説明

ディスク装置

【課題】ディスクの高速回転時に生じるディスク浮上力を抑制することができる、低コストのディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスク装置は、ディスク2を載置して装置本体の内部と外部との間を搬送するトレイ5と、トレイ5により装置本体内に収納されたディスク2を保持して回転させるターンテーブル3と、ターンテーブル3との間でディスクを挟持するクランパ7とを備える。また、トレイ5を覆うように、板金で構成されたクランパ保持部材6が備えられ、このクランパ保持部材6は、クランパ7が収容される円形の開口部であるクランパ収容部6aを有している。クランパ保持部材6のディスク2と対向する側には、クランパ収容部6aと同心の円を均等分割するように、クランパ収容部6aの近傍から、ディスク2の外周部と対向する部分に向けて直線状に延在する複数の突起部6bが絞り加工により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等のディスクに対して情報の記録または再生を行うディスク装置に関し、特に、ディスクが高速で回転する際に生じるディスクの浮上力を抑制することが可能なディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CDやDVD等のディスクを装着して回転させ、光ピックアップにより情報を記録または再生するディスク装置が知られている。ディスク装置は、ディスクを回転させるため、スピンドルモータにより回転するターンテーブルと、ターンテーブル上でディスクを保持するクランプ機構(クランパ)とを備えている。
【0003】
このようなディスク装置では、ディスクの回転に伴って、ディスク表面の近傍の空気が、ディスクの内周から外周に向けてスパイラル状に流れる。その結果、ディスクの記録再生面(以下、ディスク下面と称する)とは反対のラベル面(以下、ディスク上面と称する)側の内周部分において圧力低下が生じる。一方、ディスク下面側の内周部分では、ディスク上面側の内周部分ほど圧力が低下しないため、この圧力差によって、ディスク下面側からディスク上面側に向かう浮上力が生じる。この浮上力はディスクの回転数と共に増大し、ディスクを9000rpmで高速回転させた場合には、浮上力によってクランプ機構のクランプ力が減少し、ディスクが振動して安定した記録再生ができなくなり、また、外部からの振動によってディスクがターンテーブルから外れることがあった。
【0004】
このようにディスクに作用する浮上力(以下、ディスク浮上力と称する)を抑制するため、例えば、特許文献1では、クランパを保持するクランパ保持部材のディスクと対向する側に2つの突起部を設けることにより、ディスク回転時の空気の流れを変え、ディスク上面側の圧力低下を抑える技術が開示されている。また、特許文献2では、クランパ保持部材のディスク側の面に、円弧状曲線に沿って延在する複数の突起部を形成することにより、ディスク回転時の空気の流れを変え、ディスク上面側の圧力低下を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−285555号公報(段落0023、図1)
【特許文献2】特開2006−344346号公報(段落0010、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、クランパ保持部材のディスク側に矩形状の微小な2つの突起を設けた構成であるため、ディスクの高速回転時に空気の流れを変えるには不十分であり、ディスク浮上力を十分に抑制することは難しい。また、特許文献2に開示された技術では、突起部が円弧状曲線に沿って延在するという複雑形状のため、クランパ保持部材を、板金ではなく、樹脂で製造する必要がある。クランパ保持部材を樹脂で製造すると、板金で製造した場合と比較して材料費や金型費用が高い上に、単位時間当たりに製造できる数量は、板金で製造した場合の100分の1程度となる。従って、特許文献2に開示されている技術では、クランパ保持部材の部品コストが増加し、その結果、ディスク装置全体の製造コストが増加することとなる。
【0007】
本発明は、以上のような結果を鑑み、板金製のクランパ保持部材を用いて、ディスクの高速回転時に発生するディスク浮上力を抑制することができる低コストのディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るディスク装置は、ディスクを載置して装置本体の内部と外部との間を搬送するトレイと、トレイにより装置本体内に収納されたディスクを保持して回転させるターンテーブルと、ターンテーブルとの間でディスクを挟持するクランパと、クランパを収容する円形の開口部であるクランパ収容部を有し、トレイを覆うように配置され、板金で構成されたクランパ保持部材とを備える。クランパ保持部材のディスクと対向する側には、クランパ収容部と同心の円を均等分割するように、クランパ収容部の近傍から、ディスクの外周部と対向する部分に向けて直線状に延在する複数の突起部が絞り加工により形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、板金製のクランパ保持部材の裏面側(ディスクと対向する側)に設けた複数の直線状の突起部により、ディスクの高速回転時にディスクに作用する浮上力を効果的に抑制することができる。また、クランパ保持部材の突起部が板金の絞り加工によって形成されるため、クランパ保持部材の部品コストを低減することができ、その結果、ディスク装置の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるディスク装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材をディスク側から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材の突起部の断面形状を示す図である。
【図4】ディスク装置におけるディスク上面近傍の空気の流れを示す斜視図である。
【図5】ディスク装置における一般的なクランパ保持部材の裏面近傍での空気の流れを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材の裏面近傍での空気の流れを示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材の裏面近傍での空気の流れの解析結果を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材の突起部によるディスク浮上力の抑制効果を示すグラフである。
【図9】本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材の突起部の個数とディスク浮上力との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材の突起部の高さとディスク浮上力との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材の突起部の絞り勾配とディスク浮上力との関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材の突起部の外端部までの半径とディスク浮上力との関係を示すグラフである。
【図13】本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材の突起部の内端部までの半径とディスク浮上力との関係を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態1において、クランパ保持部材が突起部を有さない場合(a)と突起部を有する場合(b)の振動モードの解析結果を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態2におけるクランパ保持部材をディスク側から見た斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態2における突起部のオフセット量を説明するための図である。
【図17】本発明の実施の形態2におけるクランパ保持部材の突起部のオフセット量とディスク浮上力との関係を示すグラフである。
【図18】本発明の実施の形態2におけるクランパ保持部材の裏面近傍での空気の流れの解析結果を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態2におけるクランパ保持部材の突起部のオフセット配置による効果を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態2におけるクランパ保持部材の振動モードの解析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るディスク装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるディスク装置の分解斜視図である。ディスク装置は、その基体をなすローダシャーシ1を有している。ローダシャーシ1は、略直方体形状の筺体であって、図中上側が開放されている。ここでは、説明の便宜上、ローダシャーシ1の高さ方向をZ方向とする。また、Z方向に直交するXY面(水平面)において、ローダシャーシ1の幅方向をX方向とし、奥行き方向をY方向とする。
【0013】
ローダシャーシ1の上側を塞ぐように、板金で構成されたクランパ保持部材6が取り付けられている。クランパ保持部材6は、略平板状の部材であり、その四隅においてネジ101によりローダシャーシ1に固定されており、ローダシャーシ1の内部に埃などが侵入しないように密閉性が確保されている。
【0014】
クランパ保持部材6は、その略中心部に、クランパ7を収容する段付きの開口部(すなわち内周に段差部を有する開口部)であるクランパ収容部6aを有している。クランパ7は、後述するターンテーブル3に圧着される略円板形状の部材であり、クランパ7の中心部にはターンテーブル3のマグネット3aとの間でディスク2を挟持するための板金ヨーク7aが組み込まれている。クランパ収容部6aの内周には、半径方向内側に所定量突出する段差部が形成されており、クランパ7は、その外周部分がクランパ収容部6aの段差部に載置されている。この状態で、クランパ収容部6aの上側は円形の樹脂性カバーシート8により塞がれており、外部からクランパ収容部6aを経てローダシャーシ1内への埃の侵入が完全に防止される。
【0015】
ローダシャーシ1の内部には、ディスク2に対して信号を記録、または再生する光ピックアップ4およびターンテーブル3を搭載したトラバースユニット9が配設されている。このトラバースユニット9は、その基体をなすトラバースシャーシ(図示せず)に、スピンドルモータ11と、スピンドルモータ11の回転軸に取り付けられたターンテーブル3とを搭載したものである。トラバースシャーシには、また、ディスク2に信号を記録し、あるいはディスク2に記録された信号を再生する光ピックアップ4が、ディスク2の半径方向に移動可能に取り付けられている。トラバースシャーシは、ターンテーブル3をクランパ7の方向へ上昇させ、または下降させるように揺動可能に配設されている。上昇した位置にあるときのターンテーブル3の回転軸方向は、上記のZ方向となる。なお、ターンテーブル3の中心部には、上述したマグネット3aが組み込まれている。
【0016】
ローダシャーシ1には、ディスク2を、当該ローダシャーシ1の内部に収容し、または当該ローダシャーシ1から外部に排出するトレイ5が設けられている。トレイ5は、ローダシャーシ1に設けられたガイド(図示せず)により、Y方向に往復動可能に構成されている。トレイ5は、ディスク2を載置する載置部(載置面)5bを有している。トレイ5は、また、トラバースユニット9に設けられたターンテーブル3や光ピックアップ4に対応する部分に、開口部5aを有している。ローダシャーシ1のY方向の一方の側(図1では手前側)には、トレイ5及びディスク2を通過させるための挿入口1bが形成されており、この挿入口1bを開閉するため、揺動可能なシャッタ1aが設けられている。
【0017】
以上のように構成されたディスク装置において、ディスク2を収納する際には、まず、図示しないボタンの操作等により、トレイ5がローダシャーシ1から図中−Y方向(排出方向)に移動し、これによりトレイ5が挿入口1bよりも外部に突出する。このとき、トラバースユニット9は、トレイ5と干渉しないよう、下方位置に退避している。ユーザがトレイ5の載置部5bにディスク2を載置したのち、トレイ5は図中+Y方向(収納方向)に移動し、ディスク2をローダシャーシ1内に収納する。トレイ5がローダシャーシ1内の所定の収納位置に達すると、トラバースユニット9が上昇し、トラバースユニット9に搭載されたターンテーブル3が、ディスク2をトレイ5の載置部5bから持ち上げ、クランパ7との間でディスク2を挟み込む。ターンテーブル3に組み込まれたマグネット3aと、クランパ7に組み込まれた板金ヨーク7aとの磁気吸引力により、ディスク2はターンテーブル3に圧着固定される。このとき、クランパ7は、クランパ収容部6aの内周の段差部から上方に離間し、ディスク2と一体となって回転する。この状態で、光ピックアップ4がディスク2の半径方向に移動し、ディスク2の任意に位置に信号を記録し、または、ディスク2の任意の位置に記録された信号を再生する。
【0018】
次に、クランパ保持部材6の構成について、図2及び図3を用いて詳しく説明する。図2は、本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材6を下方(すなわちディスク2側)から見た斜視図である。図3は本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材6の突起部6bの形状を説明するための断面図である。
【0019】
クランパ保持部材6は、厚さが0.6mmの板金により構成されている。なお、板金とは、板状の金属であり、好ましくは鉄が用いられ、より好ましくは圧延鋼板が用いられる。クランパ保持部材6は、そのディスク2上面と対向する側(以下、裏面とする。)からディスク2上面までの距離L2、つまりクランパ保持部材6とディスク2の隙間L2が、3.9mmとなる位置に配置されている。なお、この隙間L2は、特殊用途のディスク装置を除き、一般的なディスク装置ではほぼ同様な値である。また、クランパ保持部材6には、半径が約20mmの円形の開口部である上記のクランパ収容部6aが、絞り加工により形成されている。クランパ収容部6aの中心は、ディスク2を保持しているときのターンテーブル3の中心と一致し、従ってターンテーブル3に保持されているディスク2の中心とも一致する。
【0020】
クランパ保持部材6の裏面側には、クランパ収容部6aと同心の円を均等分割するように、このクランパ収容部6aの近傍から放射状に、直線状の複数(ここでは8個)の突起部6bが形成されている。この突起部6bは、ディスク2側に突出した略三角形状の断面を有しており、板金の絞り加工により押し出されて形成されている。絞りの勾配α(クランパ保持部材6の平板部6cに対する突起部6bの傾斜面の角度)は45°であり、高さL1(クランパ保持部材6の平板部6cから突起部6bの頂点までの距離)は最大で2mmである。突起部6bは、クランパ収容部6aの中心から約25mmの位置に内端部61を有し、上記中心から約60mmの位置に外端部62を有し、上記中心に対して半径方向に直線的に(すなわち放射状に)延在している。突起部6bの高さL1の上限(2mm)は、回転中のディスク2との接触を回避する必要から、ディスク2の面振れやターンテーブル3の上昇位置のばらつきなどを考慮して定められた値である。
【0021】
近年のディスク装置では、高速記録を行うためにディスク2を高速で回転させており、最高回転数は9000rpmに達する。ここで、クランパ収容部6a(開口部)からの埃の侵入を防止するために、クランパ保持収容部6aは図1に示した樹脂性のカバーシート8によって完全に塞がれており、また、クランパ保持部材6とディスク2との隙間L2は3.9mmと比較的狭いため、ディスク2の上面側の内周部分において、以下に説明する圧力低下が生じる。
【0022】
この圧力低下について、図4〜図6を用いて説明する。図4は、ディスク装置におけるディスク2の上面近傍の空気の流れを示す斜視図である。図5は、一般的なディスク装置における突起部6bを有さないクランパ保持部材6の裏面近傍での空気の流れを示す斜視図である。図6は、実施の形態1における突起部6bを設けたクランパ保持部材6の裏面近傍での空気の流れを示す斜視図である。図4に示すように、ディスク2の上面近傍では、クランパ保持部材6の突起部6bの有無に係わらず、ディスク2の内周から外周に向けてスパイラル状に空気が流れる。
【0023】
ここで、突起部6bを有さないクランパ保持部材6の裏面近傍での空気の流れは、クランパ保持部材6とディスク2との隙間L2に依存し、隙間L2が極端に狭い場合には、ディスク2の上面近傍での空気の流れと同様に、ディスク2の内周から外周に向けてスパイラル状に空気が流れる。一方、隙間L2が、比較的狭い範囲にある場合には、ほぼ同心円状に比較的高速で空気が流れ、隙間L2が十分に大きい場合には、ディスク2の外周から内周に向けてスパイラル状に空気が流れる。ディスク装置の設計に際しては、高さ制約があるため上記の隙間L2がほぼ3.9mmとなるように設計される。この隙間L2は、比較的狭い領域に属するため、クランパ保持部材6の裏面近傍では、図5に示すようにほぼ同心円状で比較的高速に空気が流れる。
【0024】
そのため、クランパ保持部材6とディスク2との間(隙間L2の空間内)では、空気がディスク2の内周から外周に流れるだけで、外周から内周に流れる流路が存在しない。また、クランパ収容部6bも樹脂製のカバーシート8により完全に遮蔽されているため、このクランパ収容部6bから空気が流入することもなく、ディスク2の内周部分で圧力が低下して負圧となる。この状態では、ディスク2の外周より内周の圧力が低いため、空気の流れを外周から内周に向かわせようとする力は作用していることになるが、上述したように、クランパ保持部材6の裏面近傍での空気の流れは、ディスク2の回転に伴うほぼ同心円状の流れが支配的であり、また高速であるため、外周から内周へ向きを変えることができない。
【0025】
一方、ディスク2の下面側では、その近傍の空気が内周から外周に向けてスパイラル状に流れることはディスク2の上面側と同様だが、トレイ5の開口部5aからディスク2の内周部分に空気が供給されるため、ディスク2の下面側の内周部分では圧力低下は生じない。従って、ディスク2を高速で回転させると、ディスク2の上面側と下面側との圧力差により、ディスク2には、クランパ7側に引き寄せられるような浮上力(以下、ディスク浮上力と称する)が作用する。このディスク浮上力のため、ディスク2が振動して安定した記録再生ができなくなり、あるいは、外部からの振動によりディスク2がターンテーブル3から外れる可能性がある。
【0026】
これに対し、図6に示すように、本発明の実施の形態1では、クランパ保持部材6の裏面近傍の空気の流れが突起部6bによって遮られるため、突起部6bの根元から先端までの範囲で、ディスク2の回転に伴う空気の流れの速度が急激に低下する。この速度低下により、クランパ保持部材6の裏面近傍での空気の流れの方向が変化し易くなり、ディスク2の外周部と内周部の圧力差によって、突起部6bの間で外周から内周に向かう流れが形成される。つまり、ディスク2の上面近傍では、空気が内周から外周に向けてスパイラル状に流れるが、クランパ保持部材6の裏面近傍では、空気が外周から内周に向けてスパイラル状に流れるため、循環した空気の流れを確保することができ、ディスク2の上面側の内周部分での圧力低下を大きく軽減することができる。これにより、ディスク2の上面側と下面側との圧力差を大きく軽減して、ディスク浮上力を抑制することができる。その結果、ディスク2の振動を抑制して安定した記録再生を実現することができ、また、外部からの振動によりディスク2がターンテーブル3から外れることを防止することができる。
【0027】
ここで、突起部6bが流れを遮り、突起部6bの高さ内で流れの速度を低下させる作用について詳しく説明する。一様な流れの中に壁のような障害物を配置すると、壁の根元には上流側と下流側の両方に乱流が発生する。この乱流は渦であり、乱流が発生している箇所では流れが澱み流速が極端に低下する。例えば、日常生活において、強風時に人は壁の後ろに隠れて風を避けるが、このとき人は風をほとんど感じない。この現象をクランパ保持部材6の裏面で再現することにより、突起部6bの根元ではディスク2の回転に伴う流れの速度を効果的に低下させることができる。そして、この突起部6bを複数設けることにより、突起部6bの高さ内において空気の平均流速を大きく低下させることができる。
【0028】
図7は、本発明の実施の形態1におけるクランパ保持部材6の裏面近傍での空気の流れの解析結果を示す図である。ここでは、流体解析用ソフトウェア「CFdesign」(米国Blue Ridge Numerics Incorporated製)を用い、ディスク2が9000rpmで回転するときの流速ベクトルを解析した。図7に示された流速ベクトルは、クランパ保持部材6の裏面近傍を下方(ディスク2側)から見たものであり、図の中央部はディスク2の中心(すなわちクランパ収容部6aの中心)にほぼ対応している。図7に示した解析結果から、クランパ保持部材6の隣接する突起部6b(図7では示されていない)の間を、空気が外周から内周に向けて流れていることが理解され、このことから、突起部6bが有効に機能していることが分かる。
【0029】
次に、突起部6bが、ディスク浮上力を抑制する効果について、図8を参照して説明する。図8は、クランパ保持部材6に突起部6bを設けた場合と設けない場合とで、ディスク浮上力がどのように異なるかを調べた実験結果を示す。図8において、横軸は、クランパ保持部材6とディスク2との隙間L2であり、縦軸はディスク浮上力である。図8より、クランパ保持部材6に突起部6bを設けない場合には、隙間L2の変化によってディスク浮上力が大きく変化するのに対して、クランパ保持部材6に突起部6bを設けた場合には、隙間L2の変化に対してディスク浮上力の変化が小さく、隙間L2の影響が大きく緩和されていることが理解されるであろう。
【0030】
また、一般的なディスク装置では、ディスク2とクランパ保持部材6との隙間L2が3.9mm程度に設計されることは上述した通りであるが、ディスク2の厚さのばらつきや部品の寸法ばらつきに起因して、隙間L2が2.9mm程度まで減少することがある。このように隙間L2が2.9mmに減少した場合において、突起部6bを設けた場合のディスク浮上力は、突起部6bを設けない場合と比較して、1.40Nから0.65Nにまで軽減される。本発明者の研究では、特許文献2に開示された構成でも同条件下で0.85Nまでしか抑制できなかったことから、クランパ保持部材6に突起部6bを設けることで、特許文献2を上回るディスク浮上力の抑制効果が得られたことが分かる。
【0031】
次に、クランパ保持部材6の突起部6bの形状の最適化について検討した結果を説明する。突起部6bを設計する上では、(1)突起部6bの個数、(2)突起部6bの高さ、(3)突起部6bの絞りの勾配、(4)突起部6bの外端部62までの半径、及び(5)突起部6bの内端部61までの半径の5つを決定しなければならない。これらについて、順次説明する。
【0032】
まず、突起部6bの個数についての検討結果を説明する。図9は、クランパ保持部材6の突起部6bの個数とディスク浮上力との関係を示すグラフである。ここでは、以下の条件のもとで、突起部6bの個数を0個〜16個の範囲で変化させ、ディスク浮上力を測定した。
突起部6bの高さ :2mm
突起部6bの絞りの勾配 :45°
突起部6b外端部62までの半径:60mm
突起部6b内端部61までの半径:30mm
【0033】
図9に示した結果から、突起部6bが8個のときにディスク浮上力が最も抑制されることが分かる。但し、突起部6が5個以上の範囲では、ディスク浮上力に対する抑制効果は極めて緩やかになっている。このことから、突起部6bが5個以上であれば、ディスク2の回転に伴うクランパ保持部材6の裏面近傍での空気の速度を効果的に低下させ、外周に向かう流れを内周に向かう流れに変化させることができることが分かる。
【0034】
次に、突起部6bの高さL1(図3)についての検討結果を説明する。図10は、クランパ保持部材6の突起部6bの高さとディスク浮上力との関係を示すグラフである。ここでは、以下の条件のもとで、突起部6bの高さを0mm〜2.0mmの範囲で変化させ、ディスク浮上力を測定した。
突起部6bの個数 :8個
突起部6bの絞りの勾配 :45°
突起部6b外端部62までの半径:60mm
突起部6b内端部61までの半径:30mm
【0035】
図10に示した結果から、突起部6bの高さL1が1.5mm以上の範囲では、ディスク浮上力の抑制効果が極めて緩やかになることが分かる。このことから、突起部6bの高さL1は、1.5mm以上が望ましい。
【0036】
次に、突起部6bの絞り勾配αについての検討結果を説明する。図11は、クランパ保持部材6の突起部6bの絞り勾配αとディスク浮上力との関係を示すグラフである。ここでは、以下の条件のもとで、突起部6bの絞り勾配を15°〜60°の範囲で変化させ、ディスク浮上力を測定した。
突起部6bの個数 :8個
突起部6bの高さ :2mm
突起部6b外端部62までの半径:60mm
突起部6b内端部61までの半径:30mm
【0037】
図11に示した結果から、突起部6bの絞り勾配αが30°を下回ると、ディスク浮上力が急激に増加することが分かる。一方、突起部6bの絞り勾配αが60°を超えると、絞り加工時に破れが生じ、あるいはひずみが増大して平板部6cの平面度が悪化するため、実際上、絞り勾配は60°が限界である。従って、突起部6bの絞り勾配は、30°〜60°の範囲が最適である。
【0038】
次に、突起部6bの外端部62までの半径についての検討結果を説明する。図12は、クランパ保持部材6の突起部6bの外端部62までの半径(クランパ収容部6aの中心からの半径)とディスク浮上力との関係を示すグラフである。ここでは、以下の条件のもとで、突起部6bの外端部62までの半径を50mm〜60mmの範囲で変化させ、ディスク浮上力を測定した。
突起部6bの個数 :8個
突起部6bの高さ :2mm
突起部6b絞り勾配 :45°
突起部6b内端部61までの半径:30mm
【0039】
図12に示した結果から、突起部6bの外端部62までの半径が55mmを下回るとディスク浮上力が急激に増加することが分かる。このことから、突起部6bの外端部62までの半径は、55mm以上であることが望ましい。
【0040】
次に、突起部6bの内端部61までの半径についての検討結果を説明する。図13は、クランパ保持部材6の突起部6bの内端部61までの半径(クランパ収容部6aの中心からの半径)とディスク浮上力との関係を示すグラフである。ここでは、以下の条件のもとで、突起部6bの内端部61までの半径を25mm〜35mmの範囲で変化させ、ディスク浮上力を測定した。
突起部6bの個数 :8個
突起部6bの高さ :2mm
突起部6b絞り勾配 :45°
突起部6b外端部62までの半径:60mm
【0041】
図13に示した結果から、突起部6bの内端部61までの半径は、小さければ小さいほどディスク浮上力が抑制できることが分かる。しかしながら、突起部6bの内端部61は、クランパ保持部材6のクランパ収容部6aより内側には設定できないため、約25mmが実質的な限界となる。
【0042】
以上をまとめると、ディスク浮上力を抑制する上で、クランパ保持部材6に設ける突起部6bの個数は5個以上、高さL1は1.5mm以上、絞り勾配αは30°〜60°、外端部62までの半径は55mm以上、内端部61までの半径はできる限り小さい(実質的には約25mm)ことが望ましいことが分かる。
【0043】
次に、クランパ保持部材6の加工精度について説明する。突起部6bの形状や配置によっては、絞り加工に伴うクランパ保持部材6の平板部6cの変形量が異なる。この変形量が極端に大きい場合、突起部6bの高さが位置によって異なることとなるため、上述したようなディスク浮上力を抑制する効果が生じにくくなる。一般に、絞り加工時によるクランパ保持部材6の変形を抑制するには、突起部6bの形状が単純であり、突起部6bの周囲から一様に肉(素材)を寄せて突起部6bを形成することが望ましく、さらに、突起部6bを形成した後の形状が、クランパ収容部6aの中心を通るYZ面(ディスク2の回転平面と直交してトレイ5の搬送方向と平行な平面)とXZ面(ディスク2の回転平面と直交してトレイ5の搬送方向とも直交する平面)の両方に対して対称であることが望ましい。
【0044】
仮に、板金製のクランパ保持部材6に、特許文献2に開示されているように、円弧状曲線に沿って延在する突起部を絞り加工で形成しようとすると、突起部の周囲から寄せられる肉(素材)が円弧の内側と外側とで不均一になる上、突起部を形成した後の形状が、クランパ収容部6aの中心を通るYZ面およびXZ面に対して非対称になる。そのため、絞り加工に伴うクランパ保持部材6の平板部6cの変形が大きく、平坦性が低下するため、それぞれの突起部の高さがばらつく原因となる。
【0045】
これに対し、本発明の実施の形態1における突起部6bは、直線状に延在しているため形状が単純であり、突起部6bの周囲から一様に肉を寄せて形成することができ、また、突起部6bを形成した後の形状が、クランパ収容部6aの中心を通過するYZ面とXZ面の両方に対して対称である。そのため、クランパ保持部材6の平板部6cが高い平坦性を保つことができ、これにより各突起部6bの高さが安定し、所望のディスク浮上力の抑制効果を得ることができる。
【0046】
次に、突起部6bの補強効果について説明する。図14は、クランパ保持部材6が突起部6bを有さない場合(a)と突起部6bを有する場合(b)とで、矩形の対角線を節とするねじれの振動モードの解析結果をそれぞれ示している。クランパ保持部材6に突起部6bを設けない場合の振動モードの周波数が73.7Hzであるのに対し、突起部6bを設けた場合の振動モードの周波数は82.6Hzである。一般に、振動モードの周波数は剛性の二乗に比例することが知られている。すなわち、クランパ保持部材6に突起部6bを設けることで、突起部6bを設けない場合と比較して、ねじれ変形に対する剛性(変形しにくさ)を1.25倍に高めることができる。ディスク装置の組み立て前にクランパ保持部材6を移動(輸送等)する際、あるいはディスク装置を組み立てる際には、クランパ保持部材6にねじれ変形が発生し易いことが知られている。ここでは、クランパ保持部材6に突起部6bを設けてねじれ変形に対する剛性を高めることで、ディスク装置の組み立て前又は組み立て時におけるクランパ保持部材6の変形を抑制することができる。
【0047】
以上説明したように、本発明の実施の形態1によれば、クランパ保持部材6のディスク2と対向する側に、クランパ収容部6aと同心の円を均等分割するように、クランパ収容部6aの近傍から外周部分に向けて直線状に延在する複数の突起部6bを設けたため、ディスク浮上力を抑制し、安定した情報の記録再生を実現することができる。
【0048】
また、突起部6bが板金の絞り加工によって形成されるため、クランパ保持部材6を板金で構成することができ、クランパ保持部材を樹脂で構成した場合と比較して、製造コストを大幅に低減することができる。
【0049】
さらに、クランパ保持部材6に設ける突起部6bの個数を5個以上、高さL1を1.5mm以上、絞り勾配αを30°〜60°、外端部62までの半径を55mm以上とすることで、より効果的にディスク浮上力を抑制し、安定した情報の記録再生を実現することができる。
【0050】
また、突起部6bが、クランパ収容部6aの中心に対して放射状に延在しているため、クランパ収容部6aの中心を通るYZ面及びXZ面の両方に対して対称な形状となり、絞り加工に伴うクランパ保持部材6の平板部6cの変形を抑制し、平坦性を維持することができる。これにより各突起部6bの高さのばらつきをなくし、所望のディスク浮上力の抑制効果を得ることができる。
【0051】
また、突起部6bの断面形状を略三角形とすることにより、ディスク浮上力を抑制する効果を奏すると共に、絞り加工時の破損等を防止することができる。
【0052】
なお、図1、図2等では、クランパ収容部6aの外周部と突起部6bとが離間しているが、クランパ収容部6aと突起部6bとが繋がっていてもよく、この場合もディスク浮上力の抑制効果は得られる。但し、クランパ収容部6aと突起部6bとが離間している方が、クランパ収容部6aの絞り加工と、突起部6bの絞り加工とを別々に行うことができる点で有利である。また、クランパ収容部6aと突起部6bとが離間していれば、急激な形状変化を伴う部分がないため、絞り加工に伴うクランパ保持部材6の平板部6cの変形を抑制して高い平坦性を保つことができ、また素材の破断も生じにくい。
【0053】
実施の形態2.
実施の形態1では、クランパ保持部材6のクランパ収容部6aの中心に対して突起部6bが放射状に形成されていたが、実施の形態2では、クランパ収容部6aの中心を通る直線からディスク2の回転進行方向にオフセットした位置に、当該直線に対して平行に、突起部6bが形成されている。実施の形態2におけるクランパ保持部材6の突起部6bは、その配置において実施の形態1の突起部6bと異なるが、それ以外(例えば断面形状)は同一である。
【0054】
図15は、実施の形態2におけるクランパ保持部材6を下方(ディスク2側)から見た斜視図である。図15に示す突起部6bは、絞りの勾配αが45°、高さL1が2mmで、ほぼ三角形状の断面を有し、クランパ収容部6aの中心から約25mmの内端部61から、当該中心から約60mmの外端部62まで直線的に延在している。突起部6bは、板金の絞り加工により押し出されて形成されている。実施の形態2の突起部6bは、図16に破線で示す実施の形態1の突起部6bに対して平行に、なお且つディスク2の回転進行方向に15mmオフセットした位置に形成されている。突起部6bは、クランパ収容部6aと同心の円を均等分割するように複数個(ここでは8個)形成されている。
【0055】
実施の形態2では、突起部6bがオフセット位置に配置されているため、絞り加工時にクランパ保持部材6の変形を抑制する効果は実施の形態1よりも低い。しかしながら、以下で説明する理由により、ディスク浮上力を抑制する効果は、実施の形態1よりも更に向上する。
【0056】
図17は、突起部6bのオフセット量Dとディスク浮上力の関係を示すグラフである。図17から、オフセット量Dの増加に伴ってディスク浮上力は低下するが、オフセット量Dが15mm以上の範囲では、ディスク浮上力がほぼ一定になることが分かる。このことから、突起部6bのオフセット量Dは、15mm以上であることが望ましい。但し、突起部6bの絞り加工時のクランパ保持部材6の変形を抑制する上で、突起部6bが形成された後のクランパ保持部材6の形状は、クランパ収容部6aの中心を通過するYZ面及びXZ面の両方に対して対称な形状にできるだけ近いことが望ましく、そのためにはオフセット量Dは小さい方が良い。従って、最も望ましいオフセット量Dは、15mmとなる。
【0057】
図18は、本発明の実施の形態2におけるクランパ保持部材6の裏面近傍での空気の流れの解析結果を示す図である。ここでは、流体解析用ソフトウェア「CFdesign」(米国Blue Ridge Numerics Incorporated製)を用い、ディスク2が9000rpmで回転する際の流速ベクトルを解析した。図18に示された流速ベクトルは、クランパ保持部材6の裏面近傍を下方(ディスク2側)から見たものであり、図の中央部はディスク2の中心(すなわちクランパ収容部6aの中心)にほぼ対応している。この解析結果と、図7に示した実施の形態1における解析結果を比較すると、実施の形態1より実施の形態2の方がスムースに流れの向きが変化していることが分かる。これは、実施の形態1では同心円状に流れている空気がほぼ垂直に突起部6bに衝突して向きを変えていたのに対し(図7参照)、実施の形態2では突起部6bをオフセット位置に配置したことにより、同心円状に流れていた空気が突起部6bに斜めに進入し向きを変えやすくなったことによる。
【0058】
次に、オフセット位置に配置された突起部6bの効果について、さらに説明する。図19は、突起部6bのオフセット量Dを0mmとした場合と15mmとした場合とでディスク浮上力を比較したグラフである。図19において、横軸は、クランパ保持部材6とディスク2との隙間L2であり、縦軸はディスク浮上力である。また、隙間L2は、2.9mm〜4.9mmの範囲で変化させている。図19の結果から、突起部6bのオフセット量を15mmとすることにより(実線)、オフセット量を0mmとした場合(破線)と比較して、ディスク浮上力を75%程度に抑制できることが分かる。
【0059】
次に、オフセット位置に配置された突起部6bによる補強効果について説明する。図20は、オフセット位置に突起部6bが形成されたクランパ保持部材6の、矩形の対角線を節とするねじれの振動モードの解析結果を示す。この振動モードの周波数は84.9Hzで、図14(a)に示した突起部6bを設けない場合の周波数73.7Hzよりも大きい。上述したように、振動モードの周波数は剛性の二乗に比例することが知られているため、クランパ保持部材6に突起部6bを設けることにより、突起部6bを設けない場合(図14(a))と比較して、ねじれ変形に対する剛性を1.33倍に高めることができることが分かる。ディスク装置の組み立て前にクランパ保持部材6を移動(輸送等)する際、あるいはディスク装置を組み立てる際には、クランパ保持部材6にねじれ変形が発生し易いことが知られているが、クランパ保持部材6に突起部6bを設けてねじれ変形に対する剛性を高めることで、ディスク装置の組み立て前又は組み立て時におけるクランパ保持部材6の変形を抑制することができる。
【0060】
以上説明したように、本発明の実施の形態2によれば、クランパ保持部材6の突起部6bを、クランパ収容部6aの中心を通る直線に対してオフセットした位置に配置することにより、ディスク浮上力をさらに抑制し、より安定した情報の記録再生を実現することができる。
【0061】
また、クランパ保持部材6のオフセット位置に突起部6bを設けることで、ねじれ変形に対する剛性をさらに高め、組み立て時等のクランパ保持部材の変形をより確実に抑制することができる。
【0062】
なお、ここでは、実施の形態2が実施の形態1よりも優れている点について説明したが、実施の形態1の方が優れている点は、突起部6bが、クランパ収容部6aの中心を通るYZ面及びXZ面に対してより対称にバランス良く配置されているため、実施の形態2と比較して絞り加工に伴うクランパ保持部材6の変形が少ないことである。クランパ保持部材6の変形が少ないほど、例えば突起部6bの高さ変化などに起因する性能のばらつきを抑制することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 ローダシャーシ、 2 ディスク、 3 ターンテーブル、 3a マグネット、 4 光ピックアップ、 5 トレイ、 6 クランパ保持部材、 6a クランパ収容部(開口部)、 6b 突起部、 6c 平板部、 61 内端部、 62 外端部、 7 クランパ、 7a 板金ヨーク、 8 カバーシート、 11 スピンドルモータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを載置して、装置本体の内部と外部との間を搬送するトレイと、
前記トレイにより装置本体内に収納された前記ディスクを保持して回転させるターンテーブルと、
前記ターンテーブルとの間で前記ディスクを保持するクランパと、
前記クランパが収容される円形の開口部であるクランパ収容部を有し、前記トレイを覆うように配置され、板金で構成されたクランパ保持部材と
を備え、
前記クランパ保持部材の前記ディスクと対向する側には、前記クランパ収容部と同心の円を均等分割するように、前記クランパ収容部の近傍から、前記ディスクの外周部と対向する部分に向けて直線状に延在する複数の突起部が絞り加工により形成されていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記クランパ保持部材の前記突起部は、前記クランパ収容部の中心に対して放射状に延在していることを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記クランパ保持部材には、5個以上の前記突起部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記クランパ保持部材の前記突起部の高さは、1.5mm以上であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記突起部は、その延在方向に直交する断面形状が、略三角形であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記クランパ保持部材の平板部に対する前記突起部の絞り勾配は、30°〜60°の範囲であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記クランパ保持部材の前記クランパ収容部の中心から、前記突起部の外端部までの半径は、55mm以上であることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項8】
前記クランパ保持部材の突起部は、前記クランパ収容部の中心を通る直線に対して、前記ディスクの回転進行方向にオフセットした位置に、当該直線に対して平行に配置されていることを特徴する請求項1に記載のディスク装置。
【請求項9】
前記クランパ保持部材の前記突起部のオフセット量は、15mmであることを特徴とする請求項8に記載のディスク装置。
【請求項10】
前記開口部の外周と前記突起部の内側端部とは、離間していることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載のディスク装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−100521(P2011−100521A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255661(P2009−255661)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】