ディスク装置、およびディスク搬送機構

【課題】メカ内部でディスクが動かなくなるなどの故障を低減する。
【解決手段】メインシャーシ２と、このメインシャーシ２に搬送ローラ１０とディスクガイド５が取り付けられ、この搬送ローラ１０とディスクガイド５でディスク３を挟み、搬送ローラ１０の回転によりディスク３を搬送するディスク装置であって、ディスクガイド５がメインシャーシ２に弾性体を用いて取り付けられ、搬送ローラ１０の搬送力によりディスクガイド５が移動することにより、ディスク３を搬送する搬送力を選択する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、スロットインタイプのディスク装置に関し、特にディスクの搬送機構に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来のスロットインタイプのディスク搬送機構は、ディスクをゴムローラーとディスクガイドとで挟み込んで搬送する機構が広く用いられいる。このディスクガイドには、ディスク搬送時のディスクへの摺動傷防止を配慮し、樹脂部品を用いるのが一般的である。そこで、ディスクガイドとの摺動ロスを低減させるために、表面を粗面化したものが知られている（これに類似する先行文献としては下記特許文献１が存在する）。
【０００３】
また、ディスク搬送機構には、ゴムローラを分割して、挿入口付近では搬送力の強いゴムローラにてクランプ位置付近まで搬送し、クランプ位置付近からはディスクがそれ以上奥に搬送されないように、搬送力を落としたゴムローラで搬送する構造が採用されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】実開平５−８７４１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、近年広く普及しているＣＤやＤＶＤのディスクレーベル面にラベルを貼り付けたものや、レーベル面にインクジェット用の加工がされたものは、非常に摩擦力が大きい。このようなものに対して、従来のディスクガイドの表面を粗面化する技術では、ゴムローラの排出力が足りず、ディスクがメカ内部で動かなくなるという問題を有していた。
【０００６】
そこで本発明は、表面の摩擦が大きいディスクであっても、メカ内部でディスクが動かなくなるなどの故障を低減するディスク装置、およびディスク搬送機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
そして、この目的を達成するために本発明は、メインシャーシと、このメインシャーシに搬送ローラとディスクガイドが取り付けられ、この搬送ローラとディスクガイドでディスクを挟み、搬送ローラの回転によりディスクを搬送するディスク装置であって、ディスクガイドがメインシャーシに弾性体を用いて取り付けられ、搬送ローラの搬送力によりディスクガイドが移動することにより、ディスクを搬送する搬送力を選択する構成とし、これによって所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【０００８】
以上のように本発明は、ディスクガイドがメインシャーシに弾性体を用いて取り付けられ、搬送ローラの搬送力によりディスクガイドが移動することにより、ディスクを搬送する搬送力を選択する構成としたので、表面の摩擦が大きいディスクであってもメカ内部でディスクが動かなくなるなどの故障を低減するディスク装置、およびディスク搬送機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】本発明の実施形態にかかるディスク装置を内蔵するカーオーディオ装置の全体斜視図
【図２】本発明の実施形態にかかるディスク装置の斜視図
【図３】（ａ）同ディスク装置の側面図（ｂ）同ディスク装置のディスクを挿入した状態の側面図
【図４】同ディスク装置のディスクガイドを示す図
【図５】同ディスク装置のアッパーシャーシを示す図
【図６】（ａ）ディスクガイド５のつめ部１１とアッパーシャーシ２ａの取り付け部１４が取り付けられた状態の断面図（ｂ）ディスクガイド５の弾性体１２とアッパーシャーシ２ａの取り付け部２２が取り付けられた状態の断面図
【図７】同ディスク装置の搬送ローラの断面図
【図８】同ディスク装置のディスク搬送動作を説明する図
【図９】同ディスク装置のディスク搬送動作を説明する図
【図１０】同ディスク装置のディスク搬送動作を説明する図
【図１１】同ディスク装置のディスク搬送動作を説明する図
【図１２】同ディスク装置のディスク搬送動作を説明する図
【図１３】同ディスク装置のディスク搬送動作を説明する図
【図１４】同ディスク装置のディスク搬送動作を説明する図
【図１５】同ディスク装置のディスク搬送動作を説明する図
【図１６】同ディスク装置のディスク搬送動作を説明する図
【図１７】同ディスク装置のディスク搬送動作を説明する図
【発明を実施するための形態】
【００１０】
以下、本発明の実施の形態の光ディスク装置について、図面を用いて説明する。
【００１１】
図１には、本発明の実施の形態のディスク装置１を内蔵するカーオーディオ装置１００の全体斜視図が示されている。このカーオーディオ装置１００では、ディスク装置１のほかにラジオ２０、カセットテープ再生装置３０等を内蔵しており、前面パネル４０には、全機能に共用される表示部４０ａや電源／ボリュームつまみ４０ｂに加えて、ディスク装置１における開閉自在な蓋部１１０ａを備えたディスク挿脱口１１０、ラジオ用のチューニングつまみ２０ａ、カセットテープ挿入口３０ａ等が設けられている。また、内部には、ラジオ２０、カセットテープ再生装置３０、ディスク装置１等を制御する図示しない制御部が設けられている。
【００１２】
図２は、ディスク装置１の斜視図を示し、図３は、ディスク装置１の側面図を示している。図３（ａ）は、ディスク３が挿入されていない状態を示し、図３（ｂ）は、ディスク３を挿入した状態を示している。
【００１３】
図２および図３を用いて、ディスク装置１について説明する。
【００１４】
ディスク装置１は、メインシャーシ２の前面に、ディスク３を挿入するためのディスク挿入口４が設けられている。また、メインシャーシ２の上面を構成するアッパーシャーシ２ａにはディスクガイド５が取り付けられ、メインシャーシ２内部にはダンパー６を介してトラバースシャーシ７が装着されている。
【００１５】
また、トラバースシャーシ７の左右折り曲げ面には搬送ローラ支持体８が支持されている。ディスク３は、ディスク挿入口４より挿入され、ディスクガイド５と搬送ローラ１０とで挟持され、搬送ローラ１０が回転することにより搬送される。
【００１６】
また、トラバースシャーシ７は、ディスク挿入口４から挿入されたディスク３を保持し、ディスク３から情報を読み取るディスク再生部１７を備えている。ディスク再生部１７は、ディスク３を回転させるスピンドルモータ１８、ディスク３の情報を記録再生する光ピックアップ（図示しない）、および当該光ピックアップをディスク３の内周及び外周方向に駆動する機構(図示しない)を備えている。
【００１７】
次に、ディスクガイド５について図４を用いて説明する。
【００１８】
ディスクガイド５は、アッパーシャーシ２ａへ引っ掛けるためのつめ部１１と、弾性体１２とを有する。弾性体１２は、好適には樹脂性のフックであり、隙間１３の範囲で可動可能とする。
【００１９】
次に、アッパーシャーシ２ａについて図５、図６（ａ）、（ｂ）を用いて説明する。
【００２０】
アッパーシャーシ２ａは、メインシャーシ２の上面を構成する部品で、ディスクガイド５の４ヶ所のつめ部１１を取り付ける取り付け部１４と、２ヶ所の弾性体１２を取り付ける取り付け部２２を有する。
【００２１】
図６（ａ）は、ディスクガイド５のつめ部１１とアッパーシャーシ２ａの取り付け部１４が取り付けられた状態の断面図を示している。図６（ｂ）は、ディスクガイド５の弾性体１２とアッパーシャーシ２ａの取り付け部２２が取り付けられた状態の断面図を示している。このように取り付けられているので、弾性体１２に矢印Ａ方向に強い力が加わると、隙間１３の範囲で可動する。
【００２２】
次に、搬送ローラ１０の一例について図７を用いて説明する。
【００２３】
搬送ローラ１０のゴムローラ１０ａの内径５０は、ローラーシャフト５１の直径５２よりもやや小さく、ローラーシャフト５１に締まりバメの状態である。そのため、ローラーシャフト５１の回転力がそのまま伝わるため強い搬送力（搬送力５３とする）が得られる。一方、搬送ローラ１０のゴムローラ１０ｂの内径５４は、ローラーシャフト５１の直径５２よりもやや大きく、に隙間バメの状態になっている。そのため、ローラーシャフト５１とゴムローラ１０ｂとの間にスリップが生じ、ローラーシャフト５１の回転力は減衰されてゴムローラ１０ｂに伝わるため、弱い搬送力（搬送力５５とする）になる。
【００２４】
このとき、弾性体１２の弾性力と、ゴムローラ１０ａの搬送力５３と、ゴムローラ１０ｂの搬送力５５との関係は、弾性力＜搬送力５５＜搬送力５３に設定される必要がある。
【００２５】
ここで、図８から図１１を用いてディスク挿入時の動作について説明する。
【００２６】
図８に示すように、ディスク３が挿入口付近にある状態では、ディスク３の外周部は搬送力の強いゴムローラ１０ａによる搬送力（図９の搬送力５３）で搬送される。ここで、搬送力５３が、ディスク３のレーベル面３ａとディスクガイド５との間に生じる摩擦力５６（図９の摩擦力５６）よりも大きければ、ディスクはクランプ位置付近まで搬送される。その後、図１０に示すように、ディスク３がクランプ位置付近まで搬送されると、ディスク３の外周部は搬送力の弱いゴムローラ１０ｂにかかり、ゴムローラ１０ｂがスリップすることにより搬送はストップして、その後クランプされる。
【００２７】
この過程においては、図１１に示すように、ディスクガイド５はスライド可能な方向とは逆の方向に力を受けているため、取り付け位置に留まっている。
【００２８】
次に、図１２から図１７を用いてディスク排出時の動作について説明する。
【００２９】
図１２に示すように、ディスク３のクランプを解除した直後、ディスク３はクランプ位置付近にあり、ディスク３の外周部は搬送力の弱いゴムローラ１０ｂによる搬送力５３を受ける。ここで、図１３に示すように、ディスクのレーベル面３ａとディスクガイド５に生じる摩擦力５６が搬送力５３よりも小さければ、ディスク３はイジェクト方向に搬送される。そして、図１４のようにディスク３の外周部は、ゴムローラ１０ａにより強い搬送力５３を受けるため、イジェクト完了位置まで搬送される。
【００３０】
一方、図１５に示すように、搬送力５５がディスク３のレーベル面３ａとディスクガイド５に生じる摩擦力５６よりも小さい場合でも、搬送力５５＞弾性力と設定されている。したがって、図１６に示すように、ディスク３はディスクガイド５と共に、隙間１３の分だけ排出方向にスライドし、ディスク３の外周部がゴムローラ１０ａの強い搬送力５５に位置する。その結果として、図１７に示すように、ディスク３はイジェクト完了位置まで搬送される。
【００３１】
以上のように、ディスクガイド５がメインシャーシ２に弾性体１２を用いて取り付けられ、搬送ローラ１０の搬送力によりディスクガイド５が移動することにより、ディスク３を搬送する搬送力を選択する構成としたので、表面の摩擦が大きいディスクであってもメカ内部でディスク３が動かなくなるなどの故障を低減することのできるディスク装置、およびディスク搬送機構を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【００３２】
以上のように本発明は、ディスクガイドを可動する構成とすることによって、レーベル面の摩擦が大きいディスクによる故障を防止するという効果を有し、カーオーディオなどのスロットインタイプの光ディスク装置、および光ディスク搬送機構において有用である。
【００３３】
したがって、車載用電子機器として広く活用されるものとなる。
【符号の説明】
【００３４】
１００カーオーディオ装置
２０ラジオ
２０ａラジオ用のチューニング
３０カセットテープ再生装置
３０ａカセットテープ挿入口
４０前面パネル
４０ａ表示部
４０ｂ電源ボリューム
１１０ａ蓋部
１１０ディスク挿脱口
１ディスク装置
２メインシャーシ
２ａアッパーシャーシ
３ディスク
３ａレーベル面
４ディスク挿入口
５ディスクガイド
６ダンパー
７トラバースシャーシ
８搬送ローラ支持体
１０搬送ローラ
１０ａ、１０ｂゴムローラ
１２弾性体
１３隙間
１４、２２取り付け部
１７ディスク再生部
１８スピンドルモータ
５１ローラーシャフト
５３、５５搬送力
５６摩擦力

【特許請求の範囲】
【請求項１】
メインシャーシと、このメインシャーシに搬送ローラとディスクガイドが取り付けられ、前記搬送ローラとディスクガイドでディスクを挟み、前記搬送ローラの回転により前記ディスクを搬送するディスク装置であって、
前記ディスクガイドが前記メインシャーシに弾性体を用いて取り付けられ、前記搬送ローラの搬送力により前記ディスクガイドが移動することにより、前記ディスクを搬送する搬送力を選択する構成としたディスク装置。
【請求項２】
前記ディスクガイドは、前記ディスクの搬送方向に予め決められた範囲で移動可能な構成とした請求項１に記載のディスク装置。
【請求項３】
前記搬送方向を、前記ディスクの排出方向とする構成とした請求項１に記載のディスク装置。
【請求項４】
前記弾性体は樹脂性のフックであり、前記ディスクガイドは少なくとも２ヶ所を前記フックを用いて前記メインシャーシに取り付ける構成とした請求項１に記載のディスク装置。
【請求項５】
前記搬送ローラはゴムローラであり、複数の搬送力を有する部分で構成される請求項１に記載のディスク装置。
【請求項６】
前記搬送ローラの両側の所定範囲を中央部分よりも強い搬送力とする構成とした請求項１に記載のディスク装置。
【請求項７】
メインシャーシと、このメインシャーシに搬送ローラとディスクガイドが取り付けられ、この搬送ローラとディスクガイドでディスクを挟み、前記搬送ローラの回転によりディスクを搬送するディスク搬送機構であって、
前記ディスクガイドが前記メインシャーシに弾性体を用いて取り付けられ、前記搬送ローラの搬送力により前記ディスクガイドが移動することにより、前記ディスクを搬送する搬送力を選択する構成としたディスク搬送機構。

【図１】