説明

ディスプレイの隔壁形成用フォトマスク、ディスプレイ用部材の製造方法およびプラズマディスプレイ用背面板の製造方法

【課題】隔壁の頂部幅と底部幅を好ましい範囲に制御可能な格子状透光部を有するディスプレイの隔壁形成用フォトマスク、ディスプレイ用部材の製造法およびプラズマディスプレイ用背面板の製造方法を提供する。
【解決手段】ネガ型感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法により格子状の隔壁を形成するために用いるディスプレイの隔壁形成用フォトマスクであって、ストライプ状の第1の群の透光パターンおよび前記第1の群の透光パターンに直交するストライプ状の第2の群の透光パターンからなる格子状の透光パターンを有し、前記第2の群の透光パターンのピッチのうち、前記第1の群の透光パターンの長手方向最外部から奇数番目のピッチP2および前記第1の群の透光パターンの長手方向最外部から偶数番目のピッチP3がそれぞれ一定であり、かつP2とP3が異なることを特徴とするディスプレイの隔壁形成用フォトマスク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁掛けテレビや大型モニターに用いられるプラズマディスプレイ、プラズマアドレス液晶ディスプレイなどのディスプレイの隔壁形成用フォトマスク、およびそれを用いたディスプレイ用部材の製造方法、特にプラズマディスプレイ用背面板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下PDPと称する)は液晶パネルに比べて高速表示が可能で、かつ視野角も広いことから、薄型・大型テレビに使用できるディスプレイとして注目されている。PDPは前面板と背面板との間に備えられた放電空間内で電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線を放電空間内の蛍光体に当てることにより表示を行うものである。表示面となる前面板側のガラス基板には、対をなす複数のスキャン電極とサステイン電極が銀やクロム、アルミニウム、ニッケルなどの材料で形成されている。さらにスキャン電極およびサステイン電極を被覆してガラスを主成分とする誘電体層が20〜50μm厚みで形成され、誘電体層を被覆してMgO層が形成されている。一般的なプラズマディスプレイ用背面板部材の概略図を図5に示す。背面板1側のガラス基板2には、複数のアドレス電極3がストライプ状に形成され、アドレス電極3を被覆してガラスを主成分とする誘電体層4が形成されている。誘電体層4上に放電セルを仕切るための隔壁5が形成され、隔壁5と誘電体層4で形成された放電空間内に蛍光体層6が形成されてなる。このようなPDP用背面板の場合、放電の広がりを一定領域に抑え、表示を規定のセル内で行わせると同時に、均一な放電空間を確保するために、およそ幅20〜80μm、高さ20〜200μmの形状をもつ隔壁5が設けられている。
【0003】
フルカラー表示が可能なPDPにおいては、蛍光体層6は、赤(R)緑(G)青(B)の各色に発光するものにより構成される。前面板側のガラス基板のサステイン電極と背面板1側のアドレス電極3が互いに直交するように、前面板と背面板1が封着され、それらの基板の間隙内にヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される希ガスが封入されPDPが形成される。スキャン電極とアドレス電極3の交点を中心として画素セルが形成されるので、PDPは複数の画素セルを有し、画像の表示が可能になる。
【0004】
近年、PDPの高性能化のために、従来のストライプ状の隔壁形状以外に、格子状、ハニカム状などの三叉部または交差部を有する隔壁形状が提案されている。このように隔壁構造が複雑化した理由の一つに、ストライプ状の隔壁構造の場合、画素間の放電の干渉が生じやすいことがあげられる。特に高精細化した場合には放電の干渉が顕著となり、前面板の放電ギャップを狭くする必要があるが、その場合には、画素の放電空間が狭くなるために、輝度が大幅に低下するという問題が生じる。この問題を解消するために、アドレス電極に平行なストライプ状の主隔壁と、主隔壁と略直交する、画素を仕切る補助隔壁からなる格子状の隔壁を設けることが提案されている。
【0005】
一般的な隔壁の形成方法としては、ガラスペーストを用いて隔壁パターンを形成し、焼成する方法が一般的である。隔壁パターンの形成方法としては、ガラスペーストをスクリーン印刷でパターン印刷し、乾燥する工程を多数回繰り返し、所定の高さの隔壁パターンを形成するスクリーン印刷法、フォトリソグラフィ技術により形成したサブトラティブマスク層を介してサンドブラストにより形成するサンドブラスト法などが知られている。しかし、スクリーン印刷法やサンドブラスト法では、工程が非常に多く製造コスト面で課題があった。
【0006】
この問題を解決するため、感光性ガラスペーストを用いてフォトリソグラフィ技術により隔壁パターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
次に、PDP用背面板の隔壁の好ましい形状について説明する。図6にプラズマディスプレイ用背面板の格子状隔壁の形状を示す。PDP用背面板においては、表示品位、歩留まりの点から、主隔壁頂部幅W1、主隔壁底部幅W2、補助隔壁頂部幅W3、補助隔壁底部幅W4の関係が以下の式(1)〜(3)を全て満たすことが好ましく、より好ましくは以下の式(4)〜(6)を全て満たすことが好ましい。
【0008】
0.5≦W1/W2≦1.0 (1)
0.5≦W3/W4≦1.0 (2)
0.7≦W4/W2≦1.3 (3)
0.6≦W1/W2≦0.8 (4)
0.6≦W3/W4≦0.8 (5)
0.8≦W4/W2≦1.2 (6)
【0009】
一方、感光性ガラスペーストを用いてフォトリソグラフィ技術により隔壁パターンを形成する方法では、塗布膜中では露光光の散乱が起こるため、隔壁の底部幅が頂部幅よりも広くなる傾向にある。特に頂部幅を小さく設計した場合にはその傾向が強くなる。また、1枚の格子状のマスクを用いて格子状の隔壁を形成する場合においては、格子のコーナー部は、塗布膜中の露光光の散乱が重なるために、コーナー部付近の底部幅は太くなる傾向にある。さらに、高精細化してくると、補助隔壁の長さは短くなることから、そのコーナー部の太りの影響を受け、補助隔壁において底部幅が大きくなりすぎる、すなわちW3/W4<0.5となり上記式(2)の範囲外となることが多いという問題があった。
【0010】
また、感光性ガラスペーストを用いた隔壁パターンの形成法として、複数回の露光を動作を行い、それぞれの露光の間にフォトマスクと感光性ガラスペースト塗布膜とを相対移動させる動作を行うことによって、フォトマスク上に異物が付着した場合やキズがあった場合であっても、断線や短絡等といった欠陥の発生を抑制し、生産性良くプラズマディスプレイ部材を製造する方法が知られている(特許文献2、3)。PDPにおいては、主隔壁の露光ズレを嫌うことから、前述の相対移動は主隔壁と平行な方向に行うことが多い。
【0011】
しかしながら、格子状隔壁パターンを形成するために、格子状の透光部パターンを有するフォトマスクを使用し、複数回の露光に同じフォトマスクを用いる場合、最終的に形成する補助隔壁のピッチが一定であることから、従来は図2に示すように補助隔壁を形成するための透光部のパターンが等ピッチであるフォトマスクが用いられていた。図2に示す従来のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクを用い、1回目の露光を行った後、フォトマスクと感光性ガラスペースト塗布膜を主隔壁と平行な方向に補助隔壁のピッチの整数倍移動し、2回目の露光を行うと、基板中央部においては1回目の露光と2回目の露光において露光される部分が一致するため、1回のみ露光を行う場合と同様、W3/W4<0.5となり上記式(2)の範囲外となることが多いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−223462号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2004−240095号公報(請求項1)
【特許文献3】国際公開パンフレットWO2006/025266号(請求項3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は隔壁の頂部幅と底部幅を好ましい範囲に制御可能な格子状透光部を有するディスプレイの隔壁形成用フォトマスク、ディスプレイ用部材の製造法およびプラズマディスプレイ用背面板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。すなわち、本発明の隔壁形成用フォトマスクは、ネガ型感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法により格子状の隔壁を形成するために用いるディスプレイの隔壁形成用フォトマスクであって、ストライプ状の第1の群の透光パターンおよび前記第1の群の透光パターンに直交するストライプ状の第2の群の透光パターンからなる格子状の透光パターンを有し、前記第2の群の透光パターンのピッチのうち、前記第1の群の透光パターンの長手方向最外部から奇数番目のピッチP2および前記第1の群の透光パターンの長手方向最外部から偶数番目のピッチP3がそれぞれ一定であり、かつP2とP3が異なることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のディスプレイ用部材の製造方法は、基板上にネガ型感光性ペーストを塗布して得られる塗布膜を上述のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクを介して露光し、露光後の前記塗布膜または前記フォトマスクを前記第1の群の透光パターンに平行な方向に移動距離Lだけ相対移動させ、さらに前記フォトマスクを介して露光し、現像するディスプレイ用部材の製造方法であって、前記移動距離LがP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2の整数倍であることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明のプラズマディスプレイ用背面板の製造方法は、基板上にストライプ状のアドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体、ならびに前記アドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体を覆う誘電体層もしくは誘電体層の前駆体を設け、前記誘電体層もしくは誘電体層の前駆体上にネガ型感光性ガラスペーストを塗布し、上述のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクを、前記第1の群の透光パターンが前記アドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体と平行かつ隣り合う前記アドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体の中間位置となるように配置し、露光後の基板または前記フォトマスクを前記第1の群の透光パターンに平行な方向に移動距離Lだけ相対移動させ、さらに前記フォトマスクを介して露光し、現像し、焼成することにより隔壁を形成するプラズマディスプレイ用背面板の製造方法であって、前記移動距離LがP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2の整数倍であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡略な工程により生産性よく、隔壁の頂部幅と底部幅を好ましい範囲に制御可能形成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクの左上部の透光部パターンの形状を表した模式図である。
【図2】従来のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクの左上部の透光部パターンの形状を表した模式図である。
【図3】本発明のディスプレイ用部材の製造方法において、基板中央部付近における2回の露光を行った後の露光状態を示す上面模式図である。
【図4】本発明のディスプレイ用部材の製造方法において、基板中央部付近における露光状態を示す断面模式図である。
【図5】一般的なプラズマディスプレイ用背面板部材の概略図である。
【図6】プラズマディスプレイ用背面板の格子状隔壁の形状を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクは、ネガ型感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法により格子状の隔壁を形成するために用いるディスプレイの隔壁形成用フォトマスクであって、ストライプ状の第1の群の透光パターンおよび前記第1の群の透光パターンに直交するストライプ状の第2の群の透光パターンからなる格子状の透光パターンを有し、前記第2の群の透光パターンのピッチのうち、前記第1の群の透光パターンの長手方向最外部から奇数番目のピッチP2および前記第1の群の透光パターンの長手方向最外部から偶数番目のピッチP3がそれぞれ一定であり、かつP2とP3が異なることを特徴とする。
【0020】
図1は、本発明のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクの左上部の透光部パターンの形状を表した模式図である。本発明のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクは遮光部10と、ストライプ状の第1の群の透光パターン11、ストライプ状の第1の群の透光パターン11に直交するストライプ状の第2の群の透光パターン12からなる格子状の透光パターンとを有する。本発明のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクは、第2の群の透光パターン12のピッチのうち、前記第1の群の透光パターン11の長手方向最外部から奇数番目のピッチP2および前記第1の群の透光パターン11の長手方向最外部から偶数番目のピッチP3がそれぞれ一定であり、かつP2とP3が異なることを特徴とする。本発明のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクを用い、複数回の露光を行うことによって、第2の群の透光パターン12によって硬化し形成される隔壁の底部幅が大きくなりすぎるのを防ぐことができる。
【0021】
なお、本発明において一定とは、異なる位置における寸法が略同一、具体的には平均値を中心に±5%の範囲内にあることをいう。また、本発明において平行、直交とは、2つの線のなす角がそれぞれ0°、90°を中心に±3°の範囲内であることをいう。
【0022】
図2は、従来のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクの左上部の透光部パターンの形状を表した模式図である。図2のように第2の群の透光パターンのピッチが一定、すなわちP2とP3が同じである場合は、第2の群の透光パターン12によって硬化し形成される隔壁の底部幅が大きくなりすぎるという問題を生じる。
【0023】
P2とP3の差が8μm以上が好ましく、8μm以上とした場合に、特に第2の群の透光パターン12によって硬化し形成される隔壁の底部幅が大きくなるのを防ぐことができる。さらに好ましくは25μm以上である。
【0024】
また、第2の群の透光パターンの幅X2は一定であることが好ましく、P2とP3の差がX2の2.0倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下であることが好ましい。P2とP3の差をX2の2.0倍以下とすることによって、第2の群の透光パターン12によって硬化し形成される隔壁の頂部幅を一定以上確保することができると同時に、第2の群の透光パターン12によって硬化し形成される隔壁の底部幅が大きくなりすぎるのを防ぐことができる。
【0025】
なお、本発明のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクの第1の群の透光パターンのピッチは一定であっても良いが、例えば格子状の隔壁を有するPDP用背面板において、第1の群の透光パターンによって主隔壁を形成する場合は、RGBの3色の蛍光体の発光特性に応じてそれぞれの色の蛍光体が設けられる隔壁のピッチを調整するように、対応する第1の群の透光パターンのピッチを設定しても良い。
【0026】
なお、本発明のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクの第1の群の透光パターンの幅X1は、一定であることが好ましい。また、格子状の隔壁を有するPDP用背面板において、第1の群の透光パターンによって主隔壁を形成する場合は、上述の理由からX1>X2とすることが一般的である。
【0027】
本発明のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクの材質は特に限定されないが、例えばガラス板等の透明な基板上に金属クロム膜等の遮光膜を設けたものを好ましく用いることができる。
【0028】
ガラス板は、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、鉛ガラスおよびホウ酸塩ガラスを用いることが平滑性、そり、品質の面から好ましい。フォトマスクは、露光パターニングの精度を確保するために、平滑性、反りが少ないこと、かつ基板に泡、へこみ、異物混入などが限りなく少ないことが求められる。
【0029】
パターン形成層についても、銀塩乳剤、クロム、および酸化クロムの少なくとも1つを含む材料から形成されることが、パターン精度、耐久性、耐候性の面から好ましい。
【0030】
本発明のディスプレイ用部材の製造方法は、基板上にネガ型感光性ペーストを塗布して得られる塗布膜を上述のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクを介して露光し、露光後の前記塗布膜または前記フォトマスクを前記第1の群の透光パターンに平行な方向に移動距離Lだけ相対移動させ、さらに前記フォトマスクを介して露光し、現像するディスプレイ用部材の製造方法であって、前記移動距離LがP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2の整数倍であることを特徴とする。
【0031】
図3は本発明のディスプレイ用部材の製造方法において、基板中央部付近における2回の露光を行った後の露光状態を示す上面模式図である。1回目の露光を行った後、露光後の塗布膜またはフォトマスクを前記第1の群の透光パターンに平行な方向に(P2+P3)/2の整数倍の距離だけ移動させ、2回目の露光を行うことによって、基板中央部付近においては、第1の群の透光パターン部分は重複して2回露光されることとなる。一方、第2の群の透光パターン部分については、幅方向にずれて露光が行われることになるので、2回露光される部分25を中心に1回露光される部分24が存在することになる。
【0032】
図4は本発明のディスプレイ用部材の製造方法において、基板中央部付近における露光状態を示す断面模式図である。
【0033】
図4(A)は、基板26上に設けた感光性ガラスペースト塗布膜27上に本発明のフォトマスク20を配置し、1回目の露光を行った後の状態を模式的に示している。感光性ガラスペースト塗布膜27上面では第2の群の透光パターン12の開口部とほぼ同じ部分が露光され、硬化するが、感光性ガラスペースト塗布膜27中で露光光が散乱し、下面では広がるため、露光部22の断面は図に示すように台形となる。なお、露光光の散乱に伴い、下面では露光量は少なり、硬化の度合いは上面に近づくほど大きく、下面に近づくほど小さくなっている。
【0034】
図4(B)は、フォトマスク20を第1の群の透光パターンに平行な方向に(P2+P3)/2の整数倍だけ相対移動し、2回目の露光を行った後の状態を模式的に示している。第2の群の透光パターンの位置が1回目の露光時とは異なるため、1回露光される部分24と2回露光される部分25が存在する。上述のように感光性ガラスペースト塗布膜27で散乱が起こるため、1回の露光による硬化の度合いは上面に近づくほど大きく、下面に近づくほど小さくなっている。そのため、上面付近では1回露光される部分24および2回露光される部分25の両方において十分硬化が進んでいるが、下面付近では1回露光される部分24では硬化が十分ではなく、2回露光される部分25のみ十分硬化した状態となっている。
【0035】
図4(C)は現像後の隔壁パターンの形状を示したものである。上述のように感光性ガラスペースト塗布膜上面付近では1回露光される部分24でも十分硬化した状態であり、下面付近では1回露光される部分24では十分硬化していない部分もあるため、現像により未硬化部分および硬化が不十分な部分が除去されることによって比較的矩形な隔壁パターンとなり、底部幅に対する頂部幅の割合が小さすぎるという問題は生じない。
【0036】
なお、前記移動距離LはP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2の整数倍であればよいが、奇数倍であることが好ましく、等倍(1倍)であることがさらに好ましい。なお、ここでいう整数倍、奇数倍、等倍とはそれぞれ厳密に整数倍である必要はなく、概ね目的とする移動距離の0.90〜1.10倍、好ましくは0.95〜1.05倍の範囲内であればよい。
【0037】
本発明のディスプレイ部材の製造方法に用いる感光性ガラスペーストは、ガラス微粒子を含む無機成分と、感光性成分を含む有機成分からなる。
【0038】
ガラス微粒子としては、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化亜鉛のうちの少なくとも1種類を合計で5〜50重量%含有させることによって、ガラス基板2上にパターン加工するのに適した温度特性を有するガラスペーストを得ることができる。特に、酸化ビスマスを5〜50重量%含有するガラス微粒子を用いると、ペーストのポットライフが長いなどの利点が得られる。
【0039】
また、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうち、少なくとも1種類を3〜20重量%含むガラス微粒子を用いてもよい。アルカリ金属酸化物の添加量は、ペーストの安定性を向上させるためには20重量%以下、好ましくは、15重量%以下にすることが好ましい。また、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛のような金属酸化物と酸化リチウム,酸化ナトリウム、酸化カリウムのようなアルカリ金属酸化物の両方を含有するガラス微粒子を用いれば、より低いアルカリ含有量で、熱軟化温度や線膨脹係数を容易にコントロールすることができる。
【0040】
感光性成分を含む有機成分としては、感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうちの少なくとも1種類から選ばれた感光性成分を含有することが好ましく、更に、必要に応じて、光重合開始剤、光吸収剤、増感剤、有機溶媒、増感助剤、重合禁止剤を添加する。
【0041】
感光性ガラスペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイレクトコーター、ブレードコーターなどを用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度などを選ぶことによって調整できる。なかでも精度よく、厚膜塗布が可能なダイレクトコーターを用いることが好ましい。
【0042】
感光性ペーストを塗布した後、通風オーブン、ホットプレート、IR炉などを用いて乾燥し、感光性ペーストの塗布膜を形成する。
【0043】
続いて、露光、現像により、所望のパターンを形成する。まず、露光装置を用いて露光を行う。通常のフォトリソグラフィ法で行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する。この際使用される活性光源は、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザ光などが挙げられる。これらの中で紫外線が最も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は、塗布厚みによって異なるが、1〜100mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて0.1〜10分間露光を行う。
【0044】
その後、上述のように露光後の塗布膜またはフォトマスクを第1の群の透光パターンに平行な方向に移動距離Lだけ相対移動させ、2回目の露光を行う。
【0045】
次に現像を行う。現像は、浸漬法やスプレー法、ブラシ法等で行うことができる。現像液は、感光性ペースト中の溶解させたい有機成分が溶解可能である溶液を用いる。感光性ペースト中にカルボキシル基などの酸性基をもつ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などが使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は、通常、0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低過ぎれば可溶部が除去されない傾向にあり、アルカリ濃度が高過ぎれば、パターン部を剥離したり、また、非可溶部を腐食させる傾向にある。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0046】
このようにして形成した隔壁パターンについて、必要に応じ焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やローラーハース式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は、400〜800℃で行うと良い。ガラス基板上に直接隔壁を形成する場合は、450〜620℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行うと良い。
【0047】
本発明のPDP用背面板の製造方法は、上述のディスプレイ用部材の製造方法を、上述のPDP用背面板の製造方法に適用したものである。すなわち、基板上にストライプ状のアドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体、ならびに前記アドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体を覆う誘電体層もしくは誘電体層の前駆体を設け、前記誘電体層もしくは誘電体層の前駆体上にネガ型感光性ガラスペーストを塗布し、上述のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクを、前記第1の群の透光パターンが前記アドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体と平行かつ隣り合う前記アドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体の中間位置となるように配置し、露光後の基板または前記フォトマスクを前記第1の群の透光パターンに平行な方向に移動距離L相対移動させ、さらに前記フォトマスクを介して露光し、現像し、焼成することにより隔壁を形成するプラズマディスプレイ用背面板の製造方法であって、前記移動距離LがP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2の整数倍であることを特徴とするPDP用背面板の製造方法である。
【0048】
PDP用部材の製造方法に適用する場合は、第1の群の透光パターンにより主隔壁を、第2の群の透光パターンにより補助隔壁を形成する。主隔壁は、図1に示すとおりアドレス電極と平行に、かつ隣り合うアドレス電極の間に位置するように設けるため、露光の際は、第1の群の透光パターンがアドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体と平行かつ隣り合うアドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体の中間位置となるように配置する必要がある。
【0049】
なお、上述のディスプレイ用部材の製造方法と同様、前記移動距離LはP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2の整数倍であればよいが、奇数倍であることが好ましく、等倍(1倍)であることがさらに好ましい。なお、ここでいう整数倍、奇数倍、等倍とはそれぞれ厳密に整数倍である必要はなく、概ね目的とする移動距離の0.90〜1.10倍、好ましくは0.95〜1.05倍の範囲内であればよい。
【0050】
以下に、本発明のPDP用背面板の製造方法を手順に沿って説明する。
【0051】
本発明のPDP用部材としての背面板1に用いる基板としては、ソーダガラスの他にPDP用の高歪点ガラスである旭硝子社製の“PD200”や日本電気硝子社製の“PP8”等を用いることができる。
【0052】
ガラス基板上に銀やアルミニウム、クロム、ニッケルなどの金属によりアドレス電極またはその前駆体を形成する。形成方法は、これら金属粉末と有機バインダーを主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷する方法や、有機バインダーとして感光性有機成分を用いた感光性金属ペーストを塗布した後に、フォトマスク20を介してパターン露光し、未硬化部分を現像工程で溶解除去し、400〜600℃の温度で焼成し、金属パターンを形成する感光性ペースト法を用いることができる。また、ガラス基板上にクロム、アルミニウム、銅等の金属をスパッタリングした後に、レジストを塗布し、レジストをパターン露光・現像した後にエッチングにより、不要部分の金属を取り除くエッチング法を用いることができる。電極厚みは1〜10μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。電極厚みが薄すぎると抵抗値が大きくなり正確な駆動の際に負担がかかり、厚すぎるとコスト的に不利な傾向にある。アドレス電極3の幅は、好ましくは20〜200μmである。アドレス電極3の幅が細すぎると断線、欠けなどの欠陥が生じやすくなり歩留まりが低下する、抵抗値が高くなり正確な駆動が困難となるなどの問題が生じる。また、太すぎると隣合う電極間の距離が小さくなるため、ショート欠陥が生じやすい傾向にある。さらに、アドレス電極は表示セル(画素の各RGBを形成する領域)に応じたピッチで形成される。通常のPDPでは100〜500μm、高精細PDPにおいては100〜250μmのピッチで形成するのが好ましい。金属粉末と有機バインダーを主成分とする金属ペーストを用いる場合、最終的には焼成して有機成分を除去するが、先に電極のみを焼成して電極を形成した後に次工程を行っても良いが、焼成を行わず電極前駆体の状態で次工程を行い、後の工程において後述の誘電体層、隔壁などと同時に焼成して電極としても良い。
【0053】
次いで誘電体層またはその前駆体を形成する。誘電体層はガラス粉末と有機バインダーを主成分とするガラスペーストをアドレス電極のパターン上に塗布し、400〜600℃で焼成することにより形成できる。誘電体層の厚みは好ましくは3〜30μm、より好ましくは3〜20μmである。誘電体層の厚みが薄すぎるとピンホールが多発する傾向にあり、厚すぎると放電電圧が高くなり、消費電力が大きくなる傾向にある。誘電体層はガラス粉末と有機バインダーを主成分とするガラスペーストでアドレス電極を覆う形で塗布した後に、400〜600℃で焼成することにより形成できる。誘電体層に用いるガラスペーストには、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化リンの少なくとも1種類以上を含有し、これらを合計で10〜80重量%含有するガラス粉末を好ましく用いることができる。
【0054】
該配合物を10重量%以上とすることで、600℃以下での焼成が容易になり、80重量%以下とすることで、結晶化を防ぎ透過率の低下を防止する。ガラス粉末と有機バインダーを主成分とするガラスペースト塗布膜は、最終的には焼成して有機成分を除去するが、ガラスペースト塗布膜を形成した後に単独、あるいは先に設けたアドレス電極前駆体と同時に焼成を行っても良いし、後で設ける隔壁パターンと同時に焼成しても良い。
【0055】
その後、上述の方法を用いて、誘電体層上に放電セルを仕切るための隔壁を形成する。隔壁の高さは、80μm〜200μmが適している。80μm以上とすることで、後工程で隔壁間に設ける蛍光体と前面板のスキャン電極が近づきすぎるのを防ぎ、放電による蛍光体の劣化を防ぐことができる。また、200μm以下とすることで、スキャン電極での放電と蛍光体の距離を近づけ、十分な輝度を得ることができる。主隔壁のピッチP1は、100μm≦P1≦500μmのものがよく用いられる。また、高精細プラズマディスプレイとしては、隔壁のピッチP1が、100μm≦P1≦300μmである。100μm以上とすることで放電空間を広くし十分な輝度を得ることができ、500μm以下とすることで画素の細かいきれいな映像表示ができる。300μm以下にすることにより、HDTV(ハイビジョン)レベルの美しい映像を表示することができる。隔壁の幅の半値幅Lは、10μm≦L≦50μmであることが好ましい。10μm以上とすることで強度を保ち、前面板と背面板1を封着する際に破損が生じるのを防ぐことができる。また、50μm以下とすることで蛍光体の形成面積を大きくとることができ高い輝度を得ることができる。
【0056】
感光性ガラスペーストを誘電体層またはその前駆体上に塗布し、フォトマスクを介して露光し、フォトマスクと露光後の感光性ガラスペースト塗布膜とを相対移動し、さらに露光し、現像、焼成を行って隔壁を形成する。塗布、露光、現像、焼成については、上述のディスプレイ用部材の製造方法と同様に行うことができる。
【0057】
次いで所定のアドレス電極と平行方向に形成された主隔壁間に、R(赤)G(緑)B(青)各色に発光する蛍光体層を形成する。蛍光体層は、蛍光体粉末、有機バインダーおよび有機溶媒を主成分とする蛍光体ペーストを所定の主隔壁間に塗着させ、乾燥し、必要に応じて焼成することにより形成することができる。さらに、先のアドレス電極、および誘電体層、隔壁形成について、それぞれ焼成工程をすること記載したが、各電極ペースト、誘電体ペーストを変更することにより、アドレス電極/誘電体層、誘電体層/隔壁、アドレス電極/誘電体層/隔壁を一括して焼成することも可能である。この場合にも本発明の効果は損なわれることはない。
【実施例】
【0058】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0059】
42インチサイズのAC(交流)型プラズマディスプレイパネルの背面板を形成し、評価を実施した。形成方法を順に説明する。
【0060】
(実施例1〜6、比較例1)
ガラス基板として、590×964×2.8mmの42インチサイズのPD−200(旭硝子(株)製)を使用した。この基板上に、アドレス電極として、平均粒径2.0μmの銀粉末を70重量部、酸化ビスマスを69重量%、酸化珪素24重量%、酸化アルミニウム4重量%、酸化硼素3重量%の組成からなる平均粒径2.2μmのガラス粉末2重量部、アクリル酸、メチルメタクリレート、スチレンの共重合ポリマー8重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート7重量部、ベンゾフェノン3重量部、ブチルカルビトールアクリレート7重量部、ベンジルアルコール3重量部からなる感光性銀ペーストを用いて、フォトリソグラフィ法により、ピッチ160μm、線幅60μm、焼成後厚み3μmのストライプ状電極を形成した。
【0061】
この基板に、酸化ビスマスを78重量%、酸化珪素14重量%、酸化アルミニウム3重量%、酸化亜鉛3重量%、酸化硼素2重量%を含有する低融点ガラスの粉末を60重量%、平均粒子径0.3μmの酸化チタン粉末を10重量%、エチルセルロース15重量%、テルピネオール15重量%誘電体ペースト塗布した後、580℃で焼成して、厚み10μmの誘電体層4を形成した。
【0062】
隔壁5形成用の感光性ペーストは以下の組成のものを用いた。
【0063】
ガラス粉末:Bi/SiO/Al/ZnO/B=82/5/3/5/3/2からなるガラス:平均粒径2μmのガラス粉末:67重量部
フィラー:平均粒径0.2μmの酸化チタン:3重量部
ポリマー:”サイクロマー”P(ACA250、ダイセル化学工業社製):10重量部
有機溶剤(1):ベンジルアルコール:4重量部
有機溶剤(2):ブチルカルビトールアセテート:3重量部
モノマー:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:8重量部
光重合開始剤:ベンゾフェノン:3重量部
酸化防止剤:1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]:1重量部
有機染料:ベージックブルー26:0.01重量部
チキソトロピー付与剤:N,N’−12−ヒドロキシステアリン酸ブチレンジアミン:0.5重量部
界面活性剤:ポリオキシエチレンセチルエーテル:0.49重量部。
【0064】
上記ペーストをスリットダイコーターにて厚み300μmで塗布した後、クリーンオーブンにて100℃、40分の乾燥を行い、感光性ペースト膜を形成した。これに対し、所定のフォトマスクとのギャップを150μmとり、露光を実施した。各実施例、比較例で該露光に使用したフォトマスクパターンの第1の群の透光パターンの幅X1、第2の群の透光パターンの幅X2、第1の群の透光パターンのピッチP1、第2の群の透光パターンのピッチのうち、第1の群の透光パターンの長手方向最外部から奇数番目のピッチ、P2、第2の群の透光パターンのピッチのうち、第1の群の透光パターンの長手方向最外部から偶数番目のピッチP3と、P3とP2の差|P3−P2|、|P3−P2|/X2を表1に示す。なお、移動距離LはP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2である480μmとした。
【0065】
本実験にて露光に使用したフォトマスクのP1は160μm、Pは480μmであるが本発明はこれに限定されるものではない。上記のようにして形成した露光済み基板を0.4重量%の炭酸ナトリウム水溶液で現像し、隔壁5パターンを形成した。パターン形成終了済み基板を590℃で15分間焼成を行った。焼成後得られた格子状隔壁のW1、W2、W3、W4の測定結果とW1/W2、W3/W4、W3/W4の値を表2に示す。ただしW1、W2、W3、W4はそれぞれ該主隔壁、該補助隔壁の中央(隣り合う交差部の中間点)における幅を測定したものである。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
実施例1〜5は0.5≦W1/W2≦1かつ0.5≦W3/W4≦1かつ0.7≦W4/W2≦1.3を満たすことができた。比較例においては1〜3のいずれも本条件を満足することはできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係るディスプレイの隔壁形成用フォトマスク、ディスプレイ用部材の製造方法およびプラズマディスプレイ用背面板の製造方法は、プラズマディスプレイの製造等に利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1:背面板
2:ガラス基板
3:アドレス電極
4:誘電体層
5:隔壁
6:蛍光体層
7:主隔壁
8:補助隔壁
10:遮光部
11:第1の群の透光パターン
12:第2の群の透光パターン
20:フォトマスク
21:未露光部
22:露光部
23:隔壁パターン
24:1回露光される部分
25:2回露光される部分
26:基板
27:感光性ガラスペースト塗布膜
P1:第1の群の透光パターンのピッチ
P2:第2の群の透光パターンのピッチのうち、第1の群の透光パターンの長手方向最外部から奇数番目のピッチ
P3:第2の群の透光パターンのピッチのうち、第1の群の透光パターンの長手方向最外部から偶数番目のピッチ
W1:主隔壁頂部幅
W2:主隔壁底部幅
W3:補助隔壁頂部幅
W4:補助隔壁底部幅
X1:主隔壁形成用透光部幅
X2:補助隔壁形成用透光部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネガ型感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法により格子状の隔壁を形成するために用いるディスプレイの隔壁形成用フォトマスクであって、ストライプ状の第1の群の透光パターンおよび前記第1の群の透光パターンに直交するストライプ状の第2の群の透光パターンからなる格子状の透光パターンを有し、前記第2の群の透光パターンのピッチのうち、前記第1の群の透光パターンの長手方向最外部から奇数番目のピッチP2および前記第1の群の透光パターンの長手方向最外部から偶数番目のピッチP3がそれぞれ一定であり、かつP2とP3が異なることを特徴とするディスプレイの隔壁形成用フォトマスク。
【請求項2】
P2とP3の差が8μm以上である、請求項1に記載のディスプレイの隔壁形成用フォトマスク。
【請求項3】
P2とP3の差が25μm以上である、特徴とする請求項2に記載のディスプレイの隔壁形成用フォトマスク。
【請求項4】
前記第2の群の透光パターンの幅X2が一定であり、P2とP3の差がX2の2.0倍以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイの隔壁形成用フォトマスク。
【請求項5】
P2とP3の差がX2の1.5倍以下である、請求項4に記載のディスプレイの隔壁形成用フォトマスク。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクを介して、基板上にネガ型感光性ペーストを塗布して得られる塗布膜を露光し、露光後の前記塗布膜または前記フォトマスクを前記第1の群の透光パターンに平行な方向に移動距離Lだけ相対移動させ、さらに前記フォトマスクを介して露光し、現像するディスプレイ用部材の製造方法であって、前記移動距離LがP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2の整数倍であることを特徴とするディスプレイ用部材の製造方法。
【請求項7】
前記移動距離LがP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2に等しい、請求項6に記載のディスプレイ用部材の製造方法。
【請求項8】
基板上にストライプ状のアドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体、ならびに前記アドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体を覆う誘電体層もしくは誘電体層の前駆体を設け、前記誘電体層もしくは誘電体層の前駆体上にネガ型感光性ガラスペーストを塗布し、請求項1〜5のいずれかに記載のディスプレイの隔壁形成用フォトマスクを、前記第1の群の透光パターンが前記アドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体と平行かつ隣り合う前記アドレス電極もしくはアドレス電極の前駆体の中間位置となるように配置し、露光後の基板または前記フォトマスクを前記第1の群の透光パターンに平行な方向に移動距離Lだけ相対移動させ、さらに前記フォトマスクを介して露光し、現像し、焼成することにより隔壁を形成するプラズマディスプレイ用背面板の製造方法であって、前記移動距離LがP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2の整数倍であることを特徴とするプラズマディスプレイ用背面板の製造方法。
【請求項9】
前記移動距離LがP2とP3の算術平均値(P2+P3)/2に等しい、請求項8に記載のプラズマディスプレイ用背面板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−123986(P2012−123986A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272885(P2010−272885)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】