説明

ディスク収納ケース

【課題】スリムケースの様に所望のディスクを容易に出し入れできる一方で、コストを低減したディスク収納ケースを提供する。
【解決手段】ディスク収納ケース100が、基板11と、該基板上に形成され、収納するディスクの中心孔を係止して保持する保持機構12とを有する。該基板は、ディスク収納領域外の表裏の、相対する位置に、1対の凹部14及び凸部15を有する。該凹部及び該凸部は、該ディスク収納ケースを2つ以上積層する際、隣接する一方の該ディスク収納ケースの該凹部と、隣接する他方のディスク収納ケースの該凸部とが、嵌合可能で且つ相対回転可能な形状に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク、特にカートリッジケースに入っていない円盤状の光記録媒体の収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くのディスクは、CD−ROM/R/RW、DVD−ROM/R/RW、ブルーレイディスク等のカートリッジケースに入っていない光記録媒体が主流となっており、通常、記録面の保護のためにケースに収納してから流通させている。
【0003】
ディスクの収納ケースは、ディスクを1枚ずつ収納できるスリーブケース、スリムケース、1枚もしくは2〜3枚程度のディスクを収納できるジュエルケース、数十枚単位の多くのディスクを収納できるスピンドルケース等が考案されている(特許文献1〜2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/46185号パンフレット
【特許文献2】実用新案登録第3059624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スリーブケースは紙や不織布などで形成されており、耐衝撃性がほとんどなく、またケースがディスクに直接接触するので、ディスクの保護に劣るという課題があった。
スリムケースやジュエルケースは、ディスクに比べて多くの量の原料が必要なため、コスト高になる傾向があった。
スピンドルケースは、スリムケース等に比べてコストは削減できるものの、所望のディスクを取り出すときに、該ディスクの上に積み重なるディスクをいったんケースから取り出さなければならず不便であった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、複数のディスクをまとめて収納可能でありながら、スリムケースの様に所望のディスクを容易に出し入れできる一方で、コストを低減したディスク収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は、基板と、該基板上に形成され、収納するディスクの中心孔を係止して保持する保持機構とを有するディスク収納ケースであって、
該基板は、ディスク収納領域外の表裏の、相対する位置に、1対の凹部及び凸部を有し、該凹部及び該凸部は、該ディスク収納ケースを2つ以上積層する際、隣接する一方の該ディスク収納ケースの該凹部と、隣接する他方のディスク収納ケースの該凸部とが、嵌合可能で且つ相対回転可能な形状に形成されることを特徴とする、ディスク収納ケースに存する(請求項1)。
【0008】
このとき、該基板の該保持機構が備わる面側に、凸状のガイド爪と、該基板の該保持機構が備わる面とは反対の面側に、該ディスク収納ケースを2つ以上積層し、各該ディスク収納ケースが該嵌合部を軸として回動する際に、隣接する該ディスク収納ケースの該ガイド爪の軌跡上に、該ガイド爪と係合するガイド溝とを備えることが好ましい(請求項2)。
【0009】
また、ディスク収納領域外の表裏の、相対する位置に、該ディスク収納ケースを2つ以上積層する際、互いに規制して、該ディスク収納ケースが該嵌合部を軸として回動するのを係止するロック機構を備えることも好ましい(請求項3)。
【0010】
本発明の別の要旨は、基板と、該基板上に形成され、収納するディスクの中心孔を係止して保持する保持機構とを有するディスク収納ケースであって、
該基板は、ディスク収納領域外の表裏の、相対する2カ所以上の位置に、それぞれ対をなす凹部及び凸部を有し、それぞれ対をなす該凹部及び該凸部は、該ディスク収納ケースを2つ以上積層する際、隣接する一方の該ディスク収納ケースの該凹部と、隣接する他方のディスク収納ケースの該凸部とが、嵌合可能な形状に形成されることを特徴とする、ディスク収納ケースに存する(請求項4)。
【0011】
本発明の別の要旨は、基板と、該基板上に形成され、収納するディスクの中心孔を係止して保持する保持機構とを有するディスク収納ケースであって、
該基板は、一方の面のディスク収納領域外に溝部、他方の面の該溝部に相対する位置に凸部を有し、該溝部及び該凸部は、該ディスク収納ケースを2つ以上積層する際、隣接する一方の該ディスク収納ケースの該溝部と、隣接する他方のディスク収納ケースの該凸部とが、係合可能であり、かつ各該ディスク収納ケースは積層面と平行方向にスライド可能な形状に形成されることを特徴とする、ディスク収納ケースに存する(請求項5)。
【発明の効果】
【0012】
本発明のディスク収納ケースによれば、隣接する一方のディスク収納ケースのディスクを係止している側に、隣接する他方のディスク収納ケースが、一方のディスク収納ケースのふたとして機能するので、コストを下げることができる。
【0013】
また、本発明のディスク収納ケースによれば、スピンドルケースと異なり、所望のディスクを簡便に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態のディスク収納ケース100を示した図である。(a)は本発明の第1の実施形態のディスク収納ケース100を上方から見た概略図である。(b)は本発明の第1の実施形態のディスク収納ケース100を(a)のP11−Q11断面で切断した断面概略図である。(c)は本発明の第1の実施形態のディスク収納ケース100を(a)のP12−Q12断面で切断した断面概略図である。(d)は本発明の第1の実施形態のディスク収納ケース100にディスクDを係止した上で2枚積層したときの(a)のP11−Q11断面で切断した断面概略図である。
【図2】(a)〜(d)は何れも、凸部15を側面から見た投影図と、上面からみた投影図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のディスク収納ケース100の積層体を上方から見た概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のディスク収納ケース100に用いることができる1型ケース蓋150を示した図である。(a)は1型ケース蓋150を上方から見た概略図である。(b)は1型ケース蓋150を(a)のP41−Q41断面で切断した断面概略図である。
【図5】本発明の第1実施形態のディスク収納ケース100の第1変形例のディスク収納ケース100aを示した図である。(a)は本発明の第1実施形態第1変形例のディスク収納ケース100aを上方から見た概略図である。(b)は本発明の第1実施形態第1変形例のディスク収納ケース100aを(a)のP51−Q51断面で切断した断面概略図である。(c)は本発明の第1実施形態第1変形例のディスク収納ケース100aを(a)のP52−Q52断面で切断した断面概略図である。(d)は本発明の第1実施形態第1変形例のディスク収納ケース100aにディスクDを係止した上で2枚積層したときの(a)のP51−Q51断面で切断した断面概略図である。
【図6】本発明の第1実施形態第1変形例のディスク収納ケース100aに用いることができる1a型ケース蓋150aを示した図である。(a)は1a型ケース蓋150aを上方から見た概略図である。(b)は1a型ケース蓋150aを(a)のP61−Q61断面で切断した断面概略図である。
【図7】本発明の第1の実施形態のディスク収納ケース100の第2変形例のディスク収納ケース100bを示した図である。(a)は本発明の第1実施形態第2変形例のディスク収納ケース100bを上方から見た概略図である。(b)は本発明の第1実施形態第2変形例のディスク収納ケース100bを(a)のP71−Q71断面で切断した断面概略図である。(c)は本発明の第1実施形態第2変形例のディスク収納ケース100bを(a)のP72−Q72断面で切断した断面概略図である。(d)は本発明の第1実施形態第2変形例のディスク収納ケース100bにディスクDを係止した上で2枚積層したときの(a)のP73−Q73断面で切断した断面概略図である。(e)はロック機構18の斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態第2変形例のディスク収納ケース100bに用いることができる1b型ケース蓋150bを示した図である。(a)は1b型ケース蓋150bを上方から見た概略図である。(b)は1b型ケース蓋150bを(a)のP81−Q81断面で切断した断面概略図である。(c)は1b型ケース蓋150bを(a)のP82−Q82断面で切断した断面概略図である。
【図9】本発明の第2の実施形態のディスク収納ケース200を示した図である。(a)は本発明の第2の実施形態のディスク収納ケース200を上方から見た概略図である。(b)は本発明の第2の実施形態のディスク収納ケース200を(a)のP91−Q91断面で切断した断面概略図である。(c)は本発明の第2の実施形態のディスク収納ケース200を(a)のP92−Q92断面で切断した断面概略図である。(d)は本発明の第2の実施形態のディスク収納ケース200にディスクDを係止した上で2枚積層したときの(a)のP91−Q91断面で切断した断面概略図である。
【図10】(a)〜(d)は何れも、凸部25の、側面から見た投影図と、上面からみた投影図である。(e)、(f)は凹部26の形状を説明するための模式図である。
【図11】(a)〜(c)は何れも、本発明の第2の実施形態のディスク収納ケース200の積層体を側面から見た概略図である。
【図12】本発明の第2の実施形態のディスク収納ケース200に用いることができる2型ケース蓋250を示した図である。(a)は2型ケース蓋250を上方から見た概略図である。(b)は2型ケース蓋250を(a)のP121−Q121断面で切断した断面概略図である。
【図13】本発明の第3の実施形態のディスク収納ケース300を示した図である。(a)は本発明の第3の実施形態のディスク収納ケース300を上方から見た概略図である。(b)は本発明の第3の実施形態のディスク収納ケース300を(a)のP131−Q131断面で切断した断面概略図である。(c)は本発明の第3の実施形態のディスク収納ケース300にディスクDを係止した上で2枚積層したときの(a)のP131−Q131断面で切断した断面概略図である。
【図14】(a)〜(d)は何れも、凸部35について、図13(a)のP131−Q131断面で切断したときの断面図である。
【図15】(a)〜(c)は何れも、本発明の第3の実施形態のディスク収納ケース300の積層体を側面から見た概略図である。
【図16】本発明の第3の実施形態のディスク収納ケース300の積層体に用いることができる3型ケース蓋350を示した図である。(a)は3型ケース蓋350を上方から見た概略図である。(b)は3型ケース蓋350を(a)のP161−Q161断面で切断した断面概略図である。
【図17】本発明の第3実施形態のディスク収納ケース300の第1変形例のディスク収納ケース300aを示した図である。(a)は本発明の第3実施形態第1変形例のディスク収納ケース300aを上方から見た概略図である。(b)は本発明の第3実施形態第1変形例のディスク収納ケース300aを(a)のP171−Q171断面で切断した断面概略図である。(c)は本発明の第3実施形態第1変形例のディスク収納ケース300aにディスクDを係止した上で2枚積層したときの(a)のP171−Q171断面で切断した断面概略図である。(d)は本発明の第3実施形態第1変形例のディスク収納ケース300aを(a)のP172−Q172断面で切断した断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
【0016】
本発明のディスク収納ケースは、何れも、基板と、該基板上に形成され収納するディスクの中心孔を係止して保持する保持機構とを有するケースに関するものである。本発明の何れの実施形態においても、該ディスク収納ケースがさらに別の構成を備えることにより、機能するものである。
以下順に各実施形態について説明する。
【0017】
[1.第1実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態のディスク収納ケース100(以後、「1型ケース」という)を示した図である。図1(a)は1型ケース100を上方から見た概略図、図1(b)は1型ケース100を図1(a)のP11−Q11断面で切断した断面概略図、図1(c)は1型ケース100を図1(a)のP12−Q12断面で切断した断面概略図、図1(d)は1型ケース100にディスクDを係止した上で2枚積層したときの図1(a)のP11−Q11断面で切断した断面概略図である。
【0018】
1型ケース100は、基板11と、該基板11上に形成され、収納するディスクDの中心孔を係止して保持する保持機構12とを有する。
基板11は、ディスク収納領域外の表裏の相対する位置に1対の凹部14及び凸部15を有する。ここで、「ディスク収納領域」とは、本発明のディスク収納ケースにディスクDを収納したときに、ディスクDと対向する領域をいう。また、「ディスク収納領域外」とは、該ディスク収納領域の外の領域をいう。
凹部14及び凸部15は、1型ケース100を2つ以上積層する際に隣接する一方の1型ケース100の凹部14と隣接する他方の1型ケース100の凸部15とが嵌合可能で且つ相対回転可能な形状に形成される。
【0019】
(1−1.基板)
本発明に係る1型ケース100の基板11は、方形の板状の部品であり、後述する保持機構12、凹部14、及び凸部15等の各構成部品を個別に成形後に接着してもよいが、基板11と前記各構成部品は一体成形されることが好ましい。このように一体成形されることで、組み立てコストが低下し、生産コストを下げることができる。なお、一体成形の方法は公知の何れの方法を用いることもできるが、中でも複雑な形状を成形可能な射出成型法が好ましい。
【0020】
基板11は、軽量化や原料コストを下げるために、肉抜きした孔部13を設けてもよい。孔部13は、保持機構12等の機能性を阻害したり、耐衝撃性が著しく下がったりしなければ、任意の箇所に任意の形状で設けることができる。図1(a)においては孔部の例として、ディスク収納領域外に設ける一例を示したものであり、これに限定されない。たとえば、孔部13をディスク収納領域に設けてもよい。
【0021】
基板11の縁の部分や、ディスク収納領域の周縁部には、図1(b)等に示されるように、ディスクDの側面方向を保護する壁を設けることが好ましい。このようにすることで、2つ以上の1型ケース100を積層したときに、密封性も高まる。
【0022】
基板11の材料は、一般にスリムケースの材料として用いられている材料を使用することができ、たとえば従来広く用いられているポリスチレン、ポリプロピレン、あるいは最近開発が進んでいる生分解性ポリマー等が挙げられる。中でもコスト、対衝撃性、一体成形のしやすさなどから耐衝撃性ポリスチレンが好ましい。
【0023】
また、基板11の材料は、透明な材料を用いてもよいし、遮光性のある材料を用いてもよい。さらに、材料の色をそのまま用いてもよいし、顔料などを混合して着色してもよい。また、表面にシボ加工を施してもよい。基板11と同じ材料を用いてつくられる、後述する各種の構成部品も同様である。
【0024】
(1−2.保持機構)
保持機構12は、ディスクDの中心孔を係止して保持する機構であり、基板11と一体成形される。保持機構12は一般にスリムケースやジュエルケースなどで用いられている形状と同様の形状を用いることができる。基板11を形成する材料によって、撓みやすさ等の観点から、形状を選択すればよい。
【0025】
保持機構12の形成は、ディスク収納領域が基板外にならなければよいが、ディスクの保護の観点からは、ディスクの周囲の何れの方向にもディスク収納領域外が存在する位置に形成することが好ましい。
【0026】
(1−3.凹部及び凸部)
凹部14及び凸部15は、2つ以上の1型ケース100を積層したときに、互いに嵌合し、相互の1型ケース100が相対回転するときの回転軸となる構成部品であり、基板11と一体成形される。
【0027】
このため1型ディスク100の積層時にディスクDと干渉しないように、凸部15及び凹部14は、基板11のディスク収納領域外の表裏の相対する位置に1対形成される。ただし、2つ以上積層したときに最下層となる1型ケース100における、ディスクDを収納するのとは反対側の面は、保管時の安定性の観点から凸部15が形成されない方が好ましい。そのため、図1においては、ディスクDを収納する側の面に凸部15が形成され、反対側の相対する位置に凹部14が形成された例を示している。
【0028】
凹部14及び凸部15の形状は、互いに嵌合し且つ相対回転可能となる。そのため、凸部15は、円柱状の形状であり、かつ一度嵌合した後は容易に分離しないように先端部には抜け止めとなる膨らみがある形状が好ましい。このとき、凹部14は凸部15と嵌合する形状とする。
【0029】
このような凸部15の具体例としては、図2の(a)〜(d)に示す様な形状とすることができる。図2は(a)〜(d)のいずれも凸部15を側面から見た投影図と、上面からみた投影図とを組み合わせた図である。これらの形状は基板11の材料による特性(弾性変形のし易さ、撓み易さ、易損性等)、もしくは嵌合した後の分離しやすさ等の観点から選択すればよい。例えば、基板11を形成する素材が弾性変形し易い場合、図2(a)のような形状であっても嵌合することが可能であるが、硬く弾性変形しにくい素材の場合には図2(b)のように挿入方向に面取りをした形状の方が嵌合しやすい。また、一度積層させた1型ケース100を分離しやすくするためには(c)や(d)の形状の方が好ましい。このように、嵌合と分離を自由にできるようにすれば、収納したいディスクDの枚数に応じて、1型ケース100を積層する枚数を調整することができる。
【0030】
凸部15と凹部14との嵌合は、相対回転するときにある程度の力が必要な程度に調整することが好ましい。相対回転が容易におきると、積層した1型ケース100が簡単に回転して収納したディスクDが外部に露出してしまうためである。
【0031】
(1−4.積層体)
1型ケース100を2つ以上積層すると、隣接する一方の1型ケース100の凹部14と、隣接する他方の1型ケース100の凸部15とが、嵌合することで積層体を形成することができる。図1(d)は、2つの1型ケース100を用いて積層させたときの一例を示したものであり、ディスクDを保持機構12に係止した状態である。
【0032】
1型ケース100の積層体は、積層した1型ケース100の枚数だけディスクDを収納することができるので、スリムケースのように離散することなく多くのディスクDを一体として管理することができる。さらには、スピンドルケースと異なり、収納するディスクDの枚数に応じて積層する1型ケース100の枚数を調整することができるので、省スペース化を図ることができる。
【0033】
一方で、各ディスクDが別の1型ケース100に収納されるので、スピンドルケースのように各ディスクD同士がケース内で互いに接触して傷つくことを防ぐことができる。
【0034】
図3は1型ケース100の積層体を上方から見た概略図である。1型ケース100の積層体は、図3に示すように、1型ケース100の凸部15及び凹部14の嵌合部を回転軸として相対回転が可能である。そのため、スピンドルケースと異なり、必要なディスクDを容易に取り出すことができる。
【0035】
(1−5.ケース蓋)
1型ケース100の積層体の最上層は、空の1型ケース100を蓋の代わりに用いてもよいし、または蓋なしでディスク収納ケースとして用いてもよいし、別途蓋を形成してそれで蓋をしてもよい。
【0036】
図4は、1型ケース100の積層体の最上層で蓋として用いることができる1型ケース蓋150を示した図である。図4の1型ケース蓋150は、積層される1型ケース100が、ディスクDを収納する側の面に凸部15が形成され、反対側の相対する位置に凹部14が形成された場合に、用いることができるケース蓋の例を示している。
図4(a)は1型ケース蓋150を上方から見た概略図、図4(b)は1型ケース蓋150を図4(a)のP41−Q41断面で切断した断面概略図である。
【0037】
1型ケース蓋150は、積層したときに最上層となる1型ケース100の凸部15と嵌合するために凹部14が設けられている。凹部14の形状は、1型ケース100の凹部14と同様である。
【0038】
1型ケース蓋150の材料は、1型ケース100と同様の材料を用いることができる。また、1型ケース100と同様に一体形成されることが好ましい。
【0039】
[2.第1実施形態第1変形例]
図5は、本発明の第1実施形態のディスク収納ケース100の第1変形例のディスク収納ケース100a(以後、「1a型ケース」という)を示した図である。図5(a)は1a型ケース100aを上方から見た概略図、図5(b)は1a型ケース100aを図5(a)のP51−Q51断面で切断した断面概略図、図5(c)は1a型ケース100aを図5(a)のP52−Q52断面で切断した断面概略図、図5(d)は1a型ケース100aにディスクDを係止した上で2枚積層したときの図5(a)のP51−Q51断面で切断した断面概略図である。なお、図1と同じ構成部品については、同じ記号を付しており、説明を省略する。
【0040】
1a型ケース100aは、1型ケース100の構成に加えて、基板11の保持機構12が備わる面側に凸状のガイド爪16と、基板11の保持機構12が備わる面とは反対の面側にガイド溝17とが形成される。ガイド爪16とガイド溝17とが係合することにより、1a型ケースの回動のガイドをすることができる。また、ディスクDを安定して収納することができる。以下、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0041】
(2−1.ガイド爪)
ガイド爪16は、後述するガイド溝17と係合する構成をしており、基板11と一体成形される。ガイド爪16は上側に積層される1a型ケース100aのガイド溝17と係合されるため、ディスク収納領域外に設けられる。
【0042】
ガイド爪16は、通常1つ設けられるが、1a型ケース100aの回動の妨げにならなければ複数設けてもよい。その場合、対応する複数のガイド溝17が設けられることになる。
【0043】
ガイド爪16は、1a型収納ケース100aを回動するときに、ディスクDと干渉しないように、十分な高さを有する。また、ガイド爪16の形状は、ガイド溝17と係合すれば制限はなく、例えば図2に示すように凸部15と同様の形状とすることができる。ただし、凹部14と凸部15とが分離しない十分な結合強度で嵌合できる場合には、単に円柱のような分離を防止する機構がついていない形状であってもよい。なお、図5においては、図1に示す凸部15と同様の形状とした例が示されている。
【0044】
また、凹部14と凸部15とが嵌合した後も一定の力を加えることで分離可能な構造を有する場合、すなわち図2(c)や図2(d)の様な形状をしている場合には、ガイド爪14も同様の形状か、若しくは円柱状等の分離可能な構造とすることが好ましい。
【0045】
(2−2.ガイド溝)
ガイド溝17は、保持機構12を有する面とは反対側の面の基板11上であって、隣接する1a型ケース100aが嵌合部を軸として回動するときのガイド爪16の軌跡上に形成される。該ガイド溝17内を該ガイド爪16が摺動することで、1a型収納ケースの回動をガイドする。
【0046】
ガイド溝17は、一般にディスク収納領域を通過するので、ディスクDに干渉しないように形成される。例えば、図5(c)に示されるように基板11に溝を掘削する形状ではなく、溝部17を基板上に形成するようにする。このとき、あまり溝部17が高く形成されると、1a型ケースを積層したときに、隣接する下層のケースに収納されたディスクDと干渉する可能性がある。この干渉を防ぐために、ガイド爪16を高く形成することも好ましい。
【0047】
ガイド爪16とガイド溝17とをある程度の力をかけないように摺動しないように、きつく係合するようにしてもよい。この場合、凹部14と凸部15とが自由に相対回転するように形成することも可能である。
【0048】
(2−3.凹部及び凸部)
1a型ケース100aの凹部14と凸部15とを嵌合したときの合計の高さは、積層された各々の1a型ケース100aの間隔となるため、ガイド爪16とガイド溝17とを係合したときの合計の高さと等しいことが好ましい。
上述のように、ガイド爪16は、ディスクDと干渉しないように高く設計されるため、1a型ケース100aは、1型ケース100に比べて、凹部14と凸部15との合計の高さが高くなる傾向がある。
【0049】
(2−4.ケース蓋)
1a型ケース100aを積層した積層体の最上層に蓋をつける場合、1型ケース蓋150の代わりに、1a型ケース蓋150aを用いる。
【0050】
図6は、1a型ケース蓋150aを示した図であり、積層される1a型ケース100aが、ディスクDを収納する側の面に凸部15が形成され、反対側の相対する位置に凹部14が形成された場合に、用いることができるケース蓋の例を示している。
図6(a)は1a型ケース蓋150aを上方から見た概略図、図6(b)は1a型ケース蓋150aを図6(a)のP61−Q61断面で切断した断面概略図である。
【0051】
1a型ケース蓋150aは、1型ケース蓋150の構成に加えて、ガイド溝17が形成される。ガイド溝17は、積層したときに最上層となる1a型ケース100aのガイド爪16と係合する。1a型ケース蓋150aのガイド溝17の形状は、1a型ケース100aのガイド溝17と同様である。
【0052】
[3.第1実施形態第2変形例]
図7は、本発明の第1の実施形態のディスク収納ケース100の第2変形例のディスク収納ケース100b(以後、「1b型ケース」という)を示した図である。図7(a)は1b型ケース100bを上方から見た概略図、図7(b)は1b型ケース100bを図7(a)のP71−Q71断面で切断した断面概略図、図7(c)は1b型ケース100bを図7(a)のP72−Q72断面で切断した断面概略図、図7(d)は1b型ケース100bにディスクDを係止した上で2枚積層したときの図7(a)のP73−Q73断面で切断した断面概略図、図7(e)はロック機構18の斜視図である。なお、図1と同じ構成部品については、同じ記号を付しており、説明を省略する。
【0053】
1b型ケース100bは、1型ケース100の構成に加えて、ディスク収納領域外の表裏の、相対する位置に、1b型ケース100bを2つ以上積層する際、互いに規制して、1b型ケース100bが嵌合部を軸として回動するのを係止するロック機構18が形成される。ここで、嵌合部とは凹部14と凸部15とが嵌合した部分をいう。以下、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0054】
(3−1.ロック機構)
ロック機構18は、互いに規制することで1b型ケースが相対回転するのを係止する機構であり、その形状に制限はない。例えば、基板11の裏表面の相対する位置に突起状の形状を設けて互いに係合することができる形状としたり、図7に示されるように、基板11の表面に突起状の形状を設け、一方対応する位置には基板11に孔をあけて、それらが係合することができる形状としたりできる。
【0055】
このようにロック機構18を設けることで、相対回転するときにある程度の力が必要となり、1b型ケースの相対回転を係止することができる。相対回転が容易におきることを抑制し、積層した1型ケース100が簡単に回転して収納したディスクDが外部に露出しないようにするためである。
【0056】
図7(e)は、ロック機構の一例を示す斜視図であり、ロック孔18′と、ロック軸18″とからなる。ロック孔18′は、図7(d)のように1b型ケース100bを積層したときに、ロック軸18″が挿入される。
ロック孔18′は図7(a)にも示されるとおり、台形と円形を組み合わせた鍵穴の様な形になっている。このため、1b型ケース100bを回動させる時に、ロック軸18″が容易にロック孔18′に挿入される。また、ロック軸18″はロック孔18′の台形と円形の接合部(くびれ部分)によって係止され、1b型ケース100bの回動を係止することができる。
【0057】
また、ロック機構18が備わることで、回動できる区間を規制することができる。例えば、図7(a)の1b型ケース100bを積層する場合に、ディスクDを出し入れするために図3のように嵌合部を中心にして回動して開くときに、上に積層された1b型ケース100bを反時計回りにのみ開くことができるようにすることができる。
【0058】
(3−2.ケース蓋)
1b型ケース100bを積層した積層体の最上層に蓋をつける場合、1型ケース蓋150の代わりに、1b型ケース蓋150bを用いる。
【0059】
図8は、1b型ケース蓋150bを示した図であり、積層される1b型ケース100bが、ディスクDを収納する側の面に凸部15が形成され、反対側の相対する位置に凹部14が形成された場合に、用いることができるケース蓋の例を示している。
図8(a)は1b型ケース蓋150bを上方から見た概略図、図8(b)は1b型ケース蓋150bを図8(a)のP81−Q81断面で切断した断面概略図、図8(c)は1b型ケース蓋150bを図8(a)のP82−Q82断面で切断した断面概略図である。
【0060】
1b型ケース蓋150bは、1型ケース蓋150bの構成に加えて、ロック孔18′が形成される。ロック孔18′は、積層したときに最上層となる1b型ケース100bのロック軸18″と係止する。1b型ケース蓋150bのロック孔18′の形状は、1b型ケース100bのロック孔18′と同様である。
【0061】
[4.第2実施形態]
図9は、本発明の第2の実施形態のディスク収納ケース200(以後、「2型ケース」という)を示した図である。図9(a)は2型ケース200を上方から見た概略図、図9(b)は2型ケース200を図9(a)のP91−Q91断面で切断した断面概略図、図9(c)は2型ケース200を図9(a)のP92−Q92断面で切断した断面概略図、図9(d)は2型ケース200にディスクDを係止した上で2枚積層したときの図9(a)のP91−Q91断面で切断した断面概略図である。
【0062】
2型ケース200は、基板21と、該基板21上に形成され、収納するディスクDの中心孔を係止して保持する保持機構22とを有する。
基板21は、ディスク収納領域外の表裏の相対する2カ所以上の位置に、それぞれ対をなす凹部24及び凸部25を有する。
凹部24及び凸部25は、2型ケース200を2つ以上積層する際に隣接する一方の2型ケース200の凹部24と隣接する他方の2型ケース200の凸部25とが嵌合可能な形状に形成される。
【0063】
(4−1.基板・保持機構)
本発明に係る2型ケース200の基板21は、方形の板状の部品であり、上記の1型ケース100の基板11と同様の基板である。基板21は、後述する各構成部品とともに一体成形される。このように一体成形されることで、組み立てコストが低下し、生産コストを下げることができる。なお、一体成形の方法は公知の何れの方法を用いることもできるが、中でも複雑な形状を成形可能な射出成型法が好ましい。
【0064】
基板21は、ディスクDの中心孔で係止する保持機構22を有している。保持機構22の形状、設置位置、及び機能等は上記1型ケース100の保持機構12と同様である。
基板21は基板11と同様の材料で形成することができ、好ましい材料も同様である。
【0065】
基板21は、孔部23を設けてもよい。孔部23は、1型ケース100の孔部13と同様の箇所、形状で設けることができる。図9(a)は、孔部23をディスク収納領域外に設けた例を示している。
また、基板21の縁の部分や、ディスク収納領域の周縁部には、基板11と同様に、図9(b)等に示されるように、ディスクDの側面方向を保護する壁を設けることが好ましい。
【0066】
ただし、一体成形される各構成部品のうち、後述する凹部24、及び凸部25等は、第1実施形態と異なり、第2実施形態特有の形状、および配置となる。以下、これらの差異について説明する。
【0067】
(4−2.凹部及び凸部)
凹部24及び凸部25は、2つ以上の2型ケース200を積層したときに、互いに嵌合し、相互の2型ケース200同士を係合する機構であり、基板21と一体成形される。
【0068】
このため2型ディスク200の積層時にディスクDと干渉しないように、凸部25及び凹部24は、基板21のディスク収納領域外の表裏の相対する位置に形成される。ただし、2つ以上積層したときに最下層となる2型ケース200における、ディスクDを収納するのとは反対側の面は、保管時の安定性の観点から凸部25が形成されない方が好ましい。そのため、図9においては、ディスクDを収納する側の面に凸部25が形成され、反対側の相対する位置に凹部24が形成された例を示している。
【0069】
また、図9では、基板21の片面に凸部25のみを形成し、逆面に凹部24のみを形成する例を示しているが、片面に凸部25と凹部24とが混在するように形成していてもよい。
【0070】
凹部24及び凸部25の形状は、互いに嵌合し且つ分離することが可能な形状である。そのため、凸部25の形状は、凹部24と嵌合できれば制限はなく、円柱状でも、四角柱状でも、多角柱状でもよい。このとき、抜け止めとして一部に膨らみがある形状が好ましい。このとき、凹部14は凸部15と嵌合する形状とする。
また、凸部25は、円錐状でも、四角錐状でも、多角錐状でもよい。この場合、凹部24は、凸部25に比べてやや小さく形成されていれば嵌合したときに摩擦力によって抜け止めとなる。
【0071】
このような凸部25の具体例としては、図10の(a)〜(d)に示す様な形状とすることができる。図10は(a)〜(d)いずれも凸部25を側面から見た投影図と、上面からみた投影図とを組み合わせた図である。これらの形状は基板21の材料による特性(弾性変形のし易さ、撓み易さ、易損性等)等の観点から選択すればよい。例えば、基板21を形成する素材が弾性変形し易い場合、図10(a)のような形状を選択し、凹部24の内径を凸部25の外径とほぼ等しくすれば、強く係止させることができる。弾性変形を比較的しにくい素材の場合には図10(b)のように一部がふくらんだ形状を選択し、凹部24の内径を凸部25の外径の最大値よりもやや小さめにすれば、嵌合時、及び分離時の何れにおいても、一定の力で係止させることができる。また、基板21の材料の弾性変形のし易さによっては、図10(c)や図10(d)の様な形状を選択することができる。
【0072】
一方で凸部25を図10(a)の形状を選択した場合に、凹部24を図10(e)の形状とすることで、嵌合や分離を容易にすることもできる。図10(e)に示される凹部24に、図10(a)に示される凸部25を嵌合することで、図10(f)に示されるように凹部25の凸部24と接触する部分が弾性体として作用して、嵌合時、及び分離時の何れにおいても、一定の力で係止させることができる。
【0073】
凹部24及び凸部25の対は、ディスク収納領域外の表裏の相対する2カ所以上の位置に設けられる。2カ所に設置する場合には、基板21の対角線上に位置するように両角に設置すること、すなわち図9(a)では右上と左下の組み合わせ、若しくは左上と右下の組み合わせが好ましい。2型ケース200同士を安定して係合することができるためである。
【0074】
凹部24及び凸部25の対の設置箇所は、通常2カ所以上、好ましくは3カ所以上、さらに好ましくは4カ所以上である。2型ケース200同士を安定して係合することができるためである。また、5カ所以上設置しても、嵌合及び分離の手間がかかるため、4カ所が特に好ましい。
【0075】
なお、3箇所以上に凹部24及び凸部25の対を設置する場合は、2型ケース200の向きを揃えて積層したときのみ、凹部24と凸部25とが嵌合する位置に凹部24及び凸部25の対を形成することも好ましい。また、基板21の片面に形成される凹部24と凸部25との組み合わせを、2型ケース200の向きを揃えて積層したときのみ嵌合する組み合わせとすることも好ましい。2型ケース200の積層時の外観の美観も高く、また積層された2型ケース200同士に隙間ができないため、ディスクDの保護性能も高くなる傾向があるためである。さらに、2型ケース200の積層時に、ディスク収納面同士を向き合わせて積層することを避けることができるので、ディスクDの収納される向きが揃えることができ、また、外力によって2型ケース200の積層体が撓んだとしても、ディスクD同士が接触することを避けることができる。
【0076】
また、設置された凹部24及び凸部25の対は、設置場所ごとに異なる形状であってもよい。例えば、図9(a)の右上の凹部24及び凸部25の対を図10(a)の形状を選択し、他の凹部24及び凸部25の対については図10(b)の形状を選択してもよい。
【0077】
(4−3.積層体)
2型ケース200を2つ以上積層すると、隣接する一方の2型ケース200の凹部24と、隣接する他方の2型ケース200の凸部25とが、嵌合することで積層体を形成することができる。図9(d)は、2つのケースを用いて積層させたときの一例を示したものであり、ディスクDを保持機構22に係止した状態である。
【0078】
2型ケース200の積層体は、積層した2型ケース200の枚数だけディスクDを収納することができるので、スリムケースのように離散することなく多くのディスクDを一体として管理することができる。さらには、スピンドルケースと異なり、収納するディスクDの枚数に応じて積層する2型ケース200の枚数を調整することができるので、省スペース化を図ることができる。
【0079】
一方で、各ディスクDが別の2型ケース200に収納されるので、スピンドルケースのように各ディスクD同士がケース内で互いに接触して傷つくことを防ぐことができる。
【0080】
図11は2型ケース200の積層体を側面から見た概略図である。2型ケース200の積層体は、図11(a)に示すように2型ケース200の凸部25と凹部24とが嵌合して、図11(b)に示すように積層体として取り扱うことができる。
【0081】
各2型ケース200に収納した任意のディスクDを取り出すときは、図11(c)に示すように、当該ディスクが収納された2型ケース200を分離することで取り出すことができる。
そのため、スピンドルケースと異なり、必要なディスクDを容易に取り出すことができる。
【0082】
(4−4.ケース蓋)
積層体の最上層は、空の2型ケース200を蓋の代わりに用いてもよいし、または蓋なしでディスク収納ケースとして用いてもよいし、別途蓋を形成してそれで蓋をしてもよい。
【0083】
図12は、2型ケース200の積層体の最上層で蓋として用いることができる2型ケース蓋250を示した図である。図12の2型ケース蓋250は、積層される2型ケース200が、ディスクDを収納する側の面に凸部25が形成され、反対側の相対する位置に凹部24が形成された場合に、用いることができるケース蓋の例を示している。
図12(a)は2型ケース蓋250を上方から見た概略図、図12(b)は2型ケース蓋250を図12(a)のP121−Q121断面で切断した断面概略図である。
【0084】
2型ケース蓋250は、積層したときに最上層となる2型ケース200の凸部25と嵌合するために凹部24が設けられている。凹部24の形状は、2型ケース200の凹部24と同様である。
【0085】
2型ケース蓋250の材料は、2型ケース200と同様の材料を用いることができる。また、2型ケース200と同様に一体形成されることが好ましい。
【0086】
[5.第3実施形態]
図13は、本発明の第3の実施形態のディスク収納ケース300(以後、「3型ケース」という)を示した図である。図13(a)は3型ケース300を上方から見た概略図、図13(b)は3型ケース300を図13(a)のP131−Q131断面で切断した断面概略図、図13(c)は3型ケース300にディスクDを係止した上で2枚積層したときの図13(a)のP131−Q131断面で切断した断面概略図である。
【0087】
3型ケース300は、基板31と、該基板31上に形成され、収納するディスクDの中心孔を係止して保持する保持機構32とを有する。
基板31は、一方の面のディスク収納領域外に溝部34、他方の面の該溝部に相対する位置に凸部35を有している。
溝部34及び凸部35は、3型ケース300を2つ以上積層する際、隣接する一方の3型ケース300の溝部34と、隣接する他方の3型ケース300の凸部35とが、係合可能であり、かつ各3型ケース300は積層面と平行方向にスライド可能な形状に形成される。ここで、積層面とは、積層したときに隣接する各々3型ケース300の対向する面をいう。
【0088】
(5−1.基板・保持機構)
本発明に係る3型ケース300の基板31は、方形の板状の部品であり、上記の1型ケース100の基板11と同様の基板である。基板31は、後述する各構成部品とともに一体成形される。このように一体成形されることで、組み立てコストが低下し、生産コストを下げることができる。なお、一体成形の方法は公知の何れの方法を用いることもできるが、中でも複雑な形状を成形可能な射出成型法が好ましい。
【0089】
基板31は、ディスクDの中心孔で係止する保持機構32を有している。保持機構32の形状、設置位置、及び機能等は1型ケース100の保持機構12と同様である。
基板31は基板11と同様の材料で形成することができ、好ましい材料も同様である。
【0090】
基板31は、孔部33を設けてもよい。孔部33は、1型ケース100の孔部13と同様の箇所、形状で設けることができる。図13(a)は、孔部33をディスク収納領域外に設けた例を示している。
また、基板31の縁の部分や、ディスク収納領域の周縁部には、基板11と同様に、図13(b)等に示されるように、ディスクDの側面方向を保護する壁を設けることが好ましい。
【0091】
ただし、一体成形される各構成部品のうち、後述する溝部34、及び凸部35等は、第1実施形態と異なり、第3実施形態特有の形状、および配置となる。以下、これらの差異について説明する。
【0092】
(5−3.溝部及び凸部)
溝部34及び凸部35は、2つ以上の3型ケース300を積層したときに、互いに係合可能な機構であり、基板31と一体成形される。
【0093】
このため3型ディスク300の積層時にディスクDと干渉しないように、凸部35及び溝部部34は、基板31のディスク収納領域外の表裏の相対する位置に形成される。ただし、2つ以上積層したときに最下層となる3型ケース300における、ディスクDを収納するのとは反対側の面は、保管時の安定性の観点から凸部35が形成されない方が好ましい。そのため、図13においては、ディスクDを収納する側の面に凸部35が形成され、反対側の相対する位置に溝部34が形成された例を示している。
【0094】
溝部34及び凸部35の形状は、互いに係合可能であり、かつ積層した各3型ケース300が積層面と平行方向にスライド可能な形状である。
そのため、溝部34は、係合した凸部35を摺動させることで、3型ケース300のスライドをガイドする構造をしている。このとき、3型ケース300のスライドの変位量に従って、凸部35を摺動させる方向に必要な長さだけの溝を形成すればよい。
【0095】
例えば、3型ケース300の積層体から、任意の3型ケース300だけをスライドして分離させることができる溝部34の具体例としては、図13(a)に示すように、3型ケース300の2カ所の縁を結ぶ線分上に形成する例が挙げられる。
【0096】
このとき、2以上の溝部34を形成する場合は、各々の溝部34が互いに平行になるように形成される。平行でないと、3型ケース300をスライドすることが困難になる。溝部34は1つ設置してもよいが、2以上設置することで3型ケース300同士を安定して係合することができるために好ましい。
【0097】
なお、3型ケース300の変形例(以下、「3a型ケース300a」という)として、一方向にのみ3a型ケース300aをスライドすることが可能な構成としてもよい。3a型ケース300aについては、後述する。
【0098】
溝部34の断面形状としては、図13(b)に示すように、挿入された凸部35と係合する形状であればよい。係合は、図15(a)に示されるように、溝部34に凸部35を押し込むことで行うことができる。
【0099】
3型ケース300の凸部35の形状は、溝部34と係合できれば制限はなく、図13(a)で示す凸部35のように棒状であってもよいし、複数個の突起状の凸部35を直線上に配設したものであってもよい。
【0100】
凸部35の断面形状は、凹部35と係合するように、先端部に膨らみがある形状が好ましく、具体例としては図14(a)〜図14(d)に示されるような形状にすることができる。図14(a)〜図14(d)は、凸部35について、図13(a)のP131−Q131断面で切断したときの断面図である。
【0101】
これらの凸部35の形状は、基板31の材料による特性(弾性変形のし易さ、撓み易さ、易損性等)、もしくは嵌合した後の分離しやすさ等の観点から選択すればよい。例えば、基板31を形成する素材が弾性変形し易い場合、図14(a)のような形状であっても挿入して係合することが可能であるが、硬く弾性変形しにくい素材の場合には図14(b)のように挿入方向に面取りをした形状の方が挿入しやすい。これらの形状は、一度溝部34と凸部35とを係合させたらスライド以外の方法で3型ケース300を分離させたくないときに用いるとよい。
【0102】
一方で、後述の3a型ケース300aのように、スライドによっては分離しない場合であって、一度挿入して係合させた溝部34と凸部35とをスライドによらず再度分離することも可能とする場合には、図14(c)若しくは図14(d)のような形状を用いるとよい。
【0103】
設置される溝部34及び凸部35は、設置場所ごとに異なる形状であってもよい。例えば、図13(a)の片方の凸部35を図14(a)の形状を選択し、もう片方の凸部35については図13(b)の形状を選択して、それぞれ対応する形状の溝部34を形成してもよい。
【0104】
なお、溝部34と凸部35との形状は、凸部35が溝部34内を摺動するときにある程度の静止摩擦力及び動摩擦力を有するような形状とすることが好ましい。3a型ケース300同士がゆるく係合している場合、簡単にスライドしてしまい、係合が解除してしまうからである。
【0105】
(5−5.積層体)
3型ケース300を2つ以上積層すると、隣接する一方の3型ケース300の溝部34と、隣接する他方の3型ケース300の凸部35とが、係合することで積層体を形成することができる。図13(c)は、2つの3型ケース300を用いて積層させたときの一例を示したものであり、ディスクDを保持機構32に係止した状態である。
【0106】
3型ケース300の積層体は、積層した3型ケース300の枚数だけディスクDを収納することができるので、スリムケースのように離散することなく多くのディスクDを一体として管理することができる。さらには、スピンドルケースと異なり、収納するディスクDの枚数に応じて積層する3型ケース300の枚数を調整することができるので、省スペース化を図ることができる。
【0107】
一方で、各ディスクDが別の3型ケース300に収納されるので、スピンドルケースのように各ディスクD同士がケースないで互いに接触して傷つくことを防ぐことができる。
【0108】
図15は3型ケース300の積層体を側面から見た概略図である。3型ケース300の積層体は、図15(a)に示すように3型ケース300の凸部35と溝部34とが係合して、図15(b)に示すように積層体として取り扱うことができる。
【0109】
各3型ケース300に収納した任意のディスクDを取り出すときは、図15(c)に示すように、当該ディスクが収納された3型ケース300をスライドさせることで取り出すことができる。
そのため、スピンドルケースと異なり、必要なディスクDを容易に取り出すことができる。
【0110】
(5−6.ケース蓋)
積層体の最上層は、空の3型ケース300を蓋の代わりに用いてもよいし、または蓋なしでディスク収納ケースとして用いてもよいし、別途蓋を形成してそれで蓋をしてもよい。
【0111】
図16は、3型ケース300の積層体の最上層で蓋として用いることができる3型ケース蓋350を示した図である。図16の3型ケース蓋350は、積層される3型ケース300が、ディスクDを収納する側の面に凸部35が形成され、反対側の相対する位置に溝部34が形成された場合に、用いることができるケース蓋の例を示している。
図16(a)は3型ケース蓋350を上方から見た概略図、図16(b)は3型ケース蓋350を図16(a)のP161−Q161断面で切断した断面概略図である。
【0112】
3型ケース蓋350は、積層したときに最上層となる3型ケース300の凸部35と係合するために溝部34が設けられている。3型ケース蓋350の溝部34の形状は、3型ケース300の溝部34と同様である。
【0113】
3型ケース蓋350の材料は、3型ケース300と同様の材料を用いることができる。また、3型ケース300と同様に一体形成されることが好ましい。
【0114】
[6.第3実施形態第1変形例]
図17は、本発明の第3実施形態のディスク収納ケース300の第1変形例のディスク収納ケース300a(以後、「3a型ケース」という)を示した図である。図17(a)は3a型ケース300aを上方から見た概略図、図17(b)は3a型ケース300aを図17(a)のP171−Q171断面で切断した断面概略図、図17(c)は3a型ケース300aにディスクDを係止した上で2枚積層したときの図17(a)のP171−Q171断面で切断した断面概略図である。(d)は本発明の第3実施形態第1変形例のディスク収納ケース300aを(a)のP172−Q172断面で切断した断面概略図である。なお、図13と同じ構成部品については、同じ記号を付しており、説明を省略する。
【0115】
3a型ケース300aは、3a型ケース300aのスライドする方向を一方向に限定した構造を有している。そのため、3型ケース300の構成に比べて、溝部34aと凸部35aの構造が異なる。以下、この点につき説明する。
【0116】
(6−1.溝部及び凸部)
3a型ケース300aの溝部34a及び凸部35aは、例えば図17(d)に示されるように一方の端部には溝部34a及び凸部35aを形成しない構造としている。これにより、3a型ケース300aがスライドする方向を制限することで、3a型ケース300a同士の係合が解除され、分離することを1方向のみに限定することができる。
【0117】
なお、複数の溝部34aを形成するときは、各々の溝部34aが互いに平行になるように形成される。
【0118】
凸部35aの形状は、図17(d)に示すような溝部34aの長さよりも、短い棒状のであってもよく、また複数の突起状の凸部35aが直線上に配設されたものであってもよい。凸部35aの断面形状は、3型ケース300の凸部35と同様とすることができる。ただし、一度嵌合した凹部34aと凸部35aとスライドによらず再度分離してもよい場合には、上述した図14(c)や図14(d)の様に、一度挿入して係合させた溝部34と凸部35とを再度分離させることができる形状とする。
【0119】
なお、3a型ケース300aの積層体から任意のディスクDを出し入れするときは、該ディスクDが収納された3a型ケース300aと、該収納された3a型ケース300aの1段上の3a型ケース300aとをスライドさせることになるが、この際、該収納された3a型ケース300aより下層の3a型ケース300aは、すべて該収納された3aケース300aと一体となってスライドすることになる。このため、任意のディスクDを出し入れするときに、該収納された3a型ケース300aを1枚だけ摘むのでは無く、掴みやすいため操作性もよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の用途に制限はないが、特に、ディスクを収納するディスク収納ケースに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0121】
11 基板
12 保持機構
13 孔部
14 凹部
15 凸部
16 ガイド爪
17 ガイド溝
18 ロック機構
18′ ロック孔
18″ ロック軸
21 基板
22 保持機構
23 孔部
24 凹部
25 凸部
31 基板
32 保持機構
33 孔部
34 溝部
34a 溝部
35 凸部
35a 凸部
100 ディスク収納ケース(1型ケース)
100a ディスク収納ケース(1a型ケース)
100b ディスク収納ケース(1b型ケース)
150 1型ケース蓋
150a 1a型ケース蓋
150b 1b型ケース蓋
200 ディスク収納ケース(2型ケース)
250 2型ケース蓋
300 ディスク収納ケース(3型ケース)
300a ディスク収納ケース(3a型ケース)
350 3型ケース蓋
D ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板上に形成され、収納するディスクの中心孔を係止して保持する保持機構とを有するディスク収納ケースであって、
該基板は、ディスク収納領域外の表裏の、相対する位置に、1対の凹部及び凸部を有し、
該凹部及び該凸部は、該ディスク収納ケースを2つ以上積層する際、隣接する一方の該ディスク収納ケースの該凹部と、隣接する他方のディスク収納ケースの該凸部とが、嵌合可能で且つ相対回転可能な形状に形成される
ことを特徴とする、ディスク収納ケース。
【請求項2】
該基板の該保持機構が備わる面側に、凸状のガイド爪と、
該基板の該保持機構が備わる面とは反対の面側に、該ディスク収納ケースを2つ以上積層し、各該ディスク収納ケースが該嵌合部を軸として回動する際に、隣接する該ディスク収納ケースの該ガイド爪の軌跡上に、該ガイド爪と係合するガイド溝とを備える
ことを特徴とする、請求項1に記載のディスク収納ケース。
【請求項3】
ディスク収納領域外の表裏の、相対する位置に、該ディスク収納ケースを2つ以上積層する際、互いに規制して、該ディスク収納ケースが該嵌合部を軸として回動するのを係止するロック機構を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載のディスク収納ケース。
【請求項4】
基板と、
該基板上に形成され、収納するディスクの中心孔を係止して保持する保持機構とを有するディスク収納ケースであって、
該基板は、ディスク収納領域外の表裏の、相対する2カ所以上の位置に、それぞれ対をなす凹部及び凸部を有し、
それぞれ対をなす該凹部及び該凸部は、該ディスク収納ケースを2つ以上積層する際、隣接する一方の該ディスク収納ケースの該凹部と、隣接する他方のディスク収納ケースの該凸部とが、嵌合可能な形状に形成される
ことを特徴とする、ディスク収納ケース。
【請求項5】
基板と、
該基板上に形成され、収納するディスクの中心孔を係止して保持する保持機構とを有するディスク収納ケースであって、
該基板は、一方の面のディスク収納領域外に溝部、他方の面の該溝部に相対する位置に凸部を有し、
該溝部及び該凸部は、該ディスク収納ケースを2つ以上積層する際、隣接する一方の該ディスク収納ケースの該溝部と、隣接する他方のディスク収納ケースの該凸部とが、係合可能であり、かつ各該ディスク収納ケースは積層面と平行方向にスライド可能な形状に形成される
ことを特徴とする、ディスク収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−121612(P2011−121612A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280960(P2009−280960)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(501495237)三菱化学メディア株式会社 (105)
【Fターム(参考)】