説明

ディスク装置

【課題】ディスクの傷付きを抑えるとともに、更なる装置の薄型化を実現できるディスク装置を提供する。
【解決手段】ターンテーブルと、ターンテーブルとの間でディスクを狭持するクランパユニットと、一側面にディスク挿入口が形成され、ターンテーブルとの対向面にクランパユニットが通過可能な開口部が形成され、開口部の縁部がその周囲から縁部に向かうに従い隆起し、縁部のディスク挿入方向の下流側からさらに下流側に向かって直線状に延在するリブを備える筐体と、ディスク押圧可能位置と縁部よりターンテーブルから離れた退避位置との間でクランパユニットを移動させるクランパ移動装置と、ディスクをターンテーブルとクランパとの間に搬送するディスク搬送装置と、ディスクを傾斜させてディスクの先端部がリブ上を摺動するようディスクの移動を案内するディスクガイド部材と、ディスクの記録又は再生を行う記録再生装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルバーサトルディスク)等のディスク状の記録媒体(以下、ディスクという)を、トレイを用いずに装置内にローディングするスロットインローディング機構を備えるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トレイを用いずにディスク装置内にディスクをローディングする機構として、スロットインローディング機構が知られている。この機構は、ディスク装置の筐体内に挿入されたディスクの一部を長尺のゴムローラと、ゴムローラと対向する位置に設けられたガイド部材とで弾性的に挟持し、その状態でゴムローラを回転させることによりディスクの全体を筐体内に引き込み、ディスク記録再生位置にセットする機構である。
【0003】
このようなスロットインローディング機構においては、ディスクを筐体内にローディングする際、互いに離れた位置に退避しているターンテーブルとクランパとの間に、ガイド部材とゴムローラとによりディスクを水平に搬送し、当該水平搬送完了後、ターンテーブルとクランパとを移動させてそれらの間でディスクを狭持させることにより、ディスクをディスク記録再生位置にセットするよう構成されるのが一般的である。
【0004】
しかしながら、前記のように構成された従来のスロットインローディング機構では、以下のような問題点がある。すなわち、ディスクを筐体内に挿入しゴムローラとガイド部材との間に狭持させた初期状態においては、当該狭持部とディスクの挿入側の先端部との距離が短いため、ディスクの先端部のディスク厚み方向の振れはほとんどないが、ディスクの筐体内への搬送が進むにつれて、前記狭持部とディスクの先端部との距離が長くなることによりディスクの自重による影響が大きくなり、ディスクの先端部のディスク厚み方向の振れが生じる。すなわち、ディスクの搬送方向がディスク厚み方向にずれ、搬送途中でディスクがクランパやターンテーブルに接触してディスクに傷が付く恐れがある。したがって、ディスク厚み方向のずれを許容するため、クランパとターンテーブルとの間を広く確保する必要があり、装置の薄型化が困難であった。
【0005】
一方、特許文献1には、ディスクの挿入側の先端部が筐体のクランパ近傍の面に近づくようにディスクを傾斜させた状態でクランパとターンテーブルとの間に搬送したのち、クランパとターンテーブルとを移動させて、それらの間でディスクを狭持して前記傾斜を無くすことで、ディスクの搬送の為だけに必要な搬送空間を縮小し、薄型化を可能にした装置が開示されている。
また、特許文献2には、クランパを支持するクランパホルダにディスクの挿入側の先端部を当接させ、当該当接状態でディスクの搬送を行うことで、ディスクの先端部のディスク厚み方向の振れを抑えて、薄型化を可能にした装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−302212号公報
【特許文献2】特開平11−66675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、装置の薄型化の要望はさらに高くなっており、特許文献1及び2の装置よりも更なる薄型化が要求されている。そこで、装置の薄型化の1つの手段として、単純には、特許文献1の技術に特許文献2の技術を組み入れて、ディスクを前記傾斜状態で搬送する時に、ディスクの挿入側の先端部が、ターンテーブルとクランパとの間を通過したのち、筐体のクランパ近傍の面上を摺動するように構成することが考えられる。このように構成すれば、ディスクの先端部のディスク厚み方向の振れを抑えることができるため、装置の更なる薄型化が実現できるように思われる。
【0007】
しかしながら、ディスクの挿入側の先端部を筐体のクランパ近傍の面上で摺動させる構成では、以下のような問題点がある。
すなわち、クランパの退避位置が筐体のクランパ近傍の面よりもターンテーブルに近い側に位置している場合には、ディスクの搬送方向の移動を案内するガイド部材の寸法バラツキやゴムローラの軸受部のディスク厚み方向の寸法バラツキによって、ディスク厚み方向の位置精度が悪化した際に、ディスクがクランパに引っ掛る恐れがある。
【0008】
また、装置を薄型化すればするほど、筐体のクランパ近傍の面と当該面を摺動するディスクとの相対角度が小さく(例えば1度未満)なり、特に、筐体のクランパ近傍の面を構成する樹脂にヒケ等で変形が生じている場合には、その平面度が悪化して上記相対角度が小さくなり過ぎる恐れがある。このような状態でディスクに微小な埃が付着していると、その埃がディスクの先端部と筐体のクランパ近傍の面との間に挟まって引きずれられ、ディスクの広範囲にわたって傷を付ける恐れがある。
【0009】
これらの問題点を防止するには、クランパの退避位置を筐体のクランパ近傍の面よりもターンテーブルから離れた側に位置させるとともに、上記相対角度を大きくするために、筐体のクランパ近傍の面とターンテーブルとの距離を大きくすればよいが、そのような構成では装置の薄型化を実現することができない。
【0010】
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、トレイを用いずに装置内にディスクをローディングするスロットインローディング機構を備えるディスク装置において、ディスクの傷付きを抑えるとともに、更なる装置の薄型化を実現できるディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、ディスクを回転可能に支持するとともに回転駆動されるターンテーブルと、
前記ターンテーブルとの間で前記ディスクを回転可能に狭持可能なクランパユニットと、
前記ターンテーブルを収容し、一側面に前記ディスクを挿入するディスク挿入口が形成されるとともに前記ターンテーブルとの対向面に前記クランパユニットが通過可能な開口部が形成され、当該開口部の前記ターンテーブル側の縁部が当該縁部の周囲から当該縁部に向かうに従い前記ターンテーブルに近づくように隆起しており、前記縁部のディスク挿入方向の下流側の部分から前記ディスク挿入方向の下流側に向かって直線状に延在するリブを備える筐体と、
前記ターンテーブル上に前記ディスクを押圧可能なディスク押圧可能位置と、前記縁部よりも前記ターンテーブルから遠ざかる側に離れた退避位置との間で前記クランパユニットを移動させるクランパ移動装置と、
前記ディスク挿入口から挿入される前記ディスクの一面に当接して、前記ディスクを前記ターンテーブルと前記クランパとの間に搬送するディスク搬送装置と、
前記ディスクの前記一面とは反対側の面に当接して、前記ディスクの挿入側の先端部が前記ターンテーブルから遠ざかるように前記ディスクを傾斜させるとともに、前記先端部を前記リブ上に当接させて前記先端部が前記リブ上を摺動するよう、前記ディスクの移動を案内するディスクガイド部材と、
前記ターンテーブルと前記クランパユニットとの間で狭持された前記ディスクに対して、データの記録又は再生を行う記録再生装置と、
を備えるディスク装置を提供する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、前記リブは、前記ディスク挿入方向に平行で且つ前記クランパユニットの回転中心を通る平面上に位置していることを特徴とする第1態様に記載のディスク装置を提供する。
【0013】
本発明の第3態様によれば、前記リブは、前記ターンテーブルとの対向面からの高さが一様に形成されていることを特徴とする第1又は2態様に記載のディスク装置を提供する。
【0014】
本発明の第4態様によれば、前記リブは、前記ディスク挿入方向の下流側に向かうに従い前記対向面から遠ざかるように形成されていることを特徴とする第1又は2態様に記載のディスク装置を提供する。
【0015】
本発明の第5態様によれば、前記リブは、前記ディスクと摺動する面積が小さくなるような断面形状で形成されていることを特徴とする第1〜4態様のいずれか1つに記載のディスク装置を提供する。
【0016】
本発明の第6態様によれば、前記リブは、台形状又は円弧状の断面形状で形成されていることを特徴とする第5態様に記載のディスク装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のディスク装置によれば、ディスクガイド部材により、ディスクの挿入側の先端部がターンテーブルから遠ざかるようにディスクを傾斜させるとともに、前記先端部がリブ上に当接して摺動するよう、ディスクの移動を案内するように設けられているので、ディスクの挿入側の先端部が振れない。したがって、更なる装置の薄型化が可能となる。
また、筐体の開口部のターンテーブル側の縁部のディスク挿入方向の下流側の部分からディスク挿入方向の下流側に向かって直線状に延在するようにリブを設け、そのリブ上をディスクの挿入側の先端部が当接して摺動するように構成しているので、ディスクが筐体に接触する面積を小さくすることができる。したがって、ディスクに埃が付着していたとしても、その埃がリブとディスクとの間に巻き込まれてディスクに傷が付く可能性が低くなり、また、ディスクに傷付きが付いたとしても、その範囲を小さく抑えることができる。
また、筐体のターンテーブルとの対向面に形成した開口部の周囲をリブの高さ分、隆起させているので、クランパユニットの退避位置を、その隆起させた量だけターンテーブル側に移動させることができる。したがって、前記リブを設けても、装置の厚みは厚くならない。
また、筐体及びリブを樹脂で形成したとしても、リブは筐体のターンテーブルに対向する面に比べて樹脂のヒケ等の発生を少なくして、精度良く形成することが可能なため、ディスクとリブとの相対角度を精度良く保つことができる。したがって、ディスクの傷付きを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
《実施形態》
本発明の実施形態にかかるディスク装置を、図面を参照しつつ説明する。まず、本発明の実施形態にかかるディスク装置の全体構成を、図1〜4を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態にかかるディスク装置の分解斜視図である。図2は、本発明の実施形態にかかるディスク装置において、支持基板1側の各部品及び装置の構成を説明するための部分斜視図であり、図3は、前記構成を図2とは別の方向から見た部分斜視図である。図4は、本発明の実施形態にかかるディスク装置において、蓋体2側の各部品及び装置の構成を説明するための部分斜視図である。図5は、本発明の実施形態にかかるディスク装置の、ディスクが挿入されていない待機状態における断面図である。なお、ここでは、支持基板1を下にしてディスク装置が横置きされるものとして説明する。
【0020】
本発明の実施形態のディスク装置は、上部が開口された概ね箱体の支持基板1と、支持基板1の上部を覆うように設けられた蓋体2とで形成される筐体40内に、図1に示す各部品及び装置等が取り付けられることによって構成されている。すなわち、支持基板1は、図1に示す各部品及び装置を支持している。蓋体2は、ガラス繊維が含まれた樹脂で形成されて強度を強化されている。支持基板1と蓋体2とで構成される筐体40の一側面には、CDやDVD等のディスク状の記録媒体(以下、ディスクという)41を挿入及び排出するためのディスク挿入口44が形成されている。なお、通常、ディスクには、規格直径8cmのディスク(以下、小径ディスクという)と規格直径12cmのディスク(以下、大径ディスクという)とがある。ここでは、それらを総称して単にディスク41といい、各図においてはディスク41が大径ディスクであるものとして図示している。
【0021】
支持基板1の底面には矩形の開口部が設けられている。支持基板1の開口部には、その開口部に対応する大きさの矩形のトラバース基板38が、そのディスク挿入方向X1の下流側の両側面に設けられた一対の回動軸38a,38aが支持基板1に設けられた一対の軸受孔1d,1dにそれぞれ挿入されることにより、回動可能に取り付けられている。トラバース基板38には、ディスク41を回転させるスピンドルモータ3と、ディスク41にデータの記録や再生を行う記録再生装置の一例である光ピックアップ4とが取り付けられている。
【0022】
スピンドルモータ3は、図5に示すように、ターンテーブルの一例であるロータ3aと、芯出しリング3bと、吸着板3cと、回転軸3dと、マグネット3eと、軸受3fと、コア3gと、コイル3hとにより構成されている。ロータ3aは、下方に開口するカップ形状に形成され、その上面にディスク41を支持するターンテーブル面3a−1が形成されている。ターンテーブル面3a−1の中央部には棒状の回転軸3dが貫通して、ロータ3aと回転軸3dとが一体化されている。芯出しリング3bは、ターンテーブル面3a−1上で回転軸3dの周囲に固定され、ディスク41の中心穴を保持して芯出しを行う。吸着板3cは、リング形状に形成された磁性体で構成され、芯出しリング3bの上部に形成されたリング形状の凹部に挿着されている。マグネット3eは、リング形状に形成され、ロータ3aの下部円筒状部の内周面に設けられている。軸受3fは、円筒形状に形成されて支持基板1に一体的に設けられ、回転軸3dの下端部をその内周面で回転自在に保持している。コア3gは、マグネット3eの内周面と対向するように軸受3fの外周面に固定されている。コイル3hは、コア3gの周囲に巻装されている。スピンドルモータ3は、コイル3hに電流が印加されることによりマグネット3eとコア3gとの間に発生する電磁気力によって、軸受3fを介して支持基板1に一体的に構成されたコア3gと対向するマグネット3eを回転させ、ロータ3aを回転させるように構成されている。
【0023】
支持基板1の、ディスク挿入方向X1の下流側の一端部には、ディスク41を筐体40内にローディングする際の回転力を発生させるモータ5が取り付けられている。モータ5の回転軸には第1プーリ6が圧入されている。第1プーリ6と同じ支持基板1の一側面側で且つディスク挿入方向X1の上流側には、ウォームギヤ11と一体に形成された第2プーリ8が取り付けられている。第1プーリ6と第2プーリ8には、モータ5の回転軸の回転力を第1プーリ6から第2プーリ8に伝達するためにベルト7がかけられている。第2プーリ8は、第1プーリ6及びベルト7を介して伝達されたモータ5の回転軸の回転力により、ディスク挿入方向X1に延在するギヤ軸10の一端に圧入されたはす歯ギヤ9を回転させて、ギヤ軸10の他端に圧入されたウォームギヤ11を回転させる。ここで、ウォームギヤ11は、はす歯ギヤ12とかみ合っており、はす歯ギヤ12は、リレーギヤ13及び14とかみ合っている。
【0024】
リレーギヤ13は、支持基板1の底面に平行で且つディスク挿入方向X1と直交する装置幅方向Yに延在するローラ軸18の一端部に圧入されたローラギヤ16とかみ合っており、リレーギヤ14は、ディスク挿入方向X1に延在するスライダー17をディスク挿入方向X1又はディスク排出方向X2に移動させる駆動ギヤ15とかみ合っている。したがって、ウォームギヤ11の回転力は、はす歯ギヤ12、リレーギヤ13及びローラギヤ16を介してローラ軸18に伝達される一方、はす歯ギヤ12、リレーギヤ14及び駆動ギヤ15を介してスライダー17に伝達される。前記各ギヤにより、モータ5の回転軸の回転力は減速されて、駆動ギヤ15及びローラギヤ16の回転トルクが増加する。
【0025】
ローラ軸18は、その両端部において、支持基板1の互いに対向する側面に回転可能に保持されている。ローラ軸18は、軸方向の中央側の径が小さく、両端部に向かうに従い径が太い、概ね円筒形状に形成されたゴムローラ19に貫通して係合しており、ローラギヤ16の回転力を摩擦力によってゴムローラ19に伝達する。ゴムローラ19は、ローラ軸18から伝達されたローラギヤ16の回転力により回転することで、ディスク挿入方向X1又はディスク排出方向X2にディスク41を搬送する。ゴムローラ19は、待機状態において、ディスク挿入方向X1及び装置幅方向Yと直交する装置厚み方向Zの高さが、ディスク挿入口44よりも高い位置に位置するように構成されている。
【0026】
ゴムローラ19の上方には、ディスク41のディスク挿入方向X1又はディスク排出方向X2の移動を案内する概ね板体のディスクガイド部材の一例であるディスクガイド20が装置幅方向Yに延在している。ディスクガイド20は、ディスク挿入方向X1の下流側の両端部に設けられた1対の回動軸20aが、支持基板1の両側面にそれぞれ設けられた溝1b,1bに挿入されることにより、回動可能に取り付けられている。また、ディスクガイド20は、ディスク挿入方向X1の上流側の両端部を、支持基板1の底面にそれぞれ取り付けられた一対のコイル状の付勢バネ22,22により、ゴムローラ19に近づく方向にそれぞれ付勢されている。これにより、ディスクガイド20は、ゴムローラ19との間にディスク41が挿入されたとき、ディスク41の上面と当接して、ディスク41をゴムローラ19に押し付けるように設けられている。
【0027】
また、ディスクガイド20は、ディスク41と当接しているとき、ディスク挿入方向X1の上流側が付勢バネ22により支持基板1側に引っ張られて、ディスク挿入方向X1の上流側に向かうに従い支持基板1に近づくように傾斜している。これにより、ディスクガイド20は、ディスク41の挿入側の先端部41aが、ディスク挿入方向X1の下流側に向かうに従い、後述する蓋体2に形成された開口部2kよりディスク挿入方向X1の下流側の下面に当接及び摺動するように案内する。
【0028】
また、ディスクガイド20は、ディスク41と当接しているとき、スライダー17側の端部の支持基板1に対向する面20b(図4参照)がスライダー17に設けられた突出部17a(図2及び図4参照)の蓋体2に対向する面と当接している。ディスクガイド20は、後述するようにスライダー17がディスク排出方向X2に移動するとき、その移動伴って突出部17aが支持基板1側の面20bに沿ってディスク搬出方向X2に移動することで、ディスクガイド20のディスク挿入方向X1の上流側が蓋体2に近づくように、回動軸20aを中心に回動するように構成されている。なお、スライダー17のディスク搬出方向X2の移動が完了した状態においては、ディスクガイド20は、蓋体2及び支持基板1の底面とほぼ平行な状態になる。
また、ディスクガイド20は、ディスク41を傷つけないように、ディスク41よりも柔らかい材料で形成されている。例えば、ディスク41の材料がポリカーボネートであれば、それよりも柔らかいポリアセタール等の樹脂で形成されている。
【0029】
スライダー17は、支持基板1の側面に、ディスク挿入方向X1及びディスク搬出方向X2に移動可能に支持されている。スライダー17の支持基板1と対向する面には、駆動ギヤ15とかみ合うラック17bが形成されている。筐体40内へのディスク41の挿入前の待機状態において、及びゴムローラ41の回転による筐体40内へのディスク41の搬送の間においては、ラック17bと駆動ギヤ15とはかみ合わないが、ディスク41の筐体40内へ搬送が完了した状態では、それらがかみ合うように構成されている。
【0030】
また、スライダー17のディスク挿入方向X1の上流側の端部には、図2及び図4に示すようにラック17cが設けられている。ラック17cは、支持基板1の底面に平行に取り付けられた板状の第1切換えレバー21のギヤ21aとかみ合っている。第1切換えレバー21は、ギヤ21aから離れた位置に形成された軸受孔21bに支持基板1に形成された回動軸(図示しない)が挿入されることにより、支持基板1に回動可能に支持されている。また、第1切換えレバー21には、図4に示すように、ギヤ21a及び軸受孔21bから離れた位置で、装置厚み方向Zに第1切換えレバー21を貫通する係合溝21cが設けられている。係合溝21cは、トラバース基板38を概ね長方体の回動カム23の側面下部に設けられた係合ピン23a(図1参照)に摺動自在に係合している。
【0031】
回動カム23は、装置幅方向Yに延在するように支持基板1に形成された溝1c上を移動可能に設けられており、第1切換えレバー21の回動に従って溝1c上を移動する。また、回動カム23には、図3及び図4に示すように、ディスク挿入方向X1に回動カム23をそれぞれ貫通する一対のカム溝23b,23bが設けられている。それぞれのカム溝23b,23bは、トラバース基板38のディスク挿入方向X1の上流側の端部に設けられた一対の係合ピン38b,38bと摺動可能に係合している。また、それぞれのカム溝23b,23bは、スライダー17に近づくに従い支持基板1に近くように傾斜する斜面23cを有している。トラバース基板38のそれぞれの係合ピン38b,38bは、回動カム23の装置幅方向Yの移動に伴って、斜面23c,23cに押されて、装置厚み方向Zに移動する。すなわち、回動カム23の装置幅方向Yの移動に伴って、トラバース基板38が回動軸38a,38aを中心に回動する。
【0032】
また、スライダー17には、装置厚み方向Zで蓋体2側に突出する駆動ピン17dが設けられている。駆動ピン17dは、蓋体2に形成された係合穴2aを貫通して筐体40の外側に飛び出すように取り付けられている。
また、蓋体2の支持基板1との対向面には、図1に示すように、装置厚み方向Zで上方に突出する回動軸2bが設けられている。回動軸2bには第2切換えレバー24の中央部に形成された軸受孔24aが回動可能に嵌合している。また、第2切換えレバー24の一端部には、スライダー17の駆動ピン17dと摺動自在に係合する係合溝24bが形成されており、スライダー17のディスク挿入方向X1及びディスク排出方向X2の移動に伴って、第2切換えレバー24が回動するように構成されている。
【0033】
第2切換えレバー24の他端部には円弧状のカム面24cが形成されている。カム面24cは、支持基板1の底面に平行で且つディスク挿入方向X1に延在する板状部材であるクランプレバー25の側面中央部に設けられた回動軸25bと当接している。
【0034】
クランプレバー25は、ディスク挿入方向X1の上流側の両端部に装置幅方向Yに突出するように設けられた回動軸25a,25aが蓋体2の上面に設けられた一対の軸受部2cにそれぞれ挿入されることで、蓋体2に回動可能に設けられている。クランプレバー25の回動軸25bと反対側の側部中央部には、蓋体2に装置幅方向Yに延在するように形成されたピン2dに取り付けられたねじりコイル状の付勢バネ26によって、支持基板1に近づくように付勢されるピン25cが設けられている。付勢バネ26の付勢力によりクランプレバー25が支持基板1に近づくように付勢されているため、回動軸25bは第2切換えレバー24のカム面24cに沿って装置厚み方向Zに移動する。
【0035】
クランプレバー25のディスク挿入方向X1の下流側の端部には、クランプレバー25を装置厚み方向Zに貫通する貫通穴25dが設けられている。貫通穴25dの中心は、クランプレバー25が第2切換えレバー24に沿って移動して支持基板1に近づいた状態(後述するディスク押圧可能位置37Bに位置する状態)において、回動カム23の移動により蓋体2に近づいたトラバース基板38に設けられているスピンドルモータ3の芯出しリング3aの中心と一致している。貫通穴25dの周囲にはリング状の爪部25eが設けられている。爪部25eは、上側にバックヨーク29が配置されるとともに下側にクランパ27が配置されて、バックヨーク29とクランパ27と間に挟まれている。
【0036】
また、バックヨーク29とクランパ27との間にはリング状のマグネット28が配置されており、マグネット28はクランパ27の中央部で上方に突出する突出部27bに嵌合している。また、クランパ27には、その外周部に均等な間隔で配置され、それぞれ上方に突出する3本のフック部27aが設けられており、それぞれのフック部27aは、それらに対応してバックヨーク90に形成された3つの係合孔29aにそれぞれ係合している。
また、クランプレバー25の貫通穴25dは、バックヨーク29及びクランパ27よりも直径が小さく形成されており、クランパ27、マグネット28、及びバックヨーク29で構成されるクランパユニット37がクランプレバー25の爪部25eに支持されて落ちないようになっている。また、バックヨーク29とクランパ27との隙間は爪部25eの厚さより大きく設けられ、クランパユニット37が、クランプレバー25の爪部25eに回転可能に支持されている。
【0037】
また、蓋体2にはクランパユニット37が通過可能な開口部2kが形成されている。クランパユニット37は、クランパレバー25が回動軸25a,25aを中心に回動することにより、スピンドルモータ3のターンテーブル面3a−1上にディスク41を押圧可能なディスク押圧可能位置37B(図9参照)と、蓋体2の開口部2kの支持基板1側の縁部2k−1よりも上方に離れた退避位置37A(図5参照)との間で移動可能に構成されている。蓋体2の開口部2kの周囲の構成については、後で詳しく説明する。
【0038】
また、蓋体2には、ディスク41の有無を検出する反射型のフォトセンサ39a、39bと、第2切換えレバー24の動作状態を検出するスイッチ39cが取り付けられた印刷配線基板39が取り付けられている。反射型フォトセンサ39aは、ゴムローラ19よりディスク挿入方向X1の上流側に配置され、反射型フォトセンサ39bは、ゴムローラ19よりディスク挿入方向X1の下流側に配置されている。反射型フォトセンサ39a、39bは、蓋体2に形成された孔2e、2fを通してディスク41の有無を検出する。
【0039】
蓋体2のディスク挿入方向X1の下流側の下面には、小径ディスクをスピンドルモータ3に位置決めするための、左センタリングレバー30と右センタリングレバー31とがそれぞれ蓋体2の下面と平行に設けられている。左センタリングレバー30と右センタリングレバー31とは、上方及び下方の両方に突出するようにそれぞれに設けられた回動軸30a,31aに、蓋体2に設けられた一対の軸受孔2g、2hが嵌合することで、回動自在に取り付けられている。また、左センタリングレバー30と右センタリングレバー31とは、左センタリングレバー30の一端部に設けられた係合孔30cに、右センタリングレバー31の一端部に形成された係合ピン31cが係合することにより、一体的に移動可能に連結されている。
【0040】
左センタリングレバー30は、回動軸30aにねじりコイル状の付勢バネ32が取り付けられており、回動軸30aを中心に反時計方向(図4では時計方向)に付勢されている。この付勢バネ32により、係合孔30cで左センタリングレバー30と移動可能に連結されている右センタリングレバー31は、回動軸31aを中心に時計方向(図4では反時計方向)に力を受けている。つまり、左センタリングレバー30の他端部に設けられた位置決めピン30bと右センタリングレバー31の他端部に設けられた位置決めピン31bとが、付勢バネ32によって互いにスピンドルモータ3に近づく方向に付勢されている。
【0041】
右センタリングレバー31の上面(蓋体2側の面)には、ロックレバー33が回動軸30aを貫通して回動自在に連結されている。ロックレバー33のディスク挿入方向X1の下流側の端部には係合ピン33b(図1参照)が設けられている。ロックレバー33の係合ピン33bは蓋体2に形成されたロック部2iに係合することで、右センタリングレバー31が回動軸31aを中心として反時計方向(外側に開く方向)へ移動するのを規制するとともに、係合孔30cで右センタリングレバー31の一端部に形成された係合ピン31cと連結されている左センタリングレバー30が回動軸30aを中心として時計方向へ移動するのを規制している。つまり、左センタリングレバー30と右センタリングレバー31とは、ロックレバー33の係合ピン33bがロック部2iに係合することにより、外側に開く方向へ移動するのを規制されている。ロックレバー33のディスク挿入方向X1の上流側の端部には当接ピン33aが設けられている。当接ピン33aは、ディスク41の外周部と当接してディスク挿入方向X1に押されることにより、ロックレバー33の本体を反時計方向(図4では時計方向)に回転させて、ロックレバー33の係合ピン33bとロック部2iとの係合を外すことができるように設けられている。
【0042】
また、ロックレバー33は、右センタリングレバー31の回動軸31aに取り付けられたねじりコイル状の付勢バネ34(図4参照)により、係合ピン33bがロック部2iと係合する方向(時計方向)に付勢されている。したがって、ロックレバー33は、通常、係合ピン33bがロック部2iと係合してロック状態にある。また、ロックレバー33と連結されている右センタリングレバー31と、右センタリングレバー31と連結されている左センタリングレバー30もロック状態にある。
【0043】
右センタリングレバー31の下面(支持基板1側の面)には、ディスク41に当接してスライダー17にトリガーをかけるトリガーレバー35が回動軸30aを貫通して回動自在に連結されている。トリガーレバー35の装置中央側の端部にはディスク41の外周部と当接するための当接ピン35aが設けられている。また、トリガーレバー35の反対側の端部には、トリガーロッド36に設けられたカム溝36a(図2参照)と係合する駆動ピン35b(図1参照)が設けられており、トリガーロッド36は右センタリングレバー31の回動軸31aに取り付けられた付勢バネ34によりロックレバー33と逆方向、つまり反時計方向(図4では時計方向)に付勢されている。
【0044】
また、トリガーロッド36は、支持基板1に、支持基板1の上面上を摺動自在にガイドされて取り付けられており、トリガーレバー35の回動動作により、ディスク挿入方向X1又はディスク排出方向X2に移動した後、ディスク挿入方向42と交差する方向に移動可能に設けられている。また、トリガーロッド36は、通常、ディスク挿入方向X1の下流側で待機するように、付勢バネ34によって付勢されている。トリガーロッド36は、ディスク排出方向X2に移動すると、スライダー17と当接して、スライダー17をディスク挿入方向X1に押すように設けられている。また、トリガーロッド36は、ディスク挿入方向42と交差方向に移動をしたとき、カム溝36aで駆動ピン35bをガイドして、トリガーレバー35を時計方向(図4では反時計方向)に回転させるように設けられている。トリガーロッド36に押されてディスク挿入方向X1に移動するスライダー17は、その動作の途中でスライダー17に設けられたラック17bと駆動ギヤ15とをかみ合わせるように設けられている。また、スライダー17にはトリガーロッド36をディスク挿入方向X1と交差方向に移動させるカム溝17e(図1参照)が設けられている。
【0045】
次に、本発明の実施形態のディスク装置の特徴部分である蓋体2の構成を、図4〜図9、図10A、及び図10Bを用いて詳しく説明する。
図6〜8は、本発明の実施形態にかかるディスク装置のディスク41の搬送途中の状態を示す断面図である。図9は、本発明の実施形態にかかるディスク装置のディスク41のローディング完了状態を示す断面図である。図10A及び図10Bは、本発明の実施形態にかかるディスク装置の蓋体2に設けられたリブ2Lの形状の一例を示す断面図である。
【0046】
図4〜図9に示すように、蓋体2に形成された開口部2kの支持基板1側の縁部2k−1は、その周囲から縁部2k−1に向かうに従い支持基板1側に近づくように緩やかに隆起している。言い換えれば、開口部2kの周囲は、支持基板1側に円錐台状に緩やかに突出しており、開口部2kの周囲の厚みが蓋体2の他の部分の厚みよりも増されている。以下、この部分を隆起部2jという。この隆起部2jにより、縁部2k−1よりも上方に離れたクランパユニット37の退避位置37Aが、隆起部2jの厚み分、下方に下がり、クランパユニット37が蓋体2の上面から飛び出す高さが抑えられている。
【0047】
また、蓋体2の縁部2k−1のディスク挿入方向X1の下流側には、隆起部2jを横切り、ディスク挿入方向X1の下流側に向かって延在するリブ2Lが設けられている。リブ2Lの装置厚み方向Zの高さは、一様に縁部2k−1の高さと同じ高さに形成されている。これにより、ディスク41の挿入側の先端部41aは、蓋体2の開口部2kよりディスク挿入方向X1の下流側の下面を当接及び摺動することに代えて、リブ2L上を当接及び摺動することとなる。
【0048】
また、リブ2Lは、図10A及び図10Bに示すように、その断面形状が台形状や円弧状に形成され、好ましくは、ディスク挿入方向X1の下流側に向かうに従い、当該断面積が小さくなるように設けられている。これにより、ディスク41の挿入側の先端部41aと当接及び摺動する面積が小さくなり、ディスク41の傷付きが抑えられる。なお、リブ2Lの断面形状は、上記に限定されることなく、ディスク41の先端部41aと当接及び摺動する面積が小さくできる形状であればよい。例えば、縁部2k−1が円弧状に形成され、ディスク挿入方向X1の下流側に向かうに従い、台形状に変化するように形成されてもよい。
また、リブ2Lは、筐体2と一体的に形成され、ガラス繊維が含まれた樹脂で形成されて強度を強化された部材で構成されている。なお、リブ2Lは、筐体2とは別に構成されてもよい。リブ2Lは、筐体2の下面に比べて成形時に生じるヒケ等の発生を少なくして、精度良く形成することが可能であるため、平面度が悪化してディスク41の先端部41aとリブ2Kとの相対角度が小さく(例えば1度未満)なることを防ぐことができる。
【0049】
なお、上記では、リブ2Lの高さを縁部2k−1の高さと一様に同じになるようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ディスク41の上面とリブ2Lの下端部との間に、振動等が生じても両者が接触しないような十分な隙間(例えば、0.7mm程度)が確保できれば、リブ2Lは、縁部2k−1から縁部2k−1と同じ高さで始まり、ディスク挿入方向X1の下流側に向かうに従い蓋体2から遠ざかるように形成されてもよい。このように形成することにより、装置の厚さを厚くすることなく、ディスク41の先端部41aとリブ2Lとの相対角度を大きくすることができ、ディスク41の傷付きをさらに防止することが可能となる。また、ディスク41の先端部41aとリブ2Kとの相対角度が、ディスク41の傷付きを抑えるのに十分に確保できるのであれば、リブ2Lは、縁部2k−1から縁部2k−1と同じ高さで始まり、ディスク挿入方向X1の下流側に向かうに従い蓋体2に近づくように形成されてもよい。
【0050】
また、リブ2Lは、ディスク41が、図7及び図8に示すようにリブ2L上を摺動する際、ディスク41が装置幅方向Yに対して傾斜しないように、ディスク41をディスクガイド20と協働して均等に支持できるように配置されることが好ましい。さらには、リブ2Lは、ディスク挿入方向X1に平行で且つクランパユニットの回転中心を通る平面上に位置していることが好ましい。
また、リブ2Lは、1つに限定されず、複数設けられてもよい。この場合もディスク41をディスクガイド20と協働して均等に支持できるように、複数のリブ2Lがディスク挿入方向X1に平行で且つクランパユニットの回転中心を通る平面に対して対称に配置されることが好ましい。
【0051】
本発明の実施形態のディスク装置は、以上のように構成されている。
なお、本実施形態のディスク装置においては、モータ5、第1プーリ6、ベルト7、第2プーリ8、はす歯ギヤ9、ギヤ軸10、ウォームギヤ11、はす歯ギヤ12、リレーギヤ13、ローラギヤ16、スライダー17、ローラ軸18、及びゴムローラ19により、ディスク搬送装置の一例を構成している。
また、本実施形態のディスク装置においては、モータ5、第1プーリ6、ベルト7、第2プーリ8、はす歯ギヤ9、ギヤ軸10、ウォームギヤ11、はす歯ギヤ12、リレーギヤ13、リレーギヤ14、駆動ギヤ15、スライダー17、及びクランプレバー25により、クランパ移動装置の一例を構成している。
【0052】
次に、本発明の実施形態にかかるディスク装置の動作について図1〜図4を参照しつつ説明する。なお、ここでは、まず始めに、本実施形態にかかるディスク装置の基本的な動作を説明し、本実施形態の特徴部分であるリブ2Lとディスク41の先端部41aとの当接及び摺動動作については、後で詳しく説明する。
まず、小径ディスク(規格直径8cm)のローディング動作について説明する。
【0053】
使用者により小径ディスクがディスク挿入口44からディスク挿入方向X1に挿入されると、小径ディスクは、ディスクガイド20にガイドされて筐体40内に導かれ、まず、印刷配線基板39に取り付けられた反射型フォトセンサ39aの光がディスク41に反射する。反射した光を反射型フォトセンサ39aが検出すると、モータ5が回転軸に回転力を発生させる。モータ5の回転軸の回転力は、第1プーリ6、ベルト7、第2プーリ8、はす歯ギヤ9、ギヤ軸10、ウォームギヤ11、はす歯ギヤ12、及びリレーギヤ13を介して減速された後、ローラギヤ16に伝達される。このとき、はす歯ギヤ12からリレーギヤ14を介して駆動ギヤ15が回転させられるが、スライダー17のラック17bとは、まだかみ合っておらず、駆動ギヤ15は空転する。モータ5の回転軸の回転力が伝達されてローラギヤ16が回転すると、それに伴い、ローラ軸18が回転し、ローラ軸18に係合しているゴムローラ19も摩擦力により、一緒に回転を開始する。このとき、ゴムローラ19は、ディスクガイド20との間にディスクの厚さより狭い隙間を持つように離れて位置し、ローラ軸18の回転により空転している。
【0054】
さらに、使用者が小径ディスクをディスク挿入方向X1に挿入していくと、小径ディスクはゴムローラ19と当接して、ゴムローラ19とディスクガイド20との間に挟まれる。このとき、小径ディスクは、ディスクガイド20を介して付勢バネ22,22の下方向の付勢力を受けて、ゴムローラ19に押し付けられる。このとき、ローラ軸18と小径ディスクとの間に挟まれるゴムローラ19は、ローラ軸18との摩擦力が上がり、大きな回転力を持つようになる。ゴムローラ19とディスクガイド20に挟まれた小径ディスクは、このゴムローラ19の回転力を受けてディスク挿入方向X1に搬送される。
【0055】
さらに、モータ5の回転軸の回転力により小径ディスクが搬送されると、小径ディスクはディスクガイド20にガイドされて、スピンドルモータ3の芯出しリング3aとクランパ27との隙間を通過し、トリガーレバー35の当接ピン35aと当接し、続いて左センタリングレバー30の位置決めピン30bと、右センタリングレバー31の位置決めピン31bとに当接する。このとき、右センタリングレバー31に設けられたロックレバー33の当接ピン33aは、小径ディスクと当接していないため、ロックレバー33の係合ピン33bが蓋体2のロック部2iと係合しており、右センタリングレバー31は移動を規制されている。左センタリングレバー30は右センタリングレバー31の係合ピン31aと係合孔30aで連結されているため、右センタリングレバー31の移動の規制に伴い、左センタリングレバー30も移動を規制されている。つまり、右センタリングレバー31は反時計方向の回転を規制され、左センタリングレバー30は時計方向の回転を規制されている。したがって、小径ディスクは、回転を規制されている右センタリングレバーの位置決めピン30b及び左センタリングレバー30の位置決めピン31bと当接することにより、ディスク挿入方向X1の移動を規制され、ディスク記録再生位置の近傍で且つ同軸上に離れたディスク装着準備位置に位置決めされる。ここで、ディスク記録再生位置とは、ディスクがスピンドルモータ3に装着されて、再生又は、再生及び記録可能な位置をいう。
【0056】
また、このとき、右センタリングレバー31に回動自在に設けられたトリガーレバー35は、当接ピン35aが小径ディスクに押されることで時計方向に回転し、駆動ピン35bがディスク排出方向X2に移動する。駆動ピン35bはトリガーロッド36のカム溝36aと係合しているため、駆動ピン35bのディスク排出方向X2の移動により、トリガーロッド36もディスク排出方向X2に移動する。
【0057】
トリガーレバー35によりディスク排出方向X2に移動するトリガーロッド36は、トリガーロッド36よりディスク挿入方向X1の上流側に設けられているスライダー17と当接して、スライダー17をディスク排出方向X2に押す。トリガーロッド36に押されたスライダー17は、ラック17bにおいて駆動ギヤ15とかみ合い、モータ5の回転軸の回転力を受けている駆動ギヤ15の回転力を受けて、さらにディスク排出方向X2に移動する。
【0058】
このスライダー17の移動に伴い、スライダー17のラック17cにギヤ21aでかみ合う第1切換えレバー21が、軸受孔21bを中心に回動する。このとき、第1切換えレバー21に設けられた係合溝21cが回動カム23の係合ピン23aと係合しているため、第1切換えレバー21の回動に従って回動カム23は支持基板1の溝1cに沿ってスライダー17に近づくように移動する。回動カム23のカム溝23b,23bとトラバース基板38の係合ピン38b,38bとは摺動可能に係合されているため、係合ピン38b,38bはカム溝23b,23bの斜面23c,23cに沿って上昇し、これに伴いトラバース基板38が回動軸38a,38aを中心に回動して支持基板1の底面と平行な状態になる。
【0059】
また、スライダー17の駆動ピン17dが蓋体2の係合穴2aを通じて蓋体2の上面側に飛び出し、蓋体2の上面に設けられた第2切換えレバー24の係合溝24bと係合しているため、スライダー17の移動に伴い、第2切換えレバー24が軸受孔24aを中心に回動する。第2切換えレバー24の係合溝24bとは反対側の端部に設けられたカム面24cには、クランプレバー25の回動軸25bが付勢バネ26のバネ力で付勢されているため、クランプレバー25はカム面24cに沿って下方向に移動する。クランプレバー25はディスク挿入方向X1の上流側の回動軸25a,25aで蓋体2に回動可能に支持されているため、クランプレバー25はディスク挿入方向X1の下流側が下方へ下がる(支持基板1に近づく)。これに伴い、クランプレバー25の貫通穴25dの周囲の爪部25eで支えられた、クランパ27、マグネット28、バックヨーク29で構成されるクランパユニット37は、退避位置37Aから、蓋体2の開口部2kを通過して筐体40の内部のディスク押圧可能位置37Bに降下する。
【0060】
トリガーレバー35がトリガーロッド36をディスク排出方向X2に移動させてからクランパユニット37の降下とトラバース基板38の回動が完了するまでの間、小径ディスクは移動を停止しているが、ゴムローラ19とローラ軸18とは摩擦力で駆動力を伝達する構成であるのでスリップすることが可能であるため、ローラ軸18の回転は拘束され、モータ5の回転軸の回転は停止することがない。このため、スライダー17は、モータ5の回転軸の回転力によりディスク排出方向X2に移動をしつづける。
以上のように、トラバース基板1が上昇するとともにクランパユニット37が下降することによって、小径ディスクはスピンドルモータ3上に構成されたターンテーブル面3a−1とクランパユニット37で挟み込まれる。また、このとき、スピンドルモータ3の吸着板3cと、クランパユニット37のマグネット28との間に磁力が働き、その磁力により、小径ディスクはターンテーブル面3a−1に押し付けられて支持される。
【0061】
一方、スライダー17の突出部17a(図4参照)は、ディスクガイド20の支持基板1に対向する面20bと当接しており、スライダー17がディスク排出方向X2に移動すると、ディスクガイド20が回動軸20a,20aを中心に回動して、ディスク挿入方向X1の上流側が付勢バネ22,22のバネ力に反して上方(蓋体2側)に持ち上げられる。これにより、ディスクガイド20は小径ディスクから離れて、小径ディスクがスピンドルモータ3により回転可能になる。
【0062】
さらに、スライダー17がディスク排出方向X2に移動すると、カム溝17eによって、トリガーロッド36がスピンドルモータ3に近づくように装置幅方向Yに移動する。トリガーロッド36が移動すると、カム溝36aによって、トリガーレバー35の駆動ピン35bがディスク排出方向X2に押され、トリガーレバー35は、当接ピン35aを小径ディスクから離れる方向(時計方向)に回転する。また、前記スライダー17のディスク排出方向X2の移動に伴って、スライダー17の駆動ピン17dに係合溝24bで係合する第2切換えレバー24が軸受孔24aを中心に回動して、スイッチ39cに当接し、スイッチ39cをONにする。スイッチ39cのONにより、モータ5の回転軸の回転が停止する。これにより、小径ディスクのディスク記録再生位置へのローディングが完了する。これにより、スピンドルモータ3によって小径ディスクを回転させて、光ピックアップ4により小径ディスクにデータの記録又は再生を行うことが可能となる。
【0063】
次に、小径ディスクの排出動作について説明する。
小径ディスクの排出動作は、基本的には前記ローディング動作と逆の動作を行う。
【0064】
装置に別途設けられたイジェクトボタンが押されるなどにより、小径ディスクの排出動作開始が指示されると、モータ5がローディング動作時とは逆方向に回転軸に回転力を発生させる。モータ5の回転軸の回転力は、各ギヤにより駆動ギヤ15に伝達されて、スライダー17をディスク挿入方向X1に移動させる。このスライダー17の移動に伴い、第2切換えレバー24と第1切換えレバー21が回動して、クランパユニット37をディスク押圧可能位置37Bから退避位置37Aまで上昇させると同時的にトラバース基板38を降下させる。これにより、クランパユニット37とスピンドルモータ3とが互いに離れて、それらの間にディスク41の移動空間が生じる。これと同時にスライダー17の移動に伴って、ディスクガイド20が下降してゴムローラ19に小径ディスクを押し付けて挟み込む。ゴムローラ19はモータ5が回転している間、常に回転しているため、ゴムローラ19にディスク41が当接すると、ディスク41はディスク排出方向X2に搬送される。なお、このとき、クランパユニット37とスピンドルモータ3とは、小径ディスクから完全に退避しており、小径ディスクの搬送動作を妨げない。
また、前記したようにディスク挿入方向X1に移動するスライダー17は、最終的にラック17bとのかみ合いが外れ、トリガーロッド35と共に初期の位置に復帰する。
【0065】
さらに、ゴムローラ19が逆方向に回転して、小径ディスクをディスク排出方向X2に移動させていくと、反射型フォトセンサ39bが、小径ディスクにより反射していた光が反射しなくなったのを検出し、これを受けてモータ5が駆動動作を停止する。このとき、小径ディスクは、反射型フォトセンサ39bがゴムローラ19よりディスク挿入方向X1の下流側に配置されているため、ゴムローラ19に挟まれた状態で停止する。したがって、小径ディスクは装置から落ちない。
【0066】
次に、大径ディスク(規格直径12cm)のローディング動作について説明する。
使用者により大径ディスクがディスク挿入口44からディスク挿入方向X1に挿入されると、大径ディスクは、ディスクガイド20にガイドされて筐体40内に導かれ、まず、印刷配線基板39に取り付けられた反射型フォトセンサ39aの光がディスク41に反射する。反射した光を反射型フォトセンサ39aが検出すると、モータ5が回転軸に回転力を発生させる。モータ5の回転軸の回転力は、第1プーリ6、ベルト7、第2プーリ8、はす歯ギヤ9、ギヤ軸10、ウォームギヤ11、はす歯ギヤ12、リレーギヤ13を介して減速された後、ローラギヤ16に伝達される。このとき、はす歯ギヤ12からリレーギヤ14を介して駆動ギヤ15が回転させられるが、スライダー17のラック17bとは、まだかみ合っておらず、駆動ギヤ15は空転する。モータ5の回転軸の回転力が伝達されてローラギヤ16が回転すると、それに伴い、ローラ軸18が回転し、ローラ軸18に係合しているゴムローラ19も摩擦力により、一緒に回転を開始する。このとき、ゴムローラ19は、ディスクガイド20との間にディスクの厚さより狭い隙間を持つように離れて位置し、ローラ軸18の回転により空転している。
【0067】
さらに、使用者が大径ディスクをディスク挿入方向X1に挿入していくと、大径ディスクはゴムローラ19と当接して、ゴムローラ19とディスクガイド20との間に挟まれる。このとき、大径ディスクは、ディスクガイド20を介して付勢バネ22,22の上方向の付勢力を受けて、ゴムローラ19に押し付けられる。このとき、ローラ軸18と大径ディスクとの間に挟まれるゴムローラ19は、ローラ軸18との摩擦力が上がり、大きな回転力を持つようになる。ゴムローラ19とディスクガイド20に挟まれた大径ディスクは、このゴムローラ19の回転力を受けてディスク挿入方向X1に搬送される。
【0068】
さらに、モータ5の回転軸の回転力により大径ディスクが搬送されると、大径ディスクはディスクガイド20にガイドされて、スピンドルモータ3の芯出しリング3aとクランパ27の隙間を通過し、ロックレバー33の当接ピン33aに当接して、当接ピン33aを押す。当接ピン33aを押されたロックレバー33は、反時計方向に回転する。この回転により、当接ピン33aと反対側の端部に設けられた係合ピン33bが時計方向に回転し、係合ピン33bと蓋体2のロック部2iとの係合が外れて、各レバーのロック状態が解除される。
【0069】
さらに、モータ5の回転軸の回転力により大径ディスクが搬送されると、大径ディスクは、トリガーレバー35の当接ピン35aに当接し、続いて左センタリングレバー30の位置決めピン30bと、右センタリングレバー31の位置決めピン31bとに当接する。このとき、ロックレバー33のロックは解除された状態になっているため、トリガーレバー35、左センタリングレバー30、及び右センタリングレバー31は移動を規制されること無く、大径ディスクの外周部に押されて外側に開いていく。つまり、トリガーレバー35及び左センタリングレバー30は時計方向に回転し、右センタリングレバー31は反時計方向に回転する。
【0070】
さらに、大径ディスクは、モータ5の回転軸の回転力によりディスク挿入方向X1に搬送されると、トリガーレバー35の当接ピン35a、左センタリングレバー30の位置決めピン30b、及び右センタリングレバー31の位置決めピン31bを押して、最終的に右センタリングレバー31の係合ピン31cの近傍まで移動して停止し、ディスク装着準備位置に位置決めされる。このとき、トリガーレバー35の当接ピン35aは、大径ディスクに押されて時計方向に回転するので、当接ピン35aと反対側の端部に設けられた駆動ピン35bはディスク排出方向X2に移動する。この駆動ピン35bのディスク排出方向X2の移動により、駆動ピン35bとカム溝36aで係合しているトリガーロッド36もディスク排出方向X2に移動する。
【0071】
トリガーレバー35によりのディスク排出方向X2に移動するトリガーロッド36は、トリガーロッド36よりディスク挿入方向X1の上流側に設けられているスライダー17と当接して、スライダー17をディスク排出方向X2に押す。トリガーロッド36に押されたスライダー17は、ラック17cにおいて駆動ギヤ15とかみ合い、モータ5の回転軸の回転力を受けている駆動ギヤ15の回転力を受けて、さらにディスク排出方向X2に移動する。
【0072】
このスライダー17の移動に伴い、スライダー17のラック17cにギヤ21aでかみ合う第1切換えレバー21が、軸受孔21bを中心に回動する。このとき、第1切換えレバー21に設けられた係合溝21cは回動カム23の係合ピン23aと係合しているため、第1切換えレバー21の回動に従って回動カム23は支持基板1の溝1cに沿ってスライダー17に近づくように移動する。回動カム23のカム溝23b,23bとトラバース基板38の係合ピン38b,38bは摺動可能に係合されているため、係合ピン38b,38bはカム溝23b,23bの斜面23c,23cに沿って上昇し、これに伴いトラバース基板38が回動軸38a,38aを中心に回動して支持基板1の底面と平行な状態になる。
【0073】
また、スライダー17の駆動ピン17dが蓋体2の係合穴2aを通じて蓋体2の上面側に飛び出し、蓋体2の上面に設けられた第2切換えレバー24の係合溝24bと係合しているため、スライダー17の移動に伴い、第2切換えレバー24が軸受孔24aを中心に回動する。第2切換えレバー24の係合溝24bとは反対側に端部に設けられたカム面24cには、クランプレバー25の回動軸25bが付勢バネ26のバネ力で付勢されているため、クランプレバー25はカム面24cに従って下方向に移動する。クランプレバー25はディスク挿入方向X1の上流側の回動軸25a,25aで蓋体2に回動可能に支持されているため、クランプレバー25はディスク挿入方向X1の下流側が下方へ下がる(支持基板1に近づく)。これに伴い、クランプレバー25の貫通穴25dの周囲の爪部25eで支えられた、クランパ27、マグネット28、バックヨーク29で構成されるクランパユニット37は、退避位置37Aからの開口部2kを通過して筐体40の内部のディスク押圧可能位置37Bに降下する。
【0074】
トリガーレバー35がトリガーロッド36をディスク排出方向X2に移動させてからクランパユニット37の降下とトラバース基板38の回動が完了するまでの間、小径ディスクは移動を停止しているが、ゴムローラ19とローラ軸18とは摩擦力で駆動力を伝達する構成であるのでスリップすることが可能であるため、ローラ軸18の回転は拘束され、モータ5の回転軸の回転は停止することがない。このため、スライダー17は、モータ5の回転軸の回転力によりディスク排出方向X2に移動をしつづける。
以上のように、トラバース基板1が上昇するとともにクランパユニット37が下降することによって、大径ディスクはスピンドルモータ3上に構成されたターンテーブル面3a−1とクランパユニット37とで挟み込まれる。また、このとき、スピンドルモータ3の吸着板3cと、クランパユニット37のマグネット28との間に磁力が働き、その磁力により、大径ディスクはターンテーブル面3a−1に押し付けられて支持される。
【0075】
一方、スライダー17の突出部17a(図4参照)は、ディスクガイド20の支持基板1と対向する面20bと当接しており、スライダー17がディスク排出方向X2に移動すると、ディスクガイド20が回動軸20a,20aを中心に回動して、ディスク挿入方向X1の上流側が付勢バネ22のバネ力に反して上方(蓋体2側)に持ち上げられる。これにより、ディスクガイド20は大径ディスクから離れて、大径ディスクがスピンドルモータ3により回転可能になる。
さらに、スライダー17がディスク排出方向X2に移動すると、カム溝17eによって、トリガーロッド36がスピンドルモータ3に近づくように装置幅方向Yに移動する。トリガーロッド36が移動すると、カム溝36aによって、トリガーレバー35の駆動ピン35bがディスク排出方向X2に押され、トリガーレバー35は、当接ピン35aを小径ディスクから離れる方向(時計方向)に回転する。また、前記スライダー17のディスク排出方向X2の移動に伴って、スライダー17の駆動ピン17dに係合溝24bで係合する第2切換えレバー24が軸受孔24aを中心に回動して、スイッチ39cに当接し、スイッチ39cをONにする。スイッチ39cのONにより、モータ5の回転軸の回転が停止する。これにより、大径ディスクのディスク記録再生位置へのローディングが完了する。これにより、スピンドルモータ3によって大径ディスクを回転させて、光ピックアップ4により大径ディスクにデータの記録又は再生を行うことが可能となる。
【0076】
次に、大径ディスクの排出動作について説明する。
大径ディスクの排出動作は、基本的には前記ローディング動作と逆の動作を行う。
【0077】
装置に別途設けられたイジェクトボタンが押されるなどにより、小径ディスクの排出動作開始が指示されると、モータ5がローディング動作時とは逆方向に回転軸に回転力を発生させる。モータ5の回転軸の回転力は、各ギヤにより駆動ギヤ15に伝達されて、スライダー17をディスク挿入方向X1に移動させる。このスライダー17の移動に伴い、第2切換えレバー24、第1切換えレバー21が回動して、クランパユニット37をディスク押圧可能位置37Bから退避位置37Aまで上昇させると同時的にトラバース基板38を降下させる。これにより、クランパユニット37とスピンドルモータ3とが互いに離れて、それらの間にディスク41の移動空間が生じる。これと同時にスライダー17の移動に伴って、ディスクガイド20が下降してゴムローラ19に大径ディスクを押し付けて挟み込む。ゴムローラ19はモータ5が回転している間、常に回転しているため、ディスク41が当接すると、ディスク41はディスク排出方向X2に搬送される。なお、このとき、クランパ27は大径ディスクから完全に退避しており、大径ディスクの搬送動作を妨げない。
また、前記したようにディスク挿入方向X1に移動するスライダー17は、最終的にラック17bとのかみ合いが外れ、トリガーロッド35と共に初期の位置に復帰する。
【0078】
さらに、ゴムローラ19が逆方向に回転して、大径ディスクをディスク排出方向X2に移動させていくと、反射型フォトセンサ39bが、大径ディスクにより反射していた光が反射しなったのを検出し、これを受けてモータ5が駆動動作を停止する。このとき、大径ディスクは、反射型フォトセンサ39bがゴムローラ19よりディスク挿入方向X1の下流側に配置されているため、ゴムローラ19に挟まれた状態で停止する。したがって、大径ディスクは装置から落ちない。
【0079】
次に、本発明の実施形態にかかるディスク装置の特徴部分であるリブ2Lとディスク41の先端部41aとの当接及び摺動動作と、リブ2L及び隆起部2jのそれぞれの作用について、図6〜図9を参照しつつ、以下に詳しく説明する。なお、ここで説明する上記当接及び摺動動作は、小径ディスク、大径ディスクとも同様である。
【0080】
図6は、ディスク挿入口44よりディスク41を挿入後、ディスク挿入方向X1にディスク41を搬送している途中の状態を示している。ディスク41は、図6に示すように、ディスク挿入方向X1に向かって上方向に傾斜したディスクガイド20にならって傾斜した状態で、退避位置37Aに位置するクランパユニット37と、下方に降下しているスピンドルモータ3との隙間に向かって、ゴムローラ19の回転により搬送される。このとき、蓋体2の縁部2k−1よりも上方の退避位置37Aにクランパユニット37が位置しているため、ディスクガイド20のガイド精度が悪くても、ディスク41がクランパ27に引っ掛ることなくディスク挿入方向X1の下流側に搬送される。また、隆起部2jがスピンドルモータ3のターンテーブル面3a−1に向かって下側に飛び出している分、クランパ27の上方向への退避量を減らせるため、装置を薄型化することが可能になっている。
【0081】
図7は、ディスク41の挿入側の先端部41aが、隆起部2jのディスク挿入方向X1の下流側に到達した状態を示している。ディスク41は、ディスクガイド20に案内されて斜め上方向を向きながら搬送されるため、リブ2Lに当接し、この当接状態でディスク挿入方向X1方向に搬送される。すなわち、ディスク41の挿入側の先端部41aは、リブ2L上を摺動する。
【0082】
なお、このとき、縁部2k−1とリブ2Lの高さが同一に形成されているので、ディスク41の挿入側の先端部41aがリブ2Lと引っ掛る恐れはない。また、このとき、蓋体2の下面に形成された隆起部2jのディスク挿入方向X1の下流側とディスク41との相対角度θ2が非常に小さくなっているが、ディスク41の挿入側の先端部41aが摺動するリブ2Lとディスク41との相対角度θ1は十分大きく(例えば1度以上)なっている。したがって、ディスク41の上面に埃が付着していても、その埃がリブ2Lとディスク41との間に巻き込まれる可能性が低くなり、ディスク41の傷付きが抑えられる。
【0083】
図8は、ディスク41のディスク挿入方向X1の搬送が完了した状態を示している。図8に示すように、リブ2kは、蓋体2の下面からの高さが一様に形成されているので、リブ2Lとディスク41との相対角度θ1は一定に保たれる。また、リブ2Lは、その断面形状が台形状又は円弧状に形成され、且つディスク挿入方向X1に平行に形成されているので、ディスク41とリブ2Lとの当接及び摺動面積は小さくなっている。したがって、ディスク41の上面に埃が付着していても、その埃がリブ2Lとディスク41との間に巻き込まれる可能性が低くなり、また、ディスク41に傷付きが付いたとしても、その範囲を小さく抑えることができる。
【0084】
また、ディスク41の先端部41aは、リブ2L上を摺動するので、装置厚み方向Zに振れることなく、スピンドルモータ3の芯出しリング3aとの相対距離が安定した状態で搬送される。よって、ディスク41と芯出しリング3aとの隙間を小さくすることができるので、スピンドルモータ3の下方への退避量を小さくでき、装置の薄型化を実現することができる。また、ディスク41が装置厚み方向Zに振れ無いので、ディスク41の下面(記録面)と芯出しリング3aとの接触を防止して、ディスク41の傷付きを抑えることができる。したがって、ディスク41が記録又は再生できなくなる可能性も抑えることができる。
【0085】
図9は、ディスク41をディスク記録再生位置にローディングを完了した状態を示している。このとき、ディスク41をゴムローラ19に押し付けていたディスクガイド20は上方に退避し、ディスク41は、スピンドルモータ3のターンテーブル面3a−1とクランパユニット37との間に挟まれて、蓋体2の下面に対して、傾斜した状態から平行な状態になっている。これにより、ディスク41は、リブ2Lから遠ざかり、ディスク41とリブ2Lとの間には隙間が生じて、ディスク41が回転してもリブ2Lに触れることがない。
【0086】
本発明の実施形態のディスク装置によれば、ディスクガイド20により、ディスク41の挿入側の先端部41aがターンテーブル面3a−1から遠ざかるようにディスク41を傾斜させるとともに、先端部41aがリブ2L上に当接して摺動するよう、ディスク41の移動を案内するように設けられているので、先端部41aが振れない。したがって、更なる装置の薄型化が可能となる。
また、蓋体2の開口部2kの下面側の縁部2k−1のディスク挿入方向X1の下流側の部分からディスク挿入方向X1の下流側に向かって直線状に延在するようにリブ2Lを設け、そのリブ2L上を先端部41aが当接して摺動するように構成しているので、ディスク41が蓋体2に接触する面積を小さくすることができる。したがって、ディスク41に埃が付着していたとしても、その埃がリブ2Lとディスク41との間に巻き込まれてディスク41に傷が付く可能性が低くなる。また、ディスク41に傷が付いたとしても、その範囲を小さく抑えることができる。
また、蓋体2の支持基板1との対向面に形成した開口部2kの周囲をリブ2Lの高さ分、隆起させているので、クランパユニット37の退避位置37Aを、その隆起させた量だけ支持基板1側に移動させることができる。したがって、リブ2Lを設けても、装置の厚みは厚くならない。
また、蓋体2及びリブ2Lを樹脂で形成したとしても、リブ2Lは蓋体2の下面に比べて樹脂のヒケ等の影響が少なく、精度良く形成することが可能なため、ディスク41とリブ2Lとの相対角度を精度良く保つことができる。したがって、ディスク41の傷付きを抑えることができる。
【0087】
なお、本発明の実施形態においては、ディスク装置が支持基板1を下にして横置きされるものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、支持基板1及び蓋体2を起立させてディスク装置が縦置きされてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のディスク装置は、ディスクの傷付きを抑えるとともに、更なる装置の薄型化を実現できるので、CDやDVD等のディスク状の記録媒体を、トレイを用いずに装置内にローディングするスロットインローディング機構を備えるディスク装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態にかかるディスク装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるディスク装置において、支持基板側の各部品及び装置の構成を説明するための部分斜視図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるディスク装置において、支持基板側の各部品及び装置の構成を説明するための他の部分斜視図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるディスク装置において、蓋体の各部品及び装置の構成を説明するための部分斜視図である。
【図5】本発明の実施形態にかかるディスク装置の待機状態における断面図である。
【図6】本発明の実施形態にかかるディスク装置のディスクの搬送途中の状態を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態にかかるディスク装置のディスクの搬送途中の状態を示す他の断面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかるディスク装置のディスクのローディング完了状態を示す断面図である。
【図9】発明の実施形態にかかるディスク装置の蓋体のリブの形状の一例を示した断面図である。
【図10A】本発明の実施形態にかかるディスク装置の蓋体のリブの形状の一例を示した断面図である。
【図10B】本発明の実施形態にかかるディスク装置の蓋体のリブの形状の他の一例を示した断面図である。
【符号の説明】
【0090】
1 支持基板
1b 溝
2 蓋体
2a 係合穴
2b,20a,25a,25b,30a,31a,38a 回動軸
2c 軸受部
2d,25c ピン
2e,2f 孔
2g,2h,21b,24a 軸受孔
2i ロック部
2j 隆起部
2k 開口部
2L リブ
3 スピンドルモータ
3a ロータ
3a−1 ターンテーブル面
3b 芯出しリング
3c 吸着板
3d 回転軸
3e マグネット
3f 軸受
3g コア
3h コイル
4 光ピックアップ
5 モータ
6 第1プーリ
7 ベルト
8 第2プーリ
9,12 はす歯ギヤ
10 ギヤ軸
11 ウォームギヤ
13、14 リレーギヤ
15 駆動ギヤ
16 ローラギヤ
17 スライダー
17a 突出部
17b,17c ラック
17d,35b 駆動ピン
17e,23b,36a カム溝
18 ローラ軸
19 ゴムローラ
20 ディスクガイド
20b 面
21 第1切換えレバー
21a ギヤ
21c,24b 係合溝
22,26,32,34 付勢バネ
23 回動カム
23a,31c,33b,38b 係合ピン
23c 斜面
24 第2切換えレバー
24c カム面
25 クランプレバー
25d 貫通穴
25e 爪部
27 クランパ
27a フック部
27b 突出部
28 マグネット
29 バックヨーク
29a,30c 係合孔
30 左センタリングレバー
30b,31b 位置決めピン
31 右センタリングレバー
33 ロックレバー
33a,35a 当接ピン
35 トリガーレバー
36 トリガーロッド
37 クランパユニット
38 トラバース基板
39 印刷配線基板
39a,39b 反射型フォトセンサ
39c スイッチ
40 筐体
41 ディスク
44 ディスク挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを回転可能に支持するとともに回転駆動されるターンテーブルと、
前記ターンテーブルとの間で前記ディスクを回転可能に狭持可能なクランパユニットと、
前記ターンテーブルを収容し、一側面に前記ディスクを挿入するディスク挿入口が形成されるとともに前記ターンテーブルとの対向面に前記クランパユニットが通過可能な開口部が形成され、当該開口部の前記ターンテーブル側の縁部が当該縁部の周囲から当該縁部に向かうに従い前記ターンテーブルに近づくように隆起しており、前記縁部のディスク挿入方向の下流側の部分から前記ディスク挿入方向の下流側に向かって直線状に延在するリブを備える筐体と、
前記ターンテーブル上に前記ディスクを押圧可能なディスク押圧可能位置と、前記縁部よりも前記ターンテーブルから遠ざかる側に離れた退避位置との間で前記クランパユニットを移動させるクランパ移動装置と、
前記ディスク挿入口から挿入される前記ディスクの一面に当接して、前記ディスクを前記ターンテーブルと前記クランパとの間に搬送するディスク搬送装置と、
前記ディスクの前記一面とは反対側の面に当接して、前記ディスクの挿入側の先端部が前記ターンテーブルから遠ざかるように前記ディスクを傾斜させるとともに、前記先端部が前記リブ上に当接して摺動するよう、前記ディスクの移動を案内するディスクガイド部材と、
前記ターンテーブルと前記クランパユニットとの間で狭持された前記ディスクに対して、データの記録又は再生を行う記録再生装置と、
を備えるディスク装置。
【請求項2】
前記リブは、前記ディスク挿入方向に平行で且つ前記クランパユニットの回転中心を通る平面上に位置していることを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記リブは、前記ターンテーブルとの対向面からの高さが一様に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記リブは、前記ディスク挿入方向の下流側に向かうに従い前記対向面から遠ざかるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記リブは、前記ディスクと摺動する面積が小さくなるような断面形状で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項6】
前記リブは、台形状又は円弧状の断面形状で形成されていることを特徴とする請求項5に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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