ディスク記憶装置及びサーボ制御方法
【課題】位相サーボ制御方式において、高速シーク時でも位相サーボパターンを確実に復調することにある。
【解決手段】本実施形態によれば、第1の位相サーボパターン、同相の第2の位相サーボパターン及び逆相の第3の位相サーボパターンがサーボ領域に記録されており、かつ当該第3の位相サーボパターンが少なくとも2分割の各分割位相サーボパターンからなるディスクと、前記サーボ領域からヘッドにより読み出されたリード信号から、同一比率の積分区間での積分演算を含む位相サーボ復調処理を実行する位相サーボ復調手段とを有する構成のディスク記憶装置である。
【解決手段】本実施形態によれば、第1の位相サーボパターン、同相の第2の位相サーボパターン及び逆相の第3の位相サーボパターンがサーボ領域に記録されており、かつ当該第3の位相サーボパターンが少なくとも2分割の各分割位相サーボパターンからなるディスクと、前記サーボ領域からヘッドにより読み出されたリード信号から、同一比率の積分区間での積分演算を含む位相サーボ復調処理を実行する位相サーボ復調手段とを有する構成のディスク記憶装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ディスク記憶装置に適用する位相サーボ制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスクドライブを代表とするディスク記憶装置(以下、単にディスクドライブと表記する場合がある)は、ディスク上の目標位置にヘッドを位置決めするためのサーボ制御機能を有する。このサーボ制御方式には、位相サーボパターンを含むサーボ情報を使用する位相サーボ制御方式がある。
【0003】
位相サーボ制御方式は、サーボ領域に記録されている位相サーボパターン(位相サーボバースト信号)を積分演算することで復調し、ディスク上のヘッドの位置を示す位置情報を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−200554号公報
【特許文献2】特許第3340077号公報
【特許文献3】特許第3679440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
位相サーボ制御方式では、位相サーボパターンを復調するときに、ある区間を積分演算する処理が必要である。この場合、相対的長い区間(積分区間)を積分演算すると、高品質の位置情報を算出することができる。しかし一方、相対的長い区間を積分する場合、その積分区間内でヘッド位置が検出範囲を超えてしまい、結果として正確な位置検出ができないことになる。
【0006】
この問題は、ヘッドの移動速度が小さい場合にはそれほど影響しない。しかし、相対的にヘッドの移動速度が大きくなると、その問題の影響は顕著になる。ヘッドの移動速度(シーク速度)は、ディスク上のトラック密度に関係し、高密度になると相対的に移動速度が大きくなる(高速シーク)。従って、位相サーボ制御方式では、位相サーボパターンを復調できる速度限界が生じ、今後の高トラック密度化に伴って当該速度限界を延ばす工夫が求められている。
【0007】
即ち、位相サーボ制御方式において、高速シーク時でも位相サーボパターンを確実に復調できることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態によれば、第1の位相サーボパターン、同相の第2の位相サーボパターン及び逆相の第3の位相サーボパターンがサーボ領域に記録されており、かつ当該第3の位相サーボパターンが少なくとも2分割の各分割位相サーボパターンからなるディスクと、前記サーボ領域からヘッドにより読み出されたリード信号から、同一比率の積分区間での積分演算を含む位相サーボ復調処理を実行する位相サーボ復調手段とを有する構成のディスク記憶装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に関するディスクドライブの構成を説明するためのブロック図。
【図2】本実施形態に関するリード/ライトチャネルの要部を説明するためのブロック図。
【図3】本実施形態に関するサーボデータの構成を説明するための図。
【図4】本実施形態に関する積分回路の動作を説明するための図。
【図5】本実施形態に関する積分回路の動作を説明するための図。
【図6】本実施形態に関する積分回路での積分区間を説明するための図。
【図7】本実施形態に関する積分回路での積分区間を説明するための図。
【図8】本実施形態の変形例を説明するための図。
【図9】本実施形態の他の変形例を説明するための図。
【図10】本実施形態に関する速度補償処理を説明するための図。
【図11】本実施形態に関する速度補償処理を説明するための図。
【図12】本実施形態に関する速度補償処理を説明するための図。
【図13】本実施形態に関する速度補償処理を説明するための図。
【図14】本実施形態を適用する位相サーボパターンの具体例を説明するための図。
【図15】図14に示す具体例の位相サーボパターンの概念図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0011】
[ディスクドライブの構成]
図1は、本実施形態に関するディスクドライブ10の要部を示すブロック図である。図2は本実施形態に関するリード/ライトチャネルの要部を説明するための図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のディスクドライブ10は、磁気記録媒体であるディスク11と、スピンドルモータ12と、ヘッド13とを有する。ディスク11上には、後述するサーボ領域(サーボセクタ)100が構成されている。スピンドルモータ12は、ディスク11を回転させる。ヘッド13は、リードヘッド素子とライトヘッド素子とを含み、ディスク11からデータを読み出し、またデータを書き込む。
【0013】
さらに、ディスクドライブ10は、ヘッドアンプ14と、リード/ライト(R/W)チャネル15と、ディスクコントローラ16と、マイクロプロセッサ(CPU)17とを有する。なお、R/Wチャネル15、ディスクコントローラ16及びCPU17は、システムオンチップ(SoC:system on a chip)18として集積化されている。
【0014】
ヘッドアンプ14は、ヘッド13により読み出された信号(リードデータ)を増幅して、R/Wチャネル15に伝送する。また、ヘッドアンプ14は、R/Wチャネル15から出力される信号(ライトデータ)をライト電流に変換してヘッド13に伝送する。R/Wチャネル15は、データ再生の信号処理回路であるリードチャネルと、データ記録の信号処理回路であるライトチャネルとを含む。ライトチャネルは主として、ライトデータをエンコードする機能を有する。なお、本実施形態はリードチャネルの機能に関係し、ライトチャネルに関する説明は省略する。
【0015】
R/Wチャネル15は、ヘッド13により読み出されたリード信号から、データ領域(データセクタ)に記録されているデータをデコードする。また、R/Wチャネル15は、ヘッド13により読み出されたリード信号からサーボ領域100に記録されているサーボデータを復調する。サーボデータには、アドレスデータ及び位相サーボパターン(位相サーボバースト信号)が含まれている。
【0016】
ディスクコントローラ16は、図示しないバッファメモリを使用して、R/Wチャネル15とホストシステム20間のデータ転送を制御するインターフェースである。CPU17は、R/Wチャネル15により復調されるサーボデータを使用して、ヘッド13のサーボ制御(位置決め制御)を実行する。ホストシステム20は、ディスクドライブ10を外部記憶装置として使用するパーソナルコンピュータやデジタルテレビなどのデジタル機器である。
【0017】
図2は、R/Wチャネル15に含まれるリードチャネルの一部であり、本実施形態の位相サーボパターンを復調するための要部を示すブロック図である。図2に示すように、R/Wチャネル15は、A/Dコンバータ30と、積分回路31と、レジスタ32とを含む。A/Dコンバータ30は、ヘッドアンプ14から伝送されるリード信号の中で、サーボ領域のサーボ信号をデジタル信号に変換する。積分回路31は、後述するように、サーボ信号の中で位相サーボパターンを復調するために、CPU17からのゲート信号に応じた積分区間を積分演算する。本実施形態では、積分回路31は、DFT(discrete Fourier transform)演算を実行する。レジスタ32は、積分回路31の演算結果を保持する。CPU17は、レジスタ32から積分回路31の演算結果を取得して、サーボ制御に必要な位置情報(位相情報)を算出する。
【0018】
[位相サーボ復調]
以下、本実施形態に関する位相サーボ復調動作を説明する。
【0019】
図3(A),(B)は、ディスク11のサーボ領域100に記録されているサーボデータ40の構成を示す図である。図3(A)に示すように、サーボデータ40は、プリアンブル41、サーボマーク(SM)42、アドレスデータ43、位置データ(サーボバースト信号)44、ポストアンブル45、ギャップ(GAP)46を含む。アドレスデータ43は、トラックアドレス(シリンダアドレス)及びセクタアドレスを示すデータである。CPU17は、復調したトラックアドレスから、ヘッド13が位置するトラック番号を識別する。
【0020】
位置データ44は、トラック内のヘッド13の位置を検出する位置情報を生成するための位相サーボバースト信号である。本実施形態の位置データ44は、図3(B)に示すように、第1の位相サーボパターン(Even 1)50、同相の第2の位相サーボパターン(Even 2)51及び逆相の第3の位相サーボパターン(Odd)からなる。さらに、第3の位相サーボパターン(Odd)は、2分割された分割位相パターン(Odd 1A)52,(Odd 1B)53から構成されている。各位相サーボパターン50〜53は、ギャップ(GAP)により区別されている。
【0021】
図4及び図5は、ヘッド13の移動軌跡200に応じて積分回路31が実行する積分演算(DFT演算)の演算結果を説明するための図である。図4(A)及び図5(A)において、符号400はディスク11上の半径方向を示す。
【0022】
図4(A)に示すように、ヘッド13がある速度でサーボ領域100を横切っている状態で、サーボ領域100から位置データ44、即ち位相サーボパターンを読み出す。ここで、位相サーボパターンは、従来の第1及び第2の位相サーボパターン(Even 1とEven 2)及び逆相の第3の位相サーボパターン(Odd)からなるものとする。R/Wチャネル15の積分回路31は、図4(B)に示すように、部分的に-180degから+180degに変化するベクトルをDFT演算結果を出力する。CPU17は、DFT演算結果であるベクトルを合成する速度補償を実行して、ヘッドの位置を示す位置情報(位相情報)を算出する。即ち、位置情報は、ベクトル長により算出される。
【0023】
従来の位相サーボパターンの構成では、積分回路31が実行するDFT演算の積分区間が長くなる。具体的には、各位相サーボパターンのEven 1、Even 2、Oddに対する積分区間の比率は、1:2:1である。即ち、Odd領域がEven領域に対して2倍の長さを持っているため、速度に対する耐性が半分になってしまう。このため、ヘッド13が高速でシーク(移動)している場合に、図4(C)に示すように、CPU17は、DFT演算結果であるベクトルを合成すると、360度回転し、ベクトル長が0となる。従って、特に、ヘッド13が高速でシーク(移動)している場合には、ヘッド13の位置検出ができないことになる。
【0024】
一方、図5(A)に示すように、ヘッド13が速度がゼロでサーボ領域100のある位置に停止している状態で、サーボ領域100から位相サーボパターンを読み出す。この場合、R/Wチャネル15の積分回路31は、図5(B)に示すように、常に0degのDFT演算結果を出力する。従って、図5(C)に示すように、CPU17は、DFT演算結果であるベクトルを合成して、理想の値となるベクトル長を算出することになる。
【0025】
前述したように、近年では、ディスク11上のトラック密度が高くなっているため、相対的にヘッド13の移動速度が高速化(高速シーク)している。従って、積分回路31が実行するDFT演算の積分区間が長くなる。このため、ヘッド13が高速でシーク(移動)している場合に、DFT演算結果であるベクトルを合成する速度補償を実行して、ヘッドの位置を示す位置情報(位相情報)を算出すると、算出結果であるベクトル長が0となる。従って、ベクトルの位相成分を利用する位相サーボ復調において、ベクトル長がゼロになり、位相成分が定義できなくなり、ヘッド13の位置情報を算出できない事態となる。
【0026】
そこで、本実施形態は、図3(B)に示すように、位相サーボバースト信号44の第3の位相サーボパターン(Odd)を分割位相パターン(Odd 1A)52,(Odd 1B)53に2分割することにより、結果としてDFT演算の積分区間を短縮化する。これにより、ヘッド13が高速シークの場合でも、ヘッドの位置を示す位置情報(位相情報)を確実に復調する位相サーボ復調を実現する。
【0027】
図6及び図7は、本実施形態の積分回路31での積分区間を示す図である。積分回路31は、図6(A)に示すようなリード信号波形(位相サーボバースト信号44)を、CPU17から供給されるゲート信号に応じた積分区間でDFT演算を実行する。このとき、積分区間の比率は、各位相サーボパターンのEven 1、Even 2、Odd 1A、Odd 1Bに対して1:1:1:1である。図7は、図6における分割位相サーボパターンOdd 1A、Odd 1Bの拡大図である。図7(A),(B)に示すように、本実施形態では、積分回路31は、4サイクルのリード信号波形(正弦波)をDFT演算で積分している。
【0028】
図8(A),(B)は、本実施形態の変形例を示す図である。本実施形態では、図7(B)に示すように、分割位相サーボパターンOdd 1A、Odd 1Bの間にギャップが存在するため、積分演算を行わない無駄な区間が発生する。本変形例は、図8(B)に示すように、分割位相サーボパターン(便宜的にOdd 1a,Odd 1bと表記する)の間の隙間を無くすことにより、位相サーボバースト信号の長さをギャップ分だけ短縮できる。
【0029】
また、図9(A),(B)は、本実施形態の他の変形例を示す図である。本実施形態は、図7(B)に示すように、第3の位相サーボパターン(Odd)を、分割位相サーボパターンOdd 1A、Odd 1Bとして2分割した構成である。本変形例は、図9(B)に示すように、第3の位相サーボパターン(Odd)を、分割位相サーボパターンOdd 1a、Odd 1b、Odd 1c、Odd 1dとして4分割する。さらに、第1の位相サーボパターン(Even 1)を分割位相サーボパターンEven 1a、1bとして2分割し、かつ第2の位相サーボパターン(Even 2)を分割位相サーボパターンEven 2a、2bとして2分割する構成である。
【0030】
このような構成であれば、本実施形態の場合と比較して、さらに位相サーボパターンを細かく分割することで、各位相サーボパターンのDFT演算を短縮化した積分区間で確実に行なうことができる。
【0031】
図10、図11、図12及び図13は、実施形態の位相サーボ復調に含まれる速度補償処理を説明するための図である。
【0032】
図10に示すように、ヘッド13のシーク速度が無いときには、第3の位相サーボパターンの分割位相サーボパターンに対応するDFT演算結果であるOdd1AベクトルとOdd1Bベクトルは同じ向きである。従って、CPU17は、レジスタ32から取得した各ベクトルを合成(ベクトル加算)し、ベクトル長であるヘッド13の位置情報(位相情報)を算出する。
【0033】
一方、図10に示すように、ヘッド13があるシーク速度を有する場合には、DFT演算結果であるOdd1AベクトルとOdd1Bベクトルは、相互に逆方向になる。従って、このままベクトル加算を実行すると、打ち消しあってベクトル長がゼロになってしまう。そこで、図12に示すように、本実施形態のCPU17は、速度による位相偏差を補正した上でベクトル加算を実行し、有意なベクトル長を算出する。ここで、Odd1AベクトルとOdd1Bベクトルの速度による位相偏差は、予め予測することができる。
【0034】
図13は、具体的にCPU17が実行する速度補償演算の演算内容(firmware implement)を示すものである。即ち、ベクトルの回転は回転演算子を用いて行う事ができる。ベクトルOdd1aとベクトルOdd1bに対して、それぞれ回転補正(速度補償)を行い、補正したものをOdd領域のDFT演算結果として解釈することで、位相サーボ復調を行うことが可能となる。なお、図13において、θはシーク速度値に定数を掛けた値である。
【0035】
以上のように本実施形態によれば、ディスク11上のトラック密度が高密度になり、相対的にシーク速度が高速になった場合でも、位相サーボパターンの積分区間を短縮化することにより、DFT演算(積分演算)の演算結果から有意なベクトル長を算出できる。従って、位相サーボ方式において、高速シークの場合でも、ヘッド13の位置を確実に検出できる位置情報(位相情報)を算出する位相サーボ復調を実現することができる。換言すれば、位相サーボ方式での位相サーボ復調が可能な速度限界を延ばすように向上を図ることができる。
【0036】
(本実施形態を適用する具体例)
図14は、本実施形態の位相サーボパターンEven 1、Odd 1A、Odd 1B、Even 2の具体例1〜3として、それぞれに設定されるトラック(シリンダ)間の位相差(deg)の具体例を示す図である。
【0037】
図15は、図14に示す具体例1の場合を説明するための図である。図15において、便宜的に各トラックを、各シリンダCyl0〜Cyl6として表記する。即ち、具体例1の場合には、ヘッド13が例えばシリンダCyl2からシリンダCyl6の範囲に含まれる位相サーボパターンEven 1、Odd 1A、Odd 1B、Even 2の領域44を移動したときに、2シリンダで位相が+180deg変化する。さらに、4シリンダで位相が+360deg変化することになる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…ディスクドライブ、11…ディスク、12…スピンドルモータ、
13…ヘッド、14…ヘッドアンプ、15…リード/ライト(R/W)チャネル、
16…ディスクコントローラ、17…マイクロプロセッサ(CPU)、
18…システムオンチップ(SoC)、20…ホストシステム、
30…A/Dコンバータ、31…積分回路、32…レジスタ。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ディスク記憶装置に適用する位相サーボ制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスクドライブを代表とするディスク記憶装置(以下、単にディスクドライブと表記する場合がある)は、ディスク上の目標位置にヘッドを位置決めするためのサーボ制御機能を有する。このサーボ制御方式には、位相サーボパターンを含むサーボ情報を使用する位相サーボ制御方式がある。
【0003】
位相サーボ制御方式は、サーボ領域に記録されている位相サーボパターン(位相サーボバースト信号)を積分演算することで復調し、ディスク上のヘッドの位置を示す位置情報を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−200554号公報
【特許文献2】特許第3340077号公報
【特許文献3】特許第3679440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
位相サーボ制御方式では、位相サーボパターンを復調するときに、ある区間を積分演算する処理が必要である。この場合、相対的長い区間(積分区間)を積分演算すると、高品質の位置情報を算出することができる。しかし一方、相対的長い区間を積分する場合、その積分区間内でヘッド位置が検出範囲を超えてしまい、結果として正確な位置検出ができないことになる。
【0006】
この問題は、ヘッドの移動速度が小さい場合にはそれほど影響しない。しかし、相対的にヘッドの移動速度が大きくなると、その問題の影響は顕著になる。ヘッドの移動速度(シーク速度)は、ディスク上のトラック密度に関係し、高密度になると相対的に移動速度が大きくなる(高速シーク)。従って、位相サーボ制御方式では、位相サーボパターンを復調できる速度限界が生じ、今後の高トラック密度化に伴って当該速度限界を延ばす工夫が求められている。
【0007】
即ち、位相サーボ制御方式において、高速シーク時でも位相サーボパターンを確実に復調できることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態によれば、第1の位相サーボパターン、同相の第2の位相サーボパターン及び逆相の第3の位相サーボパターンがサーボ領域に記録されており、かつ当該第3の位相サーボパターンが少なくとも2分割の各分割位相サーボパターンからなるディスクと、前記サーボ領域からヘッドにより読み出されたリード信号から、同一比率の積分区間での積分演算を含む位相サーボ復調処理を実行する位相サーボ復調手段とを有する構成のディスク記憶装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に関するディスクドライブの構成を説明するためのブロック図。
【図2】本実施形態に関するリード/ライトチャネルの要部を説明するためのブロック図。
【図3】本実施形態に関するサーボデータの構成を説明するための図。
【図4】本実施形態に関する積分回路の動作を説明するための図。
【図5】本実施形態に関する積分回路の動作を説明するための図。
【図6】本実施形態に関する積分回路での積分区間を説明するための図。
【図7】本実施形態に関する積分回路での積分区間を説明するための図。
【図8】本実施形態の変形例を説明するための図。
【図9】本実施形態の他の変形例を説明するための図。
【図10】本実施形態に関する速度補償処理を説明するための図。
【図11】本実施形態に関する速度補償処理を説明するための図。
【図12】本実施形態に関する速度補償処理を説明するための図。
【図13】本実施形態に関する速度補償処理を説明するための図。
【図14】本実施形態を適用する位相サーボパターンの具体例を説明するための図。
【図15】図14に示す具体例の位相サーボパターンの概念図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0011】
[ディスクドライブの構成]
図1は、本実施形態に関するディスクドライブ10の要部を示すブロック図である。図2は本実施形態に関するリード/ライトチャネルの要部を説明するための図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のディスクドライブ10は、磁気記録媒体であるディスク11と、スピンドルモータ12と、ヘッド13とを有する。ディスク11上には、後述するサーボ領域(サーボセクタ)100が構成されている。スピンドルモータ12は、ディスク11を回転させる。ヘッド13は、リードヘッド素子とライトヘッド素子とを含み、ディスク11からデータを読み出し、またデータを書き込む。
【0013】
さらに、ディスクドライブ10は、ヘッドアンプ14と、リード/ライト(R/W)チャネル15と、ディスクコントローラ16と、マイクロプロセッサ(CPU)17とを有する。なお、R/Wチャネル15、ディスクコントローラ16及びCPU17は、システムオンチップ(SoC:system on a chip)18として集積化されている。
【0014】
ヘッドアンプ14は、ヘッド13により読み出された信号(リードデータ)を増幅して、R/Wチャネル15に伝送する。また、ヘッドアンプ14は、R/Wチャネル15から出力される信号(ライトデータ)をライト電流に変換してヘッド13に伝送する。R/Wチャネル15は、データ再生の信号処理回路であるリードチャネルと、データ記録の信号処理回路であるライトチャネルとを含む。ライトチャネルは主として、ライトデータをエンコードする機能を有する。なお、本実施形態はリードチャネルの機能に関係し、ライトチャネルに関する説明は省略する。
【0015】
R/Wチャネル15は、ヘッド13により読み出されたリード信号から、データ領域(データセクタ)に記録されているデータをデコードする。また、R/Wチャネル15は、ヘッド13により読み出されたリード信号からサーボ領域100に記録されているサーボデータを復調する。サーボデータには、アドレスデータ及び位相サーボパターン(位相サーボバースト信号)が含まれている。
【0016】
ディスクコントローラ16は、図示しないバッファメモリを使用して、R/Wチャネル15とホストシステム20間のデータ転送を制御するインターフェースである。CPU17は、R/Wチャネル15により復調されるサーボデータを使用して、ヘッド13のサーボ制御(位置決め制御)を実行する。ホストシステム20は、ディスクドライブ10を外部記憶装置として使用するパーソナルコンピュータやデジタルテレビなどのデジタル機器である。
【0017】
図2は、R/Wチャネル15に含まれるリードチャネルの一部であり、本実施形態の位相サーボパターンを復調するための要部を示すブロック図である。図2に示すように、R/Wチャネル15は、A/Dコンバータ30と、積分回路31と、レジスタ32とを含む。A/Dコンバータ30は、ヘッドアンプ14から伝送されるリード信号の中で、サーボ領域のサーボ信号をデジタル信号に変換する。積分回路31は、後述するように、サーボ信号の中で位相サーボパターンを復調するために、CPU17からのゲート信号に応じた積分区間を積分演算する。本実施形態では、積分回路31は、DFT(discrete Fourier transform)演算を実行する。レジスタ32は、積分回路31の演算結果を保持する。CPU17は、レジスタ32から積分回路31の演算結果を取得して、サーボ制御に必要な位置情報(位相情報)を算出する。
【0018】
[位相サーボ復調]
以下、本実施形態に関する位相サーボ復調動作を説明する。
【0019】
図3(A),(B)は、ディスク11のサーボ領域100に記録されているサーボデータ40の構成を示す図である。図3(A)に示すように、サーボデータ40は、プリアンブル41、サーボマーク(SM)42、アドレスデータ43、位置データ(サーボバースト信号)44、ポストアンブル45、ギャップ(GAP)46を含む。アドレスデータ43は、トラックアドレス(シリンダアドレス)及びセクタアドレスを示すデータである。CPU17は、復調したトラックアドレスから、ヘッド13が位置するトラック番号を識別する。
【0020】
位置データ44は、トラック内のヘッド13の位置を検出する位置情報を生成するための位相サーボバースト信号である。本実施形態の位置データ44は、図3(B)に示すように、第1の位相サーボパターン(Even 1)50、同相の第2の位相サーボパターン(Even 2)51及び逆相の第3の位相サーボパターン(Odd)からなる。さらに、第3の位相サーボパターン(Odd)は、2分割された分割位相パターン(Odd 1A)52,(Odd 1B)53から構成されている。各位相サーボパターン50〜53は、ギャップ(GAP)により区別されている。
【0021】
図4及び図5は、ヘッド13の移動軌跡200に応じて積分回路31が実行する積分演算(DFT演算)の演算結果を説明するための図である。図4(A)及び図5(A)において、符号400はディスク11上の半径方向を示す。
【0022】
図4(A)に示すように、ヘッド13がある速度でサーボ領域100を横切っている状態で、サーボ領域100から位置データ44、即ち位相サーボパターンを読み出す。ここで、位相サーボパターンは、従来の第1及び第2の位相サーボパターン(Even 1とEven 2)及び逆相の第3の位相サーボパターン(Odd)からなるものとする。R/Wチャネル15の積分回路31は、図4(B)に示すように、部分的に-180degから+180degに変化するベクトルをDFT演算結果を出力する。CPU17は、DFT演算結果であるベクトルを合成する速度補償を実行して、ヘッドの位置を示す位置情報(位相情報)を算出する。即ち、位置情報は、ベクトル長により算出される。
【0023】
従来の位相サーボパターンの構成では、積分回路31が実行するDFT演算の積分区間が長くなる。具体的には、各位相サーボパターンのEven 1、Even 2、Oddに対する積分区間の比率は、1:2:1である。即ち、Odd領域がEven領域に対して2倍の長さを持っているため、速度に対する耐性が半分になってしまう。このため、ヘッド13が高速でシーク(移動)している場合に、図4(C)に示すように、CPU17は、DFT演算結果であるベクトルを合成すると、360度回転し、ベクトル長が0となる。従って、特に、ヘッド13が高速でシーク(移動)している場合には、ヘッド13の位置検出ができないことになる。
【0024】
一方、図5(A)に示すように、ヘッド13が速度がゼロでサーボ領域100のある位置に停止している状態で、サーボ領域100から位相サーボパターンを読み出す。この場合、R/Wチャネル15の積分回路31は、図5(B)に示すように、常に0degのDFT演算結果を出力する。従って、図5(C)に示すように、CPU17は、DFT演算結果であるベクトルを合成して、理想の値となるベクトル長を算出することになる。
【0025】
前述したように、近年では、ディスク11上のトラック密度が高くなっているため、相対的にヘッド13の移動速度が高速化(高速シーク)している。従って、積分回路31が実行するDFT演算の積分区間が長くなる。このため、ヘッド13が高速でシーク(移動)している場合に、DFT演算結果であるベクトルを合成する速度補償を実行して、ヘッドの位置を示す位置情報(位相情報)を算出すると、算出結果であるベクトル長が0となる。従って、ベクトルの位相成分を利用する位相サーボ復調において、ベクトル長がゼロになり、位相成分が定義できなくなり、ヘッド13の位置情報を算出できない事態となる。
【0026】
そこで、本実施形態は、図3(B)に示すように、位相サーボバースト信号44の第3の位相サーボパターン(Odd)を分割位相パターン(Odd 1A)52,(Odd 1B)53に2分割することにより、結果としてDFT演算の積分区間を短縮化する。これにより、ヘッド13が高速シークの場合でも、ヘッドの位置を示す位置情報(位相情報)を確実に復調する位相サーボ復調を実現する。
【0027】
図6及び図7は、本実施形態の積分回路31での積分区間を示す図である。積分回路31は、図6(A)に示すようなリード信号波形(位相サーボバースト信号44)を、CPU17から供給されるゲート信号に応じた積分区間でDFT演算を実行する。このとき、積分区間の比率は、各位相サーボパターンのEven 1、Even 2、Odd 1A、Odd 1Bに対して1:1:1:1である。図7は、図6における分割位相サーボパターンOdd 1A、Odd 1Bの拡大図である。図7(A),(B)に示すように、本実施形態では、積分回路31は、4サイクルのリード信号波形(正弦波)をDFT演算で積分している。
【0028】
図8(A),(B)は、本実施形態の変形例を示す図である。本実施形態では、図7(B)に示すように、分割位相サーボパターンOdd 1A、Odd 1Bの間にギャップが存在するため、積分演算を行わない無駄な区間が発生する。本変形例は、図8(B)に示すように、分割位相サーボパターン(便宜的にOdd 1a,Odd 1bと表記する)の間の隙間を無くすことにより、位相サーボバースト信号の長さをギャップ分だけ短縮できる。
【0029】
また、図9(A),(B)は、本実施形態の他の変形例を示す図である。本実施形態は、図7(B)に示すように、第3の位相サーボパターン(Odd)を、分割位相サーボパターンOdd 1A、Odd 1Bとして2分割した構成である。本変形例は、図9(B)に示すように、第3の位相サーボパターン(Odd)を、分割位相サーボパターンOdd 1a、Odd 1b、Odd 1c、Odd 1dとして4分割する。さらに、第1の位相サーボパターン(Even 1)を分割位相サーボパターンEven 1a、1bとして2分割し、かつ第2の位相サーボパターン(Even 2)を分割位相サーボパターンEven 2a、2bとして2分割する構成である。
【0030】
このような構成であれば、本実施形態の場合と比較して、さらに位相サーボパターンを細かく分割することで、各位相サーボパターンのDFT演算を短縮化した積分区間で確実に行なうことができる。
【0031】
図10、図11、図12及び図13は、実施形態の位相サーボ復調に含まれる速度補償処理を説明するための図である。
【0032】
図10に示すように、ヘッド13のシーク速度が無いときには、第3の位相サーボパターンの分割位相サーボパターンに対応するDFT演算結果であるOdd1AベクトルとOdd1Bベクトルは同じ向きである。従って、CPU17は、レジスタ32から取得した各ベクトルを合成(ベクトル加算)し、ベクトル長であるヘッド13の位置情報(位相情報)を算出する。
【0033】
一方、図10に示すように、ヘッド13があるシーク速度を有する場合には、DFT演算結果であるOdd1AベクトルとOdd1Bベクトルは、相互に逆方向になる。従って、このままベクトル加算を実行すると、打ち消しあってベクトル長がゼロになってしまう。そこで、図12に示すように、本実施形態のCPU17は、速度による位相偏差を補正した上でベクトル加算を実行し、有意なベクトル長を算出する。ここで、Odd1AベクトルとOdd1Bベクトルの速度による位相偏差は、予め予測することができる。
【0034】
図13は、具体的にCPU17が実行する速度補償演算の演算内容(firmware implement)を示すものである。即ち、ベクトルの回転は回転演算子を用いて行う事ができる。ベクトルOdd1aとベクトルOdd1bに対して、それぞれ回転補正(速度補償)を行い、補正したものをOdd領域のDFT演算結果として解釈することで、位相サーボ復調を行うことが可能となる。なお、図13において、θはシーク速度値に定数を掛けた値である。
【0035】
以上のように本実施形態によれば、ディスク11上のトラック密度が高密度になり、相対的にシーク速度が高速になった場合でも、位相サーボパターンの積分区間を短縮化することにより、DFT演算(積分演算)の演算結果から有意なベクトル長を算出できる。従って、位相サーボ方式において、高速シークの場合でも、ヘッド13の位置を確実に検出できる位置情報(位相情報)を算出する位相サーボ復調を実現することができる。換言すれば、位相サーボ方式での位相サーボ復調が可能な速度限界を延ばすように向上を図ることができる。
【0036】
(本実施形態を適用する具体例)
図14は、本実施形態の位相サーボパターンEven 1、Odd 1A、Odd 1B、Even 2の具体例1〜3として、それぞれに設定されるトラック(シリンダ)間の位相差(deg)の具体例を示す図である。
【0037】
図15は、図14に示す具体例1の場合を説明するための図である。図15において、便宜的に各トラックを、各シリンダCyl0〜Cyl6として表記する。即ち、具体例1の場合には、ヘッド13が例えばシリンダCyl2からシリンダCyl6の範囲に含まれる位相サーボパターンEven 1、Odd 1A、Odd 1B、Even 2の領域44を移動したときに、2シリンダで位相が+180deg変化する。さらに、4シリンダで位相が+360deg変化することになる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…ディスクドライブ、11…ディスク、12…スピンドルモータ、
13…ヘッド、14…ヘッドアンプ、15…リード/ライト(R/W)チャネル、
16…ディスクコントローラ、17…マイクロプロセッサ(CPU)、
18…システムオンチップ(SoC)、20…ホストシステム、
30…A/Dコンバータ、31…積分回路、32…レジスタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位相サーボパターン、同相の第2の位相サーボパターン及び逆相の第3の位相サーボパターンがサーボ領域に記録されており、かつ当該第3の位相サーボパターンが少なくとも2分割の各分割位相サーボパターンからなるディスクと、
前記サーボ領域からヘッドにより読み出されたリード信号から、同一比率の積分区間での積分演算を含む位相サーボ復調処理を実行する位相サーボ復調手段と
を具備したことを特徴とするディスク記憶装置。
【請求項2】
前記位相サーボ復調手段は、
前記第1と第2の位相サーボパターン及び前記各分割位相サーボパターンのそれぞれに対して、同一比率の積分区間での積分演算を実行する演算手段と、
前記演算手段からの演算結果に基づいて前記ヘッドの位置を示す位置情報を算出する位置算出手段と
を含む構成であることを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項3】
前記位置算出手段は、
前記演算手段からの前記各分割位相サーボパターンに対応する演算結果を使用して速度補償処理を実行し、前記位置情報を算出する構成であることを特徴とする請求項2に記載のディスク記憶装置。
【請求項4】
前記演算手段は、
前記積分演算としてディスクリート・フーリエ変換演算を実行し、前記第1と第2の位相サーボパターン及び前記各分割位相サーボパターンのそれぞれに対応するベクトル演算結果を算出する構成であることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項5】
前記位置算出手段は、
前記各分割位相サーボパターンに対応する各ベクトル演算結果を合成する速度補償処理を実行し、前記位置情報を算出する構成であることを特徴とする請求項4に記載のディスク記憶装置。
【請求項6】
前記第3の位相サーボパターンは、
前記各分割位相サーボパターンの境界にギャップが設けられた構成であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項7】
前記第3の位相サーボパターンは、
前記各分割位相サーボパターンの境界にギャップが存在しない構成であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の位相サーボパターンのそれぞれが少なくとも2分割の各分割位相サーボパターンからなり、
前記演算手段は、当該各分割位相サーボパターンを含めて同一比率の積分区間での積分演算を実行するように構成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の位相サーボパターン、及び前記第3の各分割位相サーボパターンは、トラック間の位相差がそれぞれ、+90deg、−90deg、+90degであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項10】
第1の位相サーボパターン、同相の第2の位相サーボパターン及び逆相の第3の位相サーボパターンがサーボ領域に記録されており、かつ当該第3の位相サーボパターンが少なくとも2分割の各分割位相サーボパターンからなるディスクを有するディスク記憶に適用するサーボ制御方法であって、
前記サーボ領域からヘッドにより読み出されたリード信号から、同一比率の積分区間での積分演算を含む位相サーボ復調処理を実行することを特徴とするサーボ制御方法。
【請求項11】
前記位相サーボ復調処理は、
前記第1と第2の位相サーボパターン及び前記各分割位相サーボパターンのそれぞれに対して、同一比率の積分区間での積分演算を実行する処理と、
前記演算手段からの演算結果に基づいて前記ヘッドの位置を示す位置情報を算出する処理とを含むことを特徴とする請求項10に記載のサーボ制御方法。
【請求項12】
前記位置情報を算出する処理は、
前記各分割位相サーボパターンに対応する前記積分演算の演算結果を使用して速度補償処理を実行する処理を含むことを特徴とする請求項11に記載のサーボ制御方法。
【請求項13】
前記積分演算を実行する処理は、
ディスクリート・フーリエ変換演算を実行し、前記第1と第2の位相サーボパターン及び前記各分割位相サーボパターンのそれぞれに対応するベクトル演算結果を算出することを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載のサーボ制御方法。
【請求項1】
第1の位相サーボパターン、同相の第2の位相サーボパターン及び逆相の第3の位相サーボパターンがサーボ領域に記録されており、かつ当該第3の位相サーボパターンが少なくとも2分割の各分割位相サーボパターンからなるディスクと、
前記サーボ領域からヘッドにより読み出されたリード信号から、同一比率の積分区間での積分演算を含む位相サーボ復調処理を実行する位相サーボ復調手段と
を具備したことを特徴とするディスク記憶装置。
【請求項2】
前記位相サーボ復調手段は、
前記第1と第2の位相サーボパターン及び前記各分割位相サーボパターンのそれぞれに対して、同一比率の積分区間での積分演算を実行する演算手段と、
前記演算手段からの演算結果に基づいて前記ヘッドの位置を示す位置情報を算出する位置算出手段と
を含む構成であることを特徴とする請求項1に記載のディスク記憶装置。
【請求項3】
前記位置算出手段は、
前記演算手段からの前記各分割位相サーボパターンに対応する演算結果を使用して速度補償処理を実行し、前記位置情報を算出する構成であることを特徴とする請求項2に記載のディスク記憶装置。
【請求項4】
前記演算手段は、
前記積分演算としてディスクリート・フーリエ変換演算を実行し、前記第1と第2の位相サーボパターン及び前記各分割位相サーボパターンのそれぞれに対応するベクトル演算結果を算出する構成であることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項5】
前記位置算出手段は、
前記各分割位相サーボパターンに対応する各ベクトル演算結果を合成する速度補償処理を実行し、前記位置情報を算出する構成であることを特徴とする請求項4に記載のディスク記憶装置。
【請求項6】
前記第3の位相サーボパターンは、
前記各分割位相サーボパターンの境界にギャップが設けられた構成であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項7】
前記第3の位相サーボパターンは、
前記各分割位相サーボパターンの境界にギャップが存在しない構成であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の位相サーボパターンのそれぞれが少なくとも2分割の各分割位相サーボパターンからなり、
前記演算手段は、当該各分割位相サーボパターンを含めて同一比率の積分区間での積分演算を実行するように構成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の位相サーボパターン、及び前記第3の各分割位相サーボパターンは、トラック間の位相差がそれぞれ、+90deg、−90deg、+90degであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のディスク記憶装置。
【請求項10】
第1の位相サーボパターン、同相の第2の位相サーボパターン及び逆相の第3の位相サーボパターンがサーボ領域に記録されており、かつ当該第3の位相サーボパターンが少なくとも2分割の各分割位相サーボパターンからなるディスクを有するディスク記憶に適用するサーボ制御方法であって、
前記サーボ領域からヘッドにより読み出されたリード信号から、同一比率の積分区間での積分演算を含む位相サーボ復調処理を実行することを特徴とするサーボ制御方法。
【請求項11】
前記位相サーボ復調処理は、
前記第1と第2の位相サーボパターン及び前記各分割位相サーボパターンのそれぞれに対して、同一比率の積分区間での積分演算を実行する処理と、
前記演算手段からの演算結果に基づいて前記ヘッドの位置を示す位置情報を算出する処理とを含むことを特徴とする請求項10に記載のサーボ制御方法。
【請求項12】
前記位置情報を算出する処理は、
前記各分割位相サーボパターンに対応する前記積分演算の演算結果を使用して速度補償処理を実行する処理を含むことを特徴とする請求項11に記載のサーボ制御方法。
【請求項13】
前記積分演算を実行する処理は、
ディスクリート・フーリエ変換演算を実行し、前記第1と第2の位相サーボパターン及び前記各分割位相サーボパターンのそれぞれに対応するベクトル演算結果を算出することを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載のサーボ制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−222092(P2011−222092A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91549(P2010−91549)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【特許番号】特許第4802287号(P4802287)
【特許公報発行日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【特許番号】特許第4802287号(P4802287)
【特許公報発行日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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