説明

ディスク装置及び電子機器

【課題】蓋部材の開閉を容易に行えるディスク装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】ディスク装置は、ディスク収納部及び開口部を有する筐体と、一端側が筐体に回動自在に軸支され、他端側が筐体に近接して前記開口部を閉塞し、当該他端側が離間して前記開口部を開放する蓋部材とを備える。筐体は、蓋部材と係合して、当該蓋部材の他端側が筐体に近接する第1方向、及び、離間する第2方向に付勢する付勢手段56と、挟持部553とを備える。蓋部材は、付勢手段56と係合する側壁61Lを備える。付勢手段56は、コイル部561と、コイル部561の一方の端部から接線方向に延出する第1の線状部563と、他方の端部から接線方向とは異なる方向に延出する第2の線状部562とを備える。線状部563は側壁61Lと係合し、線状部562は延出方向が蓋部材の回動軸方向に沿うように挟持部553により挟持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置、及び、当該ディスク装置を備えた携帯可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気的または光学的にデータを記録する円盤状のディスクに対するデータの記録、及び、当該ディスクからのデータの読込を行うディスク装置が知られている。このようなディスク装置は、近年、小型化傾向にあり、携帯可能なディスク装置も知られている。このような携帯型のディスク装置として、外装筐体(外筐)に対して開閉する蓋部材(蓋部)を備え、当該蓋部材にディスクを収納するホルダが設けられたディスク装置(電子機器)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のディスク装置では、蓋部材を外装筐体に対して開くと、当該蓋部材の内側に設けられたホルダが露出し、当該ホルダへのディスクの挿入が可能となる。このため、ホルダにディスクを挿入した状態で、蓋部材を外装筐体に対して閉塞すると、ディスクがホルダごと外装筐体内部に収納されるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−267828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のディスク装置では、ディスクを外装筐体内に収納する場合、当該ディスクを蓋部材に設けられたホルダに挿入する必要があるため、ディスクを外装筐体内に収納しづらいという問題がある。また、外装筐体から蓋部材が離間するように当該蓋部材を回動させ、ディスク収納用の開口を大きく開いた場合でも、ディスクがホルダの収納されているため、当該ディスクを取り出しづらいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、ディスクの収納及び取出を容易に行うことのできるディスク収納体及びディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明のディスク収納体は、記録媒体としてのディスクを収納するディスク収納体であって、前記ディスクを収納するディスク収納部、及び、当該ディスク収納部に前記ディスクを収納するための開口部が形成された筐体と、前記開口部を閉塞する蓋部材とを備え、前記筐体には、前記蓋部材の一端側が、当該筐体に対して近接及び離間するように、当該蓋部材の他端側を回動自在に支持する支持部が設けられ、前記ディスク収納部には、一端が当該ディスク収納部と係合し、かつ、他端が前記蓋部材と係合して、当該蓋部材の回動に応じて当該ディスク収納部から起立する起立片が、前記支持部が設けられた側とは反対側に回動自在に取り付けられ、前記起立片には、前記筐体から離間する方向に前記蓋部材が回動されると、前記ディスク収納部に収納された前記ディスクを当該ディスク収納部から起こす起こし部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ディスクを収納するディスク収納部において、蓋部材を支持する支持部が設けられた側とは反対側には、当該ディスク収納部にディスクを収納するための開口部を閉塞する蓋部材と係合し、かつ、当該蓋部材の回動に応じて回動して、ディスク収納部から起立する起立片が取り付けられている。この起立片には、蓋部材が筐体から離間する方向に回動し、開口部が開放される際に、ディスク収納部に収納されたディスクを起こす起こし部が形成されている。
【0009】
これによれば、開口部を開放するように、蓋部材を筐体から離間する方向に回動させた場合には、ディスク収納部から起立片が起立することとなるが、この際、蓋部材の回動量に応じて、蓋部材と起立片の起こし部との隙間を大きくすることができる。
このため、ディスクを収納する際には、蓋部財と起こし部との間にディスクを挿入し、かつ、当該ディスクを起こし部に載せるように配置した状態で、蓋部材を筐体に近接する方向に回動させることにより、ディスク収納部にディスクを収納することができる。これにより、ディスクの収納操作を容易に行うことができる。
【0010】
また、ディスクを取り出す際には、蓋部材の回動動作に応じて、起立片の起こし部がディスク収納部からディスクを起こすので、当該ディスクを蓋部材と起こし部との間で容易に把持することができる。これにより、ディスクの取り出しを容易に行うことができる。
従って、前述の特許文献1に記載のディスク装置のように、ホルダ内にディスクを収納する場合に比べ、ディスク収納部におけるディスクの露出面積を大きくすることができるだけでなく、蓋部材と起立片の起こし部との隙間を大きくすることができるので、ディスク収納部へのディスクの収納及び当該ディスク収納部からのディスクの取出を容易に行うことができる。
さらに、ディスク収納部又は蓋部材に、ディスクが挿入されるホルダ、及び、当該ホルダを固定する構成を設ける必要がなくなるので、ディスク収納体の構成を簡略化することができるとともに、部品点数の削減を図ることができる。
【0011】
本発明では、前記起こし部は、前記起立片において、前記開口部を前記蓋部材が閉塞した際に、前記ディスク収納部の中央から、当該起立片の取付位置側に形成されていることが好ましい。
ここで、起立片における起こし部の位置が、ディスク収納部における中央から、起立片の取付位置側とは反対側、すなわち、支持部側に設けられている場合には、蓋部材を回動させて開口部を露出させると、ディスクにおける支持部側の端部が起こし部により起こされ、当該端部とは反対側の端部、すなわち、蓋部材を開放した際に当該蓋部材とディスク収納部とにより形成される開口側の端部がディスク収納部に近接するように傾斜する。
これに対し、本発明では、ディスクにおける起立片の取付位置側の端部、すなわち、当該開口側の端部が起こし部により起こされ、支持部側の端部がディスク収納部に近接するように傾斜することにより、ディスクを一層把持しやすくすることができる。従って、ディスク収納部からのディスクの取出を容易に行うことができる。
【0012】
本発明では、前記起立片は、前記ディスク収納部の中央を挟み、かつ、前記開口部に対する前記ディスクの挿入方向に略直交する方向の両端部近傍にそれぞれ設けられていることが好ましい。
本発明によれば、起立片は、開口部を介してディスク収納部に挿入されるディスクの挿入方向に略直交する方向のディスク収納部の両端部近傍に、それぞれ設けられている。これによれば、各起立片の起こし部が、当該略直交する方向のディスクの両端部を起こすことができ、これにより、各起こし部がディスクを安定して支持することができ、不要にディスクが傾斜することを防ぐことができる。従って、ディスク収納部からのディスクの取出を一層容易に行うことができる。
【0013】
本発明では、前記起こし部は、前記各起立片間を接続する板状に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、起こし部が、各起立片間を接続する板状に設けられていることにより、当該起こし部とディスクとの当接を確実に行うことができるので、ディスク収納部からディスクを確実に起こすことができるとともに、当該ディスクを一層安定して支持することができる。さらに、起こし部が各起立片を接続することにより、当該各起立片を1つの起立片として構成することができるので、ディスク収納体の構成を一層簡略化することができるとともに、起立片の取付を容易に行うことができる。
【0014】
本発明では、前記蓋部材には、前記ディスクの前記開口部への挿入方向に沿い、かつ、前記起立片に係合するガイド孔が形成され、前記起立片には、前記ディスク収納部により支持される側の端部とは反対側の端部に、前記ガイド孔に挿入され、かつ、当該ガイド孔に沿って摺動する突起部が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、蓋部材に形成されたガイド孔に、起立片に形成された突起部が挿入され、当該突起部は、蓋部材の回動に応じてガイド孔に沿って摺動する。これによれば、開口部を開放する方向に蓋部材が回動した場合には、起立片をディスク収納部から確実に起立させることができる一方で、開口部を閉塞する方向に蓋部材が回動した場合には、当該起立片をディスク収納部に沿うように確実に配置することができる。従って、蓋部材の回動に応じて、起立部を回動させることができ、ディスク収納部へのディスクの収納及び取出の容易性を確実に発揮することができる。
【0015】
本発明では、前記ディスク収納部における前記支持部側には、前記ディスクの形状に応じた略円弧状部分を有し、かつ、当該ディスク収納部に収納された前記ディスクを位置決めする位置決め部が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、ディスク収納部に、ディスクの形状に応じた略円弧状部を有する位置決め部が設けられていることにより、当該ディスク収納部内に収納されたディスクを確実に位置決めすることができる。従って、ディスク収納部内でディスクが揺動することを防ぐことができる。
【0016】
また、本発明のディスク装置は、ディスクに記録された情報の読取、及び、当該ディスクに対する情報の書込のうち、少なくともいずれかを実行する情報読取/書込手段を備えたディスク装置であって、前述のディスク収納体を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述のディスク収納体と同様の効果を奏することができる。また、前述の位置決め部がディスク収納部に設けられている場合には、当該位置決め部によりディスクの揺動を防ぐことができるので、情報読取/書込手段によるディスクからの情報の読取及びディスクへの情報の記録を誤り無く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔ディスク装置1の全体構成〕
図1は、本実施形態に係るディスク装置1を正面側から見た斜視図である。
本実施形態のディスク装置1は、携帯用のゲーム機として構成された電子機器であり、例えば、ディスク9(図3参照)に記録されているゲームプログラム等を読み出して、キー及びスイッチに対する使用者(ゲームプレーヤ)の操作に応じて、ゲームプログラムを実行したり、当該ディスク9に記録された音声情報および画像情報を再生したりするものである。なお、ゲームの実行とは、主としてゲームの進行および画像・音声情報の出力等を制御することをいう。
このディスク装置1は、図1に示すように、扁平横長矩形状で、両端部が円弧状に形成されたディスク収納体2を備え、当該ディスク収納体2は、筐体3と、当該筐体3に取り付けられる蓋部材6とを備えている。
【0018】
〔筐体3の構成〕
筐体3は、使用者がディスク装置1を保持した際に、当該使用者に対向するフロントケース4と、当該フロントケース4の背面側にねじ固定されるリアケース5とを備えて構成されている。
このうち、フロントケース4の正面側(使用者に対向する側)略中央には、横長矩形状の液晶パネル401が設けられ、当該液晶パネル401を挟む左右両側、及び、液晶パネル401の下側には、各種キー等が設けられている。
【0019】
具体的に、液晶パネル401の左側(図1における左側部分)には、上下左右を示す4つの方向キー402、アナログデバイス403及び2つのLED404,405が配置されている。このうち、4つの方向キー402は、当該方向キー402に対応して筐体3内部に設けられた感圧センサと接触可能に設けられ、各キー402が入力されると、感圧センサによってキー402の入力が検出され、当該キー402に応じたデジタル信号が図示しない制御装置に出力される。また、アナログデバイス403は、フロントケース4に沿って押圧移動可能に構成され、当該デバイス403の移動方向を示すアナログ信号を制御装置に出力する。また、2つのLED404,405のうち、上方に配置されたLED404は、筐体3内部に収納されたメモリカード(図示省略)がデータの書込/読出状態にあることを示すLEDであり、下方に配置されたLED405は、当該ディスク装置1の通信状態を示すLEDである。
【0020】
液晶パネル401の右側(図1における右側部分)には、「△」、「○」、「×」、「□」の文字がそれぞれ表記された4つの決定キー406、LED407、電源キー(図示省略)及び当該電源キーがホールド位置にあると色が変わる窓部408が配置されている。
このうち、4つの決定キー406は、当該決定キー406に対応して筐体3内部に設けられた図示しない感圧センサと接触可能に設けられており、前述の方向キー402と同様に、感圧センサによってキーの入力が検出され、当該キーに応じたデジタル信号が制御装置に出力される。LED407は、電源のオン/オフ状態を示すものであり、ディスク装置1の電源がオン状態にある場合には緑色点灯し、バッテリ(図示省略)への充電中である場合には橙色点灯する。
【0021】
液晶パネル401の下側(図1における下側部分)には、ゲーム等を中断して初期表示状態に復帰するホームキー409、音量を増減させる音量キー410,411、輝度切替キー412,ミュートキー413、セレクトキー414、スタートキー415等が配置されている。このうち、輝度切替キー412は、液晶パネル401の輝度を切り替えるキーであり、また、ミュートキー413は、音声をミュートさせるキーである。セレクトキー414及びスタートキー415は、ゲームの実行中に操作するキーである。
また、筐体3の四隅部分は内側に切り欠かれ、これらの切り欠きのうち、上側左右隅部には決定キー416L,416R(左側の決定キーを416Lとし、右側の決定キーを416Rとする)が、下側左隅部にはストラップ掛部417がそれぞれ設けられている。
【0022】
フロントケース4とリアケース5とが重ね合わされる筐体3の上面31の略中央には、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したminiB端子が挿抜可能な接続端子418が設けられており、この接続端子418を挟むように、開口を介して電極が露出した電力供給端子419が設けられている。
また、これら電力供給端子419の外側で、かつ、左側には、接続端子418に接続された外部機器を固定するねじ(図示省略)が螺合するねじ穴420が形成され、右側には、外部機器に設けられた位置決めピン(図示省略)が挿入されるピン挿入口421が形成されている。なお、本実施形態では、上面の左側にねじ穴420が、また、右側にピン挿入口421が形成されているが、左右が逆でもよく、また、ピン挿入口421が形成された位置にねじ穴が形成された構成としてもよい。
【0023】
また、当該上面31において、キー416Lと、ねじ穴420との間には、受光窓422が設けられ、筐体3内には、当該受光窓422を介して他の外部機器と赤外線通信を行う赤外線通信モジュール(図示省略)が設けられている。
また、キー416Rと、ピン挿入口421との間には、リアケース5の背面側に設けられた蓋部材6の開放を規制するロックスライダ423が設けられている。このロックスライダ423を、筐体3の上面31に沿って一方向に摺動させると、蓋部材6の開放規制が解除され、当該蓋部材6を開くことが可能となり、リアケース5に形成されたディスク収納部53(図2及び図5参照)内にディスク9を収納することができる。
【0024】
図2は、ディスク装置1を背面側から見た斜視図であり、リアケース5を示す斜視図である。
リアケース5は、フロントケース4と略同じ外形を有し、前述のように、当該フロントケース4の背面側にねじ固定される。このリアケース5は、図2に示すように、左右方向に沿って3つの領域に分割され、右側(使用者に保持された際の左側)にメモリカード収納部51が、左側(使用者に保持された際の右側)にバッテリパック収納部52が、また、これらに挟まれるように中央にディスク収納部53が、それぞれ形成されている。
メモリカード収納部51は、開閉可能な蓋部511を備え、内部にメモリカード(図示省略)を装着できるように構成されている。
バッテリパック収納部52は、着脱可能な蓋部521を備え、内部にバッテリパック(図示省略)を収納できるように構成されている。
【0025】
ディスク収納部53は、当該ディスク収納部53に応じた位置に形成されたディスク収納用の開口部531(図5参照)を介して挿入されたディスク9を収納する。このディスク収納部53には、略矩形の開口部531と略同じ寸法を有する蓋部材6が、当該蓋部材6の一端を軸としてリアケース5に対する近接方向及び離間方向に回動自在に設けられている。そして、当該蓋部材6を離間方向に回動させることにより、開口部531が開放され、ディスク収納部53が露出する。また、蓋部材6を近接方向に回動させることにより、開口部531が閉塞され、蓋部材6とリアケース5とが面一となる。なお、ディスク収納部53及び蓋部材6の詳細な構成については、後に詳述する。
【0026】
〔ディスク9の構成〕
図3は、ディスク9を示す平面図である。
ここで、ディスク装置1に用いられるディスク9について説明する。
記録媒体としてのディスク9は、図3に示すように、ディスク本体91と、当該ディスク本体91を内部に収納する合成樹脂製のカートリッジ92とを備えて構成されている。
ディスク本体91は、略円盤形状を有する光読取方式の光ディスクであり、略中央には、ディスク収納部53内に設けられ、かつ、ディスク本体91を回転させるターンテーブル532(図5及び図7参照)にチャッキングされる略円形状の金属製の当接部911が設けられている。このディスク本体91には、ゲームプログラム、映画等の種々の画像情報、および音楽等の音声情報等を記録可能に構成されている。
【0027】
カートリッジ92は、平面視略盾型形状を有している。具体的に、カートリッジ92の外周形状は、略平行な一対の直線部921(図3における左右部分)と、それぞれの直線部921における一方の同じ側の端部(図3における直線部921の下方端部)同士を接続し、かつ、それぞれの端部間を直径とする略半円形状の半円状部922(図3における下側部分)と、一対の直線部921の他方の端部同士を接続する円弧状部923(図3における上側部分)とを有するように形成されている。このうち、円弧状部923は、半円状部922の直径の中心から半円状部922の端縁略中央を通る直線上で、かつ、半円状部922の外側にある一点を中心として円弧状に形成されている。
また、カートリッジ92の中央には、ディスク本体91の当接部911にターンテーブル532が当接するための略円形状の開口部924が形成されており、当該開口部924から、当接部911が露出している。
【0028】
このカートリッジ92の底面(図3で図示している面)には、ディスク本体91を部分的に露出させる略矩形の開口部925が形成されている。この開口部925は、ディスク9をディスク収納部53に収納し、蓋部材6を閉塞した際に、ディスク本体91から情報を読み取るディスク装置1のピックアップ533に対応する位置に形成されており、この開口部925を介して、ディスク本体91の記録面が露出している。そして、この開口部925を介して、ピックアップ533により、ディスク本体91に記録された情報を光学的に読み取ることができる。
【0029】
また、当該底面における円弧状部923の内側には、ピン挿入孔926,927が、それぞれ左右対称に形成されている。これらピン挿入孔926,927には、ディスク収納部53に設けられ、かつ、当該ディスク収納部53内でディスク9を位置決めする位置決めピン535が挿入される。これらピン挿入孔926,927のうち、図3における左側(開口部925から離間する側)に形成されたピン挿入孔926は平面視長円形状に形成され、また、右側(開口部925に近接する側)に形成されたピン挿入孔927は、平面視円形状に形成されている。
【0030】
〔ディスク収納部53の構成〕
図4〜図6は、ディスク収納部53を示す斜視図である。具体的に、図4は蓋部材6が閉塞した状態、図5は蓋部材を開放した状態、及び、図6はディスク9をディスク収納部53に挿入した状態をそれぞれ示す図である。
ディスク収納部53は、前述のように、ディスク9を収納する。このディスク収納部53には、図4に示すように、平面視略矩形の蓋部材6が、筐体3の底面32(図2参照)側の一端を軸として矢印B1,B2方向に回動自在に取り付けられている。
【0031】
この蓋部材6は、前述のように、筐体3の上面に設けられたロックスライダ423(図1参照)をスライドさせることにより筐体3とのロックが解除され、図5に示すように、当該蓋部材6をリアケース5から離間する方向(矢印B1方向)に回動させると、ディスク収納部53が開放される。そして、ディスク収納部53にディスク9を収納する場合には、図6に示すように、ディスク9を構成するカートリッジ92の底面(図3において図示した面)がディスク収納部53の底面53A(蓋部材6に対向する面)に対向し、かつ、当該カートリッジ92の半円状部922が挿入方向(矢印A方向)先端側となるようにしてディスク9をディスク収納部53に挿入し、蓋部材6を筐体3に近接する方向(矢印B2方向)に回動させることにより、ディスク9がディスク収納部53内に収納される。
【0032】
図7及び図8は、ディスク収納部53を示す平面図である。このうち、図7はディスク9を収納していない状態を示す図であり、図8はディスク9を収納した状態を示す図である。
このようなディスク収納部53には、図5及び図7に示すように、当該ディスク収納部53と接続された前述のディスク収納用の開口部531の他に、ターンテーブル532、ピックアップ533、メディアガイド534、位置決めピン535、ロックレバー536及びイジェクトバー54が設けられ、また、支持部537、連通口538及びバー取付部539が形成されている。このうち、イジェクトバー54の構成については、後に詳述する。
【0033】
ターンテーブル532は、平面視略正方形状のディスク収納部53の底面53Aにおける略中央に配置されている。このターンテーブル532は、詳しい図示を省略するが、モータと当該モータの回転軸に取り付けられたマグネットとを備え、当該マグネットは、前述のディスク9のディスク本体91に設けられた当接部911に当接して、当該ディスク9をチャッキングする。そして、モータが駆動すると、ディスク本体91をチャッキングしたマグネットが回転し、当該ディスク本体91を高速で回転させる。
【0034】
ピックアップ533は、本発明の情報読取/書込手段に相当し、底面53Aにおけるターンテーブル532に隣接した位置に設けられている。そして、ピックアップ533は、ターンテーブル532の駆動により回転するディスク本体91に、カートリッジ92の開口部925を介して、レーザ光を照射し、当該ディスク本体91に情報を記録するとともに、当該ディスク本体91の記録面からの反射光を受光して、ディスク本体91に記録された情報を光学的に読み取る。
【0035】
メディアガイド534は、ディスク収納部53に収納されたディスク9の挿入方向先端側の位置を決めるとともに、当該ディスク収納部53に誤った向きでディスク9が収納されることを防ぐものである。このメディアガイド534は、底面53Aにおける矢印A方向の先端側、すなわち、蓋部材6の回動軸に近接する位置に設けられている。
このメディアガイド534は、ディスク9を構成するカートリッジ92の半円状部922に合わせた円弧状部5341を有する平面視凹型形状に形成されている。そして、この円弧状部5341は、底面53Aに近接するに従って、ディスク収納部53の中央側への突出量が大きくなるように傾斜して形成されている。すなわち、メディアガイド534の縦断面は、底面53A側が大きい寸法を有し、かつ、当該底面53Aから離間した上面側(蓋部材6に対向する側)が小さい寸法を有する略台形形状を有している。
【0036】
このような円弧状部5341にカートリッジ92の半円状部922が当接することにより、蓋部材6を閉塞した際に、ディスク9をディスク収納部53内に収納しやすくすることができるとともに、ディスク9を当該ディスク収納部53内の適切な位置に収納することができる。また、ディスク9が逆向きに挿入され、当該ディスク9の円弧状部923が円弧状部5341に当接した場合には、それぞれの形状が一致しないため、当該ディスク9がディスク収納部53に収納されず、蓋部材6の閉塞を行うことができない。これにより、ディスク9がディスク収納部53に誤った向きで収納されることを防ぐことができる。
【0037】
位置決めピン535(筐体3の上面31側を上方として、底面53Aに向かって左側の位置決めピンを535Lとし、右側の位置決めピンを535Rとする)は、底面53Aにおいて、蓋部材6の回動軸側とは反対側に左右対称に1つずつ設けられている。すなわち、位置決めピン535は、ディスク収納部53を平面視した際に、矢印A方向に沿い、かつ、底面53Aの中央を通る直線を中心として略対称に1つずつ設けられている。これら位置決めピン535は、ディスク収納部53にディスク9が収納された際、当該ディスク9のピン挿入孔926,927にそれぞれ挿入される。これにより、ディスク収納部53内でのディスク9の位置決めが行われる。また、ディスク9が表裏逆にディスク収納部53に挿入された場合には、位置決めピン535がピン挿入孔926,927に挿入されず、蓋部材6を閉塞することができない。これにより、ディスク9の誤挿入を防ぐことができる。
【0038】
ロックレバー536(図7参照)は、前述のロックスライダ423(図1参照)のスライドに応じて、蓋部材6を係止し、当該蓋部材6の回動を規制する。このロックレバー536は、詳しい図示を省略するが、ロックスライダ423の摺動動作に連動して、底面53Aに沿って摺動する側面視略L字状の鉤状部を有している。そして、当該鉤状部が、底面53Aに対向する蓋部材6の面から起立する側面視略L字状の鉤状部を係止することで、蓋部材6の開方向への回動を規制する。
【0039】
支持部537(筐体3の上面31側を上方として、底面53Aに向かって左側の支持部を537Lとし、右側の支持部を537Rとする)は、ディスク収納部53における筐体3の底面32近傍に形成され、かつ、蓋部材6を回動自在に支持する一対の突起である。詳述すると、支持部537は、底面53Aから起立し、かつ、ディスク9が収納された際に一対の直線部921に対向する一対の側面53Bから、それぞれ面外方向に起立した略円筒状の突起として構成されている。これら支持部537は、一対の側面53Bのそれぞれから、互いに対向する方向に延出した突起として形成されており、蓋部材6に形成された孔部(図示省略)に挿入され、当該蓋部材6を矢印B1方向及び矢印B2方向に回動自在に支持する。
【0040】
連通口538(筐体3の上面31側を上方として、底面53Aに向かって左側の連通口を538Lとし、右側の連通口を538Rとする)は、それぞれの支持部537近傍に形成されている。そして、これら連通口538には、蓋部材6が支持部537に取り付けられた際に、当該蓋部材6に形成された腕部611が、それぞれ挿通する。なお、蓋部材6の構成については、後に詳述する。
【0041】
バー取付部539(筐体3の上面31側を上方として、底面53Aに向かって左側のバー取付部を539Lとし、右側のバー取付部を539Rとする)は、底面53Aにおける矢印A方向の基端側、すなわち、上面31に近接する側に形成されている。具体的に、バー取付部539は、底面53Aの中央に対して、支持部537が形成された側とは反対側に、矢印A方向に沿い、かつ、底面53Aの中央を通る直線を中心として略対称に配置されている。
これらバー取付部539は、底面53Aから起立し、先端部分が互いに離間する方向に屈曲した側面視略L字状に形成されている。これらのうち、バー取付部539Lは、後述するイジェクトバー54に形成された腕部541Lの孔部5411に、また、バー取付部539Rは、当該イジェクトバー54の腕部541Rの孔部5411にそれぞれ挿入され、当該イジェクトバー54を、回動自在に支持する。
【0042】
〔蓋部材6の構成〕
ここで、蓋部材6の構成について説明する。
蓋部材6は、前述のように、矢印B1方向に回動することにより開口部531ひいてはディスク収納部53を露出させ、当該ディスク収納部53へのディスク9の収納を可能とする開口を形成する一方で、矢印B2方向に回動することにより開口部531ひいてはディスク収納部53を閉塞する。
この蓋部材6は、図4〜図6において示したように、平面視略正方形状に形成されている。そして、当該蓋部材6のディスク収納部53に対向する底面には、蓋部材6を閉塞した際に、ディスク9を底面53A側に押圧する板ばね62(図13〜図15参照)が設けられ、また、当該底面における左右方向(矢印A方向に直交する方向)の両端縁には、それぞれ面外方向に起立した側壁61が形成されている。
【0043】
これら側壁61(筐体3の上面31側を上としてリアケース5に取り付けられた蓋部材6を背面側から見て、左側に位置する側壁を61L、右側に位置する側壁を61Rとする)には、孔部(図示省略)が形成されている。これらのうち、側壁61Lの孔部に支持部537Lが挿入され、また、側壁61Rの孔部に支持部537Rが挿入されることにより、リアケース5に蓋部材6が回動自在に支持される。
【0044】
また、各側壁61の孔部近傍には、当該側壁61の起立方向先端よりさらに延出した腕部611が形成されている。これら腕部611は、蓋部材6がディスク収納部53に取り付けられた際に、底面53Aに形成された連通口538(図7参照)を挿通し、リアケース5の正面側(フロントケース4に対向する面側)に設けられた捻りばね56と係合する。なお、捻りばね56の構成については、後に詳述する。
さらに、各側壁61の略中央には、矢印A方向に長手方向を有する略長円形状のガイド孔612がそれぞれ形成されている。これらガイド孔612には、後述するイジェクトバー54の突起部5412が挿入され、当該蓋部材6の回動動作に応じて、突起部5412がガイド孔612内を摺動することにより、イジェクトバー54が回動する。このため、ガイド孔612の長手方向の寸法、詳述すると、蓋部材6を閉塞した状態におけるガイド孔612内の突起部5412の位置から、矢印A方向とは反対方向側のガイド孔612の端縁までの寸法により、蓋部材6及びイジェクトバー54の回動量が規定される。なお、本実施形態では、当該寸法は、蓋部材6を矢印B1方向に最も回動させた場合の底面53Aと、蓋部材6及びイジェクトバー54の後述する腕部541との交差角(回動角)が、略30°となるように設定されている。
【0045】
〔イジェクトバー54の構成〕
図9は、イジェクトバー54を示す斜視図である。
イジェクトバー54は、前述のように底面53Aにおける支持部537とは反対側に形成されたバー取付部539に回動自在に取り付けられ、蓋部材6の開放動作(矢印B1方向への回動動作)に応じて底面53Aから起立して、ディスク収納部53に収納されたディスク9を持ち上げるものである。このイジェクトバー54は、図9に示すように、一対の腕部541と、当該一対の腕部541間を接続し、かつ、ディスク9をディスク収納部53の底面53Aから起こす起こし部542とを有し、これらによって平面視略H字状に形成された一体成形品である。
【0046】
このうち、一対の腕部541(筐体3の上面側を上方として、ディスク収納部53に向かって左側に配置される腕部を541Lとし、右側に配置される腕部を541Rとする)は、本発明の起立片に相当し、当該一対の腕部541は、それぞれ板状に形成されている。これら一対の腕部541のそれぞれ同じ側の一方の先端部分には、孔部5411が形成され、他方の先端部分には、突起部5412が形成されている。
【0047】
このうち、腕部541Lの孔部5411には、支持部539Lが挿入され、また、腕部541Rの孔部5411には、支持部537Rが挿入される。これにより、当該一対の腕部541は、ディスク収納部53に回動自在に取り付けられる。
また、腕部541Lの突起部5412は、蓋部材6の側壁61Lに形成されたガイド孔612に挿入され、また、腕部541Rの突起部5412は、側壁61Rに形成されたガイド孔612に挿入される。
このように、一対の腕部541が、それぞれディスク収納部53と、蓋部材6とを接続するようにして係合することにより、イジェクトバー54は、蓋部材6のディスク収納部53から離間する方向(矢印B1方向)への回動に伴って、ディスク収納部53から起立し、また、蓋部材6のディスク収納部53に近接する方向(矢印B2方向)への回動に伴って、ディスク収納部53に沿うように配置される。
【0048】
起こし部542は、各腕部541L,541Rの中央から孔部5411寄りの位置を接続する平板状に形成され、図7に示すように、蓋部材6を閉塞した場合には、底面53Aに沿うように配置される。また、この起こし部542は、底面53Aの中央に位置するターンテーブル532から、筐体3の上面31に至るまでの間、詳述すると、バー取付部539が形成された位置に至るまでの間に配置される。このため、蓋部材6を開放(矢印B1方向に回動)させた場合には、当該蓋部材6によりイジェクトバー54が傾斜して、起こし部542が底面53Aから離間する。なお、蓋部材6の開閉(矢印B1方向及び矢印B2方向への回動)に伴うイジェクトバー54の動作については、後に詳述する。
【0049】
〔捻りばね56の構成〕
図10は、リアケース5を正面側から見た平面図である。
リアケース5の正面側における連通口538L近傍には、図10に示すように、ばね収納部55が形成され、当該ばね収納部55には、付勢手段としての捻りばね56が設けられている。この捻りばね56は、連通口538を介してリアケース5の正面側に露出した蓋部材6の腕部611と係合して、当該蓋部材6に対して矢印B1方向及び矢印B2方向への付勢力を作用させる。
【0050】
図11及び図12は、捻りばね56の動作を示すリアケースの部分拡大図である。これらのうち、図11は、蓋部材6を閉塞した状態での捻りばね56の状態を示す図であり、図12は、蓋部材6を開放した状態での捻りばね56の状態を示す図である。
このうち、ばね収納部55は、図11及び図12に示すように、凹部551、押さえ部552及び挟持部553により構成されている。
また、捻りばね56は、線材が螺旋状に巻かれたコイル部561と、当該コイル部561の両端から延出する一対の線状部562,563とを有している。
これらのうち、コイル部561は、凹部551内に配置される。また、線状部562は、押さえ部552に形成された孔部(図示省略)を貫通し、挟持部553により挟持される。さらに、線状部563は、蓋部材6の側壁61Lに形成された腕部611に形成された孔部(図示省略)に挿入される。
【0051】
このような捻りばね56は、蓋部材6の回動動作に応じて、挟持部553により挟持された線状部562を軸として回動することにより、当該蓋部材6の動作方向に付勢力を作用させる。
具体的に、図11に示す閉状態(開口部531を閉塞した状態)から蓋部材6が矢印B1方向に回動して、図12に示す開状態(開口部531を露出させた状態)に遷移する場合には、当該蓋部材6の回動に伴って、挟持部553により挟持されている線状部562の捻れが解消する一方で、線状部563が矢印B1方向に捻られる。このため、蓋部材6の腕部611が、当該腕部611の移動範囲の略中央を越えた位置から矢印B1方向に向かうに従って、捻りばね56から腕部611に矢印B1方向への付勢力が作用する。これにより、開状態への蓋部材6の回動に要する力を低減することができるほか、当該蓋部材6の開状態を維持することができる。
【0052】
一方、図12に示した開状態から蓋部材6を矢印B2方向に回動させて、図11に示した閉状態にする場合には、当該蓋部材6の回動に伴って、線状部562が矢印B2方向に捻られる一方で、線状部563の捻れが解消する。このため、腕部611が、当該腕部611の移動範囲の略中央を越えた位置から矢印B2方向に向かうに従って、捻りばね56から腕部611に矢印B2方向への付勢力が作用する。これにより、閉状態への蓋部材6の回動に要する力を低減することができるほか、当該蓋部材6の閉状態を維持することができる。
【0053】
〔イジェクトバー54の動作〕
図13は、蓋部材6を閉塞した状態のリアケース5を示す断面図である。また、図14は、蓋部材6を開放し、ディスク9をディスク収納部53に挿入した状態のリアケース5を示す断面図である。さらに、図15は、ディスク9をディスク収納部53に挿入し、かつ、蓋部材6を閉塞した状態のリアケース5を示す断面図である。なお、図13〜図15においては、フロントケース4の図示を省略している。
以下、イジェクトバー54の動作について説明する。
蓋部材6を閉塞した状態では、イジェクトバー54の起こし部542は、図13に示すように、ディスク収納部53の底面53Aに沿って配置される。また、この状態では、ガイド孔612における矢印A方向側の端縁に、イジェクトバー54の突起部5412が当接している。
【0054】
この状態から、蓋部材6が矢印B1方向に回動すると、図14に示すように、当該蓋部材6の腕部61L,61Rに形成されたガイド孔612内をイジェクトバー54の突起部5412が矢印A方向とは反対方向側に摺動しつつ、当該イジェクトバー54の腕部541が、孔部5411を軸として回動して、ディスク収納部53の底面53Aから起立する。そして、蓋部材6は、突起部5412がガイド孔612内の矢印A方向とは反対方向側の端縁に当接すると、当該蓋部材6の矢印B1方向への回動が規制される。この状態では、前述の捻りばね56の付勢力により、蓋部材6は、矢印B1方向に付勢されており、当該蓋部材6の開状態が維持される。
この際、イジェクトバー54の起こし部542は、底面53Aから離間し、ディスク9のディスク収納部53への挿入に際して、ディスク9の半円状部922がターンテーブル532及びピックアップ533に当たることを防ぐ。また、底面53Aの左右方向両端に取り付けられ、かつ、当該底面53Aから起立するイジェクトバー54の腕部541L,541Rが、ディスク収納部53へのディスク9の挿入を案内する。
【0055】
また、図14に示した状態から、蓋部材6を矢印B2方向に回動させ、当該蓋部材6によりディスク収納部53を閉塞すると、図15に示すように、ディスク収納部53内にディスク9が収納される。この状態では、前述の捻りばね56の付勢力により、蓋部材6は閉状態で維持される。
この際、イジェクトバー54は、図13に示した状態と同様に、底面53Aに沿って配置され、これに伴って、イジェクトバー54の起こし部542は、底面53Aの中央に位置するターンテーブル532から、バー取付部539に至るまでの位置(ターンテーブル532からディスク挿入方向である矢印A方向とは反対方向側の位置)に、底面53Aに沿って配置される。これにより、ターンテーブル532によるディスク9のチャッキングが、起こし部542により妨げられることを防ぐことができる。
【0056】
さらに、図15に示した状態から、蓋部材6を矢印B1方向に回動させて、ディスク収納部53を露出させた場合には、図14に示したように、蓋部材6の矢印B1方向への回動に伴って、底面53Aからイジェクトバー54が起立する。これにより、ディスク9の底面に当接する起こし部542がディスク9を底面53Aから引き離し、当該ディスク9とターンテーブル532とのチャッキングを解除する。そして、ディスク9は、起こし部542によって支持され、更なる蓋部材6の回動に応じて、当該ディスク9は、ディスク収納部53から持ち上げられる。この際、蓋部材6と起こし部542との間には、大きな隙間が形成される。これにより、ディスク収納部53に収納されていたディスク9を取り出しやすくすることができる。また、この際には、ディスク9の半円状部922が、メディアガイド534に当接しており、さらに、一対の腕部541L,541R間にディスク9が位置しているので、ディスク収納部53からのディスク9の転落を防ぐことができる。
【0057】
〔実施形態の効果〕
以上説明した本実施形態のディスク装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)ディスク収納部53に回動自在に支持され、かつ、蓋部材6に係合するイジェクトバー54は、当該蓋部材6の矢印B1方向への回動に伴ってディスク収納部53の底面53Aから起立する。
これによれば、イジェクトバー54の起立に伴って、当該イジェクトバー54に形成された起こし部542が、底面53Aに沿って配置されたディスク9を起こすので、ディスク収納部53からのディスク9の取出を容易に行うことができる。この際、蓋部材6と起こし部542との間の隙間は、当該蓋部材6の回動量に応じて大きくなるので、蓋部材6のガイド孔621の寸法を調整することにより、ディスク収納部53からのディスク9の取出、及び、当該ディスク収納部53へのディスク9の収納を一層容易に行うことができる。従って、ディスク9を収納するホルダが蓋部材6に設けられている場合に比べ、ディスク9の取出及び収納を簡易に行うことができるほか、ディスク収納部53の構成を簡略化することができる。
【0058】
(2)蓋部材6を閉状態とし、イジェクトバー54をディスク収納部53に沿うように配置させた場合には、イジェクトバー54に形成された起こし部542は、当該ディスク収納部53の中央に位置するターンテーブル532から支持部537に向かう方向とは反対側、すなわち、ターンテーブル532とバー取付部539との間に位置している。
これによれば、蓋部材6を開状態とした場合に、起こし部542が、ディスク9の挿入方向基端側である円弧状部923側を、当該挿入方向先端側である半円状部922側より、底面53Aから離間させることができる。従って、ディスク収納部53に対するディスク9の挿入方向基端側を把持しやすくすることができるので、当該ディスク収納部53からのディスク9の取出を一層容易に行うことができる。
また、このように、起こし部542が、底面53Aにおけるターンテーブル532とバー取付部539との間に位置するので、ディスク9のディスク収納部53への収納の際に、当該ディスク9がターンテーブル532及びピックアップ533を損傷することを防ぐことができる。
【0059】
(3)イジェクトバー54は、一対の腕部541を備え、当該腕部541は、ディスク収納部53に収納されるディスク9を挟むように配置される。そして、起こし部542は、各腕部541を接続するように板状に形成されている。
これによれば、起こし部542がディスク9を確実に支持することができるとともに、当該起こし部542により支持されたディスク9が、当該ディスク9の挿入方向を軸として傾斜することを防ぐことができる。従って、起こし部542がディスク9を安定して支持することができるとともに、ディスク9の取出を一層容易に行うことができる。
また、ディスク9をディスク収納部53に収納する際には、これら腕部541が当該ディスク9を案内する。これにより、ディスク収納部9へのディスク9の収納を一層容易に行うことができる。
【0060】
(4)イジェクトバー54の各腕部541には、蓋部材6の側壁61に形成されたガイド孔612に挿入される突起部5412が形成され、当該突起部5412は、蓋部材6の回動に応じて、ガイド孔612内を摺動する。
これによれば、蓋部材6の開方向(矢印B1方向)への回動に応じたイジェクトバー54の起立、及び、閉方向(矢印B2方向)への回動に応じてイジェクトバー54の平伏を確実に行うことができる。従って、蓋部材6が開状態である場合には、確実にディスク9の収納及び取出を容易に行うことができるほか、蓋部材6が閉状態である場合には、イジェクトバー54がディスク9の収納の妨げになることを防ぐことができる。
さらに、ガイド孔612の長手方向の寸法を調整することにより、蓋部材6の底面53Aに対する回動量を調整することができる。従って、蓋部材6とディスク収納部53により形成される開口の大きさを簡易に調整することができる。
【0061】
(5)ディスク収納部53には、ディスク9の挿入方向先端側、すなわち、支持部537側に、メディアガイド534が設けられている。このメディアガイド534は、盾型形状のディスク9における挿入方向先端側である半円状部922の形状に応じた円弧状部5341を有し、ディスク9の収納の際には、当該円弧状部5341に半円状部922が当接する。
これによれば、ディスク9をディスク収納部53内の適切な位置に位置決めすることができるほか、当該ディスク収納部53内でのディスク9の揺動を抑制することができる。また、ディスク収納部53におけるディスク9の向きが逆である場合、すなわち、ディスク9の円弧状部923側から挿入された場合には、円弧状部5341との形状が合わないため、ディスク9が収納されないようにすることができる。従って、確実にターンテーブル532がディスク9をチャッキングすることができ、ピックアップ533により、ディスク9に対する情報の読取及び書込を確実に行うことができるほか、ディスク9の誤挿入に伴う誤収納を防止することができる。
【0062】
〔実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、イジェクトバー54は、一対の腕部541を備え、ディスク9をディスク収納部53から起こす起こし部542は、当該一対の腕部541を接続するように板状に形成されているとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、ディスク収納部53からディスク9を起こすことが可能であれば、腕部541は1つでもよく、当該腕部541の数は問わない。
【0063】
前記実施形態では、起こし部542は、一対の腕部541を接続する板状に形成されているとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、それぞれの腕部541に起こし部が形成されていればよく、起こし部によって各腕部間が接続されていなくてもよい。例えば、起こし部542は、ターンテーブル532によるディスク9のチャッキングを妨げなければ、湾曲していてもよい。さらに、起こし部542は、金属製でなくともよく、合成樹脂又は布製としてもよい。
【0064】
前記実施形態では、起こし部542は、底面53Aにおける中央から、支持部537が形成された側とは反対側のバー取付部539に至るまでの範囲内、すなわち、蓋部材6を開方向(矢印B1方向)に回動させた場合に当該蓋部材6とディスク収納部53とにより形成される開口側に位置するように、腕部541に形成されているとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、蓋部材6を開状態とした場合に、底面53Aからディスク9が傾斜するように起こされるのであれば、起こし部542の位置は問わない。
【0065】
前記実施形態では、ガイド孔612は、蓋部材6の底面(ディスク収納部53に対向する面)から起立する側壁61に形成されているとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、当該底面に形成されていてもよい。すなわち、イジェクトバー54の腕部541におけるバー取付部539に取り付けられる側の端部とは反対側の端部に係合し、当該反対側の端部が当該底面に沿って摺動可能な構成であれば、ガイド孔612の位置は問わず、また、ガイド孔に代えてガイド溝としてもよい。
【0066】
前記実施形態では、本発明のディスク収納体は、ディスク装置1に用いられるとしたが、本発明はこれに限らず、ディスク9を収納するケースにも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、ディスク収納体に利用でき、特に、当該ディスク収納体を有する携帯可能なディスク装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスク装置を正面側から見た斜視図。
【図2】前記実施形態におけるディスク装置を背面側から見た斜視図。
【図3】前記実施形態におけるディスクを示す平面図。
【図4】前記実施形態におけるディスク収納部を示す斜視図。
【図5】前記実施形態におけるディスク収納部を示す斜視図。
【図6】前記実施形態におけるディスク収納部を示す斜視図。
【図7】前記実施形態におけるディスク収納部を示す平面図。
【図8】前記実施形態におけるディスク収納部を示す平面図。
【図9】前記実施形態におけるイジェクトバーを示す斜視図。
【図10】前記実施形態におけるリアケースを正面側から見た平面図。
【図11】前記実施形態における捻りばねの動作を示すリアケースの部分拡大図。
【図12】前記実施形態における捻りばねの動作を示すリアケースの部分拡大図。
【図13】前記実施形態における蓋部材を閉塞した状態のリアケースを示す断面図。
【図14】前記実施形態における蓋部材を開放した状態のリアケースを示す断面図。
【図15】前記実施形態におけるディスクを収納した状態のリアケースを示す断面図。
【符号の説明】
【0069】
1…ディスク装置(電子機器)、3…筐体、5…リアケース(筐体)、6…蓋部材、9…ディスク、53…ディスク収納部、55…ばね収納部(収納部)、56…捻りばね(付勢手段)、61(61L,61R)…側壁、531…開口部、533…ピックアップ(情報読取/書込手段)、538(538L,538R)…連通口、553…挟持部、561…コイル部、562…線状部(第2の線状部、他方の線状部)、563…線状部(第1の線状部、一方の線状部)、611…腕部、B1…方向(第2方向)、B2…方向(第1方向)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクに記録された情報の読取、及び、当該ディスクに対する情報の書込のうち、少なくともいずれかを実行する情報読取/書込手段を備えたディスク装置であって、
前記ディスクを収納するディスク収納部、及び、当該ディスク収納部に前記ディスクを収納するための開口部を有する筐体と、
一端側が前記筐体に回動自在に軸支され、他端側が当該筐体に近接することで前記開口部を閉塞し、当該他端側が前記筐体から離間することで前記開口部を開放する蓋部材とを備え、
前記筐体は、
前記蓋部材と係合して、当該蓋部材の他端側が前記筐体に近接する第1方向、及び、離間する第2方向の各方向に、前記蓋部材を付勢する付勢手段と、
前記付勢手段を挟持する挟持部とを備え、
前記蓋部材は、
前記筐体に対向する面から当該面に交差する方向に起立して、前記付勢手段と係合する側壁を備え、
前記付勢手段は、
線材を複数回巻回して形成されるコイル部と、
前記コイル部の軸方向から当該付勢手段を見た際に、前記コイル部の一方の端部から当該コイル部の接線方向に延出する第1の線状部と、
前記コイル部の他方の端部から前記接線方向とは異なる方向に延出する第2の線状部とを備え、
前記第1の線状部及び前記第2の線状部のうちのいずれか一方の線状部は、前記側壁と係合し、他方の線状部は、当該他方の線状部の延出方向が前記蓋部材の回動軸方向に沿うように、前記挟持部により挟持されることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク装置において、
前記蓋部材が前記第1方向及び前記第2方向のうちのいずれかの方向に回動した際に、前記第1の線状部及び前記第2の線状部のうちのいずれか一方の線状部は、前記コイル部とともに捻られる方向に回動し、他方の線状部は、捻れが解消する方向に回動することを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のディスク装置において、
前記コイル部は、当該コイル部の軸方向の寸法が直径方向の寸法より小さく形成され、
前記付勢手段は、
前記蓋部材により前記開口部が閉塞された際に、前記コイル部の軸方向が、前記蓋部材に略直交する方向となるように配置されることを特徴とするディスク装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のディスク装置において、
前記コイル部の軸方向から前記付勢手段を見た際に、前記第2の線状部は、前記コイル部の径方向に延出し、かつ、前記第1の線状部は、前記コイル部の中心から前記第2の線状部の延出方向に対して直交する方向における当該コイル部の一方の端部側から、前記第2の線状部の延出方向先端側に対して離間する方向に延出し、
前記第1の線状部は、前記一方の線状部であり、
前記第2の線状部は、前記他方の線状部であることを特徴とするディスク装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のディスク装置において、
前記筐体は、
前記蓋部材に対向する側とは反対側に前記付勢手段が配置される収納部と、
前記側壁が挿通され、かつ、当該側壁を前記反対側に露出させる連通口とを有し、
前記挟持部は、前記収納部内に設けられ、
前記一方の線状部は、前記筐体における前記反対側にて、前記側壁と係合することを特徴とするディスク装置。
【請求項6】
請求項5に記載のディスク装置において、
前記側壁は、
当該側壁の起立方向先端側に、前記連通口を挿通し、かつ、前記一方の線状部と互いに略直交するように係合する腕部を有することを特徴とするディスク装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のディスク装置において、
前記コイル部は、前記線材が隙間無く巻回されて形成されていることを特徴とするディスク装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のディスク装置を備えることを特徴とする携帯可能な電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−282519(P2008−282519A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108222(P2008−108222)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【分割の表示】特願2007−126932(P2007−126932)の分割
【原出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】