説明

ディスク再生装置

【課題】誤挿入された異物を確実に排出できるディスク再生装置を提供する。
【解決手段】ディスク検知レバー2,3が、レバー部2a,3aの移動を妨げる異物14によりレバー部2a,3aが排出方向に押されると、当該レバー部2a,3aが当該異物14の排出経路から外れるようにディスク検知レバー2,3を撓ませる段差部2c,3cを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク再生装置に係り、特に誤挿入された異物の排出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスク再生装置では、ディスクの挿入口近傍に設けたディスク検知レバーで、当該挿入口から挿入したディスクを検知して、ディスクの搬送または排出を行っている。
例えば、特許文献1には、ディスクが挿入されると、ディスク検知レバーがディスクの外形状に沿って移動して、ディスクの二重挿入などの誤挿入を防止するディスク再生装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−331495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に代表される従来の装置では、誤挿入された異物の形状によっては排出できなくなるという課題があった。例えば、従来のディスク検知レバーは、カード形状などの異物が誤挿入された場合、排出動作の際にその外形状に沿って移動することができず、排出方向への異物の動きを妨げてしまう。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、誤挿入された異物を確実に排出できるディスク再生装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るディスク再生装置は、挿入または排出されるディスクが当接してその外形に沿って移動するレバー部を有するレバーを備え、レバー部の移動に応じてディスクの挿入または排出を検知するディスク再生装置において、レバーが、レバー部の移動を妨げる挿入物によりレバー部が排出方向に押されると、当該レバー部が当該挿入物の排出経路から外れるようにレバーを撓ませる段差部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、誤挿入された異物を確実に排出できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置の平面図である。
【図2】ディスク検知機構の要部を示す平面図である。
【図3】ディスクを排出する際のディスク再生装置の平面図である。
【図4】カード形状の異物を排出する際のディスク再生装置の平面図である。
【図5】従来のディスク再生装置におけるディスク搬送機構およびディスク検知機構の要部を概略的に示す側面図である。
【図6】実施の形態1に係るディスク再生装置の左側のディスク検知レバーを示す斜視図である。
【図7】実施の形態1に係るディスク再生装置の右側のディスク検知レバーを示す斜視図である。
【図8】実施の形態1に係るディスク再生装置におけるディスク検知機構の要部を概略的に示す側面図である。
【図9】カード形状の異物の排出過程を概略的に示す図であり、異物がレバー部に当接するまで排出された状態を示している。
【図10】カード形状の異物の排出過程を概略的に示す図であり、さらに異物が搬送されてディスク検知レバーを撓ませた状態を示している。
【図11】カード形状の異物の排出過程を概略的に示す図であり、異物が排出された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るディスク再生装置の平面図であり、ディスクの搬送時の状態を示している。また、図2は、実施の形態1に係るディスク検知機構の要部を示す平面図である。なお、図1および図2は、実施の形態1に係るディスク再生装置1におけるディスク搬送機構およびディスク検知機構の要部を示すため、外部カバー、クランパおよびクランプレバーを取り外した状態を示している。
【0010】
ディスク再生装置1のディスク挿入口からP方向にディスク9を挿入すると、ディスク9にレバー部2a,3aが当接し、さらにP方向に挿入していくと、ディスク検知レバー2,3がリンク部材6,7により連動して、レバー部2a,3aが、ディスク9の外形状に沿って両側に開くように移動する。そして、ディスク9が搬送ローラ5に当接すると、ローラ支持部材5aが回動してディスク9と搬送ローラ5が圧着し、ディスク9をさらに内部に搬送する。
【0011】
内部には、ディスク9を保持して回転させるターンテーブル10やターンテーブル10に保持されたディスク9の径方向に移動する光ピックアップ11が、ベース樹脂部材4に支持されている。
【0012】
左側のディスク検知レバー2は、ベース樹脂部材4に形成されたボス4aを軸として回動自在に支持される。同様に、右側のディスク検知レバー3は、ベース樹脂部材4に形成されたボス4bを軸として回動自在に支持される。
【0013】
また、ディスク検知レバー2の長穴2bにリンク部材6のピン6aが嵌合し、ディスク検知レバー3の長穴3bにリンク部材7のピン7aが嵌合する。リンク部材6は、ベース樹脂部材4に形成されたボス4cを軸として回動自在に支持され、リンク部材7は、ベース樹脂部材4に形成されたボス4dを軸として回動自在に支持される。リンク部材6のカム穴6bにリンク部材7のピン7bが嵌合する。
【0014】
さらに、リンク部材6,7を連結するばね8により、リンク部材6がボス4cを中心として時計回りの向きに回動付勢され、リンク部材7がボス4dを中心として反時計回りの向きに回動付勢される。リンク部材6,7が回動すると、ピン7bがカム穴6bの右端部に向けて移動し、ピン7aが長穴3bのストロークエンドまで移動し、ピン6aが長穴2bのストロークエンドまで移動すると、ディスク検知レバー2,3およびリンク部材6,7の回動が停止して、図2に示すような所定の開き位置でレバー部2aとレバー部3aが停止する。これが、ディスク挿入待機位置である。
【0015】
このディスク挿入待機位置からディスク9が挿入されてくると、レバー部2a,3aがディスク9に当接してレバー部2a,3a間が開かれる。このとき、ディスク検知レバー2が時計回りの向きに回動し、ディスク検知レバー2に設けたカムが不図示の検知スイッチを押すことにより、ディスク挿入が検知される。これを契機として搬送ローラ5が回転を開始する。
【0016】
さらに、ディスク9が挿入されていくと、ディスク検知レバー2,3が回動することにより、レバー部2a,3aがディスク9の外形状に沿って移動してレバー部2a,3a間が押し広げられる。これに伴い、ピン7bがカム穴6bを左に移動し、レバー部2a,3aがディスク9の直径の間隔まで押し広げられ、ディスク9が通過する。
【0017】
レバー部2a,3a間を通過したディスク9は、回転している搬送ローラ5によりさらに内部に送られる。ディスク9が所定量送られると、トリガーがかかり、ディスク9は、搬送ローラ5による保持が解除され、ディスク9は、ターンテーブル10上に中心が合致した状態で降下し、クランパによりターンテーブル10に保持される。この後、光ピックアップ11によりディスク9の再生が行われる。
【0018】
図3は、ディスクを排出する際のディスク再生装置の平面図である。再生位置まで搬送したディスク9を排出する際、まず、クランプレバー13を稼働させて、クランパ12によるターンテーブル10へのディスク9のクランプを解除する。このクランプレバー13の動きに同期してローラ支持部材5aが回動することにより、搬送ローラ5を上昇させ、ディスク9に接触させる。このようにして、回転する搬送ローラ5によって、図3のQ方向にディスク9が搬送される。搬送ローラ5によりディスク9が排出されてくると、レバー部2a,3aがディスク9に当接してレバー部2a,3a間が押し開かれる。
【0019】
さらにディスク9の排出が進んでいくと、それに伴いディスク検知レバー2,3が回動してレバー部2a,3aがディスク9の外形状に沿って移動し、レバー部2a,3a間が押し広げられる。このとき、ピン7bがカム穴6bを左に移動してレバー部2a,3aがディスク9の直径の間隔まで押し広げられて、ディスク9がディスク再生装置1の外部へ排出される。
【0020】
図4は、カード形状の異物を排出する際のディスク再生装置の平面図である。図5は、従来のディスク再生装置におけるディスク搬送機構およびディスク検知機構の要部を概略的に示す側面図であり、図4のR方向から見た側面の要部構成を概略して示している。
図4において、カード形状の異物14は、ディスク検知レバー2,3による検知を強制的に経させて、内部に誤挿入されたものである。このような異物14を排出する場合においても、通常のディスク9の場合と同様に、搬送ローラ5により異物14がQ方向に搬送され、レバー部2a,3aに当接する。
このとき、挿入物がディスクのような円形状であれば、ディスク検知レバー2が、ボス4aを中心とした時計回りの向きに回動することで、レバー部2aが円形状に沿ってA方向に移動する。また、ディスク検知レバー3も、ボス4bを中心とした反時計回りの向きに回動することで、レバー部3aが円形状に沿ってB方向に移動する。これにより、当該挿入物を排出することができる。
しかしながら、カード形状の異物14のように、挿入物が、レバー部2a,3aの移動軌跡に張り出してその移動を妨げる外形状であると、レバー部2a,3aが当該挿入物の外形状に沿って移動できない。
従って、図5に示すように、従来のディスク再生装置における左右のディスク検知レバー2A,3Aでは、上述したようにディスク検知レバー2A,3Aの各レバー部が異物14の外形状に沿って移動できないと、図5に示すように、ディスク検知レバー2A,3Aの各レバー部がストッパとなって異物14を排出できなくなる。
【0021】
そこで、本発明は、ディスク検知レバー2,3の形状を下記のごとく改良することで、ディスク検知レバー2,3の回動に伴うレバー部2a,3aの移動軌跡に張り出した外形状を有する異物であっても確実な排出を可能とした。
図6は、実施の形態1に係るディスク再生装置の左側のディスク検知レバーを示す斜視図である。図6に示すように、ディスク検知レバー2は、孔部2eにボス4aが嵌合して回動自在にベース樹脂部材4に保持される。
本発明に係るディスク検知レバー2には、レバー部2aを含む端部がベース樹脂部材4側へ撓めるように段差部2cが形成される。
また、排出方向(図4のQ方向)へ搬送された挿入物が当接するレバー部2aの先端部には、当該挿入物によってディスク検知レバー2が撓んだ際に当該挿入物を排出側へ誘導する面取りを行った面取り部2dが形成されている。
【0022】
図7は、実施の形態1に係るディスク再生装置の右側のディスク検知レバーを示す斜視図である。図7に示すように、ディスク検知レバー3は、孔部3eにボス4bが嵌合して回動自在にベース樹脂部材4に保持される。
本発明に係るディスク検知レバー3には、レバー部3aを含む端部がベース樹脂部材4側へ撓めるように段差部3cが形成される。
また、排出方向(図4のQ方向)へ搬送された挿入物が当接するレバー部3aの先端部には、当該挿入物によってディスク検知レバー3が撓んだ際に当該挿入物を排出側へ誘導する面取りを行った面取り部3dが形成されている。
【0023】
図8は、実施の形態1に係るディスク再生装置におけるディスク検知機構の要部を概略的に示す側面図である。図8に示すように、段差部2c,3cをディスク検知レバー2,3に形成することにより、レバー部2a,3aを含む端部がC方向に撓むことができる。
なお、段差部2c,3cの段差の高さは、ディスク検知レバー2,3が撓んだときに、レバー部2a,3aが異物14の排出経路から外れる高さ範囲であればよい。
例えば、段差部2c,3cによって、レバー部2a,3aが異物14の排出経路よりもベース樹脂部材4側に位置する程度にディスク検知レバー2,3が撓めば、レバー部2a,3aが異物14の排出経路から外れて、異物14の排出経路を確保することができる。
【0024】
次に、図4に示したカード形状の異物14を排出する動作について説明する。
図9は、カード形状の異物14の排出過程を概略的に示す図であり、異物14がレバー部2a,3aに当接するまで排出された状態を示している。なお、図9は、本発明に係るディスク検知レバー2,3を備えたディスク再生装置1を、図4のR方向から見た側面図である。図9に示すように、異物14は、搬送ローラ5によってディスク検知レバー2,3のレバー部2a,3aに当接するまで排出される。
【0025】
図10は、カード形状の異物14の排出過程を概略的に示す図であり、さらに異物14が搬送されてディスク検知レバー2,3を撓ませた状態を示している。異物14がレバー部2a,3aと当接して、ディスク検知レバー2,3の回動が異物14により規制されると、搬送ローラ5の駆動力によって異物14がさらに押し出される。このとき、図10に示すように、ディスク検知レバー2,3がベース樹脂部材4と接する部分を支点として段差部2c,3cによりS方向に撓み、異物14は、レバー部2a,3aの面取り部2d,3dによって排出方向(Q方向)へ誘導される。
【0026】
図11は、カード形状の異物14の排出過程を概略的に示す図であり、異物14が排出された状態を示している。図11に示すように、異物14が完全に排出されると、段差部2c,3cの弾性変形が復元して、ディスク検知レバー2,3は元の形状に戻る。
このとき、ばね8の付勢力によって、ディスク検知レバー2,3は、リンク部材6,7と連動してディスク挿入待機位置に戻る。
【0027】
以上のように、この実施の形態1によれば、ディスク検知レバー2,3が、レバー部2a,3aの移動を妨げる外形状の異物14によりレバー部2a,3aが排出方向に押されると、当該レバー部2a,3aが当該異物14の排出経路から外れるようにディスク検知レバー2,3を撓ませる段差部2c,3cを備える。このように構成することで、レバー部2a,3aの移動軌跡に張り出した外形状を有する異物14であっても、ディスク検知レバー2,3が撓んだときに、レバー部2a,3aが異物14の排出経路から外れ、誤挿入された異物14を確実に排出できる。
【0028】
また、この実施の形態1によれば、レバー部2a,3aが、段差部2c,3cによりディスク検知レバー2,3が撓んだ際に、挿入物を排出方向へ誘導する面取り部2d,3dを備えるので、カード形状などの異物をスムーズに排出することが可能である。
【0029】
なお、上記実施の形態1では、カード形状の異物14を排出する場合を示したが、本発明は、ディスク検知レバー2,3の回動に伴うレバー部2a,3aの移動軌跡に張り出した外形状を有する異物であれば、同様の効果を得ることができる。例えば、三角形状や星形状などの異物であっても的確に排出できる。
【0030】
なお、本発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 ディスク再生装置、2,3 ディスク検知レバー、2a,3a レバー部、2b,3b 長穴、2c,3c 段差部、2d,3d 面取り部、2e,3e 孔部、4 ベース樹脂部材、4a〜4d ボス、5 搬送ローラ、5a ローラ支持部材、6,7 リンク部材、6a,7a,7b ピン、6b カム穴、8 ばね、9 ディスク、10 ターンテーブル、11 光ピックアップ、12 クランパ、13 クランプレバー、14 異物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入または排出されるディスクが当接してその外形に沿って移動するレバー部を有するレバーを備え、前記レバー部の移動に応じて前記ディスクの挿入または排出を検知するディスク再生装置において、
前記レバーは、
前記レバー部の移動を妨げる挿入物により前記レバー部が排出方向に押されると、当該レバー部が当該挿入物の排出経路から外れるように前記レバーを撓ませる段差部を備えたことを特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
前記レバー部は、前記段差部により前記レバーが撓んだ際に、前記挿入物を排出方向へ誘導する面取り部を備えたことを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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