説明

ディスプレイ装置

【課題】ディスプレイが最大傾倒姿勢にある状態でのディスプレイのがたつきを軽減することができるディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ディスプレイ装置10は、側面の上端部にスライダ14を有するディスプレイ12と、ディスプレイ12を傾倒させるようにディスプレイ12のスライダ14を案内する案内溝15が形成された壁面を有するエスカッション13とを備えている。案内溝15は、前方に向かう下端部を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダッシュ型の車載ナビゲーション装置等の、傾倒可能なディスプレイを備えたディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車載ナビゲーション装置等のディスプレイ装置として、インストルメントパネル内のオーディオ機器用スペースに配置されるインダッシュ型のディスプレイ装置が知られている。2DINサイズのディスプレイ装置の場合、ディスプレイ装置本体の前面に配置されているディスプレイは、ディスプレイ下部から前面にスライドする可動構造になっており、背面に隠れた挿入口(スロット)にCDやDVD等の各種メディアを挿脱することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、従来のディスプレイ装置の構造を示す図である。車載ナビゲーション装置としてのディスプレイ装置100は、ディスプレイ装置本体101とディスプレイ102とエスカッション103とを備えている。エスカッション103は、ディスプレイ装置本体101の前面に取り付けられる。ディスプレイ装置100はインストルメントパネル内にネジ止めにより固定された後、開口部を有する枠部材(クラスターパネル)CPが取付けられ、ディスプレイ102がクラスターパネルCPの開口部から露出される。
【0004】
ディスプレイ102は、その側面の上端部にスライドピン104を有する。エスカッション103には、このスライドピン104を上下方向に案内する案内溝105が形成されている。また、ディスプレイ102は、その下部に可動アーム106の先端を軸支するためのピン107が設けられている。可動アーム106は、ディスプレイ装置本体101の下面に近い位置でエスカッション103を貫通して、その先端がピン107によってディスプレイ102に回動可能に軸支される。可動アーム106は、ディスプレイ装置本体101内に設けられた図示しないモータ及び駆動機構によって、手前及び奥行きの方向に出たり入ったりする。
【0005】
ディスプレイ102の上部のスライドピン104が案内溝105に案内されて、可動アーム106の先端がピン107に軸支されている状態で、可動アーム106が前後方向に出たり入ったりすることで、ディスプレイ102は、aの姿勢(以下、「正立姿勢」という)とbの姿勢(以下、「最大傾倒姿勢」という。)との間で駆動される。
【0006】
案内溝105は、ディスプレイ102が正立姿勢aとなったときのスライドピン104の位置から、ディスプレイ102が最大傾倒姿勢bとなったときのスライドピン104の位置まで、直線状に形成されており、スライドピン104が案内溝105の下端で止まることで、ディスプレイ102が最大傾倒姿勢bで止まる構造となっている。ディスプレイ装置本体101の正面上半部分には、ディスク、メモリカード等のメディアM用のスロットが設けられている。
【0007】
メディアMの出し入れの際には、操作ボタン108が押される等の指示により、正立姿勢aから可動アーム106が手前方向に繰り出し、それに伴い、スライドピン104が案内溝105に沿って下方にスライドし、最大傾倒姿勢bになるまでディスプレイ102が倒されて、メディアM用のスロットが露出する。メディアMの出し入れが終わると、操作ボタン108が押される等の指示により、最大傾倒姿勢bから可動アーム106が奥に引き込まれ、それに伴って、スライドピン104が案内溝105に沿って上方にスライドし、正立姿勢aになるまでディスプレイ102が立ち上がり、メディアM用のスロットが隠される。
【0008】
ここで、図6に示すように、2DINサイズのディスプレイ装置100が、7インチのディスプレイ102を備えている場合には、ディスプレイ装置本体101の前面の大きさとディスプレイ102の大きさとはほぼ同じである。従って、ディスプレイ装置本体101の下面に近い位置に設けられた可動アーム106の先端は、ディスプレイ102の下端付近でピン107によって軸支される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−114028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のようなディスプレイ装置のディスプレイのサイズを、2DINの規格サイズ(7インチ相当)を超えて大型化する場合には、ディスプレイ装置本体は2DINサイズのままとしてディスプレイのサイズを大型化し、クラスターパネルCPの開口部を広げることで、ディスプレイ装置をインストルメントパネル内に装着することができる。
【0011】
図7は、大型のディスプレイを備えたディスプレイ装置の構成を示す図である。図7において、図6に示す構成と対応する構成については同じ符号を用いている。ディスプレイ装置100は、大型のディスプレイ102を備えている。図6の例と同様に、エスカッション103に案内溝105が形成されており、そこに、ディスプレイ102の上部に設けられたスライドピン104がスライド可能に挿入される。
【0012】
可動アーム106は、図6の場合と同様に、ディスプレイ装置本体101の下面に近い位置で前後方向に駆動するように設けられるが、ディスプレイ102のサイズが大きいため、可動アーム106の先端は、ディスプレイ102の下端付近ではなく、下端よりも中央寄りの位置でピン107によって軸支される。この結果、CDやDVD等の各種メディアを挿脱するためにディスプレイ102を傾倒させて最大傾倒姿勢bとした場合に、ディスプレイ102が振動したり、操作ボタン108が押下されたりすると、ピン107を支点として、てこの原理により、スライドピン104に大きな力(特に上向きの力)が加わり、ディスプレイ102にがたつきが生じるという課題があった。
【0013】
なお、このようながたつきの問題は、上記のように、ディスプレイのサイズを大型化した場合に顕著になるが、図6に示すように、ディスプレイのサイズがディスプレイ装置本体の前面のサイズとほぼ同じであるような場合にも生じうる。
【0014】
そこで、本発明は、傾倒可能なディスプレイを備えたディスプレイ装置において、ディスプレイが最大傾倒姿勢にある状態でのディスプレイのがたつきを軽減することができるディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来の課題を解決するために、本発明のディスプレイ装置は、側面の上端部にスライダを有するディスプレイと、前記ディスプレイを傾倒させるように、前記ディスプレイの前記スライダを案内する案内溝が形成された壁面を有するエスカッションとを備え、前記案内溝は、前方に向かう下端部を有するという構成を有している。
【0016】
この構成により、案内溝が上端から下端までの直線形状である従来のディスプレイ装置と比較して、ディスプレイが傾倒して、スライダが案内溝の最下端にきたときに、ディスプレイのスライダにかかる力の方向とスライダが案内溝に沿ってスライド可能な方向との間の角度を大きくすることができるので、スライダが案内溝の最下端にある状態、即ちディスプレイが最大傾倒姿勢にある状態で、ディスプレイのがたつきを抑えることができる。また、最大傾倒姿勢にあるディスプレイのがたつきを抑えるために、特殊な部品を必要としない。
【0017】
また、上記のディスプレイ装置において、前記案内溝の前記下端部以外の部分は上下方向に延びる直線部であってよく、前記スライダが前記直線部の最上端に位置する状態で、前記ディスプレイが正立してよい。
【0018】
この構成によれば、正立姿勢と最大傾倒姿勢との間でディスプレイをスムーズに駆動できる。
【0019】
また、上記のディスプレイ装置において、前記案内溝の下端部は、前記直線部に対して前方かつ下方に向けて屈曲した屈曲部であってよい。
【0020】
また、上記のディスプレイ装置において、前記案内溝の下端部は、前記直線部から前方に向けて湾曲した湾曲部であってよい。
【0021】
また、上記のディスプレイ装置において、前記案内溝の下端部は、前記直線部から緩やかに屈曲してまっすぐ前方に向かう屈曲部であってよい。
【0022】
上記の何れの下端部の形状によっても、上記の効果を好適に得ることができる。
【0023】
また、上記の前記ディスプレイ装置は、ディスプレイ装置本体を備えていてよく、前記エスカッションは、前記ディスプレイ装置本体の前面に設けられてよく、前記エスカッション及び前記ディスプレイの下端部は、前記ディスプレイ装置本体の下面よりも低くてよく、前記ディスプレイ装置本体は、前後方向にスライド可能な可動アームを備えていてよく、前記可動アームの先端は、前記ディスプレイの下端部よりも中央寄りであって、かつ前記スライダよりも下方の位置で、前記ディスプレイに回転可能に軸支されてよい。
【0024】
この構成により、可動アームを繰り出すという操作のみで、ディスプレイのスライダが案内溝の最下端に達して、がたつきが抑えられた最大傾倒姿勢となることができる。最大傾倒姿勢において、がたつきを抑えるための機構を駆動する等の必要はない。
【0025】
また、上記のディスプレイ装置において、前記スライダが前記案内溝の最下端に位置する最大傾倒姿勢において、前記ディスプレイ上の前記可動アームを軸支する点を中心として回転する力によって前記スライダに作用する力の方向と、前記案内溝の最下端において前記スライダが前記案内溝に沿って移動可能な方向との間の角度が90度以上であってよい。
【0026】
この構成により、前記可動アームを軸支する点を中心としてディスプレイを回転する力によるがたつきをなくすることができる。
【0027】
また、上記のディスプレイ装置は、インダッシュ型の車載ナビゲーション装置であってよい。
【0028】
これにより、最大傾倒姿勢において、ディスプレイへのボタン操作によって力が加わったり、車両の振動によってディスプレイが振動したりしても、がたつきを抑えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、ディスプレイを傾倒させるようにディスプレイのスライダを案内する案内溝の下端部が、前方に向かっているので、ディスプレイのスライダが案内溝の最下端にきた最大傾倒姿勢において、振動や操作ボタン押下によるディスプレイのがたつきを、特殊な部品を用いることなく抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態におけるディスプレイ装置の構成を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態におけるディスプレイ装置の斜面図
【図3】(a)本発明の実施の形態におけるディスプレイ装置の作用を説明するための図 (b)従来のディスプレイ装置の作用を説明するための図
【図4】本発明の実施の形態における案内溝の変形例を示す図
【図5】本発明の実施の形態における案内溝の他の変形例を示す図
【図6】従来のディスプレイ装置の構成を示す断面図
【図7】従来の大型ディスプレイを備えたディスプレイ装置の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態におけるディスプレイ装置について図面を参照しながら説明する。以下では、本実施の形態のディスプレイ装置がインダッシュ型の車載ナビゲーション装置である場合の実施の形態を説明する。但し、本発明のディスプレイ装置は車載ナビゲーション装置以外にも応用可能である。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態におけるディスプレイ装置の構成を示す断面図であり、図2は、本発明の実施の形態におけるディスプレイ装置の斜面図である。なお、以下の説明において図1に記載のX方向を幅方向、Y方向を奥行き方向、Z方向を高さ方向として説明する。
【0033】
まず、図2を参照して、ディスプレイ装置の概略構成を説明する。ディスプレイ装置10は、ディスプレイ装置本体11とディスプレイ12とエスカッション13とを備えている。ディスプレイ装置本体11は、その筐体内に、図示しないCDデッキやラジオチューナ、あるいは、それらを電気的に制御するためのICを実装したプリント基板などを収容している。
【0034】
ディスプレイ装置10は、インストルメントパネル内にネジ止めにより固定された後、開口部を有する枠部材(クラスターパネル)CPが取付けられ、ディスプレイ12がクラスターパネルCPの開口部から露出される。即ち、ディスプレイ装置本体11は、自動車のセンターコンソール内部に組み込まれ、車両に取り付けられた際は、外観上ディスプレイ12が使用者に対して露出され、車室内のクラスターパネルCPなど他のパネルと一体感を出すよう装着される。
【0035】
エスカッション13は、ディスプレイ装置本体11の前面に取り付けられる。ディスプレイ装置本体11のサイズは、2DINの規格に従うものであり、その前面は、横178mm、縦100mmである。一方、ディスプレイ12の外枠部分も含めた大きさは、横222mm、縦124mmであり、ディスプレイ装置本体11の前面よりも縦横ともに大きい。エスカッション13及びディスプレイ12の下端部は、ディスプレイ装置本体11の下面よりも低い位置にある。
【0036】
次に、図1を参照して、ディスプレイ12の傾倒機構を説明する。エスカッション13は、ディスプレイ装置本体11の前面に固定されている。エスカッション13は、上下左右に壁面を有するトレー形状を有しており、ディスプレイ装置本体11に対して正立姿勢にあるディスプレイ12を収容する。エスカッション13の左右の壁面は、後述する案内溝及びスライダの構成によって、ディスプレイ12を保持する。
【0037】
ディスプレイ12は、その側面の上端部に、スライダとしてのスライドピン14を有する。エスカッション13には、このスライドピン14を上下方向に案内する案内溝15が形成されている。案内溝15は、ディスプレイ12を傾倒させるように、ディスプレイ12のスライドピン14を案内する。また、ディスプレイ12の側面には、下端部よりも中央寄りであって、かつスライドピン14よりも下方の位置に、可動アーム16の先端を軸支するためのピン17が設けられている。可動アーム16は、ディスプレイ装置本体11の下面に近い位置でエスカッション13を貫通して、その先端がピン17によってディスプレイ12に回動可能に軸支される。可動アーム16は、ディスプレイ装置本体11内に設けられた図示しないモータ及び駆動機構によって、手前及び奥行きの方向に出たり入ったりする。
【0038】
ディスプレイ12の上部のスライドピン14が案内溝15に案内されて、可動アーム16の先端がピン17に軸支されている状態で、可動アーム16が前後方向にスライドすることで、ディスプレイ12は、正立姿勢と最大傾倒姿勢との間で駆動される。
【0039】
案内溝15は、ディスプレイ12が正立姿勢となったときのスライドピン14の位置を上端として、そこから下方に直線状に延び、下端部において、前方かつ下方に向けて屈曲している。即ち、案内溝15は、直線部151と、下端部に形成された屈曲部152とからなる。
【0040】
メディアMの出し入れの際には、操作ボタン18が押される等の指示により、正立姿勢から可動アーム16が手前方向に繰り出し、それに伴い、スライドピン14が案内溝15の直線部151を下方にスライドし、直線部151の下端に到達すると、ディスプレイ12は、図1に示すbの姿勢となる。その後、引き続き可動アーム16が手前方向に繰り出すことで、スライドピン14は、案内溝15の屈曲部152をスライドして、前方かつ下方に移動し、その結果、ディスプレイ12は、図1に示すb’の姿勢となる。このb’の姿勢が本実施の形態のディスプレイ12の最大傾倒姿勢となる。
【0041】
図3(a)は、本実施の形態のディスプレイ装置の作用を説明するための図であり、図3(b)は従来のディスプレイ装置の作用を説明するための図である。図3(a)に示すように、本実施の形態では、ピン17が可動アームに支持された点として固定されているとすると、ディスプレイ12の下端部に設けられた操作ボタンが押下されることで、ディスプレイ12の下端部に下向きの力が加わったときに、スライドピン14には、A方向の力が加わる。これに対して、スライドピン14が案内溝15の屈曲部152に沿って移動(スライド)可能な方向はB方向である。本実施の形態では、A方向とB方向との間の角度は比較的大きく、約60度である。従って、A方向の力によってはスライドピン14が案内溝15の中を動くことはなく、ディスプレイ12は最大傾倒姿勢で安定する。
【0042】
一方、図3(b)に示すように、案内溝15が上端から下端まで一直線状であると、最大傾倒姿勢でディスプレイ12の下端部に下方向の力が加わることによってスライドピン14に働く力の方向Aと、スライドピン14が案内溝15に沿って移動可能な方向Bとの間の角度が小さくなる。そうすると、A方向の力によってスライドピン14が案内溝15に沿って動き、これが、がたつきの原因となる。
【0043】
図1に戻って、メディアMの出し入れが終わると、操作ボタン18が押される等の指示により、最大傾倒姿勢b’から可動アーム16が奥に引き込まれ、それに伴って、スライドピン14が、案内溝15の屈曲部152に沿って奥行方向かつ上方にスライドし、続けて直線部151を上方にスライドし、これによってディスプレイ12が正立して、メディアM用のスロットが隠される。
【0044】
以上のように、本実施の形態のディスプレイ装置10では、ディスプレイ12の上端部に設けたスライドピン14を案内する案内溝15が下端部にて前方に向けて屈曲する形状を有しているので、スライドピン14が案内溝15の最下端まできた最大傾倒姿勢b’において、ディスプレイ12に、可動アーム16を支持するピン17回りに回る力が加わったとしても、それによってスライドピン14が案内溝15内を動くことがなく、がたつきが軽減される。
【0045】
なお、上記では、ピン17の位置が固定されていると仮定したが、実際には、可動アーム16にもがたつきが生じたり、撓みが生じたりする。しかしながら、本実施の形態のディスプレイ装置10では、案内溝15の下端部が前に向いて屈曲しているので、最大傾倒姿勢において、そのような可動アーム16のがたつきや撓みによるディスプレイ12のがたつきが抑えられる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、最大傾倒姿勢においてディスプレイのがたつきを抑えるための案内溝15の下端部の形状は、上記の実施の形態の形状に限られない。図4及び図5は、それぞれ、案内溝15の変形例を示す図である。
【0047】
図4の例では、案内溝15の下端部が前方に向けて円弧状に湾曲した湾曲部153となっている。この例では、スライドピン14の力の作用方向Aと案内溝15の最下端においてスライドピン14が移動可能な方向Bとの間の角度は約120度であり、A方向の力によってスライドピン14が案内溝15に沿って移動することはなくなる。
【0048】
図5の例では、案内溝15の下端部は、緩やかに湾曲してまっすぐ前方に向かう屈曲部154となっている。即ち、案内溝15の直線部151と屈曲部154との角度が90度となる。この場合には、スライドピン14の力の作用方向Aとスライドピン14が移動可能な方向Bとの間の角度は約100度となる。
【0049】
なお、可動アーム16を支持するピン17の位置が不動であると仮定すると、理論上は、スライドピン14の力の作用方向Aと案内溝15の最下端においてスライドピン14が移動可能な方向Bとの間の角度が90度以上であれば、A方向の力によってスライドピン14は案内溝15に沿って移動することは物理的に不可能になる。よって、A方向の力によるがたつきの抑制のためには、方向Aと方向Bとの間の角度は、90度以上であることが望ましい。
【0050】
また、振動によるがたつきを考えると、スライドピン14には、ピン17を中心とした回転方向として、上記のA方向とともに、その逆方向にも力が作用することになる。このように、A方向及びその逆方向に力が作用してもスライドピン14が案内溝15に沿って移動しないようにするためには、最下端での案内溝の方向は、A方向(及びその逆方向)に対して90度に近いことが望ましい。
【0051】
上記の実施の形態は、スライドピン14におけるピン17を中心とした回転方向と最下端での案内溝の方向との間の角度は、90度から30度ずれた60度であり、図4の例も90度から30度ずれた120度であり、図5の例は、90度から10度のみずれた100度である。このように、スライドピン14におけるピン17を中心とした回転方向と最下端での案内溝の方向との間の角度は、90度±30度の範囲内にあることが望ましい。上記のA方向の力の作用のみを考慮した場合も勘案すると、スライドピン14におけるピン17を中心とした回転方向と最下端での案内溝の方向との間の角度は、90度以上120度(=90度+30度)以下の範囲内にあることが望ましい。
【0052】
なお、スライダは、上記のスライドピン14ようにピン形状でなくても、案内溝15をスライド可能な構成であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、ディスプレイのスライダが案内溝の最下端にきた最大傾倒姿勢において、振動や操作ボタン押下によるディスプレイのがたつきを、特殊な部品を用いることなく抑制することができ、傾倒可能なディスプレイを備えたディスプレイ装置等として有用である。
【符号の説明】
【0054】
10 ディスプレイ装置
11 ディスプレイ装置本体
12 ディスプレイ
13 エスカッション
14 スライドピン
15 案内溝
151 直線部
152 屈曲部
153 湾曲部
154 屈曲部
16 可動アーム
17 ピン
18 操作ボタン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面の上端部にスライダを有するディスプレイと、
前記ディスプレイを傾倒させるように前記ディスプレイの前記スライダを案内する案内溝が形成された壁面を有するエスカッションとを備え、
前記案内溝は、前方に向かう下端部を有する
ことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
前記案内溝の前記下端部以外の部分は上下方向に延びる直線部であり、
前記スライダが前記直線部の最上端に位置する状態で、前記ディスプレイが正立する
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記案内溝の下端部は、前記直線部に対して前方かつ下方に向けて屈曲した屈曲部であることを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記案内溝の下端部は、前記直線部から前方に向けて湾曲した湾曲部であることを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記案内溝の下端部は、前記直線部から緩やかに屈曲してまっすぐ前方に向かう屈曲部であることを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記ディスプレイ装置は、ディスプレイ装置本体を備え、
前記エスカッションは、前記ディスプレイ装置本体の前面に設けられ、
前記エスカッション及び前記ディスプレイの下端部は、前記ディスプレイ装置本体の下面よりも低く、
前記ディスプレイ装置本体は、前後方向にスライド可能な可動アームを備え、
前記可動アームの先端は、前記ディスプレイの下端部よりも中央寄りであって、かつ前記スライダよりも下方の位置で、前記ディスプレイに回転可能に軸支される
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記スライダが前記案内溝の最下端に位置する最大傾倒姿勢において、前記ディスプレイ上の前記可動アームを軸支する点を中心として回転する力によって前記スライダに作用する力の方向と、前記案内溝の最下端において前記スライダが前記案内溝に沿って移動可能な方向との間の角度が90度以上120度以下であることを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記ディスプレイ装置は、インダッシュ型の車載ナビゲーション装置であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−7941(P2013−7941A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141524(P2011−141524)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】