説明

ディスク装置

第1及び第2の光ヘッド(3A,3B)をディスク面を含む面に対して同じ側に配置する。そして、ディスクを載置したメディアトレイ(19)を、ディスク面と略平行な面内で移動させる。2個の光ヘッド(3A,3B)を選択的に使用して光ディスクに対して記録及び/又は再生を行う。ディスク装置の高さが高くならず、且つ光ヘッド(3A,3B)に接続される信号線に無理な湾曲を強いることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、光ディスクに対して光によってデータの記録及び/又は再生を行うための光ヘッドを複数個備え、状況に応じて使用する光ヘッドを選択し、各々に対応した光ディスクに対して記録あるいは再生を行うディスク装置に関する。
【背景技術】
光ビームを用いてディスク状の記録媒体に対して記録あるいは再生を行う、CDや、さらに高記録密度であるDVD等の記録再生光ディスク装置とこれに使用する光ディスク媒体が、すでに広く世の中に普及している。また昨今においては、さらなる高記録密度化の技術開発も加速されている。
これらの装置及び媒体の記録再生形態は、再生専用型、追記型、あるいは書き換え型と、その用途により多種のものが存在する。また例えば、CDとDVDの関係に見られるように、記録再生に用いる光源の波長の差という観点からも記録再生形態は多岐にわたってきている。
このように、光ディスク装置とこれに使用する光ディスク媒体には、多種多様のものが存在しているのが現状であり、各々の記録あるいは再生には、これらに応じた装置と媒体が必要である。装置の中でもとりわけ、直接光ビームを出射および受光する光ヘッドは、多様な記録再生形態や記録密度に対応可能となるよう、1ヘッドで構成することが理想である。
しかしながら、1つの光ヘッドで、複数波長と複数種類の光学系との組み合わせのそれぞれに必要な特性を確保するのは困難な場合が多く、十分な性能マージンが確保できず、微妙な使用条件の違いによりその特性が変化して使用に耐えなくなることがある。これを回避するためには、可能な限り光ビームの波長あるいは光学系を特化した光ヘッドを複数個用いて、各々の光ヘッドにて、各々に対応したディスクに対して記録あるいは再生を行うのが、光ヘッドのサイズ、信頼性マージン、あるいは製造調整コストや部品コストの観点より得策である場合が多い。すなわち、採用する記録/再生方式の規格に応じた個々の光ヘッドをそのまま装置に搭載することが好ましい。
この観点より、各規格に応じた複数の光ヘッドを搭載する装置の構成が例えば、特許第2943918号公報に開示されている。
図30は、この従来の光ディスク装置を示す斜視図である。
まず本例における、概略構成について説明する。本例は、2個の光ヘッドを備え、各々に対応した光ディスクに対して記録あるいは再生を行う光ディスク装置である。
501aおよび501bは、本例の光ディスク装置にて記録あるいは再生が可能な光ディスクに対応した第1光ヘッドおよび第2光ヘッド、502aL、502aRは、第1光ヘッド501aを格納時に支持する第1小ガイドシャフト、502bL、502bRは、第2光ヘッド501bを格納時に支持する第2小ガイドシャフトである。第1小ガイドシャフト502aL、502aR及び第2小ガイドシャフト502bL、502bRは、回転板503および支持台504と共に、光ヘッド格納部551を構成している。回転板503は支持台504に対して、回動支軸503Aを中心に回動可能に支持され、不図示の回動手段により矢印801方向に回動される。また、第1小ガイドシャフト502aL、502aRおよび第2小ガイドシャフト502bL、502bRは、互いに平行に、且つ回転板503に垂直に立設されている。第1小ガイドシャフト502aL,502aRを含む平面から回動支軸503Aまでの距離と、第2小ガイドシャフト502bL,502bRを含む平面から回動支軸503Aまでの距離は等しい。
505はこの装置にて記録あるいは再生される光ディスク、506は光ディスク505を回転するディスクモータ、507Lおよび507Rは、光ディスク505に対して記録あるいは再生を行う際に、第1光ヘッド501aまたは第2光ヘッド501bを、光ディスク505の一半径方向にガイドするガイドシャフト、508はディスクモータ506およびガイドシャフト507L、507Rを一体的に支持する移送台である。また、支持台504および移送台508は共にベース台509に支持されている。
光ヘッド501a,501bは、ガイドシャフト507L,507R上にて、移送駆動手段(不図示)にて移送されることで、光ディスク505の一半径方向に走査して記録あるいは再生が可能となる。
以下に、各々の構成部材の機能あるいは動作等について説明する。
第1光ヘッド501aは第1小ガイドシャフト502aL,502aRに、第2光ヘッド501bは第2小ガイドシャフト502bL,502bRに、それぞれ支持された状態で、光ヘッド格納部551に格納されている。このとき、光ヘッド格納部551では、光ヘッド501a,501bの各々の対物レンズ501aA,501bAは互いに対向している。
図30においては小ガイドシャフト502aLとガイドシャフト507L、小ガイドシャフト502aRとガイドシャフト507Rとは、いずれも一直線上に配置されている。第1光ヘッド501aが格納部551から矢印802方向に移送台508側へ移送されて、ガイドシャフト507L,507R上での移送が可能となり、第1光ヘッド501aを用いて光ディスク505に対して記録あるいは再生が行われる。
また、回転板503が回転駆動手段(不図示)により矢印801方向のうち何れかの方向に180度回転すると、小ガイドシャフト502bRとガイドシャフト507L、小ガイドシャフト502bLとガイドシャフト507Rとが、それぞれ一直線上に配置され、第2光ヘッド501bが格納部551から矢印802方向に移送台508側へ移送されて、ガイドシャフト507L,507R上での移送が可能となり、第2光ヘッド501bを用いて光ディスク505に対して記録あるいは再生が行われる。
各々の光ヘッドによる記録あるいは再生が終了した際、あるいは何れかの光ヘッドが移送台508側へ移送された後、たとえば、移送台508側にある光ヘッドにてディスクモータ506に載置された光ディスクの種類を検出した結果、その光ヘッドでは記録あるいは再生が不可能であることが判明して、他方の光ヘッドと交換する際には、上記の工程を逆に行い、光ヘッドが移送台508側から格納部551側へ移送され、再度、他方の光ヘッドが格納部551から移送台508側へ移送される。
しかしながら上記の装置では、例えば特定の光ディスク505に対して記録あるいは再生する際に、第1光ヘッド501aあるいは第2光ヘッド501bのうち何れかを選択して移送台508側に移送する場合、あるいは移送台508側にある第1光ヘッド501aを、第2光ヘッド501bと交換するために、一旦、第1光ヘッド501aを小ガイドシャフト502aLおよび502aRへ移送して、第2光ヘッド501bをガイドシャフト507Lおよび507Rに移送する場合には、回転板503を回転させる必要がある。したがって、回転板503の回転直径を、少なくとも、第1小ガイドシャフト502aL、502aRの間隔Wa及び第2小ガイドシャフト502bL,502bRの間隔Wbのうちの何れか大きい方の寸法以上にする必要がある。
このため、格納部551の高さ寸法Hは間隔Wa,Wbのうちの何れか大きい方の寸法以上にするという制約が発生する。すなわち、装置の高さ寸法が、間隔Wa,Wb、即ち第1光ヘッド501a及び第2光ヘッド501bの幅寸法に依存し、これが装置の高さ寸法の縮小に対する障害となるという問題点を有していた。
また、本例に示すような光ヘッドにおいては、光ヘッドへの給電線あるいは信号線は、FPCあるいはFFCのようなフレキシブルケーブル510aにて構成され、このフレキシブルケーブル510aは図31Aに示すように対物レンズ501Aの裏面側に湾曲させて案内するか、あるいは図31Bに示すように対物レンズ501Aと同じ側に湾曲させて案内して、プリント基板にコネクタ等により接続される。この場合、フレキシブルケーブル510aは、光ヘッド501の図31A及び図31Bに示す矢印803方向あるいは804方向への直線移動に対しては無理なく湾曲が可能である。一方、光ヘッド501の805方向あるいは806方向への回転移動を行う場合には、フレキシブルケーブル510aに不可能な湾曲を強いることになる。
このため本例に示す構成では、光ヘッド501がガイドシャフト507Lおよび507R上で移送される際には、フレキシブルケーブル510aは無理なく湾曲可能であるが、光ヘッド501が格納部551に格納されている状態で、格納部を図30に示す矢印801方向に回転した場合には、光ヘッド501は矢印806方向に回転されるため、フレキシブルケーブル510aは適切な湾曲状態を維持することが困難であった。
また、第1光ヘッド501aと第2光ヘッド501bの交換時に、各光ヘッドをガイドシャフト507Lおよび507Rに対して挿抜を行うため、その際の抵抗等により動作信頼性が低下するという問題点を有していた。
【発明の開示】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決し、装置の高さ方向寸法が光ヘッドを案内する一対のガイドシャフトの間隔により制限されることがなく、光ヘッドへの給電線あるいは信号線の引き回しに無理が生じることがなく、記録あるいは再生するディスク種類に応じて複数個の光ヘッドを記録あるいは再生時に選択して使用することができるディスク装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明のディスク装置は、第1の光ビームによりデータの記録及び/又は再生を行うことが可能な第1のディスクを載置して回転させる第1のディスク回転機構と、前記第1の光ビームを出射して前記第1のディスクに対して記録及び/又は再生を行う第1の光ヘッドと、前記第1の光ヘッドを前記第1のディスクの略半径方向へ移動させる第1の光ヘッド移動機構と、第2の光ビームによりデータの記録及び/又は再生を行うことが可能な第2のディスクを載置して回転させる第2のディスク回転機構と、前記第2の光ビームを出射して前記第2のディスクに対して記録及び/又は再生を行う第2の光ヘッドと、前記第2の光ヘッドを前記第2のディスクの略半径方向へ移動させる第2の光ヘッド移動機構と、前記第1のディスク回転機構と、前記第1の光ヘッドと、前記第1の光ヘッド移動機構と、前記第2のディスク回転機構と、前記第2の光ヘッドと、前記第2の光ヘッド移動機構とが搭載された移送ベースと、前記第1のディスクに対して記録及び/又は再生を行うための第1のトレイ位置と、前記第2のディスクに対して記録及び/又は再生を行うための第2のトレイ位置と、前記第1のディスク及び前記第2のディスクの載置及び取り出しを行うための第3のトレイ位置とに搬送されるメディアトレイと、前記第1のディスク面及び前記第2のディスク面に平行で、かつ前記第1のディスク回転機構の回転中心と前記第2のディスク回転機構の回転中心とを結ぶ直線に対して略直交する第1の方向に前記メディアトレイを案内する第1のトレイガイドと、前記第1のディスク面及び前記第2のディスク面に平行で、かつ前記第1のディスク回転機構の回転中心と前記第2のディスク回転機構の回転中心とを結ぶ直線と平行な第2の方向に前記メディアトレイを案内する第2のトレイガイドと、前記メディアトレイを前記第1の方向に移動させる第1のトレイ駆動機構と、前記メディアトレイを前記第2の方向に移動させる第2のトレイ駆動機構とを備える。そして、前記第1の光ヘッドと前記第2の光ヘッドとが、前記メディアトレイに載置されたディスク面を含む面に対して同じ側に配置されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施の形態のディスク装置のディスク搬送機構の全体構成を示す分解斜視図である。
図2は、本発明の一実施の形態のディスク装置の第1のトレイ駆動機構を示す斜視図である。
図3は、本発明の一実施の形態のディスク装置の移送ベースの昇降動作を示す側面図である。
図4は、本発明の一実施の形態のディスク装置にて使用されるディスクカートリッジの一例の構成を示す斜視図である。
図5は、本発明の一実施の形態のディスク装置おいてディスクカートリッジのカートリッジシャッタを開閉する機構を示す分解斜視図である。
図6は、本発明の一実施の形態のディスク装置において、ディスクカートリッジと移送ベースとの関係を斜視図である。
図7は、本発明の一実施の形態のディスク装置において移送ベースの昇降を行うためのスライドカムの別の形状例を示した斜視図である。
図8は、本発明の一実施の形態のディスク装置において移送ベースの昇降を行うためのスライドカムの更に別の形状例を示した斜視図である。
図9は、本発明の一実施の形態のディスク装置において移送ベースの昇降を行うための機構の別の構成例を示した斜視図である。
図10は、図9に示した構成例の主要部の詳細を示した分解斜視図である。
図11は、図9に示した構成例において、移送ベースを昇降するための機構の動作を示した図である。
図12は、図9に示した構成例において、移送ベースを昇降するための機構の動作を示した図である。
図13は、図9に示した構成例において、移送ベースを昇降するための機構の動作を示した図である。
図14は、図9に示した構成例において、移送ベースを昇降するための機構の動作を示した図である。
図15は、図9に示した構成例において、移送ベースを昇降するための機構の動作を示した図である。
図16は、図9に示した構成例において、移送ベースを昇降するための機構の動作を示した図である。
図17は、図9に示した構成例において、移送ベースを昇降するための機構の動作を示した図である。
図18は、図9に示した構成例において、移送ベースを昇降するための機構の動作を示した図である。
図19は、本発明の一実施の形態のディスク装置において移送ベースの昇降を行うための機構の更に別の構成例を示した斜視図である。
図20は、本発明の一実施の形態のディスク装置において、手動にて駆動可能な第2のトレイ搬送駆動系を示した斜視図である。
図21は、本発明の一実施の形態のディスク装置において別のメディアトレイ駆動機構による動作を示した平面図である。
図22は、本発明の一実施の形態のディスク装置において移送ベースの別の構成例を示した断面図である。
図23は、本発明の一実施の形態のディスク装置の第2のトレイ駆動機構の別の構成例を示す斜視図である。
図24は、図23に示した第2のトレイ駆動機構の要部の詳細を示す斜視図である。
図25A〜図25Cは、図24に示した第2のトレイ駆動機構における第2の搬送ラックピンと第2の搬送カム溝との係合状態の変遷を示した図である。
図26は、本発明の一実施の形態のディスク装置において、ディスクカートリッジの第2の方向における位置決め方法の別の例を示した分解斜視図である。
図27は、本発明の一実施の形態のディスク装置において、メディアトレイを挿通する位置決めピンを示した斜視図である。
図28は、本発明の一実施の形態のディスク装置にて使用される別のディスクカートリッジのカートリッジシャッタを開閉させる機構を示した図である。
図29は、図28に示したディスクカートリッジの構成を示す分解斜視図である。
図30は、従来のディスク装置の概略構成を示した斜視図である。
図31Aおよび図31Bは、従来のディスク装置において、フレキシブルケーブルの配置を示した斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の上記のディスク装置によれば、2種類の仕様の異なる第1及び第2の光ヘッドを、ディスク面を含む面に対して同じ側に並列配置して、各々により記録及び/又は再生が可能である。これにより、1個の光ヘッドのみを搭載したディスク装置と比較して、特にディスク面に直交する方向、すなわち装置の厚さ方向における寸法を増大させることなく、2種類の光ヘッドを搭載することが可能となる。昨今、いわゆるAVC機器においては、装置厚さを薄くすることが商品価値を高めるものとして市場で求められている。本発明のディスク装置によれば、1個の光ヘッドのみを搭載したものに比べて、全体体積の増大は避けられないが、厚さを増大することがないので、高い商品価値を備えたディスク装置を提供できる。
また、メディアトレイが第1〜第3のトレイ位置間を移動することにより、記録及び/又は再生を行う光ヘッドを選択する構成であるので、光ヘッドへの給電線あるいは信号線の引き回しに無理が生じるという従来の問題が解消される。
本発明のディスク装置においては、前記第1のトレイ位置と、前記第2のトレイ位置と、前記第3のトレイ位置とが、略同一平面内にあることが好ましい。これにより、メディアトレイを移動させる機構を簡略化でき、またディスク装置の一層の薄型化が可能になる。
また、本発明のディスク装置においては、前記第2のトレイ駆動機構は、外部の駆動源より駆動力を伝達され得る部品を少なくとも1個以上有することが好ましい。これにより、光ヘッドに付加されたレンズに付着した塵埃を、簡便且つ確実な操作で除去することが可能となる。
また、本発明のディスク装置においては、前記移送ベースが、前記ディスクトレイに載置されたディスクに対して接離する方向に変位することが好ましい。これにより、メディアトレイの搬送時に、メディアトレイがディスク回転機構や光ヘッドと干渉するのを防止できる。
また、本発明のディスク装置においては、前記移送ベースが、前記第1のディスク回転機構と、前記第1の光ヘッドと、前記第1の光ヘッド移動機構とが搭載された第1の移送ベースと、前記第2のディスク回転機構と、前記第2の光ヘッドと、前記第2の光ヘッド移動機構とが搭載された第2の移送ベースとに分割されていても良い。これにより、第1のディスク回転機構と第2のディスク回転機構、及び第1の光ヘッドと第2の光ヘッドが互いに高さなどの寸法が異なる場合、あるいは第1のディスクと第2のディスクの一方のみがカートリッジに収納されている場合などに、ディスク面と光ヘッドとの距離を個別に調整するのが容易になる。
この場合において、前記第1の移送ベースと前記第2の移送ベースとが、前記メディアトレイに載置されたディスクに対して接離する方向に互いに独立して変位することが好ましい。これにより、駆動機構の負荷を軽減できる。また、ディスクトレイの搬送時に、メディアトレイとディスク回転機構や光ヘッドとの干渉の回避が容易になる。
この場合において、本発明のディスク装置が、カム溝を有し、前記第2の方向と略平行な方向に移動する第1の昇降プレートと、カム溝を有し、前記第2の方向と略平行な方向に移動する第2の昇降プレートとを更に備えていてもよい。このとき、前記第1の昇降プレートおよび前記第2の昇降プレートが前記第2の方向に略平行にそれぞれ移動することにより、それぞれの前記カム溝が、前記第1の移送ベースおよび前記第2の移送ベースを前記ディスクトレイに載置されたディスクに対して接離する方向にそれぞれ変位させることが好ましい。これにより、簡単な構成で確実に第1の移送ベースと第2の移送ベースとを独立して変位させることができる。
より具体的には、本発明のディスク装置が、前記第1の昇降プレートおよび前記第2の昇降プレートにそれぞれ備えられた、前記第2の方向と略平行な方向にピッチ線を持つ第1の昇降ラックおよび第2の昇降ラックと、前記第1の昇降ラックおよび前記第2の昇降ラックとかみ合い、前記第1の昇降プレートおよび前記第2の昇降プレートを前記第2の方向と略平行な方向に移動させる昇降ギアとを更に備えることが好ましい。これにより、共通する1つの昇降ギアで第1の昇降プレートおよび第2の昇降プレートを駆動することができ、構成が簡単化でき、部品点数を削減できる。
更に、前記第1の昇降ラックは、前記昇降ギアとはかみ合わない第1の不係合領域を有する間欠ラックであり、前記第2の昇降ラックは、前記昇降ギアとはかみ合わない第2の不係合領域を有する間欠ラックであることが好ましい。これにより、第1の移送ベースおよび第2の移送ベースのうちの一方を静止させたまま、他方を昇降させることが可能になる。
この場合に、本発明のディスク装置が、前記第1の昇降プレートの移動により駆動されて、前記第2の昇降ラックと前記昇降ギアとのかみ合いを制御し、且つ、前記第2の昇降プレートの移動により駆動されて、前記第1の昇降ラックと前記昇降ギアとのかみ合いを制御するかみ合い切換機構を更に備えることが好ましい。これにより、第1の移送ベースおよび第2の移送ベースの独立した変位動作を簡単な構成で実現できる。
また、前記第1の昇降ラックの前記ピッチ線と前記第2の昇降ラックの前記ピッチ線とは前記昇降ギアを挟んで互いに対向していることが好ましい。これにより、少ない空間を有効に利用することができ、小型の装置を実現できる。
更に、前記第1の昇降プレートは、前記第2の方向と略平行な第1の直線部と前記第1の直線部に直角に連接する第1の直交部とからなる略L字状の第1の切換カム溝を有し、前記第2の昇降プレートは、前記第2の方向と略平行な第2の直線部と前記第2の直線部に直角に連接する第2の直交部とからなる略L字状の第2の切換カム溝を有し、前記かみ合い切換機構は、前記第1の切換カム溝と係合する第1のピンと、前記第2の切換カム溝と係合する第2のピンとを備えた切換レバーからなり、前記切換レバーは、前記第1のピンおよび前記第2のピンから等距離にある軸の回りに回動可能であることが好ましい。これにより、第1の移送ベースおよび第2の移送ベースのうちの一方を静止させたまま、他方を昇降させるという動作を、簡単な構成で自動的に行わせることができる。
上記において、前記第1のピンが前記第1の直交部と係合しているときにのみ前記第2のピンは前記第2の直線部と係合し、かつ、前記第2のピンが前記第2の直交部と係合しているときにのみ前記第1のピンは前記第1の直線部と係合することが好ましい。これにより、第1の移送ベースおよび第2の移送ベースのうちの一方を静止させたまま、他方を昇降させるという動作を確実に実現できる。
また、前記第1のピンが前記第1の直線部と係合しているときにのみ前記昇降ギアは前記第1の昇降ラックとかみ合い、かつ、前記第2のピンが前記第2の直線部と係合しているときにのみ前記昇降ギアは前記第2の昇降ラックとかみ合うことが好ましい。これにより、第1の移送ベースおよび第2の移送ベースのうちの一方を静止させたまま、他方を昇降させるという動作を確実に実現できる。
あるいは、本発明のディスク装置が、前記第1の昇降プレートおよび前記第2の昇降プレートにそれぞれ備えられた、前記第2の方向と略平行な方向にピッチ線を持つ第1の昇降ラックおよび第2の昇降ラックと、前記第1の昇降ラックとかみ合い、前記第1の昇降プレートを前記第2の方向と略平行な方向に移動させる第1の昇降ギアと、前記第2の昇降ラックとかみ合い、前記第2の昇降プレートを前記第2の方向と略平行な方向に移動させる第2の昇降ギアとを更に備えていてもよい。これにより、第1の昇降プレートおよび第2の昇降プレートをそれぞれ専用の昇降ギアで駆動して、第1の移送ベースと第2の移送ベースとを独立して確実に変位させることができる。
また、本発明のディスク装置においては、前記第2のトレイ駆動機構は、駆動源と、前記駆動源より得られる駆動力を伝達するギア列とからなることが好ましい。これにより、簡単な構成でメディアトレイを第2の方向に確実に移動させることができる。
あるいは、本発明のディスク装置においては、前記第2のトレイ駆動機構は、駆動力を伝達するギアと、前記ギアとかみ合って、前記第2の方向と平行な方向に移動する搬送ラックと、前記搬送ラックに設けられた搬送ラックピンと、回動自在に保持された搬送駆動レバーと、前記搬送ラックピンと係合し、前記搬送駆動レバーの回動軸に対する半径方向に沿って前記搬送駆動レバーに設けられた搬送カム溝とを備えることが好ましい。そして、前記搬送ラックが移動されることにより前記搬送駆動レバーが回動し、前記搬送駆動レバーの一部と直接又は間接的に係合された前記第1のトレイガイドが前記第2の方向に沿って駆動されることが好ましい。この構成でも、ディアトレイを第2の方向に確実に移動させることができる。
この場合において、前記搬送カム溝は、前記回動軸より遠い側が二股に分岐した略「Y」字状であることが好ましい。これにより、外部から衝撃が加えられたときに、メディアトレイが第2の方向移動してその駆動系が損傷するのを防止できる。
また、本発明のディスク装置においては、前記第1のディスクおよび前記第2のディスクのうちの少なくとも一方は、ケース状のディスクカートリッジに収納されていてもよい。これにより、ディスク面が汚れたり傷ついたりするのを防止できる。
この場合において、前記ディスクカートリッジは、収納されたディスクを露出するための開口と、前記開口を開閉するための第1のカートリッジシャッタおよび第2のカートリッジシャッタとを有し、前記第1のカートリッジシャッタと前記第2のカートリッジシャッタとは、それぞれ回転しながら相互間の距離を変化させて前記開口の開閉を行ってもよい。
この場合、前記第1のカートリッジシャッタと前記第2のカートリッジシャッタによる前記開口の開閉動作は、前記メディアトレイの前記第1の方向に沿った移動と連動することが好ましい。これにより、開口の開閉動作のための機構を簡略化でき、また開閉動作のための特別な時間も不要になる。
前記第1の方向と略平行な前記第1のトレイガイドの面に、前記開口の開閉動作を行うための開閉部材が設けられていることが好ましい。これにより、狭い空間を利用して簡単な構成で、開口の開閉動作と、メディアトレイの第1の方向に沿った移動とを連動させることができる。
この場合、前記第2のトレイ位置に対して前記第1のトレイ位置が位置する側は、前記ディスクカートリッジに収納されたディスクの中心を通り前記第1の方向と平行な方向に対して前記開閉部材が設けられている側と同じ側であることが好ましい。これにより、第1のトレイガイドの第2の方向に沿った移動量を少なくすることができる。
また、本発明のディスク装置が、前記第1のトレイガイドに設けられた可動側位置決め部と、前記第2のトレイガイドに対する相対的位置が不変な固定側位置決め部とを更に備え、前記第1のトレイガイドを前記第2の方向に沿って移動させたとき、移動方向の終端にて前記可動側位置決め部が前記固定側位置決め部に当接して、前記第1のトレイガイドの前記第2の方向における位置決めが行われることが好ましい。これにより、簡便な構成で第1のトレイガイドを第2の方向において高い位置精度で位置決めすることができる。
あるいは、本発明のディスク装置が、前記第2のトレイガイドに対する相対的位置が不変な固定側位置決め部を更に備え、前記第1のディスク又は前記第2のディスクを収納したディスクカートリッジが搭載された前記メディアトレイを前記第2の方向に沿って移動させたとき、移動方向の終端にて前記ディスクカートリッジが前記固定側位置決め部に当接して、前記ディスクカートリッジの前記第2の方向における位置決めが行われてもよい。これにより、簡便な構成でディスクカートリッジを第2の方向において高い位置精度で位置決めすることができる。従って、ディスクカートリッジに収納されたディスクとディスク回転機構との相対的位置精度が一層向上する。
また、本発明のディスク装置においては、前記第1のディスクを前記第1のディスク回転機構に固定保持させ、且つ、前記第2のディスクを前記第2のディスク回転機構に固定保持させる、共用のクランパユニットが、前記第1のトレイガイドに設けられていることが好ましい。これにより、簡単な構成で、且つ少ない部品点数でディスクのクランプ機構を実現できる。
また、本発明のディスク装置においては、前記第1のディスク回転機構における前記第1のディスクの載置面と、前記第2のディスク回転機構における前記第2のディスクの載置面とが略同一高さであることが好ましい。これにより、メディアトレイの高さを変化させることなく、第1のディスク回転機構および第2のディスク回転機構に第1のディスクおよび第2のディスクをそれぞれ載置することが可能であり、構成を簡便にでき、かつ、装置の大型化を回避することが可能となる。
また、本発明のディスク装置においては、前記メディアトレイが前記第3のトレイ位置から前記第1の方向に沿って移動した終点位置が、前記第1のトレイ位置であることが好ましい。これにより、第3のトレイ位置から第1のトレイ位置を経由して第2のトレイ位置に至るメディアトレイの移動経路に無駄がなく、装置の複雑化を回避することが可能となる。
また、本発明のディスク装置においては、前記第1のディスク回転機構の回転中心と、前記第2のディスク回転機構の回転中心との間隔は、前記第1のディスクの半径と前記第2のディスクの半径とを加算した寸法の0.9〜1.1倍であることが好ましい。これにより、移送ベースが第1の移送ベースと第2の移送ベースとに分割されている場合であっても、各移送ベースの独立した変位を実現しながら、装置の大型化を防止できる。
また、本発明のディスク装置が、前記メディアトレイと、前記第1のトレイガイドと、前記第2のトレイガイドと、前記第1のトレイ駆動機構と、前記第2のトレイ駆動機構とが実装されたメカベースを更に備えることが好ましい。そして、前記移送ベースは、前記メカベースに対して振動を吸収するダンパを介して取り付けられていることが好ましい。これにより、ディスク装置の振動特性を向上できる。
また、本発明のディスク装置が、前記メディアトレイと、前記第1のトレイガイドと、前記第2のトレイガイドと、前記第1のトレイ駆動機構と、前記第2のトレイ駆動機構とが実装されたメカベースを更に備えることが好ましい。そして、前記第1の移送ベースおよび前記第2の移送ベースは、前記メカベースに対して、互いに異なる振動特性を有する、振動を吸収する第1のダンパおよび第2のダンパを介してそれぞれ取り付けられていることが好ましい。これにより、第1の移送ベースおよび第2の移送ベースにそれぞれ最適な第1のダンパおよび第2のダンパを選択することが可能となり、設計の自由度が向上し、また、ディスク装置の振動特性を向上できる。
また、本発明のディスク装置が、前記メディアトレイと、前記第1のトレイガイドと、前記第2のトレイガイドと、前記第1のトレイ駆動機構と、前記第2のトレイ駆動機構とが実装されたメカベースを更に備えることが好ましい。そして、前記メカベースは、前記ディスク装置のシャーシに対して、振動を吸収するメカベースダンパを介して保持されていることが好ましい。これにより、ディスク装置の振動特性を更に向上できる。
また、本発明のディスク装置においては、前記ディスクカートリッジには少なくとも一つの穴が形成されており、前記移送ベースには、前記ディスクカートリッジに設けられた前記穴と嵌合する位置決めピンが設けられており、前記穴と前記位置決めピンとが嵌合することにより、前記第1のディスク回転機構又は前記第2のディスク回転機構に対して前記ディスクカートリッジが位置決めされることが好ましい。これにより、第1のトレイ位置及び/又は第2のトレイ位置にて、ディスクカートリッジをディスク回転機構に対して、ディスク面と平行な方向において正確に位置決めすることができる。
更に、前記位置決めピンの各根元部分には、前記ディスクカートリッジの面と当接する座面が設けられていることが好ましい。これにより、第1のトレイ位置及び/又は第2のトレイ位置にて、ディスクカートリッジをディスク回転機構に対して、ディスク面と垂直な方向において正確に位置決めすることができる。
この場合、前記メディアトレイの、前記ディスクカートリッジが載置される面には、前記座面が挿通される位置決めピン穴が形成されていることが好ましい。これにより、ディスクカートリッジのディスク回転機構に対する正確な位置決めが実現できる。また、外部からの衝撃によりメディアトレイが第1の方向及び第2の方向に移動するのを規制できるので、メディアトレイの移動機構の破損を防止できる。
前記第1のディスク回転機構又は前記第2のディスク回転機構に前記第1のディスク又は前記第2のディスクが載置されている時に、前記座面が前記位置決めピン穴を貰通していることが好ましい。これにより、メディアトレイの第1の方向及び第2の方向に移動を可能にしながら、ディスクカートリッジのディスク回転機構に対する正確な位置決めと、外部からの衝撃によるメディアトレイの移動の規制とが可能になる。
前記位置決めピン穴の内周面と、前記座面の外周縁との間には0.2mm以上、1.5mm以下の間隙を有することが好ましい。これにより、座面の位置決めピン穴への挿抜動作と、外部からの衝撃によるメディアトレイの移動の規制とを両立できる。
以下に本発明の一実施の形態におけるディスク装置の概念について説明する。
本実施の形態のディスク装置は、互いに相異なる光学系にて記録及び/又は再生が可能で、また互いに相異なる形状をなす、例えば「DVD−RAM」(登録商標)メディアで用いられる類の形態のカートリッジに収納された、あるいは裸の、第1の光ディスクメディア1Aおよび第2の光ディスクメディア1Bに対して記録及び/又は再生を行う。
図1は本実施の形態のディスク装置において使用される、ディスク状の記録メディアが搬送され、記録及び/又は再生が可能となるまでの一連の動作を行う機構の全体概要を示した分解斜視図である。図示したように、光ヘッドのディスク状メディアに対するトラッキング方向をX軸、ディスク面と平行でX軸と直交する方向(タンジェンシャル方向)をY軸、ディスク面の法線方向をZ軸とするXYZの3次元直交座標系を設定する。
図1において、2Aは第1の光ディスクメディア1Aを載置して回転させる第1のディスクモータ、2Bは第2の光ディスクメディア1Bを載置して回転させる第2のディスクモータ、3Aは第1の光ディスクメディア1Aに対して記録及び/又は再生を行う第1の光ヘッド、3Bは第2の光ディスクメディア1Bに対して記録及び/又は再生を行う第2の光ヘッド、4ALおよび4ARは第1の光ヘッド3Aを第1の光ディスクメディア1Aの一半径方向(X軸方向)に移送する際に第1の光ヘッド3Aを支持し案内する第1の左ガイドシャフトおよび第1の右ガイドシャフト(これらは第1のガイド構造を構成する)、4BLおよび4BRは第2の光ヘッド3Bを第2の光ディスクメディア1Bの一半径方向(X軸方向)に移送する際に第2の光ヘッド3Bを支持し案内する第2の左ガイドシャフトおよび第2の右ガイドシャフト(これらは第2のガイド構造を構成する)、5は上記部材すべてを一体的に支持する移送ベースである。15はメカベースであり、これに設けられた支持台6L、6Cおよび6Rに回動支軸5SL、5SCおよび5SRが支持されている。回動支軸5SL、5SC、5SRはY軸方向に一直線上に配置され、これを回動中心として、移送ベース5が矢印101あるいは102方向へ回動可能に保持されている。
8はスライドカムであり、メカベース15上にY軸に平行な矢印103方向および矢印104方向に移動可能に保持されている。X軸方向において、移送ベース5の、回動支軸5SL、5SC、5SRにて支持された側とは反対側の端に支持ピン7Lおよび7Rが設けられ、支持ピン7Lおよび7Rがスライドカム8に設けられたカム溝9Lおよび9Rにそれぞれ挿入されている。スライドカム8が矢印103方向に移動すると、支持ピン7Lおよび7Rは、各々カム溝9Lおよび9Rのうちのカム溝下部9LDおよび9RDに案内され、これにより移送ベース5は矢印102方向に回動される。また、スライドカム8が矢印104方向に移動すると、支持ピン7Lおよび7Rは、各々カム溝9Lおよび9Rのうちのカム溝上部9LUおよび9RUに案内され、これにより移送ベース5は矢印101方向に回動される。
10はメカベース15に取り付けられた昇降モータである。昇降モータ10の駆動力は昇降モータ10の軸に取り付けられた昇降モータプーリ11から昇降ベルト12を介してメカベース15上に回転可能に取り付けられた昇降大プーリ13へ伝達され、昇降大プーリ13と一体の昇降大プーリギア部13G、メカベース15に回転可能に取り付けられた昇降中間ギア14を順に介して、スライドカム8に設けられたラックギア部8Gに伝達される。これにより、スライドカム8を矢印103方向および矢印104方向に移動させることができる。
第1の光ヘッド3Aを、第1の左ガイドシャフト4ALおよび第1の右ガイドシャフト4ARにて案内して移送するための第1の移送駆動機構とこれを駆動する第1の駆動源、及び第2の光ヘッド3Bを、第2の左ガイドシャフト4BLおよび第2の右ガイドシャフト4BRにて案内して移送するための第2の移送駆動機構とこれを駆動する第2の駆動源については、本実施の形態の光ディスク装置と同類の装置構成にてすでに公知の方式を用いることとし、本実施の形態の説明および図面においてはこれらの記載を割愛する。第1の左ガイドシャフト4ALおよび第1の右ガイドシャフト4AR(第1のガイド構造)と、第1の移送駆動機構と、第1の駆動源とで、第1の光ヘッド移動機構が構成される。また、第2の左ガイドシャフト4BLおよび第2の右ガイドシャフト4BR(第2のガイド構造)と、第2の移送駆動機構と、第2の駆動源とで、第2の光ヘッド移動機構が構成される。
メカベース15は、ダンパ16(4カ所、1カ所は不図示)を介して支持ビス17(4カ所、1カ所は不図示)により、ディスク装置の外側筐体を構成するシャーシ18に固定される。なお、図1においてはシャーシ18は、簡単のため、底面部分のみ図示している。
19はメディアトレイで、第1の光ディスクメディア1Aあるいは第2の光ディスクメディア1Bが、ディスクカートリッジに収納された状態あるいはディスクカートリッジに収納されない裸ディスクの状態で載置される。20はメディアトレイ19を保持するとともに、X軸方向、即ち矢印105方向あるいは矢印106方向への搬送を案内する第1のトレイガイドである。21Fおよび21Rは第1のトレイガイド20を保持するとともに、Y軸方向、即ち矢印107方向あるいは矢印108方向への搬送を案内する第2のトレイガイドである。第1のトレイガイド20に設けられたガイド穴20AFおよび20ARに棒状の第2のトレイガイド21Fおよび21Rが各々挿通されている。第1のトレイガイド20は、メディアトレイ19を矢印105方向に搬送して装置外に排出し光ディスクメディアの交換を可能にするとともに、矢印106方向に搬送して装置内に収納する。第2のトレイガイド21F,21Rは、メディアトレイ19を第1のトレイガイド20とともに、装置内にて第1のディスクモータ2A上又は第2のディスクモータ2B上に搬送する。
40は、上記した構造体を覆うトップカバーで、シャーシ18に対して固定され、外部から塵埃が侵入するのを防止する。特に第1の光ヘッド3A、第2の光ヘッド3Bなどの、直接、記録あるいは再生に関わる部分に塵埃が付着すると、それらの性能が劣化する可能性が高い。このため、可能な限り装置外に対する開口を排除することが好ましい。
次に第1のトレイガイド20がメディアトレイ19と一体的にY軸方向(矢印107方向あるいは矢印108方向)へ搬送される動作について、図1により説明する。22は第1のトレイガイド20を搬送する駆動源である第2の搬送駆動モータ(第2の駆動源)で、メカベース15に対して固定される。25は第2の搬送大プーリ、26は第2の搬送駆動アームで、これらはメカベース15に対して回動可能に支持されている。第2の搬送駆動モータ22からの駆動力は、その軸に取り付けられた第2の搬送駆動モータプーリ23から第2の搬送ベルト24を介して第2の搬送大プーリ25へ伝達され、第2の搬送大プーリ25と一体の第2の搬送大プーリギア部25Gより、第2の搬送駆動アーム26と一体の第2の搬送駆動アームギア部26Gに伝達され、得られたトルクにより第2の搬送駆動アーム26のうちの第2のアーム部26Aを矢印109方向あるいは矢印110方向へ回動させる。これにより、第1のトレイガイド20が、第2の連結部35を介して矢印107方向あるいは矢印108方向に搬送される。
第1のトレイガイド20及びメディアトレイ19のY軸方向の位置決めは、メカベース15に設けられた第1の左右位置決め部42R及び第2の左右位置決め部42Lにより行う。即ち、矢印107方向の位置決めは、第1の左右位置決め部42Rに第1のトレイガイド20の側壁に設けられた第1の位置決め部20CRを当接させることにより行い、矢印108方向の位置決めは、第2の左右位置決め部42Lに第1のトレイガイド20の側壁に設けられた第2の位置決め部20CLを当接させることにより行う。なお、第1,第2の左右位置決め部42R,42Lが当接する第1,第2の位置決め部20CR,20CLはメディアトレイ19に設けても良い。また、第1の左右位置決め部42R及び第2の左右位置決め部42Lは、第2のトレイガイド21F,21Rに対する相対的位置が不変であれば、メカベース15以外の部材に設けてもよい。
次にトレイ19がトレイガイド20に案内されてX軸方向(矢印105方向あるいは矢印106方向)へ搬送される動作について、図2により説明する。図2は図1に示すトレイ19を裏面より見た状態を示した斜視図である。27はトレイ19を搬送する駆動源である第1の搬送駆動モータで、第1のトレイガイド20に対して固定される。30は第1の搬送大プーリ、31は第1の搬送駆動アームで、これらは第1のトレイガイド20に対して回動可能に支持されている。第1の搬送駆動モータ27からの駆動力は、その軸に取り付けられた第1の搬送駆動モータプーリ28から第1の搬送ベルト29を介して第1の搬送大プーリ30へ伝達され、第1の搬送大プーリ30と一体の第1の搬送大プーリギア部30Gより、第1の搬送駆動アーム31と一体の第1の搬送駆動アームギア部31Gに伝達され、得られたトルクにより第1の搬送駆動アーム31のうちの第1のアーム部31Aを矢印111方向あるいは矢印112方向へ回動させる。これにより、トレイ19が、第1の連結部36を介して矢印105方向あるいは矢印106方向に搬送される。
第1のディスクモータ2A(又は第2のディスクモータ2B)に第1の光ディスクメディア1A(又は第2の光ディスクメディア1B)を載置する動作を図3を用いて説明する。但し、以下の動作手順は一例であって、以下の出発点から動作が常に開始するとは限らない。まず、図3の2点鎖線で示したように移送ベース5を回動支軸5SL、5SCおよび5SRを支点として矢印102方向に回動させて、第1のディスクモータ2A(又は第2のディスクモータ2B)の主軸に取り付けられた第1のターンテーブル2AT(又は第2のターンテーブル2BT)を下降させた状態で、第1の光ディスクメディア1A(又は第2の光ディスクメディア1B)がトレイ19上に載置された状態で矢印106方向に第1のディスクモータ2A(又は第2のディスクモータ2B)上の位置まで搬送される。次いで、移送ベース5を回動支軸5SL、5SCおよび5SRを支点として矢印101方向に回動させ、第1のターンテーブル2AT(又は第2のターンテーブル2BT)を、実線で示したように第1の光ディスクメディア1A(第2の光ディスクメディア1B)の中心穴に下から突き上げるようにして挿通して載置が完了する。このときの移送ベース5の回動量は、第1のターンテーブル2AT(又は第2のターンテーブル2BT)が下降した状態で、トレイ19がX軸方向(矢印105方向あるいは矢印106方向)へ搬送される際、および第1のトレイガイド20とともにY軸方向(矢印107方向あるいは矢印108方向)へ移送される際に(図1参照)、第1のターンテーブル2AT(又は第2のターンテーブル2BT)及び第1の光ヘッド3A(又は第2の光ヘッド3B)が、図3に示すトレイ19の下面19Bよりも下に下がり、トレイ19及び第1のトレイガイド20に干渉しないように設定されている。
トレイ19に載置された第1の光ディスクメディア1A(又は第2の光ディスクメディア1B)を、第1のディスクモータ2A(又は第2のディスクモータ2B)に固定保持させるときには、第1のトレイガイド20に設けられたクランパユニット34を不図示の駆動系により下降させ、クランパユニット34に設けられたクランパ34Aを第1のターンテーブル2AT(又は第2のターンテーブル2BT)に対して付勢あるいは吸着させることにより、光ディスクメディア1A(又は第2の光ディスクメディア1B)を第1のターンテーブル2AT(又は第2のターンテーブル2BT)とクランパ34Aとで挟持する。クランパユニット34の下降動作を、例えばトレイ19を矢印106方向に移動して第1のトレイガイド20内に挿入させる動作、第1のトレイガイド20を矢印107方向または矢印108方向へ搬送させる動作、及び移送ベース5を上昇させる動作のうちの少なくとも一つと連動させても良い。また、クランパ34Aを第1のターンテーブル2AT(又は第2のターンテーブル2BT)に対して付勢あるいは吸着させるための力の発生メカニズムとしては、図示していないが、例えば磁力やバネ付勢力等の公知の方法を用いることができる。
図3において、15Pは第1の光ヘッド3A(又は第2の光ヘッド3B)の電気的制御を行うプリント基板、15Lはプリント基板15Pと第1の光ヘッド3A(又は第2の光ヘッド3B)とをつなぐフレキシブルケーブル(FPCあるいはFFCの類)、15Cは両者の接続部となるコネクタである。第1の光ヘッド3A(又は第2の光ヘッド3B)が第1のディスクモータ2A(又は第2のディスクモータ2B)に対して近い側と遠い側との間で移送されても、図3に示すように、フレキシブルケーブル15Lは、負担のかからない湾曲状態で第1の光ヘッド3A(又は第2の光ヘッド3B)の移動に追従することができる。
また、本実施の形態においては、第1のターンテーブル2ATと第2のターンテーブル2BTとの高さ(Z軸方向の位置)は同一としている。これは、トレイ19のメディア載置面19A上に載置された第1の光ディスクメディア1A及び第2の光ディスクメディア1Bの各下面の高さを同じにすれば、トレイ19の高さを一定にしたままでトレイ19の図1における矢印107方向あるいは矢印108方向へ搬送して、各光ディスクメディアを適切に第1のターンテーブル2AT(又は第2のターンテーブル2BT)にて保持することができるからである。なお、後述するように光ディスクメディアがディスクカートリッジ内に収納されていることにより、ディスクカートリッジの下面から第1の光ディスクメディア1A及び第2の光ディスクメディア1Bの各下面までの高さが互いに異なる場合には、メディア載置面19A上にその高さの差を吸収可能な構造(例えば、メディア載置面19Aに段差を形成する)を付与することにより、第1のターンテーブル2ATと第2のターンテーブル2BTとの高さを同一にした場合にも、各光ディスクメディアを保持することができる。但し、第1の光ディスクメディア1A及び第2の光ディスクメディア1Bの各下面の高さの差を吸収可能な構造を採用できない場合には、第1のターンテーブル2ATと第2のターンテーブル2BTとに高さの差を設ければよい。
次に、第1の光ディスクメディア1A及び/又は第2の光ディスクメディア1Bに用いられるディスクカートリッジについて、図4により説明する。図4において、32は、例えばDVD−RAM等に用いられる形態のディスクカートリッジで、32Aは開閉することにより、収納されるディスクの露出/閉塞を行うカートリッジシャッタである。カートリッジシャッタ32Aは、そのシャッタ突起部32Bに矢印113方向又は矢印114方向の押力を付与することにより移動され、収納されているディスクが露出され、押力を解除するとバネ部材(不図示)などによる復元力により元の位置に戻り、閉塞される。
図5は、ディスクカートリッジ32に設けられたカートリッジシャッタ32Aを開閉する機構の一例の概略構成を示す分解斜視図である。33はシャッタオープナで、トレイ19にY軸方向に沿って設けられたガイド溝19Cおよび19Dにより矢印113方向又は矢印114方向に案内される。ディスクカートリッジ32がトレイ19に載置されると、シャッタ突起部32Bが、シャッタオープナ突起部33Aに係合する。このように構成されたトレイ19が第1のトレイガイド20に組み込まれると、シャッタオープナ33の上面に設けられたシャッタカム突起部33Bが、第1のトレイガイド20に設けられたシャッタカム溝20Aに嵌合し、トレイ19がトレイガイド20に対してX軸方向(矢印105方向又は106方向)に移動するにしたがってシャッタオープナ33はトレイ19に対してY軸方向(矢印113方向又は114方向)に移動する。これによりシャッタ32Aが開閉され、収納されたディスクの露出/閉塞が行われる。
本実施の形態のディスク装置において、第1の光ヘッド3Aと第2の光ヘッド3Bとは、例えば光源の波長及び/又はレンズの仕様等が互いに異なっていても良い。光源の波長としては例えば750〜800nmの赤外波長、600〜700nmの赤色波長、400〜450nmの青色波長等が用いられる。また、レンズの仕様である開口数としては例えば、0.4〜0.9程度の各種のものを用いることができる。
そして、上記のように2つの光ヘッド3A,3Bを異なる仕様とする場合、光ディスクメディアの挿入から記録及び/又は再生に至るまでの所要時間が、使用するヘッドにより異なるため、より使用頻度の高い光ヘッドを第1の光ヘッド3Aとして選定することが、所要時間を短縮するためには好ましい。
本実施の形態のディスク装置において使用可能なディスクの径は特に限定しないが、例えば一般的にCDあるいはDVDと同様に直径120mmあるいは80mmなどであっても良い。例えば直径120mmのディスクを用いる場合、第1のディスクモータ2Aと第2のディスクモータ2Bとの中心間隔を、第1のディスクメディア1Aの半径と第2のディスクメディア1Bの半径とを加算した寸法の概ね0.9〜1.1倍、即ち、110mm〜130mm程度に設定するのが適当である。その理由は以下の通りである。
本実施の形態で使用されるディスクカートリッジ32の下面には、図6に示すように、移送ベース5に対する位置決めをするための略円筒形状または楕円筒形状の位置決め穴32Cおよび32Dが設けられている。位置決め穴32Cおよび32Dは各々移送ベース5に設けられた位置決めピン5PRおよび5PLと嵌合することにより、ディスクカートリッジ32は位置決めされる。ここで、位置決めピン5PRと5PLは第1のディスクモータ2A(第2のディスクモータ2B)および第1の光ヘッド3A(第2の光ヘッド3B)に対して位置精度が確保されている。なお、図6では、第2のディスクモータ2B及び第2の光ヘッド3Bに対応した位置決めピン5PRと5PLのみを図示しているが、第1のディスクモータ2A及び第1の光ヘッド3Aに対応して同様に位置決めピン5PRと5PLを設けても良い。このように、位置決めピン5PRおよび5PLが移送ベース5に設けられると、移送ベース5の、この位置決めピン5PRおよび5PLが対応するディスクカートリッジ32のために必要な幅寸法WBは、このディスクカートリッジ32の位置決め穴32Cと32Dとの穴間隔寸法WC以上である必要がある。また、第1のディスクモータ2Aと第2のディスクモータ2Bとの中心間隔Pは、ディスクカートリッジ32が第1のディスクモータ2A及び第2のディスクモータ2Bの双方に対して位置決めされる場合を考えると、少なくとも概ね穴間隔寸法WC以上である必要がある。また、移送ベース5の幅寸法WBをディスクカートリッジ32の幅寸法以下にして2つの移送ベース5を併設すれば、中心間隔Pを、第1のディスクメディア1Aの半径と第2のディスクメディア1Bの半径とを加算した寸法よりも小さくすることが可能である。あるいは、移送ベース5を後述するように2分割する場合を考慮すれば、移送ベース5の強度、及び両移送ベース5の動作マージンを確保するために、中心間隔Pは、第1のディスクメディア1Aの半径と第2のディスクメディア1Bの半径とを加算した寸法を越える場合もある。
例えば、DVD−RAMやPDで用いられているディスクカートリッジの規格においては、穴間隔寸法WCは102mmとされている。また、該規格ではこの位置決め穴32Cおよび32Dの径はφ4mmとされているので、この102mmと4mmの合算である106mmに、更に位置決めピン5PRおよび5PLの取り付け誤差、移送ベース5の動作マージン等を加算して、中心間隔Pは概ね110mm以上必要である。この110mmという寸法は、第1のディスクメディア1Aの半径と第2のディスクメディア1Bの半径を加算した寸法を概ね0.9倍した値に相当する。更に、移送ベース5を後述するように2分割する場合を考慮すれば、移送ベース5の強度、及び両移送ベース5の動作マージンなどを確保するために、中心間隔Pを概ね130mm程度確保しなければならない場合もある。この130mmという寸法は、第1のディスクメディア1Aの半径と第2のディスクメディア1Bの半径を加算した寸法を概ね1.1倍した値に相当する。
本実施の形態のディスク装置においては、移送ベース5のうち、第1のディスクモータ2Aおよび第1の光ヘッド3Aが搭載された第1の領域と、第2のディスクモータ2Bおよび第2の光ヘッド3Bが搭載された第2の領域とを一体構成としたが、第1の光ヘッド3Aと第2の光ヘッド3Bとの高さが互いに異なる等の理由により、記録/再生時の第1のディスクモータ2Aと第2のディスクモータ2Bのディスク載置面高さを異なるものとするため、例えば、図1に示す分断線38で両領域を分断し、各々を個別に、昇降動作させることもできる。また、昇降モータ10への負荷を軽減させるため、またはメディアトレイ19あるいは第1のトレイガイド20への干渉を回避し有効に空間を利用するために、分割した移送ベース5を異なるタイミングで昇降させても良い。
例えば、上記したスライドカム8に代えて例えば図7に示すスライドカム58を用いることができる。このスライドカム58を用いると、昇降モータ10の回転方向を互いに反対方向とすることにより、第1の領域及び第2の領域を個別に昇降させることができる。
即ち、スライドカム58が矢印103方向に移動した場合は、図1における支持ピン7Lはカム溝59Lのカム溝上部59LUに達し、支持ピン7Rはカム溝59Rのカム溝下部59RDに達する。したがって、この時、第1の領域は下降し、第2の領域は上昇する。
一方、スライドカム58が矢印104方向に移動した場合は、図1における支持ピン7Lはカム溝59Lのカム溝下部59LDに達し、支持ピン7Rはカム溝59Rのカム溝上部59RUに達する。したがって、この時、第1の領域は上昇し、第2の領域は下降する。
このように、第1の領域と第2の領域を独立して個別に昇降動作させることが可能となる。
また、昇降モータ10の回転方向を互いに同方向とすることにより、第1の領域及び第2の領域を個別に昇降させることもできる。これを実現するためには、図1のスライドカム8に代えて例えば図8に示すスライドカム68を用いればよい。昇降モータ10を一方向に回転させながら停止させる位置を調整することにより一方の移送ベースだけを上昇させ、他方を下降させることができる。
また、以下に説明する方法によっても第1の領域と第2の領域を独立して個別に昇降動作させ、一方を上昇駆動しながら、他方を下降状態のまま維持することも可能である。この方法を図9により説明する。
図9において、移送ベース5は第1の領域および第2の領域に分割されており、201および202は、各々、第1の移送ベースおよび第2の移送ベースである。第1の移送ベース201には、第1のディスクモータ2A及び第1の光ヘッド3Aが一体的に搭載されており、第2の移送ベース202には、第2のディスクモータ2B及び第2の光ヘッド3Bが一体的に搭載されている。第1の移送ベース201は、4つの第1のダンパ201Aを介して、第1のサブベース203に支持されており、同様に、第2の移送ベース202は、4つの第2のダンパ202Aを介して、第2のサブベース204に支持されている。第1のサブベース203は、第1の右回動支軸203Aおよび第1の左回動支軸203Bにより、メカベース15に、矢印131U方向および矢印131D方向に回動自在に支持されており、同様に、第2のサブベース204は、第2の右回動支軸204Aおよび第2の左回動支軸204Bにより、メカベース15に、矢印132U方向および矢印132D方向に回動自在に支持されている。
第1のダンパ201Aおよび第2のダンパ202Aの各々の振動特性は、第1の移送ベース201および第2の移送ベース202の重量や、第1のディスクモータ2Aおよび第2のディスクモータ2Bの回転数などに応じて各々に最適化されることが好ましいが、特性上問題なければ同一のものを使用しても良い。
205は第1の昇降プレートであり、これに設けられた第1のカム溝205Aに、第1のサブベース203に設けられた第1の昇降ピン203Cが嵌入している。第1の昇降プレート205がY軸方向、即ち矢印133L方向または133R方向に移動すると、第1の昇降ピン203Cが第1のカム溝205Aに沿って移動することにより、第1のサブベース203が矢印131U方向または矢印131D方向へ回動して、第1の移送ベース201が上昇または下降する。第1の昇降プレート205には、Y軸方向と平行なピッチ線を有する第1の昇降ラック205Bが設けられている。
206は第2の昇降プレートであり、これに設けられた第2のカム溝206Aに、第2のサブベース204に設けられた第2の昇降ピン204Cが嵌入している。第2の昇降プレート206がY軸方向、即ち矢印133L方向または133R方向に移動すると、第2の昇降ピン204Cが第2のカム溝206Aに沿って移動することにより、第2のサブベース204が矢印132U方向または矢印132D方向へ回動して、第2の移送ベース202が上昇または下降する。第2の昇降プレート206には、Y軸方向と平行なピッチ線を有する第2の昇降ラック206Bが設けられている。
207は第1の昇降プレート205および第2の昇降プレート206に各々設けられた第1の昇降ラック205Bおよび第2の昇降ラック206Bとかみ合うことが可能な昇降ギアであり、図9には図示しないが図1に示す昇降モータ10より駆動力を受けて矢印134W方向または134C方向に回転する。昇降ギア207は、第1の昇降プレート205および第2の昇降プレート206を矢印133L方向または矢印133R方向へ移動させる。第1の昇降ラック205Bおよび第2の昇降ラック206Bは、それぞれのピッチ線が昇降ギア207を挟んで平行に互いに対向するように配置されている。第1の昇降ラック205Bおよび第2の昇降ラック206Bは、いずれも矢印133L方向側端に、歯が欠落し、昇降ギア207とは噛み合わない不係合領域を有する間欠ラックである(詳細は後述する)。
昇降ギア207が第1の昇降ラック205Bとかみ合って矢印134W方向へ回転すると、第1の昇降プレート205は矢印133L方向へ移動し、第1の昇降ピン203Cは第1のカム溝205Aに沿って第1のカム溝上部205AUへ移行し、第1のサブベース203は矢印131U方向へ回動し、上昇する。また、昇降ギア207が第2の昇降ラック206Bとかみ合って矢印134W方向へ回転すると、第2の昇降プレート206は矢印133R方向へ移動し、第2の昇降ピン204Cは第2のカム溝206Aに沿って第2のカム溝下部206ADへ移行し、第2のサブベース204は矢印132D方向へ回動し、下降する。
同様に、昇降ギア207が第1の昇降ラック205Bとかみ合って矢印134C方向へ回転すると、第1の昇降プレート205は矢印133R方向へ移動し、第1の昇降ピン203Cは第1のカム溝205Aに沿って第1のカム溝下部205ADへ移行し、第1のサブベース203は矢印131D方向へ回動し、下降する。また、昇降ギア207が第2の昇降ラック206Bとかみ合って矢印134C方向へ回転すると、第2の昇降プレート206は矢印133L方向へ移動し、第2の昇降ピン204Cは第2のカム溝206Aに沿って第2のカム溝上部206ADへ移行し、第2のサブベース204は矢印132U方向へ回動し、上昇する。
208は、第1の昇降ラック205B及び第2の昇降ラック206Bに対する昇降ギア207のかみ合いを切り換える切換レバー(かみ合い切換機構)であり、昇降ギア207と同軸に回動自在に支持されている。かみ合いを切り換える原理を、図10〜図20により説明する。
図10は第1の昇降プレート205、第2の昇降プレート206および切換レバー208を、図9で図示された状態の裏側より示した分解斜視図である。切換レバー208には第1のピン208Aおよび第2のピン208Bが付加されており、各々、第1の昇降プレート205および第2の昇降プレート206に設けられた第1の切換カム溝205Cおよび第2の切換カム溝206Cに沿って案内される。第1のピン208Aおよび第2のピン208Bは、切換レバー208の回動軸から等距離の位置に設けられている。第1の切換カム溝205Cは、互いに直角に略L字状に接続された第1の直線部205CAと第1の直交部205CBとからなり、同様に、第2の切換カム溝206Cは、互いに直角に略L字状に接続された第2の直線部206CAと第2の直交部206CBとからなる。第1の直線部205CA及び第2の直線部206CAは、Y軸方向と平行である。
図11〜図18は、第1の切換カム溝205Cおよび第2の切換カム溝206Cと切換レバー208との関係と、昇降ギア207のかみ合い状態とが変化していく様子を順に示した平面図である。
第1の昇降プレート205が最も矢印133L側へ移動している状態では、第1の昇降プレート205、第2の昇降プレート206および昇降ギア207は図11に示すような位置関係となり、昇降ギア207は第1の昇降ラック205Bとその矢印133R側端部でかみ合い、第2の昇降ラック206Bとはかみ合わない。このとき、第1のピン208Aは、第1の直線部205CA部分と嵌合し、第2のピン208Bは第2の直交部206CB部分と嵌合する。第1のピン208Aが第1の直線部205CAと嵌合している状態では、切換レバー208は矢印134C方向及び134W方向の何れの方向へも回動することはできないため、第2のピン208Bと第2の直交部206CBとの嵌合状態は解除されることはなく、従って、第2の昇降プレート206は矢印133L方向および矢印133R方向の何れの方向への移動も阻止される。図11の状態のとき、図9に示す第1の昇降ピン203Cは、第1のカム溝205Aの第1のカム溝上部205AUと嵌合しており、第1のサブベース203は矢印131U方向へ回動された状態である。また、第2の昇降ピン204Cは第2のカム溝206Aの第2のカム溝下部206ADと嵌合しており、第2のサブベース204は矢印132D方向へ回動された状態である。
図11に示す状態から昇降ギア207が矢印134C方向へ回転すると、第1の昇降プレート205が矢印133R方向へ移動して図12に示すような位置関係となり、第1のピン208Aは図11の状態と同様に、第1の直線部205CAと嵌合しており、第2のピン208Bは第2の直交部206CBと嵌合している。従って、第2の昇降プレート206は依然として矢印133L方向および矢印133R方向の何れの方向への移動も阻止されている。図12の状態のとき、図9に示す第1の昇降ピン203Cは第1のカム溝205Aに沿って第1のカム溝下部205ADに移動しており、第1のサブベース203は矢印131D方向へ回動される。第2の昇降ピン204Cは、図11の状態と同様に、第2のカム溝206Aの第2のカム溝下部206ADと嵌合しており、第2のサブベース204は矢印132D方向へ回動された状態である。
更に昇降ギア207が矢印134C方向へ回転して図13に示す状態になると、昇降ギア207と第1の昇降ラック205Bとのかみ合いが外れ始め、第1のピン208Aが第1の直交部205CBへさしかかる。
さらに昇降ギア207が矢印134C方向へ回転すると、図14に示すように、第1のピン208Aが第1の直交部205CBの側壁と衝突してこれから矢印133R方向の力を受け、この力が切換レバー208を矢印134C方向に回動させる。このとき、第2のピン208Bは第2の直交部206CBの側壁に対して矢印133L方向の力を印加し、これにより第2の昇降プレート206は矢印133L方向へわずかに移動し、昇降ギア207は第2の昇降ラック206Bとかみ合い始める。同時に、昇降ギア207は第1の昇降ラック205Bとのかみ合いが完全に外れ、第1の昇降プレート206の矢印133R方向への移動は停止する。
さらに昇降ギア207が矢印134C方向へ回転すると、昇降ギア207とかみ合い始めた第2の昇降ラック206Bが矢印133L方向へ移動を始める。このとき、第2のピン208Bは第2の直交部206CBの側壁から矢印133L方向の力を受け、この力が切換レバー208を矢印134C方向に回動させ、第1のピン208Aは、図15に示すように第1の直交部205CBへ進入する。第1のピン208Aは、第1の直交部205CBへ進入するにしたがって、直交部205CBを介して第1の昇降プレート205を矢印133R方向へ移動させ、図16に示すように第1のピン208Aが第1の直交部205CBへ十分に深く進入すると、第2のピン208Bは第2の直交部206CBから抜け出し、第2の直線部206CAへ進入する。
第2のピン208Bが第2の直交部206CBから完全に抜け出し、図17に示すように第2の直線部206CAと嵌合するようになると、切換レバー208は矢印134C方向及び134W方向の何れの方向へも回動することはできないため、第1のピン208Aと第1の直交部205CBとの嵌合状態は解除されることはない。従って、第1の昇降プレート205は第1の直交部205CBで第1のピン208Aにより係止され、矢印133L方向および矢印133R方向の何れの方向への移動も阻止される。
そして、昇降ギア207が矢印134C方向へ更に回転して、図18に示すように、昇降ギア207が第2の昇降ラック206Bとその矢印133R側端部でかみ合う位置まで第2の昇降プレート206が矢印133L方向へ移動する。図18の状態のとき、図9に示す第2の昇降ピン204Cは、第2のカム溝206Aのカム上部206AUへ移動しており、第2のサブベース204は矢印132U方向へ回動された状態となる。
図18の状態から、昇降ギア207を矢印134W方向へ回転させると、上記の動作が逆に進行して図11に示す状態に戻る。
以上のようにして、第1のサブベース203を矢印131U方向および矢印131D方向へ回動させて第1の移送ベース201を昇降させることができ、また、第2のサブベース204を矢印132U方向および矢印132D方向へ回動させて第2の移送ベース202を昇降させることができる。しかも、第1の移送ベース201および第2の移送ベース202のそれぞれの昇降動作を共通する1つの駆動源(昇降モータ10)を用いて独立して行うことができる。更に、一方を停止させたままで、他方を上昇または下降させることができる。
図9〜図18では、第1の昇降プレート205の第1の昇降ラック205Bと第2の昇降プレート206の第2の昇降ラック206Bとを共通する一つの昇降ギア207にかみ合わせて駆動する例を示したが、本発明はこれに限定されず、第1の昇降ラック205B及び第2の昇降ラック206Bにそれぞれ専用の別個の昇降ギアをかみ合わせて駆動しても良い。この例を図19を用いて説明する。
図19では、図9における第1の昇降プレート205の代わりに、第2の昇降プレート206とほぼ同一仕様の第1の昇降プレート405を使用している。そして、第1の昇降プレート405に設けられた第1の昇降ラック405Bは、第2の昇降ギア207とは別個の第1の昇降ギア407とかみ合っている。第1の昇降ギア407は、第2の昇降ギア207を駆動するモータとは別個のモータにより駆動される。第2の昇降ギア207は図9の場合と同様の駆動系により駆動される。第1の昇降ギア407および第2の昇降ギア207の回転のON/OFFの切り換えは、それぞれを駆動するモータの駆動を電気的に制御することにより行う。従って、図9における切換レバー208は図19の構成では不要である。また、図9において第1の昇降ラック205Bおよび第2の昇降ラック206Bに設けられていた、昇降ギア207とは噛み合わない不係合領域は、図19の構成では不要である。
以下に図19の構成の動作について説明する。
第1の昇降ギア407を矢印634C方向へ回転駆動すると第1の昇降プレート405は矢印633L方向へ移動し、第1の昇降ピン203Cは第1の昇降プレート405に設けられた第1のカム溝405Aに沿って第1のカム溝上部405AUへ移行し、第1のサブベース203は矢印131U方向へ回動し、上昇する。逆に、第1の昇降ギア407を矢印634W方向へ回転駆動すると第1の昇降プレート405は矢印633R方向へ移動し、第1の昇降ピン203Cは第1のカム溝405Aに沿って第1のカム溝下部405ADへ移行し、第1のサブベース203は矢印131D方向へ回動し、下降する。
上記と同様に、第2の昇降ギア207を回転駆動させて第2のサブベース204を昇降させる。
以上のようにして、第1のサブベース203を矢印131U方向および矢印131D方向へ回動させて第1の移送ベース201を昇降させることができ、また、第2のサブベース204を矢印132U方向および矢印132D方向へ回動させて第2の移送ベース202を昇降させることができる。しかも、第1の移送ベース201および第2の移送ベース202のそれぞれの昇降動作を独立して行うことができる。更に、一方を停止させたままで、他方を上昇または下降させることができる。
次に、本実施の形態のディスク装置における、第1の光ヘッド3Aおよび第2の光ヘッド3Bに付加されたレンズ上面へ付着した塵埃の除去方法について説明する。なお、この説明については、図1における移送ベース5が分割された構成と、分割されていない構成の何れにも同様に適用が可能である。
本実施の形態のディスク装置においては、トップカバー40で覆うことにより装置内への塵埃の侵入を防止しているが、トレイ19を通じて光ディスクメディアを出し入れする際に塵埃が侵入することを完全に阻止することは不可能であり、徐々に装置内に塵埃が蓄積する。そして、特に、第1の光ヘッド3Aおよび第2の光ヘッド3Bに付加されたレンズ上面への塵埃の付着は、記録あるいは再生の性能を著しく劣化させる要因となる。このような性能劣化を回復させるためには、レンズ上面へ付着した塵埃を除去することが有効である。
従来に見られるディスク装置においては、光ヘッド上部にはクランパユニット34やトレイ19などが配置されており、レンズ上面を露出させるためにこれらを一時的に待避させるように構成されていないため、レンズ上面に付着した塵埃を除去するためには、クランパユニット34、トレイ19などを一旦取り外さなければならなかった。
本実施の形態のディスク装置においては、以下の要領でこの課題を解決することができる。
まず装置よりトップカバー40を外す。このとき、トレイ19と一体の第1のトレイガイド20は、第1の領域上、第2の領域上、及びその中間の領域上のうちのいずれに位置している可能性もある。したがって、第1の光ヘッド3A及び第2の光ヘッド3Bにそれぞれ付加されたレンズのうち、清掃しようとするレンズが必ずしも露出しているとは限らない。このため塵埃を除去しようとする所望のレンズが露出していない場合には、第2の搬送駆動モータ22に通電して動作させ第1のトレイガイド20をY軸方向のいずれかに適宜移動させる。
このとき、モータ22に通電しないで、手動で駆動することができれば、通電による感電の危険を回避することができる。図20にこれを可能にする構成の概念を示す。
図20では、図1の第2の搬送駆動モータプーリ23に改良を加え、例えばマイナスドライバ38を嵌合させることが可能なすり割り63Aを設けた改良型第2の搬送駆動モータプーリ63を使用する。この改良型第2の搬送駆動モータプーリ63を矢印115方向あるいは116方向へ回転させることにより、これに連動する駆動系を介して第1のトレイガイド20を矢印117方向あるいは矢印118方向に搬送させる。これにより搬送駆動モータ22を通電して動作させることなく、マイナスドライバにより簡便に回転させることが可能となる。このように第2のトレイガイド20を適宜移動させて、例えば図20に示すように綿棒39のような洗浄具で、第1の光ヘッド3A及び第2の光ヘッド3Bのうち何れの光ヘッドに付着した塵埃をも除去できる。
なお、本実施の形態のディスク装置において、ディスクカートリッジ32に設けられたカートリッジシャッタ32Aを解放する機構は、上記した構成に限定されず、別の公知の方法を用いることもでき、その場合でも上記と同様の効果を得ることが可能である。
また本実施の形態のディスク装置においては、図面上、第1のディスクモータ2Aおよび第1の光ヘッド3Aと、第2のディスクモータ2Bおよび第2の光ヘッド3Bとは、顕著な形状差が記載されていないが、各々の形状、寸法等については相互に一致している必要はなく、記録及び/又は再生を行おうとする光ディスクメディアに対応させて決定すればよく、その場合であっても上記と同様の効果を得ることは可能である。
また本実施の形態のディスク装置においては、メディアトレイ19を第1のトレイガイド20に対してX軸方向(矢印105方向あるいは矢印106方向)へ搬送させる駆動系、第1のトレイガイド20をメディアトレイ19と一体的に、第2のトレイガイド21Fおよび21Rに沿ってY軸方向(矢印107方向あるいは矢印108方向)へ搬送させる駆動系、およびスライドカム8をY軸方向(矢印103方向あるいは矢印104方向)へ搬送させて移送ベース5を昇降させる駆動系を、各々独立して個別に構成したが、これらの駆動系の一部あるいは全てを共通させて、各部の動作を連動させると、モータの個数を削減することが可能で、かつ動作をシーケンシャルに行うことができるため、誤動作の防止が可能な点で有効である。
図21にこのような動作を行う構成の一例を示す。41はトレイアームで、トレイアーム41には溝41Aが設けられている。また、トレイ19には、L字状のカム溝19Rが設けられており、ピン19Pがこのカム溝19Rに沿って移動可能に設けられる。図21において、S位置はトレイ19が装置より排出されて光ディスクメディアの出し入れを可能にする位置(第3のトレイ位置)、T位置はS位置からトレイ19が装置内に挿入され、第1の光ヘッド3Aにより第1の光ディスクメディア1Aに対する記録及び/又は再生が可能な位置(第1のトレイ位置)、U位置はT位置からトレイ19が装置内で搬送され、第2の光ヘッド3Bにより第2の光ディスクメディア1Bに対する記録及び/又は再生が可能な位置(第2のトレイ位置)である。トレイ19がS位置にある状態から、トレイアーム41が駆動源(不図示)により矢印119方向へ回動すると、その駆動力が溝41A、ピン19P、カム溝19Rを介してトレイ19に伝達され、トレイ19は先ずT位置へ移動される。さらにトレイアーム41が矢印119方向に回動すると、同様にトレイ19はU位置へ移動される。
本実施の形態のディスク装置においては、光ディスクメディアの出し入れは、メディアトレイ19をX軸に沿って移動させて、装置外にメディアトレイ19を排出及び挿入することにより実現する。メディアトレイ19がこのX軸に沿った移動を行うのは、常に第1の領域上である。即ち、装置外に排出されたメディアトレイ19に光ディスクメディアが載置されると、トレイは第1のトレイガイド20に案内されて図1の矢印106方向に移動して装置内に格納される。このとき、光ディスクメディアは第1のディスクモータ2A上にある。この光ディスクメディアが第2のディスクモータ2B及び第2の光ヘッド3Aに対応する第2の光ディスクメディア1Bである場合であっても、必ず第1のディスクモータ2A上にX軸に沿って搬送された後、Y軸に沿って第2のディスクモータ2B上に搬送される。第2の光ディスクメディア1Bを取り出す場合も、メディアトレイ19はY軸に沿って第1のディスクモータ2A上に移動した後、X軸に沿って移動して装置外に排出される。この構成は、起動及び排出の動作時間が、第1の光ディスクメディア1Aに対しては短縮化されるが、第2の光ディスクメディア1Bに対しては増大する。
本発明はこのような構成に限定されず、第2のトレイ搬送駆動系のうち、特に搬送駆動アーム26の回動開始位置の位相を適宜調整することにより、このメディアトレイ19が第1のトレイガイド20に案内されてX軸に沿って移動する時のY軸方向の位置を適宜変更することは可能である。例えば、この位置を第1のディスクモータ2Aの回転中心と第2のディスクモータ2Bの回転中心との中間位置に設定すると、装置の対称性という観点においては有効である。
また本実施の形態のディスク装置においては、移送ベース5、スライドカム8、第2の搬送駆動モータ22、及び昇降モータ10などが搭載されたメカベース15はダンパ16を介してシャーシ18に取り付けられている。すなわち、ダンパ16を境界としてメカベース15より上側全体が可動側、シャーシ18が固定側となり、ダンパが比較的大きな重量を支持する構成である。本発明はこのような構成に限定されず、要求される振動特性によっては、例えば図22に示すように、移送ベース5を2重構成とし、第1のディスクモータ2A(又は第2のディスクモータ2B)および第1の光ヘッド3A(又は第2の光ヘッド3B)が一体的に搭載されるメインベース75を、ダンパ77を介してサブベース76に取り付ける構成とすることにより、ダンパ77が比較的小さな重量を支持する構成にしても良い。
次に、第1のトレイガイド20およびメディアトレイ19を一体的にY軸方向(矢印107方向あるいは矢印108方向)へ搬送する駆動機構の別の例を図23および図24により説明する。
図23において、209は駆動源である第2の搬送駆動モータ(不図示)より駆動力を伝達される第2の搬送駆動中間ギア、210は第2の搬送駆動中間ギア209より駆動力を伝達されてY軸方向(矢印141R方向または矢印141L方向)へ移動する第2の搬送ラック、211はZ軸と平行な回転軸回りに回動自在に支持され、第2の搬送ラック210より駆動力を伝達されて矢印142Wまたは矢印142C方向へ回動する第2の搬送駆動レバー、212は、第2の搬送駆動レバー211のアーム211Eの先端に設けられたサブレバー軸211B周りに回動自在に支持された第2のサブレバーである。第2のサブレバー212の先端に設けられた連結部212Aは第1のトレイガイド20と連結される。第2の搬送駆動レバー211が回動すると、第1のトレイガイド20がY軸方向(矢印107方向あるいは矢印108方向)に沿って搬送される。
第2の搬送ラック210には第2の搬送ラックピン210Aが一体的に設けられている。第2の搬送ラックピン210Aは、第2の搬送駆動レバー211に設けられた第2の搬送カム溝211Aと係合する。第2の搬送駆動中間ギア209が矢印144W方向又は矢印144C方向へ回転すると、第2の搬送ラック210が矢印141L方向又は矢印141R方向へ移動され、第2の搬送ラック210と一体に移動する第2の搬送ラックピン210Aが第2の搬送駆動レバー211を矢印142W方向又は矢印142C方向へ回動させる。
第2の搬送カム溝211Aは、第2の搬送駆動レバー211の回動中心に対して半径方向に沿って延びる半径方向カム211AAと、その先端部分で二股分岐した先端カム211ABと先端カム211ACとにより構成される。
213は、ねじりコイルバネからなる第2の搬送駆動バネである。図24に示すように、第2の搬送駆動バネ213は、その中心をサブレバー軸211Bにほぼ一致させて、その両端の腕部213B及び213Aが、互いに対向するように第2のサブレバー212に設けられた突子212C及び突子212Dにより係止されて、第2のサブレバー212に保持されている。更に、第2の搬送駆動バネ213の腕部213B及び213Aは、第2の搬送駆動レバー211に互いに対向するように設けられた突子211Cおよび突子211Dに係止されている。従って、第2のサブレバー212の、第2の搬送駆動レバー211のアーム211Eに対するサブレバー軸211B周りの回転位相は、第2の搬送駆動バネ213により弾性的に所定位置に決定される。
図23において、第2の搬送ラックピン210Aが第2の搬送カム溝211Aと半径方向カム211AAの部分で係合しているときに、第2の搬送駆動中間ギア209が矢印144W方向(又は矢印144C方向)へ回転すると、第2の搬送ラック210は矢印141L方向(又は矢印141R方向)へ移動し、第2の搬送ラックピン210Aは第2の搬送カム溝211Aを介して第2の搬送駆動レバー211を矢印142W方向(又は矢印142C方向)へ回動させる。同時に、第2の搬送ラックピン210Aは半径方向カム211AAに沿って移動し、先端カム211ABと先端カム211ACとの二股分岐部へ到達する。第2の搬送駆動レバー211は負荷からの反力として、その回動方向とは逆方向(矢印142C方向(又は矢印142W方向))の付勢力を受けているため、第2の搬送ラックピン210Aは、先端カム211AB(又は先端カム211AC)に進入する。
このようにして、第1のトレイガイド20およびメディアトレイ19が一体的に矢印108方向の終端にまで移動したとき、第2の搬送ラックピン210Aは、第2の搬送カム溝211Aと先端カム211ABの部分で係合し、第1のトレイガイド20およびメディアトレイ19が一体的に矢印107方向の終端にまで移動したとき、第2の搬送ラックピン210Aは、第2の搬送カム溝211Aと先端カム211ACの部分で係合することとなる。
図25Aから図25Cは、第2の搬送駆動レバー211が最も矢印142W方向側へ回動している状態から最も矢印142C方向側へ回動している状態へ変化する場合の第2の搬送ラックピン210Aと第2の搬送カム溝211Aとの係合状態の変遷を示す。これを用いて、「Y」字状の第2の搬送カム溝211Aの作用を説明する。
図25Bの状態において、ディスク装置の外部から衝撃力が作用し、第1のトレイガイド20に図1における矢印107方向または矢印108方向の外力を受けた場合を考える。このとき、第2のサブレバー212を介して第2の搬送駆動レバー211に矢印142Wまたは矢印142C方向の回動力が加えられる。このとき、半径方向カム211AAが第2の搬送ラックピン210Aに印加する力の作用方向は、第2の搬送駆動ラック210の移動方向(矢印107方向または矢印108方向)と一致する。従って、第2の搬送駆動ラック210は矢印141L方向または矢印141R方向に移動してしまう。その結果、第2の搬送駆動ラック210を駆動する第2の搬送駆動中間ギア209を含む動力伝達系が破損する可能性がある。
一方、図25Aの状態において、ディスク装置の外部から衝撃力が作用し、第1のトレイガイド20に図1における矢印107方向または矢印108方向の外力を受けた場合を考える。このときも同様に、第2の搬送駆動レバー211に矢印142Wまたは矢印142C方向の回動力が加えられる。このとき、先端カム211ABが第2の搬送ラックピン210Aに印加する力の作用方向は、第2の搬送駆動ラック210の移動方向(矢印107方向または矢印108方向)と直角である。従って、第2の搬送駆動ラック210が矢印141L方向または矢印141R方向に移動することはない。その結果、第2の搬送駆動ラック210を駆動する第2の搬送駆動中間ギア209を含む動力伝達系に力が作用せず、これらが破損するのを防止できる。図25Cのように、第2の搬送ラックピン210Aが先端カム211ACと係合している場合も同様である。
本実施の形態のディスク装置の正常な動作では、メディアトレイ19は上述した第1のトレイ位置又は第2のトレイ位置に至った後に、電源がOFFされる。ディスク装置を搬送又は移動する場合には、ディスク装置に外部から衝撃が加えられる可能性があり、このとき通常電源はOFFされているからメディアトレイ19は第1のトレイ位置又は第2のトレイ位置にある。上述した「Y」字状の第2の搬送カム溝211Aを用いた場合、メディアトレイ19が上述した第1のトレイ位置又は第2のトレイ位置にあるとき、第2の搬送ラックピン210Aは先端カム211AC又は先端カム211ABと係合する。従って、外部衝撃により第1のトレイガイド20およびメディアトレイ19に矢印107方向または矢印108方向の慣性力が作用しても、第1のトレイガイド20およびメディアトレイ19が移動することはなく、その駆動系に損傷が生じない。
次に、第2の搬送駆動バネ213で弾性的に保持された第2のサブレバー212の作用について説明する。
第2の搬送ラックピン210Aが第2の搬送カム溝211Aと半径方向カム211AAの部分で係合して第1のトレイガイド20およびメディアトレイ19が矢印107方向(又は矢印108方向)に駆動されるとき、第2のサブレバー212の第2の搬送駆動レバー211に対する回転位相はほぼ中立状態である。この状態から、第2の搬送駆動レバー211が更に矢印142C方向(又は矢印142W方向)に回動すると、第2のラックピン210Aが先端カム211AC(又は先端カム211AB)と係合し、その後、第1のトレイガイド20の第1の位置決め部20CR(又は第2の位置決め部20CL)が第1の左右位置決め部42R(又は第2の左右位置決め部42L)に当接する。第2の搬送駆動レバー211は、この当接後も更に矢印142C方向(又は矢印142W方向)にわずかに回動する。このとき、第2の搬送駆動バネ213は、腕部213B(又は213A)を突子211C(又は突子211D)に押圧させて弾性変形して、第2のサブレバー212は第2の搬送駆動レバー211に対して回動する。この第2のサブレバー212の回動が第2の搬送駆動レバー211の上記の当接後の回動を吸収する。この結果、第1のトレイガイド20は、第2の搬送駆動バネ213の弾性付勢力によりその第1の位置決め部20CR(又は第2の位置決め部20CL)を第1の左右位置決め部42R(又は第2の左右位置決め部42L)に当接させた状態で位置決めされる。従って、第1のトレイガイド20は、矢印107方向(又は矢印108方向)の終端にまで確実に移動させられ、且つ高い位置精度で位置決めされる。
図1に示した構成では、第1のトレイガイド20は、矢印107方向(又は矢印108方向)の移動終端において、その第1の位置決め部20CR(又は第2の位置決め部20CL)を第1の左右位置決め部42R(又は第2の左右位置決め部42L)に当接させた状態で位置決めされる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。特に、メディアトレイ19にディスクカートリッジ32が載置される場合には、矢印107方向(又は矢印108方向)の移動終端での位置決めを別の方式で行うことができる。これを図26を用いて説明する。
図26において、220は別の例にかかる第1のトレイガイドである。この第1のトレイガイド220は、矢印108方向の側面に開口220Aが設けられている点で上述した第1のトレイガイド20と相違する。また、トレイ19には、トレイ19が第1のトレイガイド220に収納されたときに開口220Aと対向する位置に切り欠き19Eが形成されている。従って、ディスクカートリッジ32が搭載されたトレイ19が第1のトレイガイド220に収納されると、ディスクカートリッジ32の側面が開口220Aおよび切り欠き19Eを介して露出する。また、メカベース15(図1参照)には、第1のトレイガイド220が矢印108方向の終端にまで移動したとき、開口220Aおよび切り欠き19E内に嵌入し、ディスクカートリッジ32の側面と当接するディスクカートリッジ位置決め230が設けられている。従って、ディスクカートリッジ32は、矢印108方向の移動終端にてディスクカートリッジ位置決め230によって正確に位置決めされる。ディスクカートリッジ32がディスクカートリッジ位置決め230によって位置決めされる場合には、図1に示した左右位置決め42Lは第2の位置決め部20CLと当接しないようにこれらの位置が設定されている。
なお、トレイガイド220の矢印107方向側も上記と対称の構成として、矢印107方向の移動終端で同様の位置決めを行ってもよい。即ち、第1のトレイガイド220の矢印107方向の側面に、開口220Aと同様の開口を形成し、さらに、トレイ19に、トレイ19が第1のトレイガイド220に収納されたときにこの開口と対向する位置に、切り欠き19Eと同様の切り欠きを形成する。また、メカベース15(図1参照)には、ディスクカートリッジ位置決め230と同様の位置決めを設ける。この場合には、第1のトレイガイド220が矢印107方向の終端にまで移動したとき、この位置決めが、ディスクカートリッジ32の矢印107方向の側面と当接する。
以上のように、図26の構成によれば、ディスクカートリッジ32のメカベース15に対するY軸方向の位置を正確に位置決めすることができる。
次に図6に示す位置決めピン5PRおよび位置決めピン5PLとメディアトレイ19との関係について説明する。
本発明のディスク装置においては、位置決めピン5PRおよび位置決めピン5PLの根元部分には、図6に示すように、ディスク面と略平行な座面5PRFおよび座面5PLFが設けられている。移送ベース5が上昇したとき、これらの座面5PRFおよび5PLFにディスクカートリッジ32の面が着座することにより、ディスクカートリッジ32の高さ位置精度が確保される。また、ディスクカートリッジ32に収納された第1の光ディスクメディア1A(又は第2の光ディスクメディア1B)が、第1のディスクモータ2A(又は第2のディスクモータ2B)に載置された状態では、図27に示すように位置決めピン5PRおよび位置決めピン5PLはメディアトレイ19に設けられた位置決めピン穴19PRおよび19PLを貫通して、座面5PRFおよび座面5PLFはトレイの底面19Bよりも突出する。これにより、ディスクカートリッジ32の面は底面19Bに当接せず、確実に座面5PRFおよび座面5PLFに着座する。
ディスク面と直交する方向から見たとき、位置決めピン穴19PRおよび位置決めピン穴19PLの内周面と座面5PRFおよび座面5PLFの外周縁との間にはおよそ0.2mmから1.5mmの間隙を有するのが好ましい。この理由は以下の通りである。
座面5PRFおよび座面5PLFは位置決めピン穴19PRおよび位置決めピン穴19PLに対して挿抜を行うために、位置決めピン穴19PRおよび位置決めピン穴19PLの内周面と座面5PRFおよび座面5PLFの外周縁との間に間隙がなければ、両者は干渉する。干渉せずに動作するためには0.2mm程度以上の間隙を有することが好ましい。
また、本実施の形態のディスク装置では、メディアトレイ19が図1に示すようにX軸方向及びY軸方向へ移動可能である。装置の非動作時に外部から衝撃が加わったときに、メディアトレイ19が慣性力によりX軸方向又はY軸方向に移動するのを防止するために、図1における矢印101方向へ移送ベース5を回動させて、位置決めピン5PRおよび位置決めピン5PLを位置決めピン穴19PRおよび位置決めピン穴19PLに貫通させておくことは有効である。この観点からは、位置決めピン穴19PRおよび位置決めピン穴19PLの内周面と、座面5PRFおよび座面5PLFの外周縁との間の間隙は、大きすぎるとメディアトレイ19の衝撃による移動を阻止できないので小さい方が好ましい。
ところが、例えば図9に示す構成では、第1の移送ベース201(又は第2の移送ベース202)が第1のサブベース203(又は第2のサブベース204)に対して、第1のダンパ201A(又は第2のダンパ202A)を介して取り付けられている。従って、第1の移送ベース201(又は第2の移送ベース202)はメディアトレイ19に対しても第1のダンパ201A(又は第2のダンパ202A)を介してフロートしている。このため、第1の移送ベース201(又は第2の移送ベース202)とメディアトレイ19との相対位置は第1のダンパ201A(又は第2のダンパ202A)によって可動である。その可動量は本実施の形態の類のディスク装置では一般的に、最大でおよそ1.5mm程度である。従って、位置決めピン穴19PRおよび位置決めピン穴19PLの内周面と座面5PRFおよび座面5PLFの外周縁との間の間隙をおよそ1.5mm以下にしておけば、第1のダンパ201A(又は第2のダンパ202A)の機能を確保しながら、メディアトレイ19の衝撃による移動阻止効果を得ることができる。
次に、本発明のディスク装置において、別の形態のディスクカートリッジを使用する場合について説明する。本形態のディスクカートリッジは、例えば、特開2001−332058号公報に開示されている。
図28は別の形態である第2のディスクカートリッジ300の概略構成を示す平面図、図29は図28に示す第2のディスクカートリッジ300の構成を表す分解斜視図である。
図28および図29において、301はディスクを収納するカートリッジケース、302および303はカートリッジケース301に設けられた開口301Cを開閉する第1のカートリッジシャッタおよび第2のカートリッジシャッタ、304は第1のカートリッジシャッタ302および第2のカートリッジシャッタ303を移動させるためのロータである。カートリッジケース301の内面に設けられた支軸301Aと第1のカートリッジシャッタ302に設けられた第1のカム溝302Bとが係合し、カートリッジケース301の内面に設けられた支軸301Bと第2のカートリッジシャッタ303に設けられた第2のカム溝303Bとが係合する。ロータ304に設けられた支軸304Aと第2のカートリッジシャッタ303に設けられた第2の穴303Aとが嵌合し、ロータ304に設けられた支軸304Bと第1のカートリッジシャッタ302に設けられた第1の穴302Aとが嵌合する。304C,304D,304Eはロータ304の外周にこの順に設けられた第1の切欠き、シャッタ歯車、第2の切欠きである。
図29では図示していないが、第1のディスク1Aの上に更にカートリッジケースが設けられ、このカートリッジケースとカートリッジケース301とで第2のディスクカートリッジ300の外囲体を構成する。
図28において、矢印151はメディアトレイ19に載置された第2のディスクカートリッジ300が第1のトレイガイド20に対して挿入される方向を示す。矢印151は、図1におけるメディアトレイ19の第1のトレイガイド20に対する移動方向である矢印106と一致する。
第1のトレイガイド20の矢印151方向と平行な右側内壁側面には、第1の突起310A、開閉ラック310B、第2の突起310Cをこの順に有する開閉部材310が設けられている。第2のディスクカートリッジ300が矢印151方向に移動すると、最初に第1の突起310Aが第1の切欠き304Cと係合し、続いて開閉ラック310Bがシャッタ歯車304Dにかみ合い、最後に第2の突起310Cが切欠き304Eに係合して、ロータ304が矢印152方向に回動する。ロータ304が回転すると、第1のカートリッジシャッタ302は、支軸301Aと第1のカム溝302Bとの係合、および支軸304Bと第1の穴302Aとの嵌合を維持しながら矢印153方向に回転し、第2のカートリッジシャッタ303は、支軸301Bと第2のカム溝303Bとの係合、および支軸304Aと第2の穴303Aとの嵌合を維持しながら矢印154方向に回転する。第1のカートリッジシャッタ302および第2のカートリッジシャッタ303は、それぞれ回転するにしたがって相互間の距離が拡大する。そして、第2のディスクカートリッジ300が第1のトレイガイド20に完全に挿入されると、カートリッジケース301に設けられた開口301Cと、第1のカートリッジシャッタ302および第2のカートリッジシャッタ303間の隙間と、ロータ304に設けられた開口304Fとの各位置が一致して、これらを介して第1のディスク1Aの面が露出される。
メディアトレイ19に載置された第2のディスクカートリッジ300が第1のトレイガイド20に対して矢印151とは反対の方向に移動すると、上記の動作が逆に行われて、第1のディスク1Aの面が隠蔽される。
第2のディスクカートリッジ300の開口301Cの開閉を行うための開閉部材310は第1のトレイガイド20の図1における矢印107側の内側側面に配置される。第1のトレイガイド20が矢印108方向へ移動する際にも、開閉部材310は第1のトレイガイド20と一体で移動する。
第1のトレイガイド20に開閉部材310を設けることにより、Y軸方向において、第1のトレイガイド20の開閉部材310を設けた側の寸法が拡大する。図1に示すように、第2のトレイ位置に対して第1のトレイ位置が矢印107側に位置する本実施の形態においては、開閉部材310は、第1のトレイガイド20の矢印107側の側面に設けられることが好ましい。これにより、開閉部材310を設けたことにより第1のトレイガイド20の矢印107側の外壁面が矢印107方向に突出しても、第1のトレイ位置と第2のトレイ位置との間の寸法を拡大させる必要がなく、これらの間の第1のトレイガイド20の移動量が増大するのを防止できる。
なお、本実施の形態においては説明の簡略化のため、開閉部材310の例として一部品からなる簡単な形状の部材を示したが、より確実な動作を行うためにこれより複雑な構成を有していてもよい。
また本発明のディスク装置においては、モータとして第1の搬送駆動モータ27、第2の搬送駆動モータ22および昇降モータ10を使用しており、また、モータプーリとして第1の搬送駆動モータプーリ28、第2の搬送駆動モータプーリ23および昇降モータプーリ11を使用しており、更に大プーリとして第1の搬送大プーリ30および第2の搬送大プーリ25を使用しているが、これらは互いに仕様が似通っており、使用トルクあるいは使用速度によっては、仕様を共通化することにより部品種数を削減し、合理化を図ることが可能である。
以上に説明した実施の形態は、いずれもあくまでも本発明の技術的内容を明らかにする意図のものであって、本発明はこのような具体例にのみ限定して解釈されるものではなく、その発明の精神と請求の範囲に記載する範囲内でいろいろと変更して実施することができ、本発明を広義に解釈すべきである。
【産業上の利用の可能性】
本発明のディスク装置の利用分野は特に限定はないが、例えばデータを記録及び/又は再生する装置として、具体的には映像あるいは音響コンテンツを記録及び/又は再生する装置や、パソコン用ストレージ等として利用できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】


【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光ビームによりデータの記録及び/又は再生を行うことが可能な第1のディスクを載置して回転させる第1のディスク回転機構と、
前記第1の光ビームを出射して前記第1のディスクに対して記録及び/又は再生を行う第1の光ヘッドと、
前記第1の光ヘッドを前記第1のディスクの略半径方向へ移動させる第1の光ヘッド移動機構と、
第2の光ビームによりデータの記録及び/又は再生を行うことが可能な第2のディスクを載置して回転させる第2のディスク回転機構と、
前記第2の光ビームを出射して前記第2のディスクに対して記録及び/又は再生を行う第2の光ヘッドと、
前記第2の光ヘッドを前記第2のディスクの略半径方向へ移動させる第2の光ヘッド移動機構と、
前記第1のディスク回転機構と、前記第1の光ヘッドと、前記第1の光ヘッド移動機構と、前記第2のディスク回転機構と、前記第2の光ヘッドと、前記第2の光ヘッド移動機構とが搭載された移送ベースと、
前記第1のディスクに対して記録及び/又は再生を行うための第1のトレイ位置と、前記第2のディスクに対して記録及び/又は再生を行うための第2のトレイ位置と、前記第1のディスク及び前記第2のディスクの載置及び取り出しを行うための第3のトレイ位置とに搬送されるメディアトレイと、
前記第1のディスク面及び前記第2のディスク面に平行で、かつ前記第1のディスク回転機構の回転中心と前記第2のディスク回転機構の回転中心とを結ぶ直線に対して略直交する第1の方向に前記メディアトレイを案内する第1のトレイガイドと、
前記第1のディスク面及び前記第2のディスク面に平行で、かつ前記第1のディスク回転機構の回転中心と前記第2のディスク回転機構の回転中心とを結ぶ直線と平行な第2の方向に前記メディアトレイを案内する第2のトレイガイドと、
前記メディアトレイを前記第1の方向に移動させる第1のトレイ駆動機構と、
前記メディアトレイを前記第2の方向に移動させる第2のトレイ駆動機構と
を備え、
前記第1の光ヘッドと前記第2の光ヘッドとが、前記メディアトレイに載置されたディスク面を含む面に対して同じ側に配置されていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記第1のトレイ位置と、前記第2のトレイ位置と、前記第3のトレイ位置とが、略同一平面内にある請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記第2のトレイ駆動機構は、外部の駆動源より駆動力を伝達され得る部品を少なくとも1個以上有する請求項1に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記移送ベースが、前記メディアトレイに載置されたディスクに対して接離する方向に変位する請求項1に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記移送ベースが、前記第1のディスク回転機構と、前記第1の光ヘッドと、前記第1の光ヘッド移動機構とが搭載された第1の移送ベースと、前記第2のディスク回転機構と、前記第2の光ヘッドと、前記第2の光ヘッド移動機構とが搭載された第2の移送ベースとに分割されている請求項1に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記第1の移送ベースと前記第2の移送ベースとが、前記ディスクトレイに載置されたディスクに対して接離する方向に互いに独立して変位する請求項5に記載のディスク装置。
【請求項7】
カム溝を有し、前記第2の方向と略平行な方向に移動する第1の昇降プレートと、カム溝を有し、前記第2の方向と略平行な方向に移動する第2の昇降プレートとを更に備え、
前記第1の昇降プレートおよび前記第2の昇降プレートが前記第2の方向に略平行にそれぞれ移動することにより、それぞれの前記カム溝が、前記第1の移送ベースおよび前記第2の移送ベースを前記ディスクトレイに載置されたディスクに対して接離する方向にそれぞれ変位させる請求項6に記載のディスク装置。
【請求項8】
前記第1の昇降プレートおよび前記第2の昇降プレートにそれぞれ備えられた、前記第2の方向と略平行な方向にピッチ線を持つ第1の昇降ラックおよび第2の昇降ラックと、
前記第1の昇降ラックおよび前記第2の昇降ラックとかみ合い、前記第1の昇降プレートおよび前記第2の昇降プレートを前記第2の方向と略平行な方向に移動させる昇降ギアと
を更に備える請求項7に記載のディスク装置。
【請求項9】
前記第1の昇降ラックは、前記昇降ギアとはかみ合わない第1の不係合領域を有する間欠ラックであり、
前記第2の昇降ラックは、前記昇降ギアとはかみ合わない第2の不係合領域を有する間欠ラックである請求項8に記載のディスク装置。
【請求項10】
前記第1の昇降プレートの移動により駆動されて、前記第2の昇降ラックと前記昇降ギアとのかみ合いを制御し、且つ、前記第2の昇降プレートの移動により駆動されて、前記第1の昇降ラックと前記昇降ギアとのかみ合いを制御するかみ合い切換機構を更に備える請求項9に記載のディスク装置。
【請求項11】
前記第1の昇降ラックの前記ピッチ線と前記第2の昇降ラックの前記ピッチ線とは前記昇降ギアを挟んで互いに対向している請求項8に記載のディスク装置。
【請求項12】
前記第1の昇降プレートは、前記第2の方向と略平行な第1の直線部と前記第1の直線部に直角に連接する第1の直交部とからなる略L字状の第1の切換カム溝を有し、
前記第2の昇降プレートは、前記第2の方向と略平行な第2の直線部と前記第2の直線部に直角に連接する第2の直交部とからなる略L字状の第2の切換カム溝を有し、
前記かみ合い切換機構は、前記第1の切換カム溝と係合する第1のピンと、前記第2の切換カム溝と係合する第2のピンとを備えた切換レバーからなり、
前記切換レバーは、前記第1のピンおよび前記第2のピンから等距離にある軸の回りに回動可能である請求項10に記載のディスク装置。
【請求項13】
前記第1のピンが前記第1の直交部と係合しているときにのみ前記第2のピンは前記第2の直線部と係合し、かつ、
前記第2のピンが前記第2の直交部と係合しているときにのみ前記第1のピンは前記第1の直線部と係合する請求項12に記載のディスク装置。
【請求項14】
前記第1のピンが前記第1の直線部と係合しているときにのみ前記昇降ギアは前記第1の昇降ラックとかみ合い、かつ、
前記第2のピンが前記第2の直線部と係合しているときにのみ前記昇降ギアは前記第2の昇降ラックとかみ合う請求項12に記載のディスク装置。
【請求項15】
前記第1の昇降プレートおよび前記第2の昇降プレートにそれぞれ備えられた、前記第2の方向と略平行な方向にピッチ線を持つ第1の昇降ラックおよび第2の昇降ラックと、
前記第1の昇降ラックとかみ合い、前記第1の昇降プレートを前記第2の方向と略平行な方向に移動させる第1の昇降ギアと、
前記第2の昇降ラックとかみ合い、前記第2の昇降プレートを前記第2の方向と略平行な方向に移動させる第2の昇降ギアと
を更に備える請求項7に記載のディスク装置。
【請求項16】
前記第2のトレイ駆動機構は、
駆動源と、
前記駆動源より得られる駆動力を伝達するギア列と
からなる請求項1に記載のディスク装置。
【請求項17】
前記第2のトレイ駆動機構は、
駆動力を伝達するギアと、
前記ギアとかみ合って、前記第2の方向と平行な方向に移動する搬送ラックと、
前記搬送ラックに設けられた搬送ラックピンと、
回動自在に保持された搬送駆動レバーと、
前記搬送ラックピンと係合し、前記搬送駆動レバーの回動軸に対する半径方向に沿って前記搬送駆動レバーに設けられた搬送カム溝と
を備え、
前記搬送ラックが移動されることにより前記搬送駆動レバーが回動し、前記搬送駆動レバーの一部と直接又は間接的に係合された前記第1のトレイガイドが前記第2の方向に沿って駆動される請求項1に記載のディスク装置。
【請求項18】
前記搬送カム溝は、前記回動軸より遠い側が二股に分岐した略「Y」字状である請求項17に記載のディスク装置。
【請求項19】
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクのうちの少なくとも一方は、ケース状のディスクカートリッジに収納されている請求項1に記載のディスク装置。
【請求項20】
前記ディスクカートリッジは、収納されたディスクを露出するための開口と、前記開口を開閉するための第1のカートリッジシャッタおよび第2のカートリッジシャッタとを有し、
前記第1のカートリッジシャッタと前記第2のカートリッジシャッタとは、それぞれ回転しながら相互間の距離を変化させて前記開口の開閉を行う請求項19に記載のディスク装置。
【請求項21】
前記第1のカートリッジシャッタと前記第2のカートリッジシャッタによる前記開口の開閉動作は、前記メディアトレイの前記第1の方向に沿った移動と連動する請求項20に記載のディスク装置。
【請求項22】
前記第1の方向と略平行な前記第1のトレイガイドの面に、前記開口の開閉動作を行うための開閉部材が設けられている請求項20に記載のディスク装置。
【請求項23】
前記第2のトレイ位置に対して前記第1のトレイ位置が位置する側は、前記ディスクカートリッジに収納されたディスクの中心を通り前記第1の方向と平行な方向に対して前記開閉部材が設けられている側と同じ側である請求項22に記載のディスク装置。
【請求項24】
前記第1のトレイガイドに設けられた可動側位置決め部と、前記第2のトレイガイドに対する相対的位置が不変な固定側位置決め部とを更に備え、
前記第1のトレイガイドを前記第2の方向に沿って移動させたとき、移動方向の終端にて前記可動側位置決め部が前記固定側位置決め部に当接して、前記第1のトレイガイドの前記第2の方向における位置決めが行われる請求項1に記載のディスク装置。
【請求項25】
前記第2のトレイガイドに対する相対的位置が不変な固定側位置決め部を更に備え、
前記第1のディスク又は前記第2のディスクを収納したディスクカートリッジが搭載された前記メディアトレイを前記第2の方向に沿って移動させたとき、移動方向の終端にて前記ディスクカートリッジが前記固定側位置決め部に当接して、前記ディスクカートリッジの前記第2の方向における位置決めが行われる請求項1に記載のディスク装置。
【請求項26】
前記第1のディスクを前記第1のディスク回転機構に固定保持させ、且つ、前記第2のディスクを前記第2のディスク回転機構に固定保持させる、共用のクランパユニットが、前記第1のトレイガイドに設けられている請求項1に記載のディスク装置。
【請求項27】
前記第1のディスク回転機構における前記第1のディスクの載置面と、前記第2のディスク回転機構における前記第2のディスクの載置面とが略同一高さである請求項1に記載のディスク装置。
【請求項28】
前記メディアトレイが前記第3のトレイ位置から前記第1の方向に沿って移動した終点位置が、前記第1のトレイ位置である請求項1に記載のディスク装置。
【請求項29】
前記第1のディスク回転機構の回転中心と、前記第2のディスク回転機構の回転中心との間隔は、前記第1のディスクの半径と前記第2のディスクの半径とを加算した寸法の0.9〜1.1倍である請求項1に記載のディスク装置。
【請求項30】
前記メディアトレイと、前記第1のトレイガイドと、前記第2のトレイガイドと、前記第1のトレイ駆動機構と、前記第2のトレイ駆動機構とが実装されたメカベースを更に備え、
前記移送ベースは、前記メカベースに対して振動を吸収するダンパを介して取り付けられている請求項1に記載のディスク装置。
【請求項31】
前記メディアトレイと、前記第1のトレイガイドと、前記第2のトレイガイドと、前記第1のトレイ駆動機構と、前記第2のトレイ駆動機構とが実装されたメカベースを更に備え、
前記第1の移送ベースおよび前記第2の移送ベースは、前記メカベースに対して、互いに異なる振動特性を有する、振動を吸収する第1のダンパおよび第2のダンパを介してそれぞれ取り付けられている請求項5に記載のディスク装置。
【請求項32】
前記メディアトレイと、前記第1のトレイガイドと、前記第2のトレイガイドと、前記第1のトレイ駆動機構と、前記第2のトレイ駆動機構とが実装されたメカベースを更に備え、
前記メカベースは、前記ディスク装置のシャーシに対して、振動を吸収するメカベースダンパを介して保持されている請求項1に記載のディスク装置。
【請求項33】
前記ディスクカートリッジには少なくとも一つの穴が形成されており、
前記移送ベースには、前記ディスクカートリッジに設けられた前記穴と嵌合する位置決めピンが設けられており、
前記穴と前記位置決めピンとが嵌合することにより、前記第1のディスク回転機構又は前記第2のディスク回転機構に対して前記ディスクカートリッジが位置決めされる請求項19に記載のディスク装置。
【請求項34】
前記位置決めピンの各根元部分には、前記ディスクカートリッジの面と当接する座面が設けられている請求項33に記載のディスク装置。
【請求項35】
前記メディアトレイの、前記ディスクカートリッジが載置される面には、前記座面が挿通される位置決めピン穴が形成されている請求項34に記載のディスク装置。
【請求項36】
前記第1のディスク回転機構又は前記第2のディスク回転機構に前記第1のディスク又は前記第2のディスクが載置されている時に、前記座面が前記位置決めピン穴を貫通している請求項35に記載のディスク装置。
【請求項37】
前記位置決めピン穴の内周面と、前記座面の外周縁との間には0.2mm以上、1.5mm以下の間隙を有する請求項35に記載のディスク装置。

【国際公開番号】WO2004/061840
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506708(P2005−506708)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015364
【国際出願日】平成15年12月1日(2003.12.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】