説明

ディスク装置用サスペンションのベースプレートと、ベースプレートの製造方法

【課題】ボス部にボールを挿入する際の抵抗力を小さくすることができ、かつ、ボス部をアクチュエータアームに強固に固定することができるディスク装置用サスペンションのベースプレートを提供する。
【解決手段】ディスク装置用サスペンションのベースプレート20に、プレスによって円筒形のボス部30が形成されている。ボス部30には、ベースプレート20の厚さ方向に貫通するボール挿通孔31が形成されている。ステンレス鋼からなるベースプレート20が熱処理されたのち、化学研磨処理をすることにより、ボール挿通孔31の内面に化学研磨処理面50が形成されている。このボール挿通孔31に、ボール挿通孔31の内径よりも大きなボール65を通してボス部30を拡径させることにより、ボス部30がアクチュエータアーム8aに固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置に使用されるディスク装置用サスペンションのベースプレートと、ベースプレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置に、ハードディスク装置(HDD)が使用されている。ハードディスク装置は、スピンドルを中心に回転する磁気ディスクと、アクチュエータアームと、ポジショニング用モータ等を含んでいる。アクチュエータアームは、ポジショニング用モータによって、ピボット軸を中心にディスクのトラック幅方向に旋回するように構成されている。前記アクチュエータアームの先端部にサスペンションが取付けられている。
【0003】
前記サスペンションは、前記アクチュエータアームに固定されるベースプレート(マウントプレートとも称される)と、該ベースプレートに直接あるいはヒンジ部材を介して固定されるロードビームと、ロードビームに沿って配置されるフレキシャ(flexure)などを含んでいる。フレキシャの先端部に磁気ヘッドを構成するスライダが設けられている。ベースプレートはオーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS304)などの鉄系金属からなり、プレス加工によって所定の形状に成形されている。
【0004】
前記サスペンションのベースプレートをアクチュエータに固定するために、ベースプレートに円筒形のボス部が形成されている。このボス部が前記アクチュエータアームに形成された円形の取付孔に挿入され、固定手段によってボス部がアクチュエータアームに固定されている。(例えば下記特許文献1参照)
前記固定手段の一例として、ボス部の内側にスチールボール等の硬いボールを通し、ボス部の径を広げる塑性加工(いわゆるボールかしめ)を行なうことにより、ボス部の外周面をアクチュエータアームの前記取付孔の内周面に固定することが行われている。プレス加工によって成形されたボス部が加工硬化している場合には、例えば下記特許文献2に開示されているように、前記ボールかしめを行なう前に、熱処理を行なうことによってボス部の硬度を下げることが行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−31872号公報
【特許文献2】日本国特許第3563037号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したようにベースプレートを熱処理することによってボス部の硬さを下げたとしても、ボス部の内面とボールとの間の摩擦係数が小さくなるわけではないため、大きなボール挿入力が必要となることがある。ボールを通しやすくするためにボールの径とボール挿通孔の内径との差を小さくすると、ボール挿入力は小さくてすむが、ボス部を十分拡径させることができず、アクチュエータアームに対するボス部の固定強度が不足することになる。
【0007】
逆に、ボールの径とボール挿通孔の内径との差を大きくすると、ボールを通すために必要な力(ボール挿入力)が大きくなり過ぎることにより、ベースプレートのボス部の周りが変形し、サスペンションの特性に悪影響を与える可能性がある。ボールを通す際の摩擦抵抗を小さくするために、例えばアルコール系の潤滑剤の膜をボス部の内面に形成することも考えられているが、ボス部の内面に潤滑剤を塗布する工程や潤滑剤を除去する工程などが必要となるため好ましくない。
【0008】
従って本発明の目的は、ボールを通す際の摩擦抵抗を小さくすることができ、しかもボス部をアクチュエータアームに強固に固定できるようなベースプレートと、ベースプレートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ディスク装置のアクチュエータアームに固定されるディスク装置用サスペンションのベースプレートであって、前記ベースプレートは前記アクチュエータアームに形成された取付孔に挿入される円筒形のボス部を有し、前記ボス部は、該ボス部の軸線方向に貫通するボール挿通孔を有し、かつ、前記ボール挿通孔の内面に形成された化学研磨処理面を有していることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、ディスク装置のアクチュエータアームに形成された取付孔に挿入されるボス部を備えたベースプレートの製造方法であって、ステンレス鋼からなる前記ベースプレートをプレスすることにより、ボール挿通孔を有する円筒形の前記ボス部を形成する成形工程と、前記成形工程によって加工硬化した前記ベースプレートに熱処理を行なうことによって前記ボス部の硬度を下げる熱処理工程と、前記熱処理工程後に前記ベースプレートを化学研磨液に浸漬することにより前記ボール挿通孔の内面に化学研磨処理面を形成する化学研磨工程とを具備している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熱処理されたベースプレートのボス部の内面に化学研磨処理面を形成したことにより、熱処理したままの従来のボス部と比較して、潤滑剤を使用しなくてもボールを通す際の摩擦抵抗を小さくすることができ、かつ、ボス部の周りが変形することも抑制できる。また、ボール挿通孔の内径とボール径との差を適正にすることができるため、ボールをボス部に通す際に生じる塑性変形により、ボス部をアクチュエータアームの取付孔の内周面に強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ディスク装置用サスペンションを備えたディスク装置の斜視図。
【図2】本発明の1つの実施形態に係るディスク装置の一部の断面図。
【図3】図2に示されたディスク装置の第1のサスペンションの斜視図。
【図4】図2に示された第1のサスペンションの一部とアクチュエータアームの一部を示す断面図。
【図5】図2に示されたディスク装置の第2のサスペンションの一部とアクチュエータアームの一部を示す断面図。
【図6】図3に示された第1のサスペンションのボス部の内面の一部を拡大して模式的に示す断面図。
【図7】熱処理後のボス部内面の原子濃度を示す図。
【図8】化学研磨処理が行われたボス部内面の原子濃度を示す図。
【図9】3種類のベースプレートのボス部に圧縮側からボールを通した場合の抵抗力の大きさを示すグラフ。
【図10】3種類のベースプレートのボス部に引張側からボールを通した場合の抵抗力の大きさを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態について、図1から図10を参照して説明する。
図1に示すハードディスク装置(以下、ディスク装置と称する)1は、ケース2と、スピンドル3を中心に回転するディスク4と、ピボット軸5を中心に旋回可能なキャリッジ6と、キャリッジ6を旋回させるためのポジショニング用モータ7などを有している。ケース2は、図示しない蓋によって密閉される。
【0014】
図2は、ディスク装置1の一部を模式的に示す断面図である。図2に示されるようにキャリッジ6は、複数(例えば3つ)のアクチュエータアーム8a,8b,8cを有している。上側に位置するアクチュエータアーム8aの下面と、上下方向中間部のアクチュエータアーム8bの下面に、それぞれ第1のサスペンション10が取付けられている。
【0015】
また上下方向中間部のアクチュエータアーム8bの上面と、下側に位置するアクチュエータアーム8cの上面に、それぞれ第2のサスペンション10´が取付けられている。各サスペンション10,10´の先端に、磁気ヘッドを構成するスライダ11が設けられている。
【0016】
ディスク4がスピンドル3を中心に高速で回転すると、ディスク4とスライダ11との間にエアベアリングが形成される。ポジショニング用モータ7によってキャリッジ6を旋回させることにより、スライダ11をディスク4の所望トラックまで移動させることができる。
【0017】
図2に示す例では、第1のサスペンション10のスライダ11がディスク4の上面に対向している。これに対し第2のサスペンション10´のスライダ11はディスク4の下面に対向している。第1のサスペンション10と第2のサスペンション10´とは、ディスク4を挟んで互いに対称な形状(鏡像対称)をなし、基本的な構成は互いに共通であるため、以下に第1のサスペンション10を代表して説明する。
【0018】
図3は第1のサスペンション10を示している。このサスペンション10は、ベースプレート20を含むベース部21と、ロードビーム22と、配線付きのフレキシャ(flexure with conductors)23などを備えている。ベースプレート20については後に詳しく説明する。
【0019】
ロードビーム22は、ベースプレート20に重なる基部22aと、先端部22bと、基部22aと先端部22bとの間に位置するビーム部22cと、ヒンジ部22dなどを有している。ロードビーム22の基部22aは、レーザ溶接等の固定手段によってベースプレート20に固定されている。ロードビーム22の厚さは例えば30μm〜100μm前後である。
【0020】
フレキシャ23は、ロードビーム22に沿って配置されている。フレキシャ23の先端部付近に、タング(ジンバル部)25が形成され、このタングにスライダ11が取付けられている。磁気ヘッドとして機能するスライダ11には、読取用素子および書込用素子などが設けられている。図3に示すようにフレキシャ23の延出部23aは、ベースプレート20の一方の側部からベースプレート20の後方に延びている。
【0021】
ベースプレート20は、例えばSUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼からなる。SUS304の化学成分は、C:0.08以下、Si:1.00以下、Mn:2.00以下、Ni:8.00〜10.50、Cr:18.00〜20.00、残部がFeである。ベースプレート20の厚さはロードビーム22の厚さよりも大きく、例えば100μm前後である。
【0022】
ベースプレート20に、短円筒形のボス部30がプレスによって形成されている。ボス部30には、ベースプレート20の厚さ方向に貫通するボール挿通孔31が形成されている。このボス部30は、ベースプレート20の一方の面20aから厚さ方向の外側に突き出ている。
【0023】
図2に示すように上側に位置するアクチュエータアーム8aの下面と、上下方向中間部のアクチュエータアーム8bの下面に、それぞれ第1のサスペンション10が取付けられている。図4は、アクチュエータアーム8aの一部と第1のサスペンション10の一部を示している。
【0024】
また上下方向中間部のアクチュエータアーム8bの上面と、下側に位置するアクチュエータアーム8cの上面に、それぞれ第2のサスペンション10´が取付けられている。図5は、アクチュエータアーム8bの一部と第2のサスペンション10´の一部を示している。アクチュエータアーム8a,8b,8cの先端部に、それぞれ円形の取付孔40が形成されている。取付孔40は、アクチュエータアーム8a,8b,8cの厚さ方向に貫通している。
【0025】
ベースプレート20のボス部30には、ボス部30の軸線X方向に貫通するボール挿通孔31が形成されている。ボス部30の内面、すなわちボール挿通孔31の内面には、後述する化学研磨処理によって、化学研磨処理面50(図6に模式的に示す)が形成されている。
【0026】
以下にベースプレート20の製造工程について説明する。
ベースプレート20を所定の形状に成形するための成形工程において、プレスによってボス部30等が成形される。オーステナイト系のステンレス鋼からなるベースプレート20は加工硬化を生じやすいため、プレスによって成形されたボス部30とその周辺も加工硬化を生じている。
【0027】
前記成形工程が行なわれたのち、熱処理工程が行なわれる。この熱処理工程では、前記成形工程によって加工硬化したベースプレート20の加工歪を減少させることができる温度域までベースプレート20が加熱されたのち除冷される。これにより、ボス部30の硬さを下記の「ボールかしめ」に適した硬さまで下げることができる。
【0028】
前記熱処理工程が行なわれたのち、ベースプレート20に化学研磨工程が行なわれる。化学研磨工程は、脱脂洗浄、水洗、酸活性化処理、化学研磨、湯洗、純粋洗浄、乾燥工程を含んでいる。化学研磨液の一例は、塩酸と硝酸の混合物を水で希釈した液であり、この化学研磨液にベースプレート20を90〜100℃の液温で、30〜60秒間、浸漬することにより、ボール挿通孔31の内面を含むベースプレート20の全体に化学研磨処理面50が形成される。この化学研磨工程による研磨量は例えば1〜3μmである。
【0029】
図7は、前記熱処理工程が行なわれたベースプレート20のボス部30の内面の原子濃度を、ESCA(electron spectroscopy for chemical analysis)分析器によって検査した結果を示している。オングストローム(Å)は100億分の1メートルである。熱処理されたボス部30のボール挿通孔31の内面には、酸素(O)の濃度がクロム(Cr)の濃度よりも高い酸素リッチ層Rが比較的深い領域まで形成されている。しかも表面においては、酸素の濃度が鉄(Fe)の濃度よりも大きくなっている。
【0030】
図8は、前記化学研磨処理が行われたボス部30の内面の原子濃度を示している。表面付近に酸素(O)の濃度がクロム(Cr)の濃度よりも高い酸素リッチ層R´が形成されているが、この酸素リッチ層R´の厚さは化学研磨処理前の酸素リッチ層R(図7に示す)よりも減少している。このようにESCA分析器によってベースプレート20の表面の原子濃度を測定することにより、化学研磨処理が行われたか否かを確認することができる。
【0031】
図4に示すように、第1のサスペンション10のベースプレート20のボス部30がアクチュエータアーム8aの取付孔40に挿入される。そしてベースプレート20の一方の面20a(ボス部30が突き出ている面)をアクチュエータアーム8aのベースプレート取付面60に当接させ、さらにベースプレート20を支持部材61によって支持する。この状態で、かしめ治具として機能するスチールボール等の硬いボール65が、ボス部30の軸線X方向に関して矢印P1方向からボール挿通孔31に通される。この場合、矢印P1はボス部30を圧縮する方向となるため、この明細書では圧縮側と称する。
【0032】
ボール65がボール挿通孔31に通される前は、ボス部30の外径D1(図3に示す)は取付孔40の内径よりも僅かに小さい。このためボス部30を取付孔40に挿入することができる。ボール65はボス部30よりも硬い金属からなり、しかもボール65の径はボール挿通孔31の内径よりも大きい。
【0033】
このためボール挿通孔31にボール65を通すと、図4に矢印P2で示すようにボス部30が広がる方向に塑性変形する。このことにより、アクチュエータアーム8aの取付孔40の内周面40aにボス部30の外周面30aが固定される。すなわち第1のサスペンション10のボス部30が「ボールかしめ」によってアクチュエータアーム8aの下面に固定される。
【0034】
図5に示すように、第2のサスペンション10´のベースプレート20のボス部30がアクチュエータアーム8bの取付孔40に挿入される。そしてベースプレート20の一方の面20a(ボス部30が突き出ている面)をアクチュエータアーム8bのベースプレート取付面66に当接させ、さらにベースプレート20とアクチュエータアーム8bを支持部材70によって支持する。
【0035】
この状態で、前記ボール65がボス部30の軸線X方向に関して矢印P1方向からボール挿通孔31に通される。この場合、矢印P1はボス部30を引っ張る方向となるため、この明細書では引張側と称している。こうして第2のサスペンション10´も第1のサスペンション10と同様に「ボールかしめ」によってアクチュエータアーム8bの上面に固定される。なお、アクチュエータアーム8bの下面に設けるサスペンション10と、アクチュエータアーム8cの上面に設けるサスペンション10´も前記サスペンション10,10´と同様に各アクチュエータアーム8b,8cに固定される。
【0036】
図9は、3種類のベースプレートのボス部30に圧縮側(図4に示す)からボール65を通した場合の抵抗力(ボール挿入力)の大きさを示している。図9中のAは、熱処理のみが行われたベースプレートのボス部の抵抗力を示し、Bは潤滑剤が塗布されたベースプレートのボス部の抵抗力を示し、Cは熱処理後に化学研磨処理が行われたベースプレートのボス部の抵抗力を示している。
【0037】
本実施形態に係るボス部30の内面は化学研磨処理が行われているため、硬い酸素リッチ層R´(図8に示す)の厚さが化学研磨処理前の酸素リッチ層R(図7に示す)よりも薄くなっており、かつ、薄いながらも硬く滑りやすい酸素リッチ層R´がボール挿通孔31の内面に残っているため、ボール65が滑りやすい状態となっている。
【0038】
このため本実施形態に係るボス部30は、図9にCで示すようにボール65を通す際の抵抗力が熱処理のみのボス部の抵抗力(Aで示す)よりも大幅に減少し、比較的小さなボール挿入力でボス部30を拡径させることができ、ボス部30をアクチュエータアームに強固に固定することができた。
【0039】
このように本実施形態に係るボス部30によれば、ボール挿通孔31の内面に化学研磨処理面50を形成したことにより、熱処理したままの従来のボス部と比較して、潤滑剤を使用しなくてもボール65を通す際の抵抗力を小さくすることができ、かつ、ボス部30の周りが変形することも抑制できる。また、ボール挿通孔31の内径とボール65の径との差を適正にすることができるため、ボール65をボス部30に通す際に生じる塑性変形により、ボス部30をアクチュエータアームの取付孔40の内周面40aに強固に固定することができる。
【0040】
図10は、前記3種類のベースプレートのボス部30に引張側(図5に示す)からボール65を通した場合の抵抗力の大きさを示している。図10中のA´は、熱処理のみが行われたベースプレートのボス部の抵抗力を示し、B´は潤滑剤が塗布されたベースプレートのボス部の抵抗力を示し、C´は熱処理後に化学研磨処理が行われたベースプレートのボス部の抵抗力を示している。A´,B´,C´のいずれも、圧縮側からボールを通す場合の抵抗力A,B,C(図9に示す)と比較して小さな値となっている。
【0041】
すなわち、図5に示すようにボール65をボス部30の引張側から通す場合には、ボス部30が軸線X方向に引き伸ばされる方向にボール挿入力が加わるため、圧縮側からボール65を通す場合(図4に示す)と比較して、ボール65の挿入抵抗が小さくて済む。このため第2のサスペンション10´のようにボス部30の引張側からボール65を通す場合には、前記化学研磨を省略してもよい。
【0042】
例えば、アクチュエータアームの一方の面に前記第1のサスペンション10が取付けられ、アクチュエータアームの他方の面に前記第2のサスペンション10´が取付けられたアセンブリ構造体において、第1のサスペンション10のベースプレート20のボール挿通孔31の内面に化学研磨処理面50を形成し、第2のサスペンション10´のベースプレート20のボール挿通孔31の内面には化学研磨処理面50を形成しない、といった実施形態も可能である。このように構成されたアセンブリ構造体によれば、第2のサスペンション10´のベースプレート20は化学研磨処理面50が不要となるため、製造コストを下げることができる。
【0043】
なお本発明を実施するに当たり、ベースプレートのボス部やアクチュエータアームの具体的な形状、構造をはじめとして、熱処理や化学研磨処理のための工程などを、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
1…ディスク装置
8a,8b,8c…アクチュエータアーム
10,10´…サスペンション
20…ベースプレート
22…ロードビーム
30…ボス部
31…ボール挿通孔
40…取付孔
50…化学研磨処理面
65…ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク装置のアクチュエータアームに固定されるディスク装置用サスペンションのベースプレートであって、
前記ベースプレートは前記アクチュエータアームに形成された取付孔に挿入される円筒形のボス部を有し、
前記ボス部は、
該ボス部の軸線方向に貫通するボール挿通孔を有し、かつ、
前記ボール挿通孔の内面に形成された化学研磨処理面を有していることを特徴とするディスク装置用サスペンションのベースプレート。
【請求項2】
ディスク装置のアクチュエータアームに形成された取付孔に挿入されるボス部を備えたベースプレートの製造方法であって、
ステンレス鋼からなる前記ベースプレートをプレスすることにより、ボール挿通孔を有する円筒形の前記ボス部を形成する成形工程と、
前記成形工程によって加工硬化した前記ベースプレートに熱処理を行なうことによって前記ボス部の硬度を下げる熱処理工程と、
前記熱処理工程後に前記ベースプレートを化学研磨液に浸漬することにより前記ボール挿通孔の内面に化学研磨処理面を形成する化学研磨工程と、
を具備したことを特徴とするディスク装置用サスペンションのベースプレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−262705(P2010−262705A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113619(P2009−113619)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【出願人】(393023950)大垣精工株式会社 (2)
【Fターム(参考)】