表面をガイド面として下方に案内され、基端平坦部43に載り上げる(図7(b)参照)。このとき、基端平坦部43の表面には、小径ディスクDsの読取面のうち、プログラムエリア(データ領域)よりも外周の面にて接触するため、プログラムエリアを傷つけるようなことがない。なお、小径ディスクDsの下部が、中間傾斜部42に載上げた状態で留まるような構成であってもよい(図7(c)参照)。この場合には、中間傾斜部42に対しては、小径ディスクDsの外周縁部のエッジ部分で接することになる。
【0071】
また、載上げ部36への載上げと相前後して、小径ディスクDsの外周縁部の2箇所が、それぞれ一対の支持片51の間に入り込み、裏面側にやや傾いた状態で支持される(図7(d)参照)。
【0072】
このようにしてセットされた小径ディスクDsは、一対の周縁支持部32により外周縁部が支持された状態で載上げ部36(の基端平坦部43または中間傾斜部42)に下部が載り上げることで、その下部は載置面12から離間するが、その分、小径ディスクDsの上部は載置面12(小径載置面12b)に近づき、接するようになる。したがって、小径ディスクDsの上部を小径載置面12bに立て掛けた状態となり、小径ディスクDsのふらつきが防止され、より表面側に倒れにくくなるため、安定的に小径ディスクを縦置きセットすることができる。
【0073】
以上のように、本実施形態のアタッチメント装置2によれば、ディスクアタッチメント4を介して小径ディスクDsをセットすることで、ディスクトレイ3に小径ディスクDsをセットするための特別な加工を施す必要がなく、ディスクトレイ3全体の厚さが増すようなことがない。また、予めディスクトレイ3にディスクアタッチメント4を装着しておくことで、アダプターを用いる場合のように、小径ディスクDsをアダプターに装着させる必要がなく、読取面を誤って汚してしまうことを防止できる。したがって、起立姿勢のディスクトレイ3に小径ディスクDsを適切に縦置きセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスクドライブ装置において、ディスクトレイが装置外に出現した状態の斜視図である。
【図2】ディスクドライブ装置において、ディスクトレイが装置内に収容された状態の斜視図である。
【図3】ディスクアタッチメントが装着されるディスクトレイの平面図である。
【図4】ディスクトレイに装着したディスクアタッチメントの斜視図である。
【図5】(a)はディスクアタッチメントの正面図、(b)はその平面図、(c)はその背面図である。
【図6】(a)はディスクドライブ装置および回転時の小径ディスクを示す正面図、(b)はb−b線による断面図、(c)はc−c線による断面図である。
【図7】(a)はディスクドライブ装置およびこれに縦置きセットされた小径ディスクを示す正面図、(b)はb−b線による断面図、(c)は小径ディスクの下部が、中間傾斜部に載上げた状態におけるb−b線による断面図、(d)はd−d線による断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1…ディスクドライブ装置 2…アタッチメント装置 3…ディスクトレイ 4…ディスクアタッチメント 11…ディスク収容部 12…載置面 14…大径収容部 15…小径収容部 16…大径周壁 19…位置決め開口 21…規制突起 31…アタッチメント本体 32…周縁支持部 36…載上げ部 37…載上げガイド 45…摘み片 49…位置決め凸部 D…光ディスク Ds…小径ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも大径ディスクをセット可能な浅溝状のディスク収容部を有する起立姿勢のディスクトレイに、予め当該ディスクトレイに装着したディスクアタッチメントを介して小径ディスクをセットするようにしたディスクドライブ装置であって、
前記ディスクアタッチメントは、
セットされる前記小径ディスクと前記ディスク収容部の周壁との間に配設され、前記ディスク収容部に着脱自在に取り付けられるアタッチメント本体と、
前記アタッチメント本体の径方向の内側に形成され、前記小径ディスクを支持した状態でセットするディスクセット部と、
を備えたことを特徴とするディスクドライブ装置。
【請求項2】
前記ディスク収容部は、前記周壁から内側に突出し前記大径ディスクをセット位置に位置規制する規制突起を有し、
前記アタッチメント本体は、前記規制突起に係止されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
【請求項3】
前記ディスク収容部は、前記規制突起に対し上下対称位置に同一形態の規制突起を、さらに有していることを特徴とする請求項2に記載のディスクドライブ装置。
【請求項4】
前記ディスク収容部は、位置決め凹部を、さらに有し、
前記アタッチメント本体は、取り付けた状態で前記位置決め凹部に係合する位置決め凸部を、さらに有していることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
【請求項5】
前記アタッチメント本体は、前記ディスクアタッチメントを前記ディスク収容部から取り外すための摘み片を、さらに有していることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
【請求項6】
前記ディスクセット部は、前記小径ディスクの外周縁部を少なくとも2箇所で支持する周縁支持部を有し、
前記周縁支持部は、少なくとも先端側が断面「V」字状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
【請求項7】
前記ディスクアタッチメントは、前記起立姿勢時にセットした前記小径ディスクの下部を、当該小径ディスクの上部よりも前記ディスク収容部の載置面から離間させる載上げ部を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
【請求項8】
前記載上げ部は、上側からセットされる前記小径ディスクの載上げを案内する載上げガイドを有していることを特徴とする請求項7に記載のディスクドライブ装置。
【請求項9】
少なくとも大径ディスクをセット可能な浅溝状のディスク収容部を有する起立姿勢のディスクトレイに予め装着され、前記ディスク収容部に小径ディスクをセットするためのディスクアタッチメントであって、
セットされる前記小径ディスクと前記ディスク収容部の周壁との間に配設され、前記ディスク収容部に着脱自在に取り付けられるアタッチメント本体と、
前記アタッチメント本体の径方向の内側に形成され、前記小径ディスクを支持した状態でセットするディスクセット部と、
を備えたことを特徴とするディスクアタッチメント。
【請求項10】
前記アタッチメント本体は、前記ディスク収容部の周壁から内側に突出形成した前記大径ディスクをセット位置に位置規制する規制突起に、係止されることを特徴とする請求項9に記載のディスクアタッチメント。
【請求項11】
前記アタッチメント本体は、前記ディスク収容部に取り付けた状態で、前記ディスク収容部に形成した位置決め凹部に係合する位置決め凸部を、さらに有していることを特徴とする請求項9に記載のディスクアタッチメント。
【請求項12】
前記アタッチメント本体は、前記ディスク収容部から取り外すための摘み片を、さらに有していることを特徴とする請求項9に記載のディスクアタッチメント。
【請求項13】
前記ディスクセット部は、前記小径ディスクの外周縁部を少なくとも2箇所で支持する周縁支持部を有し、
前記周縁支持部は、少なくとも先端側が断面「V」字状に形成されていることを特徴とする請求項9に記載のディスクアタッチメント。
【請求項14】
前記起立姿勢時にセットした前記小径ディスクの下部を、当該小径ディスクの上部よりも前記ディスク収容部の載置面から離間させる載上げ部を、さらに備えたことを特徴とする請求項9に記載のディスクアタッチメント。
【請求項15】
前記載上げ部は、上側からセットされる前記小径ディスクの載上げを案内する載上げガイドを有していることを特徴とする請求項14に記載のディスクアタッチメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−234195(P2007−234195A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57886(P2006−57886)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】