説明

ディスク装置

【課題】スロットイン方式のディスク装置において、昇降フレームが降下するような不測の事態にあっても、フレキシブルプリント基板をボトムシャーシに圧接しないようにする。
【解決手段】昇降フレームの基端部を回転軸として前端部を上下方向に揺動させることにより、クランプヘッドによるディスクの中心孔のクランプまたはクランプの解除が可能となるようにしたディスク装置であり、光ピックアップユニットを組み込んだキャリアブロックを支持する副ガイドシャフトの端部を緩衝支持するとともに、該キャリアブロックのボトムシャーシに面する端部の一部に突起を設け、このキャリアブロックが降下したとき前記突起がボトムシャーシに当接し、キャリアブロックの裏面に布設されたフレキシブルプリント基板をボトムシャーシに圧接しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種コンピュータシステムなどの情報機器において、大量の情報を光学的に記録するための媒体となるディスク(例えば、CD−R/RW、DVD−R/−RW/RAM/+R/+RWなど)をドライブするディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)などにはディスクをドライブするためのディスク装置が内蔵されており、パソコン本体の小型化、薄型化の要求に伴い、このディスク装置も小型化、薄型化への改良が進められている。このようなディスク装置におけるディスクの一般的な装填方式は、1.ディスクをディスクトレイに載置してローディングする方式、2.ディスクトレイのクランプヘッドにディスクを直接装着する方式、3.ディスクをフロントベゼルから差し込むスロットイン方式に大別することができる。
【0003】
前記スロットイン方式のディスク装置において装置本体へのディスクのローディング(搬入)は、操作者がディスクの一部をフロントベゼルのスロットに差し込むことにより、以後、装置内のローディング機構が作動して自動的にディスクがローディングされるようにしたもので、ディスクトレイを採用していないことから、上記各方式において最も薄型化が可能となる。
【0004】
図45乃至図47は、従来のスロットイン方式のディスク装置におけるローディング機構の構成および動作態様を示すものである。同各図に示す構成においては、操作者がフロントベゼルのスロットからディスクDを差し込むと、ディスクDは第1の揺動体100の先端のピン100aおよび左右のガイド体101・102、そして途中から第2の揺動体103の先端のピン103aにより高さ方向と左右位置を案内されながら図45に示す位置まで到達する。
【0005】
このとき、第1の揺動体100は、ディスクDにより先端のピン100aが押されて矢印100A方向に回転し、また、第2の揺動体103もディスクDにより先端のピン103aが押されて矢印103A方向に回転する。そして、スイッチレバー104が第2の揺動体103の端部に押されて矢印104A方向に回転し、検出スイッチ105を作動する。
【0006】
前記検出スイッチ105が作動すると駆動手段106が始動し、第1のスライド部材107の矢印107A方向への移動が開始される。この第1のスライド部材107と第2のスライド部材108は、各先端がスライド連結部材109で連結され、このスライド連結部材109がピン110で揺動可能に枢支されているので、第1のスライド部材107の後退に同期して第2のスライド部材108が矢印108A方向へ前進する。
【0007】
このようにして、第1のスライド部材107が後退を開始すると、第1の揺動体は矢印100B方向へ回転し、これにより第1の揺動体100の先端のピン100aがディスクDをディスク位置決め部材111のピン111a・111bに当接するまで矢印107A方向へ搬入する(図46)。
【0008】
このとき、第2の揺動体103のピン103aは矢印103A方向へ回転するので、第2の揺動体103のピン103aは、第1の揺動体100の先端のピン100aと同期してディスクDがディスク位置決め部材111のピン111a・111bに当接した後はディスクDから僅かに離れた位置まで回転する。
【0009】
以上は、装置内部へディスクDを搬入する場合のローディング機構の動作態様であるが、ディスクDを装置外部へ搬出する場合のローディング機構は、前述と逆の動作態様となる。即ち、ディスクDが装置内部で定位置にあるとき、アンローディング(搬出)の指示にもとづき、駆動手段106が逆転方向に始動されると、第1のスライド部材107が矢印107B方向へ前進を開始し、スライド連結部材109に連結されている第2のスライド部材108が同期して矢印108B方向へ後退を開始する。これにより、第1の揺動体100は矢印100A方向へ、そして第2の揺動体103は矢印103B方向へ回転するので、各々の先端のピン100a・103aによりディスクDが支持されて装置外部へ搬出されることになる。
【0010】
なお、装置内部へ搬入されたディスクDは、定位置で上下動するクランプヘッド112にクランプされるようにしてある。このクランプヘッド112は、スピンドルモータ114の駆動軸に固定されたターンテーブル113と一体化されており、さらにスピンドルモータ114は、昇降フレーム115に配設され、この昇降フレーム115を昇降機構により上下動するようにしている。前記昇降機構は、第1のスライド部材107と第2のスライド部材108の側面に、図47に示すような同一形状のクランク状のカム溝が形成されており、第1、第2のスライド部材107・108の水平移動により昇降フレーム115を上下動するようにしている。
【0011】
同図は、第1のスライド部材107の部分を例示したもので、カム溝107a・107bに昇降フレーム115に固定された従動ピン116a・116bが係合しており、したがって、図47(A)に示すように、従動ピン116a・116bがカム溝107a・107bの低位部にあるときは、昇降フレーム115が最も降下した状態となる。そして、第1のスライド部材107が107A方向へ水平移動するに従い、従動ピン116a・116bがカム溝107a・107bの傾斜部を上昇することにより、昇降フレーム115が上昇してカム溝107a・107bの最も高い位置で図47(B)に示すようにクランプヘッド112がディスクDをクランプし、ターンテーブル113に固定する。この状態から第1のスライド部材107がさらに107A方向へ移動すると、従動ピン116a・116bが図47(C)に示すようにカム溝107a・107bの高位部へ僅かに降下して止まり、ディスクDのドライブが可能な状態となる。
【特許文献1】特開2002−117604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、前述したようなディスク装置の構成による場合は、クランプヘッドがディスクの搬入が可能となる位置まで降下する一方、クランプヘッドがディスクをクランプできる位置まで上昇できるように上下動のストローク幅を確保する必要がある。このため、従来のディスク装置における昇降機構による場合は、昇降フレームを水平状態で昇降するようにしているが、昇降フレームの上下動のストローク幅は常に一定となるため、昇降フレームの厚みが大きくなると、ディスク装置全体の厚みが大きくなることになり、また、昇降フレームを水平状態で昇降させるための機構が複雑となり、小型化、薄型化に不利となる問題があった。
【0013】
一方、昇降フレームを水平状態で昇降せず、昇降フレームの前端部を揺動してディスクのクランプおよびクランプの解除を行うことができる。これは、ターンテーブルおよびクランプヘッドを駆動軸に固定したスピンドルモータに配設した昇降フレームを装置内部の対角線に沿う方向に配置し、この昇降フレームの基端部を回転軸として前端部を上下方向に揺動させるようにしたものである。
【0014】
このように昇降フレームの前端を揺動してディスクのクランプおよびクランプの解除を行う方式において昇降フレームの前端部を降下する場合は、光ピックアップユニットを組み込んだキャリアブロックを必ずフロントベゼル側、即ち、ディスクの外周側に後退させなければならない。これは、昇降フレームの前端部を降下させるとき、キャリアブロックがクランプヘッド側、即ち、ディスクの内周側にあるとキャリアブロックの裏面の端部がボトムシャーシに接触してしまうことになり、キャリアブロックの裏面に布設されたフレキシブルプリント基板をボトムシャーシに圧接し、フレキシブルプリント基板の配線を切断してしまう可能性がある。
【0015】
ところで、スロットイン方式のディスク装置では内部構造が外部に全く露呈していないため、停電などで電源が遮断されるような不可避的な要因によりキャリアブロックがディスクの内周側にある状態で昇降フレームが降下してしまう不測の事態があった場合でも、装置外部からエマージェンシー機構を手動により操作して装置内部に残置されたディスクを回収できるようにしておかなければならない。
【0016】
ところが、降下した昇降フレームのキャリアブロックの裏面の端部がフレキシブルプリント基板をボトムシャーシに圧接しているため、かかる状態でエマージェンシー機構を手動操作すると、キャリアブロックがフレキシブルプリント基板を圧接したままディスクの外周方向へ移動し、フレキシブルプリント基板の配線を切断する可能性がきわめて高いものとなる。
【0017】
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、キャリアブロックがディスクの内周側にある状態で昇降フレームが降下するような不測の事態にあっても、キャリアブロックの端部がフレキシブルプリント基板をボトムシャーシに圧接するようなことなく、これによりフレキシブルプリント基板を損傷せずにエマージェンシー機構を手動操作できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで本発明は、以下に述べる手段により上記課題を解決するようにした。即ち、請求項1記載の発明では、クランプヘッドを備えたターンテーブルおよびスピンドルモータからなるディスクドライブ機構および前記クランプヘッドに対してディスクの直径方向に前進後退する光ピックアップユニットを設けた昇降フレームを装置内部の対角線に沿う方向に配置し、この昇降フレームの基端部を回転軸として前端部を上下方向に揺動させることにより、前記クランプヘッドによるディスクの中心孔のクランプまたはクランプの解除が可能となるようにしたディスク装置であり、前記光ピックアップユニットを組み込んだキャリアブロックを支持する副ガイドシャフトの端部を緩衝支持するとともに、該キャリアブロックのボトムシャーシに面する端部の一部に突起を設け、このキャリアブロックが降下したとき前記突起がボトムシャーシに当接し、キャリアブロックの裏面に布設されたフレキシブルプリント基板をボトムシャーシに圧接しないようにする。
【0019】
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載のディスク装置において、前記突起を副ガイドシャフトによるキャリアブロックの支持位置に形成する。
【0020】
請求項3記載の発明では、上記請求項1記載のディスク装置において、前記キャリアブロックの裏面に布設するフレキシブルプリント基板に窓孔を形成する。
【0021】
請求項4記載の発明では、上記請求項1記載のディスク装置において、前記突起をキャリアブロックの裏面に布設したフレキシブルプリント基板から外れた位置に形成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、昇降フレームの前端部を揺動させてディスクのクランプ動作を行うようにしたスロットイン方式のディスク装置において、光ピックアップユニットを組み込んだキャリアブロックがディスクの内周側にある状態で昇降フレームが降下するような不測の事態にあっても、キャリアブロックの端部がフレキシブルプリント基板をボトムシャーシに圧接するようなことなく、これによりフレキシブルプリント基板を損傷せずにエマージェンシー機構を手動操作できるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて詳細に説明する。なお、本発明の理解を容易とするため、既知の構成の概要を含め説明する。
【0024】
図1は、本発明を実施したスロットイン方式のディスク装置1の外観を示す図であり、カバーシャーシ2Aとボトムシャーシ2Bとを組み合わせてシールド状態としたシャーシケース2が構成されている。カバーシャーシ2Aの天板の中央部には後述するクランプヘッドが臨む開口2aが形成されており、さらにこの開口2aの開口周縁部に装置内部へ突出する凸部2bが形成されている。
【0025】
前記シャーシケース2の前端にはフロントベゼル3が配設されており、このフロントベゼル3には、ディスクDを挿入するスロット3aとエマージェンシー解除のための通孔3b・3cが形成されている。また、フロントベゼル3には、装填されているディスクDの装置外部への搬出を指示するための押釦4およびディスク装置1の動作状態を表示するためのインジケータ5を備える。
【0026】
図2は、このディスク装置1のカバーシャーシ2Aを除去した状態の平面図であり、その斜視図を図3に示す。同図において、ボトムシャーシ2B上にはベースパネル6が配設されており、その中央から斜め下方へ、即ち、装置内部の対角線に沿う方向に昇降フレーム10が配設され、この昇降フレーム10にディスクDをドライブする駆動ユニットAが設けられている。
【0027】
前記駆動ユニットAは、ターンテーブル7およびクランプヘッド8を駆動軸に固定したスピンドルモータ9を主体に構成されており、このスピンドルモータ9に固定された支持プレート9aが枠部材10dを介して昇降フレーム10にネジ止めされている。したがって、この昇降フレーム10が上下動することによりクランプヘッド8でディスクDの中心孔Daがクランプされ、ターンテーブル7上に保持されることになる。なお、前記昇降フレーム10の上下動は、この昇降フレーム10に固定した従動ピン11・12が後述する昇降機構に案内されてなされる。
【0028】
さらに前記昇降フレーム10には、ボトムシャーシ2Bを除去した状態の図4に示すように、光ピックアップユニット13を組み込んだキャリアブロック14を前進後退させるための駆動機構が配設されており、その要部の構成を図5に示す。この駆動機構は、同図に示すようにキャリアブロック14の軸受部14aが主ガイドシャフト15にスライド可能に取り付けられ、軸受部14bが副ガイドシャフト16にスライド可能に取り付けられており、これによりキャリアブロック14の前進後退が可能となるようにしている。
【0029】
前記昇降フレーム10には主ガイドシャフト15と平行にスクリューシャフト17が配設され、このスクリューシャフト17にはギヤトレインユニット18によりスレッドモータ19の駆動力が伝達される。これにより、スクリューシャフト17のリード溝17aに噛合するナット20が従動し、このナット20を保持しているキャリアブロック14と一体の軸受部14aが主ガイドシャフト15に案内されて往復動する。したがって、キャリアブロック14に組み込まれた光ピックアップユニット13は、キャリアブロック14の往復動に伴い、ディスクの記録面に対して平行に移動し、情報の記録または再生が可能となる。
【0030】
前述したように、昇降フレーム10により上下動されるクランプヘッド8によりディスクDの中心孔Daのクランプ、またはクランプされている状態の解除を行うため、この昇降フレーム10は緩衝支持によるフローティング状態でベースパネル6に取り付けられ、昇降可能となるようにしている。即ち、図4において、昇降フレーム10の外周の3カ所には支持舌片10a・10b・10cが一体に延設されており、この支持舌片10a・10bの対応位置であるベースパネルの裏面に、図6に示すように端部圧延処理などの適宜手段でポストピン21を立設する。
【0031】
そして、前記ポストピン21にスペーサ22を介在させて柔軟性を備えた緩衝部材23を装着し、この緩衝部材23に形成された凹溝23aに前記支持舌片10a・10bを装着するようにしている。一方、支持舌片10cは、図7に示すようにスペーサを介在させずにポストピン21に装着した緩衝部材23のみで支持されるようにしており、支持舌片10a・10bより上下動のストロークが大きくなるようにし、昇降フレーム10が揺動可能となるようにしている。なお、ポストピン21の他方の端部は、ボトムシャーシ2Bにネジ止めされている。
【0032】
つぎに、ディスクDの搬入および搬出を司る駆動機構Cについて説明する。先端にホルダー25を備えたディスク支持アーム24の揺動支点となる端部は、ベースパネル6の裏面で図4に示すように支持板26と一体となっており、この支持板26が枢支ピン27により旋回可能となるようにしているため、この支持板26の旋回に伴ってベースパネル6上のディスク支持アーム24がスリット6aの範囲内で揺動する。このディスク支持アーム24のホルダー25は、図8に示すように先端に受端部25aが形成され、側部に保持溝25bが形成されている。
【0033】
図9は、ディスク支持アーム24の駆動機構Cが構成されている状態をベースパネル6を除去して示したもので、ディス支持アーム24を直接駆動する第1のリンクアーム28は支持板26の枢支ピン26aにより連結されており、引張コイルバネ29により常時付勢されている。一方、第2のリンクアーム30には、図10に示すようにスリット30a・30bが形成されており、このスリット30a・30bからリベットピン31a・31bが挿通され、その先端が第1のリンクアーム28の通孔28a・28bに固定されいるので、第1のリンクアーム28と第2のリンクアーム30はスリット30a・30bの範囲内で伸縮可能となる。なお、第1のリンクアーム28と第2のリンクアーム30には、後述するロック機構が作用する切欠部28c・30cが形成されている。
【0034】
符号32は、第2のリンクアーム30に駆動力を伝達するためのレバーアームであり、支点となる通孔32aが枢支ピン32dで軸支され、揺動可能となるようにしている。レバーアーム32の作用端には枢支ピン32bが固定されており、この枢支ピン32bは第2のリンクアーム30の通孔30dおよびロックレバー33の通孔33aに挿通される。そして、前記第2のリンクアーム30とロックレバー33の間には捻りコイルバネ34が配設されており、その一端34aが第2のリンクアーム30の凹欠部30eに係止され、他端34bはロックレバー33の凹欠部33bに係止されている。
【0035】
これによりロックレバー33の係止端33cは第1のリンクアーム28の切欠部28cと第2のリンクアーム30の切欠部30cと係合する方向に付勢される。なお、ベースパネル6の裏面には第1のリンクアーム28が所定の角度となったとき、その後端部でスイッチレバー35aが押圧されて作動するリミットスイッチ35が配設され、そして第2のリンクアームが所定の位置に達したとき、ロックレバー33の後端部33dを押圧するための起動ピン36がボトムシャーシ2Bに立設されている。
【0036】
つぎに、ディスク支持アーム24の駆動機構Cへの動力伝達要素となるスライダー機構および搬送機構の構成について説明する。搬送機構は、大別してローディングギヤユニットG1とラックギヤユニットG2の組み合わせにより構成されており、まず、図11および図12によりローディングギヤユニットG1の構成および動作態様を説明する。同図において符号37は動力源となるローディングモータであり、このローディングモータ37の出力軸にはウォームギヤ38が同軸で回転するように固定され、このウォームギア38の回転力がギヤベース42に軸支されたダブルギヤ39・40・41へ順次、小径ギヤから大径ギヤへ減速されながら伝達される。
【0037】
前記ギヤ構成において、ダブルギヤ39はウォームギヤ38との噛合状態を解除するリリース機構を備える。これは、ダブルギヤ39を保持しつつ上下方向にスライド可能のホルダー43の端部43aが枢支ピン44に挿通され、圧縮コイルバネ45により下方へ付勢されて軸支されていることにより、定常の状態においては、図11(C)に示すようにウォームギヤ38とダブルギヤ39は正常な噛合状態となる。なお、ホルダー43のローディングモータ37側の端部には、ドグヘッド43bが形成されており、ギヤベース42に固定されたリミットスイッチ46のノブ46aを作動可能となるようにしている。
【0038】
前記ホルダー43の端部43aの下面には枢支ピン44と同軸で軸支されたスライダー部材47が設けられている。このスライダー部材47の枢支ピン44に軸支される部分には長溝47aが形成されており、ホルダー43の端部43aに対して直角方向にスライド可能となるようにしている。また、このスライダー部材47は、前端と後端との間に傾斜面47bが形成されており、スライダー部材47を前進させたとき、この傾斜面47bがホルダー43の端部43aを底面から押し上げ、ホルダー43全体が上昇する。
【0039】
また、前記スライダー部材47の後端には枢支ピン48に軸支される係止段部47cを備えた長溝47dが形成されており、さらに後端部には封止突起47eを備えた作用片47fが形成されている。一方、スライダー部材47の前端部には、ラックギヤユニットG2の動きに応じて起動されるリセット片47gが形成されている。
【0040】
このように一体に構成されたスライダー部材47は、そのフック片47hとギヤベース42のフック片42aとの間にトグル作用を与えるための引張コイルバネ49が傾斜状に張設されており、スライダー部材47が常時後退しつつ反時計回り方向へ回転するように付勢されている。
【0041】
以上のようにスライダー部材47が構成されていることにより、図11に示す定常状態においては、スライダー部材47は枢支ピン44を支点としている。この状態において、スライダー部材47を後端部から押圧して前進させ、枢支ピン48の位置に長溝47dの係止段部47cが至ると、前記引張コイルバネ49の張力によりスライダー部材47が枢支ピン44を支点にして転回し、図12に示すように係止段部47cと枢支ピン48が係合してロック状態となり、その姿勢が維持されることになる。
【0042】
つぎに、ラックギヤユニットG2は、図13に示すようにローディングスライダー50にギヤ列50a・50bが一体に形成されており、前記ギヤ列50aはローディングギヤユニットG1のダブルギヤ41の小径ギヤと噛合する。したがって、ローディングモータ37を駆動することにより、ローディングスライダー50はシャーシケース2内で前進または後退することになる。このようにローディングスライダー50を前進または後退させることにより、このローディングスライダー50の先端に連結されている駆動機構Cが駆動してディスク支持アーム24が揺動するとともに、図2に示すベースパネル6面でローディングスライダー50に連結されているレバーアーム51により誘引アーム57が揺動されることになる。
【0043】
このように構成されたローディングスライダー50上には、このローディングスライダー50の先端部で前進後退するギヤ部材52が遊動状態で配置され、このギヤ部材52を押圧して前進させるため、前後にブロック53a・53bを備えた押圧ピン53が配置されている。そして、前記ギヤ列50bとギヤ部材52を、ギヤフレーム55に自由回転するように取り付けられているダブルギヤ54に噛合させて連結されている。この場合、ダブルギヤ54の大径ギヤ54aはギヤ列50bの後端部に噛合し、小径ギヤ54bは前記ブロック53bと一体に成形されたギヤ部材52の先端部に噛合するようにする。
【0044】
したがって、押圧ピン53を介した外力によりギヤ部材52が押し込まれると、ダブルギヤ54は定位置で回転するため、ギヤ列50bに大径ギヤ54aの回転力が伝達し、ローディングスライダー50が移動する。なお、符号56は、上述したローディングギヤユニットG1のスライダー部材47の前端部に形成されているリセット片47gを押圧する作用片であり、ローディングギヤユニットG1が図12に示す状態において、この作用片56がスライダー部材47のリセット片47gを押圧すると、枢支ピン48と係止段部47cとの係合が解除されることから、図11に示す状態に復帰する。
【0045】
つぎに、ローディングスライダー50により駆動される誘引アーム57の構成ならびに動作態様を以下に説明する。図14は、誘引アーム57を駆動するための構成を示すもので、ローディングスライダー50に形成された誘導溝50dに重合する位置のベースパネル6にガイドスリット6bが形成され、前記誘導溝50dとガイドスリット6bにレバーアーム51の先端に固定した従動ピン58を差し込んだ状態としてあり、前進後退する誘導溝50dに対する定位置にあるガイドスリット6bとが相互に作用して前記従動ピン58を動作制御するようにしてある。
【0046】
前記誘引アーム57は、図15に示すように枢支ピン59で回転可能に支持された基端部にレバーアーム51が枢支ピン60で軸支されている。誘引アーム57の先端にはディスクDの保持溝が形成されており、この保持溝内部にローラ61が配設されている。誘引アーム57はこのように構成されていることから、レバーアーム51の動作に伴いシャーシケース2内で揺動し、ディスクDを装置内部へ搬入可能となるようにしている。
【0047】
図15乃至図19は、前記誘引アーム57の動作態様を示すもので、図15はディスクDがディスク装置1内へ操作者により挿入された状態であり、このときディスクDの搬入方向の前端側で押し戻されてディスク支持アーム24は後方へ揺動し、第1のリンクアーム28がリミットスイッチ35を作動して駆動機構Cが動作を開始する初期状態にある。したがって、ローディングスライダー50は同図に示すように最前端に位置し、レバーアーム51は誘導溝50dの後端位置にある。
【0048】
かかる状態において、駆動機構Cが動作を開始すると、図16に示すようにローディングスライダー50が後退を開始する。このとき、従動ピン58は誘導溝50dの後端の傾斜面とガイドスリット6bの側壁で挟持される状態にあるため、ローディングスライダー50の前進に伴って従動ピン58も後退し、レバーアーム51が牽引されることにより誘引アーム57が揺動してディスク支持アーム24のホルダー25とによりディスクDを保持した状態となり、ディスクDの搬入が開始される。
【0049】
図17は、ローディングスライダー50がさらに後退し、従動ピン58がガイドスリット6bの頂部に至った状態を示すもので、誘引アーム57の揺動によりディスクDの搬入が継続され、ディスクDの中心孔Daがクランプヘッド8と一致する位置に達した状態となる。図18は、ローディングスライダー50が図17の位置から僅かに後退した状態を示し、従動ピン58が誘導溝50dによりガイドスリット6bの頂部の横溝に押し込まれる状態にある。
【0050】
図19は、ローディングスライダー50が最終位置まで後退した状態であり、図18から図19に至る過程において従動ピン58が誘導溝50dの前端の長溝によりガイドスリット6bの頂部の横溝へさらに押し込まれる。これにより、誘引アーム57は同図の仮想線で示す位置から僅かに後退し、ディスクDの保持を解除する。以上の図16から図19の一連の過程においてディスクDの中心孔Daがクランプヘッド8にクランプされ、ターンテーブル7上に保持される。
【0051】
つぎに、ディスク支持アーム24の動作態様について説明する。ディスク支持アーム24を駆動するための駆動機構Cは、図10に示す機構要素が組み立てられて構成されるのであるが、その動作はローディングスライダー50の前進後退に伴いなされる。即ち、図20において、ローディングスライダー50に形成されたガイド溝50eにレバーアーム32の端部に固定された従動ピン32cが装着され、前記ガイド溝50eに案内されるようにしている。
【0052】
同図に示した状態は、操作者がディスクDをフロントベゼル3のスロット3aから挿入し、その前端がディスク支持アーム24の先端のホルダー25の受端部25aに収まった状態の初期状態を示す。この時点では、ロックレバー33の後端部33dが起動ピン36で押圧されていることから、その係止端33cが第1、第2のリンクアーム28・30の切欠部28c・30cに介在していない状態となる。
【0053】
図21および図22は、操作者がディスクDを装置内部へさらに押し込んだ状態を段階的に示すもので、ディスク支持アーム24が後方へ揺動し、このディスク支持アーム24の基端部に枢支ピン24aで連結されている第1のリンクアーム28が牽引される。このとき、レバーアーム32は静止しているローディングスライダー50に連結されているので、これに連結されている第2のリンクアーム30は定位置に保たれた状態となっている。したがって、第1のリンクアーム28が第2のリンクアーム30上でスライドして伸びた状態となる。そして、図22の状態に至った時点で、リミットスイッチ35が作動される。
【0054】
図23は、前記により作動されたリミットスイッチ35からの信号にもとづいて搬送機構が駆動を開始し、ローディングスライダー50が後退しつつある状態を示す。ローディングスライダー50のガイド溝50eによりレバーアーム32が揺動され、第2のリンクアーム30が第1のリンクアーム28に追従するようにスライドして前進するため、起動ピン36による押圧から開放されたロックレバー33の係止端33cは第1、第2のリンクアーム28・30の切欠部28c・30cに介在することにより、第1、第2のリンクアーム28・30が一体にロックされた状態となる。なお、図22から図23の状態に至る過程において、前述した誘引アーム57が始動し、ディスク支持アーム24のホルダー25とこの誘引アーム57でディスクDを保持する。
【0055】
図24は、さらにローディングスライダー50が後退してディスク支持アーム24が後方へ揺動してディスクDを搬入し、その中心孔Daがクランプヘッド8上に一致した状態を示す。なお、この時点までは、ディスク支持アーム24のホルダー25と誘引アーム57でディスクDを保持しており、ディスク支持アーム24と誘引アーム57は同期して揺動する。そして、図24から図25へ至る過程で、クランプヘッド8が上昇し、ディスクDの中心孔Daをクランプする。
【0056】
図26は、クランプヘッド8がディスクDの中心孔Daをクランプした後、ローディングスライダー50が僅かに後退した状態を示すもので、これにより、ローディングスライダー50のガイド溝50eの縦溝の終端部でレバーアーム32が僅かに揺動し、同図に示すようにディスク支持アーム24、そして誘引アーム57が僅かに揺動するため、ディスクDの保持が解除され、ターンテーブル7によるディスクDのドライブが可能となる。
【0057】
以上は、ディスクDの搬入時の駆動機構Cの動作態様であるが、ディスクDの搬出時は、これと逆の経路を辿り各部の機構要素は逆の動作を行う。即ち、搬送機構Eが逆に駆動され、ローディングスライダー50を前進させてディスク支持アーム24が図26の状態から図23の状態まで前方へ揺動し、図27に示す状態でロックレバー33の後端部33dが起動ピン36に当接する。そして、さらにローディングスライダー50が前進すると、前記後端部33dが起動ピン36で押圧される状態となる。
【0058】
これにより図27に破線で示すようにロックレバー33の係止端33cが第1のリンクアーム28と第2のリンクアーム30の切欠部28c・30cから揺動して離脱し、第1のリンクアーム28と第2のリンクアーム30が一体化されたロック状態が解除され、これと同時に引張コイルバネ29の付勢力が作用してディスク支持アーム24が図20に示す位置まで揺動し、搬出の最終過程の最後の一瞬でディスクDをスロット3aからポップアウトして搬出を完了する。なお、前記状態に至ると、昇降フレーム10は最も降下した状態となるが、このとき、キャリアブロック14は昇降フレーム10の揺動支点側へ移動されるため、ボトムシャーシ2Bとの接触を回避することができる。
【0059】
つぎに、昇降フレーム10を上下動させるための昇降機構の構成ならびに動作態様を説明する。図2および図9から明らかなように、本発明が対象とするディスク装置の昇降フレーム10は、装置内部の対角線に沿う方向に配設されるため傾斜状態となり、その後端部は、本体の角隅部に入り込んだ状態となる。このように構成された場合、昇降フレーム10の揺動支点は、通常、同図の軸線S−Sとなり、ここを軸心として昇降フレーム10の先端部、即ち、クランプヘッド8が上下動することになる。
【0060】
このとき、軸線S−Sから従動ピン11までの距離はL11であり、軸線S−Sから従動ピン12までの距離がL12であるとき、L11<L12となることから、従動ピン12は従動ピン11より大きく上下動することになる。即ち、従動ピン11・12の上下動距離は、各従動ピンから軸線S−Sまでの距離に比例しており、従動ピン11の上下動距離をH11、従動ピン12の上下動距離をH12とすると、H11/L11=H12/L12なる関係となる。
【0061】
前記昇降フレーム10の昇降機構は、従動ピン11・12およびローディングスライダー50に形成したカム溝50cと、スライド部材62に形成したカム溝62aで構成されるが、前記のように従動ピン11と従動ピン12の軸線S−Sからの距離が相違するため、前記カム溝50c・62aは従動ピン11・12の上下動の軌跡に一致するようにする。図28は、このような条件に対応するようにして形成されたカム溝50c・62aの形状を示したものである。
【0062】
図28(A)にローディングスライダー50に形成したカム溝50cの形状を示し、図28(B)にスライド部材62に形成したカム溝62aの形状を示す。そして、ローディングスライダー50がX1−X2方向に前進後退するに従い変化するカム溝50c内の従動ピン11の状態を位置J0〜J5で示す。また、スライド部材62がY1−Y2方向に前進後退するに従い変化するカム溝62a内の従動ピン12の状態を位置K1〜K5で示す。
【0063】
なお、前記スライド部材62の端部は、リンク部材63の端部に固定した作用ピン63aに連結されており、リンク部材63の他端には従動ピン63bを備え、この従動ピン63bがローディングスライダー50のガイド溝50fに連結されている。そして、リンク部材63の支点63cが回転可能に軸支されていることから、ローディングスライダー50の前進後退に同期してスライド部材62が前進後退する。したがって、カム溝50c・62aも同期して前進後退し、従動ピン11はカム溝50cの高さH11の範囲で上下動し、従動ピン12はカム溝62aの高さH12の範囲で上下動することになる。
【0064】
前記カム溝50cの位置J0から位置J1の範囲の低位部は、ローディングスライダー50の初期動作、即ち、前述したディスクDを搬入する図20から図23までの動作に応動しないように水平状態にしておき、従動ピン11が上昇しないようにして初期動作のストロークを吸収するようにしている。位置J1からカム溝頂部の位置J4までの間が昇降フレーム10を上昇させてディスクDをクランプヘッド8にクランプさせるための傾斜部となり、位置J4から位置J5までがディスクDのドライブが可能となるようにするための高位部となる。
【0065】
一方、スライド部材62は、ローディングスライダー50のカム溝50cの位置J1から位置J5の範囲で同期して前進後退するようにしているので、低位部の位置K1から直ちに傾斜部となりカム溝頂部の位置K4に至る。位置K4から位置K5までは前記カム溝50cの位置J4から位置J5までと同形状に形成されている。
【0066】
前記カム溝50cの位置J0〜J1の低位部から頂部J4までの高さH11と、カム溝62aの位置K1から頂部K4までの高さH12との関係は、H11<H12となり、同図に示すように位置J0〜J1が位置K1より高くなる相対的な高低差h1を生ずる。なお、カム溝50cの位置J1〜J4間の傾斜部の幅と、カム溝62aの位置K1〜K4間の傾斜部の幅は同一であるため、高低差の小さいカム溝50cの傾斜部はカム溝62aの高低差の大きい傾斜部より緩傾斜となる。したがって、ローディングスライダー50とスライド部材62の同じ移動量で従動ピン12は従動ピン11より相対的に大きく上昇または降下し、位置J4〜J5と位置K4〜K5の範囲では、従動ピン11・12は同等の高さ位置となる。
【0067】
つぎに、図9に示す軸線R−Rにおける昇降フレーム10の動作態様を図29および図30を参照して以下に説明する。図29は、昇降フレーム10が上昇する行程を示すもので、図29(A)は、昇降フレーム10が最も降下している状態であり、同図ではディスクDがフロントベゼル3のスロット3aから挿入された直後の状態、即ち、図20に示す状態にある。このとき、従動ピン11はカム溝50cの位置J0にあり、従動ピン12はカム溝62aの位置K1にある。したがって、従動ピン11と従動ピン12との間には高低差h1があるため、昇降フレーム10は同図に示すように傾斜した状態となっている。
【0068】
図29(A)の状態からディスクDの搬入が進行すると、ローディングスライダー50の初期動作のストロークが吸収される状態、即ち、図23に示すようにローディングスライダー50がX1方向へ移動し、従動ピン11がカム溝50cの位置J0から位置J1へ移行する。そして、さらにローディングスライダー50がX1方向へ移動し、図24に示すように従動ピン11がカム溝50cの位置J2となり、従動ピン12がカム溝62aの位置K2に達すると、昇降フレーム10は図29(B)に示すように初期の位置より僅かに上昇する。このとき、従動ピン12は従動ピン11より上昇幅が大きいため、昇降フレームは徐々に水平状態になる。
【0069】
さらにローディングスライダー50がX1方向へ、スライド部材62がY1方向へ移動すると、カム溝50cの従動ピン11は位置J3へ、同時にカム溝62aの従動ピン12は位置K3へ達する。この行程において、クランプヘッド8のチャック爪8aがディスクDの中心孔Daに当接し、その状態でディスクDを押し上げ、図29(C)に示すように、ディスクDの中心孔Daの周縁がカバーシャーシ2Aの開口2aの凸部2bに当接する。
【0070】
図29(D)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J4へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K4へ達した状態であり、クランプヘッド8がディスクDの中心孔Daに進入してクランプし、ターンテーブル7に保持した図25に一致する状態となる。この状態に至ると、従動ピン11・12が同じ高さ位置となり、昇降フレーム10は水平状態となる。
【0071】
図29(E)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J5へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K5へ達した状態であり、昇降フレーム10が僅かに降下してディスクDのドライブが可能となるようにした図26に一致する状態である。
【0072】
つぎに、ディスクDのドライブが可能となっている状態からこのディスクDを搬出するため、昇降フレーム10を降下する行程を図30にもとづいて説明する。図30(A)は、図29(E)と同じくディスクDのドライブが可能となっている状態であり、かかる状態においてディスクDのアンローディングの指示を受けると、搬送機構の反転動作が開始され、ローディングスライダー50がX2方向へ、スライド部材62がY2方向へ移動を開始する。
【0073】
図30(B)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J5から位置J4へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K5から位置K4へ達した状態であり、昇降フレーム10が一旦上昇した状態を示す。
【0074】
図30(C)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J4から位置J3を経て位置J2へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K4から位置K3を経て位置K2へ移行する行程を示す。この昇降フレーム10が降下する行程において、クランプヘッド8にクランプされていたディスクDは、解除ピン64で突き上げられる状態となるため、ディスクDのクランプが解除される。
【0075】
図30(D)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J2へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K2へ達した状態であり、従動ピン12が従動ピン11より相対的に大きく降下するため、これに伴って昇降フレーム10が次第に傾斜を開始する状態を示す。
【0076】
図30(E)は、カム溝50cの従動ピン11が位置J1へ、同時にカム溝62aの従動ピン12が位置K1へ達した状態であり、従動ピン11・12の相対的な高低差h1により最大傾斜となって昇降フレーム10の降下が終了した状態を示すもので、クランプヘッド8とディスクDとの間に間隙h2が形成され、ディスクDの搬出が可能となる。なお、前記傾斜状態において、ボトムシャーシ2Bに最も接近する昇降フレーム10の裏面の部位は、副ガイドシャフト16の端部U(図4、図5参照)となる。
【0077】
ところで、上述した構成のディスク装置における主ガイドシャフト15および副ガイドシャフト16を固定するための調整ネジのネジ径は1.4mm程度であり、このネジ径に対応するネジ孔をタッピング処理により形成可能とするには、主ガイドシャフト15および副ガイドシャフト16の直径を2.0mm以上とする必要がある。かかる条件に拘束されるため、副ガイドシャフト16にも通常、直径2.0mmのものを採用している。
【0078】
図31は、主ガイドシャフト15および副ガイドシャフト16を昇降フレーム10へ配設する状態を示すもので、主ガイドシャフト15の一端は昇降フレーム10に固定される枠部材10dに固定され、他端は昇降フレーム10に形成した通孔10eからコイルバネ71を介装して遊嵌状態で差し込まれた調整ネジ70がネジ孔15aに螺入して固定される。一方、同様に副ガイドシャフト16も、通孔10eからコイルバネ71を介装して差し込まれた調整ネジ70がネジ孔16aに螺入して固定される。
【0079】
このように構成されていることから、調整ネジ70を回転することにより主ガイドシャフト15および副ガイドシャフト16を上下動させる傾角調整によりキャリアブロック14が上下動され、光ピックアップユニット13の焦点調整が可能となる。なお、調整ネジ70を回転して光ピックアップユニット13の焦点調整を終了すると、調整ネジ70の先端の螺合部分に弛緩防止剤を注入して調整状態を固定するようにしている。
【0080】
昇降フレーム10に配設された副ガイドシャフト16の端部Uは、図32に示す状態となり、昇降フレーム10を最も降下させた仮想線で示す状態に必要とする副ガイドシャフト16の端部Uの下面とボトムシャーシ2Bの表面との距離、即ち、ストローク幅がhs1であるとき、装置全体の厚さがW1になる。図33は、昇降フレーム10が最も降下した状態においてキャリアブロック14がディスクの外周側にある状態を含めて示すもので、その裏面端部が副ガイドシャフト16の端部Uの下面とほぼ同位置となり、ボトムシャーシ2Bと接触しないようにできる。
【0081】
つぎに、以上に説明したディスク装置の構成において、停電などの不測の事態により収容されているディスクDが装置内部に残置された場合、エマージェンシー機構を操作してこのディスクDを強制的に排出する操作手順について以下に説明する。前述したようにディスクDの排出は、ディスク支持アーム24を揺動させることにより行われるが、このディスク支持アーム24の揺動はローディングスライダー50の後退により実現されるため、ベゼル3の通孔3cからエマージェンシーピンPが差し込める状態でなければならない。
【0082】
ところが、図34に示すようにローディングギヤユニットG1のスライダー部材47が定常状態の位置にあるときは、その封止突起47eが通孔3cを塞いで操作が禁止されている状態にある。したがって、この状態にあるとき、ローディングスライダー50を操作することができないので、ディスクDを排出しようとする認識の有無にかかわらずエマージェンシーピンPを差し込んでも、ディスクDを排出することができない。
【0083】
一方、ディスクDを排出しようとする確かな認識に基づく操作の場合は、図35に示すように、まず、ベゼル3の通孔3bからエマージェンシーピンPを差し込み、ローディングギヤユニットG1のスライダー部材47を押圧する。これにより、スライダー部材47が傾倒し、通孔3cの封止突起47eによる封止状態が解除される。このとき、スライダー部材47の傾斜面47bがホルダー43の端部43aを底面から押し上げるため、ウォームギヤ38とダブルギヤ39の噛合が解除され、ダブルギヤ39・40・41は自由回転が可能な状態となる。このとき、スピンドルモータ9がディスクDを回転駆動している場合は、ホルダー43のドグヘッド43bが、ノブ46aを駆動するためリミットスイッチ46が作動してスピンドルモータ9の回転駆動が停止する。
【0084】
このようにして、通孔3bからの操作を終了した後、通孔3bから引き抜いたエマージェンシーピンPを通孔3cに差し込み、これを押し込むことにより、図36に示すごとくギヤ部材52が前進するのに伴いローディングスライダー50が後退し、これによりディスク支持アーム24が揺動してディスクDを同図および図4に示すように排出することができる。なお、エマージェンシー機構は前述した構成に限定されるものではなく、他の構成のものを採用しても本発明の要旨を変更するものではない。
【0085】
つぎに、キャリアブロック14に布設されるフレキシブルプリント基板80について説明する。図37および図38は、昇降フレーム10の内部の構成を底面から俯瞰した状態を示すもので、キャリアブロック14の裏面に布設されるフレキシブルプリント基板80は、主に光ピックアップユニット13との信号の授受およびこの光ピックアップユニット13を駆動制御する信号を伝達するためのもので、フレキシブルプリント基板80の端部には接続端子80aが形成されている。この接続端子80aはベースパネル6に固定されたマルチコネクタに接続され、信号の授受が可能となる。
【0086】
前記フレキシブルプリント基板80の一端は、キャリアブロック14内に配線接続して固定され、キャリアブロック14の前進後退が可能となるようにするための折返し部80bが形成され、接続端子80aが昇降フレーム10の側部に延在するようにしている。この場合、スクリューシャフト17やギヤトレイン18などの駆動機構との接触を避けるため、同図に示すように副ガイドシャフト16上に延在するようにしている。
【0087】
このようにフレキシブルプリント基板80を布設することにより、キャリアブロック14がディスクの内周側に位置すると、軸受部14bがフレキシブルプリント基板80上に位置することになる。かかる状態において停電などの不測の事態により昇降フレームが降下すると、図39に示すように軸受部14bが同図の吹出図に示すようにフレキシブルプリント基板80をボトムシャーシ2Bに圧接してしまうことになる。
【0088】
かかる状態に至ると、軸受部14bがフレキシブルプリント基板80のプリント配線を切断する可能性があり、さらにこの状態で前述したように装置外部からエマージェンシー機構を手動操作した場合は、軸受部14bがフレキシブルプリント基板80をボトムシャーシ2Bに圧接したまま引き摺る状態となるため、プリント配線の切断の確率を高めることになる。
【0089】
したがって、エマージェンシー機構を手動操作して装置内部に残置されたディスクDを回収できたとしても、フレキシブルプリント基板80のプリント配線が切断された場合、ディスク装置はその本来の機能を果たすことができず、このディスク装置を組み込んだシステムが使用不能となることになる。
【0090】
そこで本発明では、キャリアブロック14がディスクDの内周側にある状態で昇降フレーム10が降下した場合においても、キャリアブロック14の軸受部14bがフレキシブルプリント基板80をボトムシャーシ2Bに圧接することなく、エマージェンシー機構を手動操作してもフレキシブルプリント基板80を損傷してプリント配線が切断するようなことがなく、信頼性の高いディスク装置となるようにした。
【0091】
図40および図41は、本発明を実施したディスク装置の昇降フレーム10の内部の構成を示す図である。本発明においても、フレキシブルプリント基板80は副ガイドシャフト16上に延在するようにしたものを前提とするもので、キャリアブロック14の軸受部14bに突起Qを形成するようにした。この突起Qは前記軸受部14bと一体に形成するようにしてもよく、軸受部14bに取付穴を形成し、この取付穴に別部材を固定するようにしてもよい。
【0092】
一方、キャリアブロック14がディスクDの最も内周側で停止した位置において、フレキシブルプリント基板80の軸受部14bの突起Qに対応する部分に窓孔80cを形成する。したがって、キャリアブロック14が最も内周側にあるとき、図40および図41に示すように突起Qは窓孔80cに臨むことになる。
【0093】
このように構成したことにより、キャリアブロック14がディスクDの内周側にある状態で昇降フレーム10が降下した場合、図42に示すように前記軸受部14bの突起Qがフレキシブルプリント基板80の窓孔80cから臨み、ボトムシャーシ2Bに接触する。したがって、軸受部14bはフレキシブルプリント基板80と接触することなく、配線を損傷するようなことはない。なおこのとき、副ガイドシャフト16の端部は緩衝支持されているので、同図に示すように僅かに浮き上がる状態となる。
【0094】
さらに前記状態からエマージェンシー機構を手動操作した場合、前記突起Qはボトムシャーシ2Bの表面と摺接して僅かに移動した後、ボトムシャーシ2Bの表面から浮上するため、フレキシブルプリント基板80を引き摺るようなことはない。これにより、フレキシブルプリント基板80を何ら損傷することなく、ディスクDの回収が可能となる。
【0095】
図43は本発明の他の例を示すもので、突起Qをフレキシブルプリント基板80から外れた位置に形成したもので、この突起Qの高さは軸受部14bに形成する場合より高く、即ち、図44に示すように軸受部14bがフレキシブルプリント基板80を圧接しない程度の間隙が形成できる程度とする。かかる構成によっても、フレキシブルプリント基板80に窓孔80cを形成した場合と同一の効果が得られるが、この窓孔80cを形成しないことにより、プリント配線の領域を広くすることが可能となる。
【0096】
以上の説明から明らかなように本発明を実施したディスク装置は、キャリアブロックがディスクの内周側にある状態で昇降フレームが降下した場合における不具合を解消するようにしたもので、かかる不具合はきわめて稀に発生する不測の事態であるものの、ディスク装置をこのような事態に対応できるようにしておくことにより、ディスク装置を組み込んだ情報機器などが使用不能に至る事態を確実に防ぐことができ、製品の信頼性を向上するなどの大きな効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明を実施したディスク装置の外観の斜視図である。
【図2】図1のディスク装置からカバーシャーシを除去した状態の平面図である。
【図3】図1のディスク装置からカバーシャーシを除去した状態の斜視図である。
【図4】図1のディスク装置からボトムシャーシを除去した状態の平面図である。
【図5】光ピックアップユニットを前進後退させる駆動機構を説明する図である。
【図6】昇降フレームの支持構造を説明する断面図である。
【図7】昇降フレームの支持構造を説明する断面図である。
【図8】ディスク支持アームの構成を説明する斜視図である。
【図9】ディスク支持アームの駆動機構を説明する平面図である。
【図10】ディスク支持アームの駆動機構の要部分解斜視図である。
【図11】ディスク搬送機構の構成を説明する図である。
【図12】ディスク搬送機構の構成を説明する図である。
【図13】ラックギヤユニットの構成を説明する斜視図である。
【図14】誘引アームを駆動するための構成を説明する分解斜視図である。
【図15】誘引アームの動作態様を説明する第1行程の図である。
【図16】誘引アームの動作態様を説明する第2行程の図である。
【図17】誘引アームの動作態様を説明する第3行程の図である。
【図18】誘引アームの動作態様を説明する第4行程の図である。
【図19】誘引アームの動作態様を説明する第5行程の図である。
【図20】ディスク支持アームの動作態様を説明する第1行程の図である。
【図21】ディスク支持アームの動作態様を説明する第2行程の図である。
【図22】ディスク支持アームの動作態様を説明する第3行程の図である。
【図23】ディスク支持アームの動作態様を説明する第4行程の図である。
【図24】ディスク支持アームの動作態様を説明する第5行程の図である。
【図25】ディスク支持アームの動作態様を説明する第6行程の図である。
【図26】ディスク支持アームの動作態様を説明する第7行程の図である。
【図27】ディスク搬出時のディスク支持アームの動作態様を説明する図である。
【図28】カム溝と従動ピンの位置関係の例を説明する図である。
【図29】昇降フレームの上昇時の動作態様の例を説明する図である。
【図30】昇降フレームの降下時の動作態様の例を説明する図である。
【図31】ガイドシャフトの組立状態の分解斜視図である。
【図32】昇降フレームの降下状態を説明する図である。
【図33】副ガイドシャフトの構成を説明する図である。
【図34】エマージェンシー機構の操作を説明する図である。
【図35】エマージェンシー機構の操作を説明する図である。
【図36】エマージェンシー機構の操作を説明する図である。
【図37】昇降フレーム内部の従来の構成を示す図である。
【図38】昇降フレーム内部の従来の構成を示す図である。
【図39】不具合の発生状態を説明する図である。
【図40】本発明を実施した昇降フレーム内部の構成を示す図である。
【図41】本発明を実施した昇降フレーム内部の構成を示す図である。
【図42】本発明の機能を説明する図である。
【図43】本発明の他の例を示す図である。
【図44】図43の構成の機能を説明する図である。
【図45】従来のディスク装置の動作態様を説明する第1行程の図である。
【図46】従来のディスク装置の動作態様を説明する第2行程の図である。
【図47】従来のディスク装置の昇降フレームの動作態様を説明する図である。
【符号の説明】
【0098】
1・・・・・・・・・ディスク装置
2・・・・・・・・・シャーシケース
2A・・・・・・・・カバーシャーシ
2B・・・・・・・・ボトムシャーシ
3・・・・・・・・・フロントベゼル
6・・・・・・・・・ベースパネル
7・・・・・・・・・ターンテーブル
8・・・・・・・・・クランプヘッド
9・・・・・・・・・スピンドルモータ
10・・・・・・・・昇降フレーム
11・12・・・・・従動ピン
13・・・・・・・・光ピックアップユニット
14・・・・・・・・キャリアブロック
14a・14b・・・軸受部
15・・・・・・・・主ガイドシャフト
16・・・・・・・・副ガイドシャフト
17・・・・・・・・スクリューシャフト
18・・・・・・・・ギヤトレインユニット
19・・・・・・・・スレッドモータ
20・・・・・・・・ナット
21・・・・・・・・ポストピン
22・・・・・・・・スペーサ
23・・・・・・・・緩衝部材
24・・・・・・・・ディスク支持アーム
25・・・・・・・・ホルダー
26・・・・・・・・支持板
27・・・・・・・・枢支ピン
28・・・・・・・・第1のリンクアーム
29・・・・・・・・引張コイルバネ
30・・・・・・・・第2のリンクアーム
32・・・・・・・・レバーアーム
33・・・・・・・・ロックレバー
34・・・・・・・・捩りコイルバネ
35・・・・・・・・リミットスイッチ
36・・・・・・・・起動ピン
37・・・・・・・・ローディングモータ
38・・・・・・・・ウォームギヤ
39・40・41・・ダブルギヤ
42・・・・・・・・ギヤベース
43・・・・・・・・ホルダー
44・・・・・・・・枢支ピン
45・・・・・・・・圧縮コイルバネ
46・・・・・・・・リミットスイッチ
47・・・・・・・・スライダー部材
48・・・・・・・・枢支ピン
49・・・・・・・・引張コイルバネ
50・・・・・・・・ローディングスライダー
51・・・・・・・・レバーアーム
52・・・・・・・・ギヤ部材
53・・・・・・・・押圧ピン
54・・・・・・・・ダブルギヤ
55・・・・・・・・ギヤフレーム
56・・・・・・・・作用片
57・・・・・・・・誘引アーム
58・・・・・・・・従動ピン
59・・・・・・・・枢支ピン
60・・・・・・・・枢支ピン
61・・・・・・・・ローラ
62・・・・・・・・スライド部材
63・・・・・・・・リンク部材
64・・・・・・・・解除ピン
70・・・・・・・・調整ネジ
71・・・・・・・・コイルバネ
80・・・・・・・フレキシブルプリント基板
80c・・・・・・窓孔
Q・・・・・・・・・突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプヘッドを備えたターンテーブルおよびスピンドルモータからなるディスクドライブ機構および前記クランプヘッドに対してディスクの直径方向に前進後退する光ピックアップユニットを設けた昇降フレームを装置内部の対角線に沿う方向に配置し、この昇降フレームの基端部を回転軸として前端部を上下方向に揺動させることにより、前記クランプヘッドによるディスクの中心孔のクランプまたはクランプの解除が可能となるようにしたディスク装置であり、
前記光ピックアップユニットを組み込んだキャリアブロックを支持する副ガイドシャフトの端部を緩衝支持するとともに、該キャリアブロックのボトムシャーシに面する端部の一部に突起を設け、このキャリアブロックが降下したとき前記突起がボトムシャーシに当接し、キャリアブロックの裏面に布設されたフレキシブルプリント基板をボトムシャーシに圧接しないようにしたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記突起が副ガイドシャフトによるキャリアブロックの支持位置に形成されていることを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記キャリアブロックの裏面に布設するフレキシブルプリント基板に窓孔を形成したことを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項4】
前記突起がキャリアブロックの裏面に布設したフレキシブルプリント基板から外れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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