説明

ディスク装置

【課題】ディスクの中央孔に確実に嵌入させることができ、クランパからターンテーブルを離脱させるとき、ディスクに荷重が加わらないディスク装置を提供する。
【解決手段】ターンテーブル4と、クランパ12と、ディスク16又はディスク18を縦向きに保持するトレイ9とを備え、ターンテーブル4は、嵌合部4bに形成された嵌合穴4dと、嵌合部4bに配設された磁石4eとを有し、クランパ12は、嵌合部4bが嵌入する凹部12kを嵌合部4bと対向して一端側に備えたクランプ部12aと、凹部12kの中央部に突設されており、嵌合穴4dに嵌入する位置決め軸12jと、クランプ部12aの他端側に密着されたヨーク12cと、ヨーク12cに当接可能に付勢されており、クランプ部12aの周縁に穿設された複数の孔12hからディスク16又はディスク18に向けて突き出る突起部12gが突設された押圧体12eとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異径の円盤状の記録媒体を保持するディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク装置は、ターンテーブルに略水平に挿着された光ディスク及び磁気ディスク等のディスクをスピンドルモータで回転させ、ピックアップがディスクに対して半径方向に移動して情報を記録再生している。
【0003】
ディスクには種々の大きさのものがあり、直径8cmのディスク(以下、「小径ディスク」という)が使用されることもあるが、通常、直径12cmのディスク(以下、「大径ディスク」という)が多く使用されている。
このようなディスクに対応して、ディスク装置は直径の異なるディスクを駆動可能な兼用型のものが利用されている。さらに近年のディスク装置では、ディスクをトレイに縦向きに保持して占有スペースの低減を図ったものが提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
この種のディスク装置として、ディスクを縦向き姿勢で移送し、ターンテーブルに保持することができるディスク移送装置が提案されている(特許文献2)。
特許文献2に示す例では、ディスクを縦向きに載せて移送するトレイが、凹状の大径ディスク保持部と、大径ディスク保持部に同心に形成して所定量だけ段差を設けた凹状の小径ディスク保持部とを有する。小径又は大径ディスク保持部はそれぞれ小径又は大径ディスクの片面の外周縁部及び周端部に当接してディスクを縦向きに保持している。小径ディスク保持部及び大径ディスク保持部のそれぞれの外周下部に、小径ディスク及び大径ディスクそれぞれの下側の外周縁部を係止し得る爪部がクランパ側に形成されている。磁性体を備えるターンテーブルに対向して、磁石が埋設されたクランパが配設されている。
ターンテーブルは中央に円錐台部を有し、トレイがディスクをターンテーブルとクランパとの間に移送した後、ターンテーブルが待機位置からディスクに情報を記録再生させる記録再生位置に移動していくとき、ターンテーブルの円錐台部がディスクの中央に穿設された中央孔に嵌合してディスクを上方へ持ち上げていき、ターンテーブルのクランパ側への移動に伴いディスクの下側の外周縁部がトレイの爪部を乗り越えて、ターンテーブルがディスクを縦向きに支持する。そして、磁力によりクランパとターンテーブルとがディスクを挟持し、ディスクを回転させてピックアップにより記録再生するようになっている。
【特許文献1】特開2002−245701号公報
【特許文献2】特開2003−257112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献2で開示されているクランパ機構の場合、ターンテーブルの円錐台部がディスクの中央孔に嵌合していくとき、ディスクの中央孔に完全に嵌合する前に磁力により、ターンテーブルの径方向にディスクがぶれて中央孔の位置が偏芯し、円錐台部がクランパでクランプされる可能性がある。ディスクが偏芯した状態でクランプされた場合、ターンテーブルがディスクを回転させることができず、また回転できる場合でもディスクの面ぶれが極めて大きくなり、情報の記録再生が困難になる場合があり得る。
またアンローディング時に、磁石の吸着力に抗してクランパからターンテーブルを離脱させるとき、ディスクの片面の外周縁部がトレイの小径又は大径ディスク保持部に当接して保持されるようになっているため、荷重がトレイとディスクの接合面に加わり、ディスクが変形するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ターンテーブルに縦又は平置きで保持されたディスクを押圧する押圧体をクランパに備えることにより、押圧体がディスクを押圧した状態でターンテーブルの嵌合部をディスクの中央孔に確実に嵌入させることができ、クランパからターンテーブルを離脱させるとき、ディスクに荷重が加わらないディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のディスク装置は、ディスクの中央に形成された中央孔に嵌合して突出する嵌合部を有し、待機位置から該ディスクに情報を記録再生するための記録再生位置へ移動するターンテーブルと、該ターンテーブルに対向し、ディスクを保持するトレイと、前記嵌合部が嵌入する凹部を有し、前記ターンテーブルとの間でディスクを挟持して共に移動するクランパとを備え、磁石が前記ターンテーブル及びクランパのいずれかに配設されており、該クランパが前記ターンテーブルに磁力により吸着されるディスク装置において、前記クランパは前記ターンテーブル側に付勢された輪状の押圧体を前記凹部と同心に備えており、前記押圧体の外周縁には、前記ターンテーブルに向かって突出する複数の突起部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このような構成の本発明のディスク装置では、トレイがディスクを保持してターンテーブルに対向し、クランパがディスクに対向した場合、輪状の押圧体の突起部がディスクを芯出しした状態で押圧する。
ターンテーブルが待機位置からディスクの記録再生位置へ移動していくとき、突起部がディスクをターンテーブル側へ押圧した状態で、ターンテーブルの嵌合部がディスクの中央孔に嵌入して、ディスクの中央孔のターンテーブル側の周縁面がターンテーブルに当接する。
さらにターンテーブルは、押圧体を付勢する付勢力に抗してクランパ側へ移動し、突起部がディスクをターンテーブルに押圧した状態で、ターンテーブルの嵌合部がクランパの凹部に接近したとき、ターンテーブルとクランパとが吸着する距離に達し、磁石の吸着力によりクランパの凹部がターンテーブルの嵌合部に嵌合する。クランパがターンテーブルとの間でディスクの中央孔の周縁面を挟持してターンテーブルと共に移動し、ターンテーブルがディスクの記録再生位置に達する。
そして、ターンテーブルがディスク及びクランパとともに回転し、ディスクの記録再生をする。
ディスクの記録再生終了後、ターンテーブルの回転が停止して、ターンテーブルがディスクの記録再生位置から待機位置へ移動していく。ターンテーブルが待機位置へ移動していくとき、突起部がディスクをターンテーブルに押圧した状態で、ターンテーブル及びクランパがディスクを挟持して移動する。ターンテーブルが磁石の吸着力に抗して待機位置へ向けて移動して、ターンテーブルがクランパから離脱し、嵌合部及び凹部の嵌合が外れる。
【0009】
本発明のディスク装置は、前記クランパは、該クランパの縁に穿設されており、前記突起部をそれぞれ突出させる複数の孔と、前記ターンテーブルの反対側に突設されており、前記押圧体に嵌合する嵌合柱と、該嵌合柱が挿通されており、一端が前記押圧体に圧接し、他端が前記嵌合柱の先端部の側面に突設された係止部に係止されている押しバネとを有することを特徴とする。
【0010】
このような構成の本発明のディスク装置では、トレイがディスクを保持してターンテーブルに対向する。クランパがディスクに対向した場合、押しバネにより輪状の押圧体の突起部がクランパの縁の孔から突き出てディスクをターンテーブルに分担して押圧する。ターンテーブルが押しバネの付勢力に抗してクランパ側へ移動したとき、ターンテーブルがディスクを介して突起部を押すことにより突起部に圧接する押しバネの一端を押し、嵌合柱の係止部が押しバネの他端を係止して押しバネが縮み、押圧体の突起部がディスクをターンテーブルに分担して押圧する状態を維持する。
ターンテーブルが待機位置へ移動するとき、押しバネの付勢力により、輪状の押圧体の突起部がディスクをターンテーブルに分担して押圧する。
【0011】
本発明のディスク装置は、前記トレイは、開口部を前記クランパ側に有する縦置き姿勢の円盆状の第1保持部と、該第1保持部と同心に前記ターンテーブル側に前記開口部より小径の中空円柱状に凹設された第2保持部とを備え、該第2保持部は前記ターンテーブルに対向する孔を有しており、前記第1及び第2保持部の各内周面には、ディスクを縦向きに保持する各第1及び第2保持溝が周設されており、前記突起部は、前記押しバネが前記押圧体を押圧することにより前記第2保持溝の周縁まで突出するようになっていることを特徴とする。
【0012】
このような構成の本発明のディスク装置では、第1又は第2保持部の各第1又は第2保持溝が各大径又は小径のディスクを縦向きに保持してターンテーブルに対向し、クランパがディスクに対向したとき、小径のディスクでは、押圧体の突起部は、押しバネが押圧体を押圧することにより第2保持溝の周縁まで突出し、第2保持溝で保持する小径のディスクに当接する。大径のディスクでは、押圧体の突起部は、押しバネが押圧体を押圧することにより第1保持溝で保持する大径のディスクまで突出して、大径ディスクを押圧する。
ターンテーブルがトレイの貫通孔からクランパ側へ移動していくとき、突起部がディスクをターンテーブル側に押圧した状態で、ターンテーブルの嵌合部が、ディスクの中央孔に嵌入してディスクを嵌合部のテーパーに沿って第1又は第2保持溝から持ち上げて自ら保持し、ディスクの中央孔の周縁面がターンテーブルに当接する。
さらにターンテーブルは、押圧体を付勢する付勢力に抗してクランパ側へ移動し、突起部がディスクをターンテーブルに押圧した状態で、ターンテーブルの嵌合部がクランパの凹部に接近したとき、ターンテーブルとクランパとが吸着する距離に達し、磁石の吸着力によりクランパの凹部がターンテーブルの嵌合部に嵌合する。クランパとターンテーブルとの間でディスクの中央孔の周縁面を挟持して、ターンテーブルが移動し、ターンテーブルがディスクの記録再生位置に達する。
ディスクの記録再生終了後、ターンテーブルが待機位置へ移動していくとき、突起部がディスクをターンテーブルに押圧し、ターンテーブル及びクランパがディスクを挟持して移動する。ターンテーブルが磁石の吸着力に抗して移動して、ターンテーブルがクランパから離脱し、ターンテーブルの嵌合部とクランパの凹部との嵌合が外れる。
【0013】
小径のディスクの場合、嵌合部及び凹部の嵌合が外れたとき、突起部がディスクをターンテーブルに押圧する状態を維持し、ターンテーブルが移動して、ディスクの周端面が浮いた状態で第2保持溝と対向する。ディスクの周端面が第2保持溝と対向したとき、突起部がディスクに当接する状態になる。
大径のディスクの場合、嵌合部及び凹部の嵌合が外れたとき、突起部がディスクを短円筒状の第1保持部に押圧し、さらにターンテーブルが待機位置へ移動したとき、突起部がディスクを短円筒状の第1保持部に押圧した状態を維持する。
【0014】
本発明のディスク装置は、前記クランパを遊嵌するクランパホルダを備えており、該クランパホルダは、前記嵌合部と同心に形成された孔と、該孔に嵌着されており、溝が内周面に形成されたリングとを備え、前記クランパは円皿状をなし、該クランパと同心に輪状の突起を外向きに突設した突起輪が、前記リングに遊嵌していることを特徴とする。
【0015】
このような構成の本発明のディスク装置では、ターンテーブルの嵌合部がクランパの凹部に嵌入し、磁石の吸着力によりターンテーブルとクランパとがディスクを挟持する。クランパはターンテーブルの移動に従い、クランパの突起輪がクランパホルダのリングの溝の幅方向に移動し、クランパホルダがクランパの突起輪を拘束しない位置で、ターンテーブルがディスクの記録再生位置に達する。
ディスクの記録再生終了後、ターンテーブルが待機位置へ移動していくとき、突起部がディスクをターンテーブルに押圧し、ターンテーブル及びクランパがディスクを挟持して、クランパの突起輪がクランパホルダのリングの溝を幅方向に逆移動する。クランパの突起輪がリングの溝のターンテーブル側の内周に当接する位置に来たとき、クランパホルダがクランパを係止してクランパのターンテーブル側への移動を阻止する。
ターンテーブルが磁石の吸着力に抗して移動して、ターンテーブルがクランパから離脱し、ターンテーブルの嵌合部及びクランパの凹部の嵌合が外れる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のディスク装置は、ターンテーブルに縦又は平置きで保持されたディスクを押圧する押圧体が、ターンテーブルの嵌合部がディスクの中央孔に嵌入していくとき、ディスクをターンテーブル側に押圧した状態を維持しているので、ディスクがターンテーブルの径方向にぶれて偏芯せず、ターンテーブルの嵌合部をディスクの中央孔に確実に嵌入させることができるという効果を有する。
さらに本発明のディスク装置は、クランパホルダがクランパの離脱時の移動を阻止している場合、ターンテーブルがクランパから離脱するときにディスクに荷重が加わらず、クランパからターンテーブルを離脱させることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明によるディスク装置の好適な実施の形態を、ターンテーブルにディスクを縦置きにして、ターンテーブルとの間でディスクをクランプするクランパの例を挙げて説明する。
なお、断面図において一部ハッチングを省略した。
図1は本実施の形態に係る縦型のディスク装置を前方から視た斜視図、図2はクランパ機構の部分側断面図、図3はクランパの正面図、図4はディスク装置のトレイを取り出した状態を前方から視た斜視図である。
本実施の形態に係るディスク装置は、正面視矩形状の長手方向が横向きの筐体1を有し、筐体1の正面の略中央部から一側部側にピックアップ6が移動するための横長の矩形孔1aが形成されている。筐体1内の略中央部に、例えば直径8cmのディスク16又は直径12cmのディスク18を縦向きに保持して回転させるターンテーブル4が、ディスク16、18を当接させる面を鉛直にして、筐体1の正面側に向けて備えられている。
【0018】
ターンテーブル4に保持された、例えばディスク16又はディスク18に情報を記録し又は再生するためのピックアップ6と、ディスク16又はディスク18の半径方向にピックアップ6を駆動する駆動機構8とが、ターンテーブル4近傍の筐体1内に収容されている。
ターンテーブル4及びピックアップ6は矩形孔1aにて露出しており、ターンテーブル4近傍から矩形孔1aの一短辺端までがピックアップ6の移動域になっている。
【0019】
ターンテーブル4に対向して、ディスク16又はディスク18を縦向きに保持可能な横長の矩形板状のトレイ9が縦向きに配設されている。
横長矩形板状のクランパホルダ14が、トレイ9の外側に対向して設けられており、筐体1の前部のカバーになっている。クランパホルダ14は、ターンテーブル4とともにディスク16又はディスク18を挟持するクランパ12を中央部に備えている。
【0020】
ターンテーブル4と、トレイ9と、トレイ9を介してターンテーブル4に対向するクランパ12とが、図2で示す縦型のクランパ機構を構成している。
ターンテーブル4は、円柱状の基台4aを有し、基台4aの後端にスピンドルモータ(図示せず)の回転軸7が連結されている。基台4aの中央部に形成された回転軸4gに、基台4aよりも大径の円盤4cが同心に形成されている。円盤4cの中央部に同心に円錐台状の嵌合部4bが形成されている。嵌合部4bはディスク16、18の中央に穿設された中央孔16c、18cに嵌合可能になっている。
【0021】
嵌合部4bは円柱台4fと円錐台4hとを一体化して形成したものであり、円錐台4hは大径側を円柱台4fと同径にし、小径側をトレイ9側に向けて形成されている。円錐台4hの先端の中央には、クランパ12の位置決め軸12jを嵌合させる円穴状の嵌合穴4dが形成されている。
円柱台4fの直径はディスク16及びディスク18のそれぞれの中央孔16c、18cの直径と略同寸法であり、円柱台4f及び円錐台4hの高さは、それぞれディスク16、18の厚さ程度にしてある。円柱台4fは、中央孔16c、18cに嵌入してディスク16、18を縦向きに支持するようにしてある。
【0022】
ターンテーブル4は合成樹脂製であり、円錐台4hの小径側に同心に円盤状の磁石4eが埋設されている。
【0023】
トレイ9には、ターンテーブル4と同心の第2保持部10及び第1保持部11が形成されている。第2保持部10の中央部、換言すればトレイ9の中央部には、ターンテーブル4の円盤4cの直径よりも少し大径の貫通孔9bが同心に半円状に穿設されている。筐体1の矩形孔1aの周縁に対向する周縁を有する横長矩形状の貫通孔9cが、貫通孔9bから横方向に連設されている。
貫通孔9cを通して、ピックアップ6がトレイ9に保持されたディスク16又はディスク18の記録面に対面するようになっており、ターンテーブル4が貫通孔9bを前後方向に、ターンテーブル4の待機位置からディスク16、18の記録再生位置まで移動可能になっている。
【0024】
トレイ9の中央部には、ターンテーブル4側に位置するように、直径8cmよりやや大きい縦向きの短円筒状の凹部10aからなる第2保持部10が、第2開口部10bを前側にして形成されている。貫通孔9bは凹部10aの略中央から凹部10aの一側部を切り欠いて穿設されており、凹部10aにある貫通孔9bの周縁面の前側が、直径8cmよりやや大きいディスク当接面10eになっている。
【0025】
第2開口部10bの外周に、直径12cmよりやや大きい縦向きの短円筒状の凹部11aからなる第1保持部11が、第2保持部10と同心に形成されている。
第2開口部10bの周縁面が、直径12cmよりやや大きいディスク当接面11eになっている。
凹部10a及び凹部11aの奥行きは、それぞれ支持するディスク16、18の厚さの3倍程度にしている。
【0026】
第2保持部10の凹部10aの内周面には、V字形の溝10cが周設されている。溝10cの最深部には、ディスク16を縦向きにして保持するために、ディスク16の厚さと略同寸法の幅のコの字形の第2保持溝10dが周設されている。
【0027】
第1保持部11の凹部11aの内周面には、V字形の溝11cが周設されており、溝11cの最深部にはディスク18を縦向きにして保持するために、ディスク18の厚さと略同寸法の幅のコの字形の第1保持溝11dが周設されている。
なお、図2中の符号11bは、第1保持部11の第1開口部を示す。
【0028】
ターンテーブル4との間でディスク16又はディスク18を挟持するクランパ12は、縦向き円皿状のクランプ部12aを有し、クランプ部12aの前面の中央部に嵌合柱である円柱状の基軸12bが突設されている。
クランプ部12aの後面には、ターンテーブル4の嵌合部4bが嵌合可能な末広がり円錐台状の凹部12kが、形成されている。凹部12kの奥行きは、ディスク16、18の厚さ程度にしてある。凹部12kの中央部には、ターンテーブル4の位置決めをするための及び回転軸を一致させるための円柱台状の位置決め軸12jが、基軸12bと同心に突設されている。位置決め軸12jの先端は、凹部12kの周縁より少し低くなっており、位置決め軸12jの直径と基軸12bの直径とは略同寸法になっている。
【0029】
クランプ部12aの前面に、基軸12bに嵌合した輪状のヨーク12cが、貼着されている。基軸12bに遊嵌してヨーク12cに当接することが可能な輪状の押圧体12eが、クランプ部12aの前面側に備えられている。ヨーク12cは、通常、軟鉄板であるが、磁石4eに吸着するものであれば材質は問わない。
ターンテーブル4の移動により、磁石4eを埋設した嵌合部4bが、凹部12kの周縁からディスク16、18の厚さ程度の距離に接近したとき、磁石4eとヨーク12cとが吸着するように設定されている。位置決め軸12jがターンテーブル4の嵌合部4bの嵌合穴4dに嵌合したとき、凹部12kに嵌合部4bが嵌合するようになっている。
【0030】
基軸12bは押しバネ12dに挿通しており、基軸12bの前端部は側面に突出する係止部である鍔状の凸部12fになっている。押しバネ12dの一端は押圧体12eに圧接し、他端が凸部12fに係止されている。押圧体12eはクランパ12の後側へ、即ちターンテーブル4側へ押しバネ12dで付勢されている。
押圧体12eの周縁の三等配の位置に三個の突起部12g、12g、12gが後側に突設されており、各突起部12gがクランプ部12aの周縁に穿設された三個の孔12h、12h、12hからクランプ部12aの後側のターンテーブル4へ向けて突き出ている。
【0031】
押圧体12eがヨーク12cに当接しているとき、押圧体12eの突起部12gは、第2保持部10のコの字形の第2保持溝10dで縦向きに保持されるディスク16の前面を押圧するようにしてある。
【0032】
クランパ12はクランパホルダ14に保持されている。クランパホルダ14の中央部に孔14aが穿設されており、孔14aに輪状のリング15が嵌着されている。リング15には、コの字形のリング溝15aが内向きに形成されている。
クランプ部12aの外周と同心に、輪状の突起輪12nが外向きに突設されている。クランプ部12aの突起輪12nがリング溝15aに遊嵌しており、クランパ12はリング溝15aの幅の範囲でターンテーブル4とともに前後方向に移動可能になっている。
【0033】
ターンテーブル4のディスクの記録再生位置は、8cmのディスク16及び12cmのディスク18、両方とも同一の位置にある。ターンテーブル4とクランパ12とがディスク16又はディスク18を磁力により挟持して、リング溝15aの幅の範囲内を移動して、ディスク16又はディスク18の周端面が、第1保持部11の第1保持溝11dに対向し、クランパ12がクランパホルダ14に拘束されない位置になったとき、ターンテーブル4がディスクの記録再生位置に達するようにしてある。
【0034】
ところで、図4に示すように、筐体1の前面の両側縁には、柱状のガイドレール2、2が縦方向に配設されている。トレイ9の両側の各後端部に外向きに突設された突起部9a、9aが、ガイドレール2、2のガイド孔2a、2aに嵌入して摺動可能になっている。トレイ9の両側の中央部がL字状のレバー3、3の先端部3a、3aに回動可能に軸支されており、突起部9a、9aがガイド孔2a、2aの下端部2c、2cに当接したとき、レバー3、3がトレイ9を水平に保持するようになっている。レバー3の基部はトレイ9をガイドレール2に沿って移動させる歯車機構5の回動軸(図示せず)に連結している。
トレイ9が水平に保持されているとき、クランパホルダ14はトレイ9の下側で水平になっている。
【0035】
制御回路(図示せず)がモータ5aを駆動することにより歯車機構5の各歯車が回動して、トレイ9がガイドレール2に沿って移動し、トレイ9の突起部9aが、ガイド孔2aの上端部2bに当接したとき、トレイ9が鉛直になると同時にクランパホルダ14が水平位置から回動を始めるようになっており、クランパホルダ14が鉛直になったとき、歯車機構5が停止するようになっている。
【0036】
次に本実施の形態に係るディスク装置の作用について説明する。
先ず直径8cmのディスク16のローディング及びアンローディングについて説明する。
図5は本実施の形態に係るディスク装置がディスクを挟持した状態を示す側断面図、図6はディスクの挟持を解除した状態を示す側断面図である。
図1に示すように、先ず、スイッチ(図示せず)をオンにしたとき、ディスク装置の制御回路(図示せず)は、モータ5aを駆動し、歯車機構5の回動と連動して、クランパホルダ14が回動して前側に開いていく。クランパホルダ14が開いて水平になると同時に歯車機構5によりレバー3、3が回動を開始する。レバー3、3が前側へ回動していくとき、トレイ9の突起部9a、9aがガイドレール2、2を下方へ摺動していく。レバー3、3はトレイ9を保持して前側に回動していくとともにトレイ9の前面を上側に向けていき、図4に示すように、トレイ9が水平になったとき、モータ5aが停止し、スイッチがオフになる。
【0037】
次に、第2保持部10のディスク当接面10eにディスク16を載置して、スイッチをオンにしたとき、制御回路はモータ5aを駆動し、歯車機構5の回動と連動してレバー3、3が後側へ回動していき、トレイ9の突起部9a、9aがガイドレール2、2を上側に摺動し、トレイ9が縦向きに立ち上がっていく。
【0038】
突起部9a、9aがガイドトール2、2の上端部2b、2bに当接したとき、トレイ9が鉛直になり、ディスク16の後側の周縁面がV字形の溝10cの後側の周面に沿って落下して、ディスク16の下側の周端が第2保持溝10dに嵌入し、第2保持部10がディスク16を縦向きに保持する。
【0039】
トレイ9が鉛直になると同時に、歯車機構5によりクランパホルダ14が回動を開始し、クランパ12がディスク16に対向していき、クランパホルダ14が鉛直になると同時に押圧体12eの突起部12gがディスク16の前面を押圧する。
【0040】
クランパホルダ14が鉛直になると同時に、ターンテーブル4が待機していた待機位置からディスクの記録再生位置に移動していき、ターンテーブル4の嵌合部4bがディスク16の中央孔16cに嵌入していく。嵌合部4bがディスク16の中央孔16cに嵌入していくとき、押圧体12eの突起部12gがディスク16を押圧した状態で、ターンテーブル4がディスク16を持ち上げてセンタリングしていき、円柱台4fがディスク16の中央孔16cに嵌入すると同時に、円錐台4hが中央孔16cから突出し、ターンテーブル4の円盤4cの周縁面がディスク16の中央孔16cの周縁面に当接して、突起部12gがディスク16をターンテーブル4に押圧する。
【0041】
さらにターンテーブル4は、押圧体12eを付勢する付勢力に抗してディスク16の記録再生位置方向へ移動し、突起部12gがディスク16をターンテーブル4に押圧した状態で、嵌合部4bがクランプ部12aの凹部12kの周縁にディスク16の厚さ程度の距離に接近したとき、磁石4eとヨーク12cとが吸着する設定距離に達し、磁石4e及びヨーク12cの吸引力により、クランパ12がターンテーブル4との間でディスク16を挟持する。
【0042】
クランパ12がターンテーブル4との間でディスク16を挟持するとき、クランパ12が移動可能範囲、即ちリング溝15aの幅の範囲をターンテーブル4側へ移動して、クランパ12の輪状の突起輪12nが、リング溝15aのターンテーブル4側の内周面に当接する。
クランパ12がターンテーブル4との間でディスク16を挟持したとき、クランパ12の凹部12kが嵌合部4bの円錐台4hに嵌合し、位置決め軸12jが円錐台4hの嵌合穴4dに嵌合して、ターンテーブル4の回転軸とクランパ12の回転軸とが一致し、ターンテーブル4とクランパ12とがディスク16の中央孔16cの周縁面を挟持して密着する。
【0043】
ターンテーブル4とクランパ12とがディスク16を挟持した状態で、ターンテーブル4の移動に伴い、クランパ12がリング溝15aの幅方向に移動して、ディスク16の周端面が浮いた状態で第1保持部11の第1保持溝11dと対向する位置になったとき、ターンテーブル4がディスク16の記録再生位置に達する。
【0044】
ターンテーブル4がディスク16の記録再生位置に達したとき、クランパ12の輪状の突起輪12nが、クランパホルダ14のリング溝15aの略中央に位置して、クランパ12がクランパホルダ14に拘束されない位置で、ターンテーブル4はクランパ12を保持する。
【0045】
そして、ターンテーブル4が回転し、ターンテーブル4とクランパ12とがディスク16を挟持した状態で、ディスク16が回転する。次いで、ピックアップ6がホームポジションから駆動機構8によりディスク16の半径方向へ横向きに移動してディスク16に情報を記録し又は再生する。
ディスク16の記録再生終了後、ピックアップ6がホームポジションに戻り、ターンテーブル4の回転が停止し、ターンテーブル4が後側の待機位置に戻っていく。
【0046】
ターンテーブル4が後側の待機位置へ移動していくとき、突起部12gがディスク16をターンテーブル4に押圧し、ターンテーブル4及びクランパ12がディスク16を挟持した密着状態で移動する。クランパ12が移動可能範囲であるリング溝15aの幅方向に移動して、クランパ12の突起輪12nがクランパホルダ14のリング溝15aのターンテーブル4側の内周面に当接する。突起輪12nがリング溝15aの内周面に当接する位置に来たとき、クランパホルダ14がクランパ12を係止してクランパ12のターンテーブル4側への移動を阻止する。
ターンテーブル4が磁石4e及びヨーク12cの吸着力に抗して後側へ移動して、ターンテーブル4がクランパ12から離脱し、嵌合部4bの円錐台4hとクランプ部12aの凹部12kとの嵌合及び位置決め軸12jと嵌合穴4dとの嵌合が外れる。
【0047】
押しバネ12dの付勢力によりターンテーブル4及び押圧体12eの突起部12g、12g、12gは、ディスク16を挟持してターンテーブル4の移動とともに後側へ移動し、押圧体12eがクランプ部12aのヨーク12cに当接する。
【0048】
押圧体12eがヨーク12cに当接したとき、押圧体12eの突起部12gがディスク16をターンテーブル4に押圧する状態から当接する状態になり、ターンテーブル4の円柱台4fがディスク16を保持する。さらにターンテーブル4が後側へ移動していくとき、ディスク16の周縁面が凹部10aのディスク当接面10eに当接して、円柱台4fと中央孔16cとの嵌合が外れ、ディスク16が凹部10aのV字形の溝10cの後側の周面に沿って落下し、コの字形の第2保持溝10dに嵌り、第2保持部10はディスク16を縦向きに保持する。
【0049】
ディスク16をアンローディングする場合、スイッチをオンにしたとき、ディスク装置の制御回路は、モータ5aを駆動し、歯車機構5の回動と連動して、クランパホルダ14が回動して前側に開いていく。クランパホルダ14が開いて水平になると同時に歯車機構5によりレバー3、3が回動を開始する。レバー3、3が前側へ回動していくと、トレイ9の突起部9a、9aがガイドレール2、2を下方へ摺動していく。レバー3、3はトレイ9を保持して前側に回動していくとともにトレイ9の前面を上側に向けていき、図4に示すように、トレイ9が水平になったとき、モータ5aが停止し、スイッチがオフになる。
最後に、トレイ9の第2保持部10からディスク16を取り出す。
【0050】
次に直径12cmのディスク18のローディング及びアンローディングについて説明する。
図7は本実施の形態に係るディスク装置がディスクを挟持した状態を示す側断面図、図8はディスクの挟持を解除した状態を示す側断面図である。
図4に示すように、先ず、トレイ9が水平になっている状態で、第1保持部11のディスク当接面11eにディスク18を載置して、スイッチをオンにしたとき、制御回路はモータ5aを駆動し、歯車機構5の回動と連動してレバー3、3が後側へ回動していき、トレイ9の突起部9a、9aがガイドレール2、2を上方に摺動し、トレイ9が立ち上がっていく。
【0051】
突起部9a、9aがガイド孔2a、2aの上端部2b、2bにそれぞれ当接したとき、トレイ9が鉛直になり、ディスク18の後側の周縁面がV字形の溝11cの後側の周面に沿って落下して、ディスクの下側の周端が第1保持溝11dに嵌入し、第1保持部11がディスク18を縦向きに保持する。
【0052】
トレイ9が鉛直になると同時に、歯車機構5によりクランパホルダ14が回動を開始し、クランパ12がディスク18に対向して、押圧体12eの突起部12gがディスク18を押圧する。突起部12gがディスク18を押圧するとき、ディスク18がV字形の溝11cの後側の周面を少しずり上がって傾き、ディスク18の上側の周端が第1保持部11のディスク当接面11eに当接する。
クランパホルダ14が鉛直になったとき、押圧体12eの突起部12gが、押しバネ12dの付勢力によりディスク18に凹部11aのディスク当接面11eに押しつけて保持する。
【0053】
次いで、クランパホルダ14が鉛直になると同時に、ターンテーブル4が待機位置からディスクの記録再生位置に移動していく。ターンテーブル4がトレイ9の貫通孔9bからディスク18の記録再生位置に移動していくとき、突起部12gがディスク18をディスク当接面11eに押圧した状態で、ターンテーブル4の嵌合部4bがディスク18の中央孔18cに嵌入し、ディスク18を持ち上げる。嵌合部4bがディスク18を持ち上げたとき、ディスク18の下側の周端がコの字形の第1保持溝11dから抜け出て、ディスク18の後側の周縁面が、第1保持部11のV字形の溝11cの後側の周面に沿って上側へ摺動して第1保持部11のディスク当接面11eに均等に当接する。
突起部12gがディスク18をディスク当接面11eに押圧した状態で、ターンテーブル4が前側へ移動していくとき、円柱台4fがディスク18の中央孔18cに嵌入して、円錐台4hが中央孔18cから突出する。
【0054】
ターンテーブル4が、押圧体12eを付勢する付勢力に抗してディスク18の記録再生位置方向へ移動していくとき、突起部12gがディスク18をターンテーブル4に押圧する。ターンテーブル4の嵌合部4bがクランプ部12aの凹部12kの周縁からディスク18の厚さ程度の距離に接近したとき、磁石4eとヨーク12cとが吸着する設定距離に達し、磁石4e及びヨーク12cの吸引力により、クランパ12がターンテーブル4との間でディスク18を挟持する。
【0055】
クランパ12がターンテーブル4との間でディスク18を挟持するとき、クランパ12が移動可能範囲、即ちリング溝15aの幅の範囲をターンテーブル4側へ移動して、クランパ12の輪状の突起輪12nが、リング溝15aのターンテーブル4側の内周面に当接する。
クランパ12がターンテーブル4との間でディスク18を挟持したとき、クランパ12の凹部12kが嵌合部4bの円錐台4hに嵌合し、位置決め軸12jが円錐台4hの嵌合穴4dに嵌合して、ターンテーブル4の回転軸とクランパ12の回転軸とが一致し、ターンテーブル4とクランパ12とがディスク18の中央孔18cの周縁面を挟持して密着する。
【0056】
ターンテーブル4とクランパ12とがディスク18を挟持して移動し、クランパ12がリング溝15aの幅方向に移動して、ディスク18の周端面が浮いた状態で第1保持部11の第1保持溝11dと対向する位置になったとき、ターンテーブル4がディスク18の記録再生位置に達する。
【0057】
ターンテーブル4がディスク18の記録再生位置に達したとき、クランパ12の輪状の突起輪12nが、クランパホルダ14のリング溝15aの略中央に位置して、クランパ12がクランパホルダ14に拘束されない位置で、ターンテーブル4はクランパ12を保持する。
【0058】
そして、ターンテーブル4が回転し、ターンテーブル4とクランパ12とがディスク18を挟持した状態で、ディスク18が回転する。次いで、ピックアップ6がホームポジションから駆動機構8によりディスク18の半径方向へ横向きに移動してディスク18に情報を記録し又は再生する。
ディスク18の記録再生終了後、ピックアップ6がホームポジションに戻り、ターンテーブル4の回転が停止し、ターンテーブル4が後側の待機位置に戻っていく。
【0059】
ターンテーブル4が後側へ移動していくとき、クランパ12の突起輪12nがクランパホルダ14のリング溝15aのターンテーブル4側の内周面に当接し、クランパホルダ14がクランパ12を係止してクランパ12のターンテーブル4側への移動を阻止する。
ターンテーブル4が磁石4e及びヨーク12cの吸着力に抗して後側へ移動して、ターンテーブル4がクランパ12から離脱し、嵌合部4bの円錐台4hとクランプ部12aの凹部12kとの嵌合及び嵌合穴4dと位置決め軸12jとの嵌合が外れ、ディスク18が凹部11aのディスク当接面11eに当接する。
【0060】
さらにターンテーブル4が後側へ移動したとき、突起部12gがディスク18をディスク当接面11eに押圧した状態で、ディスク18の中央孔18cと円柱台4fとの嵌合が外れ、押圧体12eは押しバネ12dの付勢力により押圧状態を維持する。
最後に、ターンテーブル4が待機位置に戻って待機状態になる。
【0061】
ディスク18をアンローディングする場合、スイッチをオンにしたとき、ディスク装置の制御回路はモータ5aを駆動し、歯車機構5の回動と連動して、クランパホルダ14が回動して前側に開いていく。クランパホルダ14が開いていくとき、押圧体12eの突起部12gはディスク18を押圧した状態を維持して、押しバネ12dが押圧体12eを押圧した状態で延びていき、押圧体12eがヨーク12cに当接する。
押圧体12eがヨーク12cに当接したとき、押圧体12eの突起部12gがディスク18から離れ、ディスク18が凹部11aのV字形の溝11cに沿って落下して、コの字形の第1保持溝11dに嵌り、第1保持部11はディスク18を縦向きに保持する。
【0062】
クランパホルダ14が開いて水平になると同時に歯車機構5によりレバー3が回動を開始する。レバー3、3が前側へ回動していくと、トレイ9の突起部9a、9aがガイドレール2、2を下方へ摺動していく。レバー3はトレイ9を保持して前側に回動していくとともにトレイ9の前面を上側に向けていき、図4に示すように、トレイ9が水平になったとき、モータ5aが停止し、スイッチがオフになる。
トレイ9からディスク18を取り出し、スイッチをオンにしたとき、トレイ9が回動し鉛直になると同時にクランパホルダ14が回動を開始して閉じた状態になり、スイッチがオフになる。
【0063】
このような構成の本実施の形態に係るディスク装置では、押圧体12eがディスク16又はディスク18を押圧した状態でディスク16又はディスク18がターンテーブル4の移動方向にぶれず、ターンテーブル4の嵌合部4bをディスク16又はディスク18のそれぞれの中央孔16c、18cに嵌入させて確実にセンタリングすることができる。また、クランパホルダ14のリング溝15aがクランパ12の突起輪12nを係止することにより、クランパ12の移動を阻止して、押圧体12eの突起部12gがディスク16又はディスク18をクランパ12から引き離す方向に押圧しているので、ディスク16又はディスク18の周縁面に荷重をかけずにクランパ12からターンテーブル4を離脱させることができる。さらに、ディスク16のアンローディング時に、ターンテーブル4がディスク16を保持した状態で、押圧体12eの突起部12gがディスク16を押圧し、ディスク16の周端面が浮いた状態で第2保持溝10dと対向する位置になっているので、ターンテーブル4が待機位置に戻ったとき、第2保持部10がディスク16を確実に保持することができる。またディスク16よりも大径のディスク18の場合、ディスク18のアンローディング時に、押圧体12eの突起部12gがディスク18を第1保持部11のディスク当接面11eに押圧した状態を維持しているので、クランパ12が解除状態になったとき、第1保持部11がディスク18を確実に保持することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、ターンテーブル4に磁石4eを配設し、クランパ12にヨーク12cを配設した例を挙げたが、これに限らず、ターンテーブル4にヨークを配設し、クランパ12に磁石を配設するようにしてもよい。またトレイ9がディスク16又はディスク18を水平から縦向きに移送する例を挙げたが、ターンテーブル4に対して、対向する縦向きのトレイを縦向き姿勢で出し入れするようにしてもよい。この場合、クランパがターンテーブルとともにディスクの記録再生位置に対向して移動するようにすればよい。
さらに本実施の形態に係るクランパ12を備えるディスク装置は、ターンテーブルにディスクを縦置き又は平置きにするいずれのタイプにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態に係る縦型のディスク装置を前方から視た斜視図である。
【図2】クランパ機構の部分側断面図である。
【図3】クランパの正面図である。
【図4】ディスク装置のトレイを取り出した状態を前方から視た斜視図である。
【図5】本実施の形態に係るディスク装置がディスクを挟持した状態を示す側断面図である。
【図6】ディスクの挟持を解除した状態を示す側断面図である。
【図7】本実施の形態に係るディスク装置がディスクを挟持した状態を示す側断面図である。
【図8】ディスクの挟持を解除した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0066】
4 ターンテーブル
4b 嵌合部
4e 磁石
9 トレイ
9b 貫通孔
10 第2保持部
10b 第2開口部
10d 第2保持溝
11d 第1保持溝
11 第1保持部
11b 第1開口部
12 クランパ
12b 基軸(嵌合柱)
12d 押しバネ
12e 押圧体
12f 凸部(係止部)
12g 突起部
12k 凹部
12n 突起輪
14 クランパホルダ
14a 孔
15 リング
15a リング溝
16、18 ディスク
16c、18c 中央孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの中央に形成された中央孔に嵌合して突出する嵌合部を有し、待機位置から該ディスクに情報を記録再生するための記録再生位置へ移動するターンテーブルと、
該ターンテーブルに対向し、ディスクを保持するトレイと、
前記嵌合部が嵌入する凹部を有し、前記ターンテーブルとの間でディスクを挟持して共に移動するクランパと
を備え、
磁石が前記ターンテーブル及びクランパのいずれかに配設されており、該クランパが前記ターンテーブルに磁力により吸着されるディスク装置において、
前記クランパは前記ターンテーブル側に付勢された輪状の押圧体を前記凹部と同心に備えており、
前記押圧体の外周縁には、前記ターンテーブルに向かって突出する複数の突起部が設けられていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記クランパは、
該クランパの縁に穿設されており、前記突起部をそれぞれ突出させる複数の孔と、
前記ターンテーブルの反対側に突設されており、前記押圧体に嵌合する嵌合柱と、
該嵌合柱が挿通されており、一端が前記押圧体に圧接し、他端が前記嵌合柱の先端部の側面に突設された係止部に係止されている押しバネと
を有することを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記トレイは、
開口部を前記クランパ側に有する縦置き姿勢の円盆状の第1保持部と、
該第1保持部と同心に前記ターンテーブル側に前記開口部より小径の中空円柱状に凹設された第2保持部と
を備え、
該第2保持部は前記ターンテーブルに対向する孔を有しており、
前記第1及び第2保持部の各内周面には、ディスクを縦向きに保持する各第1及び第2保持溝が周設されており、
前記突起部は、前記押しバネが前記押圧体を押圧することにより前記第2保持溝の周縁まで突出するようになっていることを特徴とする請求項2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記クランパを遊嵌するクランパホルダを備えており、
該クランパホルダは、
前記嵌合部と同心に形成された孔と、
該孔に嵌着されており、溝が内周面に形成されたリングと
を備え、
前記クランパは円皿状をなし、該クランパと同心に輪状の突起を外向きに突設した突起輪が、前記リングに遊嵌していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−37675(P2009−37675A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199928(P2007−199928)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】