説明

ディスク再生装置

【課題】 クローズされていない上書きされたマルチセッションディスクの最終セッションを直ぐに判断して、TOC情報の読み取り処理を迅速に行うことができるディスク再生装置を提供すること。
【解決手段】 ディスク再生装置10は、CD−RWディスクに記録されている各セッションのデータを読み取る再生動作駆動部14と、セッションのリードインエリアに含まれる、次のセッションのデータエリアの開始位置を示す第1アドレスを記憶するシステム制御部11とを備える。光ピックアップ14cが所定アドレスから第1アドレスまでの間に位置する場合に、光ピックアップ14cがリードインエリアまたはリードアウトエリアに位置するか否かを判断し、リードインエリアまたはリードアウトエリアに位置しない場合、TOC情報の読取を終了することにより、TOC情報の読み取り処理を迅速に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書き換え可能なマルチセッション方式のディスクを再生可能なディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD−R(Compact Disc−Recordable)やCD−RW(Compact Disc−ReWritable)等の追記可能なマルチセッション方式を採用したディスク(以下、マルチセッションディスクとする)およびその再生装置が提案されている(例えば、下記特許文献1)。マルチセッションディスクは、1回の記録において複数のトラック(ファイル)を含む1つのセッションが記録されるものであり、セッション単位でディスクにデータを追記することができる。
【0003】
図4は、マルチセッションディスク(例えば、CD−RW)のデータ構造を説明する図である。マルチセッションディスクは、ディスクの内周側から順番に複数のセッション(第1セッション、第2セッション)を含む。各セッションは、リードインエリア、データエリアおよびリードアウトエリアを内周側から順に含む。
【0004】
リードインエリアは、セッションの開始を示す領域であり、データエリアに含まれるトラックのトラック情報、データエリアの長さ(時間)、リードアウトエリアの開始アドレスを含むTOC(Table Of Contents)情報を記録する。また、リードインエリアには、次のセッションのデータエリアの開始アドレスが記録される。データエリアは、そのセッションのトラック(例えば、音楽ファイル等のコンテンツ)等を記録する領域である。リードアウトエリアは、セッションの終了を示す領域である。
【0005】
図4(a)に示すとおり、最終セッション(図4(a)においては、第2セッション)のリードインエリアに次のセッションのデータエリアの開始アドレスが記録されている状態を、「クローズされていない」とよび、ディスクに次のセッションを追記できる状態である。一方、図4(b)に示すとおり、最終セッション(第2セッション)のリードインエリアに次のセッションのデータエリアの開始アドレスが記録されていない状態を、「クローズされている」とよび、ディスクに次のセッションを追記できない状態である。
【0006】
CD−RWは書き換え(上書き)可能なディスクであり、図4(c)に示すとおり、ディスク全体に複数のセッションを記録しクローズしたあと、記録されている全セッションを消去(初期化)することなく、最初のセッション(のリードインエリア)のみを消去して、内周側から順番に新たなセッションを上書きすることができる。この場合、上書きした新たなセッション(第2セッション)の直後には、古いデータが消去されずに残されている。そして、新たなセッション(第1、第2セッション)を記録後にディスクがクローズされない場合、最終セッション(第2セッション)のリードインエリアには次のセッションのデータエリアの開始アドレスが記録されているが、このアドレスには、次のセッションのデータエリアではなく、古いデータが記録されていることになる。
【0007】
図4(c)のようなディスクがディスク再生装置に挿入され、ディスク再生装置がTOC情報を各セッションのリードインエリアから読み取る場合、これらの情報を読み終わるまでの時間が非常に長くなってしまうという問題がある。これは、最終セッションのリードインエリアに記録されている次のデータエリアの開始アドレスに、実際に次のセッションがあるか否かを判断するのに長い時間がかかってしまうからである。具体的には、ディスク再生装置は、ディスクが挿入されると、内周側から順番にセッションを認識し、最終セッションのリードインエリアに記録されている次のセッションのデータエリアの開始アドレスを検出する。そして、光ピックアップをこのアドレスに移動させるが、そのアドレスには古いデータが記録されているので、リードインエリアのデータを読み取れないものの、セッションがないことを直ぐに判断できない。つまり、光ピックアップの位置が正確でないのか、セッション(リードインエリア)が本当に存在しないのかを判断できない。その結果、光ピックアップを最終セッションのリードアウトエリアに一旦戻した後、再び当該アドレスに移動させて、再度セッションの有無を判断するという動作を複数回繰り返す。最終的にセッションの有無を判断できなかった場合に、ディスク再生装置は、このアドレスには古いデータが記録されており、次のセッションは存在しないと判断する。そのため、最終セッションであることを判断するのに時間がかかり、ディスクからTOC情報を読み出して表示部に表示するまでの時間が長くなる。
【0008】
【特許文献1】特開2003−272169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、クローズされていない上書きされたマルチセッションディスクの最終セッションを直ぐに判断して、TOC情報の読み取り処理を迅速に行うことができるディスク再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好ましい実施形態によるディスク再生装置は、リードインエリア、データエリアおよびリードアウトエリアを含む複数のセッションを有するマルチセッション方式のディスクに記録されている各セッションのデータを読み取る読取手段と、該セッションのリードインエリアに含まれる、次のセッションのデータエリアの開始位置を示す第1アドレスを記憶するアドレス記憶手段と、該読取手段がデータを読み取る位置が所定アドレスから該第1アドレスまでの間に存在する場合に、該読取手段がデータを読み取る位置がリードインエリアまたはリードアウトエリアであるか否かを判断するエリア判断手段と、該エリア判断手段がリードインエリアまたはリードアウトエリアでないと判断した場合に、該次のセッションが存在しないと判断するセッション判断手段とを備える。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記セッション判断手段が上記次のセッションが存在しないと判断した場合に、上記読取手段は前記データの読み取りを終了する。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記アドレス記憶手段は、上記セッションのリードインエリアに含まれる該セッションのリードアウトエリアの開始位置を示す第2アドレスをさらに記憶する。上記所定アドレスは、該第2アドレスである。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記エリア判断手段は、サブコードに含まれているトラック番号に基づいて、上記読取手段がデータを読み取る位置がリードインエリアまたはリードアウトエリアであるか否かを判断する。
【0014】
好ましい実施形態においては、上記エリア判断手段が、上記読取手段がデータを読み取る位置がリードインエリアであると判断した場合に、上記読取手段は該リードインエリアのデータを読み取る。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記エリア判断手段が、上記読取手段がデータを読み取る位置が前記リードアウトエリアであると判断した場合に、上記読取手段がデータを読み取る位置を変更したあと、該エリア判断手段は再び判断する。
【0016】
好ましい実施形態においては、上記読取手段がデータを読み取る位置が上記所定アドレスから上記第1アドレスまでの間に存在しない場合、上記読取手段はデータを読み取る位置を変更する。
【発明の効果】
【0017】
読取手段がデータ(例えば、TOC情報)を読み取る位置が所定アドレス(例えば、現セッションのリードアウトエリアの開始位置を示す第2アドレス)から、次のセッションのデータエリアの開始位置を示す第1アドレスまでの間にある場合には、次のセッションが存在する場合、読取手段がデータを読み取る位置は必ずリードインエリアまたはリードアウトエリアに位置することになる。そのため、読取手段がデータを読み取る位置がリードインエリアまたはリードアウトエリアではないと判断されると、次のセッションが存在するのではなく、古いデータが消去されずに残っていると判断することができる。従って、最終セッションであることを直ぐに判断することができるので、データ(TOC情報)の読み取り処理を迅速に行うことができる。
【0018】
なお、所定アドレスが、現セッションのリードアウトエリアの開始位置を示す第2アドレスである場合には、第1アドレス−第2アドレス間には必ずリードインエリアまたはリードアウトエリアが存在するので、確実に最終セッションであることを判断できる。また、所定アドレスを算出する必要がないので、処理がさらに迅速化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態によるディスク再生装置10を示す概略ブロック図である。図2は、上書きされクローズされていないマルチセッションディスクのデータ構造を示す図である。ディスク再生装置10は、マルチセッション方式であり、書き換え(上書き)可能なディスク(本例ではCD−RW)を再生可能である。マルチセッション方式のディスク(以下、マルチセッションディスクとする)は、図2および図4に示すとおり、内周側からリードインエリア、データエリアおよびリードアウトエリアを含む複数のセッションを有するディスクである。
【0020】
ディスク再生装置10は、システム制御部11、表示部12、操作部13、再生動作駆動部14、信号処理回路15、およびD/A変換器16を備える。
【0021】
システム制御部11は、ディスク再生装置10の各部にコマンドを出力して各部を制御するものであり、CPU11a、ROM11bおよびRAM11cを含む。
【0022】
CPU11aは、操作部13から入力される操作信号に基づいてROM11bに格納されている各種プログラムを読み出し、RAM11cのワークメモリに展開して当該プログラムに従って各種処理を実行する。なお、CPU11aと外部とのデータの送受信は、図示しない入力ポート及び出力ポートを介して実行される。
【0023】
CPU11aは、リードインエリアに含まれるTOC情報をRAM11cに記憶し、当該TOC情報を表示部12に表示させる。また、CPU11aは、図2に示すとおり、リードインエリアに含まれるそのセッションのリードアウトエリアの開始アドレス(アドレス1する)と、次のセッションのデータエリアの開始アドレス(アドレス2とする)とをRAM11cに記憶する。また、CPU11aは、アドレス2に基づいて、次のセッションのリードインエリアのアドレス(アドレス3とする)を算出し、RAM11cに記憶する。また、CPU11aは、光ピックアップ14aがデータを読み取る位置がアドレス1とアドレス2との間にあるか否かを判断する。ここで、アドレス1とアドレス2との間でなく、アドレス2から所定位置だけ内側(前側)のアドレスとアドレス2との間であってもよい。これらをまとめて本例では「所定のアドレスからアドレス2までの間」と呼ぶ。つまり、ここでいう所定のアドレスは、そのセッションのリードアウトエリアの開始アドレスと想定されるアドレスのことをいう。なお、アドレスとは、ディスク上のデータが記録されている位置を表す番地のことをいう。
【0024】
また、CPU11aは、ディスクから読み取ったサブコードのトラック番号を確認し、光ピックアップ14aがデータを読み取る位置が、リードインエリアまたはリードアウトエリアに位置するか否かを判断する。CPU11aは、また、光ピックアップ14aの読み取り位置がアドレス1とアドレス2との間に位置し、かつ、光ピックアップ14aの読み取り位置がリードインエリアにも、リードアウトエリアにも位置しない場合に、以降の領域には古いデータが残っており、次のセッション(リードインエリア)は存在しないと判断し、再生動作駆動部14に読み取り処理を終了させる。
【0025】
すなわち、光ピックアップ14aがアドレス1とアドレス2との間に位置するとき、もし次のセッションが存在すれば、そこにはリードインエリアまたはその直前に隣接するリードアウトが存在するはずである。しかし、CPU11aがリードインエリアもリードアウトエリアも発見できなければ、以降の領域には古いデータが存在するので、最終セッションであることを直ちに判断することができる。
【0026】
ROM11bにはディスク再生装置10の制御プログラム等が記憶されている。ROM11bは、磁気的、光学的記録媒体、または半導体等の不揮発性メモリで構成されている。
【0027】
RAM11cは、CPU11aにより実行される各処理において、ROM11bから読み出されたプログラム、ディスクから読み出されたデータ、入力または出力データを一時的に格納するワークエリアを形成する。また、RAM11cには、リードアウトエリアの開始アドレス(アドレス1)と、次のセッションのデータエリアの開始アドレス(アドレス2)と、次のセッションのリードインエリアのアドレス(アドレス3)とが記憶される。
【0028】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、CPU11aから入力されるコマンドおよび表示内容に基づいて、ディスクに記録されたトラックのトラック数および再生時間等のTOC情報を表示する。
【0029】
操作部13は、再生キー、テンキー、SKIP UP/DOWNキー、停止キー、EJECTキー等の各種機能キーを備え、キー操作による操作信号をシステム制御部11へ出力する。操作部13は、リモートコントロールによる操作信号をシステム制御部11へ出力するようにしてもよい。
【0030】
再生動作駆動部14は、リードインエリアに記録されているTOC情報および第2アドレスを読み取って、システム制御部11に出力する。再生動作駆動部14は、また、サブコードに含まれるトラック番号を読み取って、システム制御部11に出力する。再生動作駆動部14は、また、データエリアに記録されたデータを読み取って、信号処理回路15に出力する。再生動作駆動部14は、光ピックアップ14a、サーボ回路14bを含む。再生動作駆動部14は、システム制御部11から入力されるコマンドにより、ディスク上の目的アドレスの検索や、該アドレスに対応するデータを再生する。光ピックアップ14aは、サーボ回路14bにより制御されたスレッドにより、ディスクの半径方向に移動し、ディスクにレーザ光を照射して、その反射光を電気信号に変換することでディスクに記録されているデータを読み取る。
【0031】
信号処理回路15は、DSP(Digital Signal Processor)等により構成され、光ピックアップ14aにより読み取られたデータにデコード処理を実行する。具体的には、CPU11aによりセッション毎のトラック(ファイル)に応じたデコード方式(EFMデコード/AACデコード/MP3デコード等)が設定されており、そのデコード方式のデコード処理が実行される。
【0032】
D/A変換器16は、ディスク再生時に、信号処理回路15で処理されたデータをアナログ信号に変換する。D/A変換器16の出力は、図示しない音声出力端子を介して、外部に接続されたアンプ装置およびスピーカに供給され、音声として再生される。
【0033】
以上の構成を有するディスク再生装置10について、ディスクからTOC情報を読み取る動作を図2および図3を参照して説明する。図3は、ディスク再生装置10のTOC情報読み取り動作を示すフローチャートである。
【0034】
ディスクがディスク再生装置10に挿入されると、CPU11aは、最初のセッションのリードインエリアに光ピックアップ14aを移動させる(S1)。リードインエリアは、サブコード内に記録されているトラック番号が16進数で「00」と規定されているので、ディスク上の信号を読み取り、トラック番号が「00」である場合、CPU11aは、光ピックアップ14aがリードインエリアに位置することを判断できる。光ピックアップ14aは、リードインエリアのデータ(TOC情報および第2アドレス)を読み取って、システム制御部11に供給する(S2)。CPU11aは、光ピックアップ14aによって読み取られたTOC情報のうち、当該セッションのリードアウトエリアの開始アドレス(アドレス1)をRAM11cに記憶する(S3)。CPU11aは、また、アドレス1以外のTOC情報(トラック数、再生時間等)についても同様にRAM11cに記憶する。
【0035】
次に、CPU11aは、光ピックアップ14aによって読み取られたリードインエリアのデータの中に、次のセッションのデータエリアの開始アドレス(アドレス2)が含まれているか否かを判断する(S4)。つまり、S4でNOの場合、ディスクがシングルセッションディスク(セッションが1つのディスク)である、または、クローズされたマルチセッションディスクの最終セッションであると判断される。その結果、CPU11aは、光ピックアップ14aに読み取り処理を終了させる。一方、アドレス2が含まれている場合(S4:YES)、CPU11aは、アドレス2をRAM11cに記憶する(S5)。
【0036】
次に、CPU11aは、RAM11a内に設定されたリトライ回数のカウンタを0にクリアする(S6)。このリトライ回数のカウンタは、S9、S14、S15において光ピックアップ14aがリードインエリアを目標に移動したものの、移動先のアドレスにデータが光学的に記録されていない場合に、再度光ピックアップ14aを移動させる(リトライする)回数を計時するために使用される。次に、CPU11aは、RAM11c内に記憶されているアドレス2に基づいて、次のセッションのリードインエリアのアドレス(アドレス3)を、アドレス2から例えば750(この値は、CD−RWにおいて、1つのセッションのリードインエリアの開始アドレスからデータエリアの開始アドレスまでの長さより短い。つまり、アドレス3はリードインエリア内のアドレスである。)減算することよって算出し、RAM11cに記憶する(S7)。
【0037】
次に、CPU11aは、次のセッションのリードインエリアのアドレス3を目標として光ピックアップ14aを移動させる(S8)。そして、光ピックアップ14aは当該アドレスにおいて、ディスクにレーザを照射し、反射された信号を電気信号に変換して、システム制御部11に供給する。CPU11aは、供給された信号の中に記録データを示す信号が含まれているかを判断することにより、当該アドレスにデータが光学的に記録されているか否かを判断する(S9)。データが記録されていないと判断されると(S9:NO)、CPU11aはリトライ回数のカウンタをインクリメントし(S14)、リトライ回数のカウンタの値が所定値(本例では10)未満と判断し(S15:YES)、S8へと戻り、再度光ピックアップ14aをアドレス3に向けて移動させる。つまり、データが記録されているアドレスに正確に光ピックアップが到達するまで、光ピックアップ14aをアドレス3の位置に向けて移動させる処理を設定されているリトライ回数繰り返す(S8、S9、S14、S15)。なお、S15でリトライ回数のカウンタが10になると、セッションが存在しないと判断して、TOC情報の読み取りを終了する。
【0038】
光ピックアップ14aが位置するアドレスにデータが記録されていると判断されると(S9:YES)、光ピックアップ14aは、当該アドレスに記録されているサブコード内の現在のアドレスおよびトラック番号を読み取ってシステム制御部11に供給する(S10)。次に、CPU11aは、光ピックアップ14aが位置する現在のアドレスが、アドレス1とアドレス2との間にあるか否かを判断する(S11)。すなわち、次のセッションのリードインエリアはアドレス1とアドレス2との間に存在するので、CPU11aは、光ピックアップ14aが位置する現在のアドレスがアドレス1とアドレス2との間でない場合(S11:NO)、光ピックアップ14aが次のセッションのリードインエリアと想定される位置に位置しないと判断し、S8に戻って、再度光ピックアップ14aをアドレス3に向けて移動させる。
【0039】
一方、CPU11aは、光ピックアップ14aが位置する現在のアドレスがアドレス1とアドレス2との間にある場合(S11:YES)、光ピックアップ14aが次のセッションのリードインエリアと想定される位置に位置すると判断し、S12に進む。そして、CPU11aは、トラック番号がリードインエリアを表す「00」であるか否かを判断する(S12)。トラック番号が「00」である場合(S12:YES)、光ピックアップ14aが次のセッションのリードインエリアに位置するので、S2に戻って、光ピックアップ14aはこのリードインエリアからTOC情報を読み取って、システム制御部11に供給する。
【0040】
トラック番号が「00」でない場合(S12:NO)、CPU11aは、トラック番号がリードアウトエリアを表す「AA」であるか否かを判断する。トラック番号が「AA」である場合(S13:YES)、CPU11aは、光ピックアップ14aが前のセッションのリードアウトエリアに位置すると判断し、S8へと戻って、再び光ピックアップ14aをアドレス3に向けて移動させたあと、現在のアドレスがアドレス1とアドレス2との間にあるか(S11)、トラック番号が「00」または「AA」か(S12、S13)を再び判断する。
【0041】
一方、トラック番号が「AA」でない場合(S13:NO)、CPU11aは、図2に示すとおり、次のセッションのリードインエリアと想定される位置には、古いデータの例えばデータエリアが記録されており、次のセッションは存在しない(最終セッションである)と判断し、読み取り処理を終了する。古いデータが存在すると判断できるのは、アドレス1とアドレス2との間にデータが存在する場合、次のセッションが存在すれば、必ず次のセッションのリードインエリアまたはその直前に隣接するリードアウトエリアが存在するはずであるが、これらのどちらも存在しない場合には、次のセッションではなく、それ以外の古いデータが消去されずに残っていることになるからである。
【0042】
読み取り処理を終了すると、CPU11aはRAM11cに記憶されているTOC情報を表示部12に出力し、表示させる。
【0043】
以上の処理により、例えば、シングルセッションディスクの場合、1つのセッションのデータが読み取られたあと、S4において次のセッションが存在しないと判断され、処理を終了する。クローズされたマルチセッションディスク(図4(b))の場合、最後のセッションまで読み取った後、S4において次のセッションのデータエリアの開始アドレスが記録されていないと判断され、処理を終了する。クローズされていないマルチセッションディスク(図4(a))の場合、最後のセッションのリードインエリアに次のセッションのデータエリアの開始アドレスが記録されているが、アドレス3にデータが記録されていないので、S9:NOを経て処理を終了する。クローズされていない上書きされたマルチセッションディスク(図2、図4(c))の場合、最後のセッションのリードインエリアに次のセッションのデータエリアの開始アドレスが記録されているが、アドレス3に古いデータが記憶されているので、S9〜S13を経て処理を終了する。
【0044】
以上のように、クローズされていない上書きされたマルチセッションディスクに対して、光ピックアップがデータを読み取るディスク上の現在のアドレスが第1アドレスと第2アドレスとの間にあり、かつ、光ピックアップの現在アドレス(リードインエリアと推定される位置)がリードインエリアでも、リードアウトエリアでもない場合、以降の領域には、古いデータが記録されており、次のセッションが存在しない(最終セッションである)と判断することができる。従って、TOC情報の読み取り処理を迅速に実行することができる。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。また、ディスク再生装置の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびこれを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、書き換え可能なマルチセッション方式のディスクを再生可能な任意のディスク再生装置に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるディスク再生装置10を示すブロック図である。
【図2】上書きされクローズされていないCD−RWディスクのデータ構造を示す図である。
【図3】ディスク再生装置10のTOC情報読み取り動作を示すフローチャートである。
【図4】マルチセッションディスクのデータ構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
10 ディスク再生装置
11 システム制御部
14 再生動作駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードインエリア、データエリアおよびリードアウトエリアを含む複数のセッションを有するマルチセッション方式のディスクに記録されている各セッションのデータを読み取る読取手段と、
該セッションのリードインエリアに含まれる、次のセッションのデータエリアの開始位置を示す第1アドレスを記憶するアドレス記憶手段と、
該読取手段がデータを読み取る位置が所定アドレスから該第1アドレスまでの間に存在する場合に、該読取手段がデータを読み取る位置がリードインエリアまたはリードアウトエリアであるか否かを判断するエリア判断手段と、
該エリア判断手段がリードインエリアまたはリードアウトエリアでないと判断した場合に、該次のセッションが存在しないと判断するセッション判断手段とを備える、ディスク再生装置。
【請求項2】
前記セッション判断手段が前記次のセッションが存在しないと判断した場合に、前記読取手段が前記データの読み取りを終了する、請求項1に記載のディスク再生装置。
【請求項3】
前記アドレス記憶手段が、前記セッションのリードインエリアに含まれる該セッションのリードアウトエリアの開始位置を示す第2アドレスをさらに記憶し、
前記所定アドレスが該第2アドレスである、請求項1または2に記載のディスク再生装置。
【請求項4】
前記エリア判断手段が、サブコードに含まれているトラック番号に基づいて、前記読取手段がデータを読み取る位置がリードインエリアまたはリードアウトエリアであるか否かを判断する、請求項1〜3のいずれかに記載のディスク再生装置。
【請求項5】
前記エリア判断手段が、前記読取手段がデータを読み取る位置がリードインエリアであると判断した場合に、前記読取手段が該リードインエリアのデータを読み取る、請求項1〜4のいずれかに記載のディスク再生装置。
【請求項6】
前記エリア判断手段が、前記読取手段がデータを読み取る位置が前記リードアウトエリアであると判断した場合に、前記読取手段がデータを読み取る位置を変更したあと、該エリア判断手段が再び判断する、請求項1〜5のいずれかに記載のディスク再生装置。
【請求項7】
前記読取手段がデータを読み取る位置が前記所定アドレスから前記第1アドレスまでの間に存在しない場合、前記読取手段がデータを読み取る位置を変更する、請求項1〜6のいずれかに記載のディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−48392(P2007−48392A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232654(P2005−232654)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】