説明

ディスク装置のディスクローディング方法

【課題】スロットローディング方式のディスク装置にディスクを短時間で最適状態にローディングする。
【解決手段】シャーシ外装23のフロント面からディスクがディスク装置内部に挿入されたことを検出するディスク挿入検出手段24と、ディスク挿入が検出された後、ディスクをディスク装置内部に移動させてスピンドルモータ31に回転可能に装着するディスクローディング手段26と、ディスクローディング手段26がディスクのローディング動作を完了した状態を検出するローディング完了検出手段27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体であるディスクを回転駆動して信号を再生するスロットローディング式のディスク装置およびこのディスク装置にディスクをローディングするディスクローディング方法に関するものである。
ここで、ディスクとは中心孔を有する円板状記録媒体で、CD、DVDなどの光ディスク、光磁気ディスク、及びアナログレコード盤等を含み、これらを包括する総称として単にディスクと表記するものとする。また、特に断らない限り、ジャケットに収納されていないベアディスクを表わすものとする。
【背景技術】
【0002】
スロットローディング方式のディスク装置としては、ベース本体と蓋体とからシャーシ外装のフロント面にディスクを直接挿入するディスク挿入口を形成するとともにベース本体にトラバースを設け、スピンドルモータと、ピックアップと、ピックアップを移動させる駆動手段とをトラバースによって保持する構成において、スピンドルモータがベース本体の中央部に位置し、トラバースをピックアップの往復動範囲がスピンドルモータよりもディスク挿入口側に位置するように配設し、トラバースをベース本体に支持する一対のインシュレータがスピンドルモータの位置よりもピックアップの静止位置側に位置するように配設し、スピンドルモータがベース本体側または蓋体側に近接するようにトラバースを変位させるカム機構をメインスライダーとサブスライダーにそれぞれ設け、メインスライダーをトラバースの側方に一端がシャーシ本体のフロント面側、他端がシャーシ本体のリア面側となる方向に配設し、サブスライダーをメインスライダーと直交する方向に配設し、メインスライダーの一端側にローディングモータを配設し、メインスライダーの一端側とローディングモータの駆動軸とをギアを介して連結し、ローディングモータの駆動によってメインスライダーを長手方向に摺動させることにより、薄型化と小型化を図った構成が提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−236711公報((0004)〜(0005)および図1など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載されているスロットローディング方式のディスク装置においては、ディスクをローディングする際の各機械要素の連係動作については詳細に記載されているが、ディスクのローディング時の制御方法についての記載はない。
薄型のスロットイン方式のローディング装置では、スピンドルモータ上のディスク挿入スペースを確保する為に、スピンドルモータ部分が装置底面と接触する位置まで降下する構造とせざるを得ない。この場合、ピックアップが内周位置にいると装置底面にピックアップが干渉してスピンドルモータが十分降下することが出来ないため、スピンドルモータを降下させる前にピックアップを外周位置に移動させることが一般的に行われている。
ところが、ディスク挿入後のスピンアップ動作では、光ディスクなどの情報ディスクでは最内周位置付近にディスクのインデックス情報などが記録されているため、一旦最内周位置にピックアップを移動させる必要がある。このため、スピンアップに余分な時間を要するという問題があった。
【0004】
そこで本発明は、ローディング完了までの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明のディスク装置のディスクローディング方法は、シャーシ外装のフロント面からディスクがディスク装置内部に挿入されたことを検出するディスク挿入検出手段と、前記ディスク挿入検出手段により前記ディスクが前記ディスク装置内部に挿入されたことを検出した後、ディスク引き込みレバーにより前記ディスクを前記ディスク装置内部に移動させてスピンドルモータに回転可能に装着するディスクローディング手段と、前記ディスクローディング手段が前記ディスクのローディング動作を完了した状態を検出するローディング完了検出手段とを備えたディスク装置のディスクローディング方法であって、前記ディスク挿入検出手段により前記ディスクが挿入されたことを検出するステップと、前記ディスクの挿入を検出した後に、前記ディスク引き込みレバーにより前記ディスクを前記ディスク装置内の所定の位置に引き込むステップと、前記引き込みレバーにより前記ディスクを前記ディスク装置内の所定の位置に引き込んだ後に、前記スピンドルモータを上昇させ、前記ディスクを回転可能に保持するステップと、前記スピンドルモータを上昇させ、前記ディスクを回転可能に保持する前記ステップを実行している間に前記ピックアップを内周方向に移動させるステップとを有することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のディスク装置のディスクローディング方法において、前記ピックアップを内周方向に移動させるステップでは、前記ピックアップの移動速度を変更して行うことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載のディスク装置のディスクローディング方法において、前記ピックアップを、高速移動させた後に低速移動させることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のディスク装置のディスクローディング方法において、前記ローディング動作では複数回のチャッキングを行い、前記ピックアップの内周方向への移動を、最初の前記チャッキング動作の後に行うことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載のディスク装置のディスクローディング方法において、複数回の前記チャッキングの動作の間に前記ディスクを回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スピンアップに余分な時間を要することなく、ローディング完了までの時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態によるディスク装置のディスクローディング方法は、ディスクが挿入されたことを検出し、ディスク引き込みレバーによりディスクをディスク装置内の所定の位置に引き込み、スピンドルモータを上昇させ、ディスクを回転可能に保持するステップを実行している間にピックアップを内周方向に移動させるもので、スピンアップに余分な時間を要することなく、ローディング完了までの時間を短縮することができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるディスク装置のディスクローディング方法において、ピックアップを内周方向に移動させるステップでは、ピックアップの移動速度を変更して行うもので、移動速度を速めることができるとともに、ディスクに記録されたインデックス情報を正確に読み取ることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態によるディスク装置のディスクローディング方法において、ピックアップを、高速移動させた後に低速移動させるもので、光ディスクなどの情報ディスクでは最内周位置付近にディスクのインデックス情報などが記録されているため、移動速度を速めることができるとともに、ディスクに記録されたインデックス情報を正確に読み取ることができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態によるディスク装置のディスクローディング方法において、ローディング動作では複数回のチャッキングの動作を行い、ピックアップの内周方向への移動を、最初のチャッキング動作の後に行うもので、最初のチャッキング動作を正確に行わせることができるとともに、スピンアップに余分な時間を要することなく、ローディング完了までの時間を短縮することができる。
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態によるディスク装置のディスクローディング方法において、複数回のチャッキングの動作の間にディスクを回転させるもので、確実なチャッキングを実現することができる。
【実施例】
【0008】
以下本発明の一実施例によるディスク装置について説明する。図1は本実施例によるディスク装置のブロック図である。ディスク装置の基本構成は、ベース本体10、蓋体19、シャーシ外装23、ディスク挿入口11、コネクタ12、トラバース30、プリント基板14、スピンドルモータ31、ピックアップ32および駆動手段33から構成されている。シャーシ外装23はベース本体10と蓋体19とから構成されている。蓋体19のフロント面にはディスクを直接挿入するディスク挿入口11が形成されており、シャーシ外装23のリア面にはコネクタ12が配設されている。ベース本体10にはトラバース30とプリント基板14が設けられており、トラバース30は、ディスクを保持しこのディスクを回転駆動してディスクに対し記録再生動作を行い、また、保持状態からディスクを解放するスピンドルモータ31及びピックアップ32、並びにこのピックアップ32を移動させる駆動手段33とを保持している。
【0009】
ディスク装置は、さらに、ディスクローディング制御系として、ディスクがディスク装置内部に挿入されたことを検出するディスク挿入検出手段24と、ディスクを挿入してローディング動作を行うことが可能な状態を検出するディスクローディング待機状態検出手段25と、ディスク挿入検出手段24によりディスクがディスク装置内部に挿入されたことを検出した検出情報を基にディスク引き込みレバーによりディスク装置内部にディスクを移動させてスピンドルモータ31に回転可能に装着するディスクローディング手段26と、ディスクローディング手段26がディスクのローディング動作を完了した状態を検出するローディング完了検出手段27とを有している。
ディスク挿入検出手段24は、ディスクが挿入されるとオフになり、ディスクが挿入されていないときはオンになるスイッチで構成される。ディスクローディング待機状態検出手段25はディスクのローディング待機状態になったときにオンになり、ローディング待機状態以外の状態でオフになるスイッチで構成される。ローディング完了検出手段27はディスクのローディング状態を監視してディスクが完全にローディングされたときにオンになり、それ以外の場合はオフになるスイッチで構成される。
【0010】
つぎに、ディスク装置のローディング動作処理を図2とともに説明する。図2はローディング動作処理の制御フローチャートである。ディスク挿入口14にディスクが挿入されると、ディスク挿入検出手段24としてのディスク検出スイッチはディスクが挿入されるとオフになり、ディスクが挿入されていないときはオンになるので、そのポーリングを監視することによりディスクの挿入を検出する(ステップ11)。つぎに、ディスクのチャタリング除去後、ディスクローディング手段26のローディングモータをローディング側へ駆動してローディング処理を開始する(ステップ12)。なお、チャタリング除去の後にディスクの挿入を検出する(ステップ11)ようにしてもよい。ローディング処理中に、ローディング完了検出手段27およびディスク有無検出手段28を監視しながらローディングモータの駆動動作を制御しながら駆動する。
【0011】
ローディング処理実行中に、ローディングモータの駆動と並行してディスク回転処理(ステップ13)およびピックアップ内周送り処理(ステップ14)を行う。すなわち、ステップ14では、スピンドルモータ31を上昇させ、ディスクを回転可能に保持するステップ13を実行している間にピックアップ32を内周方向に移動させる。このとき、ピックアップ32の移動速度を変更して行うことが好ましい。具体的には、ピックアップ32の内周方向への移動は、最初のチャッキング動作の後に行う。最初のチャッキング動作まではピックアップ32を動作させないことで、チャッキング動作を正確に行わせることができる。そして、最初のチャッキング動作後に、ピックアップ32を高速移動させ、その後に低速移動させる。光ディスクなどの情報ディスクでは最内周位置付近にディスクのインデックス情報などが記録されているため、高速移動させた後に低速移動させることで、移動速度を速めることができるとともに、ディスクに記録されたインデックス情報を正確に読み取ることができる。
【0012】
ディスク回転処理は、複数回チャッキング動作を行うために行う。すなわち、一度だけのチャッキング動作ではチャッキングに失敗する恐れがあるので、ローディング処理中にローディングメカがチャッキングを行う位置に到達後、一旦ローディングメカを排出方向へ戻し、再度ローディング方向へ駆動して2度目のチャッキング動作を行い、以下必要に応じてこの操作を繰り返して複数回のチャッキング動作を行うようにローディングモータを駆動する。このとき、ディスク回転処理は1回目のチャッキング動作と2回目のチャッキング動作の間にスピンドルモータ31でディスクを回転させ、チャッキングしにくいチャッキング爪位置で繰り返しチャッキング動作を繰り返すことがないようにする。ピックアップ内周送り処理は、ディスクのスピンアップ時間を短縮するために、ローディング処理中にピックアップをディスクの内周方向に移動させる処理である。
【0013】
ローディング完了検出手段27はローディングが完了したか否かを判定し(ステップ15)、ローディングの完了を検出すると、ローディングモータの逆起電圧発生を防止するために、0ボルトの駆動でローディングモータのブレーキ動作を行い(ステップ16)、惰力のローディング動作を即時に停止させるためにローディングモータを逆転動作させる(ステップ17)。最後に、次のディスクを挿入できないように、また、再度ローディングの要求があってもローディング動作を行わないようにディスクローディング手段26のメカをロックする(ステップ18)。
【0014】
以上のように本実施例によれば、スピンドルモータ31を上昇させている間にピックアップを内周方向に移動させることで、スピンアップに余分な時間を要することなく、ローディング完了までの時間を短縮することができる。
また本実施例によれば、ピックアップ32の移動速度を変更して行うことで、移動速度を速めることができるとともに、ディスクに記録されたインデックス情報を正確に読み取ることができる。
また本実施例によれば、高速移動させた後に低速移動させることで、移動速度を速めることができるとともに、ディスクに記録されたインデックス情報を正確に読み取ることができる。
また本実施例によれば、ピックアップ32の内周方向への移動を、最初のチャッキング動作の後に行うことで最初のチャッキング動作を正確に行わせることができるとともに、スピンアップに余分な時間を要することなく、ローディング完了までの時間を短縮することができる。
また本実施例によれば、複数回のチャッキング動作の間にディスクを回転させることで確実なチャッキングを実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明のディスク装置およびディスクローディング方法は、CDやDVDなどにより映像や音声を記録再生する映像音声記録再生装置、CD、DVDなどにより大型コンピュータやパソコンなどのコンピュータのデータを記録再生するデータ用のデータ記録装置、スロットローディング式のアナログレコードカッティング装置やレコードプレーヤなどの光ディスクや光磁気ディスクを利用した各種の記録再生装置に適する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例によるディスク装置のブロック図
【図2】本発明の実施例によるディスク装置のディスクローディング方法を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0017】
10 ベース本体
11 ディスク挿入口
12 コネクタ
14 プリント基板
19 蓋体
23 シャーシ外装
24 ディスク挿入検出手段
25 ディスクローディング待機状態検出手段
26 ディスクローディング手段
27 ローディング完了検出手段
30 トラバース
31 スピンドルモータ
32 ピックアップ32
33 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシ外装のフロント面からディスクがディスク装置内部に挿入されたことを検出するディスク挿入検出手段と、
前記ディスク挿入検出手段により前記ディスクが前記ディスク装置内部に挿入されたことを検出した後、ディスク引き込みレバーにより前記ディスクを前記ディスク装置内部に移動させてスピンドルモータに回転可能に装着するディスクローディング手段と、
前記ディスクローディング手段が前記ディスクのローディング動作を完了した状態を検出するローディング完了検出手段と
を備えたディスク装置のディスクローディング方法であって、
前記ディスク挿入検出手段により前記ディスクが挿入されたことを検出するステップと、
前記ディスクの挿入を検出した後に、前記ディスク引き込みレバーにより前記ディスクを前記ディスク装置内の所定の位置に引き込むステップと、
前記引き込みレバーにより前記ディスクを前記ディスク装置内の所定の位置に引き込んだ後に、前記スピンドルモータを上昇させ、前記ディスクを回転可能に保持するステップと、
前記スピンドルモータを上昇させ、前記ディスクを回転可能に保持する前記ステップを実行している間に前記ピックアップを内周方向に移動させるステップと
を有することを特徴とするディスク装置のディスクローディング方法。
【請求項2】
前記ピックアップを内周方向に移動させるステップでは、前記ピックアップの移動速度を変更して行うことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置のディスクローディング方法。
【請求項3】
前記ピックアップを、高速移動させた後に低速移動させることを特徴とする請求項2に記載のディスク装置のディスクローディング方法。
【請求項4】
前記ローディング動作では複数回のチャッキングを行い、前記ピックアップの内周方向への移動を、最初の前記チャッキング動作の後に行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のディスク装置のディスクローディング方法。
【請求項5】
複数回の前記チャッキングの動作の間に前記ディスクを回転させることを特徴とする請求項4に記載のディスク装置のディスクローディング方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−4912(P2007−4912A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184687(P2005−184687)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】