説明

ディスプレイ用フィルタ

【課題】特定構造の置換基を有するテトラアザポルフィリン化合物を含有してなる耐久性に優れたディスプレイ用フィルタを提供する。
【解決手段】ディスプレイ用フィルタの基材中または基材表面に、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を少なくとも1種含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定構造の置換基を有するテトラアザポルフィリン化合物を含有してなるディスプレイ用フィルタに関する。詳しくは、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられるディスプレイ用フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機電界発光素子などの各種ディスプレイは、例えば、テレビジョン用、パーソナルコンピューター用などの各種のディスプレイとして、広く普及している。
大型のディスプレイとして、注目されているプラズマディスプレイあるいは液晶ディスプレイは、その構造と動作原理から、表示画面より強度の不要な電磁波が発生しており、その電磁波を遮蔽することが必要となっている。
例えば、プラズマディスプレイのパネルは、キセノンガスおよびネオンガスが封入された発光セル内に高電圧を印加して面放電させ、発光セルで生じる紫外線により、発光セル上に形成された赤(R)発光、緑(G)発光、青(B)発光の蛍光体を励起発光させることにより画像を表示するものである。この、発光セル内にはネオンガスが封入されているため、紫外線と共に、ネオンガスに起因する波長590nm付近を中心波長とするネオン光も発生する。ネオン光がそのまま透過してしまうと、色純度・色再現性が低下する。
このような点を改良する方法として、例えば、不要なネオン光を選択的に吸収する化合物として、テトラアザポルフィリン化合物を含有してなるディスプレイ用フィルタが提案されており、例えば、波長570〜605nmの範囲に吸収極大を有する特定の置換基(例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子など)を有するテトラアザポルフィリン化合物を含有してなるディスプレイ用フィルタが提案されている(特許文献1〜3)。また、ハロゲノアルコキシ基を置換基として有するテトラアザポルフィリン化合物を含有してなるディスプレイ用フィルタについての提案もある(特許文献4)。
【0003】
テトラアザポルフィリン化合物を、例えば、ディスプレイ用フィルタに適用する場合には、該化合物を高分子フィルムの中に含有させたり、高分子フィルムの片面または両面に塗布したりする方法が適用される。また、ディスプレイの大型化に伴い、ディスプレイ用フィルタも軽量薄型化が求められており、このような場合には、高分子フィルムを張り合わせる際に使用する粘着層の中に、テトラアザポルフィリン化合物を含有させて表示装置の前面ガラス等に直接貼り付けたりする方法が適用される。
このようなディスプレイ用フィルタの作製にあたっては、テトラアザポルフィリン化合物自体が、例えば、有機溶媒に対する良好な溶解度を備えるなどの特性が必要となる。また、粘着層の中にテトラアザポルフィリン化合物を含有させたディスプレイ用フィルタを実際のプラズマディスプレイに装着し長期間に渡って使用した際には、テトラアザポルフィリン化合物の劣化によりネオン光吸収機能が失われてしまうことでプラズマディスプレイの色調が悪化する問題点が指摘されていることから、耐久性(例えば、耐光性、耐湿熱性)も必要となる。このためディスプレイ用フィルタに使用する特定波長を選択的に吸収する化合物にも化合物自体の耐久性および粘着剤中においての耐久性が要望されている。
一般的に、テトラアザポルフィリン化合物は、モル吸光係数が大きく、半値幅も小さいという優れた吸収特性を有しているが、特許文献1〜4に記載されている特定構造の化合物は、所定の特性、例えば、有機溶媒に対する溶解性、耐久性(耐湿熱性)に関しては、一定の特性を有しているものの、さらなる耐久性(例えば、耐光性)の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−251144号公報
【特許文献2】特開2002−40233号公報
【特許文献3】特開2000−275432号公報
【特許文献4】特開2008−268331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特定構造の置換基を有するテトラアザポルフィリン化合物を含有してなる優れた光学特性、および優れた耐久性(例えば、耐光性)を有するディスプレイ用フィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、種々のテトラアザポルフィリン化合物を含有してなるディスプレイ用フィルタに関し、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(i)基材中または基材表面に、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなるディスプレイ用フィルタ。

〔式中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、あるいは酸化金属原子を表し、X〜Xはそれぞれ独立に、直鎖または分岐のアルキル基、あるいは直鎖または分岐のアルコキシ基を表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、炭素数3〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基、下記の式(1−a)、式(1−b)、式(1−c)、または式(1−d)で示される基を表す〕

〔式(1−a)中、Zはフッ素原子、あるいは塩素原子を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す〕

〔式(1−b)中、Zはフッ素原子、あるいは塩素原子を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。但し、RおよびRが同時に水素原子を表すことはない〕

〔式(1−c)中、Rは水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す〕

〔式(1−d)中、R〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。但し、RおよびR10が同時に水素原子を表すことはない〕
(ii)前記テトラアザポルフィリン化合物が、透明粘着層に含有されていることを特徴とする(i)に記載のディスプレイ用フィルタ。
さらに、本発明は、
(iii)上記(i)〜(ii)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタを具備してなるディスプレイ装置に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、特定構造の置換基を有するテトラアザポルフィリン化合物を含有してなる優れた光学特性、および耐久性に優れた各種ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ)用途のフィルタを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のディスプレイ用フィルタの模式的断面図である。
【図2】本発明のディスプレイ用フィルタの模式的断面図である。
【図3】本発明のディスプレイ用フィルタの模式的断面図である。
【図4】本発明のディスプレイ用フィルタの模式的断面図である。
【図5】本発明のディスプレイ用フィルタの模式的断面図である。
【図6】本発明のディスプレイ用フィルタの模式的断面図である。
【図7】本発明のディスプレイ用フィルタの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明は、基材中または基材表面にテトラアザポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなるディスプレイ用フィルタ、さらには、該フィルタを具備してなるディスプレイ装置に関するものである。
テトラアザポルフィリン類としては特に限定されないが、赤色発光波長である610〜630nmに吸収極大を持たないことがより望ましい。また基材との相溶性、成形性に優れ、光学特性(例えば、光に対する吸収特性)、および耐久性(例えば、耐光性)に優れたものがより望ましい。特に好ましい化合物としては、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物が挙げられる。
【0010】

〔式中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、あるいは酸化金属原子を表し、X〜Xはそれぞれ独立に、直鎖または分岐のアルキル基、あるいは直鎖または分岐のアルコキシ基を表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、炭素数3〜5の直鎖または分岐のアルキル基、式(1−a)、式(1−b)、式(1−c)、あるいは式(1−d)で示される基を表す〕
【0011】

〔式(1−a)中、Zはフッ素原子、あるいは塩素原子を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す〕
【0012】

〔式(1−b)中、Zはフッ素原子、あるいは塩素原子を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。但し、RおよびRが同時に水素原子を表すことはない〕
【0013】

〔式(1−c)中、Rは水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す〕
【0014】

〔式(1−d)中、R〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。但し、RおよびR10が同時に水素原子を表すことはない〕
【0015】
一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物において、Mは、2個の水素原子、2価の金属原子、あるいは酸化金属原子を表し、好ましくは、2価の金属原子、あるいは酸化金属原子である。
【0016】
Mの具体例としては、例えば、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Mg、Ti、Be、Ca、Ba、Cd、Hg、Pb、Snなどの2価の金属原子、例えば、VO、MnO、TiOなどの酸化金属原子を挙げることができる。
【0017】
Mは、より好ましくは、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Pd、Mn、Mg、VO、TiOであり、さらに好ましくは、Cu、Ni、Pd、VOであり、特に好ましくは、Cu、VOである。
【0018】
一般式(1)で表される化合物において、X1 〜Xはそれぞれ独立に、直鎖または分岐のアルキル基、あるいは直鎖または分岐のアルコキシ基を表し、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。
【0019】
一般式(1)における、X1 〜Xの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,5−ジメチルヘキシル、2,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基などの直鎖または分岐のアルキル基、
【0020】
例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基などの直鎖または分岐のアルコキシ基を挙げることができる。
【0021】
1 〜Xは、より好ましくは、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルコキシ基である。
1 〜Xは、特に好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソブトキシ基である。
【0022】
一般式(1)で表される化合物において、Y〜Yはそれぞれ独立に、炭素数3〜5の直鎖または分岐のアルキル基、下記の式(1−a)、式(1−b)、式(1−c)、あるいは式(1−d)で示される基を表す。
【0023】

〔式(1−a)中、Zはフッ素原子、あるいは塩素原子を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す〕
【0024】

〔式(1−b)中、Zはフッ素原子、あるいは塩素原子を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。但し、RおよびRが同時に水素原子を表すことはない〕
【0025】

〔式(1−c)中、Rは水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す〕
【0026】

〔式(1−d)中、R〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。但し、RおよびR10が同時に水素原子を表すことはない〕
【0027】
一般式(1)において、Y1 〜Yはそれぞれ独立に、炭素数3〜5の直鎖または分岐のアルキル基を表し、具体例としては、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基などを挙げることができ、より好ましくは、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基であり、さらに好ましくは、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
【0028】
一般式(1)において、Y1 〜Yはそれぞれ独立に、式(1−a)で表される基を表す。
式(1−a)中、Zはフッ素原子、あるいは塩素原子を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。
【0029】
およびRで表される炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基などを挙げることができる。
【0030】
また、RおよびRで表される炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基などを挙げることができる。
【0031】
式(1−a)中、RおよびRは、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基であり、さらに好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基である。
【0032】
なお、式(1−a)で示される基の好ましい具体例としては、例えば、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3−クロロ−4−フルオロフェニル基、3−メチル−4−フルオロフェニル基、3,5−ジメチル−4−フルオロフェニル基、3−イソプロピル−4−フルオロフェニル基、3−tert−ペンチル−4−フルオロフェニル基、3−tert−ペンチル−4−クロロフェニル基、3−メトキシ−4−フルオロフェニル基、3,5−ジエトキシ−4−フルオロフェニル基、3−n−ペントキシ−4−フルオロフェニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
一般式(1)において、Y1 〜Yはそれぞれ独立に、式(1−b)で表される基を表す。
式(1−b)中、Zはフッ素原子、あるいは塩素原子を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。但し、RおよびRが同時に水素原子を表すことはない)。
【0034】
およびRで表される炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基の具体例としては、式(1−a)中のRおよびRで例示したアルキル基、あるいはアルコキシ基を挙げることができる。
【0035】
式(1−b)中、RおよびRは、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基であり、さらに好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基である。
【0036】
なお、式(1−b)で示される基の好ましい具体例としては、例えば、2−メチル−4−フルオロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2,6−ジメチル−4−フルオロフェニル基、2−エチル−4−フルオロフェニル基、2−エチル−6−メチル−4−フルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2−イソプロピル−4−フルオロフェニル基、2−tert−ペンチル−4−フルオロフェニル基、2−メトキシ−4−フルオロフェニル基、2,6−ジエトキシ−4−フルオロフェニル基、2−n−ペントキシ−4−フルオロフェニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
一般式(1)において、Y1 〜Yはそれぞれ独立に、式(1−c)で表される基を表す。
式(1−c)中、Rは水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。
で表される炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基の具体例としては、式(1−a)中のRおよびRで例示したアルキル基、あるいはアルコキシ基を挙げることができる。
【0038】
式(1−c)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。
およびRで表される炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基の具体例としては、式(1−a)中のRおよびRで例示したアルキル基、あるいはアルコキシ基を挙げることができる。
【0039】
式(1−c)中、Rは、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基である。
【0040】
式(1−c)中、RおよびRは、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基であり、さらに好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基である。
【0041】
なお、式(1−c)で示される基の好ましい具体例としては、例えば、フェニル基、3−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、3−tert−ペンチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、3−n−ペントキシフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3−メチル−5−フルオロフェニル基、3−メチル−5−クロロフェニル基、3,4−ジメチル−5−フルオロフェニル基、3−イソプロピル−5−フルオロフェニル基、3−tert−ペンチル−5−フルオロフェニル基、3−メトキシ−5−フルオロフェニル基、3,4−ジエトキシ−5−フルオロフェニル基、3−n−ペントキシ−5−フルオロフェニル基、4−メチルフェニル基、3−フルオロ−4−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、3−イソプロピル−4−メチルフェニル基、3−tert−ペンチル−4−エチルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、3,5−ジエトキシ−4−n−ペンチルフェニル基、3−n−ペントキシ−4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5,−ジメチル−4−メトキシフェニル基、3−イソプロピル4−メトキシフェニル基、3−tert−ペンチル−4−エトキシフェニル基、3,5−ジエトキシ−4−n−ペントキシフェニル基、3−n−ペントキシ−4−メトキシフェニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
一般式(1)において、Y1 〜Yはそれぞれ独立に、式(1−d)で表される基を表す。
式(1−d)中、R〜R10は水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。但し、RおよびR10が同時に水素原子を表すことはない。
【0043】
〜R10で表される炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基の具体例としては、式(1−a)中のRおよびRで例示したアルキル基、あるいはアルコキシ基を挙げることができる。
【0044】
式(1−d)中、R〜R10は、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基である。
【0045】
なお、なお、式(1−d)で示される基の好ましい具体例としては、例えば、2−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2−エチル−6−メチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−tert−ペンチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、2,6−ジエトキシフェニル基、2−n−ペントキシフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−エチル−4−メチルフェニル基、2−エチル−6−メチル−4−エチルフェニル基、2−イソプロピル−4−n−プロピルフェニル基、2−tert−ペンチル−4−メチルフェニル基、2−メトキシ−4−エチルフェニル基、2,6−ジエトキシ−4−メチルフェニル基、2−n−ペントキシ−4−tert−ブチルフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、2,6−ジメチル−4−メトキシフェニル基、2−エチル−4−エトキシフェニル基、2−エチル−6−メチル−4−メトキシフェニル基、2−イソプロピル−4−エトキシフェニル基、2−tert−ペンチル−4−n−ペントキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,6−ジエトキシ−4−メトキシフェニル基、2−n−ペントキシ−4−n−ブトキシフェニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物は、Y〜Yの種類に応じて、好ましくは、以下の一般式(1−0)〜一般式(1−4)で表される化合物に分類することができる。

〔式(1−0)中、X〜XおよびMは一般式(1)の場合と同じ意味を表し、Rは炭素数3〜5の直鎖または分岐のアルキル基を表す。〕
【0047】


〔式(1−1)中、X〜XおよびMは一般式(1)の場合と同じ意味を表し、Z、RおよびRは式(1−a)の場合と同じ意味を表す。〕
【0048】

〔式(1−2)中、X〜XおよびMは一般式(1)の場合と同じ意味を表し、Z、RおよびRは式(1−b)の場合と同じ意味を表す。〕
【0049】

〔式(1−3)中、X〜XおよびMは一般式(1)の場合と同じ意味を表し、R〜Rは式(1−c)の場合と同じ意味を表す〕
【0050】

〔式(1−4)中、X〜XおよびMは一般式(1)の場合と同じ意味を表し、R〜R10は式(1−d)の場合と同じ意味を表す〕
【0051】
一般式(1)で示されるテトラアザポルフィリン化合物の具体例を次の表−A(表−A−1〜表−A−7)に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。




【0052】
【表−A−1】








【0053】
【表−A−2】





【0054】
【表−A−3】









【0055】
【表−A−4】






【0056】
【表−A−5】









【0057】
【表−A−6】











【0058】
【表−A−7】



【0059】
<テトラアザポルフィリン化合物の製造方法>
一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。
すなわち、一般式(1)で表される化合物は、例えば、一般式(2)〜一般式(5)で表される化合物と、金属あるいは金属塩(例えば、ハロゲン化金属、カルボン酸金属)とを、所望により塩基(例えば、モリブデン酸アンモニウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、トリアルキルアミン、アンモニア)の存在下で反応させることにより製造することができる〔例えば、米国特許2850505号、英国特許689387号、J.Gen.Chem.USSR,47,1954(1977)、特開平11−43619号公報、特開2006−321925号公報に記載の方法に従って製造することができる〕。
【0060】

〔式中、X〜XおよびY〜Yは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
【0061】
なお、一般式(2)〜一般式(5)で表される化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。
一例として挙げると、例えば、一般式(2)で表される化合物は、例えば、一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物、あるいは一般式(8)で表される化合物と一般式(9)で表される化合物を、酸性触媒(例えば、酢酸、四塩化チタン、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素)および塩基性触媒(例えば、ピリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルフォリン、トリエチルアミン、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)の存在下で、反応させることにより製造することができる〔例えば、特開平11−43619号公報に記載の方法に従って製造することができる〕。
【0062】

〔式中、XおよびYは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
また、一般式(2)で表される化合物は、例えば、一般式(10)で表される化合物とオキシ塩化リンを作用させて製造することができる〔例えば、J.Chem.Soc.,4839(1952)に記載の方法に従って製造することができる〕。
【0063】

〔式中、XおよびYは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
さらに、一般式(2)で表される化合物は、例えば、一般式(11)で表される化合物とシアン化銅を作用させて製造することができる〔例えば、J.Gen.Chem.USSR,47、1954(1977)に記載の方法に従って製造することができる〕。
【0064】

〔式中、XおよびYは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
一般式(2)〜一般式(5)で表される化合物と、例えば、金属あるいは金属塩を反応させて、一般式(1)で表される化合物を製造すると、一般には、環化の際に複数の異性体が生成する。
本明細書においては、一般式(1)で表される化合物とは、実際には、一般式(1−A)〜一般式(1−D)で表される化合物から選ばれる1種の化合物、または2種以上の異性体から成る混合物を表している〔例えば、Chemistry of Heterocyclic Compounds、24、1043(1988)、特開平11−43619号公報〕。
このような複数の異性体から成る混合物の構造の記載に際しても、本明細書においては、便宜上、例えば、一般式(1−A)で表される一つの構造式を記載しているものである。
【0065】

〔式中、X〜X、Y〜YおよびMは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
具体例として、例えば、例示化合物番号(P−2)の化合物として記載した構造の化合物は、式(P−2−A)〜式(P−2−D)で表される化合物から選ばれる1種の化合物、または2種以上の異性体から成る混合物を表すものである。
【0066】

【0067】
一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物とは、結晶は勿論であるが、無定型(アモルファス体)をも包含するものであり、好ましくは、550〜620nmに吸収極大を有する化合物、より好ましくは、570〜605nmに吸収極大を有する化合物が、本発明のディスプレイ用フィルタに好適に使用することができる。
なお、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物は、複数の異性体から成る混合物として1種を単独で使用してもよく、または複数の種類を併用してもよい。
また、所望により、該混合物から各異性体を分離し、異性体の内の1種の化合物を単独で使用することができ、さらには、任意の割合から成る複数の異性体を使用することができる。
【0068】
<ディスプレイ用フィルタ>
本発明のディスプレイ用フィルタは、基材中または基材表面に、特定構造の置換基を有する一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする。本発明でいう基材とは、本発明のディスプレイフィルタを構成する各種部材または膜などから成る各層を意味する。
基材としては、特に限定するものではないが、一般には、機能性透明層(A)、基体(B)および透明粘着層(C)が挙げられ、機能性透明層(A)、基体(B)および透明粘着層(C)を構成する少なくとも1つの層、あるいは部材に、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を少なくとも含有してなる。なお、本明細書において、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物のディスプレイ用フィルタへの含有とは、各種部材または膜などから成る各層の内部に含有されることは勿論、部材または各層の表面に、塗布された状態を包含するものである。
【0069】
一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を、ディスプレイ用フィルタに含有させる方法としては、特に制限はないが、例えば、以下の(ア)〜(ウ)の方法がある。
(ア)透明粘着剤に添加して、透明粘着層(C)に含有させる方法
(イ)高分子成形体へ含有させる方法、
(ウ)高分子成形体またはガラス表面にコーティングする方法、
等が挙げられる。
なお、本発明のディスプレイ用フィルタの実施形態としては、特に制限はないが、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物と樹脂を含有させることが好ましい。樹脂は、粘着剤やバインダーとして使用されるものであってもよく、樹脂モノマーに本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物を含有させた後、重合させたものであってもよい。
【0070】
上記(ア)の方法において、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物の含有量は、特に限定するものではないが、一般に、透明粘着剤に対して、10ppm〜30質量%、好ましくは、10ppm〜20質量%である。透明粘着剤の具体的な例としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール粘着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤(EVA)等、ポリビニルエーテル、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等のシート状または液状の粘着剤等を挙げることができ、この中でもアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤が好ましい。
【0071】
上記(イ)の方法において、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物の含有量は、特に限定するものではないが、一般に、高分子樹脂または樹脂モノマーに対して、10ppm〜30質量%、好ましくは、10ppm〜20質量%である。
【0072】
(イ)における高分子成形体の具体的な例としては、板またはフィルム状に作製した際に、できるだけ透明性の高いものが好ましく、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6等のポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物またはフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることができる。
加工条件としては、本発明に係るテトラアザポルフィリン化合物をベース高分子の粉体或いはペレットに添加、混合し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、成形して板を作製する方法、押し出し機でフィルム化する方法、押し出し機で原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に1軸〜2軸に延伸して、10〜200μm厚のフィルムにする方法が挙げられる。なお、混錬する際に可塑性等の通常の樹脂成形に用いる添加剤を加えてもよい。
また、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を、樹脂または樹脂モノマーの有機溶剤溶液もしくは有機溶剤に添加・溶解させ、必要であれば可塑剤、重合開始剤、酸化防止剤を加え、必要とする面状態を有する金型やドラム上へ流し込み、溶剤揮発・乾燥または重合・溶剤揮発・乾燥させる方法等が挙げられる。
使用される樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVA、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂の樹脂モノマーが挙げられる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等を挙げることができる。
【0073】
上記(ウ)の方法においては、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物の含有量は、特に限定するものではないが、一般に、バインダー樹脂に対して、10ppm〜30質量%、好ましくは、10ppm〜20質量%である。また、バインダー樹脂濃度は、塗料全体に対して、一般に、1〜50質量%である。
【0074】
(ウ)の方法としては、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させた後に塗料化する方法などがあり、バインダーとしては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂等が挙げられる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物系等が挙げられる。なお、上記の方法で作製した塗料は、高分子成形体またはガラス表面上にバーコーダー、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等のコーティング法等の公知の方法で薄膜を形成することにより、塗工することができる。
なお、本発明のディスプレイ用フィルタの実施態様としては、特に制限はないが、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を透明粘着層(C)に含有させる(ア)の方法が、接着性と所望のディスプレイ用フィルタ機能を共存することから好ましい。
【0075】
本発明のディスプレイ用フィルタには、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物以外に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、光吸収化合物を1種以上併用することができる。係る光吸収化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、可視光域に所望の吸収を有する化合物を挙げることができ、例えば、アントラキノン化合物、フタロシアニン化合物、メチン化合物、アゾメチン化合物、オキサジン化合物、アゾ化合物、スチリル化合物、クマリン化合物、ポルフィリン化合物、ジベンゾフラノン化合物、ジケトピロロピロール化合物、ローダミン化合物、キサンテン化合物、ピロメテン化合物などを挙げることができる。また、本発明のディスプレイ用フィルタが、近赤外線カットフィルタの形態の場合には、さらに近赤外線吸収化合物が1種類以上含有されていてもよい。
なお、近赤外線吸収化合物としては、好ましくは、800〜1100nm程度に吸収極大を有する化合物である。係る近赤外線吸収化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、フタロシアニン化合物(例えば、金属フタロシアニン錯体)、ナフタロシアニン化合物(例えば、金属ナフタロシアニン錯体)、アントラキノン化合物、ジチオール化合物(例えば、ニッケルジチオール錯体)、ジイモニウム塩化合物などを挙げることができる。これら光吸収化合物、近赤外線吸収化合物の濃度は、該化合物の吸収波長、吸光係数、さらには、所望のディスプレイ用フィルタの光学特性(例えば、色純度、透過特性)を考慮し任意に設定することができる。
【0076】
本発明のディスプレイ用フィルタは、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機電界発光ディスプレイ、FED(Field Emission Display)、CRT(Cathode Ray
Tube)などの各種ディスプレイ用に適用可能なフィルタであり、各種ディスプレイに装着して使用される。なお、液晶ディスプレイにおいては、例えば、透過型、反射型などの各種態様に適用可能である。
【0077】
本発明のディスプレイ用フィルタは、プラズマディスプレイの輝度、視認性を著しく損なうことなく、優れた透過特性などを有し、プラズマディスプレイの光学特性(例えば、色純度およびコントラスト)を向上させることができる。また、液晶ディスプレイの光学特性(例えば、色純度)を向上させることができる。さらに、本発明のディスプレイ用フィルタは、ディスプレイ画面の可視光スペクトルを補正する調光フィルム、面抵抗0.01〜30Ω/□の透明導電層(D)を備えることによって、ディスプレイ画面からの電磁波を遮断する特性を有する電磁波シールド体、さらに、波長800〜1100nm程度に吸収極大を有する近赤外線吸収化合物を含有することによって、ディスプレイ画面からの近赤外線を遮断する特性を有する近赤外線カットフィルタ等としても機能することができる。
【0078】
<ディスプレイ用フィルタの構成要素>
例えば、プラズマディスプレイに、本発明のディスプレイ用フィルタを適用する場合、一般には、外気側に設けられた機能性透明層(A)と、ディスプレイ側に設けられ、画面に接着するための透明粘着層(C)と、機能性透明層(A)と透明粘着層(C)との間に基体(B)を備えている。また、プラズマディスプレイから発生する電磁波を遮蔽する目的で、フィルタには、さらに、透明導電層(D)が設けられていてもよい。この場合、透明導電層(D)は、機能性透明層(A)と基体(B)との間に設けられる。また、透明導電層(D)は、基体(B)と透明粘着層(C)との間に設けられていてもよい。
勿論、所望の要求特性を考慮し、その他種々の構成とすることができる。例えば、ハードコート層(E)、さらなる透明粘着層(C)を設けることができる。また、複数の機能性透明層(A)を設けてなるフィルタとすることもできる。なお、これらの層にも一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物が含有されていてもよい。
【0079】
例えば、液晶ディスプレイに、本発明のディスプレイ用フィルタを適用する場合、一般には、基体(B)から成るフィルタ、透明粘着層(C)から成るフィルタ、基体(B)と透明粘着層(C)から成るフィルタ、および基体(B)と機能性透明層(A)から成るフィルタなどがあり、液晶ディスプレイ内の光源から視認部最表面に至る任意の経路中に設けられる。例えば、透過型の液晶ディスプレイの場合、フィルタは、液晶ディスプレイ画面上は勿論であるが、例えば、導光板、バックライト、偏光板、カラーフィルタなどに、例えば、透明粘着層(C)を介して設けることができる。
【0080】
以下、本発明のディスプレイ用フィルタの構成要素について説明する。
<機能性透明層(A)>
本発明のディスプレイ用フィルタには、ディスプレイに対する設置方法や要求される機能に応じて、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、ハードコート機能(耐摩擦機能)、帯電防止機能、防汚機能、ガスバリア機能、紫外線カット機能のいずれか一つ以上の機能を有し、且つ、可視光線を透過する機能性透明層(A)が設けられる。なお、一般式(1)で表されるディスプレイ用フィルタにおいて、機能性透明層(A)は、表示装置の前面に配置されれば、表示装置の前面に配置された基体(B)に接着剤を介して直接貼り付けて使用されても、他の機能層間や基体(B)との間に配置されてそれらの層を接着するために使用されてもよい。
機能性透明層(A)は、前記の各機能を一つ以上有する機能膜そのもの、あるいは機能膜を塗布法、印刷法、あるいは従来公知の各種成膜法により形成された支持体、さらには各機能を有する支持体を使用することができる。支持体は、透明な支持体が好ましく、一般には、透明ガラス、透明高分子フィルムである。なお、透明高分子フィルムとしては、例えば、後述する基体(B)で例示する透明高分子フィルムを挙げることができる。支持体の厚さに関しては特に制限するものではない。
機能性透明層(A)は、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)機能、防眩(AG:アンチグレア)機能、あるいはその両機能を備えた反射防止防眩(ARAG)機能のいずれかの機能を有していることは好ましい。
【0081】
反射防止機能を有する機能性透明層(A)は、反射防止膜を形成する支持体の光学特性を考慮し、光学設計により、反射防止膜の構成部材および各構成部材の膜厚を決定することができる。反射防止機能を有する機能性透明層(A)としては、例えば、可視光域において屈折率が1.5以下のフッ素系透明高分子樹脂、フッ化マグネシウム、シリコン系樹脂、酸化珪素などの薄膜を、例えば、1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、あるいは屈折率の異なる金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物などから成る無機化合物薄膜、あるいはシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂などから成る有機化合物薄膜を支持体から見て、高屈折率層、低屈折率層の順に2層以上積層したものがある。なお、無機化合物薄膜の成膜法は、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、湿式塗工法などの公知の方法を適用することができる。有機化合物薄膜の成膜法は、例えば、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、コンマコート法などの公知の方法を適用することができる。反射防止機能を有する機能性透明層(A)の表面の可視光線反射率は、一般に、2%以下、好ましくは、1.3%以下、より好ましくは、0.8%以下であるように調製する。
【0082】
防眩機能を有する機能性透明層(A)は、一般に、0.1μm〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する可視光域に対して透明な層のことである。防眩機能を有する機能性透明層(A)は、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂などの熱硬化型樹脂、または光硬化型樹脂に、シリカ、有機ケイ素化合物などの無機化合物粒子、あるいはメラミン、アクリルなどの有機化合物粒子を分散させてインク化したものを、例えば、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、コンマコート法などの方法によって支持体上に塗布、硬化させて形成することができる。係る無機化合物粒子、および有機化合物粒子の平均粒径は、一般に、1〜40μmである。また、防眩機能を有する機能性透明層(A)は、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂などの熱硬化型樹脂、あるいは光硬化型樹脂を支持体上に塗布した後、所望のヘイズまたは表面状態を有する型を押しつけて、表面を凹凸に硬化させることにより形成することができる。防眩機能の指標となるヘイズ値は、一般に、0.5〜20%である。
反射防止防眩機能を有する機能性透明層(A)は、防眩機能を有する膜、あるいは防眩機能を有する支持体上に、反射防止膜を形成することにより調製することができる。反射防止防眩機能を有する機能性透明層(A)の表面の可視光線反射率は、一般に、1.5%以下、好ましくは、1.0%以下になるように調製する。
本発明のディスプレイ用フィルタに耐擦傷性能を付加する目的で、機能性透明層(A)がハードコート機能(耐摩擦機能)を有していることは好適である。ハードコート機能を有する機能性透明層(A)は、ハードコート機能を有する膜、あるいは支持体上にハードコート膜を形成することにより調製することができる。ハードコート膜としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂などの熱硬化型樹脂、あるいは光硬化型樹脂などが挙げられる。ハードコート膜の厚さは、一般に、1〜100μm程度である。ハードコート膜は、反射防止機能を有する透明機能層の高屈折率層、あるいは低屈折率層に用いることもできる。また、ハードコート膜上に反射防止膜が形成されて、機能性透明層(A)が反射防止機能とハードコート機能の両機能を備えていてもよい。同様に、機能性透明層(A)が防眩機能とハードコート機能の両機能を備えていてもよい。
防眩機能とハードコート機能の両機能を備える機能性透明層(A)は、例えば、粒子の分散などにより凹凸を有するハードコート膜の上に、反射防止膜を形成することにより調製することができる。ハードコート機能を有する機能性透明層(A)の表面硬度は、JISK5600に従った鉛筆硬度が、少なくともH以上、好ましくは、2H以上である。
【0083】
一般に、ディスプレイ用フィルタは、静電気が帯電しやすく、ホコリの付着防止、人体への悪影響防止などを考慮し、帯電防止機能が必要とされる場合がある。この場合、帯電防止機能を付与するために、機能性透明層(A)が一定の導電性を有していてもよい。なお、導電性は、一般に、面抵抗で1011Ω/□程度以下であればよい。係る導電性材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの公知の透明導電膜、ITO超微粒子、酸化スズ超微粒子などの導電性超微粒子を分散させた導電性膜が挙げられる。また、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、ハードコート機能のいずれか一つ以上の機能を有した機能性透明層(A)を構成する層が導電性を有していることは好ましい。機能性透明膜が、例えば、環境中の物質、あるいは水分に対して、ガスバリア機能を有することは好ましいことである。なお、必要とされるガスバリア機能は、一般に、透湿度で10g/m・day以下である。ガスバリア機能を有する膜としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウムなど、またはこれらの混合物、またはこれらに他の元素を添加した金属酸化物薄膜、あるいはポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂などの各種樹脂から成る膜を挙げることができる。ガスバリア機能を有する膜の厚さは、金属酸化物薄膜の場合、一般に、10〜200nmであり、樹脂の場合、一般に、1〜100μmである。なお、ガスバリア機能を有する膜は、単層構造でもよく、あるいは多層構造であってもよい。また、水分に対してガスバリア機能を有する膜としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデンと塩化ビニル、塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合物、フッ素系樹脂などの各種樹脂から成る膜を挙げることができる。
また、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、帯電防止機能、ハードコート機能のいずれか一つ以上の機能を有した機能性透明層(A)を構成する層が、さらにガスバリア機能を兼ねる層とすることができる。さらに、指紋などの汚れ防止、あるいは汚れ除去が容易になるように、機能性透明層(A)の表面に防汚機能を付与することができる。防汚機能を有する化合物としては、水および/または油脂に対して非濡性を有する化合物であり、例えば、フッ素化合物、ケイ素化合物などが挙げられる。
【0084】
また、機能性透明層(A)に、例えば、紫外線を吸収する無機薄膜単層、あるいは無機薄膜多層から成る反射防止膜、または紫外線吸収化合物を含有する透明膜を形成することにより、機能性透明層(A)に、さらに、紫外線カット機能を付与することができる。機能性透明層(A)が、機能膜そのものの場合、例えば、透明導電層(D)の主面に塗布法、印刷法などの各種成膜法により形成されていてもよく、機能性透明層(A)が、機能膜を形成した透明な基体(B)、各機能を有する透明な基体(B)の場合は、例えば、透明導電層(D)の主面に形成されていてもよい。
【0085】
<基体(B)>
基体(B)は、フィルタの支持体として機能し、一般に、可視光域において、透明ガラス、透明高分子フィルムが用いられる。透明高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6などのポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重体などのビニル化合物、またはフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシドなどのポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。基体(B)は、一般に、厚さが、10〜250μmであり、好ましくは、50〜250μmである。
基体(B)は、製造効率の点から、好ましくは、可撓性の透明高分子フィルムであり、さらに、ディスプレイ表面に、直接貼合された透明高分子フィルムを基体(B)とするフィルタは、ディスプレイの基板ガラスが破損した場合、ガラスの飛散防止ができるという利点がある。本発明においては、基体(B)の表面は、スパッタリング処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線照射、電子線照射などのエッチング処理、あるいは下塗り処理が施されていてもよい。
【0086】
基体(B)の少なくとも一方の主面にハードコート層(E)が形成されていてもよい。ハードコート層(E)となるハードコート膜としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂などの熱硬化型樹脂、あるいは光硬化型樹脂などが挙げられる。ハードコート層(E)の厚さは、1〜100μm程度である。また、ハードコート層(E)に、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物が1種以上含有されていてもよい。
本発明のディスプレイ用フィルタ、特にプラズマディスプレイ用フィルタが、ディスプレイ画面からの電磁波を遮蔽する特性を有する電磁波シールド体として機能することは好ましく、プラズマディスプレイ用フィルタには、機能性透明層(A)、基体(B)、透明粘着層(C)の他に、さらに透明導電層(D)を備えていることが好ましい。
【0087】
<透明導電層(D)>
ディスプレイ用フィルタが、電磁波シールド体の形態の場合、基体(B)の一方の主面上に透明導電層(D)が形成される。本発明における透明導電層(D)とは、単層または多層薄膜から成る透明導電層(D)である。なお、電磁波シールド体においては、透明導電層(D)と外部との電気的接続が必要あり、例えば、機能性透明層(A)、透明粘着層(C)などは、透明導電層(D)の周縁部を残して、導通部を確保することが必要となる。単層の透明導電層(D)としては、金属メッシュ、導電性格子状パターン膜などの導電性メッシュ、さらには金属薄膜や酸化物半導体薄膜などの透明導電性薄膜がある。多層薄膜から成る透明導電層(D)としては、金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層薄膜がある。金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層薄膜は、銀などの金属の持つ導電性、およびその自由電子による近赤外線反射特性、および特定波長領域における金属による反射を高屈折率透明薄膜により防止できることから、導電性、近赤外線カット機能、可視光線透過率に関して好ましい特性を有している。電磁波シールド機能、近赤外線カット機能を有するディスプレイ用フィルタを得るためには、電磁波吸収のための高い導電性と電磁波反射のための反射界面を多く有する金属薄膜と、高屈折率透明薄膜を積層した多層薄膜から成る透明導電層(D)は好ましい。高い可視光線透過率と低い可視光線反射率に加え、プラズマディスプレイに必要な電磁波シールド機能を有するには、透明導電層(D)が、面抵抗が、一般に、0.01〜30Ω/□、より好ましくは、0.1〜15Ω/□、さらに好ましくは、0.1〜5Ω/□であることが望ましい。また、透明導電層(D)自体に、近赤外線カット機能を持たせることもでき、近赤外線波長領域、例えば、800〜1100nmにおける光線透過率極小を、20%以下にすることができる。
【0088】
本発明において好ましい透明導電層(D)は、基体(B)の一方の主面上に、高屈折率透明薄膜層(Dt)、金属薄膜層(Dm)の順に、(Dt)/(Dm)を繰り返し単位として、2〜4回繰り返し積層され、さらにその上に少なくとも高屈折率透明薄膜層を積層して形成され、該透明導電層(D)の面抵抗が、0.1〜5Ω/□である。金属薄膜層の材料として、好ましくは、銀、金、白金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、さらには銀と金、白金、パラジウム、銅、インジウムまたはスズとの合金である。銀を含む合金中の銀の含有率は、特に限定されるものではないが、一般に、50質量%以上、100質量%未満である。なお、複数層から成る金属薄膜の場合は、少なくとも1つの層は銀を合金にしないで用いることや、基体(B)から見て、最初の層および/または最外層にある金属薄膜層のみを銀の合金とすることができる。金属薄膜層は、導電性などの点から薄膜は不連続な島状構造ではなく、連続状態であることが必要であり、またその厚さは、4〜30nmが好ましい。複数層から成る金属薄膜の場合は、各層が全て同じ厚さである必要はなく、さらに、各層全てが銀、あるいは同じ組成の銀の合金でなくてもよい。金属薄膜層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、メッキ法などの公知の方法を挙げることができる。
高屈折率透明薄膜層を形成する透明薄膜としては、可視光領域において透明性を有し、金属薄膜層の可視光領域における光線反射を防止する機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般に、可視光線に対する屈折率が、1.6以上、好ましくは、1.8以上の材料が用いられる。このような透明薄膜を形成する材料としては、例えば、インジウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス、スズ、亜鉛、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウムなどの酸化物、または、これら酸化物の混合物や、硫化亜鉛などを挙げることができ、より好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化インジウムと酸化スズの混合物(ITO)である。高屈折率透明薄膜層の厚さは、特に限定されるものではないが、一般に、5〜200nmである。高屈折率透明薄膜層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法などの公知の方法を挙げることができる。透明導電層(D)の耐環境性などの向上を目的に、透明導電層(D)の表面に、導電性、光学特性などの諸特性を著しく損なわない程度に、有機物あるいは無機物から成る保護層を設けることができる。また、金属薄膜層の耐環境性、金属薄膜層と高屈折率透明薄膜層との密着性などを向上させるため、金属薄膜層と高屈折率透明薄膜層の間に、導電性、光学特性などの諸特性を損なわない程度に、無機物層を設けることができる。なお、無機物層を形成する材料としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、金、白金、亜鉛、ジルコニウム、チタン、タングステン、スズ、パラジウムなど、あるいはこれらの材料の2種類以上からなる合金が挙げられる。無機物層の厚さは、好ましくは、0.2〜2nm程度である。透明導電層(D)の形成方法としては、透明導電性薄膜を用いる方法の他に、導電性メッシュを用いる方法がある。導電性メッシュの一例として、単層の金属メッシュについて説明する。単層の金属メッシュとしては、例えば、基体(B)上に銅メッシュ層を形成したものがあり、一般には、基体(B)上に銅箔を貼合わせた後、メッシュ状に加工して形成される。銅箔としては、圧延銅、電解銅が用いられ、好ましくは、孔径0.5〜5μmの多孔性の銅箔である。銅箔のポロシティーとしては、0.01〜20%が好ましく、より好ましくは、0.02〜5%である。なお、ポロシティーとは、体積をRとし、孔容積をPとした場合に、P/Rで定義される値である。銅箔は、各種表面処理(例えば、クロメート処理、粗面化処理、酸洗、ジンク・クロメート処理)を施されていてもよい。銅箔の厚さは、一般に、3〜30μmである。金属メッシュの光透過部分の開口率は、一般に、60〜95%である。開口部の形状は、特に限定されるものではないが、正三角形、正四角形、正六角形、円形、長方形、菱形などに形がそろっており、面内に並んでいることが好ましい。光透過部分の開口部の大きさは、一般に、1辺あるいは直径が、5〜200μmであることが好ましい。また、開口部を形成しない部分の金属の幅は、5〜50μmが好ましい。光透過部分を有する金属層の実質的な面抵抗は、好ましくは、0.01〜0.5Ω/□である。なお、透明導電層(D)と表示装置のアース部(グランド導体)とを電気的に接続させるため、導電性粘着層を設ける。
【0089】
導電性粘着層に用いる導電性接着剤、導電性粘着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)、ポリビニルエーテル、飽和ポリエステル、メラミン樹脂などのベース材料に、導電性粒子として、例えば、カーボン、Cu、Ni、Ag、Feなどの金属粒子を分散させたものがある。なお、導電性接着剤、導電性粘着剤の体積固有抵抗は、一般に、1×10−4〜1×10Ω・cmである。導電性接着剤、導電性粘着剤としては、シート状、液体状のものがある。導電性粘着剤としては、シート状の感圧型粘着剤が好適に使用できる。シート状粘着剤を貼付けた後、または接着剤の塗布後にラミネートして貼合わせる。液体状の導電性接着剤は、塗布、貼合わせ後に、室温または高温下で処理することにより、あるいは紫外線照射することにより硬化させることができる。液体状の導電性接着剤の塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、コンマコート法などが挙げられる。なお、導電性粘着層の厚さは、体積固有抵抗と必要な導電性を考慮して設定され、一般には、0.5〜50μm、好ましくは、1〜30μmである。また、両面に導電性を有する両面接着タイプの導電性テープも使用できる。
【0090】
<透明粘着層(C)>
本発明において、透明粘着層(C)は、任意の透明粘着剤(接着剤、粘着剤)から成る層である。透明粘着層(C)は、例えば、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール粘着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤(EVA)など、ポリビニルエーテル、飽和ポリエステル、メラミン樹脂などから形成される。なかでもアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤が好ましい。
なお、粘着剤としては、シート状、または液体状のものが使用できる。粘着剤として、例えば、シート状の感圧型粘着剤を使用する場合は、シート状粘着剤を貼付け後、または接着剤を塗布後、ラミネートして貼り合わせる。
【0091】
粘着剤として、例えば、液体状の接着剤を使用する場合は、塗布、貼合わせ後に、室温または高温下で処理することにより、あるいは紫外線照射することにより硬化させて貼り合わせる。その塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、コンマコート法などを挙げることができる。
透明粘着層(C)の厚みは、特に限定されるものではないが、一般に、0.5〜50μmである。透明粘着層(C)が形成される面、および貼合わされる面は、予め易接着コートまたはコロナ放電処理などの易接着処理されていることは好ましい。さらに、透明粘着層(C)を介して貼合わせた後、貼合わせ時に部材間に混入した空気を、脱泡、または粘着剤に固溶させて、さらには部材間の密着力を向上させる目的で、加圧、加温条件下で処理を施すことは好ましい。
【実施例】
【0092】
以下、製造例、および実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】
製造例1
<例示化合物番号(P−2)の化合物の製造>
窒素雰囲気下、シアン化銅7.47g、1,2−ジブロモ−3,3−ジメチル−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ブテン14.0gを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)70mlに加え、130℃に加熱して10時間保持した。混合物を室温まで冷却した後、28質量%アンモニア水140mlを加え、さらに、室温で1時間撹拌した後、固形物を濾過した。濾過した固形物を乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー〔展開液:トルエン/ヘキサン(体積比:2/1)〕にて精製し、1,2−ジシアノ−3,3−ジメチル−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ブテンの、シス体とトランス体の混合物を9.07g得た。
得られた混合物をガスクロマトグラフィーで測定した結果、クロマトグラフ上のピーク面積比はシス体59.8%、トランス体22.2%であった。
なお、この混合物をn−ヘキサン100mlで再結晶により精製を行い、cis−1,2−ジシアノ−3,3−ジメチル−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ブテンの化合物2.5gを淡青色の固体として得た。融点82.9℃
次いで、窒素雰囲気下、このcis−1,2−ジシアノ−3,3−ジメチル−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ブテンの化合物2.28gをn−ペンタノール30mlに加え、70℃に加熱後、混合物に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)1.52gを加えた。混合物を90℃に昇温した後、塩化第一銅0.33gを加え、さらに、125℃で18時間撹拌した。混合物から、n−ペンタノール25mlを留去した後、残渣に、メタノール水(50質量%)50mlを加えた後、固形物を濾過した。濾過した固形物を乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー〔展開液:トルエン/クロロホルム(体積比:2/1)〕にて精製し、例示化合物番号(P−2)の化合物1.4gを青色の固体として得た。この化合物は、トルエン中、モル吸光係数137000で、波長595.0nmに吸収極大を示した。なお、この固体は、式(P−2−A)〜式(P−2−D)で表される化合物の混合物であった。
【0094】
実施例1
ポリエステル樹脂(バイロン200;東洋紡績(株)製)100gと、例示化合物番号(P−2)の化合物2gを秤量した。さらにポリエステル樹脂固形分質量が25質量%となるようにシクロヘキサノン400gを加え、超音波分散機で十分に分散させた。
この分散液をガラス基板上にバーコーターで塗工、乾燥して試験サンプルとした。
なお、上記で作製した試験サンプルに付いて、耐光性試験を行い評価した。評価結果を表1に示した。
<耐光性試験>
7.5kw 2槽独立型スーパーキセノンウエザーメーター(SX2D−75;スガ試験機(株)製)を使用し、JIS
K7350−2(日本工業規格)記載のA法に従い、短波長カットフィルタ(LU0400;朝日分光(株)製)で400nm以下をカットし、放射照度60W/m2の条件で、3日間照射した後、波長590nmでの吸収変化から色素残存量を測定した。
色素の残存量は、日立製作所製の分光光度計(U−300)を用いて波長590nmでの透過率(T%)を測定し、耐光性試験前の波透過率(T0%)を、耐光性試験後の透過率(T1%)から引いた数値として求めた。数値が小さいほど色素残存量が多く、耐光性に優れていることを表している。
【0095】
実施例2〜6
実施例1において、例示化合物番号(P−2)の化合物を使用する代わりに、テトラアザポルフィリン化合物を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1に記載の方法により試験サンプルを作製した。作製した試験サンプルに関して、実施例1と同様に測定、評価した結果を表1に示した。
【0096】
比較例1
実施例1において、例示化合物番号(P−2)の化合物を使用する代わりに、比較化合物として、特開2006−321925号公報の実施例3に記載の化合物(G−1)を使用した以外は、実施例1に記載の方法により試験サンプルを作製した。作製した試験サンプルに関して、実施例1と同様に測定、評価した結果を表1に示した。

【0097】
比較例2
実施例1において、例示化合物番号(P−2)のテトラアザポルフィリン化合物を使用する代わりに、比較化合物として、特開2002−129052号公報の合成例1に記載の化合物(G−2)を使用した以外は、実施例1に記載の方法により試験サンプルを作製した。作製した試験サンプルに関して、実施例1と同様に測定、評価した結果を表1に示した。

【0098】

表1に示した結果より、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を含有する本発明の試験サンプルは、比較例で示したテトラアザポルフィリン化合物を含有した比較の試験サンプルに比べ、耐光性に優れることがわかった。
【0099】
実施例7
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(50:50質量%)溶媒に、アクリル系粘着剤(SKダイン1310;綜研化学(株)製)を超音波分散機で十分に溶解させて、不揮発分濃度5重量%となるように希釈液を調整した。さらに、この希釈液に、例示化合物番号(P−2)の化合物を溶解させて分散液とし、ガラス基板上にスピンコーターで塗工、乾燥して試験サンプルとした。
なお、例示化合物番号(P−2)は、乾燥したアクリル系粘着剤の中で0.2(質量)%含有するように分散液を調整した。
上記で作製した試験サンプルに付いて実施例1と同様に測定、評価した結果を表2に示した。
【0100】
実施例8〜12
実施例7において、例示化合物番号(P−2)の化合物、およびアクリル系粘着剤(SKダイン1310;綜研化学(株)製)を使用する代わりに、テトラアザポルフィリン化合物、およびアクリル系粘着剤を表2に示す通りに変更した以外は、実施例7に記載の方法により試験サンプルを作製した。作製した試験サンプルに関して、実施例7と同様に測定、評価した結果を表2に示した。
【0101】
比較例3〜4
実施例7において、例示化合物番号(P−2)の化合物、およびアクリル系粘着剤(SKダイン1310;綜研化学(株)製)を使用する代わりに、比較例1〜2で使用したテトラアザポルフィリン化合物、およびアクリル系粘着剤を表2に示す通りに変更した以外は、実施例7に記載の方法により試験サンプルを作製した。作製した試験サンプルに関して、実施例7と同様に測定、評価した結果を表2に示した。
【0102】

SK1310 ; アクリル系粘着剤(SKダイン1310;綜研化学(株)製)
SK2094 ; アクリル系粘着剤(SKダイン2094;綜研化学(株)製)
BPS5896; アクリル系粘着剤
(オリバインBPS5896;東洋インキ製造(株)製)
表2に示した結果より、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物と粘着剤を含有する本発明の試験サンプルは、比較例で示したテトラアザポルフィリン化合物を含有した比較の試験サンプルに比べ、耐光性に優れることがわかった。
【0103】
実施例13
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(50:50質量%)溶媒に、アクリル系粘着剤(SKダイン1310;綜研化学(株)製)を超音波分散機で十分に溶解させて、不揮発分濃度5質量%となるように希釈液を調整した。さらに、この希釈液に、例示化合物番号(P−2)の化合物と、近赤外線吸収化合物として、ジイモニウム塩化合物(Q−1)を溶解させて分散液とし、ガラス基板上にスピンコーターで塗工、乾燥して試験サンプルとした。


なお、例示化合物番号(P−2)の化合物は、乾燥したアクリル系粘着剤の中で0.2質量%、ジイモニウム塩化合物(Q−1)は、乾燥したアクリル系粘着剤の中で0.7質量%含有するように分散液を調整した。
上記で作製した試験サンプルに付いて実施例1と同様に測定、評価した結果を表3に示した。
【0104】
実施例14〜22
実施例13において、例示化合物番号(P−2)の化合物、アクリル系粘着剤(SKダイン1310;綜研化学(株)製)、およびジイモニウム塩化合物(Q−1)を使用する代わりに、テトラアザポルフィリン化合物、アクリル系粘着剤、およびジイモニウム塩化合物を表3に示す通りに変更した以外は、実施例13に記載の方法により試験サンプルを作製した。
作製した試験サンプルに関して、実施例13と同様に測定、評価した結果を表3に示した。
【0105】
比較例5〜6
実施例13において、例示化合物番号(P−2)の化合物、アクリル系粘着剤(SKダイン1310;綜研化学(株)製)、およびジイモニウム塩化合物(Q−1)を使用する代わりに、比較例1〜2で使用したテトラアザポルフィリン化合物、アクリル系粘着剤、およびジイモニウム塩化合物を表3に示す通りに変更した以外は、実施例13に記載の方法により試験サンプルを作製した。
作製した試験サンプルに関して、実施例13と同様に測定、評価した結果を表3に示した。
【0106】

SK1310 ; アクリル系粘着剤(SKダイン1310;綜研化学(株)製)
SK2094 ; アクリル系粘着剤(SKダイン2094;綜研化学(株)製)
BPS5896; アクリル系粘着剤
(オリバインBPS5896;東洋インキ製造(株)製)
ジイモニウム塩化合物 ; Q−2


表1に示した結果より、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物と粘着剤、さらに近赤外線吸収色素としてジイモニウム塩化合物を含有する本発明の試験サンプルは、比較例で示したテトラアザポルフィリン化合物を含有した比較の試験サンプルに比べ、耐光性に優れることがわかった。
【0107】
実施例23
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚さ:80μm)を基体とし、その一方の面に、機能性透明層として、次の機能性透明膜をロール・ツー・ロールで連続的に形成した。すなわち、多官能メタクリレート樹脂に光重合開始剤を加え、さらにITO微粒子(平均粒径:10nm)を分散させた塗工液をグラビアコーターにて塗工し、紫外線硬化させて、導電性ハードコート膜(膜厚:3μm)を形成した。その上に含フッ素有機化合物溶液をマイクログラビアコーターにて塗工し、90℃で乾燥、熱硬化させて、屈折率1.4の反射防止膜(膜厚:100nm)を形成し、ハードコート機能(鉛筆硬度:2H)、反射防止機能(表面の可視光線反射率:0.9%)、帯電防止機能(面抵抗:7×10Ω/□)、防汚機能を有する機能性透明膜を形成した。
【0108】
一方、酢酸エチル/トルエン(50:50質量%)溶媒に、例示化合物番号(P−2)の化合物を溶解させて希釈液とした。
アクリル系粘着剤(80質量%)と、この例示化合物番号(P−2)の化合物を含む希釈液(20質量%)を混合し、機能性透明膜/TACフィルムのTAC面上に、コンマコーターにより乾燥膜厚25μmに塗工し、乾燥させて、透明粘着層を形成した。透明粘着層面に離型フィルムをラミネートしてロール状に巻き取り、離型フィルムを有するディスプレイ用フィルタを作製した。
なお、例示化合物番号(P−2)の化合物は、乾燥した粘着剤の中で1650質量ppm含有するように、希釈液を調製した。
【0109】
さらに、該ディスプレイ用フィルタをシート状に裁断し、離型フィルムを剥離して、プラズマディスプレイパネル前面(表示部920mm×520mm)に、枚葉式ラミネーターを用いて貼合わせた。この際、表示部全体に透明粘着層部を貼合わせるようにシート裁断、貼り位置合わせを行なった。貼合わせた後、60℃、2×10Paの条件下でオートクレーブ処理し、ディスプレイ用フィルタを装着した表示装置を得た。
次に、上記で作製した表示装置に関して、発光色の色純度を測定し評価した。評価結果を表2に示した。
<発光色の色純度>
三原色である赤色(R)表示、緑色(G)表示、青色(B)表示において、ミノルタ(株)製のCRTカラーアナライザ(CA100)を用いて、RGB色度(x、y)を測定した。三原色の色度がNTSC方式で定められた色度に近いほど好ましいといえる。
【0110】
実施例24〜27
実施例23において、粘着層の形成に際し、例示化合物番号(P−2)の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号(P−16)の化合物(実施例22)、例示化合物番号(P−32)の化合物(実施例23)、例示化合物番号(P−57)の化合物(実施例24)、例示化合物番号(P−81)の化合物(実施例25)、を使用した以外は、実施例23に記載の方法により、ディスプレイ用フィルタを作製し、さらに、該ディスプレイ用フィルタを装着した表示装置を得た。
上記で作製した表示装置に関して、実施例23と同様に測定、評価した結果を表4に示した。
【0111】
比較例7
実施例23において、粘着層の形成に際し、例示化合物番号(P−2)の化合物を使用しない以外は、実施例23に記載の方法により、ディスプレイ用フィルタを作製し、さらに、該ディスプレイ用フィルタを装着した表示装置を得た。
上記で作製した表示装置に関して、実施例23と同様に測定、評価した結果を表4に示した。
【0112】
比較例8
実施例23において、粘着層の形成に際し、例示化合物番号(P−2)の化合物を使用する代わりに、比較化合物として、特開2002−129052号公報の合成例1に記載の化合物(G−2)を使用した以外は、実施例23に記載の方法により、ディスプレイ用フィルタを作製し、さらに、該ディスプレイ用フィルタを装着した表示装置を得た。
上記で作製した表示装置に関して、実施例23と同様に測定、評価した結果を表4に示した。
【0113】

表4から、本発明のディスプレイ用フィルタを装着したプラズマディスプレイの色純度、特に赤色の色純度が、大きく改善されていることが判る。

【産業上の利用可能性】
【0114】
特定構造のテトラアザポルフィリン化合物を含有してなる本発明のディスプレイ用フィルタは、光学特性に優れ、且つ耐久性に優れており、各種ディスプレイ用のフィルタとして使用することができる。

【符号の説明】
【0115】
11:機能性透明層(A)
12:基体(B)
13:透明粘着層(C)

21:機能性透明層(A)
22:基体(B)
23:透明粘着層(C)
24:透明導電層(D)

31:機能性透明層(A)
32:基体(B)
33:透明粘着層(C)
34:透明導電層(D)

42:基体(B)

53:透明粘着層(C)

62:基体(B)
63:透明粘着層(C)

71:機能性透明層(A)
72:基体(B)





【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材中または基材表面に、一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物を少なくとも1種含有してなるディスプレイ用フィルタ。

〔式中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、あるいは酸化金属原子を表し、X〜Xはそれぞれ独立に、直鎖または分岐のアルキル基、あるいは直鎖または分岐のアルコキシ基を表し、Y〜Yはそれぞれ独立に、炭素数3〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基、下記の式(1−a)、式(1−b)、式(1−c)、または式(1−d)で示される基を表す〕

〔式(1−a)中、Zはフッ素原子、あるいは塩素原子を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す〕

〔式(1−b)中、Zはフッ素原子、あるいは塩素原子を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。但し、RおよびRが同時に水素原子を表すことはない〕

〔式(1−c)中、Rは水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す〕

〔式(1−d)中、R〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルコキシ基を表す。但し、RおよびR10が同時に水素原子を表すことはない〕
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるテトラアザポルフィリン化合物が、透明粘着層に含有されていることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用フィルタ。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載のディスプレイ用フィルタを具備してなるディスプレイ装置。


























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−163636(P2012−163636A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22191(P2011−22191)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000179904)山本化成株式会社 (70)
【Fターム(参考)】