説明

ディスク装置

【課題】光ディスクをドライブして情報の記録再生を行うディスク装置の更なる薄型化を実現する。
【解決手段】ターンテーブル7およびクランプヘッド8を駆動軸に固定したスピンドルモータ9を前端部に配設した昇降フレーム10を装置内部の対角線に沿う方向に配置し、該昇降フレーム10の前端部を上下方向に揺動させることにより光ディスクDを前記クランプヘッド8でクランプしてターンテーブル7上に保持するようにしたディスク装置において、前記昇降フレーム10の前端部を降下させたとき、該昇降フレーム10の対角線に直交する平面の水平状態が保たれるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種コンピュータシステムなどの情報機器において、大量の情報を記録する記録媒体としての光ディスク(例えば、CD−R/RW、DVD−R/−RW/RAM/+R/+RWなど)をドライブするディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)などには光ディスクをドライブするためのディスク装置が内蔵されており、パソコン本体の小型化、薄型化の要求に伴い、このディスク装置も小型化、薄型化への改良が進められている。このようなディスク装置における光ディスクの一般的な装填方式は、1.光ディスクをディスクトレイに載置してローディングする方式、2.ディスクトレイのクランプヘッドに光ディスクを直接装着する方式、3.光ディスクをフロントベゼルから差し込むスロットイン方式に大別することができる。
【0003】
前記スロットイン方式のディスク装置は、装置本体への光ディスクのローディング(搬入)は、操作者が光ディスクの一部をフロントベゼルのスロットに差し込むことにより、以後、装置内のローディング機構が作動して自動的に光ディスクがローディングされるようにしたもので、ディスクトレイを採用していないことから、上記各方式において最も薄型化を期待することができる。
【0004】
図37乃至図39は、従来のスロットイン方式のディスク装置におけるローディング機構の構成および動作態様を示すものである。同図に示す構成においては、操作者がフロントベゼルのスロットから光ディスクDを差し込むと、光ディスクDは第1の揺動体100の先端のピン100aおよび左右のガイド体101・102、そして途中から第2の揺動体103の先端のピン103aにより高さ方向と左右位置を案内されながら図37に示す位置まで到達する。
【0005】
このとき、第1の揺動体100は、光ディスクDにより先端のピン100aが押されて矢印100A方向に回転し、また、第2の揺動体103も光ディスクDにより先端のピン103aが押されて矢印103A方向に回転する。そして、スイッチレバー104が第2の揺動体103の端部に押されて矢印104A方向に回転し、検出スイッチ105を作動する。
【0006】
前記検出スイッチ105が作動すると駆動手段106が始動し、第1のスライド部材107の矢印107A方向への移動が開始される。この第1のスライド部材107と第2のスライド部材108は、各先端がスライド連結部材109で連結され、このスライド連結部材109がピン110で揺動可能に枢支されているので、第1のスライド部材107の後退に同期して第2のスライド部材108が矢印108A方向へ前進する。
【0007】
このようにして、第1のスライド部材107が後退を開始すると、第1の揺動体は矢印100B方向へ回転し、これにより第1の揺動体100の先端のピン100aが光ディスクDをディスク位置決め部材111のピン111a・111bに当接するまで矢印107A方向へ搬入する(図38)。
【0008】
このとき、第2の揺動体103のピン103aは矢印103A方向へ回転するので、第2の揺動体103のピン103aは、第1の揺動体100の先端のピン100aと同期して光ディスクDがディスク位置決め部材111のピン111a・111bに当接した後は光ディスクDから僅かに離れた位置まで回転する。
【0009】
以上は、装置内部へ光ディスクDを搬入する場合のローディング機構の動作態様であるが、光ディスクDを装置外部へ搬出する場合のローディング機構は、前述と逆の動作態様となる。即ち、光ディスクDが装置内部で定位置にあるとき、アンローディング(搬出)の指示にもとづき、駆動手段106が逆転方向に始動されると、第1のスライド部材107が矢印107B方向へ前進を開始し、スライド連結部材109に連結されている第2のスライド部材108が同期して矢印108B方向へ後退を開始する。これにより、第1の揺動体100は矢印100A方向へ、そして第2の揺動体103は矢印103B方向へ回転するので、各々の先端のピン100a・103aにより光ディスクDが支持されて装置外部へ搬出されることになる。
【0010】
なお、装置内部へ搬入された光ディスクDは、定位置で上下動するクランプヘッド112にクランプされるようにしてある。このクランプヘッド112は、スピンドルモータ114の駆動軸に固定されたターンテーブル113と一体化されており、さらにスピンドルモータ114は、昇降フレーム115に配設され、この昇降フレーム115を昇降機構により上下動するようにしている。前記昇降機構は、第1のスライド部材107と第2のスライド部材108の側面に、図39に示すような同一形状のクランク状のカム溝が形成されており、第1、第2のスライド部材107・108の水平移動により昇降フレーム115を上下動するようにしている。
【0011】
同図は、第1のスライド部材107の部分を例示したもので、カム溝107a・107bに昇降フレーム115に固定された従動ピン116a・116bが係合しており、したがって、図39(A)に示すように、従動ピン116a・116bがカム溝107a・107bの低位部にあるときは、昇降フレーム115が最も降下した状態となる。そして、第1のスライド部材107が107A方向へ水平移動するに従い、従動ピン116a・116bがカム溝107a・107bの傾斜部を上昇することにより、昇降フレーム115が上昇してカム溝107a・107bの最も高い位置で図39(B)に示すようにクランプヘッド112が光ディスクDをクランプし、ターンテーブル113に固定する。この状態から第1のスライド部材107がさらに107A方向へ移動すると、従動ピン116a・116bが図39(C)に示すようにカム溝107a・107bの高位部へ僅かに降下して止まり、光ディスクDのドライブが可能な状態となる。
【特許文献1】特開2002−117604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、上述したディスク装置の構成による場合は、クランプヘッドが光ディスクの搬入が可能となる位置まで降下する一方、クランプヘッドが光ディスクをクランプできる位置まで上昇できるように上下動のストローク幅を確保する必要がある。このため、従来のディスク装置における昇降機構による場合は、前述したように昇降フレームを水平状態で昇降するようにしているが、昇降フレームの上下動のストローク幅は常に一定となるため、昇降フレームの厚みが大きくなると、ディスク装置全体の厚みが大きくなることになり、また、昇降フレームを水平状態で昇降させるための機構が複雑となり、小型化、薄型化に不利となる問題があった。
【0013】
本発明は、かかる従来の問題に鑑みなされたものであり、昇降フレームの上下動を司る機構を簡素に構成して小型化が可能となるようにするとともに、昇降フレームの上下動のストローク幅が不必要に大きくならないように機構的に制御し、薄型化が可能となるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで本発明は、以下に述べる各手段により上記課題を解決するようにした。即ち、請求項1記載の発明では、ターンテーブルおよびクランプヘッドを駆動軸に固定したスピンドルモータを前端部に配設した昇降フレームを装置内部の対角線に沿う方向に配置し、該昇降フレームの前端部を上下方向に揺動させることにより光ディスクを前記クランプヘッドでクランプしてターンテーブル上に保持、または保持されている光ディスクのクランプを解除するようにしたディスク装置において、前記昇降フレームの前端部を降下させたとき、該昇降フレームの対角線に直交する平面の水平状態が保たれるようにする。
【0015】
請求項2記載の発明では、ターンテーブルおよびクランプヘッドを駆動軸に固定したスピンドルモータを前端部に配設した昇降フレームを装置内部の対角線に沿う方向に配置し、該昇降フレームの前端部を上下方向に揺動させることにより光ディスクを前記クランプヘッドでクランプしてターンテーブル上に保持、または保持されている光ディスクのクランプを解除するようにしたディスク装置において、前記昇降フレームを傾斜させるとき、該昇降フレームの前端部の左側または右側の一方を他方より大きく傾斜させる。
【0016】
請求項3記載の発明では、上記請求項1または請求項2記載の発明において、昇降フレームの後端部を緩衝支持する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、昇降フレームが降下したとき、昇降フレームの底面とボトムシャーシとの間隙の偏倚を小さくすることができるので、装置内部の空間の効果的な利用を図ることによりディスク装置の薄型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて詳細に説明する。なお、本発明の理解を容易とするため、既知の構成の概要を含め説明する。
【0019】
図1は、本発明を実施したスロットイン方式のディスク装置1の外観を示す図であり、カバーシャーシ2Aとボトムシャーシ2Bとを組み合わせてシールド状態としたシャーシケース2が構成されている。カバーシャーシ2Aの天板の中央部には後述するクランプヘッドが臨む開口2aが形成されており、さらにこの開口2aの開口周縁部に内部へ突出する凸部2bが形成されている。シャーシケース2の前端にはフロントベゼル3が配設されており、このフロントベゼル3には、光ディスクDを挿入するスロット3aとエマージェンシー解除のための通孔3b・3cが形成されている。また、フロントベゼル3には、装填されている光ディスクDの装置外部への搬出を指示するための押釦4およびディスク装置1の動作状態を表示するためのインジケータ5を備える。
【0020】
図2は、このディスク装置1のカバーシャーシ2Aを除去した状態の平面図であり、その斜視図を図3に示す。同図において、ボトムシャーシ2B上にはベースパネル6が配設されており、その中央から斜め下方へ、即ち、装置内部の対角線に沿う方向に昇降フレーム10が配設され、この昇降フレーム10に光ディスクDをドライブする駆動系ユニットAが設けられている。
【0021】
前記駆動系ユニットAは、ターンテーブル7およびクランプヘッド8を駆動軸に固定したスピンドルモータ9を主体に構成されており、このスピンドルモータ9に固定された支持プレート9aが枠部材10dを介して昇降フレーム10にネジ止めされている。したがって、この昇降フレーム10が上下動することによりクランプヘッド8で光ディスクDの中心孔Daがクランプされ、ターンテーブル7上に保持されることになる。なお、前記昇降フレーム10の上下動は、この昇降フレーム10に固定した従動ピン11・12が後述する昇降機構に案内されてなされる。
【0022】
さらに前記昇降フレーム10には、ボトムシャーシ2Bを除去した状態の図4に示すようにヘッドユニットBを前進後退させるための駆動機構が配設されており、その要部の構成を図5に示す。この駆動機構は、同図に示すように光ピックアップ13を内蔵したキャリアブロック14が昇降フレーム10と一体となる枠部材10dに固定されたガイドシャフト15・16に支持されて前進後退が可能となるようにしたものであり、前記昇降フレーム10にはガイドシャフト15と平行にスクリューシャフト17が配設され、このスクリューシャフトにはギヤトレインユニット18によりスレッドモータ19の駆動力が伝達される。これにより、スクリューシャフト17のリード溝17aに噛合するナット20が従動し、このナット20を保持しているキャリアブロック14と一体の軸受部14aがガイドシャフト15に案内されて往復動する。したがって、キャリアブロック14に内蔵された光ピックアップ13は、キャリアブロック14の往復動に伴い、光ディスクの記録面に対して平行に移動し、情報の記録または再生が可能となる。
【0023】
前述したように、昇降フレーム10により上下動されるクランプヘッド8により光ディスクDの中心孔Daのクランプ、およびクランプ状態の解除を行うため、この昇降フレーム10は緩衝支持によるフローティング状態でベースパネル6に取り付けられ、昇降可能となるようにしている。即ち、図4において、昇降フレーム10の外周の3カ所には支持舌片10a・10b・10cが一体に張設されており、この支持舌片10a・10bの対応位置であるベースパネルの裏面に、図6に示すように端部圧延処理などの適宜手段でポストピン21を立設する。そして、ポストピン21にスペーサ22を介在させて柔軟性を備えた緩衝部材23を装着し、この緩衝部材23に形成された凹溝23aに前記支持舌片10a・10bを装着するようにしている。一方、支持舌片10cは、図7に示すようにスペーサを介在させずにポストピン21に装着した緩衝部材23のみで支持されるようにしており、支持舌片10a・10bより上下動のストロークが大きくなるようにし、昇降フレーム10が揺動可能となるようにしている。なお、ポストピン21の他方の端部は、ボトムシャーシ2Bにネジ止めされている。
【0024】
つぎに、光ディスクDの搬入および搬出を司る駆動機構Cについて説明する。先端にホルダー25を備えたディスク支持アーム24の揺動支点となる端部は、ベースパネル6の裏面で図4に示すように支持板26と一体となっており、この支持板26が枢支ピン27により旋回可能となるようにしているため、この支持板26の旋回に伴ってベースパネル6上のディスク支持アーム24がスリット6aの範囲内で揺動する。このディスク支持アーム24のホルダー25は、図8に示すように先端に受端部25aが形成され、側部に保持溝25bが形成されている。
【0025】
図9は、ディスク支持アーム24の駆動機構Cが構成されている状態をベースパネル6を除去して示したもので、ディス支持アーム24を直接駆動する第1のリンクアーム28は支持板26の枢支ピン26aにより連結されており、引張コイルバネ29により常時付勢されている。一方、第2のリンクアーム30には、図10に示すようにスリット30a・30bが形成されており、このスリット30a・30bからリベットピン31a・31bが挿通され、その先端が第1のリンクアーム28の通孔28a・28bに固定されいるので、第1のリンクアーム28と第2のリンクアーム30はスリット30a・30bの範囲内で伸縮可能となる。なお、第1のリンクアーム28と第2のリンクアーム30には、後述するロック機構が作用する切欠部28c・30cが形成されている。
【0026】
符号32は、第2のリンクアーム30に駆動力を伝達するためのレバーアームであり、支点となる通孔32aが枢支ピン32dで支持され、揺動可能となるようにしている。レバーアーム32の作用端には枢支ピン32bが固定されており、この枢支ピン32bは第2のリンクアーム30の通孔30dおよびロックレバー33の通孔33aに挿通される。そして、前記第2のリンクアーム30とロックレバー33の間には捻りコイルバネ34が配設されており、その一端34aが第2のリンクアーム30の凹欠部30eに係止され、他端34bはロックレバー33の凹欠部33bに係止されている。
【0027】
これによりロックレバー33の係止端33cは第1のリンクアーム28の切欠部28cと第2のリンクアーム30の切欠部30cと係合する方向に付勢される。なお、ベースパネル6の裏面には第1のリンクアーム28が所定の角度となったとき、その後端部でスイッチレバー35aが押圧されて作動するリミットスイッチ35が配設され、そして第2のリンクアームが所定の位置に達したとき、ロックレバー33の後端部33dを押圧するための起動ピン36がボトムシャーシ2Bに立設されている。
【0028】
つぎに、ディスク支持アーム24の駆動機構Cへの動力伝達要素となるスライダー機構および搬送機構の構成について説明する。搬送機構は、大別してローディングギヤユニットG1とラックギヤユニットG2の組み合わせにより構成されており、まず、図11乃至図12によりローディングギヤユニットG1の構成および動作態様を説明する。同図において符号37は動力源となるローディングモータであり、このローディングモータ37の出力軸にはウォームギヤ38が同軸で回転するように固定され、このウォームギア38の回転力がギヤベース42に軸支されたダブルギヤ39・40・41へ順次、小径ギヤから大径ギヤへ減速されながら伝達される。
【0029】
前記ギヤ構成において、ダブルギヤ39はウォームギヤ38との噛合状態を解除するリリース機構を備える。これは、ダブルギヤ39を保持しつつ上下方向にスライド可能のホルダー43の端部43aが枢支ピン44に挿通され、圧縮コイルバネ45により下方へ付勢されて軸支されていることにより、定常の状態においては、図11(C)に示すようにウォームギヤ38とダブルギヤ39は正常な噛合状態となる。なお、ホルダー43のローディングモータ37側の端部には、ドグヘッド43bが形成されており、ギヤベース42に固定されたリミットスイッチ46のノブ46aを作動可能となるようにしている。
【0030】
前記ホルダー43の端部43aの下面には枢支ピン44と同軸で軸支されたスライダー部材47が設けられている。このスライダー部材47の枢支ピン44に軸支される部分には長溝47aが形成されており、ホルダー43の端部43aに対して直角方向にスライド可能となるようにしている。また、このスライダー部材47は、前端と後端との間に傾斜面47bが形成されており、スライダー部材47を前進させたとき、この傾斜面47bがホルダー43の端部43aを底面から押し上げ、ホルダー43全体が上昇する。
【0031】
また、前記スライダー部材47の後端には枢支ピン48に軸支される係止段部47cを備えた長溝47dが形成されており、さらに後端部には封止突起47eを備えた作用片47fが形成されている。一方、スライダー部材47の前端部には、ラックギヤユニットG2の動きに応じて起動されるリセット片47gが形成されている。
【0032】
このように一体に構成されたスライダー部材47は、そのフック片47hとギヤベース42のフック片42aとの間にトグル作用を与えるための引張コイルバネ49が傾斜状に張設されており、スライダー部材47が常時後退しつつ反時計回り方向へ回転するように付勢されている。
【0033】
以上のようにスライダー部材47が構成されていることにより、図11に示す定常状態においては、スライダー部材47は枢支ピン44を支点としている。この状態において、スライダー部材47を後端部から押圧して前進させ、枢支ピン48の位置に長溝47dの係止段部47cが至ると、前記引張コイルバネ49の張力によりスライダー部材47が枢支ピン44を支点にして転回し、図12に示すように係止段部47cと枢支ピン48が係合してロック状態となり、その姿勢が維持されることになる。
【0034】
つぎに、ラックギヤユニットG2は、図13に示すようにラック主体50にギヤ列50a・50bが一体に形成されており、前記ギヤ列50aはローディングギヤユニットG1のダブルギヤ41の小径ギヤと噛合する。したがって、ローディングモータ37を駆動することにより、ラック主体50はシャーシケース2内で前進または後退することになる。このようにラック主体50を前進または後退させることにより、このラック主体50の先端に連結されている駆動機構Cが駆動してディスク支持アーム24が揺動するとともに、図2に示すベースパネル6面でラック主体50に連結されているレバーアーム51により誘引アーム57が揺動されることになる。
【0035】
このように構成されたラック主体50上には、このラック主体50の先端部で前進後退するギヤ部材52が遊動状態で配置され、このギヤ部材52を押圧して前進させるため、前後にブロック53a・53bを備えた押圧ピン53が配置されている。そして、前記ギヤ列50bとギヤ部材52を、ギヤフレーム55に自由回転するように取り付けられているダブルギヤ54に噛合させて連結されている。この場合、ダブルギヤ54の大径ギヤ54aはギヤ列50bの後端部に噛合し、小径ギヤ54bは前記ブロック53bと一体に成形されたギヤ部材52の先端部に噛合するようにする。
【0036】
したがって、押圧ピン53を介した外力によりギヤ部材52が押し込まれると、ダブルギヤ54は定位置で回転するため、ギヤ列50bに大径ギヤ54aの回転力が伝達し、ラック主体50が移動する。なお、符号56は、上述したローディングギヤユニットG1のスライダー部材47の前端部に形成されているリセット片47gを押圧する作用片であり、ローディングギヤユニットG1が図12に示す状態において、この作用片56がスライダー部材47のリセット片47gを押圧すると、枢支ピン48と係止段部47cとの係合が解除されることから、図11に示す状態に復帰する。
【0037】
つぎに、ラック主体50により駆動される誘引アーム57の構成ならびに動作態様を以下に説明する。図14は、誘引アーム57を駆動するための構成を示すもので、ラック主体50に形成された誘導溝50dに重合する位置のベースパネル6にガイドスリット6bが形成され、前記誘導溝50dとガイドスリット6bにレバーアーム51の先端に固定した従動ピン58を差し込んだ状態としてあり、前進後退する誘導溝50dに対する定位置にあるガイドスリット6bとが相互に作用して前記従動ピン58を動作制御するようにしてある。
【0038】
前記誘引アーム57は、図15に示すように枢支ピン59で回転可能に支持された基端部にレバーアーム51が枢支ピン60で軸支されている。誘引アーム57の先端には光ディスクDの保持溝が形成されており、この保持溝内部にローラ61が配設されている。誘引アーム57はこのように構成されていることから、レバーアーム51の動作に伴いシャーシケース2内で揺動し、光ディスクDを装置内部へ搬入可能となるようにしている。
【0039】
図15乃至図19は、前記誘引アーム57の動作態様を示すもので、図15は光ディスクDがディスク装置1内へ操作者により挿入された状態であり、このとき光ディスクDの搬入方向の前端側で押し戻されてディスク支持アーム24は後方へ揺動し、第1のリンクアーム28がリミットスイッチ35を作動して駆動機構Cが動作を開始する初期状態にある。したがって、ラック主体50は同図に示すように最前端に位置し、レバーアーム51は誘導溝50dの後端位置にある。
【0040】
かかる状態において、駆動機構Cが動作を開始すると、図16に示すようにラック主体50が後退を開始する。このとき、従動ピン58は誘導溝50dの後端の傾斜面とガイドスリット6bの側壁で挟持される状態にあるため、ラック主体50の前進に伴って従動ピン58も後退し、レバーアーム51が牽引されることにより誘引アーム57が揺動してディスク支持アーム24のホルダー25とにより光ディスクDを保持した状態となり、光ディスクDの搬入が開始される。
【0041】
図17は、ラック主体50がさらに後退し、従動ピン58がガイドスリット6bの頂部に至った状態を示すもので、誘引アーム57の揺動により光ディスクDの搬入が継続され、光ディスクDの中心孔Daがクランプヘッド8と一致する位置に達した状態となる。図18は、ラック主体50が図17の位置から僅かに後退した状態を示し、従動ピン58が誘導溝50dによりガイドスリット6bの頂部の横溝に押し込まれる状態にある。
【0042】
図19は、ラック主体50が最終位置まで後退した状態であり、図18から図19に至る過程において従動ピン58が誘導溝50dの前端の長溝によりガイドスリット6bの頂部の横溝へさらに押し込まれる。これにより、誘引アーム57は同図の仮想線で示す位置から僅かに後退し、光ディスクDの保持を解除する。以上の図16から図19の一連の過程において光ディスクDの中心孔Daがクランプヘッド8にクランプされ、ターンテーブル7上に保持される。
【0043】
つぎに、ディスク支持アーム24の動作態様について説明する。ディスク支持アーム24を駆動するための駆動機構Cは、図10に示す機構要素が組み立てられて構成されるのであるが、その動作はラック主体50の前進後退に伴いなされる。即ち、図20において、ラック主体50に形成されたガイド溝50eにレバーアーム32の端部に固定された従動ピン32cが装着され、前記ガイド溝50eに案内されるようにしている。同図に示した状態は、操作者が光ディスクDをフロントベゼル3のスロット3aから挿入し、その前端がディスク支持アーム24の先端のホルダー25の受端部25aに収まった状態の初期状態を示す。この時点では、ロックレバー33の後端部33dが起動ピン36で押圧されていることから、その係止端33cが第1、第2のリンクアーム28・30の切欠部28c・30cに介在していない状態となる。
【0044】
図21および図22は、操作者が光ディスクDを装置内部へさらに押し込んだ状態を段階的に示すもので、ディスク支持アーム24が後方へ揺動し、このディスク支持アーム24の基端部に枢支ピン24aで連結されている第1のリンクアーム28が牽引される。このとき、レバーアーム32は静止しているラック主体50に連結されているので、これに連結されている第2のリンクアーム30は定位置に保たれた状態となっている。したがって、第1のリンクアーム28が第2のリンクアーム30上でスライドして伸びた状態となる。そして、図22の状態に至った時点で、リミットスイッチ35が作動される。
【0045】
図23は、前記により作動されたリミットスイッチ35からの信号にもとづいて搬送機構が駆動を開始し、ラック主体50が後退しつつある状態を示す。ラック主体50のガイド溝50eによりレバーアーム32が揺動され、第2のリンクアーム30が第1のリンクアーム28に追従するようにスライドして前進するため、起動ピン36による押圧から開放されたロックレバー33の係止端33cは第1、第2のリンクアーム28・30の切欠部28c・30cに介在することにより、第1、第2のリンクアーム28・30が一体にロックされた状態となる。なお、図22から図23の状態に至る過程において、前述した誘引アーム57が始動し、ディスク支持アーム24のホルダー25とこの誘引アーム57で光ディスクDを保持する。
【0046】
図24は、さらにラック主体50が後退してディスク支持アーム24が後方へ揺動して光ディスクを搬入し、その中心孔Daがクランプヘッド8上に一致した状態を示す。なお、この時点までは、ディスク支持アーム24のホルダー25と誘引アーム57で光ディスクDを保持しており、ディスク支持アーム24と誘引アーム57は同期して揺動する。そして、図24から図25へ至る過程で、クランプヘッド8が上昇し、光ディスクDの中心孔Daをクランプする。
【0047】
図26は、クランプヘッド8が光ディスクDの中心孔Daをクランプした後、ラック主体50が僅かに後退した状態を示すもので、これにより、ラック主体50のガイド溝50eの縦溝の終端部でレバーアーム32が僅かに揺動し、同図に示すようにディスク支持アーム24、そして誘引アーム57が僅かに揺動するため、光ディスクDの保持が解除され、ターンテーブル7による光ディスクDのドライブが可能となる。
【0048】
以上は、光ディスクDの搬入時の駆動機構Cの動作態様であるが、光ディスクDの搬出時は、これと逆の経路を辿り各部の機構要素は逆の動作を行う。即ち、搬送機構Eが逆に駆動され、ラック主体50を前進させてディスク支持アーム24が図26の状態から図23の状態まで前方へ揺動し、図27に示す状態でロックレバー33の後端部33dが起動ピン36に当接する。そして、さらにラック主体50が前進すると、前記後端部33dが起動ピン36で押圧される状態となり、これにより図27に破線で示すようにロックレバー33の係止端33cが第1のリンクアーム28と第2のリンクアーム30の切欠部28c・30cから揺動して離脱し、第1のリンクアーム28と第2のリンクアーム30が一体化されたロック状態が解除され、これと同時に引張コイルバネ29の付勢力が作用してディスク支持アーム24が図20に示す位置まで揺動し、搬出の最終過程の最後の一瞬で光ディスクDをスロット3aからポップアウトして搬出を完了する。
【0049】
このように、ディスク搬入動作開始時には、第1、第2のリンクアーム28・30はロックが解除された状態であり、光ディスクDが挿入されるにつれて、第1、第2のリンクアーム28・30は、一旦は伸びる方向に変位してから、縮む方向に変位し、図23の状態に至ってロックレバー33によりロックされる。一方、光ディスクDの搬出動作開始時には、第1、第2のリンクアーム28・30はロックされた状態であり、よって、第1、第2のリンクアーム28・30は、搬入時のように伸びるから縮む方向に変位をすることなく、図27の状態に至ってロックレバー33によるロックが解除される。このように、光ディスクDの搬出時には、殆ど全ての搬出工程において引張コイルバネ29の付勢力を使用せず、搬出機構Eで駆動制御するようにしたので、搬出動作が常に一定となり、搬出終了時に光ディスクDがベゼル3のスロット3aから露出して静止した状態が常に一定となる。
【0050】
つぎに、昇降フレーム10を上下動させるための昇降機構の構成ならびに動作態様を説明する。なお、本発明の理解を容易にするため、まず、この昇降機構に本発明の要旨となる構成を実施しない場合の動作態様を説明する。
【0051】
図2および図9から明らかなように、本発明が対象とするディスク装置の昇降フレーム10は、装置内部の対角線に沿う方向に配設されるため傾斜状態となり、その後端部は、本体の角隅部に入り込んだ状態となる。このように構成された場合、昇降フレーム10の揺動支点は、通常、同図の軸線S−Sとなり、ここを軸心として昇降フレーム10の先端部、即ち、クランプヘッド8が上下動することになる。このとき、軸線S−Sから従動ピン11までの距離はL11であり、軸線S−Sから従動ピン12までの距離がL12であるとき、L11<L12となる条件により、従動ピン12は従動ピン11より大きく上下動しなければならない。即ち、従動ピン11・12の上下動距離は、各従動ピンから軸線S−Sまでの距離に比例しており、従動ピン11の上下動距離をH11、従動ピン12の上下動距離をH12とすると、
H11/L11=H12/L12
の関係となっていた。
【0052】
前記昇降フレーム10の昇降機構は、従動ピン11・12およびラック主体50に形成したカム溝50cと、スライド部材62に形成したカム溝62aで構成されるが、前記のように従動ピン11と従動ピン12の軸線S−Sからの距離が相違するため、前記カム溝50c・62aは従動ピン11・12の上下動の軌跡に一致するようにする。図28は、このような条件に対応するようにして形成されたカム溝50c・62aの形状を示したものである。
【0053】
図28(A)にラック主体50に形成したカム溝50cの形状を示し、図28(B)にスライド部材62に形成したカム溝62aの形状を示す。そして、ラック主体50がX1−X2方向に前進後退するに従い変化するカム溝50c内の従動ピン11の状態を位置J0〜J5で示す。また、スライド部材62がY1−Y2方向に前進後退するに従い変化するカム溝62a内の従動ピン12の状態を位置K1〜K5で示す。
【0054】
なお、前記スライド部材62の端部は、リンク部材63の端部に固定した作用ピン63aに連結されており、リンク部材63の他端には従動ピン63bを備え、この従動ピン63bがラック主体50のガイド溝50fに連結されている。そして、リンク部材63の支点63cが回転可能に軸支されていることから、ラック主体50の前進後退に同期してスライド部材62が前進後退する。したがって、カム溝50c・62aも同期して前進後退し、従動ピン11はカム溝50cの高さH11の範囲で上下動し、従動ピン12はカム溝62aの高さH12の範囲で上下動することになる。
【0055】
前記カム溝50cの位置J0から位置J1の範囲の低位部は、ラック主体50の初期動作、即ち、前述した光ディスクDを搬入する図20から図23までの動作に応動しないように水平状態にしておき、従動ピン11が上昇しないようにして初期動作のストロークを吸収するようにしている。位置J1からカム溝頂部の位置J4までの間が昇降フレーム10を上昇させて光ディスクDをクランプヘッド8にクランプさせるための傾斜部となり、位置J4から位置J5までが光ディスクDのドライブが可能となるようにするための高位部となる。
【0056】
一方、スライド部材62は、ラック主体50のカム溝50cの位置J1から位置J5の範囲で同期して前進後退するようにしているので、低位部の位置K1から直ちに傾斜部となりカム溝頂部の位置K4に至る。位置K4から位置K5までは前記カム溝50cの位置J4から位置J5までと同形状に形成されている。
【0057】
前記カム溝50cの位置J0〜J1の低位部から頂部J4までの高さH11と、カム溝62aの位置K1から頂部K4までの高さH12との関係は、H11<H12となり、同図に示すように位置J0〜J1が位置K1より高くなる相対的な高低差h1を生ずる。なお、カム溝50cの位置J1〜J4間の傾斜部の幅と、カム溝62aの位置K1〜K4間の傾斜部の幅は同一であるため、高低差の小さいカム溝50cの傾斜部はカム溝62aの高低差の大きい傾斜部より緩傾斜となる。したがって、ラック主体50とスライド部材62の同じ移動量で従動ピン12は従動ピン11より相対的に大きく上昇または下降し、位置J4〜J5と位置K4〜K5の範囲では、従動ピン11・12は同等の高さ位置となる。
【0058】
つぎに、図9に示す軸線R−Rにおける昇降フレーム10の動作態様を図29および図30を参照して以下に説明する。図29は、昇降フレーム10が上昇する工程を示すもので、図29(A)は、昇降フレーム10が最も降下している状態であり、同図では光ディスクDがフロントベゼル3のスロット3aから挿入された直後の状態、即ち、図20に示す状態にある。このとき、従動ピン11はカム溝50cの位置J0にあり、従動ピン12はカム溝62aの位置K1にある。したがって、従動ピン11と従動ピン12との間には高低差h1があるため、昇降フレーム10は同図に示すように傾斜した状態となっている。
【0059】
図29(A)の状態から光ディスクDの搬入が進行すると、ラック主体50の初期動作のストロークが吸収される状態、即ち、図23に示すようにラック主体50がX1方向へ移動し、従動ピン11がカム溝50cの位置J0から位置J1へ移行する。そして、さらにラック主体50がX1方向へ移動し、図24に示すように従動ピン11がカム溝50cの位置J2となり、従動ピン12がカム溝62aの位置K2に達すると、昇降フレーム10は図29(B)に示すように初期の位置より僅かに上昇する。このとき、従動ピン12は従動ピン11より上昇幅が大きいため、昇降フレームは徐々に水平状態になる。
【0060】
さらにラック主体50がX1方向へ、スライド部材62がY1方向へ移動すると、カム溝50cの従動ピン11は位置J3へ、同時にカム溝62aの従動ピン12は位置K3へ達する。この工程において、クランプヘッド8のチャック爪8aが光ディスクDの中心孔Daに当接し、その状態で光ディスクDを押し上げ、図29(C)に示すように、光ディスクDの中心孔Daの周縁がカバーシャーシ2Aの開口2aの凸部2bに当接する。
【0061】
図29(D)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J4へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K4へ達した状態であり、クランプヘッド8が光ディスクDの中心孔Daに進入してクランプし、ターンテーブル7に保持した図25に一致する状態となる。この状態に至ると、従動ピン11・12が同じ高さ位置となり、昇降フレーム10は水平状態となる。
【0062】
図29(E)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J5へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K5へ達した状態であり、昇降フレーム10が僅かに降下して光ディスクDのドライブが可能となるようにした図26に一致する状態である。
【0063】
つぎに、光ディスクDのドライブが可能となっている状態からこの光ディスクDを搬出するため、昇降フレーム10を下降する工程を図30にもとづいて説明する。図30(A)は、図29(E)と同じく光ディスクDのドライブが可能なっている状態であり、かかる状態において光ディスクDのアンローディングの指示を受けると、搬送機構の反転動作が開始され、ラック主体50がX2方向へ、スライド部材62がY2方向へ移動を開始する。
【0064】
図30(B)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J5から位置J4へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K5から位置K4へ達した状態であり、昇降フレーム10が一旦上昇した状態を示す。
【0065】
図30(C)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J4から位置J3を経て位置J2へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K4から位置K3を経て位置K2へ移行する工程を示す。この昇降フレーム10が降下する工程において、クランプヘッド8にクランプされていた光ディスクDは、解除ピン64で突き上げられる状態となるため、光ディスクDのクランプが解除される。
【0066】
図30(D)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J2へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K2へ達した状態であり、従動ピン12が従動ピン11より相対的に大きく降下するため、これに伴って昇降フレーム10が次第に傾斜を開始する状態を示す。
【0067】
図30(E)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J1へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K1へ達した状態であり、従動ピン11・12の相対的な高低差h1により最大傾斜となって昇降フレーム10の降下が終了した状態を示すもので、クランプヘッド8と光ディスクDとの間に間隙h2が形成され、光ディスクDの搬出が可能となる。なお、前記傾斜状態において、ボトムシャーシ2Bに最も接近する昇降フレーム10の裏面の部位は、ガイドシャフト16の側端部分U(図4、図5参照)となる。
【0068】
図31は、上述した昇降フレーム10の動作態様を模式的に示したもので、昇降フレーム10は軸線S−Sを軸心として揺動するため、この軸線S−Sから距離L12にある従動ピン12に支持されている昇降フレーム10の側部は、カム溝62aで定められた高さH12相当の仮想線の位置まで降下する。一方、距離L11にある従動ピン11に支持されている昇降フレーム10の側部は、高さH11相当の仮想線の位置まで降下するが、カム溝50cとカム溝62aの低位部の高低差h1に相当するだけ浮上した状態となる。これは、従動ピン12に支持されている側部を高さH12相当まで降下させることにより昇降フレーム10が傾斜し、クランプヘッド8の頂部と光ディスクDとの間隙h2を確保するようにしたのであるが、高低差h1に相当する幅だけ薄型化が困難となる。
【0069】
そこで、本発明では、クランプヘッド8の頂部と光ディスクDと間隙h2を確保しつつボトムシャーシ2Bと昇降フレーム10の底面との間に不要な間隙が発生しないように昇降フレーム10の上下動を機構的に制御し、ボトムシャーシ2Bと昇降フレーム10の底面との間隙に偏倚が生じないようにした構成例を以下に説明する。
【0070】
図32(A)にラック主体50に形成したカム溝50cの形状を示し、図32(B)にスライド部材62に形成したカム溝62aの形状を示す。かかる構成においても、ラック主体50がX1−X2方向に前進後退するに従い変化するカム溝50c内の従動ピン11の状態を位置J0〜J5で示し、スライド部材62がY1−Y2方向に前進後退するに従い変化するカム溝62a内の従動ピン12の状態を位置K1〜K5で示す。
【0071】
前記スライド部材62の端部は、リンク部材63の端部に固定した作用ピン63aに連結されており、リンク部材63の他端には従動ピン63bを備え、この従動ピン63bがラック主体50のガイド溝50fに連結されている。そして、リンク部材63の支点63cが回転可能に軸支されていることから、ラック主体50の前進後退に同期してスライド部材62が前進後退する。したがって、カム溝50c・62aも同期して前進後退し、従動ピン11はカム溝50cの高さH12の範囲内で上下動し、従動ピン12はカム溝62aの高さH12の範囲で上下動することになる。なお、前記カム溝50c・62aの高さH11・H12は、昇降フレームおよびボトムシャーシの形状に応じて昇降フレームとボムシャーシとの間隔が小さくなるように定めるもので、必ずしも同等となるものではない。
【0072】
前記カム溝50cの位置J0から位置J1の範囲の低位部は、ラック主体50の初期動作、即ち、前述した光ディスクDを搬入する図20から図23までの動作に応動しないように水平に形成し、従動ピン11が上昇しないようにして初期動作のストロークを吸収するようにしている。位置J1からカム溝頂部の位置J4までの間が昇降フレーム10を上昇させて光ディスクDをクランプヘッド8にクランプさせるための傾斜部となり、位置J4から位置J5までが光ディスクDのドライブが可能となるようにするための高位部となる。
【0073】
一方、スライド部材62は、ラック主体のカム溝50cの位置J1から位置J5の範囲で同期して前進後退するようにしているので、低位部の位置K1から直ちに傾斜部となりカム溝頂部の位置K4に至る。位置K4から位置K5までは前記カム溝50cの位置J4から位置J5までと同形状に形成されている。なお、前記カム溝50cの位置J0〜J1の低位部から頂部J4までの高さH12と、カム溝62aの位置K1から頂部までの高さH11は、本実施例においては同等として説明する。
【0074】
つぎに、図9に示す軸線R−Rにおける昇降フレーム10の動作態様を図33および図34を参照して以下に説明する。図33は、昇降フレーム10が上昇する工程を示すもので、図33(A)は、昇降フレーム10が最も降下している状態であり、同図では光ディスクDがフロントベゼル3のスロット3aから挿入された直後の状態、即ち、図20に示す状態にある。このとき、従動ピン11はカム溝50cの位置J0にあり、従動ピン12はカム溝62aの位置K1にある。したがって、軸線R−Rにおける昇降フレーム10の底面はボトムシャーシ2Bに最も接近した状態となっている。
【0075】
図33(A)の状態から光ディスクDの搬入が進行すると、ラック主体50の初期動作のストロークが吸収される状態、即ち、図23に示すようにラック主体50がX1方向へ移動し、カム溝50cの従動ピン11が位置J0から位置J1へ移行する。そして、さらにラック主体50がX1方向へ移動し、図24に示すように、カム溝50cの従動ピン11が位置J2となり、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K2に達すると、昇降フレーム10は図33(B)に示すように僅かに上昇する。
【0076】
さらにラック主体50がX1方向へ、スライド部材62がY1方向へ移動すると、カム溝50cの従動ピン11は位置J3へ、同時にカム溝62aの従動ピン12は位置K3へ達する。この工程において、クランプヘッド8のチャック爪8aが光ディスクDの中心孔Daに当接し、その状態で光ディスクDを押し上げ、図33(C)に示すように、光ディスクDの中心孔Daの周縁がカバーシャーシ2Aの開口2aの凸部2bに当接する。
【0077】
前記状態から継続してカム溝50cの従動ピン11が位置J4へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K4へ達すると、図33(D)に示すように、クランプヘッド8が光ディスクDの中心孔Daに進入し、そのチャック爪8aにより中心孔Daの周縁をクランプしてターンテーブルに保持する。
【0078】
カム溝50cの従動ピン11が位置J4から位置J5へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K4から位置K5へ移行すると、昇降フレーム10が僅かに降下して図33(E)に示す状態となり、光ディスクDのドライブが可能となるようにした図26に一致する状態となる。
【0079】
つぎに、光ディスクDのドライブが可能となっている状態からこの光ディスクを搬出するため、昇降フレーム10が降下する工程を図34にもとづいて説明する。図34(A)は、図33(E)と同じく光ディスクDのドライブが可能となっている状態であり、かかる状態において光ディスクDのアンローディングの指示を受けると、搬送機構の反転動作が開始され、ラック主体50がX2方向へ、スライド部材62がY2方向へ移動を開始する。
【0080】
図34(B)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J5から位置J4へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K5から位置K4へ移行し、この間の傾斜部で昇降フレーム10が一旦上昇した状態となる。
【0081】
図34(C)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J4から位置J3を経て位置J2へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K4から位置K3を経て位置K2へ移行する工程を示す。この昇降フレーム10が降下する工程において、クランプヘッド8にクランプされていた光ディスクDは、解除ピン64で突き上げられる状態となるため、光ディスクDのクランプが解除される。
【0082】
図34(D)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J2へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K2に至った状態を示すもので、さらに従動ピン11・12は同期して降下し、位置J1・K1に達すると、昇降フレーム10は図34(E)に示す最も降下した状態で静止する。
【0083】
上述した昇降フレーム10の動作態様は、図35の模式図に示すように、実線部分にある昇降フレーム10の仮想線までの降下は、昇降フレーム10の対角線Q−Qに直交する平面の水平状態が保たれて傾斜状態とならないため、軸線R−Rの昇降フレーム10の裏面とボトムシャーシ2Bとの間隙に偏倚を生ずることがない。
【0084】
また、本実施例によれば、従動ピン11の上下動距離H11、従動ピン12の上下動距離をH12、従動ピン11から軸線S−Sまでの距離をL11、従動ピン12から軸線S−Sまでの距離をL12としたとき、
H11/L11>H12/l12
の関係となっており、昇降フレームが降下したとき、昇降フレーム10の従動ピン11側(右側)と従動ピン12側(左側)とでは、従動ピン11側(右側)の方が大きく傾斜するようになっている。
【0085】
このことから、昇降フレーム10が降下したとき、昇降フレームの軸線S−S側を支持する支持舌片10a・10bのうち、左側に位置する支持舌片10aが僅かに浮き上がり、右側に位置する支持舌片10bが僅かに沈み込むことになり、これにより、昇降フレーム10の降下時の揺動の軸心が軸線P−P(図9参照)となる。なお、支持舌片10a・10bの上下方向の変位は、緩衝部材23が変形することによりなされる。
【0086】
図36は、本発明を実施していないディスク装置との肉厚の相違を比較するための図であり、本発明のディスク装置は図36(A)に示すように、クランプヘッド8の頂部と光ディスクDとの間隙h2を保持しつつボトムシャーシ2Bと昇降フレーム10の裏面を接近させることができる。一方、図36(B)に示すディスク装置の場合は、昇降フレーム10が降下すると傾斜状態のままであるため、全体の肉厚がH2となる。これを本発明によるディスク装置の肉厚H1と比較すると、H1<H2となることが明らかであり、本発明を実施することによりディスク装置の更なる薄型化の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明を実施したディスク装置の外観の斜視図である。
【図2】図1のディスク装置からカバーシャーシを除去した状態の平面図である。
【図3】図1のディスク装置からカバーシャーシを除去した状態の斜視図である。
【図4】図1のディスク装置からボトムシャーシを除去した状態の平面図である。
【図5】ヘッドユニットを前進後退させる駆動機構を説明する図である。
【図6】昇降フレームの支持構造を説明する断面図である。
【図7】昇降フレームの支持構造を説明する断面図である。
【図8】ディスク支持アームの構成を説明する斜視図である。
【図9】ディスク支持アームの駆動機構を説明する平面図である。
【図10】ディスク支持アームの駆動機構の要部分解斜視図である。
【図11】ディスク搬送機構の構成を説明する図である。
【図12】ディスク搬送機構の構成を説明する図である。
【図13】ラックギヤユニットの構成を説明する斜視図である。
【図14】誘引アームを駆動するための構成を説明する分解斜視図である。
【図15】誘引アームの動作態様を説明する第1工程の図である。
【図16】誘引アームの動作態様を説明する第2工程の図である。
【図17】誘引アームの動作態様を説明する第3工程の図である。
【図18】誘引アームの動作態様を説明する第4工程の図である。
【図19】誘引アームの動作態様を説明する第5工程の図である。
【図20】ディスク支持アームの動作態様を説明する第1工程の図である。
【図21】ディスク支持アームの動作態様を説明する第2工程の図である。
【図22】ディスク支持アームの動作態様を説明する第3工程の図である。
【図23】ディスク支持アームの動作態様を説明する第4工程の図である。
【図24】ディスク支持アームの動作態様を説明する第5工程の図である。
【図25】ディスク支持アームの動作態様を説明する第6工程の図である。
【図26】ディスク支持アームの動作態様を説明する第7工程の図である。
【図27】光ディスク搬出時のディスク支持アームの動作態様を説明する図である。
【図28】カム溝と従動ピンの位置関係の例を説明する図である。
【図29】昇降フレームの上昇時の動作態様の例を説明する図である。
【図30】昇降フレームの下降時の動作態様の例を説明する図である。
【図31】図29、図30の動作態様の例を説明する模式図である。
【図32】本発明によるカム溝と従動ピンの位置関係を説明する図である。
【図33】本発明における昇降フレームの上昇時の動作態様を説明する図である。
【図34】本発明における昇降フレームの下降時の動作態様を説明する図である。
【図35】図33、図34の動作態様を説明する模式図である。
【図36】本発明のディスク装置の完成時の肉厚状態を説明する図である。
【図37】従来のディスク装置の動作態様を説明する第1工程の図である。
【図38】従来のディスク装置の動作態様を説明する第2工程の図である。
【図39】従来のディスク装置の昇降フレームの動作態様を説明する図である。
【符号の説明】
【0088】
1・・・・・・・・・ディスク装置
2・・・・・・・・・シャーシケース
2A・・・・・・・・カバーシャーシ
2B・・・・・・・・ボトムシャーシ
3・・・・・・・・・フロントベゼル
6・・・・・・・・・ベースパネル
7・・・・・・・・・ターンテーブル
8・・・・・・・・・クランプヘッド
9・・・・・・・・・スピンドルモータ
10・・・・・・・・昇降フレーム
11・12・・・・・従動ピン
13・・・・・・・・光ピックアップ
14・・・・・・・・キャリアブロック
15・16・・・・・ガイドシャフト
17・・・・・・・・・・スクリューシャフト
18・・・・・・・・ギヤトレインユニット
19・・・・・・・・スレッドモータ
20・・・・・・・・ナット
21・・・・・・・・ポストピン
22・・・・・・・・スペーサ
23・・・・・・・・緩衝部材
24・・・・・・・・ディスク支持アーム
25・・・・・・・・ホルダー
26・・・・・・・・支持板
27・・・・・・・・枢支ピン
28・・・・・・・・第1のリンクアーム
29・・・・・・・・引張コイルバネ
30・・・・・・・・第2のリンクアーム
32・・・・・・・・レバーアーム
33・・・・・・・・ロックレバー
34・・・・・・・・捩りコイルバネ
35・・・・・・・・リミットスイッチ
36・・・・・・・・起動ピン
37・・・・・・・・ローディングモータ
38・・・・・・・・ウォームギヤ
39・40・41・・ダブルギヤ
42・・・・・・・・ギヤベース
43・・・・・・・・ホルダー
44・・・・・・・・枢支ピン
45・・・・・・・・圧縮コイルバネ
46・・・・・・・・リミットスイッチ
47・・・・・・・・スライダー部材
48・・・・・・・・枢支ピン
49・・・・・・・・引張コイルバネ
50・・・・・・・・ラック主体
51・・・・・・・・レバーアーム
52・・・・・・・・ギヤ部材
53・・・・・・・・押圧ピン
54・・・・・・・・ダブルギヤ
55・・・・・・・・ギヤフレーム
56・・・・・・・・作用片
57・・・・・・・・誘引アーム
58・・・・・・・・従動ピン
59・・・・・・・・枢支ピン
60・・・・・・・・枢支ピン
61・・・・・・・・ローラ
62・・・・・・・・スライド部材
63・・・・・・・・リンク部材
64・・・・・・・・解除ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンテーブルおよびクランプヘッドを駆動軸に固定したスピンドルモータを前端部に配設した昇降フレームを装置内部の対角線に沿う方向に配置し、該昇降フレームの前端部を上下方向に揺動させることにより光ディスクを前記クランプヘッドでクランプしてターンテーブル上に保持、または保持されている光ディスクのクランプを解除するようにしたディスク装置において、
前記昇降フレームの前端部を降下させたとき、該昇降フレームの対角線に直交する平面の水平状態が保たれるようにしたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
ターンテーブルおよびクランプヘッドを駆動軸に固定したスピンドルモータを前端部に配設した昇降フレームを装置内部の対角線に沿う方向に配置し、該昇降フレームの前端部を上下方向に揺動させることにより光ディスクを前記クランプヘッドでクランプしてターンテーブル上に保持、または保持されている光ディスクのクランプを解除するようにしたディスク装置において、
前記昇降フレームを傾斜させるとき、該昇降フレームの前端部の左側または右側の一方を他方より大きく傾斜させるようにしたことを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
昇降フレームの後端部を緩衝支持したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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