説明

ディスク再生装置

【課題】3D映像コンテンツと2D映像コンテンツを再生可能なディスク再生装置において、消費電力の低減等が可能となるディスク再生装置を提供する。
【解決手段】ディスクに記録された3D映像コンテンツおよび2D映像コンテンツを再生するディスク再生装置において、3D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードと2D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードとを切替えて設定する設定部と、前記設定部により設定された制御モードでディスク回転速度を制御する制御部と、を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D映像コンテンツと2D映像コンテンツを再生可能なディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より多様な種類の光ディスクが開発されていると共に、光ディスクに記録されるコンテンツも様々である。
【0003】
特許文献1には、DVDディスクに記録されているコンテンツがDVD−Videoコンテンツであるか否かを判定し、DVD−VideoコンテンツであればDVD−Video再生に必要十分なディスク回転速度を設定し、DVD−Videoコンテンツでなければ、ディスク回転速度を最高速度に設定する光ディスク装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ディスク装置に装填したメディアのコンテンツ種類を含むメディア判別を行い、その判別結果に応じてディスク回転速度を設定する電子機器が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、ホスト装置と光ディスク装置との間のやりとりに基づき光ディスクに記録されているコンテンツの種類を判別し、判別されたコンテンツの種類に応じてディスク回転速度を制御する光ディスク装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−357601号公報
【特許文献2】特開2005−182852号公報
【特許文献3】特開2006−185480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで近年、ブルーレイディスク等の大容量ディスクの開発により、通常の2D映像コンテンツのみならず、3D映像コンテンツが記録されたディスクが登場しており、そのようなディスクを再生可能なディスク再生装置も登場している。
【0008】
3D映像コンテンツの再生を行うためには2D映像コンテンツに較べてより速いデータ読出し速度が必要となるため、ディスクの回転速度を速くする必要がある。そのため、従来、2D映像コンテンツの再生においても3D映像コンテンツ再生時と同じ回転速度でディスクを回転制御していた。
【0009】
しかし、2D映像コンテンツ再生においては必要以上の回転速度でディスクを回転させていることとなり、無駄な電力消費、部品の消耗、騒音の発生が問題であった。また、上記特許文献1〜3の技術は、このような問題を解決するものではなかった。
【0010】
上記問題点を鑑み、本発明は、3D映像コンテンツと2D映像コンテンツを再生可能なディスク再生装置において、消費電力の低減等が可能となるディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、ディスクに記録された3D映像コンテンツおよび2D映像コンテンツを再生するディスク再生装置において、
3D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードと2D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードとを切替えて設定する設定部と、
前記設定部により設定された制御モードでディスク回転速度を制御する制御部と、を備えた構成とする。
【0012】
このような構成によれば、2D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードを設定して、設定された制御モードでディスク回転速度を制御することができるので、3D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御しか行えない場合に比べ、適切なディスク回転速度で再生することが可能となる。従って、無駄な電力消費を抑え、部品の磨耗を抑え、騒音を抑えることもできる。
【0013】
また、上記構成において、ディスクに3D映像コンテンツが含まれているか否かを示すコンテンツ情報をディスクから読み出す読出し部を備え、
前記設定部は、前記読出し部に読み出された前記コンテンツ情報に基づきディスクに3D映像コンテンツが含まれているか否かを判定し、3D映像コンテンツが含まれていれば、前記3D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードを設定し、3D映像コンテンツが含まれていなければ、前記2D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードを設定する構成としてもよい。
【0014】
また、上記いずれかの構成において、前記設定部は、3D映像コンテンツを再生可能なデータ読出し速度を設定することで前記3D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードを設定し、2D映像コンテンツを再生可能なデータ読出し速度を設定することで前記2D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードを設定し、
前記制御部は、再生データ速度が設定されたデータ読出し速度と一致するようにディスク回転速度を制御する構成としてもよい。
【0015】
また、上記いずれかの構成において、前記ディスクは、光ディスクであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、3D映像コンテンツと2D映像コンテンツを再生可能なディスク再生装置において、消費電力の低減等が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るブルーレイディスク再生装置の概略外観図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るブルーレイディスク再生装置の概略構成図である。
【図3】本発明に係るディスク回転速度制御動作の一例に関するフローチャートである。
【図4】本発明に係るディスク回転速度制御動作の別の一例に関するフローチャートである。
【図5】本発明に係るディスク回転速度テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。ここでは、ブルーレイディスク再生装置を一例として説明する。本発明の一実施形態に係るブルーレイディスク再生装置100の概略外観図を図1に示し、本発明の一実施形態に係るブルーレイディスク再生装置100の概略構成を図2に示す。
【0019】
図2に示すブルーレイディスク再生装置100は、光ピックアップ2と、スピンドルモータ3と、データ再生部4と、バッファ5と、デコーダ6と、映像音声信号出力部7と、スピンドルモータ制御部8と、システム制御部9と、を備えている。映像音声信号出力部7には、外部のテレビ装置200が接続される。
【0020】
スピンドルモータ3は、ターンテーブル(不図示)を介してブルーレイディスク(以下、BD)1を回転駆動するモータであり、スピンドルモータ制御部8により回転速度制御される。光ピックアップ2は、不図示のレーザダイオード、対物レンズ、対物レンズアクチュエータ、フォトディテクタ等を有し、回転駆動されるBD1の記録面にレーザを照射し、記録面での反射光に基づくRF信号を出力する。なお、光ピックアップ2は、不図示のスレッドモータによりBD1の半径方向に駆動される。
【0021】
また、光ピックアップ2は、単一の記録層を有するBD1のみならず、複数の記録層を有するBD1であっても各記録層にレーザの焦点を合わせることで各記録層から情報を読み出すことができるよう構成される。
【0022】
データ再生部4は、光ピックアップ2が出力するRF信号をA/D変換して2値化し、2値化データに対して復調およびエラー訂正を行い、再生データを取り出してバッファ5に出力する。バッファ5に蓄積された再生データはデコーダ6により読み出されてデコードされる。デコーダ6によるデコード後の映像音声データは映像音声信号出力部7によりテレビ装置200に適した映像音声信号に変換され、テレビ装置200に出力される。テレビ装置200は入力された映像音声信号に基づき映像を表示し、音声を発生させる。
【0023】
特に、BD1に記録された3D映像コンテンツを再生する場合は、映像音声信号出力部7からは右目用映像信号、左目用映像信号が交互にテレビ装置200に出力され、テレビ装置200には右目用画像、左目用画像が交互に表示される。このとき、テレビ装置200は視聴者が装着したメガネに同期信号を送信し、メガネの左右のシャッターを画像表示に同期させて開閉させる。これにより、左右視差による立体表示感覚を視聴者は得ることができる。
【0024】
システム制御部9は、マイクロコンピュータ等を有し、ブルーレイディスク再生装置100を構成する各部が実行すべき所要の動作に応じて適宜制御処理を実行する。
【0025】
次に、以上のような構成であるブルーレイディスク再生装置100によるディスク回転速度制御動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0026】
まず、BD1をブルーレイディスク再生装置100に挿入すると(図1)、不図示のローダ機構によりBD1がターンテーブル(不図示)に装着される。そして、スピンドルモータ3によりBD1の回転駆動が開始され、BD1に3D映像コンテンツが含まれているか否かを示すコンテンツ情報を光ピックアップ2によりBD1から読み出す。具体的には、index.bdmv / AppInfoBDMV / initial_output_mode_preferenceを読み出せばよい。
【0027】
システム制御部9は、読み出したコンテンツ情報に基づきBD1に3D映像コンテンツが含まれているか否かを判定する(図3のステップS31)。もし、3D映像コンテンツが含まれている場合は(ステップS31のY)、ステップS32に進む。ここで、3D映像コンテンツが含まれる場合としては、3D映像コンテンツのみがBD1に記録されている場合と、3D映像コンテンツと2D映像コンテンツの両方がBD1に記録されている場合がある。ステップS32で、システム制御部9は、3D映像コンテンツを再生可能なデータ読出し速度をスピンドルモータ制御部8に設定する。
【0028】
そして、ステップS34に進み、スピンドルモータ制御部8は、バッファ5に蓄積される再生データの速度が設定されたデータ読出し速度と一致するようにスピンドルモータ3の回転速度を制御する制御を開始し、BD1の再生が開始される。なお、BD1に3D映像コンテンツと2D映像コンテンツが記録されている場合は、2D映像コンテンツの再生も3D映像コンテンツを再生可能なデータ読出し速度により行われる。
【0029】
一方、ステップS31で3D映像コンテンツが含まれないと判定された場合は(ステップS31のN)、ステップS33に進み、システム制御部9は、2D映像コンテンツを再生可能なデータ読出し速度をスピンドルモータ制御部8に設定する。ここで設定されるデータ読出し速度は、3D映像コンテンツを再生可能なデータ読出し速度よりも低い。
【0030】
そして、ステップS34に進み、スピンドルモータ制御部8は、バッファ5に蓄積される再生データの速度が設定されたデータ読出し速度と一致するようにスピンドルモータ3の回転速度を制御する制御を開始し、BD1の再生が開始される。
【0031】
このように、BD1に3D映像コンテンツが含まれない場合は、データ読出し速度を低く設定し、再生データ速度が設定されたデータ読出し速度と一致するようディスク回転速度を制御して再生するので、適切なディスク回転速度で再生することができる。従って、無駄な電力消費を抑え、部品の消耗を抑え、騒音を低減することもできる。
【0032】
次に、図4のフローチャートを用いてブルーレイディスク再生装置100によるディスク回転速度制御動作の別実施形態について説明する。なお、本実施形態では、スピンドルモータ制御用にスピンドルモータ3の回転速度を検出する回転速度センサ(不図示)を備えるようにする。
【0033】
まず、BD1をブルーレイディスク再生装置100に挿入すると、3D映像コンテンツがBD1に含まれるか否かを判定する処理がステップS41で行われ、これは先の実施形態(図3)と同様である。
【0034】
ここで、もし3D映像コンテンツが含まれる場合は(ステップS41のY)、ステップS42に進み、システム制御部9は、3D映像コンテンツを再生可能なディスク回転速度モードをスピンドルモータ制御部8に設定する。
【0035】
ここで、スピンドルモータ制御部8は、図5に示すようなディスク回転速度テーブルを有している。本テーブルでは、ディスクの内周から外周までのエリアごとに3D映像コンテンツ、2D映像コンテンツをそれぞれ再生可能な目標ディスク回転速度が定められている。なお、内周側から外周側へ向かうに従い目標ディスク回転速度は低くなる。
【0036】
ステップS42で3D映像コンテンツを再生可能なディスク回転速度モードに設定されたスピンドルモータ制御部8は、上記ディスク回転速度テーブルのうち再生エリアに応じた3D映像コンテンツ用の目標ディスク回転速度に回転速度センサにより検出されたディスク回転速度が一致するようスピンドルモータ3を駆動制御する制御を開始し、BD1の再生が開始される(ステップS44)。
【0037】
一方、ステップS41で3D映像コンテンツが含まれないと判定された場合は(ステップS41のN)、ステップS43に進み、システム制御部9は、2D映像コンテンツを再生可能なディスク回転速度モードをスピンドルモータ制御部8に設定する。
【0038】
そして、ステップS44に進み、スピンドルモータ制御部8は、上記ディスク回転速度テーブルのうち再生エリアに応じた2D映像コンテンツ用の目標ディスク回転速度に回転速度センサにより検出されたディスク回転速度が一致するようスピンドルモータ3を駆動制御する制御を開始し、BD1の再生が開始される。
【0039】
このような実施形態によっても、BD1に3D映像コンテンツが含まれない場合は、2D映像コンテンツを再生可能な目標ディスク回転速度でBD1が回転制御され再生されるので、適切なディスク回転速度で再生することができる。従って、無駄な電力消費を抑え、部品の消耗を抑え、騒音を低減することもできる。
【0040】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々変更が可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態では、コンテンツ情報に基づき3D映像コンテンツが含まれるか否かを判定したので、BD1に3D映像コンテンツと2D映像コンテンツが含まれる場合は、2D映像コンテンツの再生時も3D映像コンテンツ用のディスク回転速度でディスクを回転制御していた。しかし、一つのディスクに3D映像コンテンツと2D映像コンテンツが含まれる場合は、再生対象が3D映像コンテンツか2D映像コンテンツかに応じてディスク回転速度制御のモードを切替えて設定するようにしてもよい。
【0042】
また、本発明は、ブルーレイディスク再生装置に限らず、ブルーレイディスクレコーダ、DVDレコーダ等の光ディスク装置に適用してもよいし、ハードディスクレコーダ等の磁気ディスク装置に適用してもよい。
【0043】
また、ブルーレイディスク再生装置に外付けハードディスク装置をケーブル(HDMIケーブル等)で接続し、ハードディスク装置からコンテンツを再生するシステムに本発明を適用してもよい。この場合、再生対象が3D映像コンテンツか2D映像コンテンツに応じてブルーレイディスク再生装置がハードディスク装置にディスク回転速度制御のモードを設定し、ハードディスク装置が設定されたモードでハードディスクの回転速度制御を行いコンテンツを再生するようにすればよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ブルーレイディスク(BD)
2 光ピックアップ
3 スピンドルモータ
4 データ再生部
5 バッファ
6 デコーダ
7 映像音声信号出力部
8 スピンドルモータ制御部
9 システム制御部
100 ブルーレイディスク再生装置
200 テレビ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクに記録された3D映像コンテンツおよび2D映像コンテンツを再生するディスク再生装置において、
3D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードと2D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードとを切替えて設定する設定部と、
前記設定部により設定された制御モードでディスク回転速度を制御する制御部と、を備えたことを特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
ディスクに3D映像コンテンツが含まれているか否かを示すコンテンツ情報をディスクから読み出す読出し部を備え、
前記設定部は、前記読出し部に読み出された前記コンテンツ情報に基づきディスクに3D映像コンテンツが含まれているか否かを判定し、3D映像コンテンツが含まれていれば、前記3D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードを設定し、3D映像コンテンツが含まれていなければ、前記2D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードを設定することを特徴とする請求項1に記載のディスク再生装置。
【請求項3】
前記設定部は、3D映像コンテンツを再生可能なデータ読出し速度を設定することで前記3D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードを設定し、2D映像コンテンツを再生可能なデータ読出し速度を設定することで前記2D映像コンテンツ再生用のディスク回転速度制御モードを設定し、
前記制御部は、再生データ速度が設定されたデータ読出し速度と一致するようにディスク回転速度を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディスク再生装置。
【請求項4】
前記ディスクは、光ディスクであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のディスク再生装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−104182(P2012−104182A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251028(P2010−251028)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】