ディスク再生機
【課題】
比較的大きな部品であるクランパ支持体を小形化するとともに、クランパによるディスクの円滑な心出しを可能にする。
【解決手段】
クランパ支持体124のフローティングシャーシ60に対する回動中心軸を、ターンテーブル13の中心軸線より奥側位置において前記フローティングシャーシ60の左右側板間66,67に設定し、前記ターンテーブル13の中心軸線から前記回動中心軸までの距離Kを、ディスクの中心孔径より大きく、その2倍以内に設定する。
比較的大きな部品であるクランパ支持体を小形化するとともに、クランパによるディスクの円滑な心出しを可能にする。
【解決手段】
クランパ支持体124のフローティングシャーシ60に対する回動中心軸を、ターンテーブル13の中心軸線より奥側位置において前記フローティングシャーシ60の左右側板間66,67に設定し、前記ターンテーブル13の中心軸線から前記回動中心軸までの距離Kを、ディスクの中心孔径より大きく、その2倍以内に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的大きな部品であるクランパ支持体を小形化するとともに、クランパによるディスクの心出しを円滑にしたディスク再生機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クランパを支持したクランパ支持体を回動させて、クランパをターンテーブルに接近させ、クランパとターンテーブルとでディスクを挟持するディスク再生機が種々提案されている。
【0003】
特開平9−128859号には、次のようなディスククランプ装置が記載されている。
すなわち、クランパ8はクランプアーム(クランパ支持体)6に回転自在に支持され、クランプアーム6の支持軸(回動中心軸)5はユニットシャーシ1の最奥端部に設け、コイルばね9によってシャーシ1とクランプアーム6との間にディスク挟持圧を生じさせるようにしている。また、前記クランプアーム6の先部6aには、クランパ8のピポット8bを押す押圧板7が固定されている。
【0004】
そして、ディスク挿入時にはクランプアーム6が支持軸5を中心に回動して、クランパ8と回転テーブル(ターンテーブル)4とでディスクを挟持し、ディスクの再生を行う。
【特許文献1】特開平9−128859号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開平9−128859号公報に開示されたディスククランプ装置では、クランパ支持体の回動中心軸がシャーシの最奥端部にある。そのため、クランパ支持体は、ディスク再生機の最奥端部からクランパにおよぶ比較的大きな部品となっていた。
さらに、一般的に、クランパにはディスクの中心孔に嵌合する略円錐台形突部が設けられ、この突部のテーパ面をディスクの中心孔縁部に摺接させて、ディスクの心出しを行うようにしているので、心出しが円滑に行われるようにするためにはテーパ面の角度を小さくする方が望ましい。ところが、この角度を小さくすると心出し可能なディスク偏心量が減少してしまうので、この偏心量を減少させないためには突部の高さを高くしなければならず、ディスク再生機の大形化を招いてしまい、心出しの円滑化と小形化との両立が困難となる問題があった。
【0006】
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたもので、クランパの略円錐台形突部の高さを高くすることなく、クランパによるディスクの心出しが円滑に行える、小形化に適したディスク再生機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ターンテーブルを支持したシャーシに、クランパを支持したクランパ支持体を回動自在に装着し、該クランパ支持体の回動によりクランパをターンテーブルに接近させて該クランパの略円錐台形突部をディスクの中心孔に嵌合させて心出しを行い、ばねによってターンテーブルとクランパとの間にディスク挟持圧を付与するディスク再生機において、前記クランパ支持体の前記シャーシに対する回動中心軸を、前記ターンテーブルの中心軸線より奥側位置において前記シャーシの左右側板間に設定し、ターンテーブルの中心軸線から前記回動中心軸までの距離を、ディスクの中心孔径より大きく、その2倍以内に設定する。
【0008】
前記クランパ支持体の奥側縁部は、中央から左方および右方にかけて奥側へ傾斜させ、挿入されたディスクが該奥側縁部を通過して装填されるようにするとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のディスク再生機によれば、クランパ支持体は、特にディスク挿出方向の寸法が極端に小さく、左右方向に細長い部品となり、従来のクランパ支持体より大幅に小形化できる。また、クランパ支持体の長手方向の両端をシャーシの左右側板間に取付けるので、従来のようにディスク挿出方向に長いクランパ支持体を奥側のみで取付けるよりも、クランパ支持体の取付け強度を高めることもできる。
【0010】
また、ターンテーブルの中心軸線とクランパ支持体の回動中心軸との間の距離が大幅に短縮されるので、クランパのターンテーブルに対する離間寸法を一定とすると、クランパ支持体の回動角度が大きくなり、クランパもターンテーブルに対して大きく回動しながら離接するようになる。そして、クランパ側の略円錐台形突部のテーパ面がディスク中心孔の縁部に摺接し始めるとき、該テーパ面最先は、ディスクに対する傾き分だけディスク中心孔の縁部に対する角度が緩やかになる。その結果、心出しの円滑性は不利になるが、心出し可能なディスク偏心量は増加傾向となる。従って、該テーパ面の角度を小さくして心出しの円滑性を維持し、同時にクランパの高さを押さながら心出し可能なディスク偏心量も維持することができ、心出しの円滑化と小形化との両立を図ることができる。
【0011】
さらに、クランパ支持体の奥側縁部を、中央から左方および右方にかけて奥側へ傾斜させて、ディスクがクランパ支持体の奥側縁部を通過するようにしたことにより、ディスクが奥側縁部に接触したとしても、ディスクの上面の接触を回避でき、ディスク縁部の接触のみに止めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は車載用のディスク再生装置の機構部1の外観を示す斜視図である。前記ディスク再生装置の機構部1の正面には、ディスクDを挿出するディスク挿入口2が設けられている。矢印Aはディスク挿入方向を示し、その逆方向はディスク排出方向となる。そして、これらディスク挿入方向とディスク排出方向とを合わせて、ディスク挿出方向とする。
【0013】
図2は、前記ディスク再生装置の機構部1を上ユニット3と下ユニット4とに分けて示し、さらに下ユニット4の一部であるピックアップユニット5とクランプ機構6とを分けて示す分解斜視図である。
図3は前記上ユニット3を示す平面図であり、図4は前記下ユニット4からピックアップユニット5とクランプ機構6とを除いた部位を示す平面図である。また、図5はピックアップユニット5を示す平面図である。
【0014】
前記上ユニット3は、図2及び図3に示すように、上フレーム7及びディスク検知機構8で構成されている。前記下ユニット4は、図2、図4及び図5に示すように、下フレーム10と、この下フレーム10に取り付けられる3個の緩衝部材よりなるダンパ11と、搬送ローラ機構12と、ターンテーブル13やピックアップ14を含むピックアップユニット5と、クランプ機構6等で構成されている。
前記上フレーム7と下フレーム10とで固定シャーシ15を構成する。
【0015】
図2及び図3の如く、略矩形状の金属板からなる前記上フレーム7は、天板18の四辺より下方に折曲形成された側板を有し、その左右側板19,20のディスク挿出方向における前部及び後部にそれぞれ重ね合せ部21,22を設けている。
【0016】
また図2及び図4の如く、略矩形状の金属板からなる前記下フレーム10は、底板23の四辺より上方に立上がる側板を有し、その左右側板24,25のディスク挿出方向における前部及び後部に、夫々重ね合せ部26,27を設けている。そして、上フレーム7と下フレーム10との合体は、互いの対応する重ね合せ部同志を重ね合わせ、夫々の後部重ね合わせ部22,27をねじ28(図2において右方のみ記載)にて固定する(図1参照)ことにより行なっている。
【0017】
図2及び図3の如く、前記天板18には、ほぼ中央に大きく開口した開口部29を設けるとともに、この開口部29に対しディスク挿出方向に直交する方向に位置して、第一及び第二上方被係合部である一対の延出片30を下方へ延出させている。そして、前記天板18の前部には、上面側から下方に向けて押出し加工した左右方向に長い凹みを形成してその部位を装着部31としている。さらに、天板18と装着部31との間の段差部32には、適宜切欠部33を設けている。また、装着部31には、ガイド部34を形成している。
【0018】
前記ディスク検知機構8は、左右一対の水平回動自在なディスク検知部材35,36と、両検出部材35,36間に掛渡されたコイルばね37(図3に仮想線で示す)と、係止レバー38と、図示しないスイッチとで構成されている。ディスク検知機構8は、装着部31の上面に取付けられている。
【0019】
前記ディスク検知部材35,36は、ディスクが挿入されたことを検知するもので、装着部31の上面に突設された一対の支軸39にそれぞれ回動自在に装着され、前記ディスク挿入口2の近傍まで延長された各延長端には下方に延びた検知部40,41(図2参照)を有している。
【0020】
ディスク検知部材35には、図中右方へ延出した連結片42が形成されており、その先端には連結ピン43が上方へ向けて形成されている。一方、ディスク検知部材36には、図中左方へ延出した連結片44が形成されており、その先端付近には連結溝45が形成されている。そして、前記連結ピン43をこの連結溝45に係合させて、両ディスク検知部材35,36が左右対称に同期回動するようにしている。
【0021】
両ディスク検知部材35,36は、前記切欠部33の範囲内で回動自在となっており、前記コイルばね37の付勢力により装着部31の上面に形成された一対のストッパ部46の夫々に一部を当接させて、初期位置を維持している。また、前記検知部40,41の近傍には弾性片47,48が設けられ、これらの弾性片47,48を装着部31の上面に弾性的に常時圧接させて、検知部材35,36の振動によるラットルノイズの発生を防止するようにしている。
【0022】
前記係止レバー38は装着部31の上面に突設された支軸49に回動自在に装着され、ディスクが再生位置に挿入されたとき該ディスク検知部材35,36を回動位置に係止する。この係止レバー38には、一端に一方のディスク検知部材36に嵌合するピン50、他端にディスク搬送経路内に位置して搬送途中のディスクの外周に摺接する図示しない摺接ピンが、それぞれ形成されている。そして係止レバー38は、時計方向に極めて弱いばねで回動付勢されている。
【0023】
図2及び図4の如く、前記下フレーム10の底板23には、大きく開口した大開口部52を設け、その大開口部52周辺の底板23上面3箇所には、前記ダンパ11を固着する固定部53を設けている。また、左側板24後部付近において、底板23を上方へ向けて押出し加工にて山形形状とした押出し部54を設け、その前方位置に、左側板24の一部を装置内側へ向けて切曲げした切曲げ部55を設けている。この切曲げ部55には、略D字状の被係合部である孔56が設けられている(図11参照)。さらに、図中右方には右側板25より内側に向けて形成された前方及び後方被係合部である一対の折曲部57が設けられている。そして、前方及び後方折曲部57,57を前記孔56より手前側及び奥側に夫々設けている。
【0024】
前記底板23の固定部53には、前記3箇のダンパ11の各台座58を固着し、各ダンパ11の有底筒部59を前記ピックアップユニット5の一部に取付けて、ピックアップユニット5がこれらのダンパ11を介して、下フレーム10に対してフローティング状態に支持されるようにしている。また、下フレーム10の左右側板24,25のディスク挿入口2近傍には、前記搬送ローラ機構12が配置されている。
【0025】
前記ピックアップユニット5は、図2及び図5に示すように、一部を仮想線で示すフローティングシャーシ60に、ピックアップ駆動機構61、ローディング機構62、ディスク回転機構63を取り付けて構成されている。
【0026】
フローティングシャーシ60は金属板製で、ほぼ四角形をなす平板部65と、上方へ折り曲げた左右側板66,67と、下方へ折り曲げた前板68と、上方へ折り曲げた後板69とを有している。前記平板部65には、図5中ほぼ中央から左上方に向けて長い矩形孔70を有し、この矩形孔70の内側にピックアップ14が矩形孔70の長手方向に移動自在に配置されている。また、該矩形孔70の長手方向と平行にレール部71が設けられ、前記ピックアップ14の一部で、このレール部71を挟む構成となっている。この平板部65において、前記右側板67の近傍には溝72(仮想線で示す)が設けられている。さらに、この平面部65には、ディスクの挿入を規制する左右一対のストッパ片73を設けている。そして、前記矩形孔70の図中右方には第一モータ74が配置されている。
【0027】
前記ピックアップ駆動機構61は、前記ピックアップ14に挿通し前記レール部71と平行に配置される金属製の主ガイドレール75、一端に小ギヤ76を設けた合成樹脂製の送りねじ77、前記主ガイドレール75及び送りねじ77の両端を夫々支持する第一支持部材78,第二支持部材79、一端をピックアップ14に固定し他端を前記送りねじ77に当接させる薄板製のピックアップ送り板80で構成されている。前記主ガイドレール75、小ギヤ76、送りねじ77、第一、第二支持部材78,79は、前記フローティングシャーシ60の平板部65の下面側に配置される。
【0028】
前記ローディング機構62は、ピックアップ14をロックするロック部材82と、前記第一モータ74の駆動力を伝達する駆動力伝達手段83と、第一モータ74の駆動力を受け、図中前後に移動するスライド板84及びディスクが前記ターンテーブル13にチャッキングする直前を検知するトリガ部材85とで構成されている。また、図示しないが、前記ロック部材82にはこの部材を時計方向に付勢するばねが、前記トリガ部材85には反転ばねがそれぞれ取付けられている。
そして、前記ロック部材82、駆動力伝達手段83、トリガ部材85は、平板部65の下面側に配置され、前記スライド板84は、右側板67に配置される。
【0029】
前記ロック部材82は、略中央に回動支点86を設け、一方に摺接ピン87、他方にロック部88を設けている。なお、ロック部材82は、図示しないばねによって、時計方向に回動付勢されている。
【0030】
図6はスライド板84とその周辺部品との関係を示す側面図であり、スライド板84の図中中央上部にはカム溝89を設けている。このカム溝89の下方には、前方及び後方被係合部である上下方向の幅が狭いスリット部90,91と、上下方向幅広の逃げ部92,93とからなる一対の貫通孔94,95を設けている。また、スライド板84の図6における左端には、ローラ位置切換部であるカム面96を設けている。さらに、図5に示す如く、スライド板84には、図中左方に突出した被押圧部97が設けられている。
【0031】
前記トリガ部材85は、一端側に上方へ延出する被当接部98、他端側にラック99、中間部に回動軸100を、夫々設けている。さらに、他端部には上方に突出するボス101も設けている。このボス101は、前記フローティングシャーシ60の溝72に挿通させている。
【0032】
前記ディスク回転機構63は、前記矩形孔70の図中最前部に取付けられた第二モータ102と、この第二モータ102の軸に直結された前記ターンテーブル13とで構成されている。
【0033】
前記駆動力伝達手段83は、図5及び図7の如く、ギヤ群を主体とし、前記第一モータ74の駆動力を、搬送ローラ機構12等又はピックアップ駆動機構61に適宜伝達する切換手段103と、第三支持部材104と、第四支持部材105とで構成されている。
【0034】
ギヤ群は、前記第一モータ74のシャフトに装着されたウォームギヤ106と、二段ギヤよりなる第一ギヤ107、第二ギヤ108及び第三ギヤ109と、三段ギヤよりなる第四ギヤ110と、ディスク挿出方向に長く両端部に第一ウォーム111,第二ウォーム112を一体形成した第五ギヤ113と、前記第四支持部材105に取付けられる、二段ギヤよりなる第六ギヤ114と、連結ギヤである第七ギヤ115とで構成されている。この第七ギヤ115は、前記スライド板84のカム面96に近い位置に配置されている。
【0035】
前記切換手段103は、仮想線で示す金属板製の切換板116と、この切換板116に取付けた前記第二ギヤ108とで構成される。前記切換板116は、図中下端部が右方に曲がった形状をなし、その先端を押圧部117とし、図中上端に円弧部118と傾斜部119とからなるカム部120を有し、中間部を前記第一ギヤ107と共通の軸121に回動自在に軸支されている。前記第二ギヤ108は前記カム部120と軸121とのほぼ中間位置に回転自在に軸支されている。そして、切換板116の回動により第二ギヤ108を、第三ギヤ109又は第四ギヤ110に適宜噛合させて、前記第一モータ74の駆動力をピックアップ駆動機構61又は搬送ローラ機構12に伝達するようにしている。
【0036】
第一ギヤ107は、前記フローティングシャーシ60の裏面側に軸支され、一段目の大ギヤをヘリカルギヤとして、このヘリカルギヤをウォームギヤ106に噛合させている。第一ギヤ107の二段目の小ギヤは第二ギヤ108の大ギヤに常時噛合させている。第四ギヤ110は、前記フローティングシャーシ60の裏面側に軸支され、中ギヤを第五ギヤ113の第一ウォーム111に噛合させている。
【0037】
第五ギヤ113は、第一ウォーム111側を前記第三支持部材104に支持され、第二ウォーム112側を第四支持部材105に回転自在に支持されている。この第三支持部材104及び第四支持部材105は前記フローティングシャーシ60の裏面側に取付けられている。第五ギヤ113の第二ウォーム112は第四支持部材105に回転自在に取付けられた第六ギヤ114の小ギヤと噛合している。この小ギヤはヘリカルギヤである。第六ギヤ114の大ギヤは同じく第四支持部材105に回転自在に取付けられた第七ギヤ115に噛合させている。また、第三ギヤ109の大ギヤはピックアップ駆動機構の一部である前記小ギヤ76に常時噛合させている。
【0038】
図7に示すように、第二ギヤ108の小ギヤが第四ギヤ110の大ギヤに噛合していると、第一モータ74の駆動力が前記搬送ローラ機構12に伝達され、切換板116が反時計方向に回動して、第二ギヤ108の大ギヤが第三ギヤ109の小ギヤと噛合すると、第一モータ74の駆動力がピックアップ駆動機構61に伝達される。
【0039】
前記クランプ機構6は、図8及び図9に示すように、クランパ122と、このクランパ122を回転支持する薄板製の支持板123と、この支持板123を取着し、前記クランパ122を前記ターンテーブル13に対して離接させるクランパ支持体124とで構成される。
【0040】
図9の如く、クランパ122は、図中上方に軸部125と、図中下方にディスクの中心孔に嵌合する略円錐台形突部126とを有し、この略円錐台形突部126の先端外周縁にディスクの心出し用テーパ127を有している。
【0041】
クランパ122は、前記軸部125を前記支持板123の一端側にて回転自在に支持され、支持板123は、他端側をクランパ支持体124に固着され、ターンテーブル13とクランパ122とでディスクを挟持するときは、支持板123の一部でクランパ122の軸端を弾性的に押圧してターンテーブル13とクランパ122との間にディスク挟持圧を付与するようにしている。
【0042】
クランパ支持体124は、図8に示すように、左右方向に細長い板金製で、平板128の左右端に下方へ折り曲げられた側板129,130を有している。そして平板128には、略菱形状の第一及び第二上方係合部である一対の菱孔131,132を設け、各菱孔131,132には、図中左右角部にそれぞれストレート溝133,134を形成している。クランパ支持体124の図中奥側縁部135は、中央から左方及び右方にかけて僅かに奥側へ傾斜するように形成されている。また、右側板130の図中前端部には係合ピン136が取着されており、この係合ピン136は、前記スライド板84のカム溝89(図6参照)に嵌合する。
【0043】
前記左側板129は、図9に示すように一部を下方へ延長し、該延長部の下端部が二股形状に形成されており、図中右側を係合部である第一片137、左側を第二片138としている。また、左右側板129,130(左側版129のみ図示)には、それぞれ軸孔139が設けられており、各軸孔139は前記フローティングシャーシ60の左右側板66,67(図5参照)にそれぞれ設けられた突部(図示せず)に係合し、クランパ支持体124は、それらの突部を中心に回動自在となっている。
【0044】
また、前記クランパ支持体124の前記フローティングシャーシ60に対する回動中心軸(両軸孔139の中心間を結ぶ線)は、前記ターンテーブル13の中心軸線より距離Kだけ奥側にあり、距離KはディスクDの中心孔径(15mm)より大きく、かつ、その2倍(30mm)以内、例えば25mm程度に設定される。さらに、前記クランパ支持体124の奥側縁部135は、中央から左方及び右方にかけて奥側へ僅かに傾斜させている。
【0045】
搬送ローラ機構12は、図4及び図10の如く、搬送ローラ141と、ローラブラケット142とで構成されている。
【0046】
搬送ローラ141は、外方端から内方端にかけて漸次小径となる一対の合成ゴム製テーパ筒体143に金属製の軸144を挿通させて構成されている。軸144の両端はテーパ筒体143の外方端から突出し、その突出する軸144の一端側には前記駆動力伝達手段83(図5参照)の一部であるローラギヤ145を、また他端側にはカラー146を、夫々を取付けている。
【0047】
ローラブラケット142は金属板よりなるもので、左右に長い連結板147の左右端に、上方へ向けて折曲形成された左右側板148を有し、これらの左右側板148を連結板147より奥側へ延出させている。左右側板148は、各内面側の略中間部に絞り加工による凸状筒部149をそれぞれ有し、各凸状筒部149を下フレーム10(図2参照)の左右側板24,25に形成された溝150(一方のみ仮想線で示す)に嵌合させ、凸状筒部149,149を支点として、上下回動自在に装着される。また、左右側板148間の延出部で搬送ローラ141の軸144両端を回転自在に支持するようにしている。
【0048】
前記連結板147の後縁は裏面側に向けて折曲された山折縁部151となっている。この山折縁部151は、平面図上ではほぼ左右対称となるV形凹状ともなっているが、その傾斜角度は、ローラの軸心線に対して約1°程度の僅かなものである。また、連結板147の前縁には上方に向けて屈曲した左右一対の屈曲部152が設けられている。これらの屈曲部152は、搬送ローラ141が下方位置にあるとき、すなわち、ディスクが再生位置に挿入されているときは上方位置にあってディスク挿入口2(図1参照)を塞いで、ディスクの二重挿入を防止する。さらに図10に示すように、前記ローラブラケット142の右側板148の最奥部には、外方へ向けて略直角に曲げられた折曲片153が設けられている。なお、ローラブラケット142は図示しないばねにより、搬送ローラ141を上昇させる方向に常時付勢されている。
【0049】
次にディスク再生機の機構部1の動作について説明する。
まず、ディスク再生機の機構部1のディスク搬送状態を説明する。
ディスクが挿入されていない状態では、前記フローティングシャーシ60は固定シャーシ15に対して固定された状態となっている。この固定された状態とは、フローティングシャーシ60またはフローティングシャーシに取り付けられた部品が固定シャーシ15に嵌合している状態を示す。搬送ローラ141は、ディスク搬送位置に位置されている。
【0050】
具体的には、図2に示す如く、前記固定シャーシ15の一部である上フレーム7に設けられた一対の延出片30が、前記フローティングシャーシ60に取付けられたクランパ支持体124の一対の菱孔131,132に嵌合されている。図11に示す如く、ストレート部133,134に前記一対の延出片30が挿入され、これにより、ディスク挿出方向及びディスク挿出方向に直交する方向(図中上下方向及び左右方向)の動きを規制している。
さらに、図12に示す如く、スライド板84がディスク排出方向(図中左方)に位置し、一対の折曲部57がそれぞれ対応するスリット部90,91内にあり、固定シャーシ15に対するフローティングシャーシ60の上下方向(再生機厚み方向)の動きを規制している。
【0051】
また、図13に示す如く、前記固定シャーシ15の一部である下フレーム10の左側版24に設けられた切曲げ部55(図2,図4参照)の孔56には、フローティングシャーシ60に取付けられた前記クランパ支持体124の第一片137が挿入されている。これにより、ディスク挿出方向に垂直に交わる方向(図中上下方向)が固定されている。さらに、図6に示す如く、前記スライド板84のスリット部90,91に前記下フレーム10に設けられた一対の折曲部57(図4参照)が挿入され、これにより、ディスク挿出方向に垂直に交わる方向(図中上下方向)が固定されている。
【0052】
このような前記フローティングシャーシ60が固定された状態でディスクの挿入を行う。
図14は、ディスク挿入口2よりディスクDをディスク検知部材35,36の検知部40,41間に挿入し、ディスクの外周面が両検知部40,41に接触した状態を示している。この状態から、ディスクDを、その外周面で検知部40,41間を押し広げながら挿入すると、ディスク検知部材35,36が回動する。すると、図示しないスイッチがオンされて、ディスクが挿入されたことを検知して第一モータ74(図7参照)が起動する。
【0053】
前記第一モータ74が起動すると、図6に示す如く、スライド板84が図中右方に移動する。スライド板84の移動に伴い前記搬送ローラ141が、ディスク搬送位置へ移動し、かつ、第一モータ74に回転駆動され、ディスクDを搬送する。これによってディスクDは、図8に仮想線で示す如く、クランパ支持体124の奥側縁部135を通過する。そして、ディスクDは所定の再生位置より僅か奥側まで搬送される。(図示せず)
【0054】
また、スライド板84の移動に伴い、図6の如く、クランパ支持体124の係合ピン136がカム溝89に沿って下降する。この過程では、図9の如く、クランパ支持体124は、軸139を中心に図中時計方向に回動し、クランパ122が仮想線で示した位置から実線で示した位置まで下降する。このとき、図16の如く、略円錐台形突部126のディスク心出し用テーパ127をディスクDの中心孔上縁に摺接させてディスクDの心出しを行ないながら略円錐台形突部をディスクの中心孔に嵌合させる。同時に、スライド板84の移動で固定シャーシ15に対するフローティングシャーシ60の固定が図15のように解除される。
【0055】
この嵌合の際、ターンテーブル13の中心軸線(図9参照)とクランパ支持体124の回動中心軸との間の距離が大幅に短縮されているので、クランパ支持体124の回動角度が大きくなり、クランパ122もターンテーブル13に対して大きく回動しながら離接する。そして、クランパ122側の略円錐台形突部126のテーパ127がディスク中心孔の縁部に摺接し始める際、該テーパ127のディスクD中心孔縁部に対する角度は、クランパ122の、ディスクに対する傾き分だけ緩やかになっている。
【0056】
そして、クランパ122と前記ターンテーブル13とでディスクDを挟持し、ディスクDはディスク再生位置に位置決めされて、ディスク再生準備が完了する。
【0057】
以上の構成によれば、クランパ支持体124は、特にディスク挿出方向の寸法が極端に小さく、左右方向に細長い部品となり、従来のクランパ支持体より大幅に小形化できる。また、クランパ支持体124の長手方向の両端をフローティングシャーシ60の左右側板66,67間に取付けるので、従来のようにディスク挿出方向に長いクランパ支持体124を奥側のみで取付けるよりも、クランパ支持体124の取付け強度を高めることもできる。
【0058】
さらに、ターンテーブル13の中心軸線とクランパ支持体124の回動中心軸との間の距離が大幅に短縮されるので、クランパ122のターンテーブル13に対する離間寸法を一定とすると、クランパ支持体124の回動角度が大きくなり、クランパ122もターンテーブル13に対して大きく回動しながら離接するようになる。そして、クランパ122側の略円錐台形突部126のテーパ127がディスク中心孔の縁部に摺接し始めるとき、該テーパ127最先は、ディスクに対する傾き分だけディスク中心孔の縁部に対する角度が緩やかになる。
【0059】
一般にテーパの、ディスク中心孔縁部に対する角度が緩やかになると、心出しの円滑性は不利になるが、心出し可能なディスク偏心量は増加する。そこで、本発明ではターンテーブル131に対するクランパ122の回動角度が大きくなるので、該テーパ127の角度を小さくして心出しの円滑性を維持し、同時にクランパ122の高さを抑えながら心出し可能なディスク偏心量も維持することができ、心出しの円滑化と小形化との両立を図ることができる。
【0060】
さらに、クランパ支持体124の奥側縁部135を、中央から左方および右方にかけて奥側へ傾斜させて、ディスクがクランパ支持体124の奥側縁部135を通過して搬送されるようにしたことにより、ディスク上面の接触を回避でき、ディスクが奥側縁部135に接触したとしても、ディスク縁部の接触のみに止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ディスク再生機を示す斜視図。
【図2】ディスク再生装置の分解斜視図。
【図3】上ユニットを示す平面図。
【図4】下ユニットからピックアップユニットとクランプ機構とを除いた状態を示す平面図。
【図5】ピックアップユニットを示す平面図。
【図6】スライド板と周辺部品との関係を示す側面図。
【図7】駆動力伝達手段を示す平面図。
【図8】クランプ機構を示す平面図。
【図9】クランプ動作を示す左側面図。
【図10】搬送ローラ機構を示す斜視図。
【図11】クランパ支持体の菱孔と固定シャーシの延長片との関係を示す平面図。
【図12】ディスク未挿入状態におけるスライド板とクランパとの関係を示す側面図。
【図13】クランパ支持体の第一片と固定シャーシの被係合部孔との関係を示す正面図。
【図14】ディスク再生機の使用状態を示す平面図。
【図15】ディスク挿入状態におけるスライド板とクランパとの関係を示す側面図。
【図16】ディスク心出し用テーパ面とディスクとの関係を示す側面図。
【符号の説明】
【0062】
13 ターンテーブル
60 フローティングシャーシ
66 左側板
67 右側板
122 クランパ
124 クランパ支持体
135 奥側縁部
K ターンテーブルの中心軸線からクランパ支持体の回動中心軸までの距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的大きな部品であるクランパ支持体を小形化するとともに、クランパによるディスクの心出しを円滑にしたディスク再生機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クランパを支持したクランパ支持体を回動させて、クランパをターンテーブルに接近させ、クランパとターンテーブルとでディスクを挟持するディスク再生機が種々提案されている。
【0003】
特開平9−128859号には、次のようなディスククランプ装置が記載されている。
すなわち、クランパ8はクランプアーム(クランパ支持体)6に回転自在に支持され、クランプアーム6の支持軸(回動中心軸)5はユニットシャーシ1の最奥端部に設け、コイルばね9によってシャーシ1とクランプアーム6との間にディスク挟持圧を生じさせるようにしている。また、前記クランプアーム6の先部6aには、クランパ8のピポット8bを押す押圧板7が固定されている。
【0004】
そして、ディスク挿入時にはクランプアーム6が支持軸5を中心に回動して、クランパ8と回転テーブル(ターンテーブル)4とでディスクを挟持し、ディスクの再生を行う。
【特許文献1】特開平9−128859号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開平9−128859号公報に開示されたディスククランプ装置では、クランパ支持体の回動中心軸がシャーシの最奥端部にある。そのため、クランパ支持体は、ディスク再生機の最奥端部からクランパにおよぶ比較的大きな部品となっていた。
さらに、一般的に、クランパにはディスクの中心孔に嵌合する略円錐台形突部が設けられ、この突部のテーパ面をディスクの中心孔縁部に摺接させて、ディスクの心出しを行うようにしているので、心出しが円滑に行われるようにするためにはテーパ面の角度を小さくする方が望ましい。ところが、この角度を小さくすると心出し可能なディスク偏心量が減少してしまうので、この偏心量を減少させないためには突部の高さを高くしなければならず、ディスク再生機の大形化を招いてしまい、心出しの円滑化と小形化との両立が困難となる問題があった。
【0006】
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたもので、クランパの略円錐台形突部の高さを高くすることなく、クランパによるディスクの心出しが円滑に行える、小形化に適したディスク再生機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ターンテーブルを支持したシャーシに、クランパを支持したクランパ支持体を回動自在に装着し、該クランパ支持体の回動によりクランパをターンテーブルに接近させて該クランパの略円錐台形突部をディスクの中心孔に嵌合させて心出しを行い、ばねによってターンテーブルとクランパとの間にディスク挟持圧を付与するディスク再生機において、前記クランパ支持体の前記シャーシに対する回動中心軸を、前記ターンテーブルの中心軸線より奥側位置において前記シャーシの左右側板間に設定し、ターンテーブルの中心軸線から前記回動中心軸までの距離を、ディスクの中心孔径より大きく、その2倍以内に設定する。
【0008】
前記クランパ支持体の奥側縁部は、中央から左方および右方にかけて奥側へ傾斜させ、挿入されたディスクが該奥側縁部を通過して装填されるようにするとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のディスク再生機によれば、クランパ支持体は、特にディスク挿出方向の寸法が極端に小さく、左右方向に細長い部品となり、従来のクランパ支持体より大幅に小形化できる。また、クランパ支持体の長手方向の両端をシャーシの左右側板間に取付けるので、従来のようにディスク挿出方向に長いクランパ支持体を奥側のみで取付けるよりも、クランパ支持体の取付け強度を高めることもできる。
【0010】
また、ターンテーブルの中心軸線とクランパ支持体の回動中心軸との間の距離が大幅に短縮されるので、クランパのターンテーブルに対する離間寸法を一定とすると、クランパ支持体の回動角度が大きくなり、クランパもターンテーブルに対して大きく回動しながら離接するようになる。そして、クランパ側の略円錐台形突部のテーパ面がディスク中心孔の縁部に摺接し始めるとき、該テーパ面最先は、ディスクに対する傾き分だけディスク中心孔の縁部に対する角度が緩やかになる。その結果、心出しの円滑性は不利になるが、心出し可能なディスク偏心量は増加傾向となる。従って、該テーパ面の角度を小さくして心出しの円滑性を維持し、同時にクランパの高さを押さながら心出し可能なディスク偏心量も維持することができ、心出しの円滑化と小形化との両立を図ることができる。
【0011】
さらに、クランパ支持体の奥側縁部を、中央から左方および右方にかけて奥側へ傾斜させて、ディスクがクランパ支持体の奥側縁部を通過するようにしたことにより、ディスクが奥側縁部に接触したとしても、ディスクの上面の接触を回避でき、ディスク縁部の接触のみに止めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は車載用のディスク再生装置の機構部1の外観を示す斜視図である。前記ディスク再生装置の機構部1の正面には、ディスクDを挿出するディスク挿入口2が設けられている。矢印Aはディスク挿入方向を示し、その逆方向はディスク排出方向となる。そして、これらディスク挿入方向とディスク排出方向とを合わせて、ディスク挿出方向とする。
【0013】
図2は、前記ディスク再生装置の機構部1を上ユニット3と下ユニット4とに分けて示し、さらに下ユニット4の一部であるピックアップユニット5とクランプ機構6とを分けて示す分解斜視図である。
図3は前記上ユニット3を示す平面図であり、図4は前記下ユニット4からピックアップユニット5とクランプ機構6とを除いた部位を示す平面図である。また、図5はピックアップユニット5を示す平面図である。
【0014】
前記上ユニット3は、図2及び図3に示すように、上フレーム7及びディスク検知機構8で構成されている。前記下ユニット4は、図2、図4及び図5に示すように、下フレーム10と、この下フレーム10に取り付けられる3個の緩衝部材よりなるダンパ11と、搬送ローラ機構12と、ターンテーブル13やピックアップ14を含むピックアップユニット5と、クランプ機構6等で構成されている。
前記上フレーム7と下フレーム10とで固定シャーシ15を構成する。
【0015】
図2及び図3の如く、略矩形状の金属板からなる前記上フレーム7は、天板18の四辺より下方に折曲形成された側板を有し、その左右側板19,20のディスク挿出方向における前部及び後部にそれぞれ重ね合せ部21,22を設けている。
【0016】
また図2及び図4の如く、略矩形状の金属板からなる前記下フレーム10は、底板23の四辺より上方に立上がる側板を有し、その左右側板24,25のディスク挿出方向における前部及び後部に、夫々重ね合せ部26,27を設けている。そして、上フレーム7と下フレーム10との合体は、互いの対応する重ね合せ部同志を重ね合わせ、夫々の後部重ね合わせ部22,27をねじ28(図2において右方のみ記載)にて固定する(図1参照)ことにより行なっている。
【0017】
図2及び図3の如く、前記天板18には、ほぼ中央に大きく開口した開口部29を設けるとともに、この開口部29に対しディスク挿出方向に直交する方向に位置して、第一及び第二上方被係合部である一対の延出片30を下方へ延出させている。そして、前記天板18の前部には、上面側から下方に向けて押出し加工した左右方向に長い凹みを形成してその部位を装着部31としている。さらに、天板18と装着部31との間の段差部32には、適宜切欠部33を設けている。また、装着部31には、ガイド部34を形成している。
【0018】
前記ディスク検知機構8は、左右一対の水平回動自在なディスク検知部材35,36と、両検出部材35,36間に掛渡されたコイルばね37(図3に仮想線で示す)と、係止レバー38と、図示しないスイッチとで構成されている。ディスク検知機構8は、装着部31の上面に取付けられている。
【0019】
前記ディスク検知部材35,36は、ディスクが挿入されたことを検知するもので、装着部31の上面に突設された一対の支軸39にそれぞれ回動自在に装着され、前記ディスク挿入口2の近傍まで延長された各延長端には下方に延びた検知部40,41(図2参照)を有している。
【0020】
ディスク検知部材35には、図中右方へ延出した連結片42が形成されており、その先端には連結ピン43が上方へ向けて形成されている。一方、ディスク検知部材36には、図中左方へ延出した連結片44が形成されており、その先端付近には連結溝45が形成されている。そして、前記連結ピン43をこの連結溝45に係合させて、両ディスク検知部材35,36が左右対称に同期回動するようにしている。
【0021】
両ディスク検知部材35,36は、前記切欠部33の範囲内で回動自在となっており、前記コイルばね37の付勢力により装着部31の上面に形成された一対のストッパ部46の夫々に一部を当接させて、初期位置を維持している。また、前記検知部40,41の近傍には弾性片47,48が設けられ、これらの弾性片47,48を装着部31の上面に弾性的に常時圧接させて、検知部材35,36の振動によるラットルノイズの発生を防止するようにしている。
【0022】
前記係止レバー38は装着部31の上面に突設された支軸49に回動自在に装着され、ディスクが再生位置に挿入されたとき該ディスク検知部材35,36を回動位置に係止する。この係止レバー38には、一端に一方のディスク検知部材36に嵌合するピン50、他端にディスク搬送経路内に位置して搬送途中のディスクの外周に摺接する図示しない摺接ピンが、それぞれ形成されている。そして係止レバー38は、時計方向に極めて弱いばねで回動付勢されている。
【0023】
図2及び図4の如く、前記下フレーム10の底板23には、大きく開口した大開口部52を設け、その大開口部52周辺の底板23上面3箇所には、前記ダンパ11を固着する固定部53を設けている。また、左側板24後部付近において、底板23を上方へ向けて押出し加工にて山形形状とした押出し部54を設け、その前方位置に、左側板24の一部を装置内側へ向けて切曲げした切曲げ部55を設けている。この切曲げ部55には、略D字状の被係合部である孔56が設けられている(図11参照)。さらに、図中右方には右側板25より内側に向けて形成された前方及び後方被係合部である一対の折曲部57が設けられている。そして、前方及び後方折曲部57,57を前記孔56より手前側及び奥側に夫々設けている。
【0024】
前記底板23の固定部53には、前記3箇のダンパ11の各台座58を固着し、各ダンパ11の有底筒部59を前記ピックアップユニット5の一部に取付けて、ピックアップユニット5がこれらのダンパ11を介して、下フレーム10に対してフローティング状態に支持されるようにしている。また、下フレーム10の左右側板24,25のディスク挿入口2近傍には、前記搬送ローラ機構12が配置されている。
【0025】
前記ピックアップユニット5は、図2及び図5に示すように、一部を仮想線で示すフローティングシャーシ60に、ピックアップ駆動機構61、ローディング機構62、ディスク回転機構63を取り付けて構成されている。
【0026】
フローティングシャーシ60は金属板製で、ほぼ四角形をなす平板部65と、上方へ折り曲げた左右側板66,67と、下方へ折り曲げた前板68と、上方へ折り曲げた後板69とを有している。前記平板部65には、図5中ほぼ中央から左上方に向けて長い矩形孔70を有し、この矩形孔70の内側にピックアップ14が矩形孔70の長手方向に移動自在に配置されている。また、該矩形孔70の長手方向と平行にレール部71が設けられ、前記ピックアップ14の一部で、このレール部71を挟む構成となっている。この平板部65において、前記右側板67の近傍には溝72(仮想線で示す)が設けられている。さらに、この平面部65には、ディスクの挿入を規制する左右一対のストッパ片73を設けている。そして、前記矩形孔70の図中右方には第一モータ74が配置されている。
【0027】
前記ピックアップ駆動機構61は、前記ピックアップ14に挿通し前記レール部71と平行に配置される金属製の主ガイドレール75、一端に小ギヤ76を設けた合成樹脂製の送りねじ77、前記主ガイドレール75及び送りねじ77の両端を夫々支持する第一支持部材78,第二支持部材79、一端をピックアップ14に固定し他端を前記送りねじ77に当接させる薄板製のピックアップ送り板80で構成されている。前記主ガイドレール75、小ギヤ76、送りねじ77、第一、第二支持部材78,79は、前記フローティングシャーシ60の平板部65の下面側に配置される。
【0028】
前記ローディング機構62は、ピックアップ14をロックするロック部材82と、前記第一モータ74の駆動力を伝達する駆動力伝達手段83と、第一モータ74の駆動力を受け、図中前後に移動するスライド板84及びディスクが前記ターンテーブル13にチャッキングする直前を検知するトリガ部材85とで構成されている。また、図示しないが、前記ロック部材82にはこの部材を時計方向に付勢するばねが、前記トリガ部材85には反転ばねがそれぞれ取付けられている。
そして、前記ロック部材82、駆動力伝達手段83、トリガ部材85は、平板部65の下面側に配置され、前記スライド板84は、右側板67に配置される。
【0029】
前記ロック部材82は、略中央に回動支点86を設け、一方に摺接ピン87、他方にロック部88を設けている。なお、ロック部材82は、図示しないばねによって、時計方向に回動付勢されている。
【0030】
図6はスライド板84とその周辺部品との関係を示す側面図であり、スライド板84の図中中央上部にはカム溝89を設けている。このカム溝89の下方には、前方及び後方被係合部である上下方向の幅が狭いスリット部90,91と、上下方向幅広の逃げ部92,93とからなる一対の貫通孔94,95を設けている。また、スライド板84の図6における左端には、ローラ位置切換部であるカム面96を設けている。さらに、図5に示す如く、スライド板84には、図中左方に突出した被押圧部97が設けられている。
【0031】
前記トリガ部材85は、一端側に上方へ延出する被当接部98、他端側にラック99、中間部に回動軸100を、夫々設けている。さらに、他端部には上方に突出するボス101も設けている。このボス101は、前記フローティングシャーシ60の溝72に挿通させている。
【0032】
前記ディスク回転機構63は、前記矩形孔70の図中最前部に取付けられた第二モータ102と、この第二モータ102の軸に直結された前記ターンテーブル13とで構成されている。
【0033】
前記駆動力伝達手段83は、図5及び図7の如く、ギヤ群を主体とし、前記第一モータ74の駆動力を、搬送ローラ機構12等又はピックアップ駆動機構61に適宜伝達する切換手段103と、第三支持部材104と、第四支持部材105とで構成されている。
【0034】
ギヤ群は、前記第一モータ74のシャフトに装着されたウォームギヤ106と、二段ギヤよりなる第一ギヤ107、第二ギヤ108及び第三ギヤ109と、三段ギヤよりなる第四ギヤ110と、ディスク挿出方向に長く両端部に第一ウォーム111,第二ウォーム112を一体形成した第五ギヤ113と、前記第四支持部材105に取付けられる、二段ギヤよりなる第六ギヤ114と、連結ギヤである第七ギヤ115とで構成されている。この第七ギヤ115は、前記スライド板84のカム面96に近い位置に配置されている。
【0035】
前記切換手段103は、仮想線で示す金属板製の切換板116と、この切換板116に取付けた前記第二ギヤ108とで構成される。前記切換板116は、図中下端部が右方に曲がった形状をなし、その先端を押圧部117とし、図中上端に円弧部118と傾斜部119とからなるカム部120を有し、中間部を前記第一ギヤ107と共通の軸121に回動自在に軸支されている。前記第二ギヤ108は前記カム部120と軸121とのほぼ中間位置に回転自在に軸支されている。そして、切換板116の回動により第二ギヤ108を、第三ギヤ109又は第四ギヤ110に適宜噛合させて、前記第一モータ74の駆動力をピックアップ駆動機構61又は搬送ローラ機構12に伝達するようにしている。
【0036】
第一ギヤ107は、前記フローティングシャーシ60の裏面側に軸支され、一段目の大ギヤをヘリカルギヤとして、このヘリカルギヤをウォームギヤ106に噛合させている。第一ギヤ107の二段目の小ギヤは第二ギヤ108の大ギヤに常時噛合させている。第四ギヤ110は、前記フローティングシャーシ60の裏面側に軸支され、中ギヤを第五ギヤ113の第一ウォーム111に噛合させている。
【0037】
第五ギヤ113は、第一ウォーム111側を前記第三支持部材104に支持され、第二ウォーム112側を第四支持部材105に回転自在に支持されている。この第三支持部材104及び第四支持部材105は前記フローティングシャーシ60の裏面側に取付けられている。第五ギヤ113の第二ウォーム112は第四支持部材105に回転自在に取付けられた第六ギヤ114の小ギヤと噛合している。この小ギヤはヘリカルギヤである。第六ギヤ114の大ギヤは同じく第四支持部材105に回転自在に取付けられた第七ギヤ115に噛合させている。また、第三ギヤ109の大ギヤはピックアップ駆動機構の一部である前記小ギヤ76に常時噛合させている。
【0038】
図7に示すように、第二ギヤ108の小ギヤが第四ギヤ110の大ギヤに噛合していると、第一モータ74の駆動力が前記搬送ローラ機構12に伝達され、切換板116が反時計方向に回動して、第二ギヤ108の大ギヤが第三ギヤ109の小ギヤと噛合すると、第一モータ74の駆動力がピックアップ駆動機構61に伝達される。
【0039】
前記クランプ機構6は、図8及び図9に示すように、クランパ122と、このクランパ122を回転支持する薄板製の支持板123と、この支持板123を取着し、前記クランパ122を前記ターンテーブル13に対して離接させるクランパ支持体124とで構成される。
【0040】
図9の如く、クランパ122は、図中上方に軸部125と、図中下方にディスクの中心孔に嵌合する略円錐台形突部126とを有し、この略円錐台形突部126の先端外周縁にディスクの心出し用テーパ127を有している。
【0041】
クランパ122は、前記軸部125を前記支持板123の一端側にて回転自在に支持され、支持板123は、他端側をクランパ支持体124に固着され、ターンテーブル13とクランパ122とでディスクを挟持するときは、支持板123の一部でクランパ122の軸端を弾性的に押圧してターンテーブル13とクランパ122との間にディスク挟持圧を付与するようにしている。
【0042】
クランパ支持体124は、図8に示すように、左右方向に細長い板金製で、平板128の左右端に下方へ折り曲げられた側板129,130を有している。そして平板128には、略菱形状の第一及び第二上方係合部である一対の菱孔131,132を設け、各菱孔131,132には、図中左右角部にそれぞれストレート溝133,134を形成している。クランパ支持体124の図中奥側縁部135は、中央から左方及び右方にかけて僅かに奥側へ傾斜するように形成されている。また、右側板130の図中前端部には係合ピン136が取着されており、この係合ピン136は、前記スライド板84のカム溝89(図6参照)に嵌合する。
【0043】
前記左側板129は、図9に示すように一部を下方へ延長し、該延長部の下端部が二股形状に形成されており、図中右側を係合部である第一片137、左側を第二片138としている。また、左右側板129,130(左側版129のみ図示)には、それぞれ軸孔139が設けられており、各軸孔139は前記フローティングシャーシ60の左右側板66,67(図5参照)にそれぞれ設けられた突部(図示せず)に係合し、クランパ支持体124は、それらの突部を中心に回動自在となっている。
【0044】
また、前記クランパ支持体124の前記フローティングシャーシ60に対する回動中心軸(両軸孔139の中心間を結ぶ線)は、前記ターンテーブル13の中心軸線より距離Kだけ奥側にあり、距離KはディスクDの中心孔径(15mm)より大きく、かつ、その2倍(30mm)以内、例えば25mm程度に設定される。さらに、前記クランパ支持体124の奥側縁部135は、中央から左方及び右方にかけて奥側へ僅かに傾斜させている。
【0045】
搬送ローラ機構12は、図4及び図10の如く、搬送ローラ141と、ローラブラケット142とで構成されている。
【0046】
搬送ローラ141は、外方端から内方端にかけて漸次小径となる一対の合成ゴム製テーパ筒体143に金属製の軸144を挿通させて構成されている。軸144の両端はテーパ筒体143の外方端から突出し、その突出する軸144の一端側には前記駆動力伝達手段83(図5参照)の一部であるローラギヤ145を、また他端側にはカラー146を、夫々を取付けている。
【0047】
ローラブラケット142は金属板よりなるもので、左右に長い連結板147の左右端に、上方へ向けて折曲形成された左右側板148を有し、これらの左右側板148を連結板147より奥側へ延出させている。左右側板148は、各内面側の略中間部に絞り加工による凸状筒部149をそれぞれ有し、各凸状筒部149を下フレーム10(図2参照)の左右側板24,25に形成された溝150(一方のみ仮想線で示す)に嵌合させ、凸状筒部149,149を支点として、上下回動自在に装着される。また、左右側板148間の延出部で搬送ローラ141の軸144両端を回転自在に支持するようにしている。
【0048】
前記連結板147の後縁は裏面側に向けて折曲された山折縁部151となっている。この山折縁部151は、平面図上ではほぼ左右対称となるV形凹状ともなっているが、その傾斜角度は、ローラの軸心線に対して約1°程度の僅かなものである。また、連結板147の前縁には上方に向けて屈曲した左右一対の屈曲部152が設けられている。これらの屈曲部152は、搬送ローラ141が下方位置にあるとき、すなわち、ディスクが再生位置に挿入されているときは上方位置にあってディスク挿入口2(図1参照)を塞いで、ディスクの二重挿入を防止する。さらに図10に示すように、前記ローラブラケット142の右側板148の最奥部には、外方へ向けて略直角に曲げられた折曲片153が設けられている。なお、ローラブラケット142は図示しないばねにより、搬送ローラ141を上昇させる方向に常時付勢されている。
【0049】
次にディスク再生機の機構部1の動作について説明する。
まず、ディスク再生機の機構部1のディスク搬送状態を説明する。
ディスクが挿入されていない状態では、前記フローティングシャーシ60は固定シャーシ15に対して固定された状態となっている。この固定された状態とは、フローティングシャーシ60またはフローティングシャーシに取り付けられた部品が固定シャーシ15に嵌合している状態を示す。搬送ローラ141は、ディスク搬送位置に位置されている。
【0050】
具体的には、図2に示す如く、前記固定シャーシ15の一部である上フレーム7に設けられた一対の延出片30が、前記フローティングシャーシ60に取付けられたクランパ支持体124の一対の菱孔131,132に嵌合されている。図11に示す如く、ストレート部133,134に前記一対の延出片30が挿入され、これにより、ディスク挿出方向及びディスク挿出方向に直交する方向(図中上下方向及び左右方向)の動きを規制している。
さらに、図12に示す如く、スライド板84がディスク排出方向(図中左方)に位置し、一対の折曲部57がそれぞれ対応するスリット部90,91内にあり、固定シャーシ15に対するフローティングシャーシ60の上下方向(再生機厚み方向)の動きを規制している。
【0051】
また、図13に示す如く、前記固定シャーシ15の一部である下フレーム10の左側版24に設けられた切曲げ部55(図2,図4参照)の孔56には、フローティングシャーシ60に取付けられた前記クランパ支持体124の第一片137が挿入されている。これにより、ディスク挿出方向に垂直に交わる方向(図中上下方向)が固定されている。さらに、図6に示す如く、前記スライド板84のスリット部90,91に前記下フレーム10に設けられた一対の折曲部57(図4参照)が挿入され、これにより、ディスク挿出方向に垂直に交わる方向(図中上下方向)が固定されている。
【0052】
このような前記フローティングシャーシ60が固定された状態でディスクの挿入を行う。
図14は、ディスク挿入口2よりディスクDをディスク検知部材35,36の検知部40,41間に挿入し、ディスクの外周面が両検知部40,41に接触した状態を示している。この状態から、ディスクDを、その外周面で検知部40,41間を押し広げながら挿入すると、ディスク検知部材35,36が回動する。すると、図示しないスイッチがオンされて、ディスクが挿入されたことを検知して第一モータ74(図7参照)が起動する。
【0053】
前記第一モータ74が起動すると、図6に示す如く、スライド板84が図中右方に移動する。スライド板84の移動に伴い前記搬送ローラ141が、ディスク搬送位置へ移動し、かつ、第一モータ74に回転駆動され、ディスクDを搬送する。これによってディスクDは、図8に仮想線で示す如く、クランパ支持体124の奥側縁部135を通過する。そして、ディスクDは所定の再生位置より僅か奥側まで搬送される。(図示せず)
【0054】
また、スライド板84の移動に伴い、図6の如く、クランパ支持体124の係合ピン136がカム溝89に沿って下降する。この過程では、図9の如く、クランパ支持体124は、軸139を中心に図中時計方向に回動し、クランパ122が仮想線で示した位置から実線で示した位置まで下降する。このとき、図16の如く、略円錐台形突部126のディスク心出し用テーパ127をディスクDの中心孔上縁に摺接させてディスクDの心出しを行ないながら略円錐台形突部をディスクの中心孔に嵌合させる。同時に、スライド板84の移動で固定シャーシ15に対するフローティングシャーシ60の固定が図15のように解除される。
【0055】
この嵌合の際、ターンテーブル13の中心軸線(図9参照)とクランパ支持体124の回動中心軸との間の距離が大幅に短縮されているので、クランパ支持体124の回動角度が大きくなり、クランパ122もターンテーブル13に対して大きく回動しながら離接する。そして、クランパ122側の略円錐台形突部126のテーパ127がディスク中心孔の縁部に摺接し始める際、該テーパ127のディスクD中心孔縁部に対する角度は、クランパ122の、ディスクに対する傾き分だけ緩やかになっている。
【0056】
そして、クランパ122と前記ターンテーブル13とでディスクDを挟持し、ディスクDはディスク再生位置に位置決めされて、ディスク再生準備が完了する。
【0057】
以上の構成によれば、クランパ支持体124は、特にディスク挿出方向の寸法が極端に小さく、左右方向に細長い部品となり、従来のクランパ支持体より大幅に小形化できる。また、クランパ支持体124の長手方向の両端をフローティングシャーシ60の左右側板66,67間に取付けるので、従来のようにディスク挿出方向に長いクランパ支持体124を奥側のみで取付けるよりも、クランパ支持体124の取付け強度を高めることもできる。
【0058】
さらに、ターンテーブル13の中心軸線とクランパ支持体124の回動中心軸との間の距離が大幅に短縮されるので、クランパ122のターンテーブル13に対する離間寸法を一定とすると、クランパ支持体124の回動角度が大きくなり、クランパ122もターンテーブル13に対して大きく回動しながら離接するようになる。そして、クランパ122側の略円錐台形突部126のテーパ127がディスク中心孔の縁部に摺接し始めるとき、該テーパ127最先は、ディスクに対する傾き分だけディスク中心孔の縁部に対する角度が緩やかになる。
【0059】
一般にテーパの、ディスク中心孔縁部に対する角度が緩やかになると、心出しの円滑性は不利になるが、心出し可能なディスク偏心量は増加する。そこで、本発明ではターンテーブル131に対するクランパ122の回動角度が大きくなるので、該テーパ127の角度を小さくして心出しの円滑性を維持し、同時にクランパ122の高さを抑えながら心出し可能なディスク偏心量も維持することができ、心出しの円滑化と小形化との両立を図ることができる。
【0060】
さらに、クランパ支持体124の奥側縁部135を、中央から左方および右方にかけて奥側へ傾斜させて、ディスクがクランパ支持体124の奥側縁部135を通過して搬送されるようにしたことにより、ディスク上面の接触を回避でき、ディスクが奥側縁部135に接触したとしても、ディスク縁部の接触のみに止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ディスク再生機を示す斜視図。
【図2】ディスク再生装置の分解斜視図。
【図3】上ユニットを示す平面図。
【図4】下ユニットからピックアップユニットとクランプ機構とを除いた状態を示す平面図。
【図5】ピックアップユニットを示す平面図。
【図6】スライド板と周辺部品との関係を示す側面図。
【図7】駆動力伝達手段を示す平面図。
【図8】クランプ機構を示す平面図。
【図9】クランプ動作を示す左側面図。
【図10】搬送ローラ機構を示す斜視図。
【図11】クランパ支持体の菱孔と固定シャーシの延長片との関係を示す平面図。
【図12】ディスク未挿入状態におけるスライド板とクランパとの関係を示す側面図。
【図13】クランパ支持体の第一片と固定シャーシの被係合部孔との関係を示す正面図。
【図14】ディスク再生機の使用状態を示す平面図。
【図15】ディスク挿入状態におけるスライド板とクランパとの関係を示す側面図。
【図16】ディスク心出し用テーパ面とディスクとの関係を示す側面図。
【符号の説明】
【0062】
13 ターンテーブル
60 フローティングシャーシ
66 左側板
67 右側板
122 クランパ
124 クランパ支持体
135 奥側縁部
K ターンテーブルの中心軸線からクランパ支持体の回動中心軸までの距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンテーブル(13)を支持したシャーシ(60)に、クランパ(122)を支持したクランパ支持体(124)を回動自在に装着し、該クランパ支持体の回動によりクランパをターンテーブルに接近させて該クランパの略円錐台形突部をディスクの中心孔に嵌合させるものとし、ばねによってターンテーブルとクランパとの間にディスク挟持圧を付与するディスク再生機において、
前記クランパ支持体の前記シャーシに対する回動中心軸を、前記ターンテーブルの中心軸線より奥側位置において前記シャーシの左右側板間(66,67)に設定し、前記ターンテーブルの中心軸線から前記回動中心軸までの距離(K)を、ディスクの中心孔径より大きく、かつその2倍以内に設定したことを特徴とするディスク再生機。
【請求項2】
前記クランパ支持体の奥側縁部(135)は、中央から左方および右方にかけて奥側へ傾斜させ、挿入されたディスクが該奥側縁部を通過して装填されることを特徴とする請求項1に記載のディスク再生機。
【請求項1】
ターンテーブル(13)を支持したシャーシ(60)に、クランパ(122)を支持したクランパ支持体(124)を回動自在に装着し、該クランパ支持体の回動によりクランパをターンテーブルに接近させて該クランパの略円錐台形突部をディスクの中心孔に嵌合させるものとし、ばねによってターンテーブルとクランパとの間にディスク挟持圧を付与するディスク再生機において、
前記クランパ支持体の前記シャーシに対する回動中心軸を、前記ターンテーブルの中心軸線より奥側位置において前記シャーシの左右側板間(66,67)に設定し、前記ターンテーブルの中心軸線から前記回動中心軸までの距離(K)を、ディスクの中心孔径より大きく、かつその2倍以内に設定したことを特徴とするディスク再生機。
【請求項2】
前記クランパ支持体の奥側縁部(135)は、中央から左方および右方にかけて奥側へ傾斜させ、挿入されたディスクが該奥側縁部を通過して装填されることを特徴とする請求項1に記載のディスク再生機。
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図14】
【図1】
【図4】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図3】
【図5】
【図7】
【図14】
【図1】
【図4】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−99205(P2009−99205A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269953(P2007−269953)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000108786)タナシン電機株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000108786)タナシン電機株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]